JP3708447B2 - ヒートポンプ給湯機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯湯式のヒートポンプ給湯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来のヒートポンプ給湯機について図面を参照しながら説明する。従来のこの種のヒートポンプ給湯機としては特開昭60−164157号公報に開示されたようなものがある。図11は、上記従来のヒートポンプ給湯機の構成を示すブロック図である。図11において、圧縮機1、冷媒対水熱交換器2、減圧装置3、および蒸発器4を順次に接続した冷媒循環回路と、貯湯槽5、循環ポンプ6、前記冷媒対水熱交換器2、および補助加熱器7を順次に接続した給湯回路とからなり、圧縮機1から吐出された高温高圧力の過熱ガス冷媒は前記冷媒対水熱交換器2に流入し、ここで循環ポンプ6から送られてきた水を加熱する。そして、凝縮液化した冷媒は減圧装置3で減圧されて蒸発器4に流入し、ここで大気熱を吸熱して蒸発ガス化し、圧縮機1に戻る。
【0003】
一方、冷媒対水熱交換器2で加熱された湯は貯湯槽5の上部に流入し、上から次第に貯湯されていく。そして、冷媒対水熱交換器2の入口水温が所定の設定値に達すると給水温度検出手段8がそれを検知し、圧縮機1によるヒートポンプ運転を停止し、補助加熱器7の単独運転に切り換える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来例の構成では、沸き上げ運転時間の経過とともに貯湯槽5内の湯と水が接する部分に湯水混合層が生じ、その層は次第に拡大していく。図12は、貯湯槽5内の湯の温度分布を示す特性図である。図12において、(a)は貯湯槽5の断面を模式的に示し、(b)は湯の温度分布を示す。T1は沸き上げ温度(高温湯)であり、T2は市水温度(低温湯)である。前述の湯水混合層は、高温湯と低温湯の熱伝導および対流により発生するものであり、高温湯から低温湯へ伝熱されその境界部分で高温湯は温度低下し、逆に低温湯は温度上昇する。したがって、貯湯槽5の沸き上げ完了近くになると、冷媒対水熱交換器2に流入する給水温度は高くなるため、圧縮機1の吐出圧力が上昇し、モータの巻線温度の上昇など圧縮機1の耐久性が問題となってくる。
【0005】
図13は、給水温度に対する圧縮機1の吐出圧力を示す特性図である。図13において、Pは常用上限圧力であり、圧縮機1の耐久性を保証するためには、通常運転ではこの常用上限圧力P以下で運転する必要がある。常用上限圧力Pのときの給水温度はT3となる。また、有効な湯温の下限をTu(たとえば45゜C)とし、このT3とTuを図12に示す。図12(a)に示した貯湯槽5の断面図において、湯温T3以下の領域は沸き上げ可能な領域であり、Tu以上の領域は有効な湯として使用できる領域である。しかし、湯温T3とTuの間の領域(斜線で示した部分)は有効な湯として利用できない領域である。
【0006】
このように従来例の構成では、冷媒対水熱交換器2に流れる水温が低い状態で運転を停止せざるをえないので、貯湯槽5の下部が低温の水の状態で停止することになり、貯湯槽5の湯容量を有効に利用できない。そのため、貯湯熱量が減少し、給湯負荷を満足することができない。これを解決する方法の一つとして、貯湯槽5の容量を大きくすることが考えられる。しかし、この場合には、貯湯槽5の設置面積が大きくなり、設置の自由度が制限され、かつ、コストが高くなると言う問題がある。また、他の方法として、ヒートポンプ運転を停止したのち、補助加熱器7の単独運転で貯湯熱量を増加する方法がある。しかし、この場合には、ヒータなどで加熱するため、消費電力が大きくなり、効率が悪くなると言う課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題を解決するもので、圧縮機の異常温度上昇および異常圧力上昇がなく、低消費電力量で貯湯槽の下部まで高温湯を貯湯でき、湯容量を有効に利用できるヒートポンプ給湯機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、冷媒対水熱交換器の水側入口水温を検出することにより前記貯湯槽全体の沸き上がり直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段と、貯湯槽の沸き上げを行う給湯加熱運転中において、沸き上げ完了直前検出手段が沸き上がり直前温度を検出して圧縮機の回転数を小さくした後に沸き上がり直前温度よりも低温である所定温度を検出すれば、前記前記圧縮機の回転数を大きくするように制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯機である。
【0009】
本発明により、沸き上げ完了に近づき、圧縮機の吐出圧力が上昇した場合に圧縮機の回転数を小さくするように制御して吐出圧力を低く抑えるので、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、さらに、その後に出湯などで給水温度が低くなった場合には、圧縮機の回転数を大きくするように制御するので、効率のよい給湯加熱運転が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、圧縮機、冷媒対水熱交換器、減圧装置を接続した冷媒循環回路と、貯湯槽および前記冷媒対水熱交換器を接続した給湯回路と、前記冷媒対水熱交換器の水側入口水温を検出することにより前記貯湯槽全体の沸き上がり直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段と、貯湯槽の沸き上げを行う給湯加熱運転中において、沸き上げ完了直前検出手段が 沸き上がり直前温度を検出して圧縮機の回転数を小さくした後に沸き上がり直前温度よりも低温である所定温度を検出すれば、前記圧縮機の回転数を大きくするように制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯機である。
【0011】
本発明において、沸き上げ完了直前検出手段は、貯湯槽全体が沸き上がる直前を検出する手段であり、実施例では貯湯槽から冷媒対水熱交換器への給水温度を検出する給水温度検出手段が所定の沸き上げ完了直前検出温度を検出したときに沸き上がる直前になったとし、第1の信号を出力するようにしている。また、給水温度検出手段が所定の沸き上げ完了直前解除温度を検出したときに沸き上がり直前でなくなったとし、第2の信号を出力する。なお、前記沸き上げ完了直前解除温度は、その主旨から言って、前記沸き上げ完了直前検出温度よりも低い温度である。
【0012】
制御手段は、沸き上げ完了に近づき、給水温度の上昇に対応して圧縮機の吐出圧力が上昇する場合に加熱能力を落として吐出圧力を低く抑えるので、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、有効な湯として利用できない無駄な領域がより少なくなるため、貯湯槽の湯容量を有効に利用できる。さらに、その後、出湯などで給水温度が低くなった場合には、加熱能力を大きくするように制御するので、効率のよい給湯加熱運転が可能となる。
【0013】
また、本発明は、圧縮機、冷媒対水熱交換器、減圧装置を接続した冷媒循環回路と、貯湯槽および前記冷媒対水熱交換器を接続した給湯回路と、前記冷媒対水熱交換器の水側入口水温を検出することにより前記貯湯槽全体の沸き上がり直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段と、前記貯湯槽から出湯したことを検出する出湯検出手段と、前記出湯検出手段が出湯したことを検出している時間を計測するタイマと、前記貯湯槽の沸き上げを行う給湯加熱運転中において、前記沸き上げ完了直前検出手段が沸き上がり直前を検出して前記圧縮機の回転数を小さくした後に前記タイマが所定時間を計測すれば、前記圧縮機の回転数を大きくするように制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯機である。
【0014】
本発明において、出湯検出手段とタイマとが沸き上げ完了直前解除手段として機能する。すなわち、タイマは出湯開始からの経過時間を計測して出湯時の給水温度低下を時間に置き換え、沸き上げ完了直前解除温度になったことを検出して第2の信号を出力する。制御手段は、沸き上げ完了直前検出時には加熱能力を落とすように制御するので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ、効率のよい給湯加熱運転ができるものであり、その後、出湯したことを検出して沸き上げ完了直前の検知を解除したときには給水温度が下がるため加熱能力を大きくするように制御するので、効率のよい給湯加熱運転が可能となる。
【0015】
また、本発明は、出湯検出手段として、貯湯槽から出湯される湯温を検出する出湯温度検出手段を備えたヒートポンプ給湯機である。
【0016】
本発明において、制御手段は、出湯温度検出手段が出湯温度を検出して出湯を検知したときには、給水温度が下がるため圧縮機の回転数を大きくするように制御するので、効率のよい給湯加熱運転が可能となる。
【0017】
また、本発明は、圧縮機、冷媒対水熱交換器、減圧装置を接続した冷媒循環回路と、貯湯槽および前記冷媒対水熱交換器を接続した給湯回路と、前記圧縮機の吐出圧力を検出することにより前記貯湯槽全体の沸き上がり直前を検出する吐出圧力検出手段と、前記貯湯槽の沸き上げを行う給湯加熱運転中において、前記吐出圧力検出手段が沸き上がり直前を検出して前記圧縮機の回転数を小さくした後に前記吐出圧力検出手段が所定圧力を検出すれば、前記圧縮機の回転数を大きくするように制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯機である。
【0018】
本発明において、吐出圧力検出手段は、圧縮機の吐出圧力が前記給水温度と相関があるので、吐出圧力を検出することにより沸き上げ完了直前検出手段および沸き上げ完了直前解除手段として機能する。実施例では、前記沸き上げ完了直前検出温度に対応する所定の沸き上げ完了直前検出圧力を検出したとき沸き上がる直前を検出したとして第1の信号を出力し、前記沸き上げ完了直前解除温度に対応する所定の沸き上げ完了解除圧力を検出したとき沸き上がる直前でなくなったとして第2の信号を出力する。
【0019】
制御手段は、直接に吐出圧力を制御して吐出圧力に対応して圧縮機の回転数を最適に変更するので、圧縮機のより確実な耐久性の向上となり、また、効率のよい給湯加熱運転ができる。
【0020】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0021】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明のヒートポンプ給湯機の実施例1について図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本実施例の構成を示すブロック図である。なお、従来例と同じ構成要素には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。図1において、流量制御手段10は、冷媒対水熱交換器2の水側出口に設けられた沸き上げ温度検出手段9からの信号により循環ポンプ6の回転数を制御して、冷媒対水熱交換器2の出口水温(沸き上げ温度)がほぼ一定になるように沸き上げる。また、制御手段11は、沸き上げ完了の直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段12からの第1の信号、または、沸き上げ完了の直前を検出したことを解除する沸き上げ完了直前解除手段13からの第2の信号で、圧縮機1を駆動制御する圧縮機駆動手段14を制御する。また、圧縮機駆動手段14はインバータを備え、圧縮機1の能力を可変する。状態記憶手段15は、沸き上げ完了直前検出手段12が沸き上げ完了の直前を検出したか否かを記憶する。16は給水管である。
【0023】
なお、本実施例では、沸き上げ完了直前検出手段12および沸き上げ完了直前解除手段13として、冷媒対水熱交換器2の水側入口水温である給水温度を検出する給水温度検出手段8を用いる。
【0024】
上記構成における動作と作用について説明する。まず、沸き上げ完了直前解除がない場合について説明する。図2は沸き上げ完了直線解除がない場合の動作を示す特性図である。図2において、(a)は沸き上げ完了直前検出手段12の検出状態、(b)は給湯運転の状態、(c)は圧縮機1の回転数、(d)は吐出圧力、(e)は給水温度を、それぞれ運転時間に対応して示す。従来例で説明したように、貯湯槽5の沸き上げ完了近くになると、冷媒対水熱交換器2に流入する給水温度が高くなる。すなわち、冷媒対水熱交換器2に流入する水が前述の湯水混合層の部分になると、(e)に示したように、運転時間とともに給水温度が上昇する。
【0025】
沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8が(沸き上げ温度T2よりも低い温度である)沸き上げ完了直前検出温度Thを検出すると第1の信号を出力し、制御手段11は、前記第1の信号に対応して圧縮機1を駆動する圧縮機駆動手段14を制御することにより圧縮機1の回転数を小さくするとともに、状態記憶手段15に、沸き上げ完了直前検出手段12が沸き上げ完了の直前を検出したことを記憶させる。このとき、吐出圧力はP1からP2に減少する。その後、運転時間の経過とともに給水温度がさらに上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。給水温度検出手段8が、常用上限圧力Pになる給水温度T3aを検出すると、圧縮機1を停止し、給湯加熱運転を終了する。なお、同図中の太い点線は、圧縮機1の回転数の制御を行わない従来例の場合である。運転限界の給水温度がT3からT3aへと高くなり、運転範囲が大きくなることがわかる。
【0026】
図3は、貯湯槽5内の湯の温度分布を示す特性図である。図3において、(a)は貯湯槽5の断面を模式的に示し、(b)は内部の湯温を示す。湯温T3a以下の領域は沸き上げ可能な領域であり、Tu以上の領域は有効な湯として使用できる領域である。有効な湯として利用できない領域は図12で示した従来例の場合には湯温T3とTuの間の領域であったが、本実施例の場合は湯温T3aとTuの間の領域(斜線の部分)である。すなわち、湯温T3とT3aの間の領域(点斜線で示した部分)が、本実施例によって、有効になった湯の領域である。
【0027】
つぎに、沸き上げ完了直前解除がある場合について説明する。図4は、沸き上げ完了直前解除がある場合の動作を示す特性図である。図2と同様に、(a)は沸き上げ完了直前検出手段12の検出状態、(b)は給湯運転の状態、(c)は圧縮機1の回転数、(d)は吐出圧力、(e)は給水温度を、それぞれ運転時間に対応して示す。前述の場合と同様、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8が沸き上げ完了直前検出温度Thを検出すると第1の信号を出力し、制御手段11は、前記第1の信号に対応して圧縮機1を駆動する圧縮機駆動手段14を制御することにより圧縮機1の回転数を小さくするとともに、状態記憶手段15に、沸き上げ完了直前検出手段12が沸き上げ完了の直前を検出したことを記憶させる。このとき、吐出圧力はP1からP2に減少する。そして、運転時間の経過とともに給水温度がさらに上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。
【0028】
その後、運転時間tにおいて、貯湯槽5から出湯されて冷たい水が給水管16から貯湯槽5に流入すると、給水温度検出手段8が検出する給水温度も低下する。そして、ついに給水温度が沸き上げ完了直前解除温度Trになると給水温度検出手段8は第2の信号を出力し、制御手段11は、前記第2の信号に対応して状態記憶手段15の記憶内容を検出する。
【0029】
このとき、状態記憶手段15が沸き上げ完了の直前を検出したことを記憶しておれば、制御手段11は、圧縮機1を駆動する圧縮機駆動手段14を制御することにより圧縮機1の回転数を大きくするとともに、状態記憶手段15の記憶を解除する(もし、状態記憶手段15の内容が、沸き上げ完了の直前を検出したことを記憶していなければ、圧縮機1の回転数の制御は行わない)。
【0030】
その後、運転時間の経過とともに給水温度がさらに上昇し、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8が、再度、沸き上げ完了直前検出温度Th を検出すると、制御手段11は、再び、圧縮機1を駆動する圧縮機駆動手段14を制御することによって圧縮機1の回転数を小さくするとともに、状態記憶手段15に、沸き上げ完了直前検出手段12が沸き上げ完了の直前を検出したことを記憶させる。その後、運転時間の経過とともに給水温度がさらに上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。そして、給水温度検出手段8が、給水温度T3aを検出すると、圧縮機1を停止し、給湯加熱運転を終了する。
【0031】
以上のように、本実施例によれば、貯湯槽5全体が沸き上がる直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段12と、貯湯槽5全体が沸き上がる直前を検出したことを解除する沸き上げ完了直前解除手段13と、沸き上げ完了直前検出手段12からの信号が所定の第1の信号になったときに能力可変な圧縮機1の回転数を小さくし、その後、沸き上げ完了直前解除手段13からの信号が所定の第2の信号になったときに圧縮機1の回転数を大きくするように制御する制御手段11とを備えたことにより、沸き上げ完了に近づき、圧縮機1の吐出圧力が上昇する場合に、加熱能力が落ちるように制御し、吐出圧力を低く抑え、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽5の湯容量を有効に利用することができる。その後、出湯などで給水温度が低くなった場合には、加熱能力が大きくなるように制御するので、効率のよい給湯加熱運転が可能となる。
【0032】
(実施例2)
以下、本発明のヒートポンプ給湯機の実施例2について説明する。図5は、本実施例の構成を示すブロック図である。なお、実施例1と同じ構成要素には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。本実施例が実施例1と異なる点は、沸き上げ完了直前検出手段12および沸き上げ完了直前解除手段13として、圧縮機1の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段17を備えたことである。
【0033】
上記構成における動作と作用について説明する。図6は、本実施例の動作を示す特性図である。図6において、(a)は沸き上げ完了直前検出手段12の検出状態、(b)は給湯運転の状態、(c)は圧縮機1の回転数、(d)は吐出圧力、(e)は給水温度を、それぞれ運転時間に対応して示す。
【0034】
貯湯槽5の沸き上げ完了近くでは、実施例1で説明したように、冷媒対水熱交換器2に流入する水が湯水混合層の部分になると、運転時間とともに給水温度が上昇し、それに従って、(d)に示したように、吐出圧力も上昇する。そして、沸き上げ完了直前検出手段12である吐出圧力検出手段17が沸き上げ完了直前検出圧力Phを検出して第1の信号を出力すると、制御手段11は、前記第1の信号に対応して圧縮機1を駆動する圧縮機駆動手段14を制御することにより圧縮機1の回転数を小さくするとともに、状態記憶手段15に、沸き上げ完了直前検出手段12が沸き上げ完了の直前を検出したことを記憶させる。このとき、吐出圧力は減少する。
【0035】
そして、運転時間の経過とともに給水温度がさらに上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。その後、運転時間tにおいて、貯湯槽5から出湯されるとともに冷たい水が給水管16から貯湯槽5に流入すると、吐出圧力検出手段17が検出する吐出圧力も低下する。そして、ついに吐出圧力が沸き上げ完了直前解除圧力Prになると吐出圧力検出手段17は第2の信号を出力し、制御手段11は、前記第2の信号に対応して状態記憶手段15の記憶内容を検出する。
【0036】
このとき、状態記憶手段15が沸き上げ完了の直前を検出したことを記憶しておれば、圧縮機1を駆動する圧縮機駆動手段14を制御することにより圧縮機1の回転数を大きくするとともに、状態記憶手段15の記憶を解除する(もし、状態記憶手段15の内容が、沸き上げ完了の直前を検出したことを記憶していなければ、圧縮機1の回転数の制御は行わない)。
【0037】
その後、運転時間の経過とともに給水温度がさらに上昇することによって吐出圧力も上昇する。そして、沸き上げ完了直前検出手段12である吐出圧力検出手段17が、再度、沸き上げ完了直前検出圧力Phを検出して第1の信号を出力すると、制御手段11は、前記第1の信号に対応して再度、圧縮機1を駆動する圧縮機駆動手段14を制御することにより圧縮機1の回転数を小さくするとともに、状態記憶手段15に沸き上げ完了直前であることを記憶させる。その後、運転時間の経過とともに給水温度がさらに上昇し、それに従って吐出圧力も上昇する。そして、吐出圧力検出手段17が、常用上限圧力Pを検出すると、圧縮機1を停止し、給湯加熱運転を終了する。
【0038】
以上のように、本実施例によれば、沸き上げ完了直前検出手段12および沸き上げ完了直前解除手段13として吐出圧力検出手段17を備えたことにより、沸き上げ完了に近づき、圧縮機1の吐出圧力が上昇する場合に、圧縮機1の回転数を小さくするように制御して吐出圧力を低く抑え、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽5の湯容量を有効に利用することができる。その後、出湯などで給水温度が低くなった場合には、圧縮機1の回転数を大きくするように制御するので、効率のよい給湯加熱運転が可能となる。また、直接に吐出圧力で制御するので、圧縮機1のより確実な耐久性の向上を図ることができる。
【0039】
(実施例3)
以下、本発明のヒートポンプ給湯機の実施例3について図面を参照しながら説明する。
【0040】
図7は、本実施例の構成を示すブロック図である。なお、実施例1と同じ構成要素には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。本実施例が実施例1と異なる点は、沸き上げ完了直前解除手段13として、貯湯槽5から出湯したことを検出する出湯検出手段18と前記出湯検出手段18が出湯したことを検出している時間を計測するタイマ19とを備えたことである。また、本実施例では、出湯検出手段18として、出湯した湯の流れの有無を検出する流れ検出手段20を用いる。
【0041】
上記構成における動作と作用について説明する。図8は、本実施例の動作を示す特性図である。図8において、(a)は沸き上げ完了直前検出手段12の検出状態、(b)は出湯の有無、(c)は圧縮機1の回転数、(d)は吐出圧力、(e)は給水温度を、それぞれ運転時間に対応して示す。
【0042】
貯湯槽5の沸き上げ完了近くになると、実施例1で説明したように、冷媒対水熱交換器2に流入する水が湯水混合層の部分になると、運転時間とともに給水温度が上昇し、それに従って、(d)に示したように、吐出圧力も上昇する。そして、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8が沸き上げ完了直前検出温度Thを検出すると第1の信号を出力し、制御手段11は、前記第1の信号に対応して圧縮機1を駆動する圧縮機駆動手段14を制御することにより圧縮機1の回転数を小さくするとともに、状態記憶手段15に、沸き上げ完了直前検出手段12が沸き上げ完了の直前を検出したことを記憶させる。このとき、吐出圧力は減少する。そして、運転時間の経過とともに給水温度がさらに上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。
【0043】
その後、運転時間tにおいて、貯湯槽5から出湯されると、出湯検出手段18である流れ検出手段20が出湯した湯の流れを検出し、タイマ19は出湯している時間を計測する。このタイマ19の計測した時間が所定の出湯時間toになると第2の信号を出力し、制御手段11は、前記第2の信号に対応して状態記憶手段15の記憶内容を検出する。
【0044】
このとき、状態記憶手段15が沸き上げ完了の直前を検出したことを記憶しておれば、圧縮機1を駆動する圧縮機駆動手段14を制御することにより圧縮機1の回転数を大きくするとともに、状態記憶手段15の記憶を解除する(もし、状態記憶手段15が、沸き上げ完了の直前を検出したことを記憶していなければ、圧縮機1の回転数の制御は行わない)。
【0045】
以上のように、本実施例によれば、沸き上げ完了直前検出手段として給水温度検出手段8を備え、沸き上げ完了直前解除手段として流れ検出手段20とタイマ19とを備えたことにより、沸き上げ完了に近づき、圧縮機1の吐出圧力が上昇する場合に、圧縮機1の回転数を小さくするように制御し、吐出圧力を低く抑え、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽5の湯容量を有効に利用することができる。その後、所定時間の出湯を検出した場合には、圧縮機1の回転数を大きくするように制御するので、効率のよい給湯加熱運転が可能となる。また、直接出湯の流れの有無を検出して制御するので、より確実性のある運転が可能である。
【0046】
(実施例4)
以下、本発明のヒートポンプ給湯機の実施例4について図面を参照しながら説明する。図9は、本実施例の構成を示すブロック図である。なお、実施例3と同じ構成要素には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。本実施例が実施例3と異なる点は、出湯検出手段18として貯湯槽5から出湯した湯の温度を検出する出湯温度検出手段21を備えたことである。
【0047】
上記構成における動作と作用について説明する。図10は、本実施例の動作を示す特性図である。図10において、(a)は沸き上げ完了直前検出手段12の検出状態、(b)は出湯温度、(c)は圧縮機1の回転数、(d)は吐出圧力、(e)は給水温度を、それぞれ運転時間に対応して示す。貯湯槽5の沸き上げ完了近くになると、実施例3で説明したように、冷媒対水熱交換器2に流入する水が湯水混合層の部分になると、運転時間とともに給水温度が上昇し、それに従って、(d)に示したように、吐出圧力も上昇する。そして、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8が沸き上げ完了直前検出温度Thを検出すると第1の信号を出力し、制御手段11は、前記第1の信号に対応して圧縮機1を駆動する圧縮機駆動手段14を制御することにより圧縮機1の回転数を小さくするとともに、状態記憶手段15に、沸き上げ完了直前検出手段12が沸き上げ完了の直前を検出したことを記憶させる。そして、運転時間の経過とともに給水温度がさらに上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。
【0048】
いま、運転時間tにおいて、貯湯槽5から出湯されると、出湯検出手段18である出湯温度検出手段21が出湯基準温度To以上の温度を検出することにより出湯を検知する。
また、タイマ19は出湯している時間を計測する。タイマ19は、計測した時間が所定の出湯時間toになると第2の信号を出力し、制御手段11は、前記第2の信号に対応して状態記憶手段15の記憶内容を検出する。
【0049】
このとき、状態記憶手段15が沸き上げ完了の直前を検出したことを記憶しておれば、圧縮機1を駆動する圧縮機駆動手段14を制御することにより圧縮機1の回転数を大きくするとともに、状態記憶手段15の記憶を解除する(もし、状態記憶手段15が沸き上げ完了の直前を検出したことを記憶していなければ、圧縮機1の回転数の制御は行わない)。
【0050】
以上のように、本実施例によれば、沸き上げ完了直前検出手段12として給水温度検出手段8を備え、沸き上げ完了直前解除手段13として出湯温度検出手段21とタイマ19とを備えたことにより、沸き上げ完了に近づき、圧縮機1の吐出圧力が上昇する場合に、圧縮機1の回転数を小さくするように制御して吐出圧力を低く抑え、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽5の湯容量を有効に利用することができる。その後、所定の時間の出湯を検出した場合には、圧縮機1の回転数を大きくするように制御するので、効率のよい給湯加熱運転が可能となる。また、直接に出湯温度を検出して制御するので、より確実性のある運転が可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、沸き上げ完了に近づき、圧縮機の吐出圧力が上昇する場合に、能力可変な圧縮機の回転数を小さくするように制御し、吐出圧力を低く抑え、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となるので、有効な湯として利用できない無駄な領域がより少なくなるため、貯湯槽の湯容量を有効に利用できる。その結果、従来と同じ大きさの貯湯槽でより大きな給湯負荷を満足し、逆に、従来と同じ大きさの給湯負荷を満足するためには従来より小形の貯湯槽でよいので、設置の自由度が大きく、コスト低減にもなり、さらに、効率のよい給湯加熱運転ができる。
【0052】
その後、出湯などで給水温度が低くなった場合には、圧縮機の回転数を大きくするように制御するので、効率のよい給湯加熱運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のヒートポンプ給湯機の実施例1の構成を示すブロック図
【図2】 同実施例において沸き上げ完了直前解除がない場合の動作を示す特性図
【図3】 同実施例における貯湯槽の温度分布を示す特性図
【図4】 同実施例において沸き上げ完了直前解除がある場合の動作を示す特性図
【図5】 本発明のヒートポンプ給湯機の実施例2の構成を示すブロック図
【図6】 同実施例の動作を示す特性図
【図7】 本発明のヒートポンプ給湯機の実施例3の構成を示すブロック図
【図8】 同実施例の動作を示す特性図
【図9】 本発明のヒートポンプ給湯機の実施例4の構成を示すブロック図
【図10】 同実施例の動作を示す特性図
【図11】 従来例のヒートポンプ給湯機の構成を示すブロック図
【図12】 同従来例における貯湯槽の温度分布を示す特性図
【図13】 同従来例における給水温度に対する吐出圧力を示す特性図
【符号の説明】
1 圧縮機
2 冷媒対水熱交換器
3 減圧装置
4 蒸発器
5 貯湯槽
6 循環ポンプ
7 補助加熱器
8 給水温度検出手段
9 沸き上げ温度検出手段
10 流量制御手段
11 制御手段
12 沸き上げ完了直前検出手段
13 沸き上げ完了直前解除手段
14 圧縮機駆動手段
15 状態記憶手段
16 給水管
17 吐出圧力検出手段
18 出湯検出手段
19 タイマ
20 流れ検出手段
21 出湯温度検出手段
Th 沸き上げ完了直前検出温度
Tr 沸き上げ完了直前解除温度
P 常用上限圧力
Ph 沸き上げ完了直前検出圧力(第1の吐出圧力)
Pr 沸き上げ完了直前解除圧力(第2の吐出圧力)

Claims (4)

  1. 圧縮機、冷媒対水熱交換器、減圧装置を接続した冷媒循環回路と、貯湯槽および前記冷媒対水熱交換器を接続した給湯回路と、前記冷媒対水熱交換器の水側入口水温を検出することにより前記貯湯槽全体の沸き上がり直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段と、前記貯湯槽の沸き上げを行う給湯加熱運転中において、前記沸き上げ完了直前検出手段が沸き上がり直前温度を検出して前記圧縮機の回転数を小さくした後に前記沸き上がり直前温度よりも低温である所定温度を検出すれば、前記圧縮機の回転数を大きくするように制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯機。
  2. 圧縮機、冷媒対水熱交換器、減圧装置を接続した冷媒循環回路と、貯湯槽および前記冷媒対水熱交換器を接続した給湯回路と、前記冷媒対水熱交換器の水側入口水温を検出することにより前記貯湯槽全体の沸き上がり直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段と、前記貯湯槽から出湯したことを検出する出湯検出手段と、前記出湯検出手段が出湯したことを検出している時間を計測するタイマと、前記貯湯槽の沸き上げを行う給湯加熱運転中において、前記沸き上げ完了直前検出手段が沸き上がり直前を検出して前記圧縮機の回転数を小さくした後に前記タイマが所定時間を計測すれば、前記圧縮機の回転数を大きくするように制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯機。
  3. 出湯検出手段として、貯湯槽から出湯される湯温を検出する出湯温度検出手段を備えた請求項2記載のヒートポンプ給湯機。
  4. 圧縮機、冷媒対水熱交換器、減圧装置を接続した冷媒循環回路と、貯湯槽および前記冷媒対水熱交換器を接続した給湯回路と、前記圧縮機の吐出圧力を検出することにより前記貯湯槽全体の沸き上がり直前を検出する吐出圧力検出手段と、前記貯湯槽の沸き上げを行う給湯加熱運転中において、前記吐出圧力検出手段が沸き上がり直前を検出して前記圧縮機の回転数を小さくした後に前記吐出圧力検出手段が所定圧力を検出すれば、前記圧縮機の回転数を大きくするように制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯機。
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