JP3709707B2 - ビアホールの穴明け方法及びビアホール穴明け装置 - Google Patents

ビアホールの穴明け方法及びビアホール穴明け装置 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,レーザーを用いたビアホールの穴明け方法及びビアホール穴明け装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来,例えば,図3に示すごとく,プリント配線板7としては,ワーク基板71の両面に導体パターン721,721を形成し,両者間をビアホール73により電気的導通を行う構造を有するものがある。
【0003】
そして,近年,ビアホール73を形成するにあたり,レーザーの照射により穴明けする技術が開発されている。図4に示すごとく,レーザー11を利用して形成されるビアホール73としては,底部が導体パターン721により被覆されたブラインドビアホールがある。レーザー11は,その高いエネルギーにより,ワーク基板71を順次焼失していき,底部の導体パターン721に達するとそこで穴明けが停止する。
【0004】
また,このレーザー穴明け法では,図5に示すごとく,多数のプリント配線板を連ねた大型のワーク基板71に対してレーザーショットが行われる。そして,ビアホール及びパターン形成,並びに後工程終了後に,ワーク基板を個片化して,図3に示すプリント配線板7を得る。
【0005】
そして,図6に示すごとく,ビアホール73は,プリント配線板に多数穿設されており,またその深さも多様であることから,その穿設方法には,種々の方法がある。
たとえば,図7に示すごとく,ビアホール(73)1穴に対して,必要回数(n1〜n5回)レーザー11を連続してショットし,1のビアホールの穴明けを完了しその後,次のビアホール穿設部の穴明けを行うバーストモード法がある。
【0006】
また,図8に示すごとく,ショットエリア75a内に存在するビアホール穿設部位1個所に対して1ショットずつ,順に巡回ショットをしていき,ビアホール73が所定深さになるまで,巡回ショットをしていくサイクルモード法がある。
このサイクルモード法では,ショットエリア75a内での穿設が完了すると,ワーク基板71を動かして,次のショットエリア75bの穿設を行い,かかる巡回ショットをその他のすべてのショットエリア75c,d,eについても行う。
【0007】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記バーストモード法では,穴明けの高速化を実現できるが,1ショットの時間的間隔が非常に短い。そのため,図4に示すごとく,ビアホール73内に高エネルギー74が蓄積されて,ビアホール73底部の導体パターン721にダメージを与えることがある。
【0008】
また,上記サイクルモード法では,図8に示すごとく,ショットエリア75内を1サイクルをする間の時間が比較的大きいためビアホール73底部の導体パターン721にダメージを与えることは少ないが,穿設すべきワーク基板71の最後のショットエリア75(例えば75e)にきたとき,同一ビアホールに対するショット間隔が短くなり,ビアホール内に高エネルギーが蓄積され,ビアホール内部にダメージを与える。また,ビアホール73の底部の導体パターン721にダメージを与える場合がある。
【0009】
本発明はかかる従来の問題点に鑑み,ビアホールの穴明けを効率よく迅速に行うことができ,かつビアホール内部へのダメージを抑制できるビアホールの穴明け方法及びビアホール穴明け装置を提供しようとするものである。
【0010】
【課題の解決手段】
本発明は,1または2以上のビアホール穿設部位を有するショットエリアにおいて,ビアホール穿設部位1個所に対して1ショットずつ,ワーク基板に対してレーザーを巡回ショットして,該巡回ショットを複数回サイクル行ってビアホールの穴明けを行う穴明け方法であって,
上記ショットエリア内のビアホール穿設数に応じてショット速度を制御し,上記巡回ショットの1サイクルに要する時間を0.05秒以上にすることを特徴とするビアホールの穴明け方法である。
【0011】
本発明は,サイクルモード法を利用して効率よく穴あけを行う方法である。即ち,ショットエリア内のビアホール穿設位置に対して1個所に対して1ショットずつレーザーを巡回ショットしていき,1サイクル終了後に,2度目の巡回ショットを繰り返す。これを,必要回数繰り返して,所望深さのビアホールの穴明けを行う。
【0012】
ここに注目すべきことは,巡回ショットの1サイクルに要する時間を0.05秒以上になるようにコントロールしていることである。このため,1サイクル終了後,同一のビアホール穿設位置をショットする時間は0.05秒以上となる。
この0.05秒間は,レーザー照射により熱せられたビアホール穿設部位の冷却に十分な時間であり,この時間内に,ビアホール穿設部位は,十分に冷却されるため,ビアホール内部にダメージが発生することはない。また,ビアホール底部に導体パターンが形成されている場合にも,導体パターンにダメージが発生しない程度に十分に冷却される。
【0013】
また,ショットエリア内に存在するビアホールの数の多少にかかわらず,常に一定時間内に1サイクルのショットを完了できる。即ち,ビアホールの数が多い場合には,ショット速度を速くして,1サイクル0.05秒以上になるようにコントロールする。逆に,ビアホールの数が少ない場合には,ショット速度を遅くして,1サイクル0.05秒以上になるようにコントロールする。このように,1サイクルに要する速度を,ショットエリア内のビアホール穿設数に応じてコントロールすることにより,効率よく,迅速にビアホールの穴明けを行うことができる。
【0014】
また,上記1サイクルに要する時間は,1秒以下であることが好ましい。これにより,効率よく迅速に穴明けを行うことができる。一方,1秒を超える場合には,穴明けに無駄な時間がかかることになり,迅速な穴明けが困難となる。
【0015】
さらに,上記1サイクルに要する時間は,0.28秒以上であることが好ましい。これにより,ビアホール内部への穴明けによるダメージを更に抑制できる。
【0016】
上記ショットエリア内の穴明けが完了した後には,ワーク基板における次のショットエリアにおいて,上記ビアホールの穴明けを行うことが好ましい。これにより,ショットエリアよりも大きいワーク基板に対して連続的に効率よく穴明けを行うことができる。
【0017】
また,ビアホールの穴明けを行うビアホール穴明け装置としては,例えば,ワーク基板に対してレーザーをショットすることによりビアホールを穴明けするビアホール穴明け装置において,
該ビアホール穴明け装置は,レーザーを発振するレーザー発振器と,ワーク基板の平面方向にレーザーショット位置をショットエリア内で移動させるガルバノミラーと,ワーク基板を載置するとともにショットエリア内でのレーザーショットが完了した後にワーク基板を平面方向に移動させるテーブルとからなり,
上記ビアホール穴明け装置は,上記ショットエリアにおいて,ビアホール穿設部位1個所に対して1ショットずつ,ワーク基板に対してレーザーを巡回ショットして,該巡回ショットを複数回サイクル行ってビアホールの穴明けを行い,かつ上記巡回ショットの1サイクルに要する時間が0.05秒以上になるように,
上記ショットエリア内のビアホール穿設数に応じて,上記ガルバノミラーの上記移動及び上記レーザー発振器のレーザー発振の時間間隔を制御する制御装置を有することを特徴とするビアホール穴明け装置がある。
【0018】
このビアホール穴明け装置は,ビアホール穿設位置を有するショットエリア内においてレーザーを巡回ショットしてビアホールの穴明けを行う装置である。この穴明け装置は,巡回ショットの1サイクルに要する時間が0.05秒以上になるように,移動速度制御装置によりレーザーショット位置の移動速度が制御され,かつショット間隔制御装置によりレーザーのショット時間間隔が制御されている。
【0019】
そのため,上記穴明け方法と同様に,1サイクルの間に,レーザー照射により熱せられたビアホール穿設部位は十分に冷却される。したがって,ビアホール内部へのダメージを抑制できる。また,ショットエリア内に存在するビアホールの数の多少にかかわらず,常に一定時間内に1サイクルの巡回ショットを完了できるため,効率よく,迅速にビアホールの穴明けを行うことができる。
【0020】
また,上記ビアホール穴明け装置においても,上記ビアホール穴明け方法と同様の理由により,上記1サイクルに要する時間は,1秒以下であることが好ましい。また,さらに,上記1サイクルに要する時間は,0.28秒以上であることが好ましい。
【0021】
上記ショットエリア内の穴明けが完了した後には,ワーク基板を載置したテーブルを平面方向に移動する。移動後,ワーク基板における次のショットエリアにおいて,上記ビアホールの穴明けを行う。これにより,ショットエリアよりも大きいワーク基板に対して連続的に効率よく穴明けを行う。
【0022】
ガルバノミラーは,例えば,入射されたレーザーをワーク基板のX方向に移動させるX方向移動手段と,入射されたレーザーをワーク基板のY方向に移動させるY方向移動手段とからなる。このX方向移動手段とY方向移動手段とを組み合わせることにより,ショットエリアの任意の位置にレーザーをショットできる。また,ワーク基板を載置したテーブルを移動させるに当たっては,例えば,テーブルの位置を,制御装置(NC)の数値データに基づき移動させる機械的移動手段がある。
【0023】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例に係るビアホールの穴明け方法及びビアホール穴明け装置について,図1〜図6,図8を用いて説明する。
本例では,図1に示すごとく,レーザー照射により,ワーク基板71に複数のビアホール73を穴明けしている。
【0024】
ビアホールの穴明けを行うに当たって,図1に示すビアホール穴明け装置1を用いる。
即ち,ビアホール穴明け装置1は,図1に示すごとく,レーザー11を発振するレーザー発振器12と,ワーク基板71の平面方向にレーザー11のショット位置をショットエリア内で移動させるガルバノミラー13と,ワーク基板71を載置するとともにショットエリア内でのビアホールの穴明けが完了した後にワーク基板71を平面方向に移動させるテーブル14とからなる。
【0025】
そして,ビアホール穴明け装置1は,レーザー11の移動速度を制御するようにガルバノミラー13に指示を与えるとともにレーザー11の発振の時間間隔を制御するようにレーザー発振器12に指示を与える制御装置10を有する。この制御装置10は,NCコンピュータであり,ショットエリアにおいて,ビアホール穿設部位1個所に対して1ショットずつ,ワーク基板に対してレーザーを巡回ショットして,ビアホールの穴明けを行い,かつ上記巡回ショットの1サイクルに要する時間が0.05秒以上になるようにプログラムされている。
【0026】
ガルバノミラー13は,入射されたレーザー11をワーク基板71のX方向に移動させるX方向移動手段131と,入射されたレーザー11をワーク基板71のY方向に移動させるY方向移動手段136とからなる。X方向移動手段131は,レーザー11を反射させる反射板132と,反射板132を回転させる回転軸133と,レーザー11のX方向の移動距離に応じて回転軸133を回転させる駆動装置134とからなる。また,Y方向移動手段136は,レーザー11を反射させる反射板137と,反射板137を回転させる回転軸138と,レーザー11のY方向の移動距離に応じて回転軸138を回転させる駆動装置139とからなる。
【0027】
このX方向移動手段131とY方向移動手段136とを組み合わせることにより,ワーク基板71におけるショットエリアの任意の位置にレーザーをショットできる。
テーブル14は,図示しない駆動装置を用いて,支持台141に対して,平面方向に移動可能に装着されている。
【0028】
また,テーブル14の上には,ワーク基板71のアライメント用レンズ142が設けられている。アライメント用レンズ142は,ワーク基板71における穿設すべきビアホールの立体的パターン情報を読み取り,該立体的パターン情報を制御装置10に入力する役目を果たしている。
【0029】
また,ビアホール穴明け装置1は,レーザー発振器12とガルバノミラー13との間に,レーザー発振器12から発振されたレーザー11を,所望の光束径に調整するための光束調整器15を設けている。光束調整器15は,微孔151を有するマスク152を設けている。微孔151は,所望の光束径のレーザー11を通過させるための微孔である。
また,ビアホール穴明け装置1は,レーザー11が,ワーク基板71に対して垂直にショットするようにレーザーのショット角度を調整するf−θレンズ16を設けている。
【0030】
次に,上記ビアホール穴明け装置1を用いてビアホールを有するプリント配線板の製造方法について説明する。
【0031】
▲1▼ワーク基板の準備
まず,ワーク基板として,ガラスエポキシ基板,ガラスビスマレイミドトリアジン基板,ガラスポリイミド基板などの絶縁性基板を準備する。ワーク基板71は,図8に示すごとく,複数のプリント配線板7を形成できるような大きさである。図6に示すごとく,ワーク基板71の内部には,予め導体パターン721を形成しておく。
【0032】
次いで,ワーク基板71の両面に銅箔72を貼着する。次いで,ワーク基板71の上面に貼着した銅箔72に,そのビアホール形成部分にエッチングにより開口孔720をあける(図4参照)。
次いで,図1に示すごとく,ワーク基板71を,ビアホール穴明け装置1のテーブル14の上に載置する。
【0033】
▲2▼レーザーショットによる穴明け
次に,図2に示すフローチャートに示すごとく,テーブル移動指令データ及びレーザーショット指令データを作成し,これに基づき,図1に示すごとく,レーザーショットを行う。
【0034】
即ち,まず,S(ステップを意味する。以下,同様)200において,図1に示すごとく,アライメント用レンズ142より,制御装置10に,ワーク基板71における,穿設すべきビアホールの立体的パターン情報を入力する。入力手段としては,Computer Aided Design(CAD)データを移殖する手段等がある。
【0035】
上記ビアホールパターンは,図5,図6,図8に示すごとく,ワーク基板71の全領域に形成すべきビアホール73の立体的パターンであり,具体的には,プリント配線板7に形成すべきビアホール73の平面的位置及び深さのデータがプリント配線板7単位で繰り返されている。
【0036】
次に,S201において,制御装置10にショットエリアを入力する。ショットエリアは,固定したワーク基板において,ガルバノミラーの動きによりレーザーショットが可能な範囲である。ショットエリアの入力手段は,例えば,メインコンピュータから制御装置(NC)10への転送手段である。
次に,S206において,制御装置10に,レーザー発振速度及びレーザー強度からなるレーザー初期情報を入力する。本例においては,レーザー発振速度は3000回/秒とし,またレーザー強度は5〜70mJ/mm2 とする。
【0037】
次に,S202において,図1に示すごとく,制御装置10において,入力されたビアホールパターンを,ショットエリアごとに分画する。
次に,S203において,制御装置10において,ビアホールパターンを分画したショットエリアのいずれかを選択する。選択されるショットエリアは,まだビアホールの穴明けが完了していないショットエリアである。まず第1は,図8に示すショットエリア75aを選択する。
【0038】
次に,S204において,制御装置10において,選択したショットエリアに応じてテーブルを移動させるための移動データを作成し,移動データをテーブル駆動装置に送る。移動データは,移動前の選択したショットエリアの位置から,ガルバノミラーの動きによりレーザーショット可能な位置までの移動量である。
【0039】
次いで,S205において,制御装置10において,S201において入力されたビアホールパターンに基づき,ショットエリア内において初回のショットサイクルで加工すべきビアホールの数を計算する。図6に示すごとく,ビアホールパターンはワーク基板71の厚み方向の位置で異なるため,ショットサイクルが第何回目かにより,加工すべきビアホール数は異なってくる。
【0040】
次に,S207において,制御装置10において,S205で求めたビアホール数と,S206で入力されたレーザー初期情報とから,ショットエリア内の全ビアホール穿設位置に対して1ショットを完了するために要する時間を計算する。なお,ショットエリア内の全ビアホール穿設位置に対して1ショットをすることを1サイクルといい,1サイクル内では,後述のようにショットエリア内のビアホール数分のレーザー発振が行われる。
【0041】
次に,S208において,1サイクル所要時間が,0.05秒以上か否かを判断する。0.05秒間以上の場合には,S209に進み,そこで,S206で入力されたレーザー初期情報,ショットエリア内のビアホールパターン及びビアホール数に基づきレーザーショット指令データA1を作成する。この指令データA1は,レーザー初期情報と,レーザー発振回数と,レーザー発振速度及びショットエリア内のビアホールパターンに基づき作成されたX方向及びY方向の反射板回転速度とからなる。
【0042】
レーザー初期情報とレーザー発振回数とは,レーザー発振器12に送られる。一方,X方向の反射板回転速度はX方向移動手段131の駆動装置134に送られ,Y方向の反射板回転速度はY方向移動手段136の駆動装置139に送られる。
これらの送付手段は,例えば,メインコンピュータから制御装置(NC)10に転送する手段である。
【0043】
一方,1サイクル所要時間が0.05秒未満の場合には,S210において,1サイクル所要時間が0.05秒になるように,レーザー発振速度を計算する。即ち,1サイクル所要時間0.05秒をショットエリア内のビアホール数で徐することにより,1サイクル所要時間を算出する。次いで,再度S207に戻り,再度1サイクル所要時間を計算し,S208において0.05秒以上であることを確認した後に,S209においてレーザーショット指令データA2を作成・出力する。
【0044】
上記レーザーショット指令データA1又はA2がレーザー発振器12に送られると,レーザー発振器12は,そのデータに基づき,1サイクル分のレーザー11を発振する。また,上記指令データA1又はA2がX方向・Y方向移動手段131,136の駆動装置134,139に送られると,回転軸133,138が所要速度で回転して,反射板132,137の向きが変わり,これらによって反射されたレーザー11は,その進行路が変えられる。そして,f−θレンズ16を通過して垂直方向に,ワーク基板71のビアホール穿設位置にショットする。これにより,ビアホール穿設位置が,所定深さに加工される。なお,加工量は,レーザー1ショットあたりほぼ同じである。
このようにして,ショットエリア内の1サイクルショットが完了する。
【0045】
次に,1サイクルのレーザーショットが完了した後に,制御装置10においては,S211において,ショットエリア内のビアホール穴明けは完了したか否かを判断する。ビアホール穴明けが完了したか否かは,ショットエリア内の深さ方向の所定のビアホールパターンと同様の深さに,ビアホールが穴明けされたか否かを基準に判断する。
【0046】
そして,ショットエリア内のすべてのビアホールの穴明けが完了した場合には,S213に進む。
【0047】
一方,上記S211において,1つのビアホールでも,深さ方向のビアホールパターンに応じた深さまで加工がされていないものがある場合には,ビアホール穴明けが完了していないと判断する。この場合には,S212において,次回に加工すべきビアホール数を計算する。そして,S207に戻り,S207〜S209において,上記と同様に1サイクル所要時間が0.05秒以上になるようにレーザーショット指令データを作成・出力する。
【0048】
次に,S213に進んだ場合には,ここでワーク基板の全ショットエリアのビアホール穴明けが完了したか否かを判断する。完了した場合には,レーザーショットは終了する。
【0049】
一方,全ショットエリアのビアホール穴明けが完了していない場合には,S214に進み,ここで,穴明けしていないショットエリアを選択する。例えば,次回のショットエリアとして,図8に示す75bのショットエリアを選択する。そして,S204に戻り,ここでテーブル移動データを作成・出力し,続くS205〜S211において,選択したショットエリア内のビアホールの穴明けを完了する。
以上により,ワーク基板71に対して,レーザーによるビアホールの穴明けが終了する。
【0050】
▲3▼パターン形成
ワーク基板における全ビアホールの穿設が完了した後には,化学銅めっき及び電気銅めっき処理を行い,図3に示すごとく,ビアホール73の内壁に金属めっき膜721を形成する。次いで,銅箔のエッチングを行い,ワーク基板71の両面に導体パターン721,722を形成する。なお,ビアホール73の底部に位置する導体パターン721又は銅箔72はビアホールに導通性を付与するため,そのまま残しておく。
【0051】
▲4▼後工程
次に,ワーク基板を切削又はせん断による加工法により切断し,各プリント配線板7に個片化する。
以上により,プリント配線板7が得られる。
【0052】
次に,本例の作用及び効果について説明する。
本例は,サイクルモード法を利用して効率よく穴あけを行う方法である。即ち,ショットエリア内のビアホール穿設位置1個所に対して1ショットずつレーザーを巡回ショットしていき,巡回ショットの1サイクル終了後に,2度目のショットを繰り返す。これを,必要回数繰り返して,図6に示すごとく,所望深さのビアホール73の穴明けを行う。
【0053】
ここに注目すべきことは,図2に示すごとく,S208において,1サイクルに要する時間を0.05秒以上になるようにコントロールしていることである。このため,1サイクル終了後,同一のビアホール穿設位置をショットする時間は0.05秒以上となる。この0.05秒間は,レーザー照射により熱せられたビアホール穿設部位の冷却に十分な時間である,この時間内に,ビアホール穿設部位は,底部の導体パターン721又は銅箔72にダメージが発生しない程度に十分に冷却される。したがって,本例によれば,ビアホール73内部及びビアホール底部の導体パターン721へのダメージを抑制できる。
【0054】
また,ショットエリア内に存在するビアホールの数の多少にかかわらず,常に一定の時間内に1サイクルのショットを完了できる。即ち,図8のショットエリア75a〜75dに示すごとく,ビアホール73の数が多い場合には,ショット速度を速くして,1サイクル0.05秒以上になるようにコントロールする。逆に,図8のショットエリア75eに示すごとく,ビアホールの数が少ない場合には,ショット速度を遅くして,1サイクル0.05秒以上になるようにコントロールする。このように,1サイクルに要する速度を,ショットエリア内のビアホール穿設数に応じてコントロールすることにより,効率よく,迅速にビアホールの穴明けを行うことができる。
【0055】
実施形態例2
本例においては,表1に示すごとく,1サイクルに要する時間を種々に変えて,ビアホール底部の導体パターンへのダメージの有無について測定した。
導体パターンへのダメージの有無は,外観目視観察により検査した。
【0056】
レーザーショット方法は,1サイクルの所要時間を除いて,実施形態例1と同様に行った。その結果を表1に示した。
同表より知られるように,1サイクル所要時間が0.05〜1秒の場合には,ビアホール底部の導体パターンにダメージはなかった。一方,0.05秒未満の場合には,導体パターンに銅の溶融,変形という不具合が生じた。また,1秒を超える場合には,生産性が著しく低下するという問題が生じた。
以上より,1サイクルの所要時間は,0.05〜1秒が好ましいことがわかる。
【0057】
【表1】
Figure 0003709707
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば,ビアホールの穴明けを効率よく迅速に行うことができ,かつビアホール内部へのダメージを抑制できるビアホールの穴明け方法及びビアホール穴明け装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,ビアホール穴明け装置を示す説明図。
【図2】実施形態例1における,レーザーショット指令データを作成するフローチャートを示す説明図。
【図3】プリント配線板の断面図。
【図4】ビアホールの穴明け方法を示す説明図。
【図5】多数のビアホールを有するワーク基板の平面図。
【図6】多数のビアホールを有するワーク基板の断面図。
【図7】従来例におけるバーストモード法によるレーザー穴明け方法を示す説明図。
【図8】サイクルモード法によるレーザー穴明け方法を示す説明図。
【図9】従来例におけるサイクルモード法における問題点を示す説明図。
【符号の説明】
1...ビアホール穴明け装置,
10...制御装置,
11...レーザー,
12...レーザー発振器,
13...ガルバノミラー,
14...テーブル,
15...光束調整器,
16...f−θレンズ,
7...プリント配線板,
71...ワーク基板,
72...銅箔,
721,722...導体パターン,
73...ビアホール,

Claims (5)

  1. 1または2以上のビアホール穿設部位を有するショットエリアにおいて,ビアホール穿設部位1個所に対して1ショットずつ,ワーク基板に対してレーザーを巡回ショットして,該巡回ショットを複数回サイクル行ってビアホールの穴明けを行う穴明け方法であって,
    上記ショットエリア内のビアホール穿設数に応じてショット速度を制御し,上記巡回ショットの1サイクルに要する時間を0.05秒以上にすることを特徴とするビアホールの穴明け方法。
  2. 請求項1において,上記1サイクルに要する時間は,1秒以下であることを特徴とするビアホールの穴明け方法。
  3. 請求項1において,上記1サイクルに要する時間は,0.28秒以上であることを特徴とするビアホールの穴明け方法。
  4. 請求項1において,上記ショットエリア内の穴明けが完了した後には,ワーク基板における次のショットエリアにおいて,上記ビアホールの穴明けを行うことを特徴とするビアホールの穴明け方法。
  5. ワーク基板に対してレーザーをショットすることによりビアホールを穴明けするビアホール穴明け装置において,
    該ビアホール穴明け装置は,レーザーを発振するレーザー発振器と,ワーク基板の平面方向にレーザーショット位置をショットエリア内で移動させるガルバノミラーと,ワーク基板を載置するとともにショットエリア内でのレーザーショットが完了した後にワーク基板を平面方向に移動させるテーブルとからなり,
    上記ビアホール穴明け装置は,上記ショットエリアにおいて,ビアホール穿設部位1個所に対して1ショットずつ,ワーク基板に対してレーザーを巡回ショットして,該巡回ショットを複数回サイクル行ってビアホールの穴明けを行い,かつ上記巡回ショットの1サイクルに要する時間が0.05秒以上になるように,
    上記ショットエリア内のビアホール穿設数に応じて,上記ガルバノミラーの上記移動及び上記レーザー発振器のレーザー発振の時間間隔を制御する制御装置を有することを特徴とするビアホール穴明け装置。
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