JP3709720B2 - 画像読み取り装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密着イメージセンサを用いて白レベル基準値を設定してから原稿の画像読み取りを行う画像読み取り装置に関し、特に、密着イメージセンサに対向する白色ローラが汚れた場合、原稿の読み取り画質の劣化を避けるために低下した白レベル基準値を補償することができる画像読み取り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、イメージスキャナー、ファクシミリ装置、複写機等に用いられる画像読み取り装置として、密着イメージセンサを使用し、その密着イメージセンサに原稿を押圧するため及び白レベル基準値を得るために白色ローラを備えた画像読み取り装置が知られている。
一般的に、画像読み取り装置においては、読み取った画像に対して画像処理を行うため基準となる濃度データを得る濃度基準板(白色板)が設けられており、白色の濃度基準を実際の原稿の読み取り処理に先立って読み取るようにしている。更に、固定の密着イメージセンサを用いて原稿側を搬送させることにより原稿上の画像を読み取るタイプの画像読み取り装置においては、一般的に、濃度基準板(白色板)に代えて濃度基準ローラ(白色ローラ)が、密着イメージセンサの読み取り面に対向し且つ接するように設けられる。
上記のような画像読み取り装置において、読み取った原稿の画質を決定する基準となる濃度(一般的には基準白レベル)としては、イメージセンサの読み取り面に対向して設けられた白色板や白色ローラの表面を読み取ることによって得たピーク値が用いられ、このピーク値を基準白レベルとして読み取り画像の濃度を決定している。
【0003】
基準白レベルを決定する具体的な方法としては、例えば、画像読み取り装置の照明ランプを定格電圧と一定負荷の条件で点灯させ、白色ローラーの表面から反射した光をCCD等の受光素子により受光し、その時に受光素子から出力した信号レベルを基準白レベルとする。基準白レベルから画像の濃度を決定する具体的な方法としては、例えば、画像の濃度レベルの階調を256階調とする場合を考えると、基準白レベルを最も白い階調である255とし、最も黒い階調を0として、その間の濃度レベルを256等分することにより256階調を決定する。
ところで、上記した白色ローラは、搬送される原稿を密着イメージセンサに押圧させる役割と共に原稿を搬送させる役割も有しているため、原稿からの付着物等により白色ローラの表面が汚れることは避けられないという問題を有している。そして、白色ローラが汚れると、基準白レベルが黒側に近づいて低下することから、原稿の読み取りにおける濃度レベルの設定が変わってしまう。すると、原稿画像の濃度と読み取った画像データの濃度が異なってしまい、原稿の読み取り処理が正しく行われないようになる。
また、白色ローラが汚れている場合には、実際に読み取った原稿上の白レベルの値が基準白レベルよりも上回ってしまうことになる。その場合を具体的に示すと、例えば、256階調における最も白い原稿を読み取った場合の白レベルは基準白レベルの値である255であるが、汚れている白色ローラから得た基準値に基づいて得られる原稿上の白い部分を読み取った値は、255よりも大きな値となる。しかし、256階調においては、255より大きな値は受け付けられない。従って、この場合、基準白レベルが適正でないことにより、原稿の白部分を読み取った画質が悪化する。そのような誤りが発生することを避けるには、基準白レベルを適正に設定する必要があり、そのためには、白色ローラを頻繁に清掃する必要がある。
また、特開平5−3526号公報には、原稿を読み取る前に白色ローラにより基準白レベルを設定する画像読み取り装置において、白色ローラの汚れを検出し、ユーザに対して警告する手段を有する画像読み取り装置が開示されている。しかし、特開平5−3526号公報に記載された画像読み取り装置の場合には、白色ローラが汚れをユーザーに対して警告する手段は有するが、白色ローラの清掃については、従来通りユーザーが行う必要がある。また、ユーザーが白色ローラを清掃することを前提としているので、特開平5−3526号公報に記載された画像読み取り装置は、ユーザーが比較的容易に白色ローラの清掃を行なえる構造であることが必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、密着イメージセンサと白色ローラを用いた画像読み取り装置においては、白色ローラが、原稿の搬送経路上に配置された密着イメージセンサと対向した位置に配置されると共に密着イメージセンサに接するように設置されるため、ユーザーが清掃を行うために白色ローラを画像読み取り装置から取り外す際に、密着イメージセンサを白色ローラから分離する等の動作が必要になり、白色ローラの清掃を行うことが困難である場合が多い。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、密着イメージセンサと白色ローラを用いた画像読み取り装置において、ユーザーが清掃することなく基準白レベルを適正に保持することにより読み取り画像の品質が安定した画像読み取り装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、請求項1の本発明の画像読み取り装置は、原稿に記載された情報を読み取る密着イメージセンサと、該密着イメージセンサに原稿を押圧すると共に外周表面が白色である白色ローラと、これらを制御する制御手段と、を備え、前記密着イメージセンサが原稿を読み取る前に前記白色ローラの表面を読み取ることにより得た白レベルのピーク値を原稿の読み取りにおける基準白レベルとして用いる画像読み取り装置において、前記制御手段は、前記密着イメージセンサにより白色ローラを読み取ることにより得た基準白レベル情報が予め定められた白レベル判定値を満足しない場合に、密着イメージセンサによる前記基準白レベル情報の読み取り期間を、前記原稿の読み取り開始後の所定時期まで延長することを特徴とする。
請求項2の本発明は、請求項1に記載の画像読み取り装置において、前記制御手段は、前記白レベル情報の読み取り期間を延長する場合に、前記密着イメージセンサが白色ローラを読み取た後、前記原稿の搬送方向先端部から所定範囲までを読み取るように読み取り期間を延長し、該延長された読み取り期間中に読み取られた白レベルのピーク値を、原稿の読み取りにおける基準白レベルとして用いることを特徴とする。
請求項3の本発明は、請求項1または2に記載の画像読み取り装置において、前記画像読み取り装置は、前記白レベル判定値を予め格納すると共に、前記基準白レベルと前記白レベル判定値との比較手段を有し、前記比較手段により比較された結果に応じて前記基準白レベルの読み取り期間を設定することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示した実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の画像読取装置の一実施形態における全体構成を示す側面図である。
図1に示す本実施形態の画像読取装置において、原稿台ガラス1上に置かれた片面原稿を読み取る場合、その原稿は、第1ミラー2と一体に構成された照明ランプ3により照射され、その反射光は、第1ミラー2、及び、一体に構成された第2ミラー4と第3ミラー5により走査される。その後、反射光はレンズ31により集束され、CCD6に照射され光電変換される。その場合、一体に構成された第1ミラー2と照明ランプ3、及び、一体に構成された第2ミラー4と第3ミラー5は、走行体モーター7を駆動源として、矢印Aの方向に移動可能であり、それらの移動により原稿台ガラス1上の原稿の走査を行う。
次に、原稿トレイ8に積載された両面原稿を読み取る場合、その原稿は、ピックアップローラー9、レジストローラー対10、搬送ドラム11、搬送ローラー12により、搬送ドラム11の下面の読取位置Bを通過するように搬送され、更に、搬送ローラ対13、及び、排紙ローラー対14により、排紙トレイ32上に排出される。
搬送される原稿の表面は、読取位置Bを通過する際に、読取位置Bの近傍に停止している照明ランプ3により照射され、その反射光は、第1ミラー2、及び、一体に構成された第2ミラー4と第3ミラー5により一定方向に導かれる。その後、反射光はレンズ31により集束され、CCD6に照射され光電変換される。
【0007】
尚、ピックアップローラー9、レジストローラー対10は、給紙モーター(図示せず)により駆動され、搬送ドラム11、搬送ローラー12、搬送ローラー対13、排紙ローラー対14は、搬送モーター(図示せず)により駆動される。
【0008】
次に、更に搬送された原稿は、密着イメージセンサー15が設置された読取位置Cの位置まで進んで原稿裏面の読み取りが行われる。この密着イメージセンサー15は、光源であるLED(図示せず)と、レンズ(図示せず)と、センサー素子(図示せず)とにより構成される。
読取位置Cを通過する際に、原稿裏面が、読取位置Cに設置されている密着イメージセンサー15内のLEDランプにより照射され、その反射光は密着イメージセンサー15内のレンズにより集束され、密着イメージセンサー15内のセンサー素子に照射され光電変換される。
密着イメージセンサー15の原稿を挟んだ対向部には白色ローラ17が設置され、密着イメージセンサー15による読取時のシェーデイング補正用白色部材として使用される。
搬送ローラ対13と排紙ローラ対14との間には、印字手段であるエンドーサーユニット18とエンドーサープラテン19が設置されている。エンドーサー18はインクを染み込ませたアルファベット文字と数字の印からなる印字部と、印字部をエンドーサープラテン方向に加圧する加圧ソレノイド(図示せず)から構成されている。原稿をエンドーサー18上に停止させ、エンドーサープラテン19に向けてエンドーサー18の印字部を上昇させることにより、原稿は挟み込まれて加圧されると共に、エンドーサー18の印字部の加圧により原稿面にアルファベット文字や数字を印字することができる。
【0009】
図2は、本発明の画像読取装置の一実施形態における全体構成を示すブロック図である。
SBU20上には光電素子であるCCD6と、CCD6の駆動信号を発生するCCD駆動信号発生回路(図示せず)と、基準クロック発振回路(図示せず)とが配置される。CCD駆動信号発生回路は、SCU21上のNIPU33から送出されたライン周期信号と基準クロック発振回路が発生する基準クロックに基づき所定のCCD駆動信号を発生する。
また、NIPU33内には、後述するカウンタ部80(ライン周期信号発生部)のみにより構成されるか、後述するカウンタ部83(ライン周期信号発生部)と後述するセレクタ82等から構成されるライン周期切替部が備わっている。
【0010】
NIPU33内のライン周期切替部における設定値(カウンタ部のプリセット値)及び画素クロック選択信号の設定は、制御部であるCPU37により任意の値に設定できる。
副走査方向切替部は、CPU37,走行体モーター7、搬送モーター(図示せず)、及び、IOB24、ADU30上に配置され、前記各モーターを駆動するモータードライバ(図示せず)から構成される。CPU37は、モータードライバへ送出するモーター駆動クロックの周波数を制御する事により、副走査方向の走査速度を切り替えることができる。モータ駆動クロックの周波数は、モータ駆動クロックとしてCPU37内のプログラマブルカウンタ出力が用いられることから、CPU37により任意の周波数に制御することができる。
【0011】
SBU20上のCCD6に入光した原稿の反射光は、CCD6内で光の強度に応じた電圧値を持つアナログ信号に変換される。アナログ信号は、SBU20上でアナログ処理回路(図示せず)により所定の振幅にゲイン調整された後にA/Dコンバータに入力されデジタル信号化される。
デジタル化された画像信号は、SCU21上のNIPU33により、シェーディング補正、ガンマ補正、MTF補正等が行なわれた後、2値化され、ページ同期信号、ライン同期信号、画像クロックとともにビデオ信号として出力される。NIPU33から出力されたビデオ信号は、コネクタ34を介してオプションIPU26へ出力される。オプションIPU26へ出力されたビデオ信号は、オプションIPU26内で所定の画像処理が行なわれ、再びSCU21へ入力される。
再びSCU21へ入力されたビデオ信号は、セレクタ(図示せず)に入力される。前記セレクタのもう一方の入力はNIPU33から出力されたビデオ信号となっていて、オプションIPU26で画像処理するかしないかを選択可能な構成となっている。
前記セレクタから出力されたビデオ信号は、画像データ記憶手段DRAMを管理するSIBC35に入力され、DRAMで構成される画像メモリに蓄えられる。
【0012】
画像メモリに蓄えられた画像データは、SCSIコントローラ36に送られ、パソコン等の外部装置へ転送される。密着イメージセンサー15で光電変換されたアナログ画像信号は、RSBU16上でデジタル変換される。デジタル化された画像信号は、RSBU16上でシェーディング補正が施された後に、RCU23へ送られる。
RCU23は、DRAMで構成される画像メモリと画像データメモリを制御するSIBCにより構成され、画像データをいったん画像メモリに蓄積した後にSCU21へ転送する。RCU23からSCU21へ送られる画像データと、SCU21上のSIBC35から出力される画像データとは、切替可能となっており、いずれかの画像データが選択されてSCSIコントローラ36へ転送される。
SCU21上には、本実施形態における制御部としてのCPU37、ROM38、RAM39が実装されており、CPU37は、SCSIコントローラー36を制御してパソコン等の外部装置との通信を行なう。
又、CPU37は、ステツピングモーターである走行体モーター7、給紙モーター、搬送モーターのタイミング制御も行なっている。
ADU30は、自動原稿搬送機構ADF部に用いる電装部品に対する電力供給を中継する機能を有する。
SCU21上のCPU37に接続される入カポートは、IOB24を介して本体操作パネル28に接続されている。本体操作パネル28上にはスタートスイッチ(図示せず)とアボートスイッチ(図示せず)が実装されている。それぞれのスイッチが押下されると入カポートを介してCPU37はスイッチがONされたことを検出する。
【0013】
図3は、図1の画像読み取り装置における画像読み取り部を更に詳しく示したブロック図である。
読み取りユニット41は、原稿45の表面(第1面とする)を読み取るための読み取りユニットであり、第1ミラー2、照明ランプ3、第2ミラー4、第3ミラー5、及び、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ42と共にSBU20中に設置されるCCD6を含んでいる。
コンタクトガラス44は、読み取り位置Bにおいて、転写ドラム11の押圧によりその表面に接触する原稿45の第1面を読み取るため、コンタクトガラス44の下側に設置された読み取りユニット41からの放射光及び反射光を透過させるためのガラスである。
白基準板43は、読み取りユニット41が基準白レベルを得るために設置されたものである。A/Dコンバータ46は、アナログ信号をデジタル信号に変換するものであり、RSBU16内に設置される。画像処理部47、NIBC48、及び、画像メモリ49は、各々上記したNIPU(画像処理部)33、NIBC35、及び、DRAM(画像メモリ)40と同様な処理を行うものであり、RCU23内に設置される。
【0014】
次に、図3を用いて本実施形態の画像読み取り装置における読み取り動作を説明する。
まず、読み取り処理をスタートすると、原稿45の表面(第1面)を読み取るための読み取りユニット41は、原稿45の第1面を実際に読み取る前に、基準白レベルを得るための白基準板43を読み取る。尚、読み取りユニット41は、事前に白基準板43の読み取り位置に移動していることとする。この時に読み取った画像データは、シェーディング補正用の基準データとしてDRAM40に記憶される。読み取りユニット41は、白基準板43を読み取った後、第1面の原稿を読み取るための読み取り位置Bの直下の所定位置まで移動して停止する。
次に、自動原稿搬送機構(ADF)に載置された原稿45は、ADU30上のモータドライバ等により制御された給紙モータや搬送モータが駆動されることにより、1枚ずつ読み取り位置Bまで搬送される。
原稿45が読み取り位置Bを通過する間に、原稿45における第1面上の画像情報は、読み取りユニット41により読み取られる。読み取られた画像情報は、A/Dコンバータ42によりデジタル化され、NIPU(画像処理部)33によりシェーディング補正等の画像処理が施された後、SiBC35により制御されるDRAM(画像メモリ)40に蓄積される。
読み取り位置Bを通過した原稿45は、引き続き搬送モータにより読み取り位置Cまで搬送される。読み取り位置Cは、第2の読み取りユニット(密着イメージセンサ)15により、原稿45の裏面(第2面)の画像情報を読み取る位置である。
【0015】
密着イメージセンサ15は、原稿45の先端が読み取り位置Cに到達する時間の所定時間前から白色ローラの読み取りを開始する。原稿45の先端が読み取り位置Cに到達すると、密着イメージセンサ15は原稿45の第2面の画像情報の読み取りを開始する。
上記のように密着イメージセンサ15により読み取られた画像情報は、A/Dコンバータ46によりデジタル化された後、画像処理部47により所定の画像処理が施され、SiBC48により制御される画像メモリ49に蓄積される。
原稿45は、上記のようにして読み取り位置Cを通過した後、画像読み取り装置の排紙口から排出される。また、図示しない制御手段であるCPUは、原稿45の第1面、第2面を読み取った画像データの各々を画像メモリ40、49に記憶させるための制御を行うSiBC(35および48)を制御する。CPU及びSiBC(35および48)は、画像データの各々を画像メモリ40、49に記憶させた後、今度は、第1面の後に第2面という順に画像データを画像メモリ(40および49)から出力させ、更に、出力した画像データを、SCSIコントローラ36を介して外部インターフェースに出力させる制御を行う。
【0016】
ここで、原稿45の第2面が読み取られる時の動作について、更に詳細に説明する。
上記のように、密着イメージセンサ(第2の読み取りユニット)15は、原稿45が読み取り位置Bを通過した読み取り位置Cに到達するより少し前に読み取り動作を開始する。制御手段であるCPU(図示せず)は、原稿45が読み取り位置Cに到達するより一定時間前に密着イメージセンサ15の読み取り動作を開始させ、通常は、原稿45の先端が読み取り位置Cに到達するまでの間だけ、白色ローラ17の表面を読み取る。白色ローラ17は、その表面の白さのレベルが原稿の基準濃度として用いられると共に、読み取り位置Cにおいて原稿45を搬送させながら原稿45を密着イメージセンサ15に押圧させる機能を有している。
その場合、制御手段であるCPU(図示せず)は、密着イメージセンサ15に対し、原稿45の先端が読み取り位置Cに到達するまでに、白色ローラ17の表面を少なくとも1回転分読み取れる様なタイミングで読み取り動作を指示する。密着イメージセンサ15は、CPU(図示せず)により制御されたタイミングに基いて原稿45の読み取り前に白色ローラ17の表面の白さを読み取り、A/D変換部46を介して画像処理部47に送る。画像処理部47では、白色ローラ17の白レベルを基準白レベルとして、後に読み取られる原稿情報の画像処理を実施する。
【0017】
以上が通常の基準白レベルを読み取る動作の説明であるが、本実施形態の画像読み取り装置においては、予め、白色ローラ17から読み取った白レベルのピーク値が所定のレベルに達しているか否かを判定する基準となる白レベル判定値を設定しておき、白色ローラ17の表面を読み取った時の白レベルと、この白レベル判定値を基準濃度比較部50において比較する。
白レベル判定値の設定方法としては、本実施形態の画像読み取り装置の場合、例えば、画像読み取り装置の工場出荷時に、まず、基準となる白色の原稿を密着イメージセンサ15を用いて読み取らせ、その際に読み取った白レベルを基準白レベル、即ち最も白い階調である255とし、最も黒い階調を0として、その間の濃度レベルを256等分することにより256階調を設定した濃度レベル(256階調)を画像メモリ49に記憶させる。次に、その濃度レベルのうち、例えば、基準白レベルとして適切な範囲が90%以上ということであれば、255×0.9(90%)=229.5≒230なので、その場合、白レベル判定値を230として画像メモリ49に記憶させておく。
【0018】
次に、実際の原稿からの画像読み取り処理に先立って白色ローラ17から白レベルを読み取った際の白レベルのピーク値が、記憶させた濃度レベルにおける白レベル判定値に達しているか否かを、基準濃度比較部50により判定する。
読み取った白レベルのピーク値が白レベル判定値に達している場合は、白色ローラ17の表面の汚れは許容範囲であるので、白色ローラ17の表面を読み取った白レベルのピーク値をそのまま原稿の基準濃度として用いる。
しかし、読み取った白レベルのピーク値が白レベル判定値に達していない場合は、白色ローラ17の表面の汚れは許容範囲外であるので、制御手段(CPU)により密着イメージセンサ15の読み取り期間を延長し、白色ローラ17の表面を読み取った後に続けて移送されてくる原稿の搬送方向先端から所定範囲までを読み取る。そして、白色ローラ17の読み取り後に原稿の搬送方向先端の所定範囲までを読み取ることにより得た白レベルのピーク値を原稿の基準濃度として用いる。つまり、白色ローラ17を白基準レベルとして使用できない場合には、白色ローラ17を読み取った直後に読み取り位置Cに進入してくる原稿先端部(通常白色である)を白基準レベルとして用いるのである。
【0019】
図4は、密着イメージセンサ15の読み取りタイミングの概略を示すタイミングチャートである。上段から順に、1段目の密着センサの読み取りスタートトリガ、2段目の原稿読み取り期間、3段目のピークホールド期間、4段目の密着センサの読み取り動作期間、の各々の信号のタイミングを示している。
図4(a)は、読み取った白色ローラ17の白レベルが白レベル判定値以上であると基準濃度比較部50において判定した場合のタイミングチャートである。この場合の2枚目の原稿を読み取る時の基準白レベルは、1枚目の原稿読み取りを行なった際の基準白レベルを画像メモリ49から読み出してきて代用し、後段の各処理を実施する。この2枚目の原稿読み取りが行われる際には、制御手段であるCPU(図示せず)は、密着イメージセンサ15の読み取りタイミングが白色ローラ17の白レベルを読み取らないタイミングになるように変更する。
第4図(b)は、読み取った白色ローラ17の白レベルが白レベル判定値未満であると基準濃度比較部50において判定した場合のタイミングチャートである。この場合の基準白レベルの読み取り期間としては、上記した白色ローラ17の表面を読み取るのに要する期間に加えて、次に進入してくる原稿の先端部分を読み取るまでの期間を用いる。制御手段であるCPU(図示せず)は、この期間にてピークホールド動作を行なうようにピークホールド期間を延長し、延長した期間内に得られたピーク値を基準白レベルとして後段の画像処理を制御する。また、この場合、2枚目の原稿を読み取る際にも、1枚目と同様に2枚目の原稿45の先端部分を読み取るまでの延長された期間を用いて基準白レベルが読み取られ、再度、基準白レベルを得たあとに原稿情報の読み取りが行われる。
【0020】
尚、本実施形態においては、原稿両面を読み取り可能な画像読み取り装置であり、原稿の裏面(第2面)の読み取りデバイスとして密着イメージセンサを用い、密着イメージセンサの読み取り位置に対向する面に表面が白色の白色ローラを用いている場合について説明しているが、本発明は、実際の画像原稿の読み取りに先立ち基準白レベルを得る画像読み取り装置の全てに適用可能である。即ち、原稿片面のみを読み取る画像読み取り装置、白色ローラの代わりに白色板を用いた画像読み取り装置、或いは、密着イメージセンサに代えて通常の照射ランプからの照射光を原稿に反射させてCCD受光素子により受光する画像読み取り装置であっても、画像原稿の読み取りに先立ち基準白レベルを得るものであれば、本発明を適用することができる。
【0021】
上記のように本発明では、原稿情報を読み取る際に事前に得る必要のある基準白データを、ユーザーや使用環境により異なる画像読み取り装置の使用方法、使用頻度或いは経時的変化に応じて増加する白色板や白色ローラの汚れや劣化に左右されることなく得られるため、使用開始後に長時間経過した場合にも原稿を読み取る際に画像品質が安定している画像読み取り装置を提供することができる。また、従来は白色ローラの清掃を必要としたが、本発明においては清掃しなくても必要な画像品質を得ることができるため、画像読み取り装置における密着イメージセンサの取付位置を、ユーザーがメンテナンスを行いにくい位置とすることができることから、画像読み取り装置の設計自由度を高めることができる。
【0022】
【発明の効果】
上記のように本発明では、原稿情報の読み取りにおける基準白データが、使用方法、使用頻度或いは経時的変化に応じて増加する白色板や白色ローラの汚れや劣化に左右されることなく得られるため、安定した画像品質を提供することができる。
また、従来必要であった白色ローラの清掃が、本発明においては清掃しなくても必要な画像品質を得られるため、密着イメージセンサの取付位置を容易にメンテナンスが行いにくい位置にも配置することができ、設計の自由度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像読取装置の一実施形態における全体構成を示す側面図である。
【図2】本発明の画像読取装置の一実施形態の概略の全体構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における原稿読み取り及び読み取った画像データの流れに沿った構成を示すブロック図である。
【図4】 (a) 及び(b) は、図3の密着イメージセンサにおけるタイミング図を示す。
【符号の説明】
1・・・原稿台ガラス、2・・・第1ミラー、3・・・照明ランプ、4・・・第2ミラー、5・・・第3ミラー、6・・・CCD、7・・・走行体モーター、8・・・原稿トレイ、9・・・ピックアップローラー、10・・・レジストローラー対、11・・・搬送ドラム、12・・・搬送ローラー、13・・・搬送ローラー対、14・・・排紙ローラー対、15・・・密着イメージセンサ、16・・・RSBU、17・・・白色ローラー、18・・・エンドーサーユニット、19・・・エンドーサープラテン、20・・・SBU、21・・・SCU、23・・・RCU、24・・・IOB、26・・・オプションIPU、28・・・本体操作パネル、30・・・ADU、33、47・・・NIPU(画像処理部)、34・・・コネクタ、35、48・・・SIBC、36・・・SCSIコントローラー、37・・・CPU、38・・・ROM、39・・・RAM、40、49・・・画像メモリ(DRAM)、41・・・読み取りユニット、42、46・・・A/Dコンバータ、43・・・白基準板、44・・・コンタクトガラス、45・・・原稿、50・・・基準濃度比較部

Claims (3)

  1. 原稿に記載された情報を読み取る密着イメージセンサと、該密着イメージセンサに原稿を押圧すると共に外周表面が白色である白色ローラと、これらを制御する制御手段と、を備え、前記密着イメージセンサが原稿を読み取る前に前記白色ローラの表面を読み取ることにより得た白レベルのピーク値を原稿読み取りにおける基準白レベルとして用いる画像読み取り装置において、
    前記制御手段は、前記密着イメージセンサにより白色ローラを読み取ることにより得た基準白レベル情報が所定の白レベル判定値を満足しない場合に、密着イメージセンサによる前記基準白レベル情報の読み取り期間を、前記原稿の読み取り開始後の所定時期まで延長することを特徴とする画像読み取り装置。
  2. 前記制御手段は、前記白レベル情報の読み取り期間を延長する場合に、前記密着イメージセンサが白色ローラを読み取った後、前記原稿の搬送方向先端部から所定範囲までを読み取るように読み取り期間を延長し、該延長された読み取り期間中に読み取られた白レベルのピーク値を、原稿の読み取りにおける基準白レベルとして用いることを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り装置。
  3. 前記画像読み取り装置は、前記白レベル判定値を予め格納すると共に、前記基準白レベルと前記白レベル判定値との比較手段を有し、前記比較手段により比較された結果に応じて前記基準白レベルの読み取り期間を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像読み取り装置。
JP26732198A 1998-09-04 1998-09-04 画像読み取り装置 Expired - Fee Related JP3709720B2 (ja)

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