JP3707117B2 - 磁気共鳴装置およびその動作方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気共鳴装置に関する。特に本発明は、セルフシールドの傾斜コイル機構をもつ磁気共鳴撮像装置に関し、詳細な例を用いて説明する。しかし本発明は、磁気共鳴分光装置および極性磁界または所定形状をもつ磁界が有利な他の磁気共鳴装置にも関することを認識されたい。
【0002】
【従来の技術】
一般に磁気共鳴撮像装置は、検査を受ける患者の身体を収容する直径90cm以上の穴を有する。この穴は、実質的に均一な磁界を患者収容穴内の縦方向に生成するための一連の環状超伝導磁石により包囲される。環状磁石が軸状に配置されていればいるほど、患者収容穴内の主磁界はより均一になる傾向にあり、また磁界の均一性が存在する軸寸法も長くなる。一般に、穴の長さは少なくとも直径の1.75倍であり、2倍またはそれ以上であることもよくある。このような「長い」穴磁石は、通常Z12で示される12位数未満の球形調波からの測定可能な低下は実質的にないように設計される。
【0003】
磁気共鳴撮像(MRI)磁石の特定された撮像領域において理想的な磁界は、完全に均一なものである。特定撮像領域は通常、一般的には50cmの特定の直径をもつ球形により限定される。
【0004】
素磁界は、磁石の超伝導コイルが通電されるときに球形容量の表面上にある一組の特定座標において測定された磁界の状態として限定されるが、その際あらゆるソースからの付加的な補正磁界は一切ないものとする。理想的なケースにおいては、この素磁界は磁石の設計により完全に均一である。しかし、製造上の不正確さは避けることができないため、磁界は実際には素磁石の不均質として知られる有限領域をもつことになる。不均一性は磁界中央値の通常 100 万分の1単位(百万分率PPM)で表現される磁界分布として定義する。従って、この数が小さければ小さいほど、撮像の観点から見た磁界のもより良くなる。
【0005】
シム技術は、素磁界の不均一を補正するためのものである。素磁界は、小さな不均質磁界成分が重畳された大きな定磁界と考えられる。磁界の不均質成分の負を生成することができれば、正味磁界は均一となり、磁石にはシムが適用されたと言える。
【0006】
能動シムは、球形容量を包囲するコイルセットを使用した一般的に用いられるシム方法である。これらのコイルは、磁石の不均一を相殺するような磁界を生成する直流電流を運ぶように調整される。
【0007】
一方で受動シムは、磁石穴の中のシムトレイ内に配置された強磁性スチール片の誘導磁気双極子から発生する磁界を利用する。シムトレイは、磁気穴の周囲に脱着可能に設置される。従来技術のシムトレイは、それぞれが穴の長さを延長し、鉄またはスチールのプレートを収容する12〜14のポケットを有する。シムトレイは除去され、鉄またはスチールのプレートについては磁界センサによりZ1〜Z6の調波、すなわちZ1〜Z6までの不均質をもつ成分の最小限化が示さ れるまでポケットに設置される。一般に、磁気共鳴磁石は高位数成分なしに設計される。高位数球形調波がある場合は、低位数調波と比べて補正により多くのスチールを要する。また一般に高位数調波のシムでは、実質的により正確な位置決めが要求される。
【0008】
考え方としては、スチールの双極子磁界を利用して素磁界の不均質成分を補正するということである。1つのスチール片を磁石内に導入(但し、球形容量外)すると、スチールからの双極子磁界は球形容量を通して正味磁界を修正する。しかし、一般的には不規則な形状の不均質磁界を完全に補正するには1つのスチール片では不十分である。従って一般には、球形容量を包囲する位置に同じようなスチール片からなる大きなアレイが付加される。全てのスチールシム片からの個々の双極子磁界が重畳される。この双極子の正味重畳により元の不均質磁界が相殺されれば、磁界は実質的に均一である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
スチールは、ポケットと呼ばれるシムトレイ内のシム設置位置に付加される。これは反復的処理で実行され、低位数の球形調波成分(例えばZ1〜Z6)のシムにおいてより良く実行される。従来技術における主な欠点は、一度スチールが付加されるとシム技術では続く反復処理において一切のスチールの除去ができないということである。その結果、最適と思われるよりも多くのスチールが使用され、またシムポケット位置も必要以上に多くなる。
【0010】
従来のシム技術は、低位数成分(Z6以下)のシムを行う場合に限り有益であった。一般に、この技術は高位数調波成分(Z6より大きい)のシムでは用いられない。
【0011】
長穴磁石の欠点の1つは、しばしば医療人員が関心領域にアクセスできないということである。画像に基づいて処理手順が実行される場合、患者は処理手順が実行される前に穴から移動されなければならない。患者の移動は、画像と患者間の位置ずれ問題の危険を増大させる。それ以外には、長穴磁石はユーザ・フレンドリで閉所的になる傾向にあり、また大磁石は小磁石と比較して不経済である等の欠点がある。
【0012】
患者へのアクセスを改善する方法の1つは、磁石および患者収容穴の長さを短くすることである。磁石と穴が短くなると、患者へのアクセスはかなり改善される。均一磁界のサイズについては球形からより円板形状に圧縮されるが、それでも一連の10から20の隣接スライス画像に対しては実質的に均一な領域は充分なものである。
【0013】
しかし、磁石穴を短くするにあたっては問題が伴う。磁界はさらに非均一になりがちである。短穴磁石ではかなりの高位数調波歪みが本発明者により測定された。Z12調波は、相対的に強いことが分かっている。
【0014】
本発明は、上記問題を軽減する磁気共鳴装置およびその動作方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様によれば、被検体を収容する穴を有し、前記穴は直径および軸上の長さを有し、さらに、一時的に一定な不均質磁界を前記穴の中に軸状に生成するために前記穴を包囲する環状磁石と、前記穴の周りに配置され、前記穴内へ無線周波信号を送信し、前記穴から無線周波信号を受信するように位置づけられた無線周波コイルと、前記無線周波コイルと前記穴の間に配置されるセルフシールド傾斜コイル機構とを有し、前記セルフシールド傾斜コイル機構は、前記無線周波コイルと隣接して配置された小さい直径の主傾斜コイル機構および前記穴と隣接して配置された大きい直径の副傾斜コイル機構を含み、前記主および副傾斜コイル機構はその間にシムを収容する環状領域を限定し、さらに、前記穴内の磁界のシムを行うために前記シム収容環状領域内に前記穴の周囲に配置された複数の鉄シムとを有する磁気共鳴装置において、残留磁界を決定し、その際前記残留磁界は前記不均質磁界と所定の目標均質磁界との差に等しく、さらに前記複数のシムの調整を決定して前記残留磁界(磁界不均一性の目標値に対する差成分)の値の負数(マイナス符号の値)を生成するオプティマイザを特徴とする磁気共鳴装置が提供される。
【0016】
本装置は前記穴の軸上の長さに沿って前記シム収容環状領域内で縦方向に延びる複数のシムトレイを含み、該複数のシムトレイは前記シムを収容する複数のシムポケットを含むことが好ましい。
【0017】
上記の好ましい装置において、前記オプティマイザは前記複数のシムポケットの1/n群を選択する分配手段と、前記選択された1/nのシムポケットの各々に対して、前記残留磁界の値の負数(マイナス符号)の値を生成するために要される最適量のシム材料を計算する最適化手段(ここでnは1より大きい整数)とを含むことが好ましい。前記最適化手段はさらに、シム材料の無いシムポケットを無効にする零トラッピング回路を含んでもよく、前記無効のシムポケットは後続の最適化より除外される。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、不均質磁界をもつ超伝導磁石機構と、前記磁石機構の周囲に配置された複数のシムトレイと、前記複数のシムトレイの各々に配置された複数のシムポケットとを有し、前記複数のシムポケットは鉄材料を保持することが可能な磁気共鳴装置を動作する方法において、(a)残留磁界を決定し、該残留磁界は前記不均質磁界と前記目標磁界間の差に等しく、(b)前記複数のシムポケットからシムポケットの1/nセットを選択し、該シムポケットの1/nセットは前記磁石機構の周りに対称的に分配され(ここでnは1より大きい整数)、(c)前記シムポケットの1/nセットの各々に配置される鉄材料の量を決定して前記不均質磁界の目標磁界へのシムを行うために前記残留磁界の負数(マイナス符号)の値に接近するシム磁界を生成することで前記不均質磁界を前記目標磁界に最適化することを特徴とする磁気共鳴装置を動作する方法が提供される。
【0019】
前記工程(b)および(c)はn回実行され、各回で使用される前記シムポケット(84)の1/nは異なることが好ましい。
【0020】
前記工程(a)〜(c)は、前記不均質磁界を前記目標磁界に近づけるシムを行うためにシムポケット(84)の1/(n−1)セットにおいて繰り返されることが好ましい。
【0021】
本発明による一特定方法によれば、工程(b)で選択されたことにより、前記シムポケットの所定セットは除外される。この方法では、前記シムポケットに既に割り当てられた零量の前記鉄材料をもつシムポケットは、工程(b)で選択されたことにより除外される。
【0022】
本発明の1つの利点は、Z6よりも大きい調波のシムを容易にすることである。
【0023】
本発明の別の利点は、長穴磁石に匹敵する均一度を維持できる短穴磁石が可能となることである。
【0024】
【実施例】
次に添付図面を参照しながら、本発明による磁気共鳴装置およびその動作方法について説明する。
【0025】
図1を参照すると、医療診断の目的で患者を撮像するのに使用される装置は、中央患者収容穴12の縦軸、またはz軸に沿って一時的に一定の磁界を生成する複数の主磁石コイル10を含む。穴の全長と直径の比率は1.75:1、またはそれ以下で、好ましいのは1.67:1である。しかし、直径に類する長さをもつ短い磁石も考えられている。好ましい超伝導性の実施例では、主磁石コイル10は成形具14にサポートされ、トロイダルヘリウム管または缶16に収容される。管は液状ヘリウムで満たされ、主磁石コイルを超伝導温度に保つ。缶はジュワー真空体20にサポートされた1つ以上の冷却シールド18により包囲されている。
【0026】
全身傾斜コイル機構30は、穴12の周囲に設置されたx,yおよびz傾斜コイルを含む。好ましい実施例では、傾斜コイル機構は、誘電性の成形具34に入った主x,yおよびz傾斜コイル機構32と、ジュワー真空体20の穴決定シリンダ38上にサポートされた副またはシールド型の傾斜コイル機構36とを含むセルフシールド傾斜コイル機構である。主傾斜コイル入りの誘電成形具34は穴ライナとして機能でき、また、装飾穴ライナを挿入しての整列も可能である。
【0027】
主および副傾斜コイル機構は間隔を開けて設置され、その間に環状のシム収容空洞40を限定する。シム収容空洞40内には機械的サポート(図示せず)が延び、主傾斜コイル機構をサポートする。このサポートの円周方向の幅は、複数のシムトレイ44が実質的に並んで配置されるように最小限にされる。図示した実施例では、各々が24のポケットをもつ36のシムトレイが主傾斜コイル機構のシリンダ成形具34の外側の表面に設置されている。
【0028】
無線周波コイル42は主傾斜コイル内に設置される。銅メッシュ層等の無線周波シールド44は、無線周波コイルと傾斜コイル機構30間に設置される。
【0029】
磁界センサプローブ50は、穴12の中心軸に沿って脱着可能に確実に設置される中心シャフト52を含む。ステップモータ54等がシャフトを好ましくは10°のインクリメントで選択的に回転させる。シャフトは、24の磁界センサプローブ56をもつ。プローブは等しい軸間隔で配置され、半球または半楕円等の半容量に沿って配置される。半容量が選択され、磁界がシムにより最適となる画像領域の表面に沿ってプローブが配置されるようにする。磁界不均質のプロット計算における球形座標の使用を簡易化するためには、球形サンプリング容量が好ましい。
【0030】
好ましい実施例では、穴の直径と長さの比は約1.67:1である。しかし、本発明は他の幾何学による磁石にも適用可能であり、特に、磁界の均一性が制限される磁石にも適用できることを認識されたい。一般にZ12の補正では、穴の長さと直径の比が1.75:1またはそれ以下である磁石が予期されるかもしれない。しかし本発明は、Z6より大きい高位数調波内にかなりの磁界不均一をもつより長い穴の磁気共鳴コイルにも適用可能である。
【0031】
シム処理の開始点は、磁石10の磁界マップである。これは、一組の所定位置における磁界のz成分の一連の測定である。装置は、初期化装置または処理手順60により測定され、シムの磁界上の効果を決定する。測定62には、シムトレイの数、シムのサイズ、プロットパラメータ等のあらゆるパラメータが含まれる。一度入力磁界のプロットが行われると、初期化装置60は入力磁界プロットの不均質を実質的に減少させる鉄シムの初期分配をすぐに計算する。このために初期シム分配プロセッサ64は、ポケット毎に磁界調波を補正する双極子を系統的に導入して初期シム分配を展開する。このシム分配は、物理的にシムセット上に実行されるのではなく、オプティマイザまたは処理手順66の開始点である。シムポケットは初め空である。一般に、シムセット内のシム部分群はマスクにより個別に扱われる。マスクは、装置にシム群を有効的に除去させる機器である。他に、磁石のアプリオリ知識から予備的シムセットを挿入、配置して、磁界の不均質を開始時点から減少させてもよい。
【0032】
一度磁石に対する初期シム分配が決定されると、オプティマイザ66はこの情報を利用して磁界の均一度の最適化を開始する。オプティマイザ66は、磁界のサンプリング点をそれぞれ分析する。双極子の強度は変化し、すなわちコンピュータモデルによりシムが追加または除去され、それにより磁界のサンプリング点における正味磁界内の最小2乗変化が最小限化される。
【0033】
図2において、素磁石10の線(例えばz軸)に沿った磁界プロットの一例が示される。素磁界Bは小さい不均質磁界(p(z)が重畳された大きな定磁界B0の総計であり、これは明確にするため図2〜図4に誇張して示されている。大きな定磁界B0を不均質磁界p(z)に付加すると、素磁界Bが生成される。マイナス符号を付けた負数の不均質磁界−p(z)と等しいシム磁界s(z)を生成して(図3参照)これを全磁界に付加すると、定磁界B0と等しく均一な正味磁界が生成される(図4参照)。
【0034】
好ましい実施例では、調整される限範囲が、物理的に実現可能なシム構成で可能なように、そして必要とされる全ての範囲を得るように定められている。いずれのポケットにおいても最小量零、最大量所定max を与えられるので、最適化逐次近似によって、シムポケットyの中に既にシムスチール量yi はたくさんあることになる。従って、M位置における修正範囲の下限 は−yiであり、M位置における修正範囲の上限はSmax−yiである。そこで、最適化回路はいずれにおいても最適化逐次近似でスチールの追加はもちろん、除去の能力を有すことになる。
【0035】
図5、図6および図7を参照すると、受動シムセットは、シムトレイ開口40内に縦軸またはz軸と平行な方向で一端から入っていくトレイ装置80に基づいている。トレイ80は、穴12および磁石10と同心をなすシリンダ82上に配置される。トレイの角度位置は、x軸からの方位回転(0°〜360°)のφ座標により示される。シリンダ82の横断面図に示されるように、na総放射線およびnaのトレイ角度位置が存在する。トレイ80は最小角座標(0°を含む)1から最大角座標(最大角は360°未満)をもつトレイnaまで順に番号を付けられる。
【0036】
各トレイ80には、スチールシートシムの小山を収容できるポケットをもつ一組のnzのz座標位置がある。これらのz位置84は、シムトレイ80各々において同一である。従って、シムポケットアレイ84はnzリング上の特定されたz位置にあり、各リングはシムが配置されるna角位置のセットを同じようにもつと考えると便利である。各々のシムポケット84は空(零という)でもよいし、またそこに最大Smaxまでの指定量のシムスチール(シムセットという)を有 してもよい。しかし、この最大量はシムポケットの物理的容量により制限される。
【0037】
オプティマイザ66は、磁石の中心の周りに適度に対称的な方式で受動(パッシブ)シムをポケット84内に分配する。前にシムを行った磁石の平均シムパターンを初期分布として使用してもよい。その場合、実質的な計算時間が節約され、また受動シム処理における蓄積要求も少なくなる。構成として好ましいのは全部で864のシムポケットをもつシムトレイ80だが、それ以上またはそれ以下のポケット数も考えられている。
【0038】
オプティマイザ66は、最小2乗公式を用いてシムポケットを処理する。しかし、目標とする磁界は完全に均一でなくてもよい。最小2乗公式では、磁界プロットの各点の目標値からの偏差を利用して残留値を決定する。目標値は予め設定でき、零である必要はなく、零以外の小さい値であることが好ましい。これにより、磁界に存在する低位数傾斜補正するために、系統立てた処理を行うことなしに予期され高位数傾斜を、本来の磁気設計で可能にする。そして、シムスチールが撮像容量に近接するときに特に有益な効果が得られ、スチールは磁界の高位数調波に大きな影響を与えることができる。目標磁界を設定することにより、高位数のシミングと低位数のシミングをする、それらの優先度を決めることができる。
【0039】
目標関数Fは次式で得られる。
【0040】
【数1】
Figure 0003707117
【0041】
ここで、
【0042】
【数2】
Figure 0003707117
【0043】
および、
【0044】
f=wf(vf+bf−tf) …(3)
【0045】
Fは関数hfの2乗の平均の2乗根であり、ここでfは磁界が磁界点の数の1 からnfまでに渡って最適化される磁界点を表す指数である。磁界点の位置については、所望の均一容量の形状により球形上にあったりなかったりする。
【0046】
変数wfは各磁界点における一組の加重関数を表しており、これによりプロッ トの選択部分において他の部分によりシムが選択的に加重される。
【0047】
変数vfは点fにおける最後の測定磁界を表す。vfはシムのない(素磁石) 点fにおける磁界を含むだけでなく、前の最適化反復より既に存在するシムによる点fにおける磁界も含む。
【0048】
変数bfは、シムの点fにおける現在値からの全変化の総効果を表す。bfの 関数形態は次の通りである。
【0049】
【数3】
Figure 0003707117
【0050】
指数iは全ての可変シムを表し、yiはシムiの電位変化を表す。感度行列S ifは磁界点fにおけるシムiの単位変化の効果を表す。Sif行列は、シム位置mと磁界点f間の幾何学的関係および磁石と磁石内に配置されたときのシムの単位サイズに誘導された双極子モーメントの大きさを決定するシムの各タイプに対して実験上確立された定関数に基づいている。
【0051】
変数tfは、点fにおける所望の目標磁界値を表す。これは例えば、磁界を磁 石設計本来の高位数係数の経過範囲により計算することで確立される。式(1)〜(4)が与えられ、wf、vf、tfおよび感度行列Sの各値が確立されると 、シムyiへの全変化に対して目標関数Fの数値を求めるのに必要な情報全てが 用意されたことになる。
【0052】
図1を再度参照すると、全ての最適化段階において、シムの部分群が次の最適化反復に含まれるように分配器90により選択される。全てのシムポケットを同時に最適化するには長い時間がかかり、またその場合最適に収れんされない。従って、シムポケットは総数の1/nの等しい群で最適化され、ここでnは整数で、6以下であることが好ましい。
【0053】
例えば、オプティマイザ92は1/6でシム配置ポケットの最適化を開始する。720ある全シム位置のうち、1/6または120のシム位置が選択され、磁石の周囲に均等に分配される。この120の変数またはサンプリング点はオプティマイザ92に提示され、この位置へのシムの分配により目標関数が最小限化される。ここには各位置におけるシムの追加または除去も含まれる。目標関数は、サンプリング点における正味磁界の最小限化された最小2乗変化である。それからシム位置の第2の1/6群が選択され、これらは目標関数をさらに引き下げるために変化され得る。この処理は1/6シム位置の6つの群全てが順番に最適化されるまで繰り返される。これにより、全てのシム位置がどこかの段階で変化する機会を与えられることが確実となる。全変数を小部分ごとに一度に最適化することにより、処理が迅速に実行され、目標関数を最小限化するための暫定的解決が生まれる。
【0054】
オプティマイザ92は、例えば1/5、1/4、1/3等、より大きな分数によるシムの最適化を継続し、その都度、与えられた時間内に変化できる変数の数を増加させる。しかし、一度変数の数が約400〜500に到達すると、最適化は収れんしなかったりする。この状況下で、オプティマイザ66は零トラッピング処理または装置94を実行して零シムのトラップ、すなわち空のポケットを空に保つ。零トラッピングはオンになっているかまたはオフになっているかのどちらかである。選択されたシム変数に対して零トラッピングがオンである場合、零であるシムポケット(シム材料なし)は全て自動的に最適化から除外される。つまり、各々の零シムは零に維持される。零トラッピングによる有益点は、1つ不足した変数をオプティマイザ92が考慮し、それによりより良い迅速な収れんが得られることである。
【0055】
零トラッピングをオンにした最適化はオフにした場合よりも一般的ではなく、これは、シムは前段階の最適化においてトラッピングされた後は零から離れることができないからである。従って、零トラッピングは後段階の最適化、好ましくは1/2以上の群での最適化まで実行されない。零トラッピングは、最適化反復中、当業者が所望する利益を得るためにいつでも実行してもよいことを認識されたい。
【0056】
他の実施例ではオプティマイザ66目標関数を可能な限引き下げる場合には、各シムの最適化されたシム値は有効スチールの内で最も近接した最小単位サイズに概数で定める。これは段階的に実行され、磁石の中心に最も近接したシムが最初に概数で定める。通常これにより最適磁界から多少の偏差が導入されるため、均一性を回復するために残っているシムの最適化が再度実行される。その後中心より離れた次の群が概数で定められ、残ったものが再度最適化を受ける。この処理は、全てのシムが整数単位のスチールに概数で定められるまで繰り返される。この各シムポケットのスチール予測は、その後磁石内に物理的に配置される。
【0057】
各最適化後、処理96は最小2乗適合等を用いて測定磁界と目標磁界間の偏差をチェックする。この適合に基づいて、処理96は他の最適化処理を開始するかまたは最適化処理を終了する。
【0058】
一度磁界が仕様に近づくと、オプティマイザは処理を停止し、ユーザにシムポケットの現在値からの最大変化を指定させる。同じようなシム解決は多数存在するため、この段階により、現存のシム設定を妨害してエラーにより効果の改善が妨げられてしまうような解決法が避けられるのである。現存の設置にひとひねり加えるだけで、均一性が仕様に導かれることになる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、Z6よりも大きい調波のシムを容易にし、長穴磁石に匹敵する均一度を維持できる短穴磁石が可能となる磁気共鳴装置およびその動作方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁気共鳴装置の概略図である。
【図2】本発明による装置の磁界グラフである。
【図3】本発明による装置の磁界グラフである。
【図4】本発明による装置の磁界グラフである。
【図5】本発明による装置のシムトレイおよびシムポケットを示す図である。
【図6】本発明による装置のシムトレイおよびシムポケットを示す図である。
【図7】本発明による装置のシムトレイおよびシムポケットを示す図である。
【符号の説明】
10 主磁石コイル
12 中央穴
14 成形具
16 トロイダルヘリウム管
18 冷却シールド
20 ジュワー真空体
30 全身傾斜コイル機構
32 主傾斜コイル機構
34 誘電成形具
36 副傾斜コイル機構
38 穴限定シリンダ
40 シム収容空洞
42 無線周波コイル
44 無線周波シールド
50 磁界センサプローブ
52 中心シャフト
54 ステップモータ
56 24の磁界センサプローブ
60 初期化処理
62 測定
64 初期シム分配器
66 最適化処理
80 シムトレイ
82 シリンダ
84 シムポケット
90 分配器
92 オプティマイザ
94 零トラッピング処理
96 ラウンド・最適化処理

Claims (8)

  1. 被検体を収容する穴(12)
    前記穴(12)は直径および軸上の長さを有し、さらに、一時的に一定な不均質磁界を前記穴(12)の中に軸状に生成するために前記穴(12)を包囲する環状磁石(10)と、
    前記穴(12)の周りに配置され、前記穴(12)内へ無線周波信号を送信し、前記穴(12)から無線周波信号を受信するように位置づけられた無線周波コイル(42)と、
    前記無線周波コイル(42)と前記穴(12)の間に配置されるセルフシールド傾斜コイル機構(30)とを有し、
    前記セルフシールド傾斜コイル機構は、前記無線周波コイル(42)と隣接して配置された小さい直径の主傾斜コイル機構(32)および前記穴(12)と隣接して配置された大きい直径の副傾斜コイル機構(36)を含み、前記主および副傾斜コイル機構(32、36)その間にシムを収容する環状領域(40)を限定し、さらに、前記穴(12)内の磁界のシムを行うために前記シム収容環状領域(40)内に前記穴(12)の周囲に配置された複数の鉄シム有する磁気共鳴装置において、
    記不均質磁界と所定の目標均質磁界との差に等しい残留磁界の値の決定と、前記残留磁界の負数の値にするシム磁界を生成するように、複数の前記シムを調整する決定とを成すオプティマイザ(66)と、
    前記シムを収容する複数のシムポケット(84)を配置したシムトレイ(80)であって、前記穴(12)の軸上の長さに沿って、前記シム収容環状領域(40)内で縦方向に延びる複数のシムトレイ(80)と、
    を備えて、
    前記オプティマイザ(66)は、nが 1 より大きな整数であることを条件として、
    前記複数のシムポケット(84)の1/n群を選択する分配手段(90)と、
    前記選択された1/nのシムポケット(84)の各々に対して、前記残留磁界値の負数の値を生成するために要される最適量のシム材料を計算する最適化手段(92)と、
    を有することを特徴とする磁気共鳴装置。
  2. 前記最適化手段(92)はム材料が無いシムポケットを無効にする零トラッピング回路(94)を含み、前記無効のシムポケットは後続の最適化より除外される請求項に記載の磁気共鳴装置。
  3. 不均質磁界をもつ超伝導磁石機構(10)と、
    前記磁石機構(10)の周囲に配置された複数のシムトレイ(80)と、
    前記複数のシムトレイ(80)の各々に配置された複数のシムポケット(84)とを有し、
    前記複数のシムポケット(84)は鉄材料を保持することが可能な磁気共鳴装置を動作する方法において、
    (a)記不均質磁界と所定の目標均質磁界との差に等しい残留磁界の値の決定と、
    (b)前記複数のシムポケット(84)からシムポケット(84)の1/nセットを選択し、前記シムポケット(84)の1/nセットは前記磁石機構の周りに対称的に分配され(ここでnは1より大きい整数)、
    (c)前記シムポケット(84)の1/nセットの各々に配置される鉄材料の量を決定して前記不均質磁界の前記目標均質磁界へのシムを行うために前記残留磁界値の負数の値に接近するシム磁界を生成することで前記不均質磁界を前記目標均質磁界に最適化することを特徴とする磁気共鳴装置を動作する方法。
  4. 前記工程(b)および(c)はn回実行され、各回で使用される前記シムポケット(84)の1/nセットは各回毎で異なる請求項記載の磁気共鳴装置を動作する方法。
  5. 前記工程(a)〜(c)は、前記不均質磁界を前記目標均質磁界に近づけるシムを行うためにシムポケット(84)の1/(n−1)セット繰り返される請求項または記載の磁気共鳴装置を動作する方法。
  6. 前記工程(b)で選択されたことにより、前記シムポケットの所定セットは除外される請求項からのいずれかに記載の磁気共鳴装置を動作する方法。
  7. 前記シムポケットに既に割り当てられた零量の前記鉄材料をもつシムポケットは、前記工程(b)で選択されたことにより除外される請求項に記載の磁気共鳴装置を動作する方法。
  8. 前記シムポケット(84)の1/nセットの各々への配置が決定された鉄材料の量は所定量に概数で定めて、そして、前記シムポケット(84)に配置される鉄材料の量は前記工程(a)〜(c)を繰り返すことにより再最適化を受ける請求項からのいずれかに記載の磁気共鳴装置を動作する方法。
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