JP3710331B2 - 建設に伴う掘削残土の有効利用処理方法 - Google Patents

建設に伴う掘削残土の有効利用処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
開示技術は、都市部における地下鉄工事や下水道工事や電気工事等の共同溝工事や地方部におけるトンネル等の施工工事現場から発生する掘削残土を直接的に廃棄処分するのではなく、埋戻しや盛土や客土,土地造成や堤防等建設土として有効利用するに際し、A剤及びB剤を用いて、所定の固結強度やpHの調整を図ると共に固結ゲルタイム等を所定に調整する処理技術の分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
周知の如く、国土が狭隘で山間林野部が多く、しかも、複雑に入り組んだ長い海岸線に近接している特殊の地勢条件の我が国にあっては農耕牧畜は勿論のこと、ビルや各種生産施設等に利用し得る平野部は限られており、したがって、土地の有効利用による各種建築構造物の構築や全国津々浦々にネットワーク的に網羅される鉄道や道路網等の構築は極めて重要な問題であり、市民生活の向上や生産性の向上に伴い、これらの建造物の構築はますますその重要性を増し、特に、都市部や該都市部の近郊に於けるビル等の高層建築に伴う大深度における土地の掘削や地下鉄等のトンネルの工事や上下水道工事,電気工事,共同溝工事等が盛んに行われるようになり、当該建設現場から発生する所謂建設残土は年々増加の一途をたどり、当該掘削残土の処分は大きな社会的問題となり、公害問題や環境汚染問題も一都市部に限らず、全国的、乃至、地球規模でクローズアップされるようになり、一種の産業廃棄物としても掘削残土は焼却による減容化もままならず、廃棄処分場の確保も限りがあり、海上投棄による埋め立ても種々の問題があり、したがって、勢い所謂不法投棄が横行し、当該不法投棄による堆積投棄物の経時的な自然破壊にもつながり、又、当該地盤掘削等による地下工事による建設残土は含水率が高い状態で排出されるために泥水状の態様で掘削され、そのままダンプトラック等による投棄処分地までの運搬もスラッジ状やスラリー状の泥水の積載状態での搬送は種々の問題があり、これらの点から当該掘削残土は近時のリサイクル処理法規化の勢いもあり、処分場の問題等もあって、当該建設残土を有効資源として再生利用する気運が高まりつつあるが、現実問題としては産業廃棄物して取り扱われ、有効利用とするのは極めて難しいものである。
【0003】
しかしながら、近時当該地下鉄工事等の地下地盤の掘削工事が多くなる状態にあるが、他方において埋戻しや盛土,客土,土地造成や堤防等に利用される需要が生じ、当該リサイクルの勢いを含めて有効利用の気運がますます高まりつつある。
【0004】
しかしながら、在来態様のリサイクル方式による有効利用方法としては、単に掘削後の埋戻し材としての山砂を水締めにより埋戻しを行うのみであったが、当該埋戻し土の固化強度その他さまざまな問題があるために、これに対処するに、掘削残土にセメント系の所定の材料を大量の水添加を行って流動化モルタルとして利用したり、又、トンネルにおいて該トンネル内の底部スラブの一部にセメント等を関連状態に粘性を高めて使用する方法等がある。
【0005】
しかしながら、該種リサイクル方式による掘削残土の有効利用は残土pHが酸性、或いは、アルカリ性に偏って中性化が難しい難点があり、又、残土の固結強度の保持や固結ゲルタイムの保有が適性に行われず、目的とする埋戻しや客土や土地造成用や堤防用等の有効利用土としては完全には使用不能であるという欠点があった。
【0006】
これに対し、出願人も昭和48年ごろよりトンネル掘削残土の有効利用技術の研究開発を手がけるようになり、特許第1007959号泥水裏込公報発明や特開昭6−4229号公報発明や特開平7−277807号公報発明そして、特開平11−61794号公報発明等を開発し、掘削残土の適性固化剤添加による裏込め剤として再生リサイクルすると同時に掘削時に利用するために、当該掘削残土の抑制にもつながり、社会的に大きく貢献されているようには開発されてはいるが、各種トンネルの掘削による発生残土の有効利用は当該建設現場における一部の空間利用に過ぎず、掘削残土の全量を使用することは不可能であり、未だ当該特許発明等の開発の時点では大々的に問題視されるには至っていなかったものではある。
【0007】
したがって、建設現場等から発生する掘削残土の絶対量はほとんどそのまま廃棄される状態が続いている。
【0008】
そのため、近時の処分場の不足の問題や処分場間での運搬の問題が又、残土処理コストアップの問題等がクローズアップされるようになってきている。
【0009】
しかしながら、これまでに用いられていた掘削残土の固化剤のほとんどはセメント系か石灰系であり、したがって、アルカリ水溶液が多く、当該アルカリ溶液がダンプトラックによる投棄処分場までの運搬途中において溶出したり、又、投棄処分場において溶出や滲出量が多く、大量に使用される場合には当該アルカリ溶液が地盤を介し深く侵透し、地下水や河川の汚染状態を招来し、公害問題や環境破壊問題が免れない結果となってき、又、ダンプトラックによる運搬中途における土質改良の必要性を迫られ、高アルカリ化の対象問題が無視出来ない状態になってきている。
【0010】
これに対処するに、これまで当該掘削残土の改良剤として高吸水性樹脂や増粘剤(メトロース系やセルロース系等)を利用するケースもあるが、又、当該改良領域での残土改質によるダンプトラック運搬が可能な性状の残土を形成する方法もさまざまに採られてはいるが、該種改良剤はほとんどが有機物であるために、添加された水分と樹脂剤成分とが経年的に腐蝕され、腐蝕による泥状化による地下汚染も生じかねない難点がある。
【0011】
したがって、建設現場より発生する掘削残土のリサイクルによる盛土や客土や土地造成用や堤防用等に再利用されるにしても土壌汚染が生ぜず、しかも、固結強度が充分に確保され、当該利用地までのダンプトラック等による運搬の関係により、速硬化性の短ゲルタイムの性状も求められねばならない状態にある。
【0012】
ところで、出願人として前述特開平11−61794号公報発明等に示されている様なAl23・CaO・SiO2・SO3・K2Oを主成分とした中性土質改良をして、トンネル等の地盤中における建設工事現場から発生する掘削残土を固化剤として実用化していたものではある。
【0013】
しかしながら、該種裏込剤は当該建設工事現場から発生する掘削残土の一部を用いるに過ぎず、その全量をリサイクル的に有効再利用することは出来ないネックがあった。
【0014】
又、この出願の発明に使用される固結剤の使用量は従来のに比し少量にて強度発現がなされるため、残土ボリウムが軽減される。
【0015】
したがって、この出願の発明では、かかる建設工事現場より発生する掘削残土の全量の有効利用に供することが出来るに足りる固化剤を介し、当該掘削残土の有効利用に供することが出来る処分方法が望まれていたものである。
【0016】
しかしながら、当該固化剤としてセメント等の粉体を用いるとPH濃度が上がり、産業廃棄物としての処分後、動植物に対する二次公害のおそれが多分に考えられる。
【0017】
したがって、特開平11−61794号公報発明のB液に代えてA剤に対し、過リン酸石灰3(CaH4(PO42・H2O)+7CaSO4を添加して使用することにより、B液水分の抑制を図り、石膏,炭酸カルシウム,フライアッシュ等単体の粉体添加の必要性がなくなり、施行のための機械設備も減少する。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
この出願の発明の目的は上述従来技術に基づく都市部におけるトンネル工事等の建設工事現場より発生する掘削残土のリサイクル的な全量の有効再利用が不可能である諸問題点を解決すべき技術的課題とし、過リン酸石灰3(CaH4(PO42・H2O)+7CaSO4を用い、埋戻しや盛土や客土や土地造成用や堤防用等に有効利用される目的に応じそのpHや固結強度、比重、及び、固結ゲルタイムや水量の調整を最適に同時に図るようにして建設産業における土木技術利用分野に益する優れた建設工事より発生する掘削残土の有効利用処理方法を提供せんとするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、建設施工により発生する掘削残土を土木、及び、農業用土として有効利用する処理方法において、利用目的に応じて、当該掘削残土に固結剤を添加して該掘削残土のPh,固結強度,ゲルタイムを同時に調整するようにすることを特徴とする建設に伴う掘削残土の有効利用処理方法であって、
上述した目的を達成するために、
上記固結剤のA剤として、珪酸ソーダ(Na 2 O・nSiO 2 ・mH 2 O)と珪酸カリウム(K 2 OSiO 2 ・mH 2 O)のいずれかを単体もしくは少なくともいずれか一方を混合したものを用意し、また、B剤として可容性の過リン酸石灰3(CaH 4 (PO 4 2 ・H 2 O+7CaSO 4 )を用意し、
上記掘削残土に対して、上記A剤及びB剤を相前後して添加した後、該掘削残土を固結するようにし、
その際、上記固結剤のA剤が掘削残土1m 3 に対し、1L〜150Lまで添加され、また、B剤が1kg〜150kgまで添加されているようにし、さらに、上記固結された掘削残土がpH5〜9の範囲であるようにし、
併せて、固結された掘削残土が一般の材料搬送用ダンプトラックの運搬に支障を生じない程度、即ち、コーン支持力(kgf/cm 2 )が2以上であるようにする。
【0020】
尚、本発明において固結剤が掘削残土1m3に対し、A剤を1L〜150Lの範囲まで添加するようにされている理由は1L以下では、ほとんど固化剤使用による強度発現が期待されず、且つ、土質的にぎりぎりの範囲で良質土であることが一般的であり、又、150Lの使用範囲であれば土質的に残土というよりはむしろ泥水より水分の多いものであり固化剤添加による有効利用のコストよりはるかに産業廃棄物としてのランニングコストの方が有利になるからである。
【0021】
又、B剤を1m3に対し、1kg〜150kgの範囲にした理由は1kg以下程度の添加量であれば残土1m3に対し0.1%程度の割合であり、多少の強度発現は望めるものの無添加に近い状態であり、又、150kg以上の使用範囲であれば、出願人の考える主な有効利用目的である盛土,客土,土地造成,堤防等に供するための強度発現が大きくなりすぎる傾向があり、且つ、コスト的にも難点があるからである。
【0022】
又、pH5〜9の範囲のA剤とB剤との関係に於いての配合は自ら選定ずけられるものである。
【0023】
【作用】
上述構成により、工事現場より発生する掘削残土に、B剤として過リン酸石灰の粉体としての固結剤の必要最小限の添加量でありながら、重金属等の土壌汚染の虞がないようにされ、しかも、コーン支持力(指数)(kgf/cm2)が2以上であり、ベーンせん断(kg/cm2)も充分であり、固結強度が充分に得られpHも中性領域内にあるようにされ、地球環境に優しい残土の有効利用が可能であるようにしたものである。
【0024】
而して、固結形態として、Na2O・nSiO2+K2O・nSiO2・mH2O+CaH4(PO42+nH2O+CaSO4
NaHPO4・12H2O+K2HPO4・12H2O+CaHPO4+SiO2・mH2O+CaSO4・nH2
以上の反応と思われ、改良土中の水分及び、A剤中の水分と反応し、不溶性のゲル或いは一部結晶水を持つ粉体となる。
又、シリカゲルが生じシリカゲルがバインダーとなり土粒子及び土中の水分を抱き込むように固化する。したがって、前記特開平11−61794号公報発明の反応であるAl23・nSiO2・mH2O(アルミナシリカゲル)とはならずSiO2・mH2O(シリカゲル)となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、この出願の発明の実施しようとする形態を実施例の態様として表を参照して説明すれば以下の通りである。
【0026】
まず、処理対象とする掘削残土については都市部における地下鉄工事現場等より掘削された残土の一次処理した土壌(篩分けにより砂分以上の篩上分)であり湿潤単位体積重量は1.881tf/m3,含水比32.81%,pH9.5(アルカリ側が強い残土である)、そして、当該掘削残土の一次処理土の粒度試験結果は次の表1の通りである。
【0027】
【表1】
Figure 0003710331
【0028】
そして、当該一次処理土の掘削残土に対しA剤として珪酸ソーダ(Na2O・nSiO2・mH2O)と珪酸カリウム(K2OSiO2・mH2O)を5:3の割合に混合したものを掘削残土と混合し、そののちに、B剤として過リン酸石灰3(CaH4(PO42・H2O+7CaSO4)を添加し、無機中性固化剤とし、固結した結果は次の表8の発明材料記載欄の通りである。
【0029】
【表8】
Figure 0003710331
【0030】
尚、当該表8におけるこの出願の発明の固化剤の最後のデータについては前記表2における無機中性固化剤のA剤10L,B剤8.5kgを使用したものであり性質のpH9.33は掘削残土自体のpHが9.50であったがためのものであり好ましくはpHが5〜9の範囲になるようにするためにはアルカリが多い場合には、B剤を所定増量添加し、又、酸性が多い場合にはA剤を所定増量添加し、pHが5〜9の範囲に止まるように調整し、中性領域を保持し環境基準の土壌汚染が生じないようにすることが出来る。
【0031】
表2以下のHは経過時間を表すものである
当該無機中性固結剤の掘削残土に対する固結反応の形態において土中の水分量により固結強度が変化し土中水分量が少ないほど固結強度は大きくなる。又、今回発明の固結剤は前回出願である特開平11−61794号公報発明に比較して2割程度の固結強度が大きくなることが確認された。
【0032】
【表2】
Figure 0003710331
【0033】
【表3】
Figure 0003710331
【0034】
【表4】
Figure 0003710331
【0035】
【表5】
Figure 0003710331
【0036】
【表6】
Figure 0003710331
【0037】
【表7】
Figure 0003710331
【0038】
そして、当該この出願の発明に用いられる過リン酸石灰3(CaH4(PO42・H2O+7CaSO4)の固化剤の開発に先立ち、表2で示した無機中性固化剤と在来態様として用いられている土質改良剤とを選定するに当たり水のみを利用して固化反応等の比較をしたものが次の表2〜表7に示す通りであり、表2はこの出願発明の無機中性固化剤を用いたものであり、表3は石膏系の固化剤を用いたものであり、表4は土質改良早期発現セメントを用いたものであり、表5は高分子吸収剤を用いたものであり、表6は生石灰を用いたものであり、表7は増粘剤をそれぞれ固化剤及び、吸水剤としたものであり、当該表2〜表7に示す固化剤の対比データから見て次のことが分かる。
【0039】
【表9】
Figure 0003710331
【0040】
【表10】
Figure 0003710331
【0041】
【表11−1】
Figure 0003710331
【0042】
【表11−2】
Figure 0003710331
【0043】
【表11−3】
Figure 0003710331
【0044】
尚、当該表11は財団法人化学品検査協会から出願人宛てに出された計量証明書である。
上述表2〜表7、及び、表8,表9のデータと、表10であるこの出願の発明の過リン酸石灰3(CaH4(PO42・H2O+7CaSO4)の粉体の固化剤を用いた態様では掘削残土が掘削と同時にダンプトラック運搬が可能であるように速硬化性があり、pHについては可及的に中性であり、且つ、環境庁基準の土壌汚染が生じないものであり、残土として経時的に安定固化が保持され、又、所定のコーン支持力(指数)(kgf/cm2)が2以上に保持されることが分るものであり、これらの条件に徴して表3の石膏系の粉体固化剤によるデータからでは掘削残土の含水が多い時は転圧によりヘドロ化することが分かり、又、コスト的に高価格となることが分かる。
【0045】
又、表4の土質改良早期発現セメント系の固化剤ではpHが高く、多量に添加しなければ速硬化性が現れず、ダンプトラックによる当該利用地間での運搬が不可能であり、表5の高分子吸収剤の固化剤では1分以内で水分が吸収され、その後の吸収性はなく、良好ではあるものの24時間後には樹脂の回りに水分が付着し、先述した如く、長時間に亘る経時的に樹脂成分が腐蝕され、腐蝕泥化による地下汚染ともなりかねないことが分かる。
【0046】
このことは、表7に示す増粘剤の固化剤においても水分付着性が保持され、7時間、又、24時間後にも変化がなく、速硬化性が維持出来るものの強度発現の期待が出来ないことが分かる。又、表面感触において水分がない様にみえるが化学的固結ではないために、固結強度がないものであることが分かる。
【0047】
したがって、表6の生石灰に示すデータも同様に強度発現性がほとんど期待出来ず、強アルカリであることが分かる。
【0048】
これに対し、表2に示すこの出願の発明において用いる無機中性固化剤にあってはA剤とB剤とを合せて添加させたものであるが、寒天状である状態が7時間経過後、又、24時間経過後もほとんど変化がなく速硬化性が期待出来、掘削と同時にダンプトラックによる目的利用地までの運搬が可能であり、pHも中性領域を保持し、環境庁基準を充分にクリアー出来、土壌汚染がないことが分る。
【0049】
又、経時的に安定した固化性が維持され、所定強度が保持されることも分る。
【0050】
これらを総合的に対比したデータが次の前記表8に示す通りのものである。
【0051】
而して、この出願の発明の処理によれば、前記表11の通り重金属やその他土壌汚染の虞がないことが分り、このことは掘削残土の有効利用には極めで重要なことであることが分る。
【0052】
そして、掘削残土の固化条件としてはコーン支持力(指数)(kgf/cm2)が2以上であり、改良残土のpHが中性領域であること、速硬化性が保持出来、ダンプによる運搬が可能であることが重要であるが、出願人の実験によれば泥水シールドで発生する一次処理土(篩分け上分)の湿潤単位体積重量が1.912、含水比30.2%で泥水シールドで発生する二次処理土(篩下のシルト分)は湿潤単位体積重量が1.726で含水比が47.7%の掘削を盛土等の有効利用に供する固結残土に改良するために一次処理土対二次処理土を3:7の割合で混合し、その土の重量配合は1m3当り一次処理土は574kg、二次処理土は1208kgで合計1782kgとし、これに対し、添加したA剤は10LでB剤は8.5kgであり、結果的にコーン支持力(指数)(kgf/cm2)は次の表9に示す通りで充分な強度を保持すこることが分った。
【0053】
尚、当該コーン支持力(指数)(kgf/cm2)については前記表8のベーンせん断(kg/cm2)とは異なるが、試験方法と表記方法が単に異なるものであるに過ぎず、結果的には所望の強度が充分に保持されていることが分るものである。
【0054】
【発明の効果】
以上、この出願の発明によれば、基本的に都市部における地下鉄や下水道工事や電気工事や共同溝工事等の地下工事現場により発生する建設残土は年々その排出量が増加の一途をたどるものであり、その残土処分が大きな問題となるものの、他方において潜在的に埋戻しや盛土,客土,土地造成,堤防等に利用される潜在的な需要が多くなることに対処し、掘削と同時に発生する残土をダンプトラック等により利用地まで運搬するに、速硬化性が保持される必要があり、しかも、利用地において経年的にその固化強度が充分に保持される必要があるが、この出願の発明によれば、pHを中性領域に保ちながら経年的に、水分のオーバーな含水による腐蝕泥水化が防げ、しかも、速硬化性が保持出来、経年的な固化強度が保持出来る。
【0055】
しかも、重金属類等が発生せず、土壌汚染が防止出来、公害問題や環境汚染問題に充分対処出来るという優れた効果が奏される。
【0056】
そして、掘削残土の固化に用いる固結剤としては、A剤として珪酸ソーダ(Na2O・nSiO2・mH2O)と珪酸カリウム(K2O・SiO2・H2O)のいずれか単体もしくは双方混合したものに対して、その後に掘削残土に対しA剤もしくはB剤を添加した後、更に、A剤もしくはB剤を添加して掘削残土を固結するようにすることにより、その混合比率を所定に調整することにより、pHを中性領域に保ち、しかも、コーン支持力(指数)(kgf/cm2)を2以上に保持し、経年的に充分な固化性を保持させ、更に、固結強度を更なる強度発現性を保持する場合には、A剤及びB剤を所定増量混入させることにより、充分な強度発現性が得られ、利用残土に充分な粘性と強度を付与することが出来るという効果があり、建設工事現場より発生する掘削残土のリサイクル的な有効利用が図れ、しかも、無公害裡に、又、環境破壊等を生ぜず、地球環境に優しい土壌を作ることが出来るという優れた効果が奏される。

Claims (1)

  1. 建設施工により発生する掘削残土を土木、及び、農業用土として有効利用する処理方法において、利用目的に応じて、当該掘削残土に固結剤を添加して該掘削残土のPh,固結強度,ゲルタイムを同時に調整するようにすることを特徴とする建設に伴う掘削残土の有効利用処理方法であって、
    上記固結剤のA剤として、珪酸ソーダ(Na2O・nSiO2・mH2O)と珪酸カリウム(K2OSiO2・mH2O)のいずれかを単体もしくは少なくともいずれか一方を混合したものを用意し、また、B剤として可容性の過リン酸石灰3(CaH4(PO42・H2O+7CaSO4を用意し、
    上記掘削残土に対して、上記A剤及びB剤を相前後して添加した後、該掘削残土を固結するようにし、
    その際、上記固結剤のA剤が掘削残土1m3に対し、1L〜150Lまで添加され、また、B剤が1kg〜150kgまで添加されているようにし、さらに、上記固結された掘削残土がpH5〜9の範囲であるようにし、
    併せて、固結された掘削残土が一般の材料搬送用ダンプトラックの運搬に支障を生じない程度、即ち、コーン支持力(kgf/cm2)が2以上であるようにすることを特徴とする建設に伴う掘削残土の有効利用処理方法。
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