JP3709703B2 - 一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

一方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、方向性けい素鋼板の製造方法に係るもので、磁気特性を良好に保った汎用の方向性けい素鋼板を安定して製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
方向性けい素鋼板は、主として変圧器その他の電気機器の鉄心材料として使用され、磁束密度及び鉄損値などの磁気特性に優れることが基本的に重要である。そのため、方向性けい素鋼板を製造するには、厚さ 100〜300mm のスラブを高温に加熱後に熱間圧延し、次いで、得られた熱延板を1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって最終板厚とし、脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布してから二次再結晶及び純化を目的とした最終仕上げ焼鈍を行うという複雑な工程がとられている。かかる製造工程において、磁気特性を高めるためには、仕上げ焼鈍工程での二次再結晶により、磁化容易軸である〈001〉軸が圧延方向にそろった{110}〈001〉方位(いわゆるゴス方位)の結晶粒を成長させることが重要である。
【0003】
このような二次再結晶を効果的に促進させるためには、まず一次再結晶粒の成長を抑制するインヒビターと呼ばれる分散相を、均一かつ適正なサイズで鋼中に分散させることが重要である。かかるインヒビターとしてはMnS 、MnSe、AlN 及びVNのように硫化物、Se化合物や窒化物等で、鋼中への溶解度が極めて小さいものが主に用いられ、その他必要に応じてSb, Nb, Ge, Sn, Cr等を適宜添加する方法が採られてきた。
【0004】
上述の硫化物、Se化合物、窒化物を主としたインヒビターの適正な分散の制御方法として、従来の工程では熱延前のスラブ加熱時にインヒビターをいったん完全固溶させた後、熱延以降の工程で析出させる方法が採られてきた。インヒビターを十分固溶させるためのスラブ加熱温度は1400℃程度であり、普通鋼のスラブ加熱温度に比べて約200 ℃も高い。こうした高温スラブ加熱には以下のような欠点がある。
(1) 高温加熱を行うためにエネルギー原単位が高くなる。
(2) 溶融スケールが発生し易く、またスラブ垂れが生じ易い。
(3) スラブ表層の過脱炭が生じる。
【0005】
そこで、上記(2),(3) の問題点を解決するために、方向性けい素鋼専用の誘導加熱炉が考案されたが、エネルギーコスト増大という問題点が残された。
特に、磁気特性が中級程度の汎用品においては製造コストの削減が重要課題であるため、スラブ加熱時のエネルギーコスト削減(すなわち加熱温度の低温化)は急務である。
【0006】
方向性けい素鋼の低温スラブ加熱化を実現するために、これまで多くの研究者が多大な努力をしてきた。
特公昭54-24685号公報ではAs, Bi, Pb, Sb等の粒界偏析元素を鋼中に含有し、インヒビターとして利用することによってスラブ加熱温度を1050〜1350℃の範囲にする方法が開示された。特開昭57-158332 号公報ではMn含有量を下げ、Mn/Sの比率を2.5 以下にすることにより低温スラブ加熱化を行い、更にCuの添加により二次再結晶を安定化する技術が開示された。特開昭57-89433号公報ではMnに加えてS,Se, Sb, Bi, Pb, Sn, B等の元素を加え、これにスラブの柱状晶率と二次冷延圧下率との調整を組み合わせることにより1100〜1250℃の低温スラブ加熱化を実現している。これらは鋼中への溶解度が極めて小さいAlN をインヒビターとして利用しない方針の技術であるため、インヒビターの抑止力が弱く、磁気特性が今一歩悪かったり、研究室規模の技術であるといった問題点があった。
【0007】
特開昭59-190324 号公報では一次再結晶焼鈍時にパルス焼鈍を施すという新規な技術が開示されたが、これも研究室規模の製造手段に留まっている。
特開昭59‐56522 号公報では、Mnを0.08〜0.45%、Sを0.007 %以下にすることにより低温スラブ加熱化する技術が開示され、更にこれにCrを添加することにより二次再結晶の安定化を図る技術が特開昭59-190325 号公報で開示された。これらは、S量を下げてスラブ加熱時のMnS の固溶を図るのが特徴である。しかし、重量の大きなコイルでは幅方向や長手方向磁気特性のばらつきが生じるという間題点があった。
特開昭57-207114 号公報では極低炭素化(C=0.002 〜0.010 %)と低温スラブ加熱化とを組み合わせる技術が開示された。これは、スラブ加熱温度が低い場合には凝固から熱延までの間にオーステナイト相を経由しない方が後の二次再結晶に有利であるという思想に基づく技術である。このようにC量が極端に低いことは、冷延時の破断防止にも有利であるが、二次再結晶を安定化させるために、脱炭焼鈍時に窒化することが必要になる。
【0008】
これ以後、途中窒化を前提とした技術開発が主流となった。特開昭62-70521号公報では仕上げ焼鈍条件を特定し、仕上げ焼鈍時に途中窒化することで低温スラブ加熱を可能にする技術が開示され、更に、特開昭62-40315号ではスラブ加熱時に固溶し得ない量のAl, Nを含有し、途中窒化によってインヒビターを適正状態に制御する方法が開示された。
しかし、脱炭焼鈍時に途中窒化を施す方法は、新たな設備を要し、コストが増大するという問題点があり、また、仕上げ焼鈍中の窒化は制御が困難であるという問題点がある。
【0009】
すなわち、窒化物(主にAlN )としてのインヒビターの量を減らす又はなくすことによって低温スラブ加熱化を実現する技術は、磁気特性の劣化を防ぎきれずに行き詰まり、一方、AlN の使用を前提にして硫化物やSe化合物としてのインヒターを減らす技術は途中窒化が必須でコスト増大をもたらすという欠点があるというのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、コスト削減が要求される汎用の方向性けい素鋼板の製造において、スラブ加熱温度が普通鋼なみに低く、且つ、コイル全長で磁気特性を良好に保った方向性けい素鋼板の有利な製造方法の開発である。特に、積極的な途中窒化を施さずに、安定した磁気特性の方向性けい素鋼板を製造することが目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の研究者らは、鋭意研究の末、コスト削減が要求される汎用の方向性けい素鋼板の製造において、スラブ加熱温度が普通鋼なみに低く、且つ、コイル全長で磁気特性を良好に保った方向性けい素鋼板を特に積極的な途中窒化を施さずに製造する方法を新規に見出した。
すなわち、この発明は、C:0.005〜0.08wt%、Si:2.0〜4.5wt%、Mn:0.03〜2.5wt%、酸可溶性Al:0.005〜0.030wt%及びN:0.003〜0.010wt%を含み、かつ、Se及びSをSe+2.47S≦0.035wt%を満足する範囲で含有するけい素鋼スラブを1260℃以下の温度に加熱後、熱間圧延し、次いで800℃以上 1000℃以下の温度に60秒間以内で保持する熱延板焼鈍を施した後、一回又は中間焼鈍を挟む二回以上の冷間圧延により最終板厚とし、更に、脱炭焼鈍、次いで焼鈍分離剤を塗布してから仕上焼鈍を施すに当たり、
脱炭焼鈍の昇温速度を、600〜750 ℃の区間と 750℃から均熱温度より10℃低い温度までの区間とに分け 600 750 ℃の区間の昇温速度をu℃ /s 750 ℃から均熱温度より 10 ℃低い温度までの区間の昇温速度をv℃ /s とするとき、以下に示す3式を全て満足するように、 600 750 ℃の区間の昇温速度及び 750 ℃から均熱温度より 10 ℃低い温度までの区間の昇温速度をそれぞれに制御することを特徴とする一方向性電磁鋼板の製造方法である。
2≦u
0≦v≦ 15
1.5 u− 30 ≦v
【0013】
以下にこの発明に至った実験について述べる。
方向性けい素鋼スラブの加熱温度の低温化を図るにあたって、スラブ加熱時にMnS 、MnSeが十分固溶し得るよう、インヒビター成分を減らす試みは従来から多くなされてきた。しかし、MnSe、MnS を減らした場合にはインヒビターの結晶粒の成長抑制機能が低下するために途中窒化が必須条件と考えられてきた。発明者らは、熱延板焼鈍条件を変化させることにより、インヒビターとして含有させる窒化物、硫化物、Se化合物をある程度減らしても磁気特性の低下を防ぎ得るのではないかと考え、実験を行った。
【0014】
実験1(実験室での成分と熱延板焼鈍条件の検討)
表1に示す鋼のうち、記号A〜Dの成分組成の鋼塊を実験室で鋳込み、1200℃に加熱後、熱間圧延して2.5mm 厚の熱延板とした。続いて、以下のa〜mの条件で熱延板焼鈍を施した。
【0015】
【表1】
Figure 0003709703
【0016】
a:均熱温度 750 ℃、 均熱時間 45 秒、
b:均熱温度 800 ℃、 均熱時間 45 秒、
c:均熱温度 850 ℃、 均熱時間 45 秒、
d:均熱温度 900 ℃、 均熱時間 45 秒、
e:均熱温度 950 ℃、 均熱時間 45 秒、
f:均熱温度1000 ℃、 均熱時間 45 秒、
g:均熱温度1050 ℃、 均熱時間 45 秒、
h:均熱温度1100 ℃、 均熱時間 45 秒、
i:均熱温度 900 ℃、 均熱時間 30 秒、
j:均熱温度 900 ℃、 均熱時間 60 秒、
k:均熱温度 900 ℃、 均熱時間 90 秒、
l:均熱温度 900 ℃、 均熱時間120 秒、
m:均熱温度 900 ℃、 均熱時間180 秒、
【0017】
その後、酸洗した後、0.34mm厚まで冷間圧延した。その後、脱脂処埋を行い、850 ℃で120 秒の脱炭焼鈍を施した後、焼鈍分離剤を塗布して最終仕上げ焼鈍を施した。
最終仕上げ焼鈍後、磁束密度B8を測定した結果を表2に示す。成分組成がDで、かつ、熱延板焼鈍条件がb,c,d,e,f,i,jの場合にB8が安定して1.85T以上となった。
【0018】
【表2】
Figure 0003709703
【0019】
この記号Dの鋼のAl,Se, S量は、従来技術で実施されてきたAl, Se, S量と比べて少ない範囲になる。なお、従来から、Al量を減らさずにSe, Sをこの発明ほどに少なくする技術はあったが、途中窒化が必要であった。そして、インヒビターの抑止力を弱めないために、Al量については減らさないというのが従来の知見であった。というのは、インヒビター抑止力が弱まると、十分な二次再結晶が生じなかったり、あるいは二次再結晶はしても{110}〈001〉方位からずれている二次粒が多くなると考えられてきたからである。しかし、脱炭焼鈍時に途中窒化を施す方法は、新たな設備を要し、コストが増大するという問題点があり、また、仕上げ焼鈍中の窒化は制御が困難であるという問題点があったのは既に述べたとおりである。
【0020】
表2に示した実験結呆は、特に積極的な途中窒化を施さなくても、Al、Se、S量を適正に制御し、熱延板焼鈍条件を適正化することにより、普通鋼並の低温スラブ加熱工程から良好な磁気特性を持つ方向性けい素鋼が製造できることを示している。
ここでの適正な熱延板焼鈍条件は、通常の方向性けい素鋼の熱延板焼鈍条件よりも、更に低温で、短時間であることを強調しておきたい。このことは、製造コスト削減のために極めて好ましい実験結果である。また、従来は含有量を減らすと磁気特性が劣化すると考えられてきたAlについても、ある程度減らした方が、実は磁気特性が良くなるという結果が得られた。
【0021】
最適な熱延板焼鈍温度が、発明者らの知見により低温短時間側に移る理由は次のように考えられる。熱延板焼鈍の目的は、その昇温過程でのインヒビターAlN の微細析出と組織の均一化であるが、スラブ加熱温度が低い場合には、熱延板組織が細かい故に、かならずしも組織均一化の必要はない。したがって、熱延板焼鈍は、AlN を微細析出させるために十分な温度(800 ℃以上)であれば良い。むしろ、必要以上に高温、長時間で熱延板焼鈍を行うと、AlN のオストワルド成長が生じ、インヒビターの抑制力が弱まる。また、高温、長時間の熱延板焼鈍を行うと表層部の粒成長が活発になり、表層粗大粒が生じ易い。この表層粗大粒は後の二次再結晶時に、二次粒の成長を阻害する。したがって、熱延板焼鈍温度は表層粗大化が生じない程度に低くしなければならない。AlN のオストワルド成長を抑え、且つ表層粗大化が生じないためには、1000℃以下で、60秒以内にすべきである。
【0022】
上述のとおり、インヒビター成分(Al,Se,S)量を制御し、熱延板焼鈍を低温、短時間で行うことにより、スラブ加熱温度が普通鋼並みに低くても実験室では、磁気特性が良好な方向性電磁鋼板が製造可能である。しかしながら、実機での製造では、コイル長手方向で、磁気特性が不均一であるという不具合が生じたため、発明者らは更に対策を検討した。鋭意研究の末、脱炭焼鈍の際の昇温速度を2段階に分けて制御することが非常に有効であることを新規に発見してこの目発明を得るに至ったのである。
【0023】
すなわち、この発明では、脱炭焼鈍の昇温速度を、
第1の昇温速度(u℃/s):600 ℃〜750 ℃の区間の昇温速度、
第2の昇温速度(v℃/s):750 ℃〜均熱速度より10℃低い温度までの区間の昇温速度、
に分けてそれぞれ制御する。
第1の昇温速度(u℃/s)は、1 次再結晶の核生成に影響を及ぼす。第2の昇温速度(v℃/s)は核生成後の一次再結晶粒の成長と脱炭挙動に影響を及ぼす。
【0024】
実験2(第1の昇温速度の影響検討)
表1のDの成分組成になる250 mm厚のスラブを1200℃の温度に加熱後、熱間圧延して2.5 mmの熱延コイルとした。これらのコイルに900 ℃で45秒間の熱延板焼鈍を施し、酸洗した後、0.34mmの厚みに冷間圧延した。
その後、冷間圧延した鋼板を採取し、脱脂処理後、実験室で脱炭焼鈍を施した。鋼板の採取の際には、熱延コイル長手方向の中央付近に相当する位置から採取した。この脱炭焼鈍では、第1の昇温速度(u℃/s)を変化させた。
【0025】
一部の試料は脱炭焼鈍の昇温過程の750 ℃到達後に炉から引き出して、一次再結晶完了直後の集合組織測定に供した。集合組織は、試料の表面から板厚方向に1/5 厚だけ化学研磨した位置で、X線極点図により測定し、極点図の測定データから3次元集合組織を計算により求めた。図1に、第1の昇温速度(u℃/s)の変化に伴う集合組織の変化を示す。図1(1) は一次再結晶集合組織の主方位である{554}〈225〉(以下、「M方位」と記す。)の強度、図1(2) は二次再結晶の核となる{110}〈001〉(以下、「G方位」と記す。)の強度、図1(3) はM方位{554}〈225〉の次に強い強度をもつ副方位{1241}〈014〉(以下、「S方位」と記す。)の強度である。この図1からuの増加に伴い、M方位が減少して、S方位、G方位が増加することが分かる。
【0026】
次に、集合組織測定用に脱炭焼鈍途中で抽出した試料以外は、第2の昇温速度(v℃/s)を10℃/sに一定として、第1の昇温速度(u℃/s)のみ変化させ、850 ℃で120 秒間の脱炭焼鈍を施した。その後、焼鈍分離剤を塗布して最終仕上げ焼鈍を施した。
図2に最終仕上げ焼鈍後、磁束密度B8を測定した結果を示す。u<2℃/sでは二次再結晶はしていたが、磁束密度が低下しており、二次再結晶粒の方位を測定すると{110}〈001〉方位(G方位)からずれた方位が多かった。図1、図2の結果を合わせて検討すると、第1の昇温速度;uが2℃/s未満では、一次再結晶の核生成段階で、二次再結晶の核となるべきG方位が少な過ぎるため、G方位に集積した二次再結晶粒が得られなくなることが解った。
【0027】
実験3(第2の昇温速度と脱炭挙動の検討)
実験2同様に、表1のDの成分組成になる250 mm厚のスラブを1200℃の温度に加熱後、熱間圧延して2.5 mmの熱延コイルとし、900 ℃で45秒間の熱延板焼鈍を施し、酸洗した後、0.34mmの厚みに冷間圧延した。その後、脱脂処理後、実機で脱炭焼鈍を施した。この脱炭焼鈍では、第1の昇温速度u=15(℃/s)と一定とし、第2の昇温速度vを変化させ、均熱温度850 ℃、在炉時間160 秒の脱炭焼鈍とした。脱炭焼鈍後、熱延コイルの長手方向中央付近に相当する位置から試料を採取し、炭素含有量を測定した。図3に第2の昇温速度vと脱炭焼鈍後の炭素含有量との関係を示す。v>15℃/sになると、炭素含有量が30ppm を超え、脱炭が不十分であったことがわかる。脱炭が不十分であると製品特性が時効劣化するので好ましくない。
【0028】
第2の昇温速度;vが小さいと脱炭が促進される理由は、次のように考えられる。脱炭は、焼鈍温度が高く、かつ、試料表面のサブスケールが形成されていない状況で促進される。750 ℃から均熱温度10℃手前の段階では、まだ十分にサブスケールが形成されておらず、かつ温度がある程度高いので、脱炭が生じやすい条件下にある。vが小さいとこの区間の時間が長く、効率的に脱炭が行われると考えられる。脱炭を促進するためには、均熱温度を上げる方法、均熱時間を延ばす方法もあるが、前者は一次再結晶粒が粗大化して二次再結晶時の駆動力が低下する間題があり、後者は生産効率が落ちるという間題がある。この発明では、第2の昇温速度;vを15℃/s以下とすることで、効率的に脱炭を行うことが可能であることを発見した。
【0029】
実験4(uとvの組み合わせ制御の検討)
実験2、3より、u≧2、v≦15が好適であることがわかった。しかしながら、以下のような二次再結晶不良が生じた。
表1のDの成分組成の250 mm厚のスラブを1200℃の温度に加熱後、熱間圧延して2.5 mmの熱延コイルとし、900 ℃で45秒間の熱延板焼鈍を施し、酸洗した後、0.34mmの厚みに冷間圧延した。その後、脱脂処理し、実機で脱炭焼鈍を施した。この脱炭焼鈍では、u=25(℃/s)、v=5(℃/s)で昇温し、850 ℃で120 秒間保持した。脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布して最終仕上げ焼鈍を施した。仕上げ焼鈍後の鋼板の磁気測定を行ったところ、熱延コイルの先端(X部)から中央(Y部)に相当する位置では、磁束密度B8が安定して1.85 T以上であったが、熱延コイルの尾端(Z部)に相当する位置で二次再結晶不良が生じ、磁束密度が低下した。
【0030】
かかるZ部での二次再結晶不良を回避するために、発明者らは、u、vの組み合わせ制御について更に検討を行った。
Z部で二次再結晶不良の生じた上述の製造条件と同様の条件で、冷間圧延まで行った。冷間圧延後、X部、Z部から実験室での実験用の試料を採取し、脱脂処理後、以下の昇温条件で脱炭焼鈍を行った。
u(℃/s):12、18、23、28(4条件)、
v(℃/s):2 、4 、6 、8 、10、12、14(7条件)、
【0031】
脱炭焼鈍の均熱温度は850 ℃、均熱時間は120 秒とした。脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布して最終仕上げ焼鈍を施し、磁気測定を行った。X部及びZ部の磁束密度B8をそれぞれ図4(1),(2) に示す。X部ではu、vによらずB8が1.85 T以上の良好な値を示したのに対し、Z部では、uが大きく、vが小さい場合に二次再結晶不良が生じ、B8が低下した。コイル全長で良好な磁気特性を得るには、1.5 u−30≦vを満足しなければいけないことがわかる。
【0032】
Z部で二次再結晶不良が生じた試料について、脱炭焼鈍後にさかのぼって集合組織を調査したところ、{554}〈225〉(M方位)が極端に少なく、{1241}〈014〉(S方位)が主方位になっていた。uが最も大きく、vが最も小さい条件(u=28℃/s,v=2℃/s)の試料について、脱炭焼鈍昇温途中の750 ℃到達時点と脱炭焼鈍後の集合組織をM方位強度、G方位強度及びS強度方位で図5に示す。
【0033】
脱炭焼鈍板の集合組織は、方位毎の核生成頻度と核生成直後の食い合いで大勢が決まると考えられる。第1の昇温速度uは、方位毎の核生成頻度に影響し、このuが大きい条件下では、実験2で述べたように、一次再結晶完了直後の段階(750 ℃到達時点)でM方位が少なく、S方位、G方位が多い。一方、第2の昇温速度vは、核生成直後の一次再結晶粒の食い合いに影響を与え、このvが小さいと(750 ℃から均熱温度までの段階に長く留まっていると)一次再結晶粒の食い合いが進む。このとき、M方位に比ベ、S方位の成長が頭著である。熱延途中で温度が低下しやすいZ部では、熱延中にインヒビターが粗大析出し易く、X部に比べて粒成長の抑制力が弱いため、一次再結晶粒同土の食い合いが活発に起こる。したがって、uが大きく、vが小さい場合のZ部において最もM方位が減少し、S方位が増加する。ここに、脱炭焼鈍後の集合組織については、{110}〈001〉(G方位)が成長しやすいようなマトリクスであることが重要である。G方位の成長に有利なマトリクスについては、諸説あるが、主方位であるM方位と副方位であるS方位が適度に存在することが好ましいと考えられる。
【0034】
【発明の実施の態様】
以下、この発明をより具体的に説明する。
(成分について)
C:0.005 wt%以上、0.08wt%以下
Cは、組織を改善し、二次再結晶を安定化させるために必要な成分で、そのために0.005 wt%以上が必要である。しかし、0.08wt%を超えると冷延時の破断が増加すること、また、脱炭焼鈍の際に脱炭に要する時間が長くなり生産性が落ちるのでこの発明には適さないことから、0.08wt%以下とする。
Si:2.0 wt%以上、4.5 wt%以下
Siは、電気抵抗を増加させ鉄損を低減するために必須の成分であり、このためには2.0 wt%以上含有させることが必要であるが、4.5 wt%を超えると加工性が劣化し、製造や製品の加工が極めて困難になるので、2.0 wt%以上4.5 wt%以下の範囲とする。
Mn:0.03wt%以上、2.5 wt%以下
Mnも同じく電気抵抗を高め、また、製造時の熱間加工性を向上させるので必要な成分である。この目的のためには、0.03wt%以上の含有が必要であるが、2.5 wt%を超えて含有した場合、γ変態を誘起して磁気特性が劣化するので、0.03wt%以上、2.5 wt%以下の範囲とする。
【0035】
酸可溶性Al:0.005 wt%以上、0.030 wt%以下
Alはインヒビター成分として、0.005 wt%以上、0.030 wt%以下含有させることが必要である。AlはNと結びついてAlN としてインヒビターの役割を果たすが、AlN をスラブ加熱時に固溶させ、熱延板焼鈍の昇温過程で微細析出させることにより、一次再結晶粒の成長抑制効果が高まる。しかし、Alの含有量が0.005 wt%未満の場合は、熱延板焼鈍の昇温過程において析出するAlN の量が不足し、逆に0.030 wt%を超える場合は、1260℃以下でのスラブ加熱の際にAlN の固溶が困難となるために熱延板焼鈍の昇温過程において微細に析出するAlN の量が不足する。したがって、インヒビターとしての効果を有効に発揮させるために、Alの含有量は0.005 wt%以上、0.030 wt%以下とする。
N:0.0030wt%以上、0.0100wt%以下
NはAlN を形成し、インヒビターとして機能するので0.0030wt%以上含有させることが必要である。しかしながら、0.0100%を超えて含有すると鋼中でガス化し、膨れ等の欠陥をもたらすので、0.0030wt%以上、0.0100wt%以下の範囲にしなければいけない。
【0036】
Se 及びS:Se+2.47S≦0.035 wt%
Se,Sは、MnあるいはCuと結びついてインヒビターとして機能するが、この発明の技術では、実験1で述べたようにSe,Sの含有量はSe+2.47Sを0.035 wt%以下にすることが有効である。Se+2.47Sが0.035 wt%を超えた場合、スラブ加熱温度が普通鋼並みに低い条件下では、MnSeあるいはMnS を核にしてAlN の粗大析出が生じやすくなり、インヒビターの抑制力が却って弱くなるためと考えられる。
【0037】
その他のインヒビター成分
Sb、Nb、Sn、Cr、Ge等を必要に応じて添加し、インヒビターとして機能させることもできる。特に、SbもしくはSnは粒界偏析し易く、これにより粒成長の抑制力を補強するので有効である。かかる作用を得るためには、これらの成分を0.001 wt%以上添加することが必要であるが、0.30wt%を超えると製品のベンド特性など機械的特性が劣化するので、その含有量は0.001 wt%以上、0.30wt%以下とするのが好ましい。
【0038】
(熱間圧延)
以上の成分に調整されたスラブは、通常の方法に従い、スラブ加熱に供された後、熱間圧延により熱延コイルとされる。
スラブ加熱温度は1260℃以下とする。スラブ加熱温度が低いことは、エネルギーコスト低減のために好ましいだけでなく、耳割れの防止に格段の効果があるので好ましい。なお、近年、スラブ加熱を行わず、連続鋳造後、直接熱間圧延を行う方法が開示されているが、この方法は、スラブ加熱温度を低くとれるので、この発明においても好適に実施し得る。
【0039】
(熱延板焼鈍)
熱延板焼鈍は800 ℃以上1000℃以下の温度で行い、均熱時間は60秒間以内とする。熱延板焼鈍の目的は、昇温過程でのインヒビターAlN の微細析出と組織の均一化であるが、この発明ではスラブ加熱温度が低い場合を対象としているため熱延板組織が細かく、組織均一化の必要はない。したがって、熱延板焼鈍は、AlN を微細析出させるために十分な温度(800 ℃以上)であれば良い。必要以上に高温、長時間で熱延板焼鈍を行うと、AlN のオストワルド成長が生じ、インヒビターの抑制力が弱まる。また、高温、長時間の熱延板焼鈍を行うと表層部の粒成長が活発になり、表層粗大粒が生じ易い。この表層粗大粒は後の二次再結晶時に、二次再結晶粒の成長を阻害する。したがって、熱延板焼鈍温度は表層粗大化が生じない程度に低くしなければいけない。AlN のオストワルド成長を抑え、かつ表層粗大化が生じないためには、熱延版焼鈍を1000℃以下で、60秒以内にすべきである。しかし、インヒビターを微細析出させることは必要不可欠であるので、熱延板焼鈍を省略したり、800 ℃未満で行うことは好ましくない。
【0040】
(冷間圧延)
熱延板焼鈍を施した後、1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚とする。冷間圧延はゼンジミア圧延機で行ってもタンデム圧延機で行っても良い。圧延温度を常温よりも高くし、圧延時の動的歪時効あるいはパス間での静的歪時効により集合組織を制御する方法は、この発明においても製品の磁気特性の向上のために有効である。
【0041】
(脱炭焼鈍、最終仕上げ焼鈍、コーテイング)
冷間圧延後、脱炭焼鈍を常法に従い施した後、焼鈍分離剤を塗布し、最終仕上げ焼鈍を施す。
脱炭焼鈍の昇温過程においては、コイル全長で良好な磁気特性を得るために、脱炭焼鈍の昇温速度を、
第1の昇温速度(u℃/s):600 ℃〜750 ℃の区間の昇温速度、
第2の昇温速度(v℃/s):750 ℃〜均熱速度より10℃低い温度までの区間の昇温速度、
に分けて制御する。前述の実験結果に基づき、u、vは以下の3式をすべて満足するように制御することが好ましい。
2≦u
0≦v≦15
1.5 u−30≦v
最終仕上げ焼鈍後は、必要に応じて絶縁コーテイングを塗布焼き付け、更に平坦化焼鈍を施し、製品とする。
【0042】
【実施例】
実施例1
表1に示すD〜Hの成分組成になる200 mm厚のスラブ各6本を1150℃の温度に加熱後、熱間圧延して2.4 mmの熱延コイルとした。各成分の熱延コイル6本に対し、以下の6条件の熱延板焼鈍を施した。
i:均熱温度 750℃、 均熱時間45秒、
ii:均熱温度 850℃、 均熱時間45秒、
iii:均熱温度 950℃、 均熱時間45秒、
iv:均熱温度 950℃、 均熱時間60秒、
v:均熱温度 950℃、 均熱時間90秒、
vi:均熱温度1050℃、 均熱時間45秒
【0043】
その後、酸洗した後、0.34mmの厚みに冷間圧延し、脱脂処理を行った後、830 ℃で120 秒間の脱炭焼鈍を施した。脱炭焼鈍の昇温過程においては、
u(第1の昇温速度:600 ℃〜750 ℃の区間の昇温速度)=10(℃/s)、
v(第2の昇温速度:750 ℃〜均熱速度より10℃低い温度までの区間の昇温速度)=10(℃/s)、
に制御した。脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布して最終仕上焼鈍を施した。最終仕上げ焼鈍後、未反応分離剤を除去し、コロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムを主成分とする絶縁コーテイングを塗布し、800 ℃で焼き付け製品とした。
【0044】
各製品から、熱延コイル長手方向のX部、Y部、Z部それぞれに対応する位置より圧延方向に沿ってエプスタインサイズの試験片を切り出し、磁束密度B8とW17/50(磁束密度1.7 T における鉄損)を測定した。結果を表3に示す。なお、発明例には下線を引いている。
表3に示されるように、スラブの成分組成がこの発明内であり、かつ、800 ℃以上1000℃以下の温度に60秒間以内保持する熱延板焼鈍を行った場合に、製品の磁気特性が良好であった。
【0045】
【表3】
Figure 0003709703
【0046】
実施例2
表1に示すGの成分組成の220 mm厚のスラブ各9本を1190℃の温度に加熱後、熱間圧延して2.5 mmの熱延コイルとした。これらのコイルに、900 ℃に45秒間保持する熱延板焼鈍を施し、酸洗した後、0.34mmの厚みまで冷間圧延を施した。その後、脱脂処理を行い、840 ℃で120 秒間の脱炭焼鈍を施した後、焼鈍分離剤を塗布して最終仕上焼鈍を施した。脱炭焼鈍の昇温過程においては、各成分のコイル9本に対して、
u(第1の昇温速度:600 ℃〜750 ℃の区間の昇温速度):
v(第2の昇温速度:750 ℃〜均熱速度より10℃低い温度までの区間の昇温速度)、
を以下の9条件とした。これらの条件を図6に示す。
【0047】
I :u= 1.0 ℃/s,v= 6.0 ℃/s、
II:u= 5.0 ℃/s,v= 3.0 ℃/s、
III:u= 9.0 ℃/s,v=12.0 ℃/s、
IV:u=15.0 ℃/s,v= 3.5 ℃/s、
V :u=20.0 ℃/s,v=10.0 ℃/s、
VI:u=21.0 ℃/s,v=14.0 ℃/s、
VII:u=28.0 ℃/s,v=13.0 ℃/s、
VIII:u=25.0 ℃/s,v= 3.0 ℃/s、
IX :u=35.0 ℃/s,v= 8.0 ℃/s、
【0048】
脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布して最終仕上焼鈍を施した。最終仕上げ焼鈍後、未反応分離剤を除去し、コロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムを主成分とする絶縁コーテイングを塗布し、800 ℃で焼き付け製品とした。各製品から、熱延コイル長手方向のX部、Y部、Z部それぞれに対応する位置より圧延方向に沿ってエプスタインサイズの試験片を切り出し、磁束密度B8とW17/50(磁束密度1.7 T における鉄損)を測定した。結果を表4に示す。
表4に示されるように、脱炭焼鈍の昇温条件がこの発明の範囲を満足する場合に、コイル全長にわたって、製品の磁気特性が良好であった。
【0049】
【表4】
Figure 0003709703
【0050】
実施例3
表1に示すHの成分組成になる250 mm厚のスラブ各9本を1220℃の温度に加熱後、熱間圧延して2.7 mmの熱延コイルとした。これらのコイルに、900 ℃に45秒間保持する熱延板焼鈍を施し、酸洗した後、1.6 mmの厚みまでの第1回目冷間圧延を施し、950 ℃の温度で中間焼鈍を施した後、酸洗し、0.22mmの厚みまでの第2回目の冷間圧延を施した。その後、脱脂処理を行い、850 ℃で120 秒間の脱炭焼鈍を施した後、焼鈍分離剤を塗布して最終仕上焼鈍を施した。脱炭焼鈍の昇温過程においては、各成分のコイル9本に対して、
u(第1の昇温速度:600 ℃〜750 ℃の区間の昇温速度)、
v(第2の昇温速度:750 ℃〜均熱速度より10℃低い温度までの区間の昇温速度)、
を以下の9条件とした。これらの条件を図6に示す。なお、実施例2の条件と同じである。
【0051】
I :u= 1.0 ℃/s,v= 6.0 ℃/s、
II:u= 5.0 ℃/s,v= 3.0 ℃/s、
III:u= 9.0 ℃/s,v=12.0 ℃/s、
IV:u=15.0 ℃/s,v= 3.5 ℃/s、
V :u=20.0 ℃/s,v=10.0 ℃/s、
VI:u=21.0 ℃/s,v=14.0 ℃/s、
VII:u=28.0 ℃/s,v=13.0 ℃/s、
VIII:u=25.0 ℃/s,v= 3.0 ℃/s、
IX :u=35.0 ℃/s,v= 8.0 ℃/s、
【0052】
脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布して最終仕上焼鈍を施した。最終仕上げ焼鈍後、未反応分離剤を除去し、コロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムを主成分とする絶縁コーテイングを塗布し、800 ℃で焼き付け製品とした。各製品から、熱延コイル長手方向のX部、Y部、Z部それぞれに対応する位置より圧延方向に沿ってエプスタインサイズの試験片を切り出し、磁束密度B8とW17/50(磁束密度1.7 Tにおける鉄損)を測定した。結果を表5に示す。
表5に示されるように、脱炭焼鈍の昇温条件がこの発明を満足する場合に、コイル全長にわたって、製品の磁気特性が良好であった。
【0053】
【表5】
Figure 0003709703
【0054】
【発明の効果】
この発明により、コイル全長で磁気特性を良好に保った汎用方向性けい素鋼板を安定して製造することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の昇温速度(u℃/s)の変化に伴う集合組織の変化を示す図である。
【図2】第1の昇温速度uと仕上焼鈍後の磁束密度との関係を示す図である。
【図3】第2の昇温速度vと脱炭焼鈍後の炭素含有量との関係を示す図である。
【図4】u,vと仕上焼鈍後のX部、Z部の磁束密度との関係を示す図である。
【図5】二次再結晶不良が生じた試料の集合組織を強度で示す図である。
【図6】実施例における脱炭焼鈍の昇温速度条件を示す図である。

Claims (1)

  1. C:0.005〜0.08wt%、Si:2.0〜4.5wt%、Mn:0.03〜2.5wt%、酸可溶性Al:0.005〜 0.030wt%及びN:0.003〜0.010wt%を含み、かつ、Se及びSをSe+2.47S≦0.035wt%を満足する範囲で含有するけい素鋼スラブを1260℃以下の温度に加熱後、熱間圧延し、次いで800℃以上 1000℃以下の温度に60秒間以内で保持する熱延板焼鈍を施した後、一回又は中間焼鈍を挟む二回以上の冷間圧延により最終板厚とし、更に、脱炭焼鈍、次いで焼鈍分離剤を塗布してから仕上焼鈍を施すに当たり、
    脱炭焼鈍の昇温速度を、600〜750 ℃の区間と 750℃から均熱温度より10℃低い温度までの区間とに分け 600 750 ℃の区間の昇温速度をu℃ /s 750 ℃から均熱温度より 10 ℃低い温度までの区間の昇温速度をv℃ /s とするとき、以下に示す3式を全て満足するように、 600 750 ℃の区間の昇温速度及び 750 ℃から均熱温度より 10 ℃低い温度までの区間の昇温速度をそれぞれに制御することを特徴とする一方向性電磁鋼板の製造方法。
    2≦u
    0≦v≦ 15
    1.5 u− 30 ≦v
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