JP3708226B2 - 流速測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は圧電体の圧電効果により励振した弾性振動により、外部に発せられる超音波を用いて、流体の流速を測定する流速測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気エネルギー/機械エネルギー変換素子として圧電セラミック等の圧電体を用いて超音波送波器を構成し、この超音波送波器を電圧で駆動して流体中に超音波を発して、流体中の所定の伝搬路を伝搬する超音波の速度(超音波が伝搬路を伝達する時間)を計測して、流体の移動速度を測定する流速測定装置が、水道メータ、ガスメータなどに利用されて注目されている。
【0003】
以下に、図面を参照しながら従来の流速測定装置について説明する。
図8は流量測定装置の測定原理を示したものであり、同図において、T1、T2はそれぞれ超音波送受波器であり、電気エネルギー/機械エネルギー変換素子変換素子として、圧電セラミック等の圧電振動子を用いて構成されている。そして、超音波送受波器T1、T2は圧電ブザー、圧電発振子と同様に共振特性を示す。ここで、超音波送受波器T1を超音波送波器として用い、超音波送受波器T2を超音波受波器として用いる。超音波送波器(T1)の共振周波数近傍の周波数の交流電圧を圧電振動子に印加すると、超音波送波器(T1)は外部の流体中に同図中の31で示す伝搬経路に超音波を放射し、超音波受波器(T2)により伝搬してきた超音波を受けて電圧に変換する。また、逆に超音波送受波器T2を超音波送波器として用い、超音波送受波器T1を超音波受波器として用いる。超音波送波器(T2)の共振周波数近傍の周波数の交流電圧を圧電振動子に印加することにより、外部の流体中に同図中に32で示す伝搬経路に超音波を放射し、超音波受波器(T1)で伝搬してきた超音波を受けて電圧に変換する。
【0004】
以上に説明したように、超音波送波器は受波器としての役目と、送波器としての役目を果たすので、一般に超音波送受波器と呼ばれる。
【0005】
連続的に交流電圧を印加すると超音波送受波器から連続的に超音波が放射され、伝搬時間を測定することが困難なので、通常は電気パルスを駆動電圧として用いる。以下、測定原理について詳細な説明を行う。駆動用の電気パルスを送受波器T1に印加することにより、送受波器T1から超音波パルスを放射すると、この超音波パルスは、距離がLの伝搬経路1を伝搬して、t時間後に送受波器T2に到達する。超音波は、パルスなので、送受波器T2では伝達してきた超音波パルスのみを高いS/N比で電気パルスに変換することができる。この電気パルスを電気的に増幅して、再び送受波器T1に印加して超音波パルスを放射する。この装置をシング・アラウンド装置と呼び、超音波パルスが送受波器T1から放射され伝搬路を伝搬して送受波器T2に到達するのに要する時間をシング・アラウンド周期といい、その逆数をシング・アラウンド周波数という。
【0006】
図8において、管の中を流れる流体の流速をV、流体中の超音波の速度をC、流体の流れる方向と超音波パルスの伝搬方向の角度をθとする。送受波器T1を送波器、送受波器T2を受波器として用いた時に、送受波器T1から出た超音波パルスが送受波器T2に到達する時間であるシング・アラウンド周期をt1、シング・アラウンド周波数f1とすれば、
f1=1/t1=(C+Vcosθ)/L (1)
の関係が成立する。逆に、送受波器T2を送波器として、送受波器T1を受波器として用いた時のシング・アラウンド周期をt2、シング・アラウンド周波数f2とすれば、
f2=1/t2=(C−Vcosθ)/L (2)
の関係が成立する。従って、両シング・アラウンド周波数の周波数差Δfは、
Δf=f1−f2=2Vcosθ/L (3)
となり、超音波の伝搬経路の距離Lと周波数差Δfから流体の流速Vを求めることができる。流体中の超音波の速度Cは流体の温度により変化するが、この装置によると超音波の速度Cによらず流体の流速Vを求めることができるので、(3)式より温度の影響を受けることなく流体の流速Vを求めることができる。そして、この流速測定装置においては、流体の流速Vを正確に求めるためには伝搬時間t1、t2を正確に計測することが重要になる。
【0007】
上記に説明したシング・アラウンド法を利用した流速測定装置においては、流体中に超音波を放射する超音波送受波器として、従来は単板の圧電素子を駆動源とした超音波送受波器を使用していた。
【0008】
図9は、従来の超音波送受波器の一例の断面図である。同図において、圧電素子33は、円板形または矩形の圧電セラミックを1枚用いて構成されており、ケース34の内側に貼り付けられている。ケース34は、圧電素子33から超音波が効率よく出ていくための整合層の役目と、外部の環境に対して圧電素子33の信頼性を保証するという役目を兼ねている。従って、ケース4はプラスチック材料などのように、圧電素子33の音響インピーダンスと流体の音響インピーダンスの中間の値を有する材料で構成される。時には、ケース4は信頼性の向上のみの実現のために、ステンレスなどの金属で作られることもある。35はフェライト粉を混合したプラスチック材から成るバッキング材であり、圧電振動子33を電圧で駆動した時に放射される超音波37の立ち上がりを早くするために用いられる。駆動端子36a、36bに共振周波数近傍の成分を持つバースト電圧を印加すると、圧電振動子33は拡がり振動、厚み振動、または拡がり振動と厚み振動の両方で振動し、外部の流体中に超音波7を放射する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来のシング・アラウンド法を利用した流速測定装置においては、超音波送受波器として、1枚の圧電素子から構成される超音波送受波器を使用していたので、送受波感度を高くするためには、超音波送受波器の共振周波数近傍で駆動する必要があった。そして、電圧を印加して超音波に変換する送波感度、または到達した超音波を電圧に変換する受波感度は、高くすることができるが、感度の周波数依存性が大きいという課題がある。そして、超音波送受波器の共振周波数は温度や負荷(超音波送受波器が接している流体の材質により大きく変わる)などの変動により変化するので、超音波送受波器の感度も温度や負荷などの変動により変化する。従って、一定周波数で駆動したのでは共振周波数の変化により送受波感度が低下してしまうので、ほぼ一定感度で駆動するためには、共振周波数の変化に応じて駆動周波数を変化させる、つまり共振周波数を自動追尾する必要がある。送受波感度をほぼ一定にするためには、共振周波数を正確に自動追尾する必要があり駆動制御回路が複雑になる、また共振周波数の自動追尾の精度が悪いと感度が変化するという第1の課題がある。
【0010】
従来のシング・アラウンド装置に使用している超音波送受波器は、圧電振動子として厚み振動、または拡がり振動を用いている。従って、感度の高い超音波送受波を行うためには、厚み振動を用いている場合には、送波器の共振周波数と受波器の反共振周波数を一致させる必要があり、拡がり振動を用いている場合には、送波器と受波器の共振周波数を一致させる必要がある。そして、シング・アラウンド装置では、1つの超音波送受波器が送波器としても受波器としても使用されるので、原理的に送波器の共振周波数と受波器の反共振周波数を一致させることはできないが、厚み振動を用いている場合、送受波感度を高くするためには2つの超音波送受波器の共振周波数の関係を合わせる必要がある。しかし、超音波送受波器の共振周波数には製造ばらつきがあるので、周波数選別なしに、また周波数調整なしに超音波送受波器の共振周波数を一致させる、または2つの超音波送受波器の共振周波数の関係を合わせるのは困難であり、一致または合わせようとすれば超音波送受波器のコストは必然的に高くなる。また、例え初期に2つ超音波送受波器共振周波数を一致または合わせたとしても、温度や経時変化により変化するので、2つの超音波送受波器の共振周波数を常に一致または合わせることは極めて困難であるという第2の課題がある。
【0011】
また、従来のシング・アラウンド装置に使用している超音波送受波器には、厚み振動および撓み振動の圧電振動子から構成した非共振型の超音波送受波器を用いたものもある。これらは、電圧を印加して超音波に変換する送波感度、または到達した超音波を電圧に変換する受波感度の周波数依存性が小さいので、周波数追尾をしなくても一定周波数で駆動できるので駆動回路が簡単になるが、送波感度が低いので、駆動には数10Vから数100Vの高い駆動電圧が必要になり、受波感度も小さいので増幅率の大きい増幅器が必要となり、送受波回路の消費電力が大きくなるという第3の課題がある。特に電池を電源とする流速測定装置では大きな課題である。また、非共振型の超音波送受波器は共振型に比べて形状が大きくなるという課題もある。
【0012】
本発明の目的とするところは、形状が小さく、送受波感度が大きく、周波数依存性が小さく、温度や負荷の変動による特性変化が小さい超音波送受波器を用いることにより、消費電力が小さく、測定精度が高く、特に低流速の場合にも高精度の流速計測ができるという条件をすべて兼ね備えた流速測定装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の流速測定装置は、圧電板を複数枚積層して構成した積層型圧電素子の1面である音響放射面に音響整合層を形成し、積層型圧電素子の音響放射面の反対面に音響整合層よりも剛性の大きい剛性層を形成して構成した、形状が小さく、送受波感度が大きく、周波数依存性が小さく、温度や負荷の変動による特性変化が小さい超音波送受波器を流速測定装置に用い、超音波送受波器を電圧で駆動して流体中に超音波を発射し、超音波が所定の伝搬路を伝搬する時間を計測することにより、消費電力が小さく、測定精度が高く、特に低流速の場合にも高精度の流速計測を実現するものである。
【0014】
また、本発明の第2の流速測定装置は、圧電板を複数枚積層し、少なくとも1面に弾性板を固着して構成した積層型圧電素子の1面である音響放射面に音響整合層を形成し、積層型圧電素子の音響放射面の反対面に音響整合層よりも剛性の大きい剛性層を形成して構成した、形状が小さく、送受波感度が大きく、周波数依存性が小さく、温度や負荷の変動による特性変化が小さい超音波送受波器を流速測定装置に用い、超音波送受波器を電圧で駆動して流体中に超音波を発射し、超音波が所定の伝搬路を伝搬する時間を計測することにより、消費電力が小さく、測定精度が高く、特に低流速の場合にも高精度の流速計測を実現するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
以下、図面に従って本発明の実施の形態1について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態1の流体測定装置に用いる、超音波送受波器の斜視図である。同図において、1は圧電セラミックなどの圧電体により構成される圧電振動子であり、ケース2の内側に貼り付けられている。ケース2は駆動電圧により励振される圧電振動子1の機械的振動が、外部の媒体に超音波として効率よく出ていき、到来した超音波が効率よく電圧に変換されるための音響整合層の役目と、外部の環境に対して圧電振動子1の信頼性を保証するという役目を兼ねている。従って、ケース2は外部の流体に対して信頼性が保証できるとともに、圧電振動子1の音響インピーダンスと流体の音響インピーダンスの中間の値を有するプラスチック、金属などの材料で構成される。3はフェライト粉を混合したプラスチック材などの材料から成るバッキング材であり、圧電振動子1を電圧で駆動した時に放射される超音波5の立ち上がりを早くするために用いられる。駆動端子4a、4bに共振周波数近傍の周波数のバースト電圧を印加すると、圧電振動子1は厚み振動モードで振動し、気体または液体中などの流体中に超音波バースト5を放射する。
【0018】
図2は、図1に示す超音波送受波器に用いる圧電振動子の斜視図である。同図において、1は機械/電気変換素子として、圧電素子6が多数枚積層して構成された積層圧電振動子である。圧電素子6は、それぞれ厚さ方向に分極され上下面に電極を形成された圧電セラミックであり、同図に矢印で示すように隣り合う圧電素子の分極方向(分極をPで表している)が逆方向になるように貼り合わせられている。7は駆動電源であり、圧電振動子1を駆動するための駆動交流電圧を発生する。圧電振動子1を構成する圧電素子6に、隣り合う圧電素子の電圧印加方向が逆になるように共振周波数近傍の駆動電源8の出力交流電圧を印加すると、圧電振動子1は厚み振動をして外部の流体に音波を放射する。
【0019】
図3は、積層圧電素子1を用いた超音波送受波器の駆動端子4a、4bから見たアドミッタンスと、駆動電圧に対する放射超音波強度の大きさを表す送波感度の周波数特性であり、同図において、frは厚み振動の共振周波数であり、fdは駆動周波数である。従来は精度良く流速計測ができるように、送波感度が高くなる共振周波数frで超音波送受波器を駆動していた。しかし、本実施の形態1では積層圧電振動子1を用いているので、駆動電圧に対する送波超音波強度である送波感度がきわめて大きいので、必ずしも駆動周波数fdを共振周波数frに一致させるか、またごく近傍に設定する必要がない。実験では、駆動周波数fdを共振周波数frに対して、0.9fr(=fd2)から0.05fr(=fd1)に設定して流速測定装置に使用すれば、流速を計測するのに充分な送波感度が得られることを確認した。
【0020】
図4は、図1に示した超音波送受波器をもちいた流速測定装置のブロック図である。同図において、スタート回路11により流体の流速計測が始まると、切換回路10により送受波器T1を送波器として、送受波器T2を受波器として働くように切換をする。また、スタート回路11は、計測開始を時間計測回路19に知らせる。そして、トリガー回路18が駆動回路12にトリガーをかけて送受波器T1を駆動して、超音波バーストを流体中に放射する。超音波パルスは距離がLの伝搬経路1を伝搬し、送受波器T2で受波される。送受波器T2で受けた超音波バーストは電圧バーストに変換され、回路で取扱やすいレベルにまで増幅器13で増幅される。そして、比較回路14で設定レベルと比較されて超音波バーストが到来したことが認識される。そして、遅延回路17により超音波が流体中の計測系から消えるまで待って、再びトリガー回路18により送受波器T1に電圧パルス印加して超音波パルスを放射する。この動作を繰返設定回路15で設定された回数だけ繰り返して時間計測回路19で時間を計測する。この動作の終了を司るのが繰返制御回路16である。この時の管の中を流れる流体の流速をV、流体中の超音波の速度をC、平均シング・アラウンド周期をt1、平均シング・アラウンド周波数f1とすれば、
f1=1/t1=(C+Vcosθ)/L (4)
の関係が成立し、この演算を行うのが流速演算回路20である。
【0021】
次に、送受波器T2を送波器として、送受波器T1を受波器として用いて同様の動作をした時の平均シング・アラウンド周期をt2、平均シング・アラウンド周波数f2とすれば、
f2=1/t2=(C−Vcosθ)/L (5)
の関係が成立する。従って、両者の周波数差Δfは、
Δf=f1−f2=2Vcosθ/L (6)
となり、周波数差Δfにより流体の流速Vを求めることができる。この演算を行うのも流速演算回路20である。
【0022】
本実施の形態1によれば、積層型圧電振動子を用いることにより、小さな形状で送受波感度を大きくすることができる。また、駆動周波数を共振周波数から離すことにより、送受波感度の周波数依存性を小さくできるので、周囲温度や負荷が変動して共振周波数が変化しても、特性変化が小さい超音波送受波器を実現できる。また、2つの送受波器の特性を合わせる必要もない。そして、このような超音波送受波器を流速測定装置に使用することにより、常に測定精度が高く、特に低流速の場合にも高精度の流速計測ができるという条件をすべて兼ね備えた流速測定装置を提供することができる。
【0023】
また、上記の実施の形態1では、圧電振動子1に厚み振動を励振しているが、拡がり振動を励振することも、厚み振動と拡がり振動を同時に励振することも容易であり同様の効果が得られる。
【0024】
(実施の形態2)
以下、図面に従って、本発明の実施の形態2について詳細に説明する。
【0025】
図5は、本発明の実施の形態2の流体測定装置に用いる超音波送受波器の斜視図である。同図において、21は、圧電セラミックなどの圧電体により構成される圧電振動子であり、ケース22の内側に貼り付けられている。ケース22は、駆動電圧により励振される圧電振動子21の機械的振動が外部の媒体に超音波として効率よく出ていき、到来した超音波が効率よく電圧に変換されるための音響整合層の役目と、外部の環境に対して圧電振動子21の信頼性を保証するという役目を兼ねている。従って、ケース22は、外部の流体に対して信頼性が保証できるとともに、圧電振動子21の音響インピーダンスと流体の音響インピーダンスの中間の値を有するプラスチック、金属などの材料で構成される。23は、フェライト粉を混合したプラスチック材などの材料から成るバッキング材であり、圧電振動子21を電圧で駆動した時に放射される超音波25の立ち上がりを早くするために用いられる。駆動端子24a、24bに共振周波数近傍の周波数のバースト電圧を印加すると、圧電振動子21は厚み振動モードで振動し、気体または液体中などの流体中に超音波バースト25を放射する。
【0026】
図6は、図5に示した超音波送受波器に用いる圧電振動子の斜視図である。同図において、21は機械/電気変換素子として圧電素子26が多数枚積層して構成された積層圧電振動子である。圧電素子26は、厚さ方向に分極され上下面に電極を形成された圧電セラミックであり、同図に矢印で示すように隣り合う圧電素子の分極方向(分極をPで表している)が逆になるように貼り合わせられている。そして、27は金属、セラミックなどの弾性板であり、積層した圧電素子26の上下面に貼り付けて、積層圧電振動子21を構成している。弾性板27は、共振周波数の調整用であり、弾性板27の厚さを厚くすれば、積層圧電振動子21の共振周波数を低くすることができ、弾性板27の厚さを薄くすれば、積層圧電振動子21の共振周波数を高くすることができる。28は駆動電源であり、圧電振動子21を駆動するための駆動交流電圧を発生する。圧電振動子21を構成する圧電素子26に共振周波数近傍の駆動電源28の出力交流電圧を印加すると、圧電振動子21は厚み振動をして外部に音波を放射する。
【0027】
図7は、図5に示した超音波送受波器に積層圧電振動子21を用いた時の超音波送受波器の駆動端子24a、24bから見たアドミッタンスと、駆動電圧に対する放射超音波強度の大きさを表す送波感度の周波数特性であり、同図において、fr1は、圧電素子26を積層して構成した時の厚み振動の共振周波数であり、その時のアドミッタンスと送波感度を添え字1で表し、fr2は圧電素子26を積層した後に、弾性板27を上下面に貼り付けて構成した時の厚み振動の共振周波数であり、その時のアドミッタンスと送波感度を添え字2で表し、そしてfdは駆動周波数である。積層圧電素子21の厚み振動の共振周波数は厚さで決まり、共振周波数を低くする時には、積層枚数を多くするか、1枚の圧電素子の厚さを厚くする。しかし、一般的に積層枚数と1枚の厚さを厚くするのには限りがある。そして、共振周波数駆動周波数fdが共振周波数fr1よりかなり低い時には、同図に示すように送波感度が低くなるので、弾性板27を圧電素子26の上下面に貼り付けて構成した時の厚み振動の共振周波数をfr2に低下させることにより送波感度を高くする。実験では、駆動周波数fdを共振周波数fr2に対して0.9fr2(=fd)から0.05fr2(=fd)に設定して流速測定装置に使用すれば時にも、流速を計測するのに充分な送波感度が得られることを確認した。
【0028】
図5に示した超音波送受波器をもちいた流速測定装置は図4と同様であるのでここでは省略する。
【0029】
本実施の形態2によれば、圧電素子を複数枚積層した後に、弾性板を上下面に貼り付けて構成した積層型圧電振動子を用いることにより、任意の積層圧電素子で貼り合わす弾性板の厚さを変えるだけで容易に共振周波数を制御し、その結果、送受波感度を制御することができる。また、駆動周波数を共振周波数から離すことにより、送受波感度の周波数依存性を小さくできるので、周囲温度や負荷が変動して共振周波数が変化しても特性変化が小さい超音波送受波器を実現できる。また、2つの送受波器の特性を合わせる必要もない。そして、このような超音波送受波器を流速測定装置に使用することにより、常に測定精度が高く、特に低流速の場合にも高精度の流速計測ができるという条件をすべて兼ね備えた流速測定装置を提供することができる。また、圧電素子を複数枚積層した後に弾性板を上下面のいずれか1面に貼り付けて構成した積層型圧電振動子を用いることにより、任意の積層圧電素子で貼り合わす弾性板の厚さを変えるだけで容易に共振周波数を制御し、その結果、送受波感度を制御することも同様にできる。
【0030】
【発明の効果】
本願発明では、積層圧電振動子を用いることにより、形状が小さく、送受波感度が大きく、周波数依存性が小さく、温度や負荷の変動による特性変化が小さい超音波送受波器を実現し、この超音波送受波器を流速測定装置に使用することにより、消費電力が小さく、測定精度が高く、特に低流速の場合にも高精度の流速計測ができるという条件をすべて兼ね備えた流速測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の流速測定装置の超音波送受波器の断面図
【図2】図1の超音波送受波器に用いる圧電振動子の斜視図
【図3】図1の超音波送受波器のアドミッタンスおよび送波感度の周波数特性図
【図4】本発明の実施の形態1の流速測定装置のブロック図
【図5】本発明の実施の形態2の流速測定装置の超音波送受波器の断面図
【図6】図5の超音波送受波器に用いる圧電振動子の斜視図
【図7】図5の超音波送受波器のアドミッタンスおよび送波感度の周波数特性図
【図8】従来の流速測定装置の測定原理説明のための概念図
【図9】従来の流速測定装置の超音波送受波器の断面図
【符号の説明】
1 圧電振動子
2 ケース
3 バッキング材
4a,4b 駆動端子
5 放射超音波
6 圧電素子
7 駆動電源
10 切換回路
11 スタート回路
12 駆動回路
13 増幅器
14 比較回路
15 繰返設定回路
16 繰返制御回路
17 遅延回路
18 トリガー回路
19 時間計測回路
20 流速演算回路
Claims (6)
- 隣り合う圧電板の分極方向が逆方向になるように圧電板を複数枚積層して構成した積層型圧電素子を、ケースの内側に固着して構成した超音波送受波器を、隣り合う前記圧電板の電圧印加方向が逆になるように所定の周波数の交流電圧で駆動して、流体中に超音波を発射し、前記超音波が、所定の伝搬路を伝搬する時間を計測することにより、前記流体の流速を計測することを特徴とする流速測定装置。
- 隣り合う圧電板の分極方向が逆方向になるように圧電板を複数枚積層して構成した積層型圧電素子の1面である音響放射面に音響整合層を形成して構成した超音波送受波器を、隣り合う前記圧電板の電圧印加方向が逆になるように所定の周波数の交流電圧で駆動して流体中に超音波を発射し、前記超音波が所定の伝搬路を伝搬する時間を計測することにより、前記流体の流速を計測することを特徴とする流速測定装置。
- 隣り合う圧電板の分極方向が逆方向になるように圧電板を複数枚積層し、少なくとも1面に弾性板を固着して構成した積層型圧電素子をケースの内側に固着して構成した超音波送受波器を、隣り合う前記圧電板の電圧印加方向が逆になるように所定の周波数の交流電圧で駆動して流体中に超音波を発射し、前記超音波が所定の伝搬路を伝搬する時間を計測することにより、前記流体の流速を計測することを特徴とする流速測定装置。
- 隣り合う圧電板の分極方向が逆方向になるように圧電板を複数枚積層し、少なくとも1面に弾性板を固着して構成した積層型圧電素子の1面である音響放射面に音響整合層を形成して構成した超音波送受波器を、隣り合う前記圧電板の電圧印加方向が逆になるように所定の周波数の交流電圧で駆動して、流体中に超音波を発射し、前記超音波が所定の伝搬路を伝搬する時間を計測することにより、前記流体の流速を計測することを特徴とする流速測定装置。
- 前記所定の周波数は、前記積層型圧電素子の共振周波数と異なる請求項1〜4のいずれかに記載の流速測定装置。
- 前記所定の周波数は、前記積層型圧電素子の共振周波数に対して0.05倍から0.9倍である請求項1〜4のいずれかに記載の流速測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16702196A JP3708226B2 (ja) | 1996-06-27 | 1996-06-27 | 流速測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP16702196A JP3708226B2 (ja) | 1996-06-27 | 1996-06-27 | 流速測定装置 |
Publications (2)
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