JP3710553B2 - モータ駆動型流体機械及び該流体機械に使用される周波数変換器 - Google Patents

モータ駆動型流体機械及び該流体機械に使用される周波数変換器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はモータで駆動される流体機械に係り、特に場合に応じて比重の異なる複数の流体を吸引する流体機械及び該流体機械に使用される周波数変換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
比重の異なる複数の流体を場合に応じて吸引する流体機械として、実開平1−21290号、実開昭2−28592号及び特公平7−58078号が知られている。
【0003】
この種の流体機械の共通の問題点は、場合に応じて吸引する流体が変化するため、各々の流体にとって最適な運転方法を採用できず、結果的に種々の妥協が必要となることである。即ち、比重の大きな液体を吸引することに主眼を置くと、羽根車の周速を低く抑える必要があり、その結果、比重の小さな気体を吸引する能力に限界が生じる。又、比重の小さな気体を吸引することに主眼を置くと、羽根車の周速を大きくする必要があり、比重の大きな液体を吸引した場合に、はなはだしい過負荷がモータに加わり、ひいてはモータを焼損に至らしめる結果となる。
【0004】
一方、実開平1−21290号及び実開平2−28592号に記載の流体機械は、単相交流電源によって駆動される比較的小出力で可搬式のポンプとして使用されているが、出力0.4kW相当で、10kg以上の重量があり、持ち運びに都合の良いものとは言えなかった。
【0005】
また実開平1−21290号及び実開平2−28592号に記載のポンプは、いわゆるレンタル業者が多数在庫して、これを使用者に賃貸しする場合が多い。この際、レンタル業者は、使用者の電源事情に応じて、例えば、下記の表のように多数のポンプを在庫する必要があり、ポンプの稼働率を低下させる原因となっていた。
Figure 0003710553
勿論、モータとポンプを別々に在庫して置き、必要に応じて組み立てる手法は可能であるが、作業の手間が掛かり不便であった。
【0006】
また実開平1−21290号及び実開平2−28592号に記載のポンプは、使用者が現場に付ききりではなく、無人の現場で使用される場合が多い。このため、例えば、排出すべき流体(ほとんどの場合、水であるが)が存在しないにもかかわらず、いつ何どき水がやってくるかわからないので、電源が投入され続けることがあり、この間無駄な電力を消費してしまう。これを解決するために、水位検出装置等を組み合わせて使用する場合があるが、異物を含んだ取扱液の場合に、誤動作を生じるものもあった。
【0007】
また実開平1−21290号に記載のポンプを上述のように放置された形態で運転されると、呼水の温度が上昇し、自吸不能となってしまうため、呼水温度検知用のサーモスタットをモータ内に内蔵し、例えば、呼水温度が60℃を越えるとモータを停止させ、45℃まで低下すると、再起動するように設定されていた。しかし、この方法には、サーモスタットの接点消耗の恐れがあった。
【0008】
また実開平1−21290号及び実開平2−28592号に記載のポンプは、エンジン掛け発電機を電源として使用される場合が多く、夜間等にエンジン音を抑えるため、エンジンのスロットルを絞ることがある。この際、発電機によっては、発生電圧が降下するものがあり、結果的にモータが過負荷・過電流状態となる事例が多い。又、異物の噛み込み等によって羽根車が拘束され、過電流状態となる事例もある。過電流によるモータ焼損を防止するため、従来からバイメタルを利用した自動復帰型のサーマルプロテクタが使用されてきたが、ON−OFFを頻繁に繰り返すと、バイメタルの接点が消耗し、最終的にはモータ焼損に至るケースもままあった。
【0009】
さらに、単相モータを使用した場合、起動トルクが小さいために、わずかな異物の噛み込みによって起動不良を生じる場合があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、吸引する流体に応じて無駄なく効果的な運転を行い、より小形・軽量で、様々な電源に対応し易く、排出すべき流体の存在しない場合の消費電力を削減し、過負荷・拘束に強く、起動不良しにくい(拘束しにくい)、流体機械を提供することを技術的課題としている。
【0011】
また本発明は上記流体機械を実現するために必要で且つ好適な周波数変換器を提供することも技術的課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
ターボ式流体機械においては、トルクは一般に回転数の2乗に正比例し、且つ、取扱流体の比重の1乗に正比例する。又、略同一性能を有した流体機械は、回転数を増加させることによって小形となることが知られている。
【0013】
一方、モータ(三相誘導電動機)の大きさは、冷却条件と発生すべきトルクの大きさによって決まり、トルクは電流値とほぼ比例関係にあることが知られている。従って、略同一出力のモータは、回転数を増加させる(誘導電動機の場合、運転周波数を増加させることになる)ことにより、冷却条件の許容する範囲で小形化できる。
【0014】
また単相誘導電動機と三相誘導電動機とを比較すると(同一出力、同一回転数の下で)、後者の方が小形であることが知られている。これは、単相誘導電動機特有の始動トルク発生装置(遠心力スイッチ・コンデンサ・補助巻線等)が三相では不要となるばかりではなく、固定子巻線および固定子鉄心も小さくて良いからである。
【0015】
また当今の周波数変換器は、制御用のコンピュータチップを内蔵しており、情報さえ入力すれば、それに応じた周波数(電圧)の電力をモータ等に供給することが可能となっている。
【0016】
さらに、当今の周波数変換器は、単相を三相に変換することができる。一方、単相誘導電動機の始動トルクは、三相誘導電動機のそれよりも小さいことが知られており、このため、単相モータを使用した流体機械では、わずかな異物の噛み込み等による起動不良が頻繁に生じていた。
【0017】
以上の背景の下で、問題を解決するため、本発明は以下に列挙する手段を用いた。
▲1▼ 流体機械を駆動するモータに周波数変換器を内蔵する。
▲2▼ 流体比重を判別するため、出力する周波数と電流値を検出する手段を周波数変換器に備える。
▲3▼ モータの回転数(周波数変換器の出力周波数)と運転時間および停止時間を要素として構成される複数の駆動モードを、ROM(リードオンリーメモリ)を使用する等の方法により、周波数変換器に記憶させる。
▲4▼ 判別した比重に基づき、記憶した駆動モードのうち最適なものを選択して実施する機能を周波数変換器にもたせる。
▲5▼ 比重が小さな流体を吸引する場合には、高速回転、比重の大きな流体を吸引する場合には、低速回転するようにし、いかなる流体を吸引する場合でも、流体機械の性能を充分に発揮できるようにする。
▲6▼ 比重の小さな流体を所定時間吸引した後、低速回転させたり、所定時間停止させることによって、消費電力を節減し、省エネルギーに貢献させる。
▲7▼ モータ又は周波数変換器の温度、あるいは、自吸ポンプにおける呼水温度を、無接点の温度検出素子サーミスタによって検出し、この検出信号を周波数変換器に送ることにより、異常温度の際にはモータを停止させ、温度が正常に戻った際には、自動的に復帰させる。
【0018】
本発明の流体機械は、比重の異なる複数の流体(多くの場合、空気と水)を場合に応じて吸引する流体機械に、流体比重の違いに応じて最適な駆動モードを選択して実施する機能を付与したものである。駆動モードとは、例えば、モータの回転数や、運転時間(モータが継続して回転する時間)、および停止時間から構成される。この結果、例えば、流体比重が小さな空気を吸引する場合には、回転数を上げて吸引効果を高めたり、本来的に吸引すべき水(空気より比重が大)が、いつまで待ってもこない場合には、運転を停止したり、回転数を下げることで消費電力を低減することができる。更に、吸引して排出すべき水がやってきた場合には、比較的迅速に(周辺に水が溢れ出さないうちに)排水を完了することができる。
【0019】
本発明の流体機械の好ましい一態様は、モータに電力を供給する周波数変換器を備え、モータの電流値と電圧と電力及び周波数の少なくとも1つを検出し、該検出値に基づき流体比重を判別する手段を備えている
すなわち、回転数当たりの消費トルク、換言すれば、発生周波数当たりの電流値を検出することにより、流体の比重を検出する。この際、電圧や電力を検出することにより、電流を検出したのと同じ効果を得ることもでき、又、電流値を含めて同時に検出することで、流体比重を精度高く検出することも可能である。
【0020】
本発明の流体機械の好ましい一態様は、上記周波数変換器は、判別した流体比重に基づき、あらかじめ記憶された駆動モードを選択してモータに電力を供給する。
すなわち、検出した流体比重に基づき、吸引する流体に応じて最も効果的な駆動モードを選択して実施する。周波数変換器には、CPUやROM等の半導体素子が内蔵されているため、どのような駆動モードを選択・実施するかは、いわゆるソフトウェアの領域に含まれる内容である。たとえれば、当今の電気炊飯器において、ご飯をおいしく炊きあげるために、ある熱量をある時間加えて炊飯を行い、ある時間は、むらしを行う類の内容である。流体機械は、各々取扱い流体や、その容量が異なるため、用意すべきソフトウェア(プログラム)も千差万別となる。
【0021】
本発明の流体機械の好ましい一態様は、比重の小さな流体を吸引する場合にはモータが高速回転し、比重の大きな流体を吸引する場合にはモータが低速回転する。
すなわち、自吸ポンプ等の場合には、比重の小さな空気を吸引する場合には、高速回転で駆動され、比重の大きな水を吸引する場合には、低速回転で駆動されるように構成する。これにより自吸特性を向上し、大きな自吸高さと短い自吸時間を得ることができる。
【0022】
本発明の流体機械の好ましい一態様は、比重の小さな流体を所定時間以上吸引した場合に、モータが低速回転するようにする
すなわち、自吸ポンプ等では、比重の小さな空気を長時間吸引し続けると呼水温度が上昇し、全く自吸作用を生じなくなる場合があるため、自吸時間が多少長くなっても、回転数を低下させて消費電力を抑え、呼水温度の上昇を防止するようにする
【0023】
本発明の流体機械の好ましい一態様は、比重の小さな流体を吸引する場合には、モータが所定時間回転した後、所定時間停止する。
すなわち、比重の小さな流体を吸引する場合には、モータが所定時間回転した後、所定時間停止する。すなわち、比重の小さな流体を所定時間以上吸引した場合に、モータが低速回転するようにした上記一態様と同等の効果を得るため、ポンプを停止させるようにしたものである。
【0024】
本発明の流体機械の好ましい一態様は、モータまたは周波数変換器が異常な高温状態となった場合に、モータが停止し、モータまたは周波数変換器が正常な温度状態に戻った際、モータが再起動する。
すなわち、図1に示すような自吸ポンプの場合には、空気吸入運転が長時間に及ぶと、呼水温度が上昇し、自吸作用がなくなってしまう場合があるため、温度が上昇した際には、ポンプを停止し、温度が正常に戻った際に運転を再開する機能を設けることで、上記問題を解決するようにしたものである
【0025】
本発明の流体機械は、前述の発明を用いて流体機械を構成する際の好適な形態を提案するものである。すなわち、周波数変換器は、モータ軸の一端を支承する第1カバーと、その反軸受側に設けられる第2カバーによって形成される空間に収容される。この形式のポンプは、取扱液による冷却が期待できる構造となっているため、後述の周波数変換器の発生熱を極めて効果的に放散することができる。
本発明の流体機械の好ましい一態様は、モータフレームと第1カバー、第1カバーと第2カバーをそれぞれ独立して分解・組立できるようにし
【0043】
【実施例】
以下、本発明に係るモータ駆動型流体機械及び該流体機械に使用される周波数変換器の実施例を説明する。
図1及び図2は、本発明のモータ駆動型流体機械の第1実施例である可搬式モータポンプを示す図であり、図1はモータポンプの縦断面図、図2はモータポンプの平面図である。
【0044】
図1において、符号1は円筒状の鋼板製のバレルであり、バレル1の内部にはモータポンプ本体2が内装されている。モータポンプ本体2は図2に示すように円筒状のバレル1に対して偏心して配置されている。バレル1の上部開口部は、第1カバー3によって閉塞されており、バレル1の下部開口部はポンプ台4によって閉塞されている。バレル1と第1カバー3との間には、ゴム等の弾性材からなるシールリング5が設けられている。またポンプ台4は、底板6の上面及び外周部にモールドされたゴム材7とから構成されており、ゴム材7がバレル1の下部開口部を密封している。これによって、バレル1とモータポンプ部2との間に形成された略環状の環状空間8が密封状態に保持されている。
【0045】
モータポンプ本体2は、下部のポンプ部10と、モータ部30とから構成されている。ポンプ部10は、ポンプケーシング11と、ポンプケーシング11内に配設された羽根車12と、ポンプケーシング11の上部開口を覆う中間ケーシング13と、中間ケーシング13とポンプケーシング11間に介装されたゴム等の弾性材からなるプレート14とから構成されている。前記ポンプ台4、ポンプケーシング11およびプレート14は、中間ケーシング13にボルト15によって固定されている。また、羽根車12はモータ軸16にエアロック防止ナット17により固定されている。前記羽根車12の前面には広い間隙が形成されており、ポンプ運転時、該間隙部の空間に発生する渦流と共に砂等の異物を搬出するようにして羽根車の摩耗を少なくした、いわゆるボルテックスポンプを構成している。
【0046】
ポンプケーシング11には、ポンプ室吸込口18が形成されており、該ポンプ室吸込口18は、吸込通路19を経て、ポンプ部吸込口に相当するポンプケーシング吸込口20に連通されている。該ポンプケーシング吸込口20は、吸込パイプ21を介して第1カバー3に固定された吸込管22に接続されている。
【0047】
上記ポンプケーシング吸込口20の近傍には、吸込通路19へ向けて開口した循環水吸込口23が形成されている。またポンプ部吐出口に相当するポンプ室吐出口24は、環状空間8、つまりバレル内の吐出室に開口している。また前記第1カバー3には吐出管25が固定されている。そして、吐出管25には呼水栓26が着脱可能に取付けられている。
【0048】
一方、モータ部30は、固定子31と、固定子31の外周部を囲むモータフレーム32と、固定子31内に配設された回転子33と、回転子33が固定されたモータ軸16とから構成されている。モータ軸16は上下部軸受34,35によって支承されている。上部軸受34は第1カバー3に支持され、下部軸受35はモータフレーム32によって支持されている。
【0049】
また第1カバー3の反軸受側には周波数変換器36が配置され、この周波数変換器36は第1カバー3の上部に固定された第2カバー37によって密閉されている。即ち、周波数変換器36は第1カバー3と第2カバー37とによって収容されている。ケーブル38は第2カバー37の側面に固定され、可搬用の把手39は第2カバー37の上面に固定されている。
【0050】
次に、前述のように構成されたモータポンプの作用を説明する。
ポンプ始動時、呼水栓26を外してバレル1内に所要の自吸用呼水を補給すると、該呼水はモータポンプ本体2とバレル1とによって囲まれた環状空間(吐出室)8に貯留される。次いでポンプを起動すると、上記環状空間8に開口された自吸用循環水吸込口23から呼水がポンプケーシング11内に吸込まれる。この過程で、自吸用循環水吸込口23から吸込まれた液は、吸込通路19に向けて噴出する際のエジェクタ作用により、負圧を生じ、該負圧の発生により、吸込管22を経て、吸込管22に接続された図示しない吸込管路内の空気を吸込む。
【0051】
上記のようにして吸込まれた吸込側の空気と、自吸用循環水吸込口23から吸込まれた液とが気水混合体となってポンプ室内で羽根車12によって加圧され、ポンプ室吐出口24から環状空間(吐出室)8内に吐出される。この吐出された気水混合体は該環状空間8内で分離され、空気は吐出管25より外部へ排出され、液のみが再び上記自吸用循環水吸込口23より吸込まれ、このようにして循環液が形成されて自吸作用が行われる。
【0052】
上記の自吸作用により、次第に吸込側の空気が抜かれるにつれて、第1カバー3に固定された吸込管22から液を吸込み、ポンプ室内で上記した循環流と合流し、羽根車12で加圧されて環状空間8内に吐出される。この吐出された液により上記環状空間8内を満水にした状態で、第1カバー3に固定された吐出管25より吐出するようになって自吸作用を終了する。
【0053】
このようにして自吸作用が終了して正規のポンプ運転に移行した後は、通常のモータポンプとして作用し、第1カバー3の吸込管22から吸込まれた液は、羽根車12で加圧され、第1カバー3に固定された吐出管25から所定の場所へ吐出される。
【0054】
次に、図1及び図2のポンプに使用される周波数変換器の実施例について図3を参照して説明する。
図3は三相交流を入力として用いる場合の実施例を示す。図3に示すように、周波数変換器36は、交流を直流にする整流回路71と、整流された電圧を平滑化する平滑コンデンサ72からなるコンバータ部分と、直流から交流に変換するインバータ部73とからなる。直流部分であるコンバータには、補助電源部74とコンバータ部の直流電圧を検出する電圧検出部75が接続されている。更に、補助電源部74と電圧検出部75は、駆動モード及び判別を行う制御部76に接続されており、制御部76からPWM信号によりインバータ部73をドライブする。三相インバータ73の出力側には電流検出センサ78が設けられており、センサ78の検出値は電流検出部77により信号に変換されて制御部76に送られる。
【0055】
三相インバータ73の出力側には、モータ30が接続されている。モータ30内には温度センサ79が設けられており、センサ79によりモータ巻線温度が検知され、検知信号は制御部76に送られる。本発明の実施例では、周波数変換器36の中に、整流部として整流回路71と平滑コンデンサ72が設けられており、入力側の三相交流の相結線と無関係であり、又モータ30への電力はインバータ部73より供給されており、入力側結線順序には制約されないので、モータ30は逆転を防止することができる。
【0056】
本発明の実施例では、制御部76より三相PWM信号が出力され、ドライブ回路を経由して三相インバータを駆動するので、電源が投入されると徐々にモータ30の回転数を上げ、それに比例した等価的な正弦波電圧を制御部76でPWM波形として作成し、出力するので、ソフトスタートが可能となり、回転数と電圧を徐々に上げていくことにより、加速時の突入電流を避け、スムーズな加速ができる。
【0057】
図4は単相交流を入力として用いる場合の実施例を示す。図3に示す実施例では、整流回路71で三相交流を直流に変換するが、図4に示す実施例では、整流回路71で単相交流を直流に変換する。直流入力の実施例は図5に示される。図5に示す実施例では、直流の場合、使用者が電源接続の極性を誤っても保護するように逆接保護ダイオード83と、保護ダイオード84が付加されている。もちろん保護ダイオード83だけでも保護はできる。
【0058】
図3乃至図5に示す実施例は入力部分が異なるだけで、電圧検出部75,補助電源部74,制御部76,三相インバータ部73,電流検出部77,電流検出センサ78及び温度センサ79は三相交流,単相交流,直流においても同じ機能である。また図3乃至図5に示す実施例において、符号2はモータポンプ本体である。
【0059】
図3乃至図5に示す実施例において、電圧検出部75は直流部分(整流された)の電圧を検出し、電圧をモニターし、制御部76へ信号を送っている。電流検出部77及び電流検出センサ78は、三相インバータ出力からモータへ流入する電流を検知することにより、モータ負荷状態をモニターしたり、モータ過負荷の保護をする。温度センサ79はモータの温度を検出し、その信号を制御部76へ送ることにより、高温時に保護する為に、出力を停止させ、モータ30を保護したり、周波数変換器36を保護する。
【0060】
図3乃至図5に示す実施例において、制御部76は電流検出部77からの信号、又は温度センサ79からの信号により、出力を停止したりする制御機能をもっている。制御部76は、PWM制御信号,駆動モード,検出レベルの判別基準などの設定内容を記憶しているROMと、演算処理機能を有するCPU及び制御ICからなり、駆動モード選択、高速回転と低速回転の判断、自吸時間の制御などの処理機能を有している。
【0061】
図6は本発明による周波数変換器の構造を示す図であり、図6(a)は断面図、図6(b)は側面図である。図6(a)に示すように、平滑コンデンサ80等を含む内蔵部品間には、絶縁フィルム81が介装され、全体は樹脂ケース82に収容され、且つ、部品間には樹脂材83が充顛されている。充填された樹脂材83の硬化によって内蔵部品は固定されている。
【0062】
尚、図6に示す実施例において、発熱を伴うパワー部85を入力端子86及び出力端子87の近傍に配置している理由は、結線を短かくできるためである。パワー部85の冷却を考慮して、6面体の樹脂ケース82の最も冷却条件の良い面にパワー部85を配置する方法もありうる。樹脂ケース82は直方体形状をなし、その長さ×幅×高さ(L×W×H)は標準数を用いて規格化されている。すなわち、例えば、L:Wが2:1又はL:Wが1.4:1であり、W:Hが1:1に設定されている。
【0063】
本発明は、比重の異なる複数の流体(多くの場合、空気と水)を場合に応じて吸引するポンプに、流体比重を判別する手段を備え、流体比重の違いに応じて最適な駆動モードを選択して実施する機能を付与したものである。駆動モードとは、例えば、モータの回転数や、運転時間(モータが継続して回転する時間)、および停止時間から構成される。この結果、例えば、流体比重が小さな空気を吸引する場合には、回転数を上げて吸引効果を高めたり、本来的に吸引すべき水(空気より比重が大)が、いつまで待ってもこない場合には、運転を停止したり、回転数を下げることで消費電力を低減することができる。更に、吸引して排出すべき水がやってきた場合には、比較的迅速に(周辺に水が溢れ出さないうちに)排水を完了することができる。
【0064】
本発明は、モータに電力を供給する周波数変換器36を備え、回転数当たりの消費トルク、換言すれば、発生周波数当たりの電流値を検出することにより、流体の比重を検出するようにしたものである。この際、電圧や電力を検出することにより、電流を検出したのと同じ効果を得ることもできるし、又、電流値を含めて同時に検出することで、流体比重を精度高く検出することも可能である。そして、検出した流体比重に基づき、吸引する流体に応じて最も効果的な駆動モードを選択して実施する。周波数変換器36には、CPUやROM等の半導体素子が内蔵されているため、どのような駆動モードを選択・実施するかは、いわゆるソフトウェアの領域に含まれる内容である。ポンプは、各々取扱い流体や、その容量が異なるため、用意すべきソフトウェア(プログラム)も千差万別となる。
【0065】
本発明においては、図1及び図2に示す自吸ポンプ等の場合には、比重の小さな空気を吸引する場合には、高速回転で駆動され、比重の大きな水を吸引する場合には、低速回転で駆動されるように構成される。これにより自吸特性を向上し、大きな自吸高さと短い自吸時間を得ることができる。図1及び図2に示す自吸ポンプ等では、比重の小さな空気を長時間吸引し続けると呼水温度が上昇し、全く自吸作用を生じなくなる場合があるため、自吸時間が多少長くなっても、回転数を低下させて消費電力を抑え、呼水温度の上昇を防止するようにしたものである。
【0066】
本発明においては、図1及び図2に示すような自吸ポンプの場合には、空気吸入運転が長時間に及ぶと、呼水温度が上昇し、自吸作用がなくなってしまう場合があるため、温度が上昇した際には、ポンプを停止し、温度が正常に戻った際に運転を再開する機能を設けることで、上記問題を解決するようにしたものである。
【0067】
また本発明においては、周波数変換器36は、モータ軸16の一端を支承する第1カバー3と、その反軸受側に設けられる第2カバー37によって形成される空間に収容される。この形式のポンプは、取扱液による冷却が期待できる構造となっているため、周波数変換器36の発生熱を極めて効果的に放散することができる。特に、第1カバー3及び第2カバー37をアルミ合金で形成した場合には、冷却効果が大きいだけでなく、周波数変換器36の発する高調波ノイズを遮断し、外部にノイズの影響を与えることがない。
【0068】
また第1カバー3とモータフレーム32等を含む第1カバー組立体を構成し、第2カバー37に周波数変換器36及び電源ケーブル38を固定して第2カバー組立体を構成し、第2カバー組立体と第1カバー組立体を独立して組立て可能とすることで、極めて有効な効果を得ることができる。即ち、第1カバー組立体を1種類と、入力電源の種類によって異なる第2カバー組立体を複数種類用意しておけば、その組合せによって、複数の電源に対応することができる。モータ固定子31及びモータフレーム32を含む第1カバー組立体は、重量物であるため、異なった種類のものを在庫すると、その管理や移動に手間が掛かる。本発明によれば、1種類の第1カバー組立体に軽量な複数種の第2カバー組立体を取付けるだけでよいため、工場での生産性が良い。
【0069】
モータによって駆動される流体機械に内蔵される周波数変換器、特に水中ポンプ等に内蔵される周波数変換器は、単純構造・単純機能のものが良い。これは外部から制御信号を取り込んだり、あるいは、外部への信号供給を行ったりする機能を削除する一方で、流体機械の機能を改善したり、あるいは保全したりする機能を付与することで、信頼性を高め、且つ、周波数変換器の生産性を改善できるからである。
【0070】
本発明は、入力部と出力部および過電流を抑える制御部のみからなる周波数変換器であり、完成品状態では、周波数や電圧の微調整が一際、不可能となるように構成されている。即ち、流体機械を素人が分解しても、周波数変換器の設定もしくはプログラムを変更できないため、誤った作業によって流体機械に無用の不具合が発生することを防止できる。これは、レンタル用途で用いられ、レンタル業者がメンテナンスを行うような流体機械では、極めて重要な要素である。
【0071】
また単純な機能のみに徹することで、周波数変換器を小形にすることができ、流体機械(ポンプ)もしくはモータ内に容易に収容できる。同時に生産性の改善や、コストを低く抑えることが可能となり、従来の単相誘導電動機に使用されるコンデンサと同様の消耗部品として、簡便に使用できる。
【0072】
本発明で使用される周波数変換器36は、入力部に差し込み型の入力端子86を備えている。例えば、家庭用の単相電源のコンセントに接続された流体機械の電源ケーブルは、モータ内に取り込まれ、前記差し込み型の入力端子86に接続される。電源が、例えば、単相交流100V,50Hzとした場合、周波数変換器36は、これを例えば、三相交流100V,60Hzに変換し、差し込み型の出力端子87から三相誘導電動機に供給される。
【0073】
この際、周波数変換器の出力電流定格とモータの定格電流値は同一としておき、もし、モータの負荷電流が定格よりも低い場合(例えば、流体比重が小さな場合)には、電圧は100Vのまま周波数のみを上昇させる機能を付与しておく。但し、その上限は、80Hz程度に定めておく。又、モータの負荷電流が定格よりも高い場合(例えば、流体比重が大きな場合)には、電圧と周波数の比V/Fを一定としたまま、出力周波数を低下させる機能を付与しておく。
【0074】
この結果、比重の小さな流体を吸引する場合にはモータが高速回転し、比重の大きな流体を吸引する場合にはモータが低速回転する制御が可能となる。更に、周波数変換器に流体比重を判別して、駆動モードの選択と実施を行わせることもできる。この間、周波数変換器には、特別な制御信号等を入力する必要はない。
【0075】
また従来の周波数変換器は、空気中で使用されることが前提となっており、湿気や水分の存在に対しては、比較的弱いものであった。一方、本発明の実施例の図1等に示す流体機械(ポンプ)は、軸封部にメカニカルシール61を備えている。メカニカルシールは、消耗部品であるから、使用時間が長くなると、水もれを生じる場合がある。その水分は結果的にモータ内に侵入する。周波数変換器をモータ内に収容して使用する場合、その耐湿・耐水性は、少なくともモータの固定子巻線と、同程度以上を確保すべきである。
【0076】
即ち、水分の存在によって端子部の絶縁抵抗が低下することはやむを得ないとしても、修復不可能な不具合を生じないことが必要である。更に、端子部のみを乾燥することによって絶縁が回復することが望まれる。このため本発明は、図6に示すように、半導体デバイスやコンデンサ等の内蔵部品を樹脂ケース内82に収容し、樹脂ケース82内に樹脂材83を充填して硬化させ、入出力端子86,87のみを外部に露出させている。この結果、従来、単相誘導電動機に用いられてきた樹脂ケース入りの直方体コンデンサと同様に、簡便に信頼性高くモータ内に収容して使用することができる。
【0077】
流体機械もしくは、駆動用モータに周波数変換器を収容する場合、とにかく小形であることが最も重要である。特に、可搬式ポンプ等の場合、周波数変換器が大きいと、その収容ケース、カバーも大きくなり、結果的に重量が増加して不都合となる。
【0078】
そこで、本発明は、電気絶縁体(プラスチック)のケース82に内蔵部品を詰め込み、部品間の電気絶縁の確保は、間に絶縁フィルム81を介装することによって小形化を図っている。従来の周波数変換器は、基板間に電気絶縁のための空間(縁面距離)を設けることと、基板をケースに固定するための固定部材を設ける必要性から、大きなものとなっていた。本発明は、縁面距離を実質的にゼロとし、各基板の固定は充填樹脂の硬化によって行うため、極めて小形な周波数変換器を構成することができる。尚、この方法は、周波数変換器の冷却と(樹脂製ケースを用いた場合には)、高調波ノイズのシールドに関して対策が必要となる。本発明の流体機械(ポンプ)は、周波数変換器36を収容する第1カバー3及び第2カバー37からなるカバー類をアルミ合金で構成し、且つ、取扱流体がカバーに接触するように構成することで、これらの問題を解決している。
【0079】
また本発明は、安全確保のために漏電の場合には、周波数変換器の出力を停止させると共に、そのリセットは、電源の入り切りによって行えるように構成している。この結果、余計なリセットスイッチを用いず、信頼性高く安全を確保することが可能となっている。
【0080】
本発明の実施例の図1に示す流体機械(ポンプ)では、長時間の空気吸込運転により、呼水温度が上昇し、ついには自吸不能となる。そこで、本発明は、周波数変換器内にサーミスタ等の無接点素子を設けることで、異常温度上昇の際に流体機械(ポンプ)を停止させ、正常温度に戻った際に、運転を再開するように構成している。そのため、従来の接点型素子(バイメタル)と異なり、その接点消耗の心配がない。同時に、この機能により、モータや周波数変換器自体を異常温度上昇から保護することができる。
【0081】
従来、モータ内に収容して使用するコンデンサ等は、その寸法がまちまちで、取付けスペースの確保に苦慮する場合が多かった。本発明は、いわゆるJIS規格にある標準数を用いて周波数変換器の形状寸法を規格化することを提案するものである。この結果、モータ内に都合良く収容することが可能となる。特に、L×W×Hが2:1:1や1.4:1:1の場合には、モータ内に複数個収容する場合に好適である。
【0082】
図7は、本発明のモータ駆動形流体機械の第2実施例である残水排水ポンプを示す縦断面図である。
本実施例の残水排水ポンプのモータ部30及び周波数変換器36の周辺部材の構成は、図1及び図2に示す実施例と同一であるため、同一符号を付し説明を省略する。
【0083】
モータ軸16の下端には、羽根車43が羽根車ナット44によって取り付けられている。羽根車43を内蔵したポンプケーシング51は、例えばゴム材質のような錆のない安価な材料で形成されており、中間ケーシング52へ底板53を介してボルト54によって取付けられている。底板53の中央部には多数の小孔を有したストレーナ55が固定されている。また羽根車43は、ポンプケーシング51内に、前方(フロント)クリアランスa、側方(サイド)クリアランスb及び後方(バック)クリアランスcの各隙間をどれも僅かにして配置されており、これによって、ポンプケーシング空間を極力小さくするように構成されている。
【0084】
またポンプケーシング51の底面周縁部には、該ケーシング51と一体に形成されたストレーナ兼ポンプ脚57が、1〜3mmのような僅かの高さdを保って多数形成され、これらの各脚57の間に残水の流入口(図示せず)が多数形成されており、これによって、吸込空間を極力小さくするように構成されている。それに伴って、羽根車43と床面との距離(間幅)fをできるだけ短く構成している。
【0085】
また、ポンプケーシング51の後面(図で上側)にボルト54によって固定される中間ケーシング52には、ポンプ吐出口59が設けられ、該ポンプ吐出口59には、気水分離室60aの役目を兼ねるために外気との接触面積を大きくした吐出管60が取付けられている。また吐出管60の上部には、図示しない吐出導管に接続されるホースカップリング60bが一体に設けられている。なお、図7において、符号61はメカニカルシールであり、メカニカルシール61の周囲には潤滑油が封入されている。
【0086】
図8は羽根車ナットの詳細を示す図であり、図8(a)は側面図、図8(b)は断面図である。概略6角形の羽根車ナット44には放射状の複数の溝44aが形成されており、これら溝44aによってナットに空気吸引機能を付与している。羽根車ナット44は、図7に示すように羽根車43の翼端よりも床面側に突出させ、羽根車ナット44の外径とポンプケーシング吸込口62のクリアランスeを極小にしている。
【0087】
次に、前述のように構成された残水排水ポンプの作用を説明する。
当該ポンプを残水のある床面上に底置きして運転したとき、羽根車43の回転により、ポンプケーシング吸込口62の部位に負圧を発生し、ポンプケーシング51と一体に形成された吸込ストレーナ兼ポンプ脚57と床面間の僅かな高さの間隙dを通過して、床面上の残水をポンプケーシング吸込口62よりケーシング51内に吸込む。この際、床面からの高さが1〜3mmのように僅かしかないストレーナ兼ポンプ脚57によって残水流入口が形成されており、僅かな残水でも該流入口を密封できるようになっているので、空気中で空回りしている羽根車43が作り出すポンプケーシング吸込口62の吸込圧力が、外部大気圧と短絡することがない。従って、残水が数mmしかなく羽根車43が空中にあっても、いち早く該羽根車43が揚水で満たされるので、即座に排水作業が可能となる。
【0088】
また、ポンプケーシング51内のポンプケーシング空間を極力小さくするように、羽根車43とケーシング51内の前方、側方及び後方の各クリアランスa,b及びcを僅かに形成し、且つポンプケーシング吸込口62から床面までの吸込空間を極力小さく形成しているので、羽根車ナット44による限られた吸込風量でも、短時間で吸込圧力を発生することができる。従って、吸込風量が僅かでも、床面上の残水が数mmしかなく羽根車43が空中にあっても、羽根車43と床面との距離fも出来るだけ短く形成されることと相俟って、残水を即座にポンプ羽根車内へ導くことができ、揚水を短時間で開始でき、又羽根車周辺部の各クリアランスa,b,cを僅かにしてケーシング内の空間を極力小さく形成しているので、自吸作用が発生し、エアロックすることなく、連続して排水作業ができる。
【0089】
また、一旦ポンプが空気を吸込み、気液排水を始めたとしても、前記のように羽根車43は自ら残水を吸上げ、該羽根車43を水で満たす能力をもっており、また中間ケーシング52の上に設けた吐出管60には、揚水した水を一時溜め、外気との接触面積を増やして気液分離室の役目を果たす室60aが形成されているので、揚水と一緒に吐出管60へ吐出された気水混合液がここで気液分離作用を受け、空気はホースカップリング60bを経て外部へ排出され、水の一部は必要に応じてポンプケーシング51内に戻されて、連続して気水排水が行われるのに利用される。また、底板53の中央部に配設されたストレーナ55には、多数の小孔が穿設されているので、高さの低いポンプ脚57によって形成される僅かな高さdの残水流入口と相俟って、砂、ゴミ等の侵入を防ぐことができ、羽根車43のつまりを防止することができる。
【0090】
図7及び図8に示す床残水排水ポンプは、高速化を前提にしており、初期的な空気吸引機能を羽根車ナット44に付与したことを特徴とするものである。高速回転(80Hz) により、比較的小さな外径の羽根車ナット44によって、速やかに空気を排出することができ、その後、吸引する水は羽根車(60Hzで回転)43 により、ゆったりとポンプ効率良好に排出することができる。つまり、羽根車43は空気吸引能力を必要としないため、水を効率よく排出するための機能・性能をもっていれば良い。従って、羽根車そのものの空気吸引能力によって、空気を排出し、その後、水を排出する実開平2−28592号に記載の従来のポンプよりも効率が良い。
【0091】
従来のポンプにおいては、空気吸引時に高速回転すると、メカニカルシールの摺動熱を効果的に放出する構造が必要となる。従来、上記摺動熱は、メカニカルシールの潤滑油を経由し、モータフレームの外面や、中間ケーシングの外面から放散されている。本発明は、中間ケーシング52に放熱用リブ52aを設けているため、上記摺動熱を効果的に放熱できる。尚、メカニカルシールは摺動熱により高温になると、摺動面及び摺動部材を囲むゴムが劣化し、消耗が早まることが知られている。
【0092】
例えば、本発明の一実施例である図7に示すような床残水排水ポンプでは、空気を排出することが目的ではなく、水を排出することが目的である。従って、比重の小さな空気を吸引する場合には、低速回転で消費電力を抑え、その後、比重の大きな水がやってきたときに、回転数を増加し、素早く排水を完了することが極めて効果的である。
【0093】
図9は図7に示す床残水排水ポンプの駆動モードの一例を示すグラフである。本モードでは、比重の小さな流体(空気)を吸引する際は、高速(80Hz)で駆動されるが、その時間は、例えば15分間までとプログラムされている。15分を経過すると、低速(30Hz) で駆動され、それは、比重の大きな水がやってくるまで継続される。水がやってくると回転数は上昇し(60Hz)、排水が完了するまで60Hzで駆動される。排水が完了して再び空気を吸引すると、80Hzまで増速され、それは、再度水がやってくるまで最大15分間継続される。
【0094】
図10は図7に示す床残水排水ポンプの駆動モードの他の例を示すグラフである。本モードでは、比重の小さな流体(空気)を吸引する際は、高速(80Hz) で駆動されるが、その1回目の許容時間は、例えば20分間までとプログラムされている。20分を経過すると、ポンプは10分間停止した後、5分間運転される。もし、この5分間の間に、比重の大きな水がやってきた場合には、60Hzにて排水運転を行う。又、5分間の間に水がやってこない場合は、20分間ポンプを停止し、更に5分間運転される。この5分間の間に水がやってくれば、60Hzにて排水運転を行うが、水がやってこない場合は、30分間ポンプは停止する。
【0095】
以後、同様に停止時間を徐々に長くすることによって、消費電力を節減することができる。勿論、停止時間を一定にすることも可能であるし、比重の小さな流体を吸引する際に、高速回転が必要でない場合は、60Hz程度で運転することもできる。又、この方法は、空気中では軸受が潤滑不良となる、自液潤滑型軸受を用いたポンプの軸受保護にも有効である。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、吸引する流体に応じて無駄なく効果的な運転を行い、より小形・軽量で、様々な電源に対応し易く、排出すべき流体の存在しない場合の消費電力を削減し、過負荷・拘束に強く、起動不良しにくい(拘束しにくい)、流体機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るモータ駆動型流体機械の一実施例であるモータポンプの縦断面図である。
【図2】図1に示すモータポンプの平面図である。
【図3】本発明に係る周波数変換器の一実施例を示す回路図である。
【図4】本発明に係る周波数変換器の他の実施例を示す回路図である。
【図5】本発明に係る周波数変換器の更に他の実施例を示す回路図である。
【図6】本発明に係る周波数変換器の構造を示す図であり、図6(a)は縦断面図、図6(b)は側面図である。
【図7】本発明に係るモータ駆動型流体機械の他の実施例である床残水排水ポンプの縦断面図である。
【図8】図7に示す床残水排水ポンプの羽根車ナットを示す図であり、図8(a)は側面図、図8(b)は断面図である。
【図9】図7に示す床残水排水ポンプの駆動モードの1例を示すグラフである。
【図10】図7に示す床残水排水ポンプの駆動モードの他の例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 バレル
2 モータポンプ本体
3 第1カバー
4 ポンプ台
8 環状空間
10 ポンプ部
11,51 ポンプケーシング
12,43 羽根車
13,52 中間ケーシング
16 モータ軸
17 エアロック防止ナット
18 ポンプ室吸込口
19 吸込通路
20,62 ポンプケーシング吸込口
21 吸込パイプ
22 吸込管
23 循環水吸込口
24 ポンプ室吐出口
25 吐出管
30 モータ部
31 固定子
32 モータフレーム
33 回転子
36 周波数変換器
37 第2カバー
44 羽根車ナット
57 ストレーナ兼ポンプ脚
59 ポンプ吐出口
61 メカニカルシール
71 整流回路
73 インバータ部
74 補助電源部
75 電圧検出部
76 制御部
77 電流検出部
78 電流検出センサ
79 温度センサ
81 絶縁フィルム
82 樹脂ケース
83 樹脂材
85 パワー部

Claims (5)

  1. モータによって駆動され、比重の異なる複数の流体を場合に応じて吸引する流体機械において、
    上記モータに電力を供給する周波数変換器と、
    該周波数変換器の発生周波数あたりの電流値に基づいて流体比重を判別する手段と、
    モータの回転数と運転時間と停止時間を要素として構成される駆動モードを記憶する手段と、
    上記流体比重に基づき、上記駆動モードのいずれかを選択して実施する手段を備えたことを特徴とする流体機械。
  2. 比重の小さな流体を吸引する場合にはモータが高速回転し、比重の大きな流体を吸引する場合にはモータが低速回転することを特徴とする請求項1記載の流体機械。
  3. 比重の小さな流体を所定時間以上吸引した場合に、モータが低速回転することを特徴とする請求項1または2記載の流体機械。
  4. 比重の小さな流体を吸引する場合には、モータが所定時間回転した後、所定時間停止することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の流体機械。
  5. 上記流体機械は、モータ固定子外周部を囲むモータフレームと、モータ軸の一端に設けられたポンプ部と、モータ軸の他端側に設けられ軸受を支承する第1カバーと、第1カバーの反軸受側に設けられた上記周波数変換器と、第1カバーとの間に上記周波数変換器を収容する第2カバーとを備え、
    上記周波数変換器は、上記流体比重を判別する手段と、上記駆動モードを記憶する手段と、上記流体比重に基づき、上記駆動モードのいずれかを選択して実施する手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の流体機械。
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