JP3707353B2 - 遠隔監視制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠隔監視制御システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、照明器具等の負荷を遠隔制御するようにした遠隔監視制御システムが提供されている。例えば、図12に示すように、複数のスイッチSを備えて各スイッチSの操作状態を監視する複数個の操作端末器31’と、複数の負荷L1…を制御する複数個の制御端末器32’とを2線式の伝送線Lsを介して伝送処理装置30’に接続した遠隔監視制御システムが知られている。操作端末器31’及び制御端末器32’には、それぞれ個別のアドレスが設定され、このアドレスを用いて伝送処理装置30’が操作端末器31’及び制御端末器32’を個別に認識する。
【0003】
伝送処理装置30’は伝送線Lsに対して、図13(a)のようなフォーマットの伝送信号Vsを送出する。すなわち、伝送信号Vsは、信号送出開始を示すスタートパルスST、信号モードを示すモードデータ信号MD、操作端末器31’や制御端末器32’を各別に呼び出すためのアドレスデータを伝送するアドレスデータ信号AD、負荷L1 …を制御する制御データを伝送する制御データ信号CD、伝送エラーを検出するためのチェックサムデータ信号CS、操作端末器31’や制御端末器32’からの返送データ信号を受信するタイムスロットである信号返送期間WTよりなる複極(±24V)の時分割多重信号であり、パルス幅変調によってデータが伝送されるようになっている。
【0004】
各操作端末器31’および各制御端末器32’では、伝送線Lsを介して受信した伝送信号Vsにより伝送されたアドレスデータがあらかじめ設定されているアドレスデータに一致すると、伝送信号Vsから制御データを取り込むとともに、伝送信号Vsの信号返送期間WTに同期して返信データを電流モード信号(伝送線Lsの線間を適当な低インピーダンスを介して短絡することにより送出される信号)として返送する。
【0005】
また、伝送処理装置30’には、ダミー信号送信手段および割り込み信号処理手段が設けられる。ダミー信号送信手段は、モードデータ信号MDをダミーモードとしたダミー伝送信号を常時送出する。また、割り込み信号処理手段は、いずれかの操作端末器31’でスイッチSの操作に伴って発生した図13(b)のような割り込み信号Viを受信したときに、割り込み信号Viを発生した操作端末器31’を検索し、その操作端末器31’に設定されているアドレスデータを返信データ(操作データ)として返送させる。すなわち、常時はダミー信号送信手段によってダミー伝送信号を伝送線Lsに送出し、スイッチSの操作に伴って操作端末器31’から発生した割り込み信号Viをダミー伝送信号のスタートパルス信号STに同期して検出すると、伝送処理装置30’からは割り込み処理手段によってモードデータ信号MDをアドレス確認モードとした伝送信号Vsを伝送線Lsに送出する。各操作端末器31’では、割り込み信号Viを発生すると割り込みの要求を行う割り込みフラグを設定し、割り込みフラグが設定されている操作端末器31’ではモードデータ信号MDがアドレス確認モードの伝送信号Vsを受信すると、この伝送信号Vsの信号返送期間WTに同期して操作端末器31’に設定されているアドレスデータを返信データ(操作データ)として返送する。このようにして伝送処理装置30’では割り込み信号Viを発生した操作端末器31’のアドレスを獲得することができる。
【0006】
伝送処理装置30’では、割り込み信号Viを発生した操作端末器31’のアドレスを獲得すると、スイッチSに対する対応関係があらかじめ設定されている負荷L1 …を接続した制御端末器32’に伝送する制御データを生成するとともに、その制御データを含む伝送信号Vsを伝送線Lsに送出し、対応する制御端末器32’に制御データを伝送して負荷L1 …を制御する。すなわち、制御端末器32’は外部電源から各負荷L1…への給電経路内に挿入された複数のリレー(図示せず)を具備しており、伝送信号Vsに含まれる制御データに基づいて各リレーをオン/オフすることで負荷L1…への電源供給を入/切している。
【0007】
操作端末器31’や制御端末器32’では、それぞれ伝送線Lsを伝送されている伝送信号Vsを全波整流し安定化することによって内部回路の動作用の電源を得るようになっている。制御端末器32’に接続される負荷L1 …については、別途に設けられた外部電源より制御端末器32’を介して電源供給されるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、制御端末器32’が具備するリレーにはラッチングリレーが用いられており、停電により伝送処理装置30’が停止すると伝送信号Vsによる電源供給が行われなくなり、リレーは停電前の状態に保持されている。このため、例えば負荷として非常灯を接続して停電時に予備電源から給電して点灯させるというような制御を行うことができず、さらには、リレーがオンして負荷L1…が動作しているときに停電した場合、復電時に外部電源から負荷L1…に過大な電流が流れてしまい、再度電源がダウンする虞があった。
【0009】
請求項1の発明は上記問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、停電時における負荷の制御が可能となる遠隔監視制御システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、各別にアドレスを有する操作端末器及び制御端末器を2線式の伝送線を介して伝送処理装置に接続し時分割多重の伝送信号にてデータの送受信を行い、伝送処理装置は、アドレスデータを含む伝送信号を伝送線に送出することによって操作端末器及び制御端末器を個別にアクセスし、伝送信号に同期して設定した信号返送期間に操作端末器からの操作データを受信すると操作データに基づいて制御データを生成し、操作データを発生した操作端末器とアドレスによる対応関係があらかじめ設定されている制御端末器に対して制御データを伝送して制御端末器の動作を制御し、制御端末器は、伝送線を介して受信する伝送信号から動作用電源を得る電源回路と、電源回路の出力電圧を監視して出力電圧が所定の閾値よりも低下したときに停電検知信号を出力する電源監視回路と、外部電源から負荷への給電経路内に挿入された1乃至複数のリレーと、制御データに応じて各リレーを駆動制御するとともに停電検知信号が入力されると各リレーを所定の状態に駆動制御する制御手段とを具備してなることを特徴とし、停電時における負荷の制御が可能となる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、制御手段が停電検知信号に応じてリレーを駆動制御する機能を有効とするか無効とするかを切り換える切換手段を制御端末器に設けたことを特徴とし、制御対象負荷等の条件に応じて上記機能を無効にすれば、従来と同様のシステム構成とすることができて使い勝手が向上する。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、切換手段は、各リレー毎に前記機能の有効/無効を切換可能としたことを特徴とし、使い勝手をさらに向上することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態により詳細に説明する。但し、本発明の実施形態を説明するに当たって、基本構成を共通とする参考例を先に説明する。
(参考例1)
本参考例の遠隔監視制御システムの構成例を図4に示す。本参考例では、負荷として白熱灯L1 、インバータ式の点灯装置を有した蛍光灯L2 、空調機のファンコイルL3 、スピーカL4 を備えている。白熱灯L1は、灯数に応じた容量の調光用制御端末器(1500W、800W、500W)331 〜333 により制御される。蛍光灯L2 は、点灯・消灯を制御するリレーを有した制御端末器32により制御される。ファンコイルL3 はファンコイル用の制御端末器336により動作強度が強中弱の3段階に制御され、スピーカL4 はボリューム用の制御端末器337 により音量が制御される。この他の負荷として電動カーテン、電動スクリーン、換気用のファンなどの電動機器も用いることが可能である。
【0014】
操作側の端末器としては、従来構成と同様のスイッチS0 を備えた操作端末器31、および調光用操作端末器381 ,382、接点出力が得られる各種センサを接続する接点入力用の操作端末器311 が設けられる。2台の調光用操作端末器381 ,382 は主として操作部分の寸法および構造が相違するだけであって(調光用操作端末器381は一側縁が枢支された比較的大きいピアノハンドル式のハンドルを有するものであり、調光用操作端末器382は比較的小さい押釦式のハンドルを有するものである)、基本的な動作については同様のものである。なお、調光用操作端末器382は、調光レベルをアップするためのアップスイッチおよび調光レベルをダウンするためのダウンスイッチ並びに蛍光灯L2 を点灯・消灯するためのスイッチを具備している。また、伝送線Lsを延長するために図示例では伝送線Lsに増幅器35を挿入して伝送信号を減衰させずに伝送できるようにしてある。ここで、ファンコイル用の制御端末器336やボリューム用の制御端末器337、並びに接点入力用の操作端末器311 は、消費電流等の関係から内部電源を伝送線Lsから得るのではなく、別途に給電される交流電圧を整流し安定化することによって内部電源を得ている。上記交流電圧は、伝送処理装置30とともに分電盤内などに配置されるリモコントランス36から得られる。リモコントランス36は、リモコンリレー(伝送信号によらずに別に設けたスイッチによってオンオフが可能なリレー)を用いる場合にリモコンリレーに給電するために従来より設けられているものである。このリモコントランス36から出力される24Vの交流電圧をファンコイル用やボリューム用の制御端末器336,337並びに接点入力用の操作端末器311 に供給することで、これらの端末器336,337,311には交流100Vなどの商用電源から直接に内部電源を得る必要がなく、電源トランスや大型の平滑コンデンサが不要になる。
【0015】
図1は本参考例における伝送処理装置30の回路ブロック図を示している。伝送処理装置30は、外部の商用交流電源から供給される交流電圧をトランスT(図2参照)で降圧した後に定電圧化して各部に安定した動作電源を供給する電源回路部41と、伝送線Lsに伝送信号Vsを出力するとともに各端末器から返信される操作データ等を認識して主制御部43に操作データを出力する伝送制御部42と、操作データに基づいてメモリ部34に記憶されているアドレスの対応関係を読み出し、例えば操作端末器31のスイッチSに対する対応関係があらかじめ設定されている負荷L1 …を接続した制御端末器32に伝送する制御データ等を生成するとともに、その制御データを含む伝送信号Vsを伝送線Lsに送出するように伝送制御部42に指示する主制御部43と、アドレスの対応関係等のデータを記憶するメモリ部44と、伝送線Lsに流れる電流のレベルを検出する電流検出部45と、システムの使用電流(消費電流)や伝送線Lsの短絡発生等の種々の情報を表示する表示部46と、後述するように表示部46に電流値を表示させるか否かを切り換えるための切換操作部47とを備えている。
【0016】
また、本参考例における伝送処理装置30は図2および図3に示す構造を有する。伝送処理装置30の器体は、それぞれ一面が開口する略箱形の合成樹脂成型品からなるボディ1とカバー2を組立ねじ3,3を用いて結合することで構成され、例えば日本工業規格(JIS)に規定されている電灯分電盤用協約形配線用遮断器の寸法(JIS C8370附属書5参照)に準ずる大きさに形成されている。器体の内部には図1に示す回路ブロックの電子部品を実装した2枚のプリント基板4,5、電源回路部41に含まれる降圧用のトランスT並びに外部の電源線およびアース線が接続される電源用端子板6とトランスTの1次側入力線およびアース線とを接続するための接続用プリント基板7を配設している。また、一方のプリント基板4にはカバー2の前面と略並行するように表示器用プリント基板8が取り付けられている。この表示器用プリント基板8には表示部46を構成する7セグメント式の3個の表示器46aと、切換操作部47を構成するスライド式の切換スイッチ47aとが実装され、カバー2の前面に設けた開口窓2aを通して表示器46aの表示面が外部から視認可能としてあり、さらに開口窓2aの近傍に設けた操作窓2bを通して切換スイッチ47aの操作片47bが外部から操作可能としてある。なお、プリント基板4には伝送線Lsの短絡が検出された場合に点灯又は点滅して報知するための発光ダイオードからなる短絡表示灯9が実装してあり、カバー2の前面略中央に設けた透孔2cを通して短絡表示灯9の光を外部に照射するようにしてある。
【0017】
カバー2の一端側には3個の電源用端子板6(1個はアース用)並びに端子ねじ6aが取り付けられて電源端子部が形成してあり、カバー2にねじ止めされる矩形平板状の電源端子カバー10によって電源端子部の前面側が覆われている。一方、カバー2の他端側には、伝送線Lsが接続される一対の信号用端子板11並びに端子ねじ11aが取り付けられて伝送信号端子部が形成してある。なお、信号用端子板11はリード線12によってプリント基板4に接続される。また、カバー2の前面には開口窓2a、操作窓2b並びに透孔2cにそれぞれ連通する孔13a〜13cが設けられた銘板13が貼着される。
【0018】
次に伝送線Lsに流れる電流(消費電流)を検出してその電流値を表示する伝送処理装置30の動作について説明する。なお、上記表示動作を除く伝送処理装置30の動作およびシステム全体の動作については従来と共通であるから説明は省略する。
【0019】
電流検出部45は、例えば伝送線Lsの一方の線路に電流トランス(図示せず)の1次側を接続し、電流トランスの2次側に誘起される電圧(検出電圧)を増幅した後にアナログ/デジタル変換することにより、伝送線Lsに流れる電流値のデジタルデータ(電流値データ)を作成して表示部46および伝送制御部42に出力する。表示部46では電流検出部45から与えられる電流値データに基づいて表示器46aを駆動して伝送線Lsの電流値を表示する。
【0020】
一方、伝送制御部42では、電流検出部45から与えられる電流値データに基づき、所定レベル以上の過電流が所定時間(例えば、割り込み信号Viのパルス幅や信号返送期間WTよりも長い時間)を越えて流れているか否かを監視し、このような条件を満たす過電流が伝送線Lsに流れている場合には伝送線Lsが短絡しているものと判断して、表示部46に対して短絡検知信号を出力する。この短絡検知信号を受け取った表示部46では、短絡表示灯9を点灯あるいは点滅させるなどして伝送線Lsが短絡していることを報知する。
【0021】
而して、表示部46によって伝送線Lsに流れる電流(消費電流)の電流値を視認することができるから、消費電流が伝送処理装置30の最大定格を越えないように施工現場において端末器が容易に追加できるようになり、施工性を向上させることができる。ここで、切換スイッチ47aがオフされている場合には、切換操作部47から表示オフ信号が伝送制御部42に入力され、伝送制御部42からは表示部46に対して電流値の表示を行わないようにさせるための表示オフ指令が与えられる。表示部46では表示オフ指令を受け取ると表示器46aによる電流値の表示を行わない。このため、例えば通常のシステム稼働時には表示部46に電流値を表示しないようにし、消費電流の確認が必要なときにだけ表示部46に電流値を表示させることで消費電流のチェックを明確に行うことができるという利点がある。なお、本参考例ではスライド式の操作片47bを具備した切換スイッチ47aで表示の有無を切り換えるようにしているが、切換スイッチ47aを押釦スイッチで構成し、押操作したときだけ表示部46に電流値を表示させるようにしてもよい。
【0022】
(参考例2)
参考例1では伝送処理装置30に使用電流の表示機能を持たせているのに対し、本参考例は中継用の増幅器35に使用電流の表示機能を持たせている。なお、増幅器35以外のシステム構成等は参考例1と共通するから、共通する構成については図示並びに説明を省略し、本参考例の特徴となる増幅器35の構成についてのみ説明する。
【0023】
図5は本参考例における増幅器35の回路ブロック図を示している。増幅器35は、外部の商用交流電源から供給される交流電圧をトランスT(図6参照)で降圧した後に定電圧化して各部に安定した動作電源を供給する電源回路部51と、伝送処理装置30との間で伝送線Lsを介して伝送信号Vsを送受信する伝送信号送受信部54と、伝送信号送受信部54で受信した伝送信号Vsが減衰している場合に増幅等の補正を加えるとともに伝送制御部52から与えられるデータを伝送信号Vsにて送信するための処理を行う伝送信号入出力処理部53と、伝送信号入出力処理部53に対してフォトカプラを介して接続され、伝送信号入出力処理部53から伝達された伝送信号Vsに含まれるデータを認識して伝送線Lsを介して伝送処理装置30から受信した伝送信号Vsを端末器に中継するとともに各端末器から返信される操作データ等を認識して伝送信号入出力処理部53にデータを出力する伝送制御部52と、端末器と接続された伝送線Lsに流れる電流のレベルを検出する電流検出部55と、システムの使用電流(消費電流)や伝送線Lsの短絡発生等の種々の情報を表示する表示部56と、後述するように表示部56に電流値を表示させるか否かを切り換えるための切換操作部57とを備えている。
【0024】
また、本参考例における増幅器35は図6R>6および図7に示す構造を有する。増幅器35の器体は、それぞれ一面が開口する略箱形の合成樹脂成型品からなるボディ14とカバー15を組立ねじ16を用いて結合することで構成され、例えば参考例1における伝送処理装置30と同様に電灯分電盤用協約形配線用遮断器の寸法に準ずる大きさに形成されている。器体の内部には図5に示す回路ブロックの電子部品を実装したプリント基板17、電源回路部51に含まれる降圧用のトランスT並びに外部の電源線およびアース線が接続される電源用端子板18とトランスTの1次側入力線およびアース線とを接続するための接続用プリント基板19を配設している。また、プリント基板17にはカバー15の前面と略並行するように表示器用プリント基板20が取り付けられている。この表示器用プリント基板20には表示部56を構成する7セグメント式の3個の表示器56aとスライド式の切換スイッチ57aとが実装され、カバー15の前面に設けた開口窓15aを通して表示器56aの表示面が外部から視認可能としてあり、さらに開口窓15aの近傍に設けた操作窓15bを通して切換スイッチ57aの操作片57bが外部から操作可能としてある。なお、プリント基板17には伝送線Lsの短絡が検出された場合に点灯又は点滅して報知するための発光ダイオードからなる短絡表示灯21と、伝送線Lsを介して伝送信号Vsを受信した場合に点灯又は点滅して表示する伝送信号受信表示灯22とが実装してあり、カバー2の前面略中央に設けた透孔15c,15dを通して短絡表示灯21および伝送信号受信表示灯22の光を外部に照射するようにしてある。
【0025】
カバー15の一端側には3個の電源用端子板18(1個はアース用)並びに端子ねじ18aが取り付けられて電源端子部が形成してあり、カバー15にねじ止めされる矩形平板状の電源端子カバー23によって電源端子部の前面側が覆われている。一方、カバー15の他端側には、伝送処理装置30からの伝送線Lsが接続される一対の信号用端子板24並びに端子ねじ24aが取り付けられて伝送信号端子部を形成するとともに、他の端末器へ伝送線Lsを送り配線するための送り用端子板25並びに端子ねじ25aが取り付けられて伝送信号送り端子部を形成してある。なお、信号用端子板24および送り用端子板25はリード線26によってプリント基板17に接続される。また、カバー15の前面には開口窓15a、操作窓15b並びに透孔15c,15dにそれぞれ連通する孔27a〜27dが設けられた銘板27が貼着される。
【0026】
次に伝送線Lsに流れる電流(消費電流)を検出してその電流値を表示する増幅器35の動作について説明する。なお、上記表示動作を除く増幅器35の動作およびシステム全体の動作については従来と共通であるから説明は省略する。
【0027】
電流検出部55は、例えば伝送線Lsの一方の線路に電流トランス(図示せず)の1次側を接続し、電流トランスの2次側に誘起される電圧(検出電圧)を増幅した後にアナログ/デジタル変換することにより、伝送線Lsに流れる電流値のデジタルデータ(電流値データ)を作成して表示部56および伝送制御部52に出力する。表示部56では電流検出部55から与えられる電流値データに基づいて表示器56aを駆動して伝送線Lsの電流値を表示する。
【0028】
一方、伝送制御部52では、電流検出部55から与えられる電流値データに基づき、所定レベル以上の過電流が所定時間(例えば、割り込み信号Viのパルス幅や信号返送期間WTよりも長い時間)を越えて流れているか否かを監視し、このような条件を満たす過電流が伝送線Lsに流れている場合には伝送線Lsが短絡しているものと判断して、表示部56に対して短絡検知信号を出力する。この短絡検知信号を受け取った表示部56では、短絡表示灯21を点灯あるいは点滅させるなどして伝送線Lsが短絡していることを報知する。また、伝送制御部52においては、伝送処理装置30あるいは端末器から伝送信号Vsを受信すると、伝送信号Vsを受信したことを示す信号を表示部56に出力して表示部56が具備する伝送信号受信表示灯22を点灯あるいは点滅させるなどして伝送信号Vsの受信状態を報知している。
【0029】
而して、増幅器35に設けた表示部56によって伝送線Lsに流れる電流(消費電流)の電流値を視認することができるから、消費電流が伝送処理装置30の最大定格を越えないように施工現場において増幅器35に対し端末器が容易に追加できるようになり、施工性を向上させることができる。ここで、切換スイッチ57aがオフされている場合には、切換操作部57から表示オフ信号が伝送制御部52に入力され、伝送制御部52からは表示部56に対して電流値の表示を行わないようにさせるための表示オフ指令が与えられる。表示部56では表示オフ指令を受け取ると表示器56aによる電流値の表示を行わない。このため、例えば通常のシステム稼働時には表示部56に電流値を表示しないようにし、消費電流の確認が必要なときにだけ表示部56に電流値を表示させることで消費電流のチェックを明確に行うことができるという利点がある。なお、本参考例ではスライド式の操作片57bを具備した切換スイッチ57aで表示の有無を切り換えるようにしているが、切換スイッチ57aを押釦スイッチで構成し、押操作したときだけ表示部56に電流値を表示させるようにしてもよい。
【0030】
(実施形態1)
本実施形態は制御端末器32の構成に特徴があり、その他のシステム構成等は参考例1又は2と共通する。よって、共通する構成については図示並びに説明を省略し、本実施形態の特徴となる制御端末器32の構成についてのみ説明する。
【0031】
図8は本実施形態における制御端末器32の回路ブロック図を示している。制御端末器32は、伝送線Lsを介して受信する伝送信号Vsから動作用電源を得る電源回路61と、電源回路61の出力電圧を監視して出力電圧が所定の閾値よりも低下したときに停電検知信号を出力する電源監視回路62と、外部電源から負荷への給電経路内に挿入された4つのラッチング型のリレーRy1〜Ry4と、各リレーRy1〜Ry4を駆動するリレー駆動回路63と、伝送処理装置30との間で伝送線Lsを介して伝送信号Vsを送受信する伝送信号送受信回路67と、伝送信号Vsにより受け取った制御データに基づいて各リレーRy1〜Ry4を駆動するための制御信号をリレー駆動回路63に出力するとともに電源監視回路62から停電検知信号が入力されると各リレーRy1〜Ry4を所定の状態に駆動制御するための制御信号を出力する伝送信号処理回路64と、リレー駆動回路63の駆動状態からリレーRy1〜Ry4の動作状態を監視して各リレーRy1〜Ry4の動作状態を表すリレー監視信号を伝送信号処理回路64に出力する状態監視回路65と、ディップスイッチを有し制御端末器32のアドレスが設定されるアドレス設定部66とを備えている。なお、電源回路61は容量の大きい電解コンデンサ(図示せず)を具備しており、停電あるいはシステムダウンによって伝送信号Vsが送信されなくなった場合でも、電解コンデンサの充電電荷を用いて、短時間ではあるが内部の各回路に動作電源が供給できるようにしてある。
【0032】
また、本実施形態における制御端末器32は、図9に示す構造を有する。制御端末器32の器体は、それぞれ一面が開口する略箱形の合成樹脂成型品からなるボディ71とカバー72を組立ねじ73を用いて結合することで構成され、例えば参考例1における伝送処理装置30と同様に電灯分電盤用協約形配線用遮断器の寸法に準ずる大きさに形成されている。器体の内部には図8に示す回路ブロックのうちリレーRy1〜Ry4およびリレー駆動回路63を実装したプリント基板74と、リレー駆動回路63を除く各回路の電子部品を実装したプリント基板75とを配設している。なお、これら2枚のプリント基板74,75はテープ電線からなる接続線76によって接続されている。
【0033】
カバー72の一端側には各4個の負荷用端子板77並びに端子ねじ77aが前後方向に2段に配置されて負荷接続端子部が形成してあり、カバー72にねじ止めされる矩形平板状の負荷接続端子カバー78によって負荷接続端子部の前面側が覆われている。一方、カバー72の他端側には、伝送線Lsが接続される一対の信号用端子板79並びに端子ねじ79aが取り付けられて伝送信号端子部が形成してある。また、カバー72の前面には銘板80が貼着される。
【0034】
次に本実施形態における制御端末器32の動作について説明する。なお、制御端末器32以外の端末器や伝送処理装置30の動作およびシステム全体の動作については従来と共通であるから説明は省略する。
【0035】
伝送処理装置30に電源を供給している商用交流電源の停電あるいは伝送線Lsの短絡事故や過負荷により伝送線Lsの線間電圧が低下した場合、電源回路61の出力電圧も同様に低下することから、電源監視回路62が停電検知信号を伝送信号処理回路64に出力する。伝送信号処理回路64は、停電検知信号が入力されると各リレーRy1〜Ry4を所定の状態、例えば外部電源から負荷への給電経路を開放するようにオン状態のリレーRy1…をオフ状態に反転駆動するための制御信号をリレー駆動回路63に出力する。そして、リレー駆動回路63がオン状態のリレーRy1…を駆動してオフ状態に反転させる。なお、上述の一連の動作を行うために、電源回路61が具備する電解コンデンサの充電電荷によって各回路の動作電源を確保している。
【0036】
而して、負荷制御用のリレーRy1〜Ry4にラッチング型のリレーを用いている場合、停電前にオン状態であったリレーRy1…は復電時にもオン状態に保持されているため、復電直後に外部電源から負荷に電源が供給されて負荷が動作してしまうことになり、復電時に外部電源から負荷に過大な電流が流れて再度電源がダウンする虞がある。これに対して本実施形態の制御端末器32では、停電発生時にリレーRy1〜Ry4をオフ状態に反転させているため、復電時に外部電源から負荷に給電されることがなく、上述のように復電時に過大な電流が流れて再度停電するというような不具合の発生を防ぐことができる。また、システムによっては停電時に特定の負荷(例えば、非常用照明負荷など)にのみ予備電源から給電する場合があり、このような場合には予備電源から上記特定負荷への給電経路にリレーRy1を挿入しておき、停電検知信号が入力されたら伝送信号処理回路64から制御信号を出力して、リレー駆動回路63によりリレーRy1のみをオン状態、他のリレーRy2〜リレーRy4をオフ状態にそれぞれ反転駆動するようにすればよい。すなわち、本実施形態によれば停電時における負荷の制御が可能となるのである。
【0037】
(実施形態2)
図10は本実施形態における制御端末器32の回路ブロック図を示している。本実施形態の制御端末器32は、伝送信号処理回路64が停電検知信号に応じてリレーRy1〜Ry4を駆動制御する機能を各リレーRy1〜Ry4毎に有効とするか無効とするかを切り換える切換回路68と、外部のワイヤレス設定器39との間で光ワイヤレス信号を送受信するワイヤレス信号送受信回路69と、光ワイヤレス信号により設定されるアドレスデータ等を記憶するメモリ部70とを備え、これら以外の他の回路並びに動作が実施形態1と共通している。よって、共通する回路には同一の符号を付して説明を省略する。切換回路68は例えばディップスイッチ等で構成され、各リレーRy1〜Ry4に対応したディップスイッチをオンすれば上記駆動制御機能が有効、オフすれば無効とするように伝送信号処理回路64に対して切換設定可能としてある。
【0038】
而して、制御対象負荷等の条件に応じて、切換回路68により全てのリレーRy1〜Ry4について停電検知信号に応じた駆動制御機能を無効とすれば、従来と同様のシステム構成とすることができて使い勝手が向上するという利点がある。また、上記駆動制御機能の有効/無効を各リレーRy1〜Ry4毎に個別に切換設定できるから、停電時における負荷の制御がきめ細かく行えるようになり、さらに使い勝手が向上できるものである。
【0039】
ところで、メモリ部70はEEPROMからなり、伝送信号処理回路64によってデータの読み書きが為される。図11は本実施形態における制御端末器32の構造を示しており、器体内には光ワイヤレス信号送受信回路69が具備する光ワイヤレス信号受信用の受光素子68a並びに光ワイヤレス信号送信用の発光素子68bが実装されたプリント基板81が収納されており、カバー72の前面略中央部に設けた透光窓72aを通してワイヤレス設定器39との間で光ワイヤレス信号を送受信するようになっている。すなわち、ワイヤレス設定器39から送信された光ワイヤレス信号をワイヤレス信号送受信回路69で受信し、受信信号に含まれるアドレスデータを伝送信号処理回路64がメモリ部70に書き込むことでアドレスが設定されるとともに、ワイヤレス設定器39から要求に応じてメモリ部70に記憶しているアドレスデータをワイヤレス信号送受信回路69から光ワイヤレス信号で送信し、ワイヤレス設定器39にて制御端末器32のアドレスを確認することができるようになっている。
【0040】
【発明の効果】
請求項1の発明は、各別にアドレスを有する操作端末器及び制御端末器を2線式の伝送線を介して伝送処理装置に接続し時分割多重の伝送信号にてデータの送受信を行い、伝送処理装置は、アドレスデータを含む伝送信号を伝送線に送出することによって操作端末器及び制御端末器を個別にアクセスし、伝送信号に同期して設定した信号返送期間に操作端末器からの操作データを受信すると操作データに基づいて制御データを生成し、操作データを発生した操作端末器とアドレスによる対応関係があらかじめ設定されている制御端末器に対して制御データを伝送して制御端末器の動作を制御し、制御端末器は、伝送線を介して受信する伝送信号から動作用電源を得る電源回路と、電源回路の出力電圧を監視して出力電圧が所定の閾値よりも低下したときに停電検知信号を出力する電源監視回路と、外部電源から負荷への給電経路内に挿入された1乃至複数のリレーと、制御データに応じて各リレーを駆動制御するとともに停電検知信号が入力されると各リレーを所定の状態に駆動制御する制御手段とを具備してなるので、停電時における負荷の制御が可能となるという効果がある。
【0041】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、制御手段が停電検知信号に応じてリレーを駆動制御する機能を有効とするか無効とするかを切り換える切換手段を制御端末器に設けたので、制御対象負荷等の条件に応じて上記機能を無効にすれば、従来と同様のシステム構成とすることができて使い勝手が向上するという効果がある。
【0042】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、切換手段は、各リレー毎に前記機能の有効/無効を切換可能としたので、使い勝手をさらに向上することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例1における伝送処理装置の回路ブロック図である。
【図2】 同上における伝送処理装置の分解斜視図である。
【図3】 同上における伝送処理装置を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は一部破断した他の側面図である。
【図4】 同上のシステム構成図である。
【図5】 本発明の参考例2における増幅器の回路ブロック図である。
【図6】 同上における増幅器の分解斜視図である。
【図7】 同上における増幅器を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は一部破断した他の側面図である。
【図8】 実施形態1における制御端末器の回路ブロック図である。
【図9】 同上における制御端末器の分解斜視図である。
【図10】 実施形態2における制御端末器の回路ブロック図である。
【図11】 同上における制御端末器を示し、(a)は正面図、(b)は一部破断した面図、(c)は他の側面図である。
【図12】 従来例のシステム構成図である。
【図13】 同上の伝送信号の説明図である。
【符号の説明】
30 伝送処理装置
41 電源回路部
42 伝送制御部
43 主制御部
45 電流検出部
46 表示部
47 切換操作部
Claims (3)
- 各別にアドレスを有する操作端末器及び制御端末器を2線式の伝送線を介して伝送処理装置に接続し時分割多重の伝送信号にてデータの送受信を行い、伝送処理装置は、アドレスデータを含む伝送信号を伝送線に送出することによって操作端末器及び制御端末器を個別にアクセスし、伝送信号に同期して設定した信号返送期間に操作端末器からの操作データを受信すると操作データに基づいて制御データを生成し、操作データを発生した操作端末器とアドレスによる対応関係があらかじめ設定されている制御端末器に対して制御データを伝送して制御端末器の動作を制御し、制御端末器は、伝送線を介して受信する伝送信号から動作用電源を得る電源回路と、電源回路の出力電圧を監視して出力電圧が所定の閾値よりも低下したときに停電検知信号を出力する電源監視回路と、外部電源から負荷への給電経路内に挿入された1乃至複数のリレーと、制御データに応じて各リレーを駆動制御するとともに停電検知信号が入力されると各リレーを所定の状態に駆動制御する制御手段とを具備してなることを特徴とする遠隔監視制御システム。
- 制御手段が停電検知信号に応じてリレーを駆動制御する機能を有効とするか無効とするかを切り換える切換手段を制御端末器に設けたことを特徴とする請求項1記載の遠隔監視制御システム。
- 切換手段は、各リレー毎に前記機能の有効/無効を切換可能としたことを特徴とする請求項2記載の遠隔監視制御システム。
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