JP3707762B2 - 土圧式シールド掘進機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、土圧式シールド掘進機に関し、特に、この種の掘進機の排土手段の改良技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
土圧式シールド掘進機においては、通常、チャンバー内に取込まれた掘削土砂は、スクリューコンベアを使用して、坑内に排出している。この場合、掘削土砂は、切羽の安定性を確保するために、チャンバー内の土圧を所定値以上に保持しながら、スクリューコンベアの排土口を間欠的に開閉して排出している。
【0003】
ところで、このようにスクリューコンベアの排土口の開閉制御を行う場合においても、排土口を解放した際の影響が、チャンバー内に直接的に及ばないようするためには、スクリューコンベアは、ある程度以上の長さが必要とされ、このため、通常、スクリューコンベアは、シールド掘進機の後端より後方に突出している。
【0004】
そして、スクリューコンベアから坑内に排出された掘削土砂は、ベルトコンベアなどで後方に移動され、ズリ鋼車または土砂圧送ポンプなどを使用して、坑外に搬出される。
【0005】
しかしながら、このような従来の土圧式シールド掘進機には、以下に説明する技術的な課題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、スクリューコンベアがシールド掘進機の後端より後方に突出していると、急曲線施工において、スクリューコンベアの後端側が内巻き壁と干渉して、シールド掘進機の掘進が困難になり、スクリューコンベアを短いものに交換するなどの対策が必要になる。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、急曲線施工が可能になるとともに、連続的な掘進が可能になる土圧式シールド掘進機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、筒状に形成された掘進機本体と、この掘進機本体の先端に回転自在に設置されたカッターと、前記カッターの背面側に設けられ、掘削土砂を充満して土圧に対抗させるチャンバーとを備えたシールド掘進機において、前記チャンバーの内部と一端側が連通し、他端側の端部が前記掘進機本体の後スキンプレートの後端とほぼ一致し、急曲線施工に影響を及ぼさない短尺な土砂搬送用スクリューコンベアと、掘進中常時開口される前記搬送用スクリューコンベアの排土口と連通する土砂圧送用ポンプとを設け、前記土砂圧送用ポンプの吐出口に後続台車の後方まで伸びる可撓性の土砂搬出用配管を連通接続した。
このように構成した土圧式シールド掘進機によれば、チャンバーの内部と、急曲線施工に影響を及ぼさない短尺な土砂搬送用スクリューコンベアを介して、掘進中常時開口される搬送用スクリューコンベアの排土口と連通する土砂圧送用ポンプを設け、このポンプの吐出口に後続台車の後方まで伸びる可撓性の土砂搬出用配管を連通接続しているので、排出する掘削土砂と土砂搬出用配管との間の摩擦力が非常に大きくなる。
従って、チャンバー内を掘削土砂が充満された土砂搬出用配管で解放しても、この配管を介して排出される掘削土砂は、限られたものとなり、チャンバー内の圧力は、切羽の安定性を損なうほど低くならない。
また、本発明のシールド掘進機では、チャンバーの内部と一端側が連通し、他端側の端部が前記掘進機本体の後スキンプレートの後端とほぼ一致し、急曲線施工に影響を及ぼさない短尺な土砂搬送用スクリューコンベアを用いるので、シールド掘進機の急曲線施工に影響を及ぼさないし、また、掘削土砂の搬出用配管は、可撓性を有しているので、後続台車の後方まで延長してもシールド掘進機の急曲線施工に影響を及ぼさない。
さらに、本発明のシールド掘進機では、掘削土砂は、チャンバーから後端が解放された配管を介して、連続的に排出されるので、シールド掘進機の連続掘進が可能になる。
前記土砂圧送用ポンプは、回転容積型のロータリーポンプを用いることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照にして詳細に説明する。図1から図4は、本発明にかかるシールド掘進機の一実施例を示している。
【0010】
同図に示したシールド掘進機は、掘進機本体10と、カッター12と、チャンバー14と、土砂搬送用スクリューコンベア16と、土砂圧送用のロータリーポンプ18と、土砂搬出用配管20とを有している。
【0011】
掘進機本体10は、図2にその詳細を示すように、軸方向の中間位置で分断され、両端が開口した円筒状の前,後スキンプレート10a,10bを有していて、これらの前,後スキンプレート10a,10bは、スキンプレート10a,10bの内部に設置された中折れジャッキ21により相互に連結されている。
【0012】
この中折れジャッキ21は、周方向に所定の間隔を隔てて複数設けられていて、曲線状に掘削する際に用いられる。前スキンプレート10a内には、後スキンプレート10bの後端側に、エレクター22を用いて環状に組立てられるセグメント23に反力を取って、シールド掘進機を推進させるシールドジャッキ24が設けられている。
【0013】
このシールドジャッキ24は、周方向に所定の間隔を隔てて複数配置されている。また、前スキンプレート10aの前端側には、チャンバー14を隔成する隔壁26が設けられている。
【0014】
カッター12は、十字状に形成されたスポーク部12aと、このスポーク部12aの背面側中心に突設された回転軸12bと、スポーク部12aの側面と前面とに固設されたカッタービット12cとを備えている。
【0015】
カッター12のスポーク部12a内には、径方向に出没自在に設けられ、カッター12の掘削可能な範囲よりも外方の掘削を可能にするコピカッター12dが内蔵されている。
【0016】
また、カッター12のスポーク部12aの背面側には、複数の支持ステー12eが同一円周上に所定の間隔を隔てて突設されていて、支持ステー12eの端部には、円環状のリングビーム12fが固設されている。
【0017】
このように構成されたカッター12は、回転軸12bとリングビーム12fとが、ベアリングなどを介在させることにより、隔壁26に回転自在に支持されている。
【0018】
そして、リングビーム12fの一端側には、リングギア12gが固設され、このリングギア12gには、駆動モータ12hの回転軸に固設された原動ギア12iが歯合している。
【0019】
チャンバー14は、隔壁26により後端側が隔成され、前面側に配置されているカッター12により掘削された土砂を内部に取込んで充満して、切羽側の土圧に対向させて、切羽の安定を図る。
【0020】
スクリューコンベア16は、一端側が隔壁26を貫通して、チャンバー14内と連通するように固設された中空円筒状の筒体16aと、この筒体16a内に回転自在に配置されたスクリュー羽根16bと、筒体16aの他端側に設けられたスクリュー羽根16bの回転駆動用モータ16cとを備えている。
【0021】
筒体16aの側面には、ジャッキ16dによりスライド駆動される蓋体16eで開閉される排土口16fが設けられている。なお、本実施例のスクリューコンベア16は、従来の土圧式シールド掘進機に用いられているものよりも短尺のものであって、排土口16fは、シールド掘進機を掘進させている間は、常時開口させておく。
【0022】
ロータリーポンプ18は、回転容積型のものであって、ポンプ本体18aと、このポンプ本体18aの駆動部18bとから構成されている。ポンプ本体18aには、土砂の受入口18cと、吐出口18dとが設けられていて、受入口18cにスクリューコンペア16の排土口16fが連通接続され、吐出口18dには、配管20の一端側が連通接続されている。
【0023】
また、ポンプ本体18a内には、駆動部18bにより、図4に示すように、回転,固定が制御される一対のブレード18e,18fが設けられている。
【0024】
土砂を圧送する際には、まず、図4(A)に示すように、一方のブレード18eが、吐出口18dを閉塞しない位置、すなわち、吐出口18dの一側面と一致する位置に固定され、他方のブレード18fが、反時計方向に回転駆動される。
【0025】
このブレード18fの動作により、その回転方向の前面側の土砂が吐出口18d側に押しやられるとともに、回転方向の背面側に吐出口18d側に押しやられた分に相当する土砂が受入口18cから取込まれる。
【0026】
そして、ブレード18fが、図4(B)に示すように、ブレード18eに近接した後に、これと当接する位置に到達すると、当接する直前に、ブレード18eが反時計方向に回転駆動され始め、ブレード18fがブレード18eが固定されていた位置に到達すると、図4(C)に示すように、その位置に固定される。
【0027】
回転駆動が開始されたブレード18eは、図4(D)に示すように、反時計方向に回転駆動され、このときには、図4(A)と同様に、土砂が回転に伴って吐出口18d側に押しやられるとともに、受入口18cから新たな土砂が取込まれる。
【0028】
その後は、図4(A)〜(D)の状態が繰返され、このような動作を繰り返すことにより受入口18cから取込まれた土砂が吐出口18dに向けて順次圧送され、排出口18dに連通接続されている配管20に送出される。
【0029】
本実施例の土砂配送用配管20は、可撓性を有する合成樹脂製などの円筒体から構成され、後続台車28の後方まで延長されていて、後端側は、その位置で解放されている。
【0030】
この配管20の解放端の下部側には、例えば、ベルトコンベアを配置して、受承した掘削土砂を坑外に搬出するか、あるいは、ズリ鋼車を用いて坑外に搬出する。
【0031】
以上のように構成した土圧式シールド掘進機では、カッター12を回転駆動することにより掘削された土砂は、カッター12の背面側に設けられたチャンバー14内に、順次取込まれて充満される。
【0032】
シールド掘進機の掘進が進行し、チャンバー14内に取込まれた掘削土砂が過剰になると、その一部が短尺なスクリューコンベア16を介して、ロータリーポンプ18内に送り込まれる。
【0033】
ロータリポンプ18の受入口18cに送り込まれた掘削土砂は、一対のブレード18e,18fの回転,固定を制御することにより、吐出口18d側に圧送され、土砂搬出用配管20内に収容される。
【0034】
このような掘削土砂の移動をシールド掘進機の掘進とともに順次行っていくと、掘削土砂は、配管20内を充満しながら、後続台車28の後方まで延設されている開口端まで移動し、その後ベルトコンベアなどにより坑外に搬出される。
【0035】
このように構成した土圧式シールド掘進機によれば、チャンバー14の内部と短尺な土砂搬送用スクリューコンベア16を介して連通する土砂圧送用のロータリーポンプ18を設け、ロータリーポンプ18の吐出口18dに後続台車28の後方まで伸びる可撓性の土砂搬出用配管20を連通接続しているので、排出する掘削土砂と土砂搬出用配管20との間の摩擦力が非常に大きくなる。
【0036】
従って、チャンバー14内を掘削土砂が充満された土砂搬出用配管20で解放しても、この配管20を介して排出される掘削土砂は、限られたものとなり、チャンバー14内の圧力は、切羽の安定性を損なうほど低くならない。
【0037】
また、本実施例のシールド掘進機では、スクリューコンベア16を用いる場合には、短尺なものを用いるので、シールド掘進機の急曲線施工に影響を及ぼさないし、また、掘削土砂の搬出用配管20は、可撓性を有しているので、後続台車28の後方まで延長してもシールド掘進機の急曲線施工に影響を及ぼさない。
【0038】
さらに、本発明のシールド掘進機では、掘削土砂は、チャンバー14から後端が解放された配管20を介して、連続的に排出されるので、シールド掘進機の連続掘進が可能になる。
【0040】
【発明の効果】
以上、実施例で詳細に説明したように、本発明にかかるシールド掘進機によれば、急曲線施工が可能になるとともに、連続的な掘進が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるシールド掘進機の一実施例を示す全体構成図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】図1に示したシールド掘進機のロータリーポンプの動作説明図である。
【符号の簡単な説明】
10 掘進機本体
12 カッター
14 チヤンバー
16 スクリューコンベア
18 ロータリーコンベア
18a ポンプ本体
18c 受入口
18d 吐出口
20 配管
25 シールドジャッキ
26 隔壁
28 後続台車
Claims (2)
- 筒状に形成された掘進機本体と、
この掘進機本体の先端に回転自在に設置されたカッターと、
前記カッターの背面側に設けられ、掘削土砂を充満して土圧に対抗させるチャンバーとを備えたシールド掘進機において、
前記チャンバーの内部と一端側が連通し、他端側の端部が前記掘進機本体の後スキンプレートの後端とほぼ一致し、急曲線施工に影響を及ぼさない短尺な土砂搬送用スクリューコンベアと、
掘進中常時開口される前記搬送用スクリューコンベアの排土口と連通する土砂圧送用ポンプとを設け、
前記土砂圧送用ポンプの吐出口に後続台車の後方まで伸びる可撓性の土砂搬出用配管を連通接続したことを特徴とする土圧式シールド掘進機。 - 前記土砂圧送用ポンプは、回転容積型のロータリーポンプからなることを特徴とする請求項1記載の土圧式シールド掘進機。
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