JP3708164B2 - エンジンの始動制御装置 - Google Patents
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- Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
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Description
【産業上の利用分野】
この発明はエンジンの始動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高圧の天然ガスを燃料として使用するエンジンは、高圧ボンベからガス燃料を減圧弁(ガスレギュレータ)および制御バルブを介して導入し、ミキサでエンジンの吸入空気と混合し、この混合気をエンジンに供給するようになっている(特開昭61ー23857号公報)。
【0003】
ところで、エンジンの始動性を高めるため、従来の気化器を備えるエンジンでは、チョークバルブが設けられる。例えば、LPGエンジンであるが、ベンチュリの直前にチョークバルブを配置し、エンジンの始動に必要な高濃度の混合気を生成するため、とくに冷間始動時にチョークバルブを自動または手動で閉じて流速を高めるようにしている(特開昭58ー133457号公報)。
【0004】
なお、LPGエンジンにおいて、アイドル回転を安定化するため、吸気通路の絞り弁を迂回するバイパス通路と、そのバイパス流量を制御する流量制御弁を設け、流量調整弁の開度を制御することにより、エンジン回転速度を一定のアイドル回転に維持するようにした例も見られる(特開昭59ー181242号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、燃料をガス状態で供給するエンジンの場合、燃料の霧化や微粒化を促進するチョークバルブは必要なく、絞り弁が閉じた状態で仮にチョークバルブを閉じると、吸入空気量が減少するため、混合気が高濃度になるし、エンジンの吸入負圧も大きくなるから、クランキング回転が低下して、エンジンの始動性を悪化させるという不具合があった。
【0006】
そのため、運転者がアクセルペダルで絞り弁を少し開くことも考えられるが、絞り弁の開度調整が難しく、開きすぎても適度な混合気は得られず、エンジンの始動が不安定になりやすいという不具合があった。
【0007】
この発明はこのような問題点を解決することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、図8のように絞り弁上流にガス燃料を吸入空気量に応じて吸入して混合するミキサを備えるエンジンにおいて、絞り弁を全閉位置から開方向へ駆動する手段aと、絞り弁を迂回するバイパス流量を制御する流量調整弁bと、エンジンの始動動作を検出する手段cと、エンジン冷却水温を検出する手段dと、これら検出信号から冷間始動を判定する手段eと、その判定時点の冷却水温に応じて絞り弁の開度を決定する手段fと、この決定開度に絞り弁を制御する手段gと、同じく判定時点の冷却水温に応じて流量調整弁の開度を決定する手段hと、この決定開度に流量調整弁を制御する手段iと、エンジンの回転速度を検出する手段jと、この検出信号からエンジンの始動完了を判定する手段kと、その判定の実効を所定時間だけ遅延させる手段mと、冷却水温を第1暖機温度と比較する手段nと、遅延時間の経過後に冷却水温が第1暖機温度以上を条件に絞り弁を閉弁する手段pと、冷却水温を第1暖機温度より所定値だけ高い第2暖機温度と比較する手段qと、エンジンの始動完了判定後の冷却水温が第2暖機温度以上を条件にエンジン回転速度が一定のアイドル回転を維持するように流量調整弁の開度を制御する手段rと、を備える。
【0009】
第2の発明では、図8において、エンジンの始動完了判定後の冷却水温が第1暖機温度に達した時点から流量調整弁の決定開度を冷却水温に応じて補正する手段sと、を備える。
【0010】
【作用】
第1の発明によれば、エンジンの冷間始動が判定されると、絞り弁および流量調整弁は冷却水温に応じた決定開度に制御される。そして、エンジンの始動完了が判定されると、絞り弁はその判定時点から所定時間の経過後に冷却水温が第1暖機温度以上を条件に閉じられ、始動判定後の冷却水温が第2暖機温度以上に達すると、流量調整弁はアイドル回転制御に基づく開度に制御される。
【0011】
そのため、エンジンの冷間始動時は絞り弁および流量調整弁を通して吸入空気量が増えるため、エンジンヘ適度な濃度の混合気を供給できる。吸入負圧(エンジンのマイナス仕事)も低減するから、クランキング回転速度が上昇する。暖機が進むに伴ってエンジン回転速度は上昇するが、冷却水温が第1暖機温度以上になると、絞り弁が閉じられるため、エンジン回転速度は過度に上昇することなく、冷却水温が第2暖機温度以上になるまで、バイパス流量分の吸入空気により高回転に維持される。つまり、エンジンの良好な始動性および暖機性の促進を実現できる。
【0012】
第2の発明によれば、絞り弁の閉弁後に流量調整弁の決定開度を冷却水温に基づいて補正することで、エンジン回転速度を暖機状態に応じて適確に制御できる。
【0013】
【実施例】
図1において、燃焼室1に圧縮上死点付近で点火する点火プラグ2が備えられる。吸気通路3に絞り弁4が設けられ、絞り弁4を迂回する補助吸気通路5が形成される。絞り弁4は図示しないアクセルペダルによって開閉され、補助吸気通路5にはアイドル吸気を導くアイドル制御弁6が設けられる。
【0014】
絞り弁4を全閉位置から開方向へ作動させる負圧室を備えるダイヤフラム7が設けられる。ダイヤフラム7は反対側が大気開放され、負圧室を絞り弁4下流に連通する負圧通路8が形成される。負圧通路8の途中に電磁弁9が介装され、ダイヤフラム7の負圧室へ吸入負圧と大気圧を選択的に供給する。
【0015】
そして、後述する冷間始動時に電磁弁9が開くと、ダイヤフラム7の負圧室に吸入負圧が導入され、ダイヤフラム7が絞り弁4を全閉位置から所定開度だけ押し開くように作動し、電磁弁9が負圧通路8を遮断してダイヤフラム7の負圧室を大気開放すると、絞り弁4は全閉位置へ復帰する。
【0016】
絞り弁4上流に主燃料供給系としてミキサ10が設けられ、空気と燃料を混合して所定の混合気を生成する。高圧の天然ガスを充填したガスボンベ11から、燃料はガスレギュレータ12を介してミキサ10に供給され、吸入空気量に比例してベンチュリ部に発生する負圧に応じて吸入される。
【0017】
負圧通路8からガスレギュレータ12に吸入負圧が導かれ、ガスレギュレータ12はガスボンベ11からの燃料を吸入負圧に対して一定の圧力まで減圧する。ガスレギュレータ12の前後に燃料の供給を制御する燃料遮断弁13,14が介装される。
【0018】
主燃料供給系の燃料通路15は燃料遮断弁14下流で副燃料供給系の燃料通路16として分岐され、ガスボンベ11からの燃料の一部は燃料噴射ソレノイド弁17に導かれ、燃料噴射ソレノイド弁17の開弁によってミキサ10へ追加供給される。
【0019】
燃料噴射ソレノイド弁17や点火プラグ2などを制御するコントロールユニット18が備えられ、エンジン回転速度およびクランク角度を検出するクランク角センサ19、絞り弁4の開度を検出するスロットル開度センサ20、絞り弁4下流の吸入負圧を検出する負圧センサ21、混合気の空燃比を求めるための排気通路22中の残存酸素濃度を検出するO2センサ23、エンジン冷却水温を検出する水温度センサ24からの検出信号が入力される。
【0020】
これらの検出信号に基づいて、コントロールユニット18は、運転状態に応じて目標空燃比を決定し、O2センサ23の出力から計測した空燃比(つまり、エンジンに供給する混合気の空燃比)が目標空燃比と一致するように、燃料噴射ソレノイド弁17から燃料供給量をフィードバック制御する。
【0021】
また、点火プラグ2を運転状態に応じた最適な点火タイミングで点火するように、パワートランジスタ26への通電を制御し、イグニッションコイル27から高電圧を点火プラグ2に印加する。また、イグニッションスイッチ28がオンすると、燃料通路15の燃遮断弁13,14を開くと共に、エンジン回転速度とスロットル開度とから、エンジンのアイドル運転域を判定し、その運転域でアイドル制御弁6の開度を調整するように制御する。
【0022】
一方、コントロールユニット18は、イグニッションスイッチ28からのスタータsw信号と水温センサ24の検出信号とから冷間始動を判定すると、冷却水温を応じて絞り弁4の開度およびアイドル制御弁6の開度を制御する。図2はその制御内容を説明するフローチャートで、イグニッションスイッチ28のオンで起動され、各種のセンサやスイッチ信号を読み込む(ステップ1)。
【0023】
エンジン回転速度とスタータsw信号とからエンジンが回転中でなく、スタータsw信号がオンすると、エンジンの始動動作が行われたと判定し、エンストを起こさなければ、エンジンの始動動作を判定したときに冷却水温Twst0を読み込むと共に、図3のデータマップを検索することにより、この冷却水温Twst0が所定値(23℃)以下のときに電磁弁9の開弁を決定し、その駆動信号を電磁弁9に出力する一方、図4のデータマップを検索することにより、冷却水温Twst0に対応するアイドル制御弁の開度β0を決定し、その開弁に相当する駆動信号を電磁弁9に出力する(ステップ2〜ステップ7→ステップ16)。
【0024】
そして、エンジンが回転中か、スタータsw信号がオフすると、エンジンの始動が完了したかどうかを判定し、その始動完了時に遅延タイマスを作動させる(ステップ8〜ステップ10)。その後、遅延タイマが所定のTdly時間の経過をカウントすると、冷却水温Tweを読み込む(ステップ11,ステップ12)。冷却水温Tweが図3のデータマップに基づく第1暖機温度Twe1(23℃)以上のときは、電磁弁9の全閉を決定して全閉に切り替える駆動信号を電磁弁9に出力する一方、冷却水温Tweが図5のデータマップに基づく第2暖機温度Twe1(48℃)以上のときは、エンジン回転速度が一定のアイドル回転を維持するようにアイドル制御弁6の開度を調整するアイドル回転制御への移行を決定し、アイドル回転制御に基づく駆動信号をアイドル制御弁6に出力する(ステップ13〜ステップ17)。
【0025】
このような構成により、エンジンの冷間始動時は、絞り弁4およびアイドル制御弁6を通して吸入空気量が増えるため、エンジンヘ適度な濃度の混合気を供給できる。吸入負圧(エンジンのマイナス仕事)も低減するから、クランキング回転速度が向上する。暖機が進むに伴ってエンジン回転速度は上昇するが、冷却水温が第1暖機温度以上になると、絞り弁4が閉じられるため、エンジン回転速度は過度に上昇することなく、冷却水温が第2暖機温度以上になるまで、バイパス流量分の吸入空気により高回転に維持される。つまり、エンジンの良好な始動性および暖機性の促進を実現できる。
【0026】
図6はアイドル制御弁の決定開度を補正する他の実施例を説明するフローチャートで、図2と同じ制御処理に同じ番号を付けて重複説明は省略する。冷却水温Tweが第1暖機温度Twe1以上で、第2暖機温度Twe2に達しないときは、図7のデータマップを検索することでにより、冷却水温Tweに対応する開度βを求め、この開度βに相当する駆動信号をアイドル制御弁6に出力する(ステップ18→ステップ17)。
【0027】
これによると、絞り4の閉弁後にアイドル制御弁6のバイパス流量(吸入空気の増加量)を冷却水温を基づき調整することで、エンジン回転速度を暖機状態に応じて適確に制御できる。
【0028】
【発明の効果】
第1の発明によれば、絞り弁上流にガス燃料を吸入空気量に応じて吸入して混合するミキサを備えるエンジンにおいて、絞り弁を全閉位置から開方向へ駆動する手段と、絞り弁を迂回するバイパス流量を制御する流量調整弁と、エンジンの始動動作を検出する手段と、エンジン冷却水温を検出する手段と、これら検出信号から冷間始動を判定する手段と、その判定時点の冷却水温に応じて絞り弁の開度を決定する手段と、この決定開度に絞り弁を制御する手段と、同じく判定時点の冷却水温に応じて流量調整弁の開度を決定する手段と、この決定開度に流量調整弁を制御する手段と、エンジンの回転速度を検出する手段と、この検出信号からエンジンの始動完了を判定する手段と、その判定の実効を所定時間だけ遅延させる手段と、冷却水温を第1暖機温度と比較する手段と、遅延時間の経過後に冷却水温が第1暖機温度以上を条件に絞り弁を閉弁する手段と、冷却水温を第1暖機温度より所定値だけ高い第2暖機温度と比較する手段と、エンジンの始動完了判定後の冷却水温が第2暖機温度以上を条件にエンジン回転速度が一定のアイドル回転を維持するように流量調整弁の開度を制御する手段と、を備えたので、冷間始動時に絞り弁および流量調整弁を通して吸入空気量が増えるため、エンジンへの適度な濃度の混合気を供給できる。暖機運転に伴ってエンジン回転速度は上昇するが、冷却水温が第1暖機温度以上になると、絞り弁が閉じられるため、エンジン回転速度は過度に上昇することなく、冷却水温が第2暖機温度以上になるまで、バイパス流量分の吸入空気により高回転に維持される。つまり、エンジンの良好な始動性および暖機性の促進を実現できる。
【0029】
第2の発明によれば、エンジンの始動完了判定後の冷却水温が第1暖機温度に達した時点から流量調整弁の決定開度を冷却水温に応じて補正する手段と、を備えたので、エンジン回転速度を暖機状態に応じて制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す構成図である。
【図2】同じく制御内容を説明するフローチャートである。
【図3】同じく制御に使用されるデータマップ図である。
【図4】同じく制御に使用されるデータマップ図である。
【図5】同じく制御に使用されるデータマップ図である。
【図6】他の実施例を説明するフローチャートである。
【図7】同じく制御に使用されるデータマップ図である。
【図8】この発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
4 絞り弁
6 アイドル制御弁
7 ダイヤフラム
8 負圧通路
9 電磁弁
10 ミキサ
13,14 燃料遮断弁
15,16 燃料通路
17 燃料噴射ソレノイド弁
18 コントロールユニット
19 クランク角度センサ
20 スロットル開度センサ
21 負圧センサ
23 O2センサ
24 水温センサ
Claims (2)
- 絞り弁上流にガス燃料を吸入空気量に応じて吸入して混合するミキサを備えるエンジンにおいて、絞り弁を全閉位置から開方向へ駆動する手段と、絞り弁を迂回するバイパス流量を制御する流量調整弁と、エンジンの始動動作を検出する手段と、エンジン冷却水温を検出する手段と、これら検出信号から冷間始動を判定する手段と、その判定時点の冷却水温に応じて絞り弁の開度を決定する手段と、この決定開度に絞り弁を制御する手段と、同じく判定時点の冷却水温に応じて流量調整弁の開度を決定する手段と、この決定開度に流量調整弁を制御する手段と、エンジンの回転速度を検出する手段と、この検出信号からエンジンの始動完了を判定する手段と、その判定の実効を所定時間だけ遅延させる手段と、冷却水温を第1暖機温度と比較する手段と、遅延時間の経過後に冷却水温が第1暖機温度以上を条件に絞り弁を閉弁する手段と、冷却水温を第1暖機温度より所定値だけ高い第2暖機温度と比較する手段と、エンジンの始動完了判定後の冷却水温が第2暖機温度以上を条件にエンジン回転速度が一定のアイドル回転を維持するように流量調整弁の開度を制御する手段と、を備えたことを特徴とするエンジンの始動制御装置。
- エンジンの始動完了判定後の冷却水温が第1暖機温度に達した時点から流量調整弁の決定開度を冷却水温に応じて補正する手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の始動制御装置。
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