JP3707217B2 - 希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば燃料タンク等で発生する蒸発燃料(ベーパ)を希薄燃焼内燃機関の運転状態に応じて吸気系に供給する希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的に使用されているエンジンにおいては、燃料噴射弁からの燃料は吸気ポートに噴射され、燃焼室には予め燃料と空気との均質混合気が供給される。かかるエンジンでは、アクセル操作に連動するスロットル弁によって吸気通路が開閉される。
【0003】
このスロットル弁の開閉により、エンジンの燃焼室に供給される吸入空気量(結果的には燃料と空気とが均質に混合された気体の量)が調整され、もってエンジン出力が制御される。
【0004】
しかし、上記のいわゆる均質燃焼による技術では、スロットル弁の絞り動作に伴って大きな吸気負圧が発生し、ポンピングロスが大きくなって効率は低くなる。これに対し、スロットル弁の絞りを小とし、燃焼室に直接燃料を供給することにより、点火プラグの近傍に可燃混合気を存在させ、当該部分の空燃比を高めて、着火性を向上するようにしたいわゆる「成層燃焼」という技術が知られている。かかる技術においては、エンジンの低負荷時には、噴射された燃料が、点火プラグ周りに偏在供給されるとともに、スロットル弁がほぼ全開に開かれて成層燃焼が実行される。これにより、ポンピングロスの低減が図られ、燃費の向上が図られる。
【0005】
上記のような「成層燃焼」を行うことができる内燃機関は、例えば、低負荷から高負荷に変化した時には、成層燃焼、弱成層燃焼、均質リーン、均質燃焼というような燃焼状態を順次とる。
【0006】
成層燃焼とは先に説明したように、空燃比の高い混合気層が点火プラグの近傍に存在させて、他の部位のガスとの間で層をなす。
弱成層燃焼は、成層燃焼に比較して成層度合いが小さい場合である。
【0007】
均質リーンは、燃料と空気が均質ではあるが燃料の比率が小さい場合である。
均質燃焼は、燃料と空気が均質でかつ燃料の比率が高い場合である。
【0008】
また、このような「成層燃焼」が行われる場合や、希薄燃焼が行われる場合には、噴射された燃料の混合気に渦流が形成される場合がある。すなわち、吸気ポートにはスワールコントロールバルブ(SCV)が設けられ、該SCVの開度が調整されることにより、渦流(スワール)の強度が制御される。その結果、少ない燃料供給量でもって燃焼性の向上が図られるのである。
【0009】
ところで、燃料タンク等からの蒸発燃料(ベーパ)をキャニスタに一時的に蓄え、内燃機関の運転状態に応じて蓄えられていたベーパを吸気系に供給する希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置が知られている(特開平4−194354号公報)。
【0010】
この技術においては、蒸発燃料吸着用のキャニスタと吸気通路とを連結する蒸発燃料用のパージ通路内には、パージ制御弁が設けられている。そして、エンジンの運転状態に応じて、適切な燃料パージ量(ベーパの吸気通路内への導入量、以下、パージ量という)が得られるように(例えば、機関負荷が大きい場合には、ベーパを供給するように)パージ制御弁が制御される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、希薄燃焼領域では、空燃比を検出する装置を備えていないため、燃料パージ量を制御する指標がないのが実状である。
【0012】
すなわち、従来の内燃機関では、通常排気通路には酸素センサ等の空燃比センサが配設されており、その出力信号に基づいて実際の空燃比が検出され、混合気の空燃比が別途算出された目標空燃比となるよう適宜に燃料噴射量等がフィードバック制御される。ところが、上記の酸素センサは、目標空燃比(A/F)が例えば14.5近辺での検出を行うものであり、空燃比がこれよりも大きい希薄燃焼の場合には、パージ量の検出はできない。
【0013】
このため、このような希薄燃焼領域において、蒸発燃料供給量を制御する際に、空燃比を検出していない場合や、検出された空燃比の精度が良くない場合には、パージ量の算出の精度が悪化する。そして、蒸発燃料供給制御装置を負圧から決定されるパージ量で制御すると、ベーパが濃い時に失火やサージが発生する虞がある。
【0014】
又、機関負荷が高負荷から低負荷に移行した場合、これは、燃焼状態が均質燃焼または均質リーン燃焼から成層燃焼又は弱成層燃焼等に移行したのと同義であるが、このような場合には、パージ禁止の設定となり、燃焼状態の切り換わり時、吸気管中でのパージ輸送遅れで、遅れて燃焼室に供給されるパージガスによって、燃焼状態が不安定となり、リッチ失火及びサージが発生する虞がある。
【0015】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は、希薄燃焼内燃機関において、蒸発燃料を希薄燃焼内燃機関に供給するに当たり、空燃比を検出していない場合や、検出された空燃比の精度が良くない場合においても、蒸発燃料の供給量の算出が悪化することがなく、リッチ失火やサージを抑制することができる希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置を提供することにある。
【0016】
そして、第2の目的は、希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置において、アイドル時において、ベース燃料を効果的に減量でき、又、ベーパが濃い薄いに限らずアイドル回転数の安定性を確保できる希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置を提供することにある。
【0017】
第3の目的は、パージによる失火、サージが発生した場合においても、効果的に燃料減量ができ、ドライバビリティを確保でき、燃費の向上を図ることができる希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置を提供することにある。
【0018】
第4の目的は、燃焼モードの切り換わり時において、燃焼の悪化を防止することができる希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記目的を達成するために、本発明の第1の特徴は、内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、前記内燃機関の機関回転数が目標回転数に一致するように蒸発燃料量を補正する第1の補正手段とを備え、前記パージ制御手段は、この第1の補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御することを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置である。
【0020】
ここで、前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段は、例えば、前記パージ通路に設けられ、前記吸気系に導入される蒸発燃料の蒸発燃料量を制御するためのパージ制御弁と、前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、前記運転状態検出手段で検出した運転状態に応じて前記パージ制御弁の開度を制御するパージ制御弁制御手段とで構成することができる。パージ制御はパージ制御弁の開度調整が最も簡単であるが、この例に限るものではない。これは、以下の各特徴点において共通である。ただし、説明を理解しやすくするため、以下、パージ制御をパージ制御弁の開度調整という例で説明する。
【0021】
燃料収容手段から発生する蒸発燃料は、パージ通路を通って内燃機関の吸気系に供給される。ここで、パージ通路に設けたパージ制御弁が制御されることで、吸気系に導入される蒸発燃料の蒸発燃料量が制御される。すなわち、内燃機関の運転状態が運転状態検出手段により検出され、その運転状態に応じてパージ制御弁がパージ制御弁制御手段により制御される。その際、第1の補正手段は、前記内燃機関の機関回転数が目標回転数に一致するように蒸発燃料量を補正する。前記パージ制御弁制御手段は、この第1の補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御弁を制御する。このため補正値に応じたパージ量になり、機関回転数が目標回転数に一致する方向に適切に制御される。
(1−1) ここで、前記第1の補正手段で参照すべき内燃機関の目標回転数が、アイドル回転数である場合に本発明を好適に適用できる。
【0022】
すなわち、希薄燃焼状態のアイドル時に本発明による制御を適用すると、アイドル時の適切な希薄燃焼を確保できる。
(1−2) さらに、希薄燃焼状態のアイドル時に、第1の補正手段による補正結果に応じて燃料供給量を調整する燃料供給量制御手段を設けることができる。このようにすると、希薄燃焼状態のアイドル時に適切な燃料供給量となり、良好なアイドル運転が可能となる。
【0023】
(2)また、本発明の第2の特徴点は、内燃機関の駆動用の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、前記内燃機関の機関回転数に応じて蒸発燃料量を補正する第2の補正手段とを備え、前記パージ制御手段は、この第2の補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御することを特徴とする。
【0024】
第2の特徴点は、希薄燃焼内燃機関、特に吸気管負圧が運転状態の全域にわたって変化の少ない(略一定)、あるいは単位回転当たりの吸入空気量が略一定の希薄燃焼機関(例えば、筒内直接噴射型の内燃機関)に適用することが好ましい。第2の特徴点において、具体的には、運転状態に応じてパージ弁の開度を制御するが、その際、第2の補正手段で、機関回転数に応じて蒸発燃料量を補正し、その補正値に従ってパージ弁開度を補正制御する。
【0025】
筒内直噴型の希薄燃焼内燃機関は、通常の運転状態において、スロットル弁をほぼ全開にして運転されることが多い。これは、筒内に燃料を直接噴射するので、吸気をコントロールして混合気状態を制御する必要がないからである。
【0026】
例えば、運転状態のほぼ全域にわたってスロットル弁が全開であると、吸入空気量すなわち負圧が一定であり、このため、空気吸入量、負荷(=空気量/機関回転数)、吸気管負圧の少なくとも一つの値に応じてパージ量を制御しようとすると、低回転数の成層燃焼と、高回転数の均質燃焼とで同じ量のパージを実行する場合、低回転側で燃焼不安定となったり失火が生じたりする。そこで、吸気管負圧がほぼ一定な希薄燃焼内燃機関において、機関回転数に応じてパージ量を制御することとした。
【0027】
(3)また、本発明の第3の特徴点は、内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を前記内燃機関の吸気系にパージするするパージ通路と、前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、前記内燃機関の出力変動に応じて蒸発燃料量を補正する第3の補正手段と、を備え、前記パージ制御手段は、この第3の補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御することを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置である。
【0028】
ここでは、内燃機関の出力変動に応じて蒸発燃料量を補正し、その補正値に従ってパージ制御されるので、出力変動が生じても内燃機関の円滑な運転を確保できる。
(3−1) ここで、内燃機関の出力変動に応じて燃料の供給量を調整する燃料供給量制御手段を備えることもできる。これによれば、内燃機関の出力変動に応じて燃料が供給されるので、さらに最適燃料量とすることが可能となる。
【0029】
(4)本発明の第4の特徴点は、内燃機関の駆動用の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を前記内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、前記内燃機関の燃焼状態に応じて蒸発燃料量を補正する第4の補正手段とを備え、前記パージ制御手段は、この第4の補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御することを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置である。
【0030】
ここでは混合気の燃焼状態に応じて蒸発燃料量を補正する。燃焼状態とは、燃焼室内における混合気の燃焼状況、例えば成層燃焼の度合い、成層燃焼・弱成層燃焼・均質リーン燃焼・均質燃焼間での燃焼切換状態をいう。これらの各状態に応じて蒸発燃料量を補正することで、各状態に応じた最適燃料量となる。
【0031】
(4−1) 第4の特徴点について、燃焼状態の切換え時にパージ制御弁の開度変更または燃料噴射状態変更を開始するまでの時間を遅延させる制御遅延手段を備えることが可能である。遅延させることで、切換時のハンチングを防止できる。
【0032】
(4−2) さらには、燃焼状態に応じてパージ制御弁の開度変化速度を制御する変化速度制御手段を備えることも可能である。または燃料噴射状態変化速度を制御することも可能である。このように、燃焼状態切換時にパージ弁開度、燃料噴射状態を徐々に変化させるので燃焼が安定する。
【0033】
(4−3) ここで、前記燃焼状態変化速度、前記開度変化速度は燃焼状態切換毎に異ならせることができる。このように、燃焼状態切換時のパージ弁開度等の変化速度を、切換時毎に異なるようにすると、(4−3)のように単に変化させる場合に増してさらに燃焼安定性が向上する。
【0034】
(4−4) さらに、内燃機関の燃焼状態の切り換り時に、切換態様に応じて燃料の供給量を調整する燃料供給量制御手段を備えた蒸発燃料供給制御装置とすることができる。燃焼状態切換時に燃料の供給量を変えることで、燃焼安定性をより高くすることができる。
【0035】
(5) 本発明のすべての特徴点において、蒸発燃料量の補正に応じて、燃料噴射状態を変更する噴射状態変更手段を備えることができる。蒸発燃料量の補正に応じて、燃料噴射量、燃料噴射時期、燃料噴射方向等の燃料噴射状態を変更すると、より安定的な燃焼を確保できる。
(5−1) また、蒸発燃料の濃度を検出する濃度検出手段を備え、蒸発燃料の濃度に応じてパージ制御弁の開度を補正する第5の補正手段を備えることができる。この場合、濃度に応じてパージ制御弁の開度を補正するので制御精度が向上する。
【0036】
(5−2) さらに、前記噴射状態変更手段は燃料噴射状態として噴射量補正量を変更するものであり、この噴射量補正量の変更をガード値で制限するようにするとよい。
ガード値で制限することで、必要以上の補正量の変更が抑えられ、補正の行き過ぎによる燃焼不安定、失火等を防止することができる。
【0037】
(5−3)なお、従来より、通常の車両においては、内燃機関の駆動用の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を蓄えるためのキャニスタを備えている。そこで、本発明においては、前記パージ通路は前記内燃機関の吸気系と前記キャニスタとを連通するように接続してもよい。
(6)また、本発明の他の特徴点は、内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、前記内燃機関の燃焼状態が成層燃焼である場合に、蒸発燃料量を補正する蒸発燃料量補正手段と、を備え、前記パージ制御手段は、前記内燃機関の燃焼状態が成層燃焼である場合、前記蒸発燃料量補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御することを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置である。
(6−1)蒸発燃料の濃度を検出する濃度検出手段と、蒸発燃料の濃度に応じてパージ制御弁の開度を補正するパージ制御弁開度補正手段と、を備えることも可能である。
(6−2)燃焼状態の切換え時にパージ制御弁の開度変更または燃料噴射状態変更を開始するまでの時間を遅延させる制御遅延手段を備えることも可能である。
(6−3)燃焼状態に応じてパージ制御弁の開度変化速度を制御する変化速度制御手段を備えることも可能である。
(7)また、本発明の他の特徴点は、内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、蒸発燃料量を補正する蒸発燃料量補正手段と、を備え、前記パージ制御手段は、前記蒸発燃料量補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御する装置であって、且つ、前記内燃機関の燃焼状態は、少なくとも成層燃焼と、弱成層燃焼と、均質燃焼との間で切り換わることを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置である。
(8)また、本発明の他の特徴点は、内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、蒸発燃料量を補正する蒸発燃料量補正手段と、を備え、前記パージ制御手段は、前記蒸発燃料量補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御する装置であって、且つ、前記内燃機関の燃焼状態は、少なくとも成層燃焼と、均質リーン燃焼と、均質燃焼との間で切り換わることを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置である。
(9)また、本発明の他の特徴点は、内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、蒸発燃料量を補正する蒸発燃料量補正手段と、を備え、前記パージ制御手段は、前記蒸発燃料量補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御する装置であって、且つ、前記内燃機関の燃焼状態は、少なくとも成層燃焼と、弱成層燃焼と、均質リーン燃焼と、均質燃焼との間で切り換わることを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置である。
なお、本発明は、前記(2)の特徴点を除き、筒内直接燃料噴射型の希薄燃焼内燃機関のみならず、吸気管噴射型も含めた、広範囲の希薄燃焼内燃機関に適用可能である。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0039】
図1は、本発明の装置の概要を示した図である。図1においてM1は希薄燃焼内燃機関であり、図示しない車両本体にこの希薄燃焼内燃機関M1の駆動用燃料を収容する燃料収容手段M2が設けられている。この燃料収容手段M2には燃料収容手段M2から発生する蒸発燃料を蓄えるためのキャニスタM3が接続されている。
【0040】
さらに、このキャニスタM3と内燃機関M1の吸気系M4とを連通するパージ通路M5が設けられている。このパージ通路M5から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段として、このパージ通路M5の途中には、前記吸気系M4に導入される蒸発燃料の蒸発燃料量を制御するためのパージ制御弁M6が設けられている。また、パージ制御手段として、前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段M7が設けられ、さらに、この運転状態検出手段M7で検出した運転状態に応じて前記パージ制御弁の開度を制御するパージ制御弁制御手段M8が設けられている。
【0041】
さらに、パージ制御弁制御手段M8に蒸発燃料量を補正する補正手段M9が接続され、この補正手段M9で補正した蒸発燃料量の補正値に基づいて前記パージ制御弁制御手段M8がパージ制御弁M6を補正制御する。
ここで、補正手段M9の実施形態としては、以下のような補正手段を提供できる。
【0042】
(1)第1の補正手段
第1の補正手段は、前記内燃機関の機関回転数が目標回転数に一致するように蒸発燃料量を補正する補正手段である。
【0043】
(2)第2の補正手段
第2の補正手段は、前記内燃機関の機関回転数に応じて蒸発燃料量を補正する補正手段である。
【0044】
(3)第3の補正手段
第3の補正手段は、内燃機関の出力変動に応じて蒸発燃料量を補正する補正手段である。
【0045】
(4)第4の補正手段
第4の補正手段は、前記内燃機関の燃焼状態に応じて蒸発燃料量を補正する補正手段である。
【0046】
(5)第5の補正手段
第5の補正手段は、図2で示したように、前提として蒸発燃料の濃度を検出する濃度検出手段M21を備えおく必要がある。そして、第5の補正手段は、この濃度検出手段で検出した蒸発燃料の濃度に応じてパージ制御弁の開度を補正する。
【0047】
(6)補正手段の組み合わせ
前記第1から第4の補正手段はそれぞれ単独であるいは任意に組み合わせて本発明に適用される。第5の補正手段は、第1から第4の補正手段と併せて本発明に適用される。
【0048】
図3は車両に搭載された筒内噴射式エンジンの蒸発燃料供給制御装置を示す概略構成図である。内燃機関としてのエンジン1は、例えば4つのシリンダ1aを具備する。これら各シリンダ1aの燃焼室構造は図4に示される。これら図3、図4に示すように、エンジン1はシリンダブロック2内にピストンを備えており、当該ピストンはシリンダブロック2内で往復運動する。シリンダブロック2の上部にはシリンダヘッド4が設けられ、前記ピストンとシリンダヘッド4との間には燃焼室5が形成されている。
【0049】
また、本実施の形態では、図4のように、lつのシリンダ1aあたり、4つの弁が配置されている。より詳細には第1吸気弁6a、第2吸気弁6b、第1吸気ポート7a、第2吸気ポート7b、一対の排気弁8,8、一対の排気ポート9,9がそれぞれ設けられている。
【0050】
図4に示すように、第1の吸気ポート7aはヘリカル型吸気ポートであり、第2の吸気ポート7bはほぼ真っ直ぐに延びるストレートポートである。また、シリンダヘッド4の内壁面の中央部には、点火プラグ10が配設されている。さらに、第1吸気弁6a及び第2吸気弁6b近傍のシリンダヘッド4内壁面周辺部には燃料供給手段としての燃料噴射弁11が配置されている。すなわち、本実施形態においては、燃料噴射弁11からの燃料は、直接的に気筒1a内に噴射されるようになっている。
【0051】
図3に示すように、各気筒1aの第1吸気ポート7a及び第2吸気ポート7bは、それぞれ各吸気マニホルド15内に形成された第1吸気路15a及び第2吸気路15bを介してサージタンク16に連結されている。各第2吸気通路15b内にはそれぞれスワールコントロールバルブ(SCV)17が配置されている。これらのSCV17は共通のシャフト18を介して、ステップモータ19に連結されている。このステップモータ19は、後述する電子制御装置(以下単に「ECU」という)30からの出力信号に基づいて制御される。
【0052】
前記サージタンク16は、吸気ダクト20を介してエアクリーナ21に連結され、吸気ダクト20内には、別途のステップモータ22によって開閉されるスロットル弁23が配設されている。つまり、本実施の形態のスロットル弁23はいわゆる電子制御式のものであり、基本的には、ステップモータ22が前記ECU30からの出力信号に基づいて駆動されることにより、スロットル弁23が開閉制御される。そして、このスロットル弁23の開閉により、吸気ダクト20を通過して燃焼室5内に導入される吸入空気量が調節されるようになっている。本実施の形態では、吸気ダクト20、サージタンク16並びに第1吸気路15a及び第2吸気路15b等により、吸気系としての吸気通路が構成されている。また、スロットル弁23の近傍には、その開度(スロットル開度TA)を検出するためのスロットルセンサ25が設けられている。
【0053】
この実施形態の筒内噴射型内燃機関では、吸気管内噴射型の内燃機関に比べ、極く低負荷運転時を除いてスロットル弁23がより全開側に近い状態に保持される。その状態でスロットル弁が開閉制御される。
【0054】
また、スロットル弁23を開閉駆動することにより、内燃機関のアイドル回転数制御(ISC)、すなわち吸入空気量を制御している。なお、均質燃焼時は電子スロットル弁23の開閉で回転数を制御し、成層燃焼時は燃料噴射量で制御するとともに、スロットル弁の開閉、点火時期、EGR量で回転数を制御している。
【0055】
また、前記各気筒の排気ポート9には排気マニホルド14が接続され、燃焼後の排気ガスは当該排気マニホルド14を介して図示しない排気浄化触媒、例えば三元触媒、NOx 浄化触媒などで浄化され、排気ダクトへ排出されるようになっている。なお、触媒の上流、下流に空燃比センサを設けて燃料噴射制御をしてもよい。
【0056】
さらに、本実施の形態では、公知の排気ガス循環(EGR)装置51が設けられている。このEGR装置51は、排気ガス循環通路としてのEGR通路52と、同通路52の途中に設けられた排気ガス循環弁としてのEGRバルブ53とを含んでいる。EGR通路52は、スロットル弁23の下流側の吸気ダクト20と、排気ダクトとの間を連通するよう設けられている。
【0057】
また、EGRバルブ53は、弁座、弁体及びステップモータ(いずれも図示せず)を内蔵しており、これらによりEGR機構が構成されている。EGRバルブ53の開度は、ステップモータが弁体を弁座に対して断続的に変位させることにより、変動する。そして、EGRバルブ53が開くことにより、排気ダクトへ排出された排気ガスの一部がEGR通路52へと流れる。その排気ガスは、EGRバルブ53を介して吸気ダクト20へ流れる。すなわち、排気ガスの一部がEGR装置51によって吸入混合気中に再循環する。このとき、EGRバルブ53の開度が調節されることにより、排気ガスの再循環量が調整されるのである。
【0058】
図3に示すように、吸気ダクト20には吸気ダクト20内に蒸発燃料を供給するためのパージ制御装置72が取り付けられている。このパージ制御装置72は活性炭層73を有するキャニスタ74を具備し、キャニスタ74内において活性炭層73両側にはそれぞれ蒸発燃料室75と空気室76とが形成されている。蒸発燃料室75は、並列配置されるとともにかつそれぞれ逆方向に流通可能な一対の逆止弁77,78を介して燃料収容手段としての燃料タンク79に接続されている。
【0059】
又、蒸発燃料室75とスロットル弁23下流の吸気ダクト20間にはパージ通路としての接続パイプ71が接続されており、同接続パイプ71には蒸発燃料室75から吸気ダクト20内に向けてのみ流通可能に逆止弁80及び第1電磁弁81が設けられている。前記電磁弁81は後記ECU30によりデューティ制御が可能な制御弁であって、パージ制御弁を構成している。
【0060】
デューティ制御とは、入力パルス信号のデューティ比に応じた開度調整を行う制御である。なお、電磁弁81はリニア弁であってもよい。
【0061】
空気室76は大気から空気室76側への流通のみが可能な逆止弁82を介して大気に連通されている。
吸気ダクト20内への蒸発燃料の供給を停止すべきときは、後記ECU30の制御により、電磁弁81が閉弁される。このとき、燃料タンク79内で発生した蒸発燃料は逆止弁78を介して蒸発燃料室75内に流入し、次いでこの蒸発燃料は活性炭層73内の活性炭に吸着される。
【0062】
燃料タンク79内の圧力が低下したときには、逆止弁77が開弁する。従って、この逆止弁77により、燃料タンク79内の圧力低下によって燃料タンク79が変形するのが阻止される。
【0063】
これに対して吸気ダクト20内に蒸発燃料を供給すべきときには、ECU30により電磁弁81が開弁制御される。すると、逆止弁82を介して空気室76内に空気が吐出され、この空気が活性炭層13内に送り込まれる。このとき活性炭に吸着されていた燃料が離脱し、かくして燃料成分を含んだ空気(蒸発燃料)が蒸発燃料室75内に流出する。次いで、この蒸発燃料が逆止弁80及び電磁弁81を介して吸気ダクト20内に供給される。
【0064】
さて、図5で示したように、上述したECU30は、デジタルコンピュータからなっており、双方向性バス31を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)32、ROM(リードオンリメモリ)33、マイクロプロセッサからなるCPU(中央処理装置)34、入力ポート35及び出力ポート36を具備している。本実施の形態においては、当該ECU30により、燃料供給量制御手段、パージ制御弁制御手段、第1の補正手段、第2の補正手段、第3の補正手段、第4の補正手段、第5の補正手段が構成されている。これらは、ハードウェア、ソフトウェアの組み合わせからなるが、ソフトウェアはROMに書き込まれており、CPUにロードされることで各手段が実現される。
【0065】
車両のアクセルペダル24には、当該アクセルペダル24の踏込み量に比例した出力電圧を発生するアクセルセンサ26Aが接続され、該アクセルセンサ26Aによりアクセル開度ACCPが検出される。当該アクセルセンサ26Aの出力電圧は、AD変換器37を介して入力ポート35に入力される。
【0066】
また、同じくアクセルペダル24には、アクセルペダル24の踏込み量が「0」であることを検出するための全閉スイッチ26Bが設けられている。すなわち、この全閉スイッチ26Bは、アクセルぺダル24の踏込み量が「0」である場合に全閉信号XIDLとして「1」の信号を、そうでない場合には「0」の信号を発生する。そして、該全閉スイッチ26Bの出力電圧も入力ポート35に入力されるようになっている。
【0067】
また、上死点センサ27は例えば1番シリンダ1aのピストンが吸気上死点に達したときに出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート35に入力される。クランク角センサ28は例えばクランクシャフトが30°CA回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポートに入力される。CPU34では上死点センサ27の出力パルスとクランク角センサ28の出力パルスからエンジン回転数NEが算出される(読み込まれる)。
【0068】
さらに、前記シャフト18の回転角度は、スワールコントロールバルブセンサ29により検出され、これによりスワールコントロールバルブ{SCV)17の開度が検出されるようになっている。そして、スワールコントロールバルブセンサ29の出力はA/D変換器37を介して入力ポート35に入力される。
【0069】
併せて、前記スロットルセンサ25により、スロットル開度TAが検出される。このスロットルセンサ25の出力はA/D変換器37を介して入力ポート35に入力される。
【0070】
加えて、本実施の形態では、サージタンク16内の圧力(吸気圧PIM)を検出する吸気圧センサ61が設けられている。さらに、エンジン1の冷却水の温度(冷却水温THW)を検出する水温センサ62が設けられている。これら両センサ61,62の出力もA/D変換器37を介して入力ポート35に入力されるようになっている。
【0071】
さらにまた、エンジン1のシリンダブロック2には、該エンジン1のノッキングを検出するためのノック検出手段としてのノックセンサ63が取付けられている。このノックセンサ63は、一種の振動ピックアップであって、例えば、ノッキングで発生する振動数と、検出素子の固有振動数とが合致し共振することによって検出能力が最高となるようチューニングされた特性を持っている。このノックセンサ63の出力もA/D変換器37を介して入力ポート35に入力されるようになっている。なお、トルク変動を検出するために、燃焼圧を検出する燃焼圧センサを追加してもよい。
【0072】
また、ECU30は、ゲート信号発生器を有しており、該発生器は、CPU34からの信号に基づきオープン・クローズの信号を入力ポート35に出力するようになっている。つまり、ノックセンサ63からの検出信号は、CPU34からのオープンゲート信号により入力ポート35に入力され、クローズゲート信号により遮断される。このため、ノッキングの検出(判定)には、一定の期間が設けられていることとなる。
【0073】
一方、出力ポート36は、対応する駆動回路38を介して各燃料噴射弁11、各ステップモータ19,22、イグナイタ12、EGRバルブ53(ステップモータ)及び電磁弁81に接続されている。そして、ECU30は各センサ等25〜29,61〜63からの信号に基づき、ROM33内に格納された制御プログラムに従い、燃料噴射弁11、ステップモータ19,22、イグナイタ12、EGRバルブ53、電磁弁81等を好適に制御する。
前記各センサ等25〜29,61〜63は、運転状態検出手段を構成している。
【0074】
次に、上記構成を備えたエンジンの蒸発燃料供給制御装置における本実施の形態に係る各種制御に関するプログラムについて、フローチャートを参照して説明する。
【0075】
(アイドル時における停車中の制御)
<第1の補正手段による制御>
図6は、本実施の形態におけるアイドル時における停車中の「パージ制御ルーチン」を示すフローチャートであって、ECU30(CPU)が所定時間毎の割り込みで実行する。なお、この例は、前記(1)及び(1−1)の特徴点を実施して、機関回転数を目標回転数に一致するよう蒸発燃料量を補正する場合の例である。
【0076】
すなわち、まず、図示しない、エンジン回転数及びアクセル開度と基本燃料噴射量との相関関係を定めたマップから、当該エンジン回転数とアクセル開度に対応する基本燃料噴射量を補間的に計算する。なお、噴射量マップとして、運転条件あるいは燃焼状態に応じた複数のマップが用意されており、その中から適宜選択されて使用される。
【0077】
ステップ8では、パージ中であるか否かを判定し、パージ中であれば、ステップ9において、アクセル開度ACAから現在の燃焼状態を判断する。ステップ10では、各燃焼状態に対応したパージ制御における各種補正係数の値をROM33から読み込む。各種補正係数とは、例えば、パージデューティ更新量KDPGU及びKDPGDなどである。
【0078】
なお、エンジン1はECU30の制御により、成層燃焼、弱成層燃焼、均質リーン燃焼、及び均質燃焼の各燃焼状態をとることができる。そして、エンジン回転数NE及びアクセル開度ACCPに基づいて燃焼状態が成層燃焼である場合には燃焼モードFMODEが「0」に設定され、弱成層燃焼である場合には、燃焼モードFMODEが「1」に設定され、均質リーン燃焼である場合には、燃焼モードFMODEが「2」に設定され、均質燃焼が実行されている場合には燃焼モードFMODEが「3」に設定される。
【0079】
そして、現在の燃焼状態が成層燃焼でない場合には、この判定を「NO」として、この制御ルーチンを一旦終了する。現在の燃焼状態が成層燃焼である場合には、この判定を「YES」とし、ステップ20へ移行する。
【0080】
ステップ20においては、アイドルスピードコントロール(ISC)のフィードバック制御中か否かを判定する。ここでは、別途のISC制御ルーチンが実行されているか否かを判定するのである。ISC制御ルーチンが実行されていなければ、エンジン回転数NEが安定していないとしてこの判定を「NO」とし、ステップ63に移行する。ISC制御ルーチンが行われていれば、エンジン回転数NEが安定しているとしてこの判定を「YES」とし、ステップ30に移行する。
【0081】
ステップ30では、第1の補正手段として、エンジンの目標回転数NTと実際のエンジン回転数NEとの偏差DLNTを算出する。次いでステップ40において、偏差DLNTが第1の判定値A《rpm》よりも小さいか否かを判定する。ステップ40において、偏差DLNTが第1の判定値A未満であると判定された場合、すなわちエンジンが安定して回転しているときには、ステップ50に移行し、仮要求パージデューティ値tDPGを算出する。仮要求パージデューティ値tDPGは、前回値(前回の制御ルーチンで得られた最終要求デューティ値)DPGi-1 に対しパージデューティ更新量KDPGUを加算したものとする。
【0082】
このパージデューティ更新量KDPGUは、予め実験等により求められたものであり、ROM33に格納されている。次にステップ60において、最終要求デューティ値DPGとして前記ステップ50において算出された仮要求パージデューティ値tDPGをセットし、この制御ルーチンを終了する。
【0083】
又、前記ステップ40において、偏差DLNTが第1の判定値A以上であれば、エンジン回転に変動がありとされ、ステップ70において、偏差DLNTが第2の判定値B(rpm)よりも小さいか否かを判定する。なお、A<Bである。同ステップ70において、偏差DLNTが第2の判定値Bを越えていると判定した場合には、ステップ80に移行し、仮要求パージデューティ値tDPGを算出する。仮要求パージデューティ値tDPGは、前回値(前回の制御ルーチンで得られた最終要求デューティ値)DPGi-1 からパージデューティ更新量KDPGDを減算したものとする。このパージデューティ更新量KDPGDは、予め実験等により求められたものであり、ROM33に格納されている。
【0084】
なお、前記パージデューティ更新量KDPGU及びKDPGDの値は、機関の運転状態あるいは燃焼状態によって異なる値としてもよい。例えば均質燃焼のときは値を大きくし、成層燃焼のときは小さな値とする。これによって、均質燃焼時は大量のパージを導入することが可能となるとともに、成層燃焼時はパージの変化が小さいので燃焼を安定させることができる。また、燃焼の切換時には、パージデューティ更新量KDPGU及びKDPGDをスキップ的に変化させて切換後の燃焼に対応した更新量に変更すれば、切換後の燃焼を安定させることができる。
【0085】
次にステップ60において、最終要求デューティ値DPGとして前記ステップ80において算出された仮要求パージデューティ値tDPGをセットする。
【0086】
又、前記ステップ70において、偏差DLNTが第2の判定値B以下であると判定した場合には、ステップ90に移行し、仮要求パージデューティ値tDPGを算出する。仮要求パージデューティ値tDPGは、前回値の最終要求デューティ値DPGi-1 とする。
【0087】
次いで、ステップ60に移行して、最終要求デューティ値DPGとして前記ステップ90において得られた仮要求パージデューティ値tDPGをセットする。なお、ステップ20で、ISC制御ルーチンが実行されていないとされた場合、すなわち、ISCがF/Bでなく安定していなければ、DPGとして前回の安定時に一時記憶されたデューティ値DPGOを最終要求デューティ値DPGに代入する(ステップ63)。
【0088】
従って、ECU30は、ステップ60あるいは63で得た最終要求デューティ値DPGに基づいて、電磁弁81をデューティ制御する。
なお、デューティ制御によるパージ制御弁の制御は、後述するパージ実行条件が成立すると図7のグラフ図に示したように、パージ開始時にデューティ比0から立ち上がり、所定の制御に従って、デューティ比の大小制御がなされ、パージ禁止指令が入った時点で、デューティ比が0とされる。
【0089】
ステップ60でデューティ比が決定されると、その後、デューティ比から蒸発燃料量補正量が換算される。すなわち、デューティ比により決定されるパージ制御弁の開度と、吸気管負圧等でパージ量が決定するので、パージガス中の蒸発燃量濃度が判明すれば、蒸発燃料量が判明する(ステップ61)。この蒸発燃料量が内燃機関に供給されるので、ステップ64では、
最終燃料噴射量QALLINJ=基本燃料噴射量QALL−蒸発燃料量補正量FPG ・・・式(1)
に従って、予め得た基本燃料噴射量から蒸発燃料量を補正量として差し引くことで、最終的に内燃機関に供給される燃料噴射量を補正する。
【0090】
なお、ステップ8で、パージ中でないとされた場合、ステップ62で蒸発燃料量補正量を0とし、予め得た基本燃料噴射量をそのまま最終燃料噴射量(QALLINJ)とする。
【0091】
その後、別途定めた燃料噴射プログラムに従って燃料噴射を行う。
図6の「パージ制御ルーチン」においては、ステップ40において、エンジンの目標回転数NTと実機関回転数であるエンジン回転数NEとの偏差DLNTが第1の判定値A未満であれば、目標エンジン回転数NTよりも実回転数NEが小さいため、パージ量を増やすべく、仮要求パージデューティ値tDPGを、前回値(前回の制御ルーチンで得られた最終要求デューティ値)DPGi-1 に対しパージデューティ更新量KDPGUを加算し、仮要求パージデューティ値tDPGとする。この仮要求パージデューティ値tDPGを最終要求デューティ値DPGとして、電磁弁81を制御することになる。この結果、蒸発燃料のパージ量が多くなり、エンジン回転数が上昇する。
【0092】
又、図6の「パージ制御ルーチン」においては、ステップ70において、エンジンの目標回転数NTと実回転数であるエンジン回転数NEとの偏差DLNTが第2の判定値Bを越えていれば、目標エンジン回転数NTよりも実回転数NEが大きいため、パージ量を減らすべく、要求デューティ値tDPGを、前回値(前回の制御ルーチンで得られた最終要求デューティ値)DPGi-1 からパージデューティ更新量KDPGUを減算した値とする(ステップ80)。そして、この仮要求パージデューティ値tDPGを最終要求デューティ値DPGとする。この結果、蒸発燃料のパージ量が少なくなる。このため、エンジン回転数は減少する。
【0093】
さらに、図6の「パージ制御ルーチン」においては、エンジンの目標回転数NTと実回転数であるエンジン回転数NEとの偏差DLNTが第1の判定値A以上であって、第2の判定値B以下であれば、ステップ90において、仮要求パージデューティ値tDPGを前回値の最終要求デューティ値DPGとする。そして、この仮要求パージデューティ値tDPGを最終要求デューティ値DPGとする。この結果、偏差DLNTが上記範囲内にある場合には、蒸発燃料のパージ量は一定値とされる。
【0094】
なお、筒内直接噴射型の内燃機関において、パージ実行条件は、暖機完了、すなわち冷却水温が所定温度以上に上がった後の他、クランキングが完了して所定時間、例えば30秒が経過した後である。
【0095】
次に、図8は、本実施の形態におけるアイドル時における停車中の「燃料噴射量の補正値算出ルーチン」を示すフローチャートであって、ECU30が所定時間毎の割り込みで実行する。本例は、(1−1)の特徴点による制御に加え、(1−2)で示した燃料供給量の調整を行うもので、燃料供給量制御手段による。
【0096】
ここでは、デューティ比に代えて蒸発燃料量補正量FPGを制御パラメータとしており、最終的に供給される最終燃料噴射量(QALLINJ)は、前記(1)と同様、
最終燃料噴射量=基本燃料噴射量−蒸発燃料量補正量
で与えられる。
【0097】
従って、蒸発燃料量補正量FPGが大きくなると、最終燃料噴射量(QALLINJ)は少なくなって、リーン混合気となり、蒸発燃料量補正量FPGが小さくなると、最終燃料噴射量(QALLINJ)は多くなって、リッチ混合気となる。
【0098】
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU30は、先ず、ステップ110において、現在の燃焼状態が成層燃焼であるか否かを判断する。ここで、成層燃焼が行われているか否かは、そのときどきのエンジン回転数NE及びアクセル開度ACCPに基づいて判断される。そして、現在の燃焼状態が成層燃焼でない場合には、この判定を「NO」として、この制御ルーチンを一旦終了する。現在の燃焼状態が成層燃焼である場合には、この判定を「YES」とし、ステップ120へ移行する。
【0099】
ステップ120においては、アイドルスピードコントロール(ISC)のフィードバック制御中か否かを判定する。ここでは、別途のISC制御ルーチンが実行されているか否かを判定するのである。ISC制御ルーチンが実行されていなければ、エンジン回転数NEが安定していないとしてこの判定を「NO」とし、さらに、ステップ121で前回の安定時に一時記憶されたFPGをFPGOとして、今回のFPG値に代入し、この制御ルーチンを一旦終了する。ISC制御ルーチンが行われていれば、エンジン回転数NEが安定しているとしてこの判定を「YES」とし、ステップ130に移行する。
【0100】
ステップ130では、第1の補正手段として、エンジンの目標回転数NTと実際のエンジン回転数NEとの偏差DLNTを算出する。次いでステップ140において、偏差DLNTが第3の判定値C(rpm)よりも小さいか否かを判定する。ステップ140において、偏差DLNTが第3の判定値C未満であると判定された場合には、ステップ150に移行し、仮蒸発燃料量補正量tFPGを算出する。仮蒸発燃料量補正量tFPGは、前回値(前回の制御ルーチンで得られた最終蒸発燃料量補正量)FPGi-1 に対し燃料補正更新量KFPGDを減算したものとする。
【0101】
この燃料補正更新量KFPGDは、予め実験等により求められたものであり、ROM33に格納されている。次にステップ160において、最終蒸発燃料量補正量FPGとして、前記ステップ150において算出された仮蒸発燃料量補正量tFPGをセットし、この制御ルーチンを終了する。
【0102】
又、前記ステップ140において、偏差DLNTが第3の判定値C以上であればステップ170において、偏差DLNTが第4の判定値D(rpm)よりも大であるか否かを判定する。なお、C<Dである。同ステップ170において、偏差DLNTが第4の判定値Dを越えていると判定した場合には、ステップ180に移行し、仮蒸発燃料量補正量tFPGを算出する。仮蒸発燃料量補正量tFPGは、前回値(前回の制御ルーチンで得た最終蒸発燃料量補正量)FPGi-1 から燃料補正更新量KFPGUを加算したものとする。この燃料補正更新量KFPGUは、予め実験等により求められたものであり、ROM33に格納されている。
【0103】
次にステップ160において、最終蒸発燃料量補正量FPGとして前記ステップ180において算出された仮蒸発燃料量補正量tFPGをセットし、この制御ルーチンを終了する。
【0104】
又、前記ステップ170において、偏差DLNTが第4の判定値D未満であると判定した場合には、エンジンの回転がある領域で安定しているとし、ステップ190に移行して、仮蒸発燃料量補正量tFPGを算出する。仮蒸発燃料量補正量tFPGは、前回値FPGi-1 とする。次いで、ステップ160に移行して、最終蒸発燃料量補正量FPGとして前記ステップ190において得られた前回値である最終蒸発燃料量補正量FPGi-1 をセットじ、この制御ルーチンを終了する。
【0105】
以上のルーチンは、図6のステップ10から61及び63に相当するものであり、ECU30は、図6のステップ64と同様の手段で、前記(1)式に従って最終燃料噴射量(QALLINJ)を算出する。
【0106】
そして、ECU30は、基本燃料噴射量にこの補正量が反映された最終噴射量にて燃料噴射弁11を噴射制御する。
【0107】
図8の「燃料噴射量の補正値算出ルーチン」においては、偏差DLNTが第3の判定値C未満であれば、ステップ150において、燃料補正更新量KFPGDが前回値の最終蒸発燃料量補正量FPGi-1 から減算されたものが仮蒸発燃料量補正量tFPGとなり、この値を最終蒸発燃料量補正量FPGとする。
【0108】
得られた、最終の蒸発燃料量補正量FPGは、前回のFPGより小さい値である。DLNTがC未満で、エンジン回転数が低いということであるから、FPGの値を小さくし、前記式(1)から得られる最終燃料噴射量(QALLINJ)をリッチ化し、エンジン回転数を上昇させるのである。
【0109】
又、図8の「燃料噴射量の補正値算出ルーチン」においては、ステップ170において、偏差DLNTが第4の判定値Dを越えていれば、ステップ180において、仮蒸発燃料量補正量tFPGとして、前回値の最終蒸発燃料量補正量FPGi-1 に対して燃料補正更新量KFPGDを加算した値とする。そして、この仮蒸発燃料量補正量tFPGを、最終蒸発燃料量補正量FPGとする。
【0110】
この最終蒸発燃料量補正量FPGが別途のルーチンで実行される最終燃料噴射量(QALLINJ)の算出に際し、式(1)に代入される。その結果、FPGが大きくなった分、最終燃料噴射量(QALLINJ)がリーン化し、エンジン回転数が減少する。
【0111】
又、図8の「燃料噴射量の補正値算出ルーチン」においては、偏差DLNTが第3の判定値C以上であって、第4の判定値D以下であれば、ステップ190において、仮蒸発燃料量補正量tFPGとして、前回値の最終蒸発燃料量補正量FPGi-1 とする。そして、この仮蒸発燃料量補正量tFPGを、最終蒸発燃料量補正量FPGとする。この結果、偏差DLNTが上記範囲内にある場合には、蒸発燃料量補正量は一定値とされる。
【0112】
図6と図8の例では、上記のように、目標回転数NTと実回転数NEとの偏差DLNTに応じて、蒸発燃料のパージ量を増減し、又、偏差DLNTに応じて燃料噴射量を増減して、アイドル目標回転数NTに収束するようにした。
【0113】
すなわち、目標回転数NTと実回転数との偏差DLNTに応じて、最終要求デューティ値DPGを求め、この値に基づいて電磁弁81を制御するようにし、かつ、最終蒸発燃料量補正量FPGを算出し、この値に基づいて、燃料噴射量を補正し、減量するようにした。
【0114】
この結果、成層燃焼が行われているアイドル状態において、ベース燃料を効果的に減量できる。さらに、蒸発燃料が濃い薄いに限らず、アイドル回転数の安定性を確保でき、燃費の向上も図ることができる。
【0115】
(アイドルオフ時の走行中の制御)
<第3の補正手段による制御>
図9は、本実施の形態におけるアイドルオフ時の走行中の「パージ制御ルーチン」を示すフローチャートであって、ECU30が所定時間毎の割り込みで実行する。この場合の制御は、トルク変動(出力変動)に応じて蒸発燃料量を補正する(3)の特徴点の適用例である。
【0116】
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU30は、先ず、ステップ210において、現在の燃焼状態が、均質リーン燃焼状態以下、すなわち、成層燃焼状態、弱成層燃焼状態、或いは均質リーン燃焼状態か、或いは均質燃焼状態であるか否かを判断する。すなわち、燃焼モードFMODEが「0」,「1」,「2」か「3」否かを判定する。ここで、FMODEが「0」,「1」,「2」でない場合には、リーン運転でないとして、この制御ルーチンを一旦終了する。ステップ210において、FMODEが「0」,「1」或いは「2」の場合には、リーン運転がされているとして、この判定を「YES」とし、ステップ220へ移行する。ステップ220においては、アイドルがオフとされているか否かを全閉信号XIDLに基づいて判定する。全閉信号XIDLが「1」の場合には、アイドルがオフされていないとして、ステップ221で前回の安定時に一時記憶されたDPGをDPGOとして、今回のDPG値に代入し、この制御ルーチンを一旦終了する。全閉信号XIDLが「0」の場合には、この判定を「YES」とし、ステップ230に移行する。
【0117】
ステップ230において、トルク変動値DLNISMXの算出条件成立しているか否かを判定する。ここでは、別のルーチンにおいて、トルク変動値DLNISMXが算出されていれば、算出条件が成立されているとされ、同別のルーチンにおいて、トルク変動値DLNISMXが算出されていなければ、算出条件が成立していないとされる。すなわち、トルク変動値DLNISMXはエンジン回転数が所定回転毎に計算されており、その周期毎に算出された直後にこの制御ルーチンが処理されるようにされている。従って、通常は、このステップ230においては、「YES」と判定される。なお:回転変動が大きな状態等のように、トルク変動値DLNISMXが算出されない場合には、算出条件は成立していないとされ、ステップ300に移行する。
【0118】
なお、トルクは、ある所定のクランク角度間における角速度の差で表される。従って、この実施の形態では同一気筒における720°CA(クランク角度)後のトルクとの差をトルク変動として算出されている。又、この実施の形態では、4気筒であるため、それらの気筒のトルク変動の平均値をトルク変動値DLNISMXとしている。トルク変動はトルクセンサで直接検出してもよいが、エンジン回転数や燃焼圧等を代用してもよい。
【0119】
前記ステップ230において、算出条件が設立されていると判定すると、ステップ240において、トルク変動値DLNISMXを読み込む。次のステップ250において、トルク変動値DLNISMXが第5の判定値としての目標トルク変動値LVLDLN以上か否かを判定する。トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLN以上であれば、ステップ260において、仮要求パージデューティ値tDPGとして前回値の最終要求デューティ値DPGi-1 にパージデューティ更新量Eを加算する。このパージデューティ更新量Eは、予め実験等により求められたものであり、ROM33に格納されている。
【0120】
次にステップ270において、最終要求デューティ値DPGとして前記ステップ260において算出された仮要求パージデューティ値tDPGをセットし、この制御ルーチンを終了する。
【0121】
又、前記ステップ250において、トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLN未満であれば、ステップ280において、トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLNから所定値α減算した値よりも小さいか否かを判定する。トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLNから所定値α減算した値よりも小さいければ、ステップ290において、前回値の最終要求デューティ値DPGi-1 からパージデューティ更新量Fを減算する。このパージデューテー更新量Fは、予め実験等により求められたものであり、ROM33に格納されている。
【0122】
次にステップ270において、最終要求デューティ値DPGとして前記ステップ290において算出された仮要求パージデューティ値tDPGをセットし、この制御ルーチンを終了する。
【0123】
又、前記ステップ280において、トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLNから所定値α減算した値以上の場合にはステップ300に移行する。前記ステップ230或いは、ステップ280からステップ300に移行した場合には、仮要求パージデューティ値tDPGは、前回値の最終要求デューティ値DPGi-1 とする。次いで、ステップ270に移行して、最終要求デューティ値DPGとして前記ステップ300において得られた仮要求パージデューティ値tDPGをセットし、この制御ルーチンを終了する。
【0124】
従って、ECU30は、この最終要求デューティ値DPGに基づいて、電磁弁81をデューティ制御する。
【0125】
このルーチンは、図6のステップ10から60及び63に相当するものであり、ECU30は、図6のステップ61でDPGをFPGに換算し、ステップ64と同様にして、前記(1)式に従って最終燃料噴射量(QALLINJ)を算出する。
【0126】
図9の「パージ制御ルーチン」においては、トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLN以上であれば、パージ量を増加させるべく、仮要求パージデューティ値tDPGを、前回値(前回の制御ルーチンで得られた最終要求デューティ値)DPGi-1 に対しパージデューティ更新量Eを加算する(ステップ260)。この結果、蒸発燃料のパージ量が多くなり、エンジン回転数が上昇する。
【0127】
また、図9の「パージ制御ルーチン」においては、トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLNよりも所定値αを減算した値未満であれば、パージ量を減少させるべく、仮要求パージデューティ値tDPGを、前回値(前回の制御ルーチンで得られた最終要求デューティ値)DPGi-1 からパージデューティ更新量Fを減算する(ステップ290)。この結果、蒸発燃料のパージ量が少なくなり、エンジン回転数が下降する。
【0128】
さらに、図9の「パージ制御ルーチン」においては、トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLN未満であって、目標トルク変動値LVLDLNから所定値αを減算した値以上である場合には、ステップ300において、仮要求パージデューティ値tDPGを前回値の最終要求デューティ値DPGとする。そして、この仮要求パージデューティ値tDPGを最終要求デューティ値DPGとする。この結果、トルク変動値DLNISMXが上記範囲内にある場合には、蒸発燃料のパージ量は一定値とされる。
【0129】
次に、図10は、本実施の形態におけるアイドルオフ時の走行中の「燃料噴射量の補正値算出ルーチン」を示すフローチャートであって、ECU30が所定時間毎の割り込みで実行する。これは、(3)の特徴点を適用し、第3の補正手段で内燃機関の出力変動に伴い燃料供給量を調整する場合の例である。
【0130】
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU30は、先ず、ステップ310において、現在の燃焼状態が、均質リーン燃焼状態以下、すなわち、成層燃焼状態、弱成層燃焼状態、或いは均質リーン燃焼状態か、或いは均質燃焼状態であるか否かを判断する。すなわち、燃焼モードFMODEが「0」,「1」,「2」か「3」否かを判定する。ここで、FMODEが「0」,「1」,「2」でない場合には、リーン運転でないとして、この制御ルーチンを一旦終了する。ステップ310において、FMODEが「0」,「1」或いは「2」の場合には、リーン運転がされているとして、この判定を「YES」とし、ステップ320へ移行する。
【0131】
ステップ320においては、アイドルがオフとされているか否かを全閉信号XIDLに基づいて判定する。全閉信号XIDLが「1」の場合には、アイドルがオフされていないとして、ステップ321で前回の安定時に一時記憶されたFPGをFPGOとして、今回のFPG値に代入し、この制御ルーチンを一旦終了する。全閉信号XIDLが「0」の場合には、この判定を「YES」とし、ステップ330に移行する。
【0132】
ステップ330において、トルク変動値DLNISMXの算出条件成立しているか否かを判定する。このステップ330の判定は、前記図9の制御ルーチンのステップ230と同様にして行われる。
【0133】
前記ステップ330において、算出条件が設立されていると判定すると、ステップ340において、トルク変動値DLNISMXを読み込む。次のステップ350において、トルク変動値DLNISMXが第6の判定値としての目標トルク変動値LVLDLN未満か否かを判定する。トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLN未満であれば、ステップ360において、仮蒸発燃料量補正量tFPGとして前回値の最終蒸発燃料量補正量FPGi-1 に燃料補正更新量Gを加算する。この燃料補正更新量Gは、予め実験等により求められたものであり、ROM33に格納されている。
【0134】
次にステップ370において、最終蒸発燃料量補正量FPGとして前記ステップ360において算出された仮蒸発燃料量補正量tFPGをセットし、この制御ルーチンを終了する。
【0135】
又、前記ステップ350において、トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLN以上であれば、ステップ380において、トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLNに対して所定値β加算した値以上か否かを判定する。トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLNに対して所定値β加算した値以上であれば、ステップ390において、前回値の最終蒸発燃料量補正量FPGi-1 から燃料補正更新量Hを減算する。この燃料補正更新量Hは、予め実験等により求められたものであり、ROM33に格納されている。
【0136】
次にステップ370において、最終蒸発燃料量補正量FPGとして前記ステップ390において算出された仮蒸発燃料量補正量tFPGをセットし、この制御ルーチンを終了する。
【0137】
又、前記ステップ380において、トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLNに対して所定値β加算した値未満の場合にはステップ400に移行する。前記ステップ330或いは、ステップ380からステップ400に移行した場合には、仮蒸発燃料量補正量tFPGは、前回値の最終蒸発燃料量補正量FPGi-1 とする。次いで、ステップ370に移行して、最終蒸発燃料量補正量FPGとして前記ステップ400において得られた仮蒸発燃料量補正量tFPGをセットし、この制御ルーチンを終了する。
【0138】
以上のルーチンは、図6のステップ10から61及び63に相当するものであり、ECU30は、図6のステップ64と同様の手段で、前記(1)式に従って最終燃料噴射量(QALLINJ)を算出する。
【0139】
そして、ECU30は、基本燃料噴射量にこの蒸発燃料量補正量が反映された最終燃料噴射量(QALLINJ)にて燃料噴射弁11を噴射制御する。
【0140】
図10の「燃料噴射量の補正値算出ルーチン」においては、ステップ380において、トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLNに対して所定値βを加算した値以上であれば、ステップ390において、前回値の最終蒸発燃料量補正量FPGi-1 から燃料補正更新量Hが減算された値が仮蒸発燃料量補正量tFPGとなる。そして、この仮蒸発燃料量補正量tFPGを最終蒸発燃料量補正量FPGとし、別途のルーチンで実行される最終燃料噴射量(QALLINJ)の算出に際し、アイドル回転数制御用のパラメータとして基本燃料噴射量から減算される。
FPGは前回より小さくなっているので、最終燃料噴射量(QALLINJ)は多くなり、空燃比はリッチとなりトルク変動は小さくなる。
【0141】
また、図10の「燃料噴射量の補正値算出ルーチン」のステップ350において、トルク変動値DLNISMXが目標トルク変動値LVLDLNに未満であれば、ステップ360において、前回値の最終蒸発燃料量補正量FPGi-1 に対して燃料補正更新量Gを加算した値が仮蒸発燃料量補正量tFPGとなる。そして、この仮蒸発燃料量補正量tFPGを最終蒸発燃料量補正量FPGとし、式(1)で決定する最終燃料噴射量(QALLINJ)の算出に際し、アイドル回転数制御用のパラメータとして減算される。この場合、FPGは前回より大きな値であり、その結果、リーンとなる。この場合は、ベーパ濃度が濃いのでパージ量を減らすのであって、トルク変動を大きくするのではない。
【0142】
さらに、図10の「燃料噴射量の補正値算出ルーチン」においては、トルク変動値DLNISMXが、目標トルク変動値LVLDLN以上であって、目標トルク変動値LVLDLNに対して所定値βを減算した値未満である場合には、ステップ400において、仮蒸発燃料量補正量tFPGを前回値の最終蒸発燃料量補正量FPGとする。このi結果、トルク変動値DLNISMXが上記範囲内にある場合には、蒸発燃料量補正量FPGは一定値とされる。
【0143】
上記のように、図9、図10の実施の形態では、目標トルク変動値LVLDLNにフィードバック制御を行っているため、パージよる失火、サージが発生した場合でも、効果的に燃料の減量ができ、しかも目標トルク変動値に収束するように制御を行っているため、ドライバビリティを確保でき、燃費の向上を行うことができる。
【0144】
なお、図11は、トルク変動量と燃料量の特性を表しているグラフである。同図において、燃料量を少しリッチにすると、トルク変動は向上し、さらにリッチにすると悪化する傾向となる。従って、この実施の形態では、目標トルク変動値LVLDLNを図11のトルク変動量が最も良いところ付近に設定しておけば、aからbにするために、上記の制御によりパージ量を増加させるとともに、燃料量補正を行い、燃料過多によりcに移行することがないように制御することにより、目標トルク変動値LVLDLNを中心として所定範囲内に収束することができる。
【0145】
<運転状態に関係なく内燃機関の機関回転数に応じて第2の補正手段で蒸発燃料量を補正する例>
次に、図12に、(2)の特徴点を適用し、機関回転数のみを参照して第2の補正手段によりパージ制御をする「パージ制御ルーチン」を示す。このルーチンもまたECU30が所定時間毎の割り込みで実行する。
【0146】
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU30は、先ず、ステップ410において、前回のルーチン実行時のエンジン回転数NEOと、現在のエンジン回転数NEとの偏差DLNEを算出する。次いでステップ420において、偏差DLNEが0より大きいか否かが判定される。ステップ420において、偏差DLNEが0より大きいと判定されたとき、エンジン回転数が増加傾向にあるので、ステップ430に移行し、仮要求パージデューティ値tDPGは、前回値(前回の制御ルーチンで得られた最終要求デューティ値)DPGi-1 に対しパージデューティ更新量KDPGUを加算したものとする。このパージデューティ更新量KDPGUは、予め実験等により求められたものであり、ROM33に格納されている。次にステップ440において、最終要求デューティ値DPGとして前記ステップ430において算出された仮要求パージデューティ値tDPGをセットし、この制御ルーチンを終了する。
【0147】
又、前記ステップ420において、偏差DLNEが0より大きくなければ、ステップ450に移行し、偏差DLNEが0よりも小さいか否かを判定する。ステップ450において、偏差DLNEが0より小さいと判定した場合には、ステップ460に移行し、仮要求パージデューティ値tDPGは、前回値(前回の制御ルーチンで得られた最終要求デューティ値)DPGi-1 からパージデューティ更新量KDPGDを減算したものとする。このパージデューティ更新量KDPGDは、予め実験等により求められたものであり、ROM33に格納されている。
【0148】
次にステップ440において、最終要求デューティ値DPGとして前記ステップ460において算出された仮要求パージデューティ値tDPGをセットし、この制御ルーチンを終了する。
【0149】
ステップ450において、偏差DLNEが0より小さいと判定されない場合、偏差DLNEは0であり、エンジン回転数に変化はないとされる。この場合、ステップ480に移行し、仮要求パージデューティ値tDPGは、前回値(前回の制御ルーチンで得られた最終要求デューティ値)DPGi-1 と同一の値をとる。
【0150】
次にステップ440において、最終要求デューティ値DPGとして前記ステップ480において算出された仮要求パージデューティ値tDPGをセットし、この制御ルーチンを終了する。
【0151】
従って、ECU30は、この最終要求デューティ値DPGに基づいて、電磁弁81をデューティ制御する。
以上のルーチンは、図6のステップ10から61に相当するものであり、ECU30は、図6のステップ61、64と同様の手段で、前記(1)式に従って最終燃料噴射量(QALLINJ)を算出する。
【0152】
通常スロットル弁がほぼ全開に近い状態で運転されることが多い筒内噴射型内燃機関では、吸入空気量すなわち負圧が一定であるため、空気吸入量、負荷(=空気量/機関回転数)、吸気管負圧の少なくとも一つの値に応じてパージ量を制御しようとすると、低回転数の成層燃焼と、高回転数の均質燃焼とで同じ量のパージを実行する場合、低回転側で燃焼不安定となったり失火が生じたりする。この例では、吸気管負圧に依存せず、機関回転数のみを制御パラメータとして利用し、機関回転数に応じてパージ量を制御することとしたので、安定した燃焼を得ることができる。
【0153】
(第4の補正手段による燃焼モード切り換り時の制御)
次に、図13から図18は、本実施の形態における燃焼モード切り換り時の「DPG,FPGの補正算出ルーチン」を示すフローチャートであって、ECU30が所定時間毎の割り込みで実行する。
【0154】
<前回均質リーン燃焼からのモード切換時制御>
処理がこのルーチンへ移行すると、図13のステップ610において、現在の運転モード(燃焼モード)及び前回の制御時の運転モード(燃焼モード)を読み込む、ステップ620において、前回の燃焼モードFMODEが「2」(均質リーン燃焼)であったか、否かを判定する。同ステップ620において、燃焼モードFMODEが「2」である場合には、図14で示したステップ621に移行する。
【0155】
ステップ621では、今回の燃焼モードFMODEが「1」(弱成層燃焼)である場合には、ステップ624に移行して、補正係数tKDPGCHにK1をセットする。この係数K1(<1.0)は無次元数であって、前回燃焼モードFMODE(均質リーン燃焼)から今回燃焼モードFMODE(弱成層燃焼)に変ったときに蒸発燃料のパージ量、及び燃料噴射量が最適値となるように、すなわち、モード切り換り時に、燃焼が悪化しないような値となるよう、予め実験等により求められており、ROM33に格納されている。この後、図18のステップ660に移行する。
【0156】
又、前記ステップ621において、今回の燃焼モードFMODEが「1」(弱成層燃焼)でない場合には、ステップ622に移行する。ステップ622では、今回の燃焼モードFMODEが「0」(成層燃焼)であるか否かを判定する。同ステップ622において今回の燃焼モードFMODEが「0」(成層燃焼)でない場合には、ステップ623に移行し、今回の燃焼モードFMODEが「3」(均質燃焼)であるか否かを判定し、今回の燃焼モードが「3」でない場合は、燃焼モードFMODEの変化がないとしてステップ627に移行し、補正係数tKDPGCHとして1.0をセットする。この係数1.0は、予めROM33に格納されている。この後、図18のステップ660に移行する。
【0157】
又、前記ステップ622において、今回の燃焼モードFMODEが「0」(成層燃焼)である場合には、ステップ625に移行し、補正係数tKDPGCHとしてK2(<1.0)をセットする。この係数K2(K2<K1)は無次元数であって、前回燃焼モードFMODE(均質リーン燃焼)から今回燃焼モード(成層燃焼)に変わったときに蒸発燃焼のパージ量、及び燃料噴射量が最適値となるように、すなわち、モード切り換り時に、燃焼が悪化しないような値となるよう、予め実験等により求められており、R0M33に格納されている。この後、図18のステップ660に移行する。
【0158】
前記ステップ623において、今回の燃焼モードFMODEが「3」(均質燃焼)であると判断された場合には、補正係数tKDPGCHとしてK3(<1.0)をセットする。この係数K3(K2<K1<K3)は無次元数であって、前回燃焼モードFMODE(均質リーン燃焼)から今回燃焼モード(均質燃焼)に変わったときに蒸発燃焼のパージ量、及び燃料噴射量が最適値となるように、すなわち、モード切り換り時に、燃焼が悪化しないような値となるよう、予め実験等により求められており、R0M33に格納されている。この後、図18のステップ660に移行する。
【0159】
<前回弱成層燃焼からのモード切換時制御>
図13のステップ620において、前回の燃焼モードFMODEが「2」(均質リーン燃焼)でない場合には、ステップ630に移行し、前回燃焼モードFMODEが「1」(弱成層燃焼)であるか否かを判定する。前回燃焼モードFMODEが「1」であれば、図15で示したステップ631に移行し、今回燃焼モードFMODEが「2」(均質リーン燃焼)であるか否かを判定する。
【0160】
ステップ631において、前回の燃焼モードFMODEが「2」(均質リーン燃焼)である場合には、ステップ634に移行する。
【0161】
ステップ634では、補正係数tKDPGCHにK4をセットする。この係数K4(<1.0)は無次元数であって、前回燃焼モードFMODE(弱成層燃焼)から今回燃焼モードFMODE(均質リーン燃焼)に変ったときに蒸発燃料のパージ量、及び燃料噴射量が最適値となるように、すなわち、モード切り換り時に、燃焼が悪化しないような値となるよう、予め実験等により求められており、ROM33に格納されている。この後、図18のステップ660に移行する。
【0162】
又、前記ステップ631において、今回の燃焼モードFMODEが「2」(均質リーン燃焼)でない場合には、ステップ632に移行する。ステップ632では、今回の燃焼モードFMODEが「0」(成層燃焼)であるか否かを判定する。同ステップ632において今回の燃焼モードFMODEが「0」(成層燃焼)でない場合には、ステップ633に移行し、今回の燃焼モードFMODEが「3」(均質燃焼)であるか否かを判定し、今回の燃焼モードが「3」でない場合は、燃焼モードFMODEの変化がないとしてステップ637に移行し、補正係数tKDPGCHとして1.0をセットする。この係数1.0は、予めROM33に格納されている。この後、図18のステップ660に移行する。
【0163】
又、前記ステップ632において、今回の燃焼モードFMODEが「0」(成層燃焼)である場合には、ステップ635に移行し、補正係数tKDPGCHとしてK5(<1.0)をセットする。この係数K5(<1.0,K4>K5)は無次元数であって、前回燃焼モードFMODE(弱成層燃焼)から今回燃焼モード(成層燃焼)に変わったときに蒸発燃焼のパージ量、及び燃料噴射量が最適値となるように、すなわち、モード切り換り時に、燃焼が悪化しないような値となるよう、予め実験等により求められており、R0M33に格納されている。この後、ステップ660に移行する。
【0164】
前記ステップ633において、今回の燃焼モードFMODEが「3」(均質燃焼)であると判断された場合には、補正係数tKDPGCHとしてK6(<1.0)をセットする。この係数K6(<1.0,K5<K4<K6)は無次元数であって、前回燃焼モードFMODE(弱成層燃焼)から今回燃焼モード(均質燃焼)に変わったときに蒸発燃焼のパージ量、及び燃料噴射量が最適値となるように、すなわち、モード切り換り時に、燃焼が悪化しないような値となるよう、予め実験等により求められており、R0M33に格納されている。この後、図18のステップ660に移行する。
【0165】
<前回成層燃焼からのモード切換時制御>
図13のステップ630において、前回の燃焼モードFMODEが「1」(弱成層燃焼)でない場合には、ステップ640に移行し、前回燃焼モードFMODEが「0」(成層燃焼)であるか否かを判定する。前回燃焼モードFMODEが「0」であれば、図16のステップ641に移行し、今回燃焼モードFMODEが「1」(弱成層燃焼)であるか否かを判定する。
【0166】
ステップ641において、前回の燃焼モードFMODEが「1」(弱成層燃焼)である場合には、ステップ644に移行する。
【0167】
ステップ644では、補正係数tKDPGCHにK7をセットする。この係数K7(<1.0)は無次元数であって、前回燃焼モードFMODE(成層燃焼)から今回燃焼モードFMODE(弱成層燃焼)に変ったときに蒸発燃料のパージ量、及び燃料噴射量が最適値となるように、すなわち、モード切り換り時に、燃焼が悪化しないような値となるよう、予め実験等により求められており、ROM33に格納されている。この後、図18のステップ660に移行する。
【0168】
又、前記ステップ641において、今回の燃焼モードFMODEが「1」(弱成層燃焼)でない場合には、ステップ642に移行する。ステップ642では、今回の燃焼モードFMODEが「2」(均質リーン燃焼)であるか否かを判定する。同ステップ642において今回の燃焼モードFMODEが「2」(均質リーン燃焼)でない場合には、ステップ643に移行し、今回の燃焼モードFMODEが「3」(均質燃焼)であるか否かを判定し、今回の燃焼モードが「3」でない場合は、燃焼モードFMODEの変化がないとしてステップ647に移行し、補正係数tKDPGCHとして1.0をセットする。この係数1.0は、予めROM33に格納されている。この後、図18のステップ660に移行する。
【0169】
又、前記ステップ642において、今回の燃焼モードFMODEが「2」(均質リーン燃焼)である場合には、ステップ645に移行し、補正係数tKDPGCHとしてK8(<1.0)をセットする。この係数K8(K7<K8)は無次元数であって、前回燃焼モードFMODE(成層燃焼)から今回燃焼モード(均質リーン燃焼)に変わったときに蒸発燃焼のパージ量、及び燃料噴射量が最適値となるように、すなわち、モード切り換り時に、燃焼が悪化しないような値となるよう、予め実験等により求められており、R0M33に格納されている。この後、図18のステップ660に移行する。
【0170】
前記ステップ643において、今回の燃焼モードFMODEが「3」(均質燃焼)であると判断された場合には、補正係数tKDPGCHとしてK9(<1.0)をセットする。この係数K9(K7<K8<K9)は無次元数であって、前回燃焼モードFMODE(成層燃焼)から今回燃焼モード(均質燃焼)に変わったときに蒸発燃焼のパージ量、及び燃料噴射量が最適値となるように、すなわち、モード切り換り時に、燃焼が悪化しないような値となるよう、予め実験等により求められており、R0M33に格納されている。この後、図18のステップ660に移行する。
【0171】
<前回均質燃焼からのモード切換時制御>
図13のステップ640において、前回の燃焼モードFMODEが「3」(成層燃焼)でない場合には、図17のステップ651に移行し、前回燃焼モードFMODEが「1」(弱成層燃焼)であるか否かを判定する。前回燃焼モードFMODEが「1」であれば、ステップ654に移行する。
【0172】
ステップ654では、補正係数tKDPGCHにK10をセットする。この係数K10(<1.0)は無次元数であって、前回燃焼モードFMODE(均質燃焼)から今回燃焼モードFMODE(弱成層燃焼)に変ったときに蒸発燃料のパージ量、及び燃料噴射量が最適値となるように、すなわち、モード切り換り時に、燃焼が悪化しないような値となるよう、予め実験等により求められており、ROM33に格納されている。この後、図18のステップ660に移行する。
【0173】
又、前記ステップ651において、今回の燃焼モードFMODEが「1」(弱成層燃焼)でない場合には、ステップ652に移行する。ステップ652では、今回の燃焼モードFMODEが「0」(成層燃焼)であるか否かを判定する。同ステップ652において今回の燃焼モードFMODEが「0」(成層燃焼)でない場合には、ステップ653に移行し、今回の燃焼モードFMODEが「2」(均質リーン燃焼)であるか否かを判定し、今回の燃焼モードが「2」でない場合は、燃焼モードFMODEの変化がないとしてステップ657に移行し、補正係数tKDPGCHとして1.0をセットする。この係数1.0は、予めROM33に格納されている。この後、ステップ660に移行する。
【0174】
又、前記ステップ652において、今回の燃焼モードFMODEが「0」(成層燃焼)である場合には、ステップ655に移行し、補正係数tKDPGCHとしてK11(<1.0)をセットする。この係数K11(K11<K10)は無次元数であって、前回燃焼モードFMODE(均質燃焼)から今回燃焼モード(成層燃焼)に変わったときに蒸発燃焼のパージ量、及び燃料噴射量が最適値となるように、すなわち、モード切り換り時に、燃焼が悪化しないような値となるよう、予め実験等により求められており、R0M33に格納されている。この後、図18のステップ660に移行する。
【0175】
前記ステップ653において、今回の燃焼モードFMODEが「2」(均質リーン燃焼)であると判断された場合には、補正係数tKDPGCHとしてK12(<1.0)をセットする。この係数K12(K11<K10<K12)は無次元数であって、前回燃焼モードFMODE(均質燃焼)から今回燃焼モード(均質リーン燃焼)に変わったときに蒸発燃焼のパージ量、及び燃料噴射量が最適値となるように、すなわち、モード切り換り時に、燃焼が悪化しないような値となるよう、予め実験等により求められており、R0M33に格納されている。この後、図18のステップ660に移行する。
【0176】
上記各ステップから図18のステップ660に移行すると、ステップ660では、最終補正係数KDPGCHとして、上記各ステップにおいてセットされた補正係数tKDPGCHをセットする。次のステップ670では、前回制御周期において算出された最終要求デューティ値DPGi-1 に最終補正係数KDPGCHを乗算した値を終要求デューティ値DPGとする。又、次のステップ680では、前回制御周期において算出された最終蒸発燃料量補正量FPGi-1 に最終補正係数KDPGCHを乗算した値を最終蒸発燃料量補正量FPGとし、この算出ルーチンを一旦終了する。
【0177】
従って、ECU30は、この燃焼モード切り換り時の「DPG、FPGの補正算出ルーチン」にて算出された最終要求デューティ値DPG及び最終蒸発燃料量補正量FPGに基づいて、電磁弁81をデューティ制御するとともに、燃料噴射弁11を噴射制御する。
【0178】
このように、燃焼状態の切換に従って、蒸発燃料量を補正し、パージ制御弁を制御し、燃料噴射量を制御するので、燃焼状態に応じた最適な燃焼を確保できる。これは、(4−4)でいう、内燃機関の燃焼状態の切り換り時に、切換態様に応じて燃料の供給量を調整する燃料供給量制御手段を備えたものであるともいえる。
【0179】
<蒸発燃料の濃度に応じた制御>
次に、上記した各補正係数とベーパ濃度との関係を説明する。これは、(5−1)の特徴点を適用したもので第5の補正手段によるパージ制御弁等の制御の例である。
【0180】
図19に上記各補正係数(K1からK12)と、ベーパ濃度との関係を示す。
この図19で、C1(低濃度)<C2<C3・・・・(高濃度)であり、K’>K''>K'''>K''''である。
【0181】
この図19の関係は、マップの形で予めROMに記憶されている。第5の補正手段は、濃度検出手段で検出したベーパ濃度に対応する補正係数をROMの対応関係から計算し、最適補正係数を得る。なお、濃度検出手段としては、例えば、パージ通路または吸気管中に設けられたHCセンサ(ハイドロカーボンセンサ)を利用できるが、酸素センサにより、パージガス中の酸素濃度を検出し酸素濃度から燃料濃度を逆算するようにしてもよい。
【0182】
図13から図18にあってはモード切換に関連して細かく補正係数をK1からK12まで細かく変えたことで、最適な蒸発燃料量の供給を行え、燃焼悪化防止、十分なパージ量確保の両立が可能となった。
【0183】
すなわち、図13から図18の燃焼モード切り換り時の「DPG、FPGの補正算出ルーチン」において、燃焼モードが変化したときに、その燃焼モードFMODEが切り換つた状憲に応じて補正係数を選択した。選択された補正係数は、そのモード切り換り時に燃焼が不安定とならないように最適な補正係数とされているため、パージ量、燃料噴射量とも最適な値となるように、電磁弁81及び燃料噴射弁11が制御される。この結果、燃焼モード切り換り時において、燃焼の悪化を防止することができる 尚、上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば次の如く構成してもよい。
【0184】
(A) 前記実施の形態において、図13の燃焼モード切り換り時の「DPG,FPGの補正算出ルーチン」においては、補正係数K1,K2を予め実験値として求められた値としたが、K1とK2とを前回燃焼モードのときの燃料噴射量と今回燃焼モードのときの燃料噴射量との比で算出するようにしてもよい。
【0185】
(B) 上記実施の形態では、筒内噴射式のエンジン1に本発明を具体化するようにしたが、いわゆる一般的な成層燃焼、或いは弱成層燃焼を行うタイプのものに具体化してもよい。例えば吸気ポート7a,7bの吸気弁6a,6bの傘部の裏側に向かって噴射するタイプのものも含まれる。また、吸気弁6a,6b側に燃料噴射弁が設けられてはいるが、直接シリンダボア(燃焼室5)内に噴射するタイプのものも含まれる。さらに、SCV17を有する希薄燃焼(リーンバーン)を行いうるエンジンにも具体化できる。
【0186】
従って、この明細書では、希薄燃焼とは、これらの意味を含む趣旨である。(C)さらに、上記実施の形態では、内燃機関としてガソリンエンジン1の場合に木発明を具体化したが、その外にもディーゼルエンジン等の場合等にも具体化できる。
【0187】
上記実施の形態において、第4の補正手段による蒸発燃料量の補正にあたって、内燃機関の燃焼状態の切り換り時を判定する判定手段を設け、同判定手段に基づいて、第4の補正手段が、蒸発燃料量を補正するようにする。この場合、ECU30が判定手段を構成し、ステップ420、430、480、510、520がその判定手段に相当する。判定手段によって、燃焼状態の切り換り時を判定する。
【0188】
<制御遅延手段(4−1)による制御>
ところで、上記した燃焼モードの切換にあたっては、燃焼状態の切換時にパージ制御弁の開度変更または燃料噴射状態変更を開始するまでの時間を制御遅延手段により遅延させることも可能である。具体的には、図20に示したように、燃焼モードAから燃焼モードBに移行するにあたり、所定の遅延時間を経過した後にモード切換、すなわちDPG、FPGの変更をするのが好ましい。これは短時間の間にモードAからB、からAへと移行するいわゆるハンチングを防止するためである。この制御遅延手段は、プログラムによりCPU上に実現される。
なお、所定の遅延時間は吸気の流速、回転数等によって可変される値でもよい。
【0189】
<変化速度制御手段(4−2)(4−3)による制御>
さらに、燃焼状態に応じてパージ制御弁の開度変化速度、あるいは燃料噴射状態変化速度を変化速度制御手段で、燃焼モード切換時に、前回DPGから今回DPGに移行するまでの変化度合い:λを図21に示したように、なだらかに変化させると、移行時に安定した燃焼を得ることができる。
【0190】
さらには、(4−3)の特徴点に従って、図21で示した変化度合いを、燃焼モード切換の態様に従って、異なるようにする。燃焼モード間における変化度合い:λを図22に示す。
【0191】
この図22から、リーンに行くとき緩やかに変化し、均質に近くなるとき、変化が大きくなることがわかる。均質燃焼は燃焼の安定度が高いので、均質に向かうほど変化を大きくしても問題ない。リーンの場合は燃焼が不安定になりがちである。そこで、リーンに向かう場合は、緩やかに変化させて大きな変動に伴う不安定な燃焼を避けるようにした。
<機関回転数に応じて蒸発燃料量を補正する例>
次に、機関回転数に応じて蒸発燃料量を補正する(2)の特徴点に関する実施の形態を図23に従って説明する。
【0192】
まず、エンジン回転数NEとアクセル開度ACAが入力される(ステップ681)。次いで、入力されたエンジン回転数とアクセル開度に従って基本的な基本燃料噴射量(QALL)を計算する(ステップ682)。
【0193】
すなわち、まず、図示しないエンジン回転数及びアクセル開度と、基本燃料噴射量との相関関係を定めたマップから、当該エンジン回転数とアクセル開度に対応する基本燃料噴射量を補間的に計算する。
【0194】
ステップ683では、パージ中であるか否かを判定し、パージ中であれば、スロットル開度TAとエンジン回転数NEを取り込む(ステップ684)。
次いで、蒸発燃料量補正量(FPG)を算出する(ステップ685)。この算出は、予めマップとしてROMに記憶したスロットル開度TAエンジン回転数NEと、蒸発燃料量補正量(FPG)との相関関係(図24参照)から行う。なお、図24において、高中小とは、エンジン回転数である。エンジン回転数が少ないど、蒸発燃料量補正量は増える。
【0195】
ステップ683でパージ中でないとされた場合、ステップ687で蒸発燃料量補正量=0とする。
ステップ685、687で蒸発燃料量補正量(FPG)が決定された後、ステップ686に移行し、最終燃料噴射量(QALLINJ)が決定される。ここでは、ステップ682で予め計算された基本燃料噴射量(QALL)から蒸発燃料量補正量(FPG)を減ずることで最終燃料噴射量(QALLINJ)を決定する
その後、別途定めた燃料噴射プログラムに従って燃料噴射を行う。
【0196】
なお、蒸発燃料量補正量(FPG)の別の計算方法としては、図25に示したように、パージガス量Qpから求める方法、図26に示したようにインテークマニホールドの圧力から求める方法とが例示できる。
【0197】
なお、図23に示したルーチンは所定時間間隔で繰返し実行される。
このような補正ルーチン、特にステップ684,685によって蒸発燃料量補正量を検出して補正するので、ドライバビリティやエミッションに影響することなく大量の蒸発燃料を処理できる。
<蒸発燃料量の補正に伴う燃料噴射状態の変更>
以上、蒸発燃料量を種々のパラメータに従って補正する例を紹介したが、これら蒸発燃料量の補正に伴い燃料噴射状態を変更する制御例を以下に説明する。これは(5)及び(5−1)の特徴点によるものである。
【0198】
図27に従って、FPG(蒸発燃料量補正量)に応じて燃料噴射時期を補正する例を説明する。
まず、エンジン回転数NEとアクセル開度ACAが入力される(ステップ701)。次いで、入力されたエンジン回転数とアクセル開度に従って基本的な基本燃料噴射量(QALL)を計算する(ステップ702)。
【0199】
ステップ703では、パージ中であるか否かを判定し、パージ中であれば、エアーと蒸発燃料からなるパージガス量Qpを算出する(ステップ704)。この算出は、予めマップとしてROMに記憶したスロットル開度TAとパージガス量との相関関係(図28参照)から行う。なお、図28において、高中小とは、エンジン回転数である。エンジン回転数が高いほど、パージガス量は増える。
【0200】
次いで、パージガス通路等に設けたハイドロカーボンセンサ(HCセンサ)で検出した蒸発燃料濃度(FGprg)を取り込む(ステップ705)。
その後、ステップ706で蒸発燃料量補正量(FPG)を計算する。すなわちパージガス量(QP)に蒸発燃料濃度(FGprg)を乗じ、その積をエンジン回転数(NE)×(n/2)で除して得た商を蒸発燃料量とする。なお、式中、nは気筒数であり、1/2で除するのは、4サイクルエンジンにおける吸気は4サイクル中2回だからである。
【0201】
ステップ703でパージ中でないとされた場合、ステップ707で蒸発燃料量補正量=0とする。
ステップ706、707で蒸発燃料量補正量(FPG)が決定された後、ステップ708に移行し、最終燃料噴射量(QALLINJ)が決定される。ここでは、ステップ702で計算された最終燃料噴射量(QALLINJ)を前回噴射量(QALLO)とし、この前回噴射量から蒸発燃料量補正量(FPG)を減ずることで最終燃料噴射量(QALLINJ)を決定する。さらに、ステップ709で、燃料噴射時期を決定する。燃料噴射時期(AINJ)の決定に当たっては、図29に示したマップを参照する。このマップは蒸発燃料量補正量(FPG)と燃料噴射時期の変化量(△AINJ)との相関関係を予め定めたもので、RPMに記憶されている。図29において、グラフと横軸との交差部分は理論空燃比を示す。この交差部分より左の部分は空気のみをパージしていることを意味する。すなわち、前回の燃料噴射時期(AINJO)から、蒸発燃料量補正量(FPG)に対応する燃料噴射時期の変化量(△AINJ)を減ずることで、今回の燃料噴射時期を算出する。こうして得た燃料噴射時期をもって、別途定めた燃料噴射プログラムに従って燃料噴射を行う。
【0202】
なお、図27に示したルーチンは所定時間間隔で繰返し実行される。
このような補正ルーチン、特にステップ704,705,706によって蒸発燃料量の検出精度が向上するので、ドライバビリティやエミッションに影響することなく大量の蒸発燃料を処理できる。
【0203】
また、蒸発燃料濃度の他の検出方法として、図30に示したようなマップから検出する方法も使用できる。すなわち、吸気管中の酸素濃度と、蒸発燃料濃度(FGprg)との相関関係を予めマップとしてROMに記憶しておき、吸気管中の酸素濃度を酸素センサで検出し、マップから対応する蒸発燃料濃度を導く。
【0204】
<蒸発燃料量の補正と成層燃焼の度合い(噴射時期と噴射量)>
次に、蒸発燃料量補正量(FPG)をパージガス量(Qp)及びパージガス中の蒸発燃料濃度FGprgによって算出するにあたり、成層燃焼の度合いすなわち成層燃焼における噴射時期及び噴射量を参照して蒸発燃料量を補正する例を図31に示す。すなわち、前記した(4)第4の補正手段による制御の例である。
【0205】
まず、エンジン回転数NEとアクセル開度ACAが入力される(ステップ801)。次いで、入力されたエンジン回転数とアクセル開度に従って基本的な基本燃料噴射量(QALL)を計算する(ステップ802)。ステップ803では、パージ中であるか否かを判定し、パージ中であれば、エアーと蒸発燃料からなるパージガス量Qpを算出する(ステップ804)。この算出は、先の例と同様、予めマップとしてROMに記憶したスロットル開度TAとパージガス量との相関関係(図28参照)から行う。
【0206】
次いで、パージガス通路等に設けたハイドロカーボンセンサ(HCセンサ)で検出した蒸発燃料濃度(FGprg)を取り込む(ステップ805)。ステップ806では、燃焼状態である成層度Rを検出し、取り込む成層度Rは図32に示したように、アクセル開度あるいは燃料噴射量との関係で決定されるが、さらにエンジン回転数の大小にも依存する。グラフ図から明かなように、アクセル開度が大きいほど成層度が1.0に近い値となる。またエンジン回転数が大きいほど成層度は高くなる。
【0207】
その後、ステップ807で補正係数Kcを算出する。補正係数Kcは、図33に示したマップから算出する。図33では、成層度Rと補正係数Kcとの関係を予め相関関係としてROMに記憶したもので、成層度Rは噴射時期×噴射量で決定される。
【0208】
ステップ808では、パージガス量(QP)と補正係数Kcと蒸発燃料濃度(FGprg)を乗じ、その積をエンジン回転数(NE)×(n/2)で除して得た商を蒸発燃料量とする。なお、式中、nは気筒数であり、1/2で除するのは、4サイクルエンジンにおける吸気は4サイクル中2回だからである。
【0209】
ステップ803でパージ中でないとされた場合、ステップ809で蒸発燃料量補正量=0とする。
ステップ808、809で蒸発燃料量補正量(FPG)が決定された後、ステップ810に移行し、最終燃料噴射量(QALLINJ)が決定される。ここでは、ステップ802で計算された基本燃料噴射量(QALL)から蒸発燃料量補正量(FPG)を減ずることで最終燃料噴射量(QALLINJ)を決定する。さらに、ステップ811で、燃料噴射時期を決定する。燃料噴射時期(AINJ)の決定に当たっては、先の例と同様に図29に示したマップを参照する。すなわち、前回の燃料噴射時期(AINJO)から、蒸発燃料量補正量(FPG)に対応する燃料噴射時期の変化量(△AINJ)を減ずることで、今回の燃料噴射時期を算出する。こうして得た燃料噴射時期をもって、別途定めた燃料噴射プログラムに従って燃料噴射を行う。
【0210】
なお、図31に示したルーチンは所定時間間隔で繰返し実行される。
このような補正ルーチン、特にステップ804から808によって成層度に応じて蒸発燃料量を補正しているので、蒸発燃料量の内で、燃焼に寄与する部分の燃料噴射量を適正に減らすことができ、失火を防止することができる。
<パージガス量及び蒸発燃料量の補正とトルク変動>
次に、トルク変動に応じてパージガス量Qpを補正し、さらに、Qpとの関連で定まる蒸発燃料量補正量(FPG)を補正する例を図34に従って説明する。これは(3)第3の補正手段を適用した例である。
【0211】
まず、エンジン回転数NEとアクセル開度ACAが入力される(ステップ901)。次いで、入力されたエンジン回転数とアクセル開度に従って基本的な基本燃料噴射量(QALL)を計算する(ステップ902)。ステップ903では、パージ中であるか否かを判定し、パージ中であれば、エアーと蒸発燃料からなるパージガス量Qpを算出する(ステップ904)。この算出は、先の例と同様、予めマップとしてROMに記憶したスロットル開度TAとパージガス量との相関関係(図28参照)から行う。
【0212】
次いで、ステップ905で蒸発燃料量を補間計算する。蒸発燃料量の計算は、図示しないが、マップとしてROMに記憶した、エンジン回転数NE及びスロットル開度TAと蒸発燃料量との相関関係から算出する。
【0213】
ステップ906では、トルク変動DLNを取り込む。トルク変動は所定時間前の旧トルクと現在のトルクとの差を数値化したものである。次いで、ステップ907ではトルク変動に応じたパージガス補正量△Qprgを算出する。パージガス補正量△Qprgの算出には、図35のマップを参照する。図35のマップは、トルク変動の大きさを横軸とし、トルク変動の大きさに対応するパージガス補正量△Qprgを縦軸として両者の相関関係を定めたものである。このマップから明かなように、トルク変動が大きいとき、補正量が正の値となり、トルク変動が小さいときは補正量が負となる。
【0214】
パージガス補正量を得た後、ステップ908では、前回パージガス変動量(△Qp)にパージガス補正量△Qprgを加え、新しいパージガス変動量(△Qp)とする。そして、ステップ904で得たパージガス量Qpにステップ908で得た△Qpを加え、補正したパージガス量Qpを得る(ステップ909)。
【0215】
前記ステップ903で、パージ中でないとされた場合、蒸発燃料量補正量FPG=0とし(ステップ910)、さらに、パージガス量Qp=0とする(ステップ911)。
【0216】
ステップ912では、ステップ909、911で得たパージガス量Qpの値から、パージ制御弁の開度を制御する。この制御は図36で示した、パージガス量Qpとパージ制御弁の開度V(Qp)との相関関係を参照して行われる。図36のマップはROMに予め記憶されている。
【0217】
次いで、ステップ913において、最終燃料噴射量(QALLINJ)が決定される。ここでは、ステップ902で計算された基本燃料噴射量(QALL)から蒸発燃料量補正量(FPG)を減ずることで最終燃料噴射量(QALLINJ)を決定する。
【0218】
このような補正ルーチン、特にステップ904から909によってトルク変動に応じてパージガス量を補正しているので、トルク変動が大きくなってパージガス濃度が薄くなる場合に、最適な蒸発燃料量補正量(FPG)となるように、パージガス量を増やすので、パージ量を増やすことができる。
【0219】
<トルク変動に応じて蒸発燃料量の補正する例>
先の例では、トルク変動に応じてパージガス量Qpすることで蒸発燃料量補正量(FPG)を補正したが、図37から図40ではトルク変動に応じて直接蒸発燃料量を補正する場合を示している。この例も(3)第3の補正手段を適用した例である。
【0220】
まず、エンジン回転数NEとアクセル開度ACAが入力される(ステップ1001)。次いで、入力されたエンジン回転数とアクセル開度に従って基本的な基本燃料噴射量(QALL)を計算する(ステップ1002)。ステップ1003では、パージ中であるか否かを判定し、パージ中であれば、エンジン回転数NE及びスロットル開度を読み込み、蒸発燃料量補正量FPGを算出する(ステップ1004)。この算出は、エンジン回転数NE及びスロットル開度TAと蒸発燃料量補正量FPGとの関係を予め定めたマップを参照して行う。
【0221】
次いで、ステップ1005でトルク変動DLNを取り込む。その後、ステップ1006ではトルク変動に応じた蒸発燃料量補正量FPGの補正量△FPGHを算出する。蒸発燃料量補正量FPGの補正量△FPGHの算出には、図38のマップを参照する。図38のマップは、トルク変動の大きさを横軸とし、トルク変動の大きさに対応する蒸発燃料量補正量FPGの補正量△FPGHを縦軸として両者の相関関係を定めたものである。このマップから明かなように、トルク変動が大きいとき、補正量が負の値となり、トルク変動が小さいときは補正量が正となる。
【0222】
蒸発燃料量補正量FPGの補正量△FPGHを得た後、ステップ1007では、前回求めた蒸発燃料量補正量FPGの補正量FPGHに、ステップ1006で得た蒸発燃料量補正量FPGの補正量△FPGHを加え、新しい蒸発燃料量補正量FPGの補正量FPGHとする。次いで、ステップ1004で得た蒸発燃料量補正量FPGにステップ1007で得た蒸発燃料量補正量FPGの補正量FPGHを加え、補正後の蒸発燃料量補正量FPGを得る(ステップ1008)。
【0223】
前記ステップ1003で、パージ中でないとされた場合、蒸発燃料量補正量FPG=0とする(ステップ1009)。
次いで、ステップ1010において、最終燃料噴射量(QALLINJ)が決定される。ここでは、ステップ1002で計算された基本燃料噴射量(QALL)から蒸発燃料量補正量(FPG)を減ずることで最終燃料噴射量(QALLINJ)を決定する。
【0224】
このような補正ルーチン、特にステップ1004から1008によってトルク変動に応じて蒸発燃料量を補正しているので、トルク変動に応じた正確な蒸発燃料量補正量FPGを求めることができ、大量パージが可能となる。
なお、蒸発燃料量補正量△FPGHの算出に当たっては、以下のことを考慮に入れている。
【0225】
図39に示したように、出力変動が小さいことは燃料量が多すぎることを意味する。これは、蒸発燃料量を少なく見積もっているためであるから蒸発燃料量を多い方に補正する。出力変動が大きい場合は、筒内燃料が不足している場合であるから、蒸発燃料量補正量FPGを減らす方向に補正する。
なお、図38で示したように蒸発燃料量の補正量△FPGHを出力変動に応じてなだらかに変化するようにしてもよい。
【0226】
<蒸発燃料量補正量にガードをかけた場合の例>
次に、蒸発燃料量の補正を基準出力変動からのずれ△DLNに応じて補正するとともに、蒸発燃料量補正量△FPGHにガードをかけ、異常補正を行わないようにした例を図41から図43に従い説明する。なお、この例は(5−2)の特徴点を実現するものである。
【0227】
まず、エンジン回転数NEとアクセル開度ACAが入力される(ステップ1011)。次いで、入力されたエンジン回転数とアクセル開度に従って基本的な基本燃料噴射量(QALL)を計算する(ステップ1012)。ステップ1013では、パージ中であるか否かを判定し、パージ中であれば、エンジン回転数NE及びスロットル開度を読み込み、基準蒸発燃料量補正量FPG0を算出する(ステップ1014)。この算出は、エンジン回転数NE及びスロットル開度TAと基準蒸発燃料量補正量FPG0との関係を予め定めたマップを参照して行う。
【0228】
次いで、ステップ1015でトルク変動DLNを取り込む。その後、ステップ1016では基準トルク変動DLN0を算出する。基準トルク変動DLN0の算出には、図42のマップを参照する。図42のマップは、アクセル開度(スロットル開度)を横軸とし、アクセル開度に対応する基準トルク変動DLN0を縦軸とし、て両者の相関関係をエンジン回転数の大小毎に定めたものである。このマップから明かなように、アクセル開度が大きいほど、また、エンジン回転数が大きいほど基準トルク変動が小さくなる。
【0229】
基準トルク変動DLN0を算出した後、ステップ1017では、ステップ1015で得たトルク変動DLNから基準トルク変動を減じ、トルク変動の変動量△DLNを得る。次いで、この変動量△DLNを参照して、図43のマップから蒸発燃料量補正量△FPGHを算出する(ステップ1018)。蒸発燃料量補正量△FPGHの算出は、図43で示した蒸発燃料量補正量△FPGHと△DLNとの相関関係マップから算出する。なお、図43において
Cpp:パージ量を増加させる量
Cpm:パージ量を減少させる量
Cfp:パージガス中の濃度見積もり値を増加させる量
Cfm:パージガス中の濃度見積もり値を減少させる量
である。
【0230】
△DLNが基準0より大きいとき、蒸発燃料量補正量△FPGHは負となり、△DLNが基準0より小さいとき、蒸発燃料量補正量△FPGHは正となる。
次いで、前回求めた蒸発燃料量補正量FPGの補正量FPGHに、ステップ1018で得た蒸発燃料量補正量FPGの補正量△FPGHを加え、新しい蒸発燃料量補正量FPGの補正量FPGHとする。さらに、ステップ1014で得た蒸発燃料量補正量FPG0にステップ1019で得た蒸発燃料量補正量FPGの補正量FPGHを加え、補正後の蒸発燃料量補正量FPGを得る(ステップ1020)。
【0231】
その後、ステップ1021では、蒸発燃料量補正量FPGの最大値maxFPGと最小値minFPGを算出する。なお、
最大値maxFPG=基準蒸発燃料量補正量FPG0−所定値、
最小値minFPG=基準蒸発燃料量補正量FPG0+所定値
であり、ここでいう所定値とは経験的に定まる値である。
【0232】
その後、ステップ1022で蒸発燃料量補正量FPGが最大値maxFPG以上か否か判定され、最大値以上であれば、ステップ1023において、蒸発燃料量補正量FPGを最大値maxFPGとする。すなわち最大値でガードをかけたのである。
【0233】
その後、ステップ1021で、蒸発燃料量補正量FPGが最小値minFPG以下か否か判定される。最小値以下であれば、ステップ1025で、最小値minFPGを蒸発燃料量補正量FPGとする。すなわち最小値でガードをかけたのである。
【0234】
ステップ1013でパージ中でないと判定された場合、蒸発燃料量補正量FPG=0とし、また、ステップ1022、1025で、否定の場合も、蒸発燃料量補正量FPGは0のまま維持される。
【0235】
蒸発燃料量補正量FPGが決定された後は、ステップ1027で最終燃料噴射量(QALLINJ)が決定される。ここでは、ステップ1012で計算された基本燃料噴射量(QALL)から蒸発燃料量補正量(FPG)を減ずることで最終燃料噴射量(QALLINJ)を決定する。
【0236】
このような補正ルーチンでは、ステップ1016から1018によってトルク変動の変動幅△DLNに蒸発燃料量補正量△FPGHを補正しているので、トルク変動に応じた正確な蒸発燃料量補正量FPGを求めることができる。
【0237】
さらに、ステップ1022から1025で、求めた蒸発燃料量補正量FPGにガードをかけるため、異常補正がカットされ、燃焼安定性を確保できる。
特に、エンジン回転数が高いときは、トルク変動が小さくなり、このようなときに蒸発燃料量補正量FPGを増加させてしまう誤補正が生じ、また、エンジン回転数が低いときは、トルク変動が小さ大きく、このようなときに蒸発燃料量補正量FPGを減少させてしまう誤補正が生じるが、本例では、このような誤補正をガード処理で回避できる。
【0238】
なお、以上説明した、種々の実施形態は、必要に応じ可能な限り組み合わせて実施できる。
【0239】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、蒸発燃料を希薄燃焼内燃機関に供給するに当たり、空燃比を検出していない場合や、検出された空燃比の精度が良くない場合においても、蒸発燃料の供給量の算出が悪化することがなく、リッチ失火やサージを抑制することができる。
【0240】
又、希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置において、アイドル時において、本発明を適用することで、ベース燃料を効果的に減量でき、又、ベーパが濃い薄いに限らずアイドル回転数の安定性を確保できる。
【0241】
さらに、出力変動に応じて、蒸発燃料量を補正することで、パージによる失火、サージが発生した場合においても、効果的に燃料減量ができ、ドライバビリティを確保でき、燃費の向上を図ることができる。
【0242】
さらに、燃焼状態に応じて蒸発燃料量を補正することで、燃焼状態の切り換わり時などにおいて、燃焼の悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な概念を示す概念構成図
【図2】本発明において濃度検出手段を備えた場合の基本的概念図
【図3】実施の形態におけるエンジンの蒸発燃料供給制御装置を示す概略構成図
【図4】エンジンの気筒部分を拡大して示す断面図
【図5】ECUの概略を示す電機ブロック回路図
【図6】ECUにより実行されるアイドル時における停車中の「パージ制御ルーチン」を示すフローチャート
【図7】デューティ制御の状態を示したグラフ図
【図8】ECUにより実行されるアイドル時における停車中の「燃料噴射量補正値算出ルーチン」を示すフローチャート
【図9】ECUにより実行されるアイドルオフ時における「パージ制御ルーチン」を示すフローチャート
【図10】ECU30により実行されるアイドルオフ時における「燃料噴射量補正値算出ルーチン」を示すフローチャート
【図11】トルク変動量と燃料量の特性を表しているグラフ
【図12】燃焼モード切り換り時の「DPG、FPGの補正算出ルーチン」を示すフローチャート(1)
【図13】燃焼モード切り換り時の「DPG、FPGの補正算出ルーチン」を示すフローチャート(2)
【図14】燃焼モード切り換り時の「DPG、FPGの補正算出ルーチン」を示すフローチャート(3)
【図15】燃焼モード切り換り時の「DPG、FPGの補正算出ルーチン」を示すフローチャート(4)
【図16】燃焼モード切り換り時の「DPG、FPGの補正算出ルーチン」を示すフローチャート(5)
【図17】燃焼モード切り換り時の「DPG、FPGの補正算出ルーチン」を示すフローチャート(6)
【図18】燃焼モード切り換り時の「DPG、FPGの補正算出ルーチン」を示すフローチャート(7)
【図19】図12から図18における制御で使用する補正係数とベーパ濃度との関係を示す図
【図20】モード切換時の制御遅延手段による遅延制御を示すタイミングチャート図
【図21】図20における遅延制御による変化をなだらかにした状態を示すタイミングチャート図
【図22】遅延制御の変化度合いを、切換パターンによって変化させることを示す概念図
【図23】蒸発燃料量の補正制御例を示したフローチャート図
【図24】スロットル開度TAと蒸発燃料量補正量FPGとエンジン回転数NAとの相関関係を定めたマップ
【図25】蒸発燃料量補正量FPGとパージガス量Qpとの関係を定めたマップ
【図26】蒸発燃料量補正量FPGと、大気圧・インテークマニホールド圧間の差圧との間の相関関係を定めたマップ
【図27】蒸発燃料量補正量FPGに応じて燃料噴射時期を制御する例を示したフローチャート図
【図28】パージガス量Qpとスロットル開度TA及び機関回転数との関係を示したマップ
【図29】燃料噴射時期の変化量△AINJと蒸発燃料量との関係を示すマップ
【図30】蒸発燃料の濃度を検出するためのマップ
【図31】燃焼状態(成層燃焼の度合い)に応じて蒸発燃料量を補正する例を示したフローチャート図
【図32】成層度とアクセル開度(or燃料噴射量)と機関回転数との関係を定めたマップ
【図33】成層度と補正係数との関係を示したマップ
【図34】出力変動に応じてパージガス量Qpを制御する例を示したフローチャート図
【図35】出力変動とパージガス補正量Qprgとの関係を示したマップ
【図36】パージガス量Qpとパージ制御弁制御出力V(Qp)との関係を示したマップ
【図37】出力変動に応じて蒸発燃料量を補正する例を示したフローチャート図
【図38】出力変動と蒸発燃料量補正量△FPGHとの関係を示したマップ
【図39】出力変動と燃料量との関係を示したマップ
【図40】出力変動と蒸発燃料量補正量△FPGHとの関係を示したマップの他の例
【図41】出力変動に応じて蒸発燃料量を補正するとともにガード処理を施した例を示したフローチャート図
【図42】基準出力変動DLN0とアクセル開度と機関回転数との関係を示したマップ
【図43】出力変動の変化量△DLNと蒸発燃料量補正量△FPGHとの関係を示したマップ
【符号の説明】
1…希薄燃焼内燃機関としてのエンジン
11…燃料噴射手段としての燃料噴射弁
20…吸気ダクト
22…ステップモータ
23…スロットル弁
25…運転状態検出手段を構成するスロットルセンサ
26A…運転状態検出手段を構成するアクセルセンサ
26B…運転状態検出手段を構成する全閉スイッチ
27…運転状態検出手段を構成する上死点センサ
28…運転状態検出手段を構成するクランク角センサ
29…運転状態検出手段を構成するスワールコントロールバルブセンサ
30…燃料供給量制御手段、パージ制御弁制御手段及び第1から第5の補正手段を構成するECU
Claims (12)
- 内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、
前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、
希薄燃焼状態のアイドル時に、前記内燃機関の機関回転数が目標回転数に一致するように蒸発燃料量を補正する第1の補正手段と、を備え、
前記パージ制御手段は、希薄燃焼状態のアイドル時には、前記第1の補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御するとともに、
希薄燃焼状態のアイドル時に、この第1の補正手段による補正結果に応じて燃料の供給量を調整する燃料供給量制御手段を備え、
さらに、蒸発燃料の濃度を検出する濃度検出手段を備え、蒸発燃料の濃度に応じてパージ制御弁の開度を補正する第5の補正手段を備えたことを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置。 - 内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、
前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、
前記内燃機関の機関回転数に応じて蒸発燃料量を補正する第2の補正手段と、を備え、
前記パージ制御手段は、この第2の補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御するとともに、
蒸発燃料の濃度を検出する濃度検出手段を備え、蒸発燃料の濃度に応じてパージ制御弁の開度を補正する第5の補正手段を備えたことを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置。 - 内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、
前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、
前記内燃機関の出力変動に応じて蒸発燃料量を補正する第3の補正手段と、を備え、
前記パージ制御手段は、この第3の補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御するとともに、
蒸発燃料の濃度を検出する濃度検出手段を備え、蒸発燃料の濃度に応じてパージ制御弁の開度を補正する第5の補正手段を備えたことを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置。 - 内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、
前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、
前記内燃機関の燃焼状態が成層燃焼である場合に、蒸発燃料量を補正する第4の補正手段と、を備え、
前記パージ制御手段は、前記内燃機関の燃焼状態が成層燃焼である場合、前記第4の補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御するとともに、
蒸発燃料の濃度を検出する濃度検出手段を備え、蒸発燃料の濃度に応じてパージ制御弁の開度を補正する第5の補正手段を備えたことを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置。 - 内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、
前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、
前記内燃機関の燃焼状態が成層燃焼である場合に、蒸発燃料量を補正する第4の補正手段と、を備え、
前記パージ制御手段は、前記内燃機関の燃焼状態が成層燃焼である場合、前記第4の補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御するとともに、
燃焼状態の切換え時にパージ制御弁の開度変更を開始するまでの時間を遅延させる制御遅延手段を備えたことを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置。 - 内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、
前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、
前記内燃機関の燃焼状態が成層燃焼である場合に、蒸発燃料量を補正する第4の補正手段と、を備え、
前記パージ制御手段は、前記内燃機関の燃焼状態が成層燃焼である場合、前記第4の補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御するとともに、
燃焼状態に応じてパージ制御弁の開度変化速度を制御する変化速度制御手段を備えたことを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置。 - 前記開度変化速度は燃焼状態切換毎に異ならせることを特徴とする請求項6記載の希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置。
- 内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、
前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、
蒸発燃料量を補正する蒸発燃料量補正手段と、を備え、
前記パージ制御手段は、前記蒸発燃料量補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制
御する装置であって、且つ、
蒸発燃料の濃度を検出する濃度検出手段と、
蒸発燃料の濃度に応じてパージ制御弁の開度を補正するパージ制御弁開度補正手段と、
を備えたことを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置。 - 内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、
前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、
蒸発燃料量を補正する蒸発燃料量補正手段と、を備え、
前記パージ制御手段は、前記蒸発燃料量補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御する装置であって、且つ、
燃焼状態の切換え時にパージ制御弁の開度変更を開始するまでの時間を遅延させる制御遅延手段を備えたことを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置。 - 内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、
前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、
蒸発燃料量を補正する蒸発燃料量補正手段と、を備え、
前記パージ制御手段は、前記蒸発燃料量補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御する装置であって、且つ、
燃焼状態に応じてパージ制御弁の開度変化速度を制御する変化速度制御手段を備えたことを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置。 - 内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、
前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、
蒸発燃料量を補正する蒸発燃料量補正手段と、を備え、
前記パージ制御手段は、前記蒸発燃料量補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御する装置であって、且つ、
前記内燃機関の燃焼状態は、少なくとも成層燃焼と、均質リーン燃焼と、均質燃焼との間で切り換わることを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置。 - 内燃機関の燃料を収容する燃料収容手段から発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージするパージ通路と、
前記パージ通路から前記吸気系に導入される蒸発燃料量を、内燃機関の運転状態に応じて制御するパージ制御手段と、
蒸発燃料量を補正する蒸発燃料量補正手段と、を備え、
前記パージ制御手段は、前記蒸発燃料量補正手段が補正した補正値に基づいてパージ制御する装置であって、且つ、
前記内燃機関の燃焼状態は、少なくとも成層燃焼と、弱成層燃焼と、均質リーン燃焼と、均質燃焼との間で切り換わることを特徴とする希薄燃焼内燃機関の蒸発燃料供給制御装置。
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