JP3707925B2 - 消化管潰瘍治療物質 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は特定の化合物からなる消化管潰瘍治療物質、及び該物質を有効成分として含む消化管潰瘍治療剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
消化管潰瘍は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍および吻合部潰瘍などの総称であり、胃あるいは十二指腸などの粘膜下層以下に及ぶ部分的な粘膜欠損と定義される。消化管潰瘍の発症機序としては、一般にバランス説が受け入れられている。すなわち、消化管内部では、酸やペプシンなどの攻撃因子と、粘液、重炭酸、粘膜血流などの防御因子のバランスが維持されているが、何らかの原因によってこのバランスが崩れ、攻撃因子の作用が防御因子の作用を上回ったときに潰瘍が生じると考えられている(鈴木ら、検査と技術、23巻、7号、466〜472頁、1995年)。本疾患は、一般的に持続性の痛みを伴い、患者に多大な苦痛をもたらすうえ、一度発症すると、治癒後も再発を繰り返して慢性化することが多い。
【0003】
消化管潰瘍の治療薬としては、制酸薬(重曹、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなど)、H2レセプターアンタゴニスト(シメチジン・ラニチジン・ファモチジンなど)、プロトンポンプインヒビター(オメプラゾールなど)およびスクラルファートなどが用いられる。これらの薬剤は、上記バランス説における、ある攻撃因子が減弱、あるいはある防御因子を増強し、その結果、生体の自然治癒力が発揮され効果を現す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、潰瘍部位のより積極的な治癒のために、粘膜細胞の増殖促進など、生体の自然治癒力を直接高める薬剤の開発が期待されている。
【0005】
本発明の目的は、この点に鑑み、より有用性の高い消化管潰瘍治療物質及び消化管潰瘍治療剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく研究を重ねた結果、特定のペプチド化合物、または医薬として許容されるその塩が、後述する薬理試験の結果から分かるように、消化管潰瘍治療に有効であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明により、一般式(I)
【化3】
Figure 0003707925
【0008】
(式中、R1 は水素、アシル基または置換されたアシル基、アルキル基または置換されたアルキル基、水酸基または置換された水酸基、アミノ基または置換されたアミノ基を、R2 は水酸基または置換された水酸基を、R3 はカルボキシル基または保護されたカルボキシル基をそれぞれ示すか、またはR3 とR2 は互いに結合して−COO−基を示し、R4 は水素、アルキル基または置換されたアルキル基を、R5 は水素、アルキル基または置換されたアルキル基、水酸基または置換された水酸基を、R6 は水素、アルキル基または置換されたアルキル基を、R7 は水素、アルキル基または置換されたアルキル基、アミノ基または置換されたアミノ基、水酸基または置換された水酸基をそれぞれ示すか、またはR6 とR7 はそれらの一部で互いに結合しており、R8 は水素、アルキル基または置換されたアルキル基を、R9 は水素、アルキル基または置換されたアルキル基、水酸基または置換された水酸基を、R10は水素、アルキル基または置換されたアルキル基を、R11は水素、アルキル基または置換されたアルキル基、水酸基または置換された水酸基を、R12は水素、アルキル基または置換されたアルキル基を、R13は水素、アルキル基または置換されたアルキル基、アミノ基または置換されたアミノ基、水酸基または置換された水酸基をそれぞれ示すか、またはR12とR13はそれらの一部で互いに結合している)
で表される化合物のうち、下記式(II)
【化4】
Figure 0003707925
で表される化合物を除く化合物、または医薬として許容されるその塩からなる消化管潰瘍治療物質が提供される。
【0009】
本発明による消化管潰瘍治療物質の代表例としては、上記化合物において、R8 が水素を示す、請求項1記載の消化管潰瘍治療物質;R10が水素を示す、請求項2記載の消化管潰瘍治療物質;R10がメチル基を示す、請求項2記載の消化管潰瘍治療物質;R10がメチル基以外のアルキル基または、置換されたアルキル基を示す、請求項2記載の消化管潰瘍治療物質;R8 がメチル基を示す、請求項1記載の消化管潰瘍治療物質;R10がメチル基を示す、請求項6記載の消化管潰瘍治療物質;R10が水素、メチル基以外のアルキル基または、置換されたアルキル基を示す、請求項6記載の消化管潰瘍治療物質;R8 がメチル基以外のアルキル基または、置換されたアルキル基を示す、請求項1記載の消化管潰瘍治療物質;R10がメチル基を示す、請求項9記載の消化管潰瘍治療物質;R10が水素、メチル基以外のアルキル基または、置換されたアルキル基を示す、請求項9記載の消化管潰瘍治療物質;R4 がヒドロキシメチル基または、その水酸基が保護されたヒドロキシメチル基を示す、請求項10記載の消化管潰瘍治療物質;R4 が水素、アルキル基または、ヒドロキシメチル基以外の置換されたアルキル基を示す、請求項10記載の消化管潰瘍治療物質が挙げられる。
【0010】
本発明により、また、上記のような消化管潰瘍治療物質を有効成分として含む消化管潰瘍治療剤が提供される。
【0011】
上記化合物の置換基をさらに詳しく説明する。
【0012】
「アシル基」の適当な例としては、カルバモイル基、脂肪族アシル基、芳香環を持つアシル基(以下、「芳香族アシル基」と称する)または複素環を持つアシル基(以下、「複素環アシル基」と称する)を挙げることができる。上記アシル基の適当な具体例としては、アルカノイル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル、アイコサノイル等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、t−ペンチルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル等)、アルカンスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル等)、アルコキシスルホニル(例えば、メトキシスルホニル、エトキシスルホニル等)等のような脂肪族アシル基;アロイル基(例えば、ベンゾイル、トルオイル、ナフトイル等)、アリールアルカノイル基(例えば、フェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、フェニルイソブチリル、フェニルペンタノイル、フェニルヘキサノイル等のフェニルアルカノイル、ナフチルアセチル、ナフチルプロパノイル、ナフチルブタノイル等のナフチルアルカノイル等)、アリールアルケノイル基(例えば、フェニルプロペノイル、フェニルブテノイル、フェニルメタクリロイル、フェニルペンテノイル、フェニルヘキセノイル等のフェニルアルケノイル、ナフチルプロペノイル、ナフチルブテノイル、ナフチルペンテノイル等のナフチルアルケノイル等)、アリールアルコキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル等のフェニルアルコキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等)、アリールオキシアルカノイル基(例えば、フェノキシアセチル、フェノキシプロピオニル等)、アリールグリオキシロイル基(例えばフェニルグリオキシロイル、ナフチルグリオキシロイル等)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル等)等のような芳香族アシル基;複素環カルボニル基(例えば、テノイル、フロイル、ニコチノイル等)、複素環アルカノイル基(例えば、チエニルアセチル、チエニルプロパノイル、チエニルブタノイル、チエニルペンタノイル、チエニルヘキサノイル、チアゾリルアセチル、チアジアゾリルアセチル、テトラゾリルアセチル等)、複素環グリオキシロイル基(例えば、チアゾリルグリオキシロイル、チエニルグリオキシロイル等)等のような複素環アシル基が挙げられ、上記「複素環カルボニル基」「複素環アルカノイル基」および「複素環グリオキシロイル基」中の複素環部分の適当な具体例としては、酸素、硫黄、窒素その他の少なくとも1つのヘテロ原子を持つ飽和または不飽和の、単環または多環状の複素環基が挙げられる。
【0013】
また、「アルキル基」の適当な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、アイコシル等が挙げられる。
【0014】
前記の「アシル基」、「アルキル基」および「アミノ基」は、1つあるいは複数の適当な置換基をもっていてもよく、このような置換基の例としては、上記のアシル基、上記のアルキル基、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、1−プロペニル、1−,2−または3−ブテニル、1−,2−,3−または4−ペンテニル、1−,2−,3−,4−または5−ヘキセニル等)、アリール基(フェニル、トリル、キシリル、ナフチル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ等)、アルキルアミノ基(例えばメチルアミノ、エチルアミノ等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、シクロアルケニル基(シクロヘキセニル等)、ハロゲン、アミノ基、置換されたアミノ基、水酸基、置換された水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、置換されたカルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、イミノ基、オキソ基、アミノアルキル基(例えば、アミノメチル、アミノエチル等)、カルバモイルオキシ基、ヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル、1−または2−ヒドロキシエチル、1−,2−または3−ヒドロキシプロピル等)、シアノアルケニルチオ基(例えばシアノビニルチオ等)等を挙げることができる。
【0015】
「置換された水酸基」における「水酸基置換基」の適当な例としては、フェニルアルキル基(例えば、ベンジル等)や上記のアシル基等が挙げられる。
【0016】
適当な「置換されたカルボキシル基」としては、エステル化されたカルボキシル基が含まれる。エステル化されたカルボキシル基のエステル部分の適当な例としては、少なくとも一つの適当な置換基を持っていてもよいメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル等のアルキルエステル、例えばアルカノイルオキシアルキルエステル(例えばアセトキシメチルエステル、プロピオニルオキシメチルエステル、ブチリルオキシメチルエステル、バレリルオキシメチルエステル、ピバロイルオキシメチルエステル、ヘキサノイルオキシメチルエステル、1−または2−アセトキシエチルエステル、1−,2−または3−アセトキシプロピルエステル、1−,2−,3−または4−アセトキシブチルエステル、1−または2−プロピオニルオキシエチルエステル、1−,2−または3−プロピオニルオキシプロピルエステル、1−または2−ブチリルオキシエチルエステル、1−または2−イソブチルオキシエチルエステル、1−または2−ピバロイルオキシエチルエステル、1−または2−ヘキサノイルオキシエチルエステル、イソブチリルオキシメチルエステル、2−エチルブチリルオキシメチルエステル、3,3−ジメチルブチリルオキシメチルエステル、1−または2−ペンタノイルオキシエチルエステル等)、アルカンスルホニルアルキルエステル(例えば、2−メシルエチル等)、モノ−,ジ−またはトリハロアルキルエステル(例えば、2−ヨードエチルエステル、2,2,2−トリクロロエチルエステル等)、アルコキシカルボニルオキシアルキルエステル(例えば、メトキシカルボニルオキシメチルエステル、エトキシカルボニルオキシメチルエステル、2−メトキシカルボニルオキシエチルエステル、1−エトキシカルボニルオキシエチルエステル、1−イソプロポキシカルボニルオキシエチルエステル等)、フタリジリデンアルキルエステルまたは(5−アルキル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)アルキルエステル[例えば(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソ−ル−4−イル)メチルエステル、(5−エチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール)メチルエステル、(5−プロピル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)エチルエステル等]等、アルケニルエステル(例えば、ビニルエステル、アリルエステル等)、アルキニルエステル(例えば、エチニルエステル、プロピニルエステル等)、少なくとも一つの適当な置換基を持っていてもよいアリールアルキルエステル、例えば非置換または置換モノ、ジまたはトリフェニルアルキルエステル(例えば、ベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、フェネチルエステル、トリチルエステル、ベンズヒドリルエステルビス(メトキシフェニル)メチルエステル、3,4−ジメトキシベンジルエステル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルエステル等)等、少なくとも一つの適当な置換基を持っていてもよいアリールエステル(例えばフェニルエステル、4−クロロフェニルエステル、トリルエステル、t−ブチルフェニルエステル、キシリルエステル、メシチルエステル、クメニルエステル等)、フタリジルエステル等を挙げることができる。
【0017】
本発明による消化管潰瘍治療物質の代表例としては、公知化合物である、式(III) で示されるA83586C(Smitka ら、J.Antibiotics 41:726-733,1988)、式(IV)で示されるVariapeptin(Nakagawa ら、J.Antibiotics 43:477-484,1990)、式(V)で示されるVerucopeptin(Nishiyamaら、J.Antibiotics 46:921-927,1993)、式(VI)で示されるAzinothricin(Maehrら、J.Antibiotics 39:17-25,1986)、式(VII) で示されるCitropeptin(Nakagawa ら、J.Antibiotics 43:477-484,1990)、式(VIII)で示されるAurantimycin A、式(IX)で示されるAurantimycin B、式(X)で示されるAurantimycin C(Grafeら、J.Antibiotics 48:119-125,1995)、式(XI)で示されるL−156602(Hensen ら、J.Antibiotics 44:249-254,1991)、式(XII) で示されるIC−101(Ueno ら、J.Antibiotics 46:1658-1665,1993)、式(XIII)で示されるGE3( 特開平7−278188号公報)等が挙げられる。これらは、消化管潰瘍治療作用があることは全く知られていなかった。
【0018】
【化5】
Figure 0003707925
【0019】
【化6】
Figure 0003707925
【0020】
【化7】
Figure 0003707925
【0021】
【化8】
Figure 0003707925
【0022】
【化9】
Figure 0003707925
【0023】
【化10】
Figure 0003707925
【0024】
【化11】
Figure 0003707925
【0025】
【化12】
Figure 0003707925
【0026】
【化13】
Figure 0003707925
【0027】
【化14】
Figure 0003707925
【0028】
【化15】
Figure 0003707925
【0029】
本発明化合物(I)の医薬として許容される適当な塩の種類としては、慣用の無毒性の塩、すなわち各種塩基との塩および酸付加塩を挙げることができる。より具体的には、アルカリ金属塩(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩やマグネシウム塩等)、アンモニウム塩等の無機塩基との塩、有機アミン塩(トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N' −ジベンジルエチレンジアミン塩等)のような有機塩基との塩、無機酸付加塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等)、有機カルボン酸付加塩または有機スルホン酸付加塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等)、塩基性アミノ酸または酸性アミノ酸との塩(例えばアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等)等が挙げられる。
【0030】
本発明による消化管潰瘍治療物質を製剤化するには、通常はこれを製剤用担体とともに製剤組成物の形態とする。担体としては剤形に応じた薬剤を調製するのに通常使用される充填剤、崩壊剤、増量剤、結合剤、着色剤、矯味矯臭剤、pH調整剤、可溶化剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤、付質剤、界面活性剤、滑沢剤、賦形剤、抗酸化剤、分散剤、噴射剤、溶解剤、溶解補助剤が例示される。また上記の化合物又は医薬として許容されるその塩を適当な溶剤に溶解して、上記の化合物又はその塩をそのままの形態で液剤とする方法によっても製造される。
【0031】
本発明消化管潰瘍治療物質を用いて製剤化される消化管潰瘍治療剤の投与単位形態としては、上記のごとき液剤のほか、錠剤、丸剤、飲用液剤、散剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、エキス剤、細粒剤、シロップ剤、浸剤、煎剤、トローチ剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤など)などが例示される。
【0032】
消化管潰瘍治療剤中に含有すべき本発明消化管潰瘍治療物質の量は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、好ましくは消化管潰瘍治療剤中に10-7〜10重量%の範囲である。
【0033】
本発明の消化管潰瘍治療物質より得られた消化管潰瘍治療剤は、その使用に際し各種形態に応じた方法で投与される。例えば、錠剤、丸剤、飲用液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤の場合には経口投与され、注射剤の場合には静脈内、筋肉内、皮内、皮下、関節腔内もしくは腹腔内投与され、坐剤の場合には直腸内投与される。
【0034】
本発明の消化管潰瘍治療物質より得られた消化管潰瘍治療剤の投与量は、使用目的、症状などにより適宜選択されるが、通常は1日当り本発明消化管潰瘍治療物質として10ng〜10mg/kg程度の範囲である。また上記製剤組成物を1〜4回/日に分けて投与することも勿論差し支えない。
【0035】
【実施例】
次に、本発明の実施例を挙げて、上述した効果を実証する。
【0036】
実施例1
本発明の一般式(I)で示される化合物のうち、前記式(III) で示されるA83586C、前記式(IV)で示されるVariapeptin、前記式(V)で示されるVerucopeptin、前記(VI)で示されるAzinothricin、前記式(VII) で示されるCitropeptin、前記式(VIII)で示されるAurantimycin A、前記式(IX)で示されるAurantimycin B、前記式(X)で示されるAurantimycin C、前記式(XI)で示されるL−156602、前記式(XII) で示されるIC−101および前記式(XIII)で示されるGE3について、以下のようにして消化管潰瘍治療作用を調べた。この化合物は、前述の文献に記載されている方法によって製造した。
【0037】
薬理試験
試験例1
Szaboの方法(Szabo S.,Am.J.Pathol.1978;93:273−276)に準じて、ラットシステアミン潰瘍モデルを作成した。すなわち、体重200〜250gのSD系雄性ラットを用い、システアミン塩酸塩(ナカライテスク社製)水溶液(50mg/ml)を5ml/kg(システアミン塩酸塩として250mg/kg)ずつ、4時間毎に計3回経口投与して、システアミン潰瘍を誘発した。システアミンの初回投与から2、6、10、24および32時間後に、上記のA83586C、Variapeptin、Verucopeptin、Azinothricin、Citropeptin、Aurantimycin A、Aurantimycin B、Aurantimycin C、L−156602、IC−101またはGE3を0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液に懸濁して1mg/mlとしたものを、5ml/kg(A83586C、Variapeptin、Verucopeptin、Azinothricin、Citropeptin、Aurantimycin A、Aurantimycin B、Aurantimycin C、L−156602、IC−101またはGE3として5mg/kg)ずつ、経口投与した。コントロール群のラットには、0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液のみを同様に投与した。なお、本試験には、各群5匹のラットを用いた。
【0038】
システアミン潰瘍の誘発の48時間後に、ラットを剖検し、胃および十二指腸を摘出して潰瘍の有無を調べ、潰瘍のあるものについては潰瘍面積を測定した。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0003707925
【0040】
A83586C、Variapeptin、Verucopeptin、Azinothricin、Citropeptin、Aurantimycin A、Aurantimycin B、Aurantimycin C、L−156602、IC−101またはGE3を投与した群では、コントロール群に比べて、潰瘍のある個体数が明らかに少なく、また潰瘍面積も明らかに小さかった。すなわち、A83586C、Variapeptin、Verucopeptin、Azinothricin、Citropeptin、Aurantimycin A、Aurantimycin B、Aurantimycin C、L−156602、IC−101またはGE3は、消化管潰瘍治癒促進作用を有する。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、顕著な消化管潰瘍治療効果を示す消化管潰瘍治療物質およびこれを含む消化管潰瘍治療剤が提供される。

Claims (11)

  1. 下記式(III)で表される化合物、または医薬として許容されるその塩からなる消化管潰瘍治療物質を有効成分として含むことを特徴とする消化管潰瘍治療剤。
    Figure 0003707925
  2. 下記式(IV)で表される化合物、または医薬として許容されるその塩からなる消化管潰瘍治療物質を有効成分として含むことを特徴とする消化管潰瘍治療剤。
    Figure 0003707925
  3. 下記式(V)で表される化合物、または医薬として許容されるその塩からなる消化管潰瘍治療物質を有効成分として含むことを特徴とする消化管潰瘍治療剤。
    Figure 0003707925
  4. 下記式(VI)で表される化合物、または医薬として許容されるその塩からなる消化管潰瘍治療物質を有効成分として含むことを特徴とする消化管潰瘍治療剤。
    Figure 0003707925
  5. 下記式(VII)で表される化合物、または医薬として許容されるその塩からなる消化管潰瘍治療物質を有効成分として含むことを特徴とする消化管潰瘍治療剤。
    Figure 0003707925
  6. 下記式(VIII)で表される化合物、または医薬として許容されるその塩からなる消化管潰瘍治療物質を有効成分として含むことを特徴とする消化管潰瘍治療剤。
    Figure 0003707925
  7. 下記式(IX)で表される化合物、または医薬として許容されるその塩からなる消化管潰瘍治療物質を有効成分として含むことを特徴とする消化管潰瘍治療剤。
    Figure 0003707925
  8. 下記式(X)で表される化合物、または医薬として許容されるその塩からなる消化管潰瘍治療物質を有効成分として含むことを特徴とする消化管潰瘍治療剤。
    Figure 0003707925
  9. 下記式(XI)で表される化合物、または医薬として許容されるその塩からなる消化管潰瘍治療物質を有効成分として含むことを特徴とする消化管潰瘍治療剤。
    Figure 0003707925
  10. 下記式(XII)で表される化合物、または医薬として許容されるその塩からなる消化管潰瘍治療物質を有効成分として含むことを特徴とする消化管潰瘍治療剤。
    Figure 0003707925
  11. 下記式(XIII)で表される化合物、または医薬として許容されるその塩からなる消化管潰瘍治療物質を有効成分として含むことを特徴とする消化管潰瘍治療剤。
    Figure 0003707925
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