JP3709054B2 - 電子鍵盤楽器におけるデータ出力装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子鍵盤楽器に搭載されるスライダー、ホイール等の連続可変コントローラの操作に対して、当該コントローラに割り当てられているパラメータの出力値を瞬時的に変化させて出力し得るデータ出力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、シンセサイザ等の電子鍵盤楽器においては、所定のパラメータを連続的に変化させることが可能なスライダー(連続可変コントローラ)が複数搭載されている。スライダーとは、スライド式に調整するつまみを有し、このつまみの操作により当該スライダーに割り当てられているパラメータを連続的に変化させることができるものである。例えば、パラメータとして楽音の出力周波数を設定しておけば、このスライダーを適宜スライド調整することにより、出力される楽音の周波数を微妙に変化させることができるので、ベンドを効かせた楽音を出力することができる。
【0003】
また、MIDIを利用して当該電子鍵盤楽器と他の電子楽器とを接続し、当該電子鍵盤楽器にて設定されている楽音データを他の電子楽器に伝送する場合においては、例えばスライダーに楽音の番号を割り当てておけば、スライダーを調整することにより、楽音番号が、N1、N2、N3、・・・という具合に順次切り換えられるので、スライダー操作により所定の番号を設定し、この楽音データを他の電子楽器へ伝送することができる。
【0004】
しかしながら、上記した如くの従来におけるデータ出力装置においては、スライダーを操作することにより該スライダーに割り当てられたパラメータ(上記の例では、周波数や楽音番号)を連続的に変化させることはできるが、瞬時的に変化させることはできない。即ち、パラメータとして周波数が設定されている場合には、スライダーを操作させることにより、例えば音程を200セント連続的に変化させることはできるが、この場合は音程が除々に変化して200セントに達するものであり、直接200セントの音程を変化させ得るものでは無い。
【0005】
また、パラメータとして楽音番号が設定されており、いま、番号N5からN10に変化させる操作を行う場合にはスライダーの操作によりN5,N6,N7,N8,N9,N10という経過をたどることになるので、微小な時間ではあるが、不要な楽音(N6〜N9)が発音されてしまうことがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来におけるデータ出力装置においては、スライダー操作によりパラメータを任意に変化させて出力させることができるものの、瞬時的に変化させることができないので、変化の過程において発生するデータが出力されてしまうという欠点があった。
【0007】
この発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、スライダーに割り当てられたパラメータ出力を連続的でなく瞬時に変化させて出力し得る電子鍵盤楽器におけるデータ出力装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、連続可変コントローラに割り当てられたパラメータを、当該連続可変コントローラの設定値に応じて出力するデータ出力装置において、連続出力モードと瞬時出力モードを切り換えるモード切換手段と、前記連続可変コントローラに割り当てられたパラメータ値を記憶し、当該連続可変コントローラの操作によりパラメータ値が変更された場合にはこれに対応して記憶内容を更新する記憶手段と、瞬時出力モード時のデータ出力タイミングを指定するトリガー手段と、前記モード切換手段により連続出力モードが選択されている際には、前記連続可変コントローラ出力に対応するパラメータ値をそのまま出力し、瞬時出力モードが選択されている際には、前記トリガー手段よりのトリガー信号が与えられた時に前記記憶手段の記憶内容を出力する出力手段と、を有することが特徴である。また、前記トリガー手段は、前記連続可変コントローラ近傍に設置されたトリガースイッチにより動作することを特徴とする。
【0009】
上述の如く構成された本発明によれば、モード切換手段により「連続出力モード」を選択すると、連続可変コントローラの操作に応じて変化するパラメータ値がデータ記憶手段から連続的に出力されるので、従来通りの可変出力を得ることができる。また、「瞬時出力モード」を選択すると、連続可変コントローラに割り当てられているパラメータ値は連続して出力されず、トリガー手段からの信号が与えられた時にデータ記憶手段の記憶内容が出力される。従って、連続可変コントローラを操作している間のデータは出力されないので、出力値を連続的で無く瞬時に変化させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るデータ出力装置が適用される電子鍵盤楽器の構成を示す説明図であり、図示のように、この電子鍵盤楽器には鍵盤の後方部位に連続可変コントローラとしてのスライダー1が複数(図では4個)設置されている。そして、演奏時にこれら各スライダーを操作することにより、ベンド、トレモロ、ピッチ等、各スライダーに割り当てられたパラメータ値を連続的に切り換えることができるようになっている。また、スライダー1の側部近傍にはモード切換スイッチ3が設置されており、該スイッチ3により連続出力モードと瞬時出力モードとを切り換えることができるようになっている。更に、各スライダー1の近傍にはトリガースイッチ2が設置されており、後述するようにこのスイッチ2の操作により、瞬時出力モード時における出力トリガーを与えることができるようになっている。
【0011】
図2は、本発明に係るデータ出力装置の一実施形態の構成を示すブロック図であり、同図に示すようにスライダー1とトリガースイッチ2と、モード切換スイッチ3と、データ記憶部4と、データ出力部5と、トリガー回路6と、から構成されている。スライダー1の出力はデータ記憶部4に接続され、スライダー1に割り当てられているパラメータの現在設定値が記憶される。また、スライダー1の操作によりパラメータ値が変更された場合には、これに対応して記憶内容を更新する。
【0012】
データ出力部5は、モード切換スイッチ3にて連続出力モードが設定されている際には、データ記憶部4の記憶内容をそのまま後段に出力し、一方、モード切換スイッチ3にて瞬時出力モードが設定されている場合には、トリガー回路6よりのトリガー信号が与えられた時にデータ記憶部4の記憶内容を出力する。
【0013】
次に、図3、図4に示すフローチャートを参照しながら本実施形態の作用について説明する。図3は、データ記憶部3へのデータの書き込み手順を示すフローチャートであり、同図に示すように、まず、スライダー1に割り当てられているパラメータの現在値をデータ記憶部4に記憶して保存する(ステップST1)。そして、スライダー操作がなければ(ステップST2でNO)、次のスライダー操作が発生するまでデータ記憶部4に記憶されたデータをそのまま保持し、スライダー1の操作が発生した場合には(ステップST2でYES)、データ記憶部4内の記憶データを新たなデータに書き換える(ステップST3)。
【0014】
また、図4のフローチャートに示すように、モード切換スイッチ3にて連続出力モードが設定されている場合には(ステップST11)、データ出力部5はデータ記憶部4に記憶されているパラメータ値をそのまま出力する(ステップST14)。一方、瞬時出力モードが設定されている場合には、トリガースイッチ2がオンとされた時点で(ステップST12でYES)、データ出力部5はデータ記憶部4内部に記憶されているパラメータ値を後段に出力する(ステップST13)。
【0015】
いま、スライダー1に割り当てられるパラメータを「楽音周波数」に設定し、且つ、モード切換スイッチ3を「連続出力モード」に設定すると、図1に示す鍵盤7を押鍵した後スライダー1を操作することにより周波数が連続的に変化するので、例えば200セントの範囲でベンドを効かせた発音が可能となる。
【0016】
一方、モード切換スイッチ3を「瞬時出力モード」に設定した状態で、鍵盤7を押鍵すると押鍵された鍵盤に対応する音程が発音され、この状態でスライダー1を変化させても出力周波数は変化せず、トリガースイッチ2を押した時点でこの時の設定周波数の音程が発音される。例えば、任意の鍵盤7を押鍵した状態でスライダー1を操作して音程を200セント変化させておき、この状態でトリガースイッチ2を押すと200セント変化した音程が出力されることになる。即ち、音程が除々に変化して200セントに達するのでは無く、瞬時に200セント変化するように動作する。
【0017】
また、スライダー1に割り当てるパラメータを「楽音番号」に設定し、MIDIを使用して当該電子鍵盤楽器から他の電子楽器に楽音信号を伝送する場合には、モード切換スイッチ3が「連続出力モード」に設定されていると、楽音番号が除々に変化して所望の楽音番号に達することになるので、伝送先の電子楽器においては、変化の過程に存在する楽音が微小時間発音されてしまことがある。これに対して、モード切換スイッチ3を「瞬時出力モード」に設定すると、現在設定されている楽音番号から他の楽音番号に切り換える際に、スライダー1を操作して所望の楽音番号に達した時点でトリガースイッチ2をオンとすれば、瞬時に所望の楽音に切り換えることができる。
【0018】
このようにして、本実施形態によれば、モード切換スイッチ3を操作することにより、スライダー1を連続出力モード、瞬時出力モードのうちのいずれかを任意に選択することができ、瞬時出力モードを選択すればパラメータ値を瞬時に変化させることができるので、演奏時における各操作の自由度を大幅に広げることができる。
【0019】
なお、上記した実施形態では連続可変コントローラとしてスライダーを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものでは無く、回転式のコントローラを使用しても同様の効果を得ることができる。また、上記の実施形態ではスライダーに割り当てるパラメータとして、楽音周波数及び楽音番号を例に説明したが、これ以外のパラメータについても同様に適用できることは勿論である。
【0020】
更に、上記の実施形態においては、モード切換スイッチ3を独立して設置する例について説明したが、他の既存スイッチと共用にしてもよいし、予め初期設定にて連続出力モードと瞬時出力モードとを切り換えるようにしても良い。また、瞬時出力モードではトリガースイッチ2を押した時にパラメータ値が出力される例について説明したが、反対に、トリガースイッチ2を離した時にパラメータ値が出力されるように構成しても良い。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のデータ出力装置によれば、スライダー等の連続可変コントローラの出力モードを連続出力モード及び瞬時出力モードのいずれかに設定が可能であるので、例えば、スライダーに割り当てるパラメータとして「楽音周波数」を設定し、連続出力モードを使用すれば、ベンドを効かせた出力が可能となり、瞬時出力モードを使用すれば、瞬時に周波数を変化させるとう演奏法も可能となる。このように、各種演奏の形態に応じて任意のモードを選択することができ、演奏の幅を著しく広げることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデータ出力装置が適用される電子鍵盤楽器の構成を示す説明図。
【図2】本発明の一実施形態に係るデータ出力装置の構成を示す機能ブロック図。
【図3】本実施形態に係るデータ出力装置の、メモリへの書き込み手順を示すフローチャート。
【図4】本実施形態に係るデータ出力装置の、楽音出力手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 スライダー(連続可変コントローラ)
2 トリガースイッチ
3 モード切換スイッチ
4 データ記憶部
5 データ出力部
6 トリガー回路
7 鍵盤

Claims (2)

  1. 連続可変コントローラに割り当てられたパラメータを、当該連続可変コントローラの設定値に応じて出力するデータ出力装置において、
    連続出力モードと瞬時出力モードを切り換えるモード切換手段と、
    前記連続可変コントローラに割り当てられたパラメータ値を記憶し、当該連続可変コントローラの操作によりパラメータ値が変更された場合にはこれに対応して記憶内容を更新する記憶手段と、
    瞬時出力モード時のデータ出力タイミングを指定するトリガー手段と、
    前記モード切換手段により連続出力モードが選択されている際には、前記連続可変コントローラ出力に対応するパラメータ値をそのまま出力し、瞬時出力モードが選択されている際には、前記トリガー手段よりのトリガー信号が与えられた時に前記記憶手段の記憶内容を出力する出力手段と、
    を有することを特徴とする電子鍵盤楽器におけるデータ出力装置。
  2. 前記トリガー手段は、前記連続可変コントローラ近傍に設置されたトリガースイッチにより動作することを特徴とする請求項1記載の電子鍵盤楽器におけるデータ出力装置。
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