JP3709662B2 - エンジンの燃料噴射弁 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電磁歪アクチュエータを介して針弁前後の燃料圧力を変化させることにより針弁を作動させるエンジンの燃料噴射弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用エンジンに備えられる燃料噴射弁等に、印加電圧に応じて伸張するピエゾアクチュエータ(圧電素子)を備え、ピエゾアクチュエータを介して針弁(弁体)を開弁作動させるものがあった。針弁をピエゾアクチュエータにより駆動することにより、燃料噴射弁の高速応答性が高まり、最大噴射量と最小噴射量の比(ダイナミックレンジ)が拡大してエンジンの高出力化に対応できる。また、少量の燃料を安定して噴射できるので、エンジンの燃費低減がはかれる。
【0003】
この種の燃料噴射弁として、針弁をその前後差圧に基づいて開弁させるようにしたものが知られている。針弁の前後には燃料室と差圧室が画成されており、燃料室には所定の圧力で燃料が導入され、差圧室は燃料室とオリフィスを介して連通されている。針弁背後側の差圧室にはピエゾアクチュエータが設けられており、このピエゾアクチュエータの伸縮により針弁の開閉作動が制御される。すなわち、ピエゾアクチュエータに電圧を印加して伸長させた状態で針弁前後の燃料室と差圧室の圧力はオリフィスを介して均等化されている。このとき針弁はリターンスプリングの張力により閉弁保持されている。この状態からピエゾアクチュエータの両端子を短絡させてピエゾアクチュエータを瞬時に収縮させると、針弁背後の差圧室の容積が拡大する。このとき、差圧室は針弁前方の燃料室に対してオリフィスを介して連通しているので、一時的に差圧室の内圧が低下し針弁の前後に開弁方向の圧力差が発生する。これにより針弁はリターンスプリングに抗して開弁し、噴口が開いて燃料が噴射されることになる。(この種の燃料噴射弁の公知例としては、例えば特開平5−99092号公報を参照。)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のこのようなピエゾアクチュエータを用いた燃料噴射弁では、開弁した後針弁がシート部に着座して噴口を閉じるときに、噴口の圧力が一時的に増大することに起因して、針弁がシート部に着座できず一時的にシート部から離れるジャンピングを起こして、所定の噴射時期以外で燃料を再度噴射する二次噴射を起こす可能性があった。
【0005】
また、エンジンの始動時において、燃料ポンプからの燃料はまず燃料室に導かれ、次いでオリフィスを介して背圧室に燃料が流入するので、背圧室の圧力が上昇し終わるまでの間は、針弁の前後に圧力差が生じるため、針弁が所定の噴射時期以外でリターンスプリングに抗して開弁して燃料が噴射されてしまう初期燃料噴射を起こす可能性があった。
【0006】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、エンジンの燃料噴射弁において、燃料の二次噴射や初期噴射を防止することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のエンジンの燃料噴射弁は、燃料供給通路から燃料室に導かれる加圧燃料を噴射する噴口と、噴口を開閉する針弁と、針弁を閉弁方向に付勢する第一リターンスプリングと、針弁の背後に画成される背圧室を拡縮するスプール弁と、印加される電圧または磁界に応じてスプール弁を駆動する電磁歪アクチュエータとを備え、スプール弁は背圧室を収縮するポジションaにて燃料供給通路に対して背圧室を連通し燃料室を遮断する一方、背圧室を拡張するポジションbにて燃料供給通路に対して燃料室を連通し背圧室を遮断する構成とするものとした。
【0008】
請求項2に記載のエンジンの燃料噴射弁は、請求項1に記載の発明において、前記スプール弁をエンジン始動前にポジションaに保持する構成とした。
【0009】
請求項3に記載のエンジンの燃料噴射弁は、請求項1または2に記載の発明において、前記電磁歪アクチュエータの伸縮に応じて拡縮する差圧室を備え、スプール弁が背圧室と差圧室の圧力差に応じてポジションaとポジションbの間で移動する構成とした。
【0010】
請求項4に記載のエンジンの燃料噴射弁は、請求項3に記載の発明において、前記スプール弁をポジションa方向に付勢する第二リターンスプリングを備えるものとした。
【0011】
【発明の作用および効果】
請求項1に記載の発明において、燃料噴射弁の開弁作動時に、電磁歪アクチュエータがスプール弁をポジションbに切換え、燃料供給通路から導かれる高圧燃料を燃料室に供給する。一方、スプール弁が背圧室の容積を拡大するのに伴って、背圧室と燃料室に圧力差が発生し、この圧力差により針弁が第一リターンスプリングに抗して噴口を開き、燃料室の高圧燃料が噴口を通って噴射される。
【0012】
燃料噴射弁の閉弁作動時に、電磁歪アクチュエータはスプール弁をポジションaに切換え、燃料供給通路と燃料室の連通を遮断して噴口への燃料の供給を停止する。一方、スプール弁がポジションaに移動するのに伴って燃料供給通路からの高圧燃料が背圧室に供給され、背圧室の圧力が直ちに上昇し、背圧室と燃料室の圧力差および第一リターンスプリングの付勢力により針弁は噴口を閉じ、燃料の噴射が停止する。
【0013】
針弁が噴口を閉じるときに、燃料室の圧力が一時的に上昇しようとするが、スプール弁が燃料室への燃料の供給を停止しているとともに、前述したように背圧室の圧力を高めていることにより、針弁が閉弁後に再度開弁することなく、所定の噴射時期以外で燃料を噴射する二次噴射を防止できる。
【0014】
請求項2に記載の発明において、エンジン始動時に燃料ポンプが駆動されて燃料供給通路に導かれる燃料圧力が上昇する際に、スプール弁はポジションaに保持されている。燃料ポンプが駆動されるのに伴って背圧室に導かれる燃料圧力が上昇すると、針弁が閉弁方向に付勢され、エンジン始動時に所定の噴射時期以外で針弁が開弁して燃料が噴射されてしまう初期噴射を防止できる。この結果、エンジンの始動性を高められ、排気エミッションの悪化を防止することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明において、燃料噴射弁の開弁作動時に、電磁歪アクチュエータが差圧室を拡張し、差圧室と背圧室の圧力差によりスプール弁がポジションbに切換わる。
【0016】
燃料噴射弁の閉弁作動時に、電磁歪アクチュエータが差圧室を収縮するのに伴って、差圧室の圧力が直ちに回復し、差圧室と背圧室の圧力差によりスプール弁がポジションaに切換わる。
【0017】
請求項4に記載の発明において、エンジン始動前に燃料ポンプが駆動されて燃料供給通路に導かれる燃料圧力が上昇するときに、スプール弁は第二リターンスプリングの弾性復元力によりポジションaに保持される。
【0018】
燃料噴射弁の開弁作動時に、電磁歪アクチュエータが差圧室を拡張し、差圧室と背圧室の圧力差によりスプール弁が第二リターンスプリングに抗してポジションbに切換わる。
【0019】
燃料噴射弁の閉弁作動時に、電磁歪アクチュエータがエンジン回転に同期して差圧室を収縮するのに伴って、差圧室の圧力が直ちに回復し、差圧室と背圧室の圧力差および第二リターンスプリングの付勢力によりスプール弁がポジションaに切換わる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を筒内噴射式火花点火エンジンに備えられる燃料噴射弁に適用した実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1に示すように、燃料噴射弁7はその先端に設けられるノズルボディ1を図示しないエンジンの燃焼室に臨ませる。ノズルボディ1はエンジンの燃焼室天井壁から燃焼室に臨み、ノズルボディ1の先端に開口した噴口1bから燃料噴霧をピストンの冠部に向けて噴出するようになっている。
【0022】
ノズルボディ1の内部に針弁2が摺動可能に収装される。ノズルボディ1の内部には針弁2のまわりに燃料室3が画成される。ノズルボディ1の先端に噴口1bが開口し、噴口1bは針弁2によって開閉される。
【0023】
図3に示すように、フューエルタンク59に貯溜された燃料は、電動モータ54により駆動される低圧燃料ポンプ58を介して吸い上げられ、高圧燃料ポンプ57に圧送される。
【0024】
エンジン50により駆動される高圧燃料ポンプ57は、さらに加圧した燃料を蓄圧室56へと送り、蓄圧室56から各気筒の燃料噴射弁7に燃料を圧送する。燃料戻し通路52にはプレッシャレギュレータ55が設けられ、蓄圧室56の余剰燃料をフューエルタンク59へと戻すことで、燃料噴射弁7に導かれる燃料圧力を所定値以下に保つようになっている。
【0025】
燃料ポンプ58から圧送される燃料は、燃料噴射弁内の燃料供給通路31と第二燃料通路33を通って燃料室3に導入され、針弁2のリフトに伴って噴口1bから噴射される。
【0026】
針弁2はその基端側にピストン部2cを有する。ノズルボディ1およびケーシング9とピストン部2cおよび後述するスプール弁6の間には背圧室8が画成される。
【0027】
燃料室3と背圧室8はピストン部2cのまわりに形成された第一絞り通路(隙間)5を介して連通する。この背圧室8は第二燃料通路33とは別に形成された第一燃料通路32を介しても燃料供給通路31からの燃料を導くことができるようになっている。
【0028】
燃料ポンプ58から導かれる燃料圧力は、燃料供給通路31と第二燃料通路33を通って背圧室8に導かれる。
【0029】
針弁2を閉弁方向に付勢する第一リターンスプリング4が設けられる。第一リターンスプリング4は針弁2のピストン部2cとケーシング9の間に圧縮された状態で介装され、針弁2と同軸上に配置される。なお、第一リターンスプリング4が針弁2に付与する弾性復元力は、針弁2に働く燃焼圧に対抗して針弁2を閉弁保持できるように設定される。
【0030】
ノズルボディ1の基端とケーシング9の間にはシム17が介装される。このシム17は円盤状に形成され、シム17の板厚によって針弁2の最大リフト量が決まる。
【0031】
ケーシング9の内部には背圧室8を画成するスプール弁6が摺動可能に介装される。スプール弁6はケーシング9の内壁面に摺接する2つのランド部を有する。
【0032】
スプール弁6はその摺動位置に応じて図1に示すように燃料供給通路31と第一燃料通路32を連通し、かつ燃料供給通路31と第二燃料通路33の連通を遮断するポジションaと、図2に示すように燃料供給通路31と第二燃料通路33を連通し、かつ燃料供給通路31と第一燃料通路32の連通を遮断するポジションbに切換えられる。
【0033】
スプール弁6を図1に示すポジションaに保持する第二リターンスプリング15が設けられる。第二リターンスプリング15はスプール弁6とケーシング9の間にリテーナ29を介して圧縮された状態で介装され、スプール弁6と同軸上に配置される。
【0034】
ケーシング9の内部にはスプール弁6との間に差圧室16を画成するピストン11が摺動可能に介装される。ピストン11の外周にはOリング12が介装される。Oリング12がケーシング9の円筒状をした内壁面に摺接することにより、差圧室16の密封がはかれる。
【0035】
ピストン11を介して針弁2を開閉駆動するピエゾアクチュエータ10が設けられる。ピエゾアクチュエータ10は円盤状をした複数のピエゾ素子が、同じく円盤状をした内部電極を挟んで積層される。
【0036】
ピストン11はピエゾアクチュエータ10の移動端に結合される。ピストン11はピエゾアクチュエータ10の伸縮動作に伴って変位し、差圧室16を拡縮する。
【0037】
ピエゾアクチュエータ10の固定端には端板14が結合される。ケーシング9の開口端にはアジャストプレート21,22が取付けられる。端板14はアジャストプレート21に当接してピエゾアクチュエータ10の固定端を支持する。
【0038】
スプール弁6は背圧室8と差圧室16を仕切り、背圧室8と差圧室16の圧力差に応じてポジションaとポジションbの間で変位する。
【0039】
背圧室8と差圧室16はスプール弁6のまわり形成された第二絞り通路(隙間)25を介して連通する。
【0040】
ピエゾアクチュエータ10が各ピエゾ素子に印加される電圧が遮断短絡されて収縮すると、差圧室16を拡大してその圧力を低下させ、背圧室8との間に差圧を発生させ、第二リターンスプリング15に抗してスプール弁6をポジションbに移動させる。
【0041】
ピエゾアクチュエータ10が各ピエゾ素子に図示しない駆動用アンプから電圧が印加されて伸長すると、差圧室16を収縮して圧力を回復させ、つまりスプール弁6にかかる差圧を相殺し、第二リターンスプリング15によりスプール弁6をポジションaに移動させる。
【0042】
なお、ピエゾアクチュエータ10に代えて印加される磁界の強さに応じて伸縮する超磁歪素子からなる磁歪アクチュエータを用いてもよい。ここではピエゾアクチュエータと磁歪アクチュエータ等を総称して電磁歪アクチュエータとする。
【0043】
燃料噴射弁7は、ピエゾアクチュエータ10の変位方向とスプール弁6および針弁2の変位方向が一致しているため、ピエゾアクチュエータ10とピストン11とスプール弁6と針弁2および第一、第二リターンスプリング4,15を直列に並べられ、構造の簡素化がはかれる。
【0044】
コントローラ19で演算された燃料噴射量に対応するパルス信号がつくられ、このパルス信号に応じた電圧が駆動用アンプを介してピエゾアクチュエータ10に印加される。
【0045】
コントローラ19はエンジン50の回転数、エンジン50の吸入空気量を始めエンジン運転条件を検出する各種信号を入力し、これらのエンジン運転条件に応じて燃料噴射量を演算する。
【0046】
ピストン11とケーシング9の間にはリテーナ29を介して皿バネ状をした与圧スプリング18が介装される。ピエゾアクチュエータ10は与圧スプリング18によって圧縮荷重が付加された状態で伸縮させるので、安定した作動性が確保される。
【0047】
以上のように構成され、次に作用について説明する。
【0048】
エンジン停止時にピエゾアクチュエータ10は収縮し、燃料室3と背圧室8および差圧室16の圧力はそれぞれ低下している。このとき針弁2は第一リターンスプリング4の弾性復元力によりノズルボディ1のシート部1aに押し付けられる。
【0049】
エンジン50の始動に際して燃料ポンプが駆動されると燃料供給通路31に導かれる燃料圧力が上昇する。このとき、図1に示すように、スプール弁6は第二リターンスプリング15の弾性復元力によりポジションaに保持され、燃料供給通路31は第一燃料通路32に連通するとともに、燃料供給通路31と第二燃料通路33との連通は遮断されている。したがって、燃料ポンプ吐出圧は、まず背圧室8に導かれ、針弁2を閉弁方向に付勢する。このとき、燃料室3には、燃料圧力が作用せず、針弁2は第一リターンスプリング4の弾性復元力とピストン部2cに生じる押圧力を合わせた力によってノズルボディ1のシート部1aに強く押し付けられる。これにより、エンジンの始動に際して針弁2が開弁して燃料が噴射されてしまう初期噴射を防止できる。
【0050】
こうして初期噴射を防止しつつ背圧室8の圧力が高まるのに伴って第一絞り通路5を介して燃料室3の圧力が高められ、ピストン部2cの前後に生じる燃料室3と背圧室8の圧力は第一絞り通路5を介して均等化されている。
【0051】
次に、燃料噴射弁8の開弁動作は、エンジン回転に同期してピエゾアクチュエータ10に印加される電圧が遮断短絡されることにより行われる。
【0052】
このてき、ピエゾアクチュエータ10は収縮し、ピストン11が移動して差圧室16の容積を拡大すると、差圧室16の圧力が低下し、背圧室8との圧力差によりスプール弁6は第二リターンスプリング15に抗してポジションbに移動する。
【0053】
こうしてスプール弁6がポジションbに移動すると、図2に示すように燃料供給通路31と第一燃料通路32の連通が遮断されるとともに燃料供給通路31は第二燃料通路33に連通する。これにより、燃料供給通路31から導かれる高圧燃料は第二燃料通路33を通って直ちに燃料室3に供給される。
【0054】
一方、スプール弁6が移動するのに伴って背圧室8の容積が拡大する。このとき、背圧室8は第二燃料通路33との連通が遮断されているので、背圧室8の圧力が低下する。したがって、背圧室8と燃料室3との間には圧力差が生じ、針弁2は第一リターンスプリング4に抗して噴口1bを開き、燃料室3の高圧燃料がエンジン50の燃焼室に噴射される。
【0055】
燃料噴射弁7の閉弁作動時は、エンジン回転に同期して、ピエゾアクチュエータ10はに電圧が印加されることにより行われる。
【0056】
このとき、ピエゾアクチュエータ10は伸長し、ピストン11が移動して、差圧室16の容積が縮小すると、差圧室16の圧力が直ちに回復し、差圧室16と背圧室8の圧力差および第二リターンスプリング15の付勢力によりスプール弁6がポジションaに移動する。
【0057】
スプール弁6がポジションaに移動すると、図1に示すように燃料供給通路31と第二燃料通路33の連通が遮断されるとともに、燃料供給通路31は第一燃料通路32に連通する。これにより、燃料供給通路31から導かれる高圧燃料は第一燃料通路32を通って直接背圧室8に供給され、この高圧燃料は針弁2を閉弁方向に直ちに押圧することになる。
【0058】
こうして、背圧室8と燃料室3の圧力差および第一リターンスプリング4の付勢力により針弁2が移動してノズルボディ1のシート部1aに着座する。針弁2がシート部に着座することにより、噴口1bが閉塞され、燃料の噴射が停止される。
【0059】
ところで、針弁2がシート部1aに着座する際、スプール弁6は第二燃料通路33を閉塞して燃料室3への燃料の供給を停止しているので、閉弁間際における燃料室3の圧力の上昇を抑えることが可能であり、背圧室8の圧力が高められていることと相俟って、針弁2がシート部1aに着座した後、ジャンピングして再度開弁することなく、所定の噴射時期以外で燃料を噴射する二次噴射を防止できる。また、閉弁時は、背圧室8の圧力が高められるので、副次的に針弁2の閉弁速度が上昇し、針弁2の閉弁応答性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示し、閉弁時における燃料噴射弁の断面図。
【図2】同じく開弁時における燃料噴射弁の断面図。
【図3】同じく燃料供給系のシステム図。
【符号の説明】
1 ノズルボディ
1b 噴口
2 針弁
2c ピストン部
3 燃料室
4 第一リターンスプリング
5 第一絞り通路
6 スプール弁
7 燃料噴射弁
8 背圧室
9 ケーシング
10 ピエゾアクチュエータ
11 ピストン
15 第二リターンスプリング
16 差圧室
18 与圧スプリング
25 第二絞り通路
31 燃料供給通路
32 第一燃料通路
33 第二燃料通路
【発明の属する技術分野】
この発明は、電磁歪アクチュエータを介して針弁前後の燃料圧力を変化させることにより針弁を作動させるエンジンの燃料噴射弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用エンジンに備えられる燃料噴射弁等に、印加電圧に応じて伸張するピエゾアクチュエータ(圧電素子)を備え、ピエゾアクチュエータを介して針弁(弁体)を開弁作動させるものがあった。針弁をピエゾアクチュエータにより駆動することにより、燃料噴射弁の高速応答性が高まり、最大噴射量と最小噴射量の比(ダイナミックレンジ)が拡大してエンジンの高出力化に対応できる。また、少量の燃料を安定して噴射できるので、エンジンの燃費低減がはかれる。
【0003】
この種の燃料噴射弁として、針弁をその前後差圧に基づいて開弁させるようにしたものが知られている。針弁の前後には燃料室と差圧室が画成されており、燃料室には所定の圧力で燃料が導入され、差圧室は燃料室とオリフィスを介して連通されている。針弁背後側の差圧室にはピエゾアクチュエータが設けられており、このピエゾアクチュエータの伸縮により針弁の開閉作動が制御される。すなわち、ピエゾアクチュエータに電圧を印加して伸長させた状態で針弁前後の燃料室と差圧室の圧力はオリフィスを介して均等化されている。このとき針弁はリターンスプリングの張力により閉弁保持されている。この状態からピエゾアクチュエータの両端子を短絡させてピエゾアクチュエータを瞬時に収縮させると、針弁背後の差圧室の容積が拡大する。このとき、差圧室は針弁前方の燃料室に対してオリフィスを介して連通しているので、一時的に差圧室の内圧が低下し針弁の前後に開弁方向の圧力差が発生する。これにより針弁はリターンスプリングに抗して開弁し、噴口が開いて燃料が噴射されることになる。(この種の燃料噴射弁の公知例としては、例えば特開平5−99092号公報を参照。)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のこのようなピエゾアクチュエータを用いた燃料噴射弁では、開弁した後針弁がシート部に着座して噴口を閉じるときに、噴口の圧力が一時的に増大することに起因して、針弁がシート部に着座できず一時的にシート部から離れるジャンピングを起こして、所定の噴射時期以外で燃料を再度噴射する二次噴射を起こす可能性があった。
【0005】
また、エンジンの始動時において、燃料ポンプからの燃料はまず燃料室に導かれ、次いでオリフィスを介して背圧室に燃料が流入するので、背圧室の圧力が上昇し終わるまでの間は、針弁の前後に圧力差が生じるため、針弁が所定の噴射時期以外でリターンスプリングに抗して開弁して燃料が噴射されてしまう初期燃料噴射を起こす可能性があった。
【0006】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、エンジンの燃料噴射弁において、燃料の二次噴射や初期噴射を防止することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のエンジンの燃料噴射弁は、燃料供給通路から燃料室に導かれる加圧燃料を噴射する噴口と、噴口を開閉する針弁と、針弁を閉弁方向に付勢する第一リターンスプリングと、針弁の背後に画成される背圧室を拡縮するスプール弁と、印加される電圧または磁界に応じてスプール弁を駆動する電磁歪アクチュエータとを備え、スプール弁は背圧室を収縮するポジションaにて燃料供給通路に対して背圧室を連通し燃料室を遮断する一方、背圧室を拡張するポジションbにて燃料供給通路に対して燃料室を連通し背圧室を遮断する構成とするものとした。
【0008】
請求項2に記載のエンジンの燃料噴射弁は、請求項1に記載の発明において、前記スプール弁をエンジン始動前にポジションaに保持する構成とした。
【0009】
請求項3に記載のエンジンの燃料噴射弁は、請求項1または2に記載の発明において、前記電磁歪アクチュエータの伸縮に応じて拡縮する差圧室を備え、スプール弁が背圧室と差圧室の圧力差に応じてポジションaとポジションbの間で移動する構成とした。
【0010】
請求項4に記載のエンジンの燃料噴射弁は、請求項3に記載の発明において、前記スプール弁をポジションa方向に付勢する第二リターンスプリングを備えるものとした。
【0011】
【発明の作用および効果】
請求項1に記載の発明において、燃料噴射弁の開弁作動時に、電磁歪アクチュエータがスプール弁をポジションbに切換え、燃料供給通路から導かれる高圧燃料を燃料室に供給する。一方、スプール弁が背圧室の容積を拡大するのに伴って、背圧室と燃料室に圧力差が発生し、この圧力差により針弁が第一リターンスプリングに抗して噴口を開き、燃料室の高圧燃料が噴口を通って噴射される。
【0012】
燃料噴射弁の閉弁作動時に、電磁歪アクチュエータはスプール弁をポジションaに切換え、燃料供給通路と燃料室の連通を遮断して噴口への燃料の供給を停止する。一方、スプール弁がポジションaに移動するのに伴って燃料供給通路からの高圧燃料が背圧室に供給され、背圧室の圧力が直ちに上昇し、背圧室と燃料室の圧力差および第一リターンスプリングの付勢力により針弁は噴口を閉じ、燃料の噴射が停止する。
【0013】
針弁が噴口を閉じるときに、燃料室の圧力が一時的に上昇しようとするが、スプール弁が燃料室への燃料の供給を停止しているとともに、前述したように背圧室の圧力を高めていることにより、針弁が閉弁後に再度開弁することなく、所定の噴射時期以外で燃料を噴射する二次噴射を防止できる。
【0014】
請求項2に記載の発明において、エンジン始動時に燃料ポンプが駆動されて燃料供給通路に導かれる燃料圧力が上昇する際に、スプール弁はポジションaに保持されている。燃料ポンプが駆動されるのに伴って背圧室に導かれる燃料圧力が上昇すると、針弁が閉弁方向に付勢され、エンジン始動時に所定の噴射時期以外で針弁が開弁して燃料が噴射されてしまう初期噴射を防止できる。この結果、エンジンの始動性を高められ、排気エミッションの悪化を防止することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明において、燃料噴射弁の開弁作動時に、電磁歪アクチュエータが差圧室を拡張し、差圧室と背圧室の圧力差によりスプール弁がポジションbに切換わる。
【0016】
燃料噴射弁の閉弁作動時に、電磁歪アクチュエータが差圧室を収縮するのに伴って、差圧室の圧力が直ちに回復し、差圧室と背圧室の圧力差によりスプール弁がポジションaに切換わる。
【0017】
請求項4に記載の発明において、エンジン始動前に燃料ポンプが駆動されて燃料供給通路に導かれる燃料圧力が上昇するときに、スプール弁は第二リターンスプリングの弾性復元力によりポジションaに保持される。
【0018】
燃料噴射弁の開弁作動時に、電磁歪アクチュエータが差圧室を拡張し、差圧室と背圧室の圧力差によりスプール弁が第二リターンスプリングに抗してポジションbに切換わる。
【0019】
燃料噴射弁の閉弁作動時に、電磁歪アクチュエータがエンジン回転に同期して差圧室を収縮するのに伴って、差圧室の圧力が直ちに回復し、差圧室と背圧室の圧力差および第二リターンスプリングの付勢力によりスプール弁がポジションaに切換わる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を筒内噴射式火花点火エンジンに備えられる燃料噴射弁に適用した実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1に示すように、燃料噴射弁7はその先端に設けられるノズルボディ1を図示しないエンジンの燃焼室に臨ませる。ノズルボディ1はエンジンの燃焼室天井壁から燃焼室に臨み、ノズルボディ1の先端に開口した噴口1bから燃料噴霧をピストンの冠部に向けて噴出するようになっている。
【0022】
ノズルボディ1の内部に針弁2が摺動可能に収装される。ノズルボディ1の内部には針弁2のまわりに燃料室3が画成される。ノズルボディ1の先端に噴口1bが開口し、噴口1bは針弁2によって開閉される。
【0023】
図3に示すように、フューエルタンク59に貯溜された燃料は、電動モータ54により駆動される低圧燃料ポンプ58を介して吸い上げられ、高圧燃料ポンプ57に圧送される。
【0024】
エンジン50により駆動される高圧燃料ポンプ57は、さらに加圧した燃料を蓄圧室56へと送り、蓄圧室56から各気筒の燃料噴射弁7に燃料を圧送する。燃料戻し通路52にはプレッシャレギュレータ55が設けられ、蓄圧室56の余剰燃料をフューエルタンク59へと戻すことで、燃料噴射弁7に導かれる燃料圧力を所定値以下に保つようになっている。
【0025】
燃料ポンプ58から圧送される燃料は、燃料噴射弁内の燃料供給通路31と第二燃料通路33を通って燃料室3に導入され、針弁2のリフトに伴って噴口1bから噴射される。
【0026】
針弁2はその基端側にピストン部2cを有する。ノズルボディ1およびケーシング9とピストン部2cおよび後述するスプール弁6の間には背圧室8が画成される。
【0027】
燃料室3と背圧室8はピストン部2cのまわりに形成された第一絞り通路(隙間)5を介して連通する。この背圧室8は第二燃料通路33とは別に形成された第一燃料通路32を介しても燃料供給通路31からの燃料を導くことができるようになっている。
【0028】
燃料ポンプ58から導かれる燃料圧力は、燃料供給通路31と第二燃料通路33を通って背圧室8に導かれる。
【0029】
針弁2を閉弁方向に付勢する第一リターンスプリング4が設けられる。第一リターンスプリング4は針弁2のピストン部2cとケーシング9の間に圧縮された状態で介装され、針弁2と同軸上に配置される。なお、第一リターンスプリング4が針弁2に付与する弾性復元力は、針弁2に働く燃焼圧に対抗して針弁2を閉弁保持できるように設定される。
【0030】
ノズルボディ1の基端とケーシング9の間にはシム17が介装される。このシム17は円盤状に形成され、シム17の板厚によって針弁2の最大リフト量が決まる。
【0031】
ケーシング9の内部には背圧室8を画成するスプール弁6が摺動可能に介装される。スプール弁6はケーシング9の内壁面に摺接する2つのランド部を有する。
【0032】
スプール弁6はその摺動位置に応じて図1に示すように燃料供給通路31と第一燃料通路32を連通し、かつ燃料供給通路31と第二燃料通路33の連通を遮断するポジションaと、図2に示すように燃料供給通路31と第二燃料通路33を連通し、かつ燃料供給通路31と第一燃料通路32の連通を遮断するポジションbに切換えられる。
【0033】
スプール弁6を図1に示すポジションaに保持する第二リターンスプリング15が設けられる。第二リターンスプリング15はスプール弁6とケーシング9の間にリテーナ29を介して圧縮された状態で介装され、スプール弁6と同軸上に配置される。
【0034】
ケーシング9の内部にはスプール弁6との間に差圧室16を画成するピストン11が摺動可能に介装される。ピストン11の外周にはOリング12が介装される。Oリング12がケーシング9の円筒状をした内壁面に摺接することにより、差圧室16の密封がはかれる。
【0035】
ピストン11を介して針弁2を開閉駆動するピエゾアクチュエータ10が設けられる。ピエゾアクチュエータ10は円盤状をした複数のピエゾ素子が、同じく円盤状をした内部電極を挟んで積層される。
【0036】
ピストン11はピエゾアクチュエータ10の移動端に結合される。ピストン11はピエゾアクチュエータ10の伸縮動作に伴って変位し、差圧室16を拡縮する。
【0037】
ピエゾアクチュエータ10の固定端には端板14が結合される。ケーシング9の開口端にはアジャストプレート21,22が取付けられる。端板14はアジャストプレート21に当接してピエゾアクチュエータ10の固定端を支持する。
【0038】
スプール弁6は背圧室8と差圧室16を仕切り、背圧室8と差圧室16の圧力差に応じてポジションaとポジションbの間で変位する。
【0039】
背圧室8と差圧室16はスプール弁6のまわり形成された第二絞り通路(隙間)25を介して連通する。
【0040】
ピエゾアクチュエータ10が各ピエゾ素子に印加される電圧が遮断短絡されて収縮すると、差圧室16を拡大してその圧力を低下させ、背圧室8との間に差圧を発生させ、第二リターンスプリング15に抗してスプール弁6をポジションbに移動させる。
【0041】
ピエゾアクチュエータ10が各ピエゾ素子に図示しない駆動用アンプから電圧が印加されて伸長すると、差圧室16を収縮して圧力を回復させ、つまりスプール弁6にかかる差圧を相殺し、第二リターンスプリング15によりスプール弁6をポジションaに移動させる。
【0042】
なお、ピエゾアクチュエータ10に代えて印加される磁界の強さに応じて伸縮する超磁歪素子からなる磁歪アクチュエータを用いてもよい。ここではピエゾアクチュエータと磁歪アクチュエータ等を総称して電磁歪アクチュエータとする。
【0043】
燃料噴射弁7は、ピエゾアクチュエータ10の変位方向とスプール弁6および針弁2の変位方向が一致しているため、ピエゾアクチュエータ10とピストン11とスプール弁6と針弁2および第一、第二リターンスプリング4,15を直列に並べられ、構造の簡素化がはかれる。
【0044】
コントローラ19で演算された燃料噴射量に対応するパルス信号がつくられ、このパルス信号に応じた電圧が駆動用アンプを介してピエゾアクチュエータ10に印加される。
【0045】
コントローラ19はエンジン50の回転数、エンジン50の吸入空気量を始めエンジン運転条件を検出する各種信号を入力し、これらのエンジン運転条件に応じて燃料噴射量を演算する。
【0046】
ピストン11とケーシング9の間にはリテーナ29を介して皿バネ状をした与圧スプリング18が介装される。ピエゾアクチュエータ10は与圧スプリング18によって圧縮荷重が付加された状態で伸縮させるので、安定した作動性が確保される。
【0047】
以上のように構成され、次に作用について説明する。
【0048】
エンジン停止時にピエゾアクチュエータ10は収縮し、燃料室3と背圧室8および差圧室16の圧力はそれぞれ低下している。このとき針弁2は第一リターンスプリング4の弾性復元力によりノズルボディ1のシート部1aに押し付けられる。
【0049】
エンジン50の始動に際して燃料ポンプが駆動されると燃料供給通路31に導かれる燃料圧力が上昇する。このとき、図1に示すように、スプール弁6は第二リターンスプリング15の弾性復元力によりポジションaに保持され、燃料供給通路31は第一燃料通路32に連通するとともに、燃料供給通路31と第二燃料通路33との連通は遮断されている。したがって、燃料ポンプ吐出圧は、まず背圧室8に導かれ、針弁2を閉弁方向に付勢する。このとき、燃料室3には、燃料圧力が作用せず、針弁2は第一リターンスプリング4の弾性復元力とピストン部2cに生じる押圧力を合わせた力によってノズルボディ1のシート部1aに強く押し付けられる。これにより、エンジンの始動に際して針弁2が開弁して燃料が噴射されてしまう初期噴射を防止できる。
【0050】
こうして初期噴射を防止しつつ背圧室8の圧力が高まるのに伴って第一絞り通路5を介して燃料室3の圧力が高められ、ピストン部2cの前後に生じる燃料室3と背圧室8の圧力は第一絞り通路5を介して均等化されている。
【0051】
次に、燃料噴射弁8の開弁動作は、エンジン回転に同期してピエゾアクチュエータ10に印加される電圧が遮断短絡されることにより行われる。
【0052】
このてき、ピエゾアクチュエータ10は収縮し、ピストン11が移動して差圧室16の容積を拡大すると、差圧室16の圧力が低下し、背圧室8との圧力差によりスプール弁6は第二リターンスプリング15に抗してポジションbに移動する。
【0053】
こうしてスプール弁6がポジションbに移動すると、図2に示すように燃料供給通路31と第一燃料通路32の連通が遮断されるとともに燃料供給通路31は第二燃料通路33に連通する。これにより、燃料供給通路31から導かれる高圧燃料は第二燃料通路33を通って直ちに燃料室3に供給される。
【0054】
一方、スプール弁6が移動するのに伴って背圧室8の容積が拡大する。このとき、背圧室8は第二燃料通路33との連通が遮断されているので、背圧室8の圧力が低下する。したがって、背圧室8と燃料室3との間には圧力差が生じ、針弁2は第一リターンスプリング4に抗して噴口1bを開き、燃料室3の高圧燃料がエンジン50の燃焼室に噴射される。
【0055】
燃料噴射弁7の閉弁作動時は、エンジン回転に同期して、ピエゾアクチュエータ10はに電圧が印加されることにより行われる。
【0056】
このとき、ピエゾアクチュエータ10は伸長し、ピストン11が移動して、差圧室16の容積が縮小すると、差圧室16の圧力が直ちに回復し、差圧室16と背圧室8の圧力差および第二リターンスプリング15の付勢力によりスプール弁6がポジションaに移動する。
【0057】
スプール弁6がポジションaに移動すると、図1に示すように燃料供給通路31と第二燃料通路33の連通が遮断されるとともに、燃料供給通路31は第一燃料通路32に連通する。これにより、燃料供給通路31から導かれる高圧燃料は第一燃料通路32を通って直接背圧室8に供給され、この高圧燃料は針弁2を閉弁方向に直ちに押圧することになる。
【0058】
こうして、背圧室8と燃料室3の圧力差および第一リターンスプリング4の付勢力により針弁2が移動してノズルボディ1のシート部1aに着座する。針弁2がシート部に着座することにより、噴口1bが閉塞され、燃料の噴射が停止される。
【0059】
ところで、針弁2がシート部1aに着座する際、スプール弁6は第二燃料通路33を閉塞して燃料室3への燃料の供給を停止しているので、閉弁間際における燃料室3の圧力の上昇を抑えることが可能であり、背圧室8の圧力が高められていることと相俟って、針弁2がシート部1aに着座した後、ジャンピングして再度開弁することなく、所定の噴射時期以外で燃料を噴射する二次噴射を防止できる。また、閉弁時は、背圧室8の圧力が高められるので、副次的に針弁2の閉弁速度が上昇し、針弁2の閉弁応答性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示し、閉弁時における燃料噴射弁の断面図。
【図2】同じく開弁時における燃料噴射弁の断面図。
【図3】同じく燃料供給系のシステム図。
【符号の説明】
1 ノズルボディ
1b 噴口
2 針弁
2c ピストン部
3 燃料室
4 第一リターンスプリング
5 第一絞り通路
6 スプール弁
7 燃料噴射弁
8 背圧室
9 ケーシング
10 ピエゾアクチュエータ
11 ピストン
15 第二リターンスプリング
16 差圧室
18 与圧スプリング
25 第二絞り通路
31 燃料供給通路
32 第一燃料通路
33 第二燃料通路
Claims (4)
- 燃料供給通路から燃料室に導かれる加圧燃料を噴射する噴口と、
噴口を開閉する針弁と、
針弁を閉弁方向に付勢する第一リターンスプリングと、
針弁の背後に画成される背圧室を拡縮するスプール弁と、
印加される電圧または磁界に応じてスプール弁を駆動する電磁歪アクチュエータとを備え、
スプール弁は背圧室を収縮するポジションaにて燃料供給通路に対して背圧室を連通し燃料室を遮断する一方、背圧室を拡張するポジションbにて燃料供給通路に対して燃料室を連通し背圧室を遮断する構成としたことを特徴とするエンジンの燃料噴射弁。 - 前記スプール弁をエンジン始動前にポジションaに保持する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射弁。
- 前記電磁歪アクチュエータの伸縮に応じて拡縮する差圧室を備え、
スプール弁が背圧室と差圧室の圧力差に応じてポジションaとポジションbの間で移動する構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンの燃料噴射弁。 - 前記スプール弁をポジションa方向に付勢する第二リターンスプリングを備えたことを特徴とする請求項3に記載のエンジンの燃料噴射弁。
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