JP3708649B2 - 銅シリサイドを有する金属珪素粒子の製造方法 - Google Patents

銅シリサイドを有する金属珪素粒子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも粒子表面に銅シリサイドを有する金属珪素粒子の製造方法に関する。さらに詳しくは、クロロシラン類を水素還元して水素化クロロシラン類を製造する流動層反応に最も適した触媒として用いられる銅シリサイドを有する金属珪素粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
クロロシラン類を水素化する反応は主としてトリクロロシランの製造に使われ、工業的には流動層で反応温度を400〜600℃として操作されている。
一方、この反応の反応速度を速めるために触媒として銅粉(特開昭56−73617号公報参照)、塩化銅(I)(特開昭60−36318号公報参照)、金属銅と塩化銅等の混合物(特開昭63−100015号公報参照)等が提案されている。これらの触媒物質は固定層反応においては良好な触媒として作用するが、流動層反応においては、これらの触媒物質を直接にまたは素金属珪素粒子と混合して当該反応中に反応器へ投入した場合、銅成分または素金属珪素粒子が凝集・塊状化して流動状態の悪化を起こし、安定的な運転の継続を阻害するという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の問題点を解決する新しい技術、すなわち流動層反応においても、投入ラインの閉塞または流動状態の悪化を起こすことなく、高い効率でクロロシラン類を水素還元することのできる新しい触媒の開発が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記技術的課題を解決すべく鋭意研究を行ってきた結果、少なくとも粒子表面に銅シリサイドを有する金属珪素粒子を用いることによって従来技術の問題点を見事に解消できることを発見し、またその製造方法を確立して、ついに本発明に到達したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、平均粒径が50μm〜2mmの素金属珪素粒子並びに平均粒径1mm以下の塩化銅(I)粒子および/または塩化銅(II)粒子を、非酸化性ガスの雰囲気下に、少なくとも250℃の温度に加熱することを特徴とする、少なくとも粒子表面に銅シリサイドを有する金属珪素粒子の製造方法である。
【0006】
本発明方法により製造される少なくとも粒子表面に銅シリサイドを有する金属珪素粒子は、トリクロロシランの製造のための触媒として好適に使用される。ここにいうトリクロロシランの製造方法は、従来技術の項でも述べたように、素金属珪素粒子と、四塩化珪素および水素の混合ガスまたは四塩化珪素と塩化水素と水素の混合ガスを400℃以上の温度で反応させる方法である。この反応を行うための工業的な反応装置としては流動層が最適である。この反応中に、少なくとも表面に銅シリサイドを有する金属珪素粒子を触媒として添加することにより、反応の活性を高めることができる。
【0007】
クロロシラン類を水素化する上記反応に塩化銅と素金属珪素粒子を直接投入したのでは、従来技術に述べたようなトラブルを起こす。これは銅成分と珪素成分とが合金を形成する際に凝集しやすいという性質を持つからである。そのためには、該反応器とは別の場所で凝集しない特別な条件下で、予め安定な銅シリサイドを形成しておけばよい。凝集させずに銅と素金属珪素とを反応させる方法として本発明方法が最適である。
【0008】
本発明の原料となる素金属珪素は、珪素含有率が75%以上の冶金グレードの珪素であれば特に限定されず、鉄やアルミニウム等の不純物を含有してもよい。例えばJIS−G2312に定める金属珪素1号または金属珪素2号、またはGIS−G2302に定めるフェロシリコン1号またはフェロシリコン2号等を指す。素金属珪素粒子は、反応生成物を触媒としてトリクロロシラン製造のための流動層反応に供給することができるように、上記素金属珪素を機械的な粉砕もしくは酸等の薬品処理による粉砕によって、その粒径及び粒度分布を調整したものを使用することが好ましい。一般に流動層において、層内に平均粒径の異なる二種類の粒子群が存在するとき、それらの粒子の真密度が似通っている場合には、その粒径比が5〜6倍のときに均質な混合状態がくずれて、大きい粒子径を持つ粒子群が流動層の下方へ集まりやすくなるという性質がある。このような状態を偏析状態という。前述の流動層による反応の原料に使用される素金属珪素の平均粒径すなわち反応器内の平均粒径は100〜300μmで運用されるため、添加する触媒の金属珪素粒子は、該粒子がこの流動層内で偏析することなく均一に混合されるためにはその平均粒径も20μm以上2mm以下でなくてはならない。また、粒径の小さい銅シリサイドの粒子群は凝集体を形成しやすいという性質を持つため、反応中に触媒を追加投入する場合、該粒子の粒径が20μm以下であっては、投入直後に凝集によるトラブルを起こし易い。以上の理由から粒径は、平均粒径が30μm〜2mm、好適には50μm〜1.5mm、さらに好適には100μm〜1.5mmである。
【0009】
本発明で使用する塩化銅は、平均粒径が1mmを超える粗大な粒子であってはならない。なぜならば、触媒原料である素金属珪素の平均粒径が30μm〜2mmであるため、塩化銅の平均粒径が1mmを超えると、塩化銅が還元される際、この塩化銅の周囲を覆った素金属珪素粒子に過剰量の銅元素を含む銅シリサイドが形成されるからである。このような銅シリサイドは極めて凝集性が高いため、触媒として使用する際にさらなる粒子同士の凝集を引き起こし、トラブルの原因となり易い。
【0010】
本発明にいう塩化銅の平均粒径は、塩化銅の単粒子径を言うのであって、凝集粒子の粒径ではない。なぜなら、単粒子は銅シリサイドの形成中に粒子が粉砕されることはないが、凝集粒子は撹拌により適当に粉砕され、問題なく使用されるからである。また塩化銅の形態は、塩化銅(I)または塩化銅(II)が使用され、その純度は特に限定されない。
【0011】
反応では、まず素金属珪素粒子と塩化銅とをほぼ均質に混合させ、次いでその混合物を不必要な酸化物または塩化物を生成することのない非酸化性ガス、例えば窒素、水素、アルゴンあるいはこれらの混合ガス等の雰囲気下に、温度を250℃以上に保つことによって銅シリサイドを形成させることができる。このとき該混合物は静止下の状態でも特に問題ないが、流動層または回転ドラム等を用いて撹拌することにより、より均質な金属珪素粒子を得ることができる。混合物の温度を上昇させると塩化水素やトリクロロシラン等の酸性成分を発生しながら、素金属珪素粒子の表面には銅シリサイドが形成される。加熱に必要な時間は加熱状態や雰囲気ガスの種類によってある程度の違いが生じるが、酸性成分が流通させる雰囲気ガス中からほとんど消失することを以って、銅シリサイドの形成が終了したと判定することが可能である。
【0012】
上記反応において、素金属珪素粒子と塩化銅粒子の割合は、素金属珪素粒子100重量部に対し、銅含有量として30重量部以下になるように混合することが好ましい。混合割合が銅含有量で30重量部を超えると、銅シリサイドを形成させる過程で粒子表面の銅濃度が85%を越える銅シリサイドを生成し凝集し易くなるからである。
【0013】
かくして、本発明によれば、少なくとも粒子表面に銅シリサイドを有する金属珪素粒子が生成される。
本発明にいう粒子表面とは、走査型電子顕微鏡のEDS(エネルギー分散型検出装置)で測定される範囲を指す。EDSによる信号は粒子表面に分布する元素の存在割合を示すので、粒子表面の組成はEDSの信号を解析することによって知ることができる。具体的には、電子顕微鏡の加速電圧を20kVとしてその粒子上に照準を合わせた後、倍率を1000倍に設定する。次いでその視野内で1辺が10μmの正方形内におけるEDSのX線強度を測定し、その強度比より表面における元素の組成比を求めるものとする。
【0014】
また、本発明にいう銅シリサイドとは、銅の含有率が85%以下の銅とシリコンの合金をいう。表面の銅の濃度が85%を超えた場合、温度を上昇させた際に粒子同士が凝集を始める。これは安定な銅とシリコンの合金組成比の上限がCu5Si、すなわち銅の濃度が83.3%であるためと考えられる。トリクロロシラン等の製造のような、粒子の凝集が起こりやすい反応条件においては合金組成をCu4Si、すなわち銅の濃度を80%以下にすることが好ましく、さらに凝集の起こりやすい反応条件においては合金組成をCu3Si、すなわち銅濃度を75%以下にするのが好適である。実際には確率的な影響から、局部的に銅の濃度が85%を越える部分が存在する。しかし本発明の本質は、他の粒子との凝集を起こそうとする不安定な銅過多のシリサイドおよび金属銅が、粒子表面に多く露出することを防ぐものである。従って、上記の局部的な領域が存在しても、その領域が粒子表面全体の10%以下であれば流動悪化等の問題を引き起こすことはない。従って、本発明において製造の対象とする銅シリサイドを有する金属珪素粒子は、好ましくは1個の金属珪素粒子表面の表面積の90%以上に銅の含有率が85%以下の銅とシリコンの合金が存在するものである。
【0015】
また、該銅シリサイドは不純物として他の元素を含んでいてもよく、例えば鉄やアルミニウム等と合金様化合物を形成していてもよい。
【0016】
クロロシラン類の還元反応において、有効な触媒となる銅シリサイドは反応に関与する粒子表面付近に存在することが肝要と考えられる。本発明の粒子表面に銅シリサイドを有する金属珪素粒子の製造方法によれば、表面から10μmまでの深さの部分に銅シリサイドの少なくとも80%を存在させることが可能であり、従って触媒効果を維持したまま、銅の使用量を低減することができる。本発明でいう表面から10μmまでの深さにおける銅シリサイドの存在量は、以下に示す方法で測定される。
【0017】
粒度を調整した該金属珪素粒子数gを、濃度70%の硝酸と濃度50%の弗化水素酸を10:1で混合した液体約100mlに、よく撹拌しながら5〜30秒間浸し、その後大量の水に投入して反応をとめる。すばやく粒子を濾別・乾燥させた後、重量を測定する。その重量減少量から何μm溶解したかを知ることができる。これらの条件を1回ないし数回繰り返し、平均として表面から10μmの深さまでが除去されるように溶解させる。表面から10μmの深さの部分に存在する銅の含有量は、表面を溶解させる以前の粒子全体に含まれる銅含有量と、上記の方法によって表面から10μmだけ溶解除去した粒子全体に含まれる銅含有量との差から知ることができる。また、粒子全体に含まれる銅含有量は、粒子を硝酸と弗化水素酸の混合水溶液によって完全に溶解させ、ICP(ラジオ波誘導結合プラズマ)発光分光分析装置を用いて測定することができる。
【0018】
本発明方法で得られる銅シリサイドを含む金属珪素粒子を触媒として、四塩化珪素、金属珪素粒子および水素からトリクロロシランを製造する反応は、例えば下記の如く行うことができる。
原料の四塩化珪素の源は、特に制限されないが、工業的に最も好適には、前記シリコンの析出反応により副生した四塩化珪素が経済的にも有利であるため好適に使用される。この副生四塩化珪素は、シリコンの析出反応において、未反応のトリクロロシラン、塩化水素等を含有した状態で得られる。該四塩化珪素をそのまま或いは他の成分を分離した実質的に純粋な四塩化珪素として使用することができる。しかし、実質的に純粋な四塩化珪素を使用することが、反応転化率を向上させるために好適である。
【0019】
また、反応に使用される珪素粒子としても特に制限されないが、珪素含有率が75重量%以上、好ましくは95重量%以上の冶金グレードの珪素粒子が好適に使用できる。また、反応系内において、珪素粒子表面での反応速度を大きくするため、珪素粒子は、表面積の大きい粒子状であることが好ましい。
また、反応は後記の流動層反応器を使用して行うのが一般的であり、この場合、珪素粒子の大きさは、より良い流動を得るため、平均粒径が100〜300μmであることが好ましい。
【0020】
さらに、水素は公知の方法で製造されたもの、或いは他の製造工程より副生するもの等、その源に特に制限なく使用される。
珪素粒子と、四塩化珪素および水素の混合ガラスとを反応させる方法としては、400〜700℃、好ましくは450〜600℃の温度下に流動層で反応させる方法が採用される。
【0021】
また、この反応は、流動層方式により、珪素粒子と、四塩化珪素および水素とを連続的或いは断続的に供給しながら実施するのが一般的である。好適な態様は、四塩化珪素および水素を連続的に供給しながら、珪素粒子をその消費量に応じて断続的に供給する方法が挙げられる。
【0022】
図1には、本発明の方法を実施するための代表的な流動層方式の反応装置の概略断面図が示されている。
反応器1は、フリーボード部2と粒子流動部3よりなり、該粒子流動部の下部に供給ガス流入管5およびその先端に接続するガス分散器4を有し、上記粒子流動部の上部に開口する粒子供給管6を有する。また、上記粒子流動部3の中間部に粒子排出管8の開口部が開口し、他端は、微粒子回収サイクロン7を介して反応ガス排出管10に接続されている。このようにして、粒子流動部に形成される流動層11の粒子を含むガスは、微粒子回収サイクロン7において微粒子を分離した後、反応ガス排出管10より排出するように構成される。なお、粒子排出管8の開口部にはトリクル弁9が設けられている。
【0023】
上記反応器において、珪素粒子は粒子供給管6から供給される。この場合、触媒は、該粒子供給管6から同時に供給することができる。一方、四塩化珪素および水素は供給ガス流動管5よりガス分散器4を経て供給され、流動層11が形成される。
上記四塩化珪素および水素は反応に関与しない不活性ガス、例えば窒素ガス、アルゴンガス等により希釈して供給することもできる。
【0024】
上記反応装置において、珪素粒子は排ガスと共に粒子排出管8より微粒子回収サイクロンに導かれ、実質的に粒子を含まないガスとして反応ガス排出管10より排出される。
四塩化珪素および水素の供給量は、流動層が形成可能な流量を確保できる範囲で適宜決定することができる。また、四塩化珪素および水素の比は、四塩化珪素1モルに対して水素1〜5モルが一般的であるが、製造されるトリクロロシランの総量は反応器に供給される四塩化珪素の流量とトリクロロシランへの変換反応の反応率の積であるため、四塩化珪素1モルに対して水素1〜3モルの割合が好ましい。
【0025】
【発明の効果】
本発明の方法によって製造された、少なくとも表面に銅シリサイドを有する金属珪素粒子は、流動層反応によってトリクロロシランを製造する場合にも、投入ラインの閉塞や凝集・塊状化等による流動悪化を全く起こすことがない。すなわち、通常の素金属珪素粒子を投入する場合となんら変わることのない流動状態を維持しながら、なおかつ非常に高い反応率を長期間安定して得ることができる。
【0026】
【実施例】
実施例1
a:触媒の調製
純度98%、平均粒径が150μmの素金属珪素粒子5kgに、開孔径が2mmの篩いにかけた平均粒径1mmの塩化銅(I)を2kg混合し、その混合物を流動層中で窒素と水素を1:1で混合したガスでゆるやかに流動させながら、温度を300℃に12時間保った。冷却後取り出した反応物は約6.2kgであった。
【0027】
b:触媒の分析
aで得られた反応物の一部を硝酸と弗化水素酸の混合水溶液によって全量溶解させ、銅含有量を測定したところ約20重量%であった。また粒子の表面を10μmだけ溶解させて銅含有量を測定したところ、その部分に粒子全体の95%の銅を含有していた。
また任意の異なる位置4カ所(位置A、B、CおよびD)のEDSによるX線強度を測定したところ、表1のような結果が得られた。
【0028】
【表1】
Figure 0003708649
【0029】
実施例2
下記の寸法を有する図1に示す実験用流動層反応器に純度98%、平均粒径150μmの素金属珪素粒子35kgを充填し、温度500度、圧力0.7MPaGの条件下で、水素と四塩化珪素のモル比2.5:1の混合ガス100Nm3/Hrで流動反応させた。
h1 分散板上面から流動部の上端までの高さ・・・650mm
h2 テーパ部の高さ・・・150mm
h3 フリーボード部の高さ・・・1100mm
h4 サイクロンの高さ・・・380mm
h5 サイクロン上部の高さ・・・150mm
h6 粒子排出管の高さ・・・1000mm
d1 流動部の内径・・・298mm
d2 フリーボード部の内径・・・478mm
d3 サイクロン上部の内径・・・115mm
d4 粒子排出管の内径・・・30mm
反応開始から時間の経過と共に徐々に反応率は上昇したが、その後一定になった。このときの反応率を表2に示す。なお反応率は、反応器前後のガス濃度をガスクロマトグラフによって測定し、反応系に供給する四塩化珪素のモル数を100%とおいてこの内の何%がトリクロロシランへ転化されたかを示すものとする。すなわち、
反応率(%)=[トリクロロシランに転化した四塩化珪素のモル数]/[供給した四塩化珪素のモル数]×100
で表わすものとする。
【0030】
反応率が一定になった後、 反応による流動化金属珪素粒子の減少を補うかのごとく、流動層の粉面位置が一定に保たれるように、実施例1で調製した銅シリサイドを有する金属珪素粒子6kgを逐次投入した。本触媒を少量投入した時点から急速に反応率は向上し始めた。
【0031】
6kg全量を投入し終わった時点での反応率を表2に併記する。この触媒の投入の間、投入ラインの閉塞等は全く発生せず、また流動状態の悪化も全く観測されなかった。
触媒である銅シリサイドを有する金属珪素粒子6kg全量を投入し終わった後も、銅シリサイドを有しない素金属珪素粒子を、流動層粉面位置を一定に保つように逐次供給しながらさらに反応を60日間継続させた。60日後の反応率を表2に併記した。表に示したように反応率の低下はほとんど認められなかったばかりでなく、この間に流動状態の悪化は全く観測されなかった。
反応を強制的に停止させ、冷却後開放し、流動層反応器内部および抜き出された金属珪素粒子を点検したが、いずれにも塊状物等の存在は認められなかった。
【0032】
【表2】
Figure 0003708649
【0033】
比較例1
純度98%、平均粒径が150μmの素金属珪素粒子5kgに、平均粒径が3mmの塩化銅(I)を2kg混合し、その混合物を流動層中で窒素と水素を1:1で混合したガスでゆるやかに流動させながら、温度を300℃に24時間保った。冷却後取り出した反応物は約6.3kgであった。
【0034】
比較例2
実施例1と同一の実験流動層反応器を用い、実施例1と全く同様の条件下にて素金属珪素粒子のみで反応を開始した。反応率が安定した後、比較例1で調製した触媒6kgを実施例1と同様の要領で反応器へ投入していったところ、反応率は一時向上していく傾向を示したものの、やがて微粒子回収用サイクロン7の上部に付属する反応ガス排出管10から流動層中の粒子が排出され、触媒の投入が完了した後の安定した反応率は結果的には触媒を投入する以前と同程度であった。反応率の推移を表3に示す。
【0035】
冷却後開放して反応器内部を点検したところ、微粒子回収用サイクロン7の下部に付属する粒子排出管8の内部が塊状物によって一部閉塞されていることを認めた。また、抜き出された粒子中には幾つかの凝集物が認められた。
【0036】
【表3】
Figure 0003708649
【0037】
比較例3
純度98%、平均粒径が150μmの素金属珪素粒子5kgに、開孔径が2mmの篩いにかけた、平均粒径1mmの塩化銅(I)を5kg混合し、その混合物を流動層中で窒素と水素を1:1で混合したガスでゆるやかに流動させながら、温度を300℃に12時間保った。冷却後取り出した反応物は約8kgであった。
【0038】
比較例4
実施例1と同一の実験流動層反応器を用い、実施例1と全く同様の条件下にて素金属珪素粒子のみで反応を開始した。反応率が安定した後、比較例3で調製した触媒6kgを実施例1と同様の要領で反応器へ投入していったところ、流動層差圧が次第に異常な変動を示し、流動状態が極度に悪化したことを認めた。また微粒子回収用サイクロン7の上部に付属する反応ガス排出ライン10から流動中の粒子が多量に排出され、触媒の投入が完了した後の安定した反応率は触媒を投入する以前より若干上昇した程度であった。反応率の推移を表4に示す。
冷却後開放して粒子を観察したところ、抜き出された粒子中には銅粉末の凝集物および金属珪素粒子と銅粉末の凝集物が認められた。また反応器内部を点検したところ、微粒子回収用サイクロン7の下部に付属する粒子排出管8の内部が塊状物によって一部閉塞されていることを認めた。
【0039】
【表4】
Figure 0003708649

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられた実験用流動層反応器の簡略断面図である。
【符号の説明】
1 反応器
2 フリーボード部
3 粒子流動部
4 ガス分散器
5 供給ガス流入管
6 粒子供給管
7 微粒子回収サイクロン
8 粒子排出管
9 トリクル弁
10 反応ガス排出管
11 流動層
h1 分散板上面から流動部の上端までの高さ・・・650mm
h2 テーパ部の高さ・・・150mm
h3 フリーボード部の高さ・・・1100mm
h4 サイクロンの高さ・・・380mm
h5 サイクロン上部の高さ・・・150mm
h6 粒子排出管の高さ・・・1000mm
d1 流動部の内径・・・298mm
d2 フリーボード部の内径・・・478mm
d3 サイクロン上部の内径・・・115mm
d4 粒子排出管の内径・・・30mm

Claims (4)

  1. 平均粒径が50μm〜2mmの素金属珪素粒子並びに平均粒径1mm以下の塩化銅(I)粒子および/または塩化銅(II)粒子を、非酸化性ガスの雰囲気下に、少なくとも250℃の温度に加熱することを特徴とする、少なくとも粒子表面に銅シリサイドを有する金属珪素粒子の製造方法。
  2. 素金属珪素粒子100重量部に対し、塩化銅(I)および/または塩化銅(II)粒子を銅含有量として30重量部以下で用いる請求項1の方法。
  3. 非酸化性ガスが、窒素、水素、アルゴンあるいはこれらの混合ガスである請求項1の方法。
  4. 表面から10μmまでの深さの部分に、銅シリサイドの80%が存在する金属珪素粒子を製造する請求項1の方法。
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