JP3705640B2 - 水系ウレタン樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水系ウレタン樹脂組成物に関し、詳しくは、特定の組成のポリオール成分を用いることにより、基材への密着性、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、耐熱性、防食性等に優れる水系ウレタン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ウレタン樹脂は、塗料、接着剤等に用いられる他、紙、繊維、織物、不織布等の加工剤、ガラス繊維の集束剤、モルタル改質剤等として広く用いられている。従来、これらの用途では、有機溶剤に溶解した溶剤系ワニスとして使用されていたが、この溶剤系のワニスには、有機溶剤の毒性、火災の危険性、環境汚染性等の欠点があるため、近年では有機溶剤に代えて水を用い、ウレタン樹脂を水に乳化分散させた水系ウレタン樹脂組成物が用いられるようになりつつある。
【0003】
しかしながら、このような水系ウレタン樹脂組成物には、造膜性、伸び、耐摩耗性、耐寒性に優れる反面、強度、密着性、耐薬品性等が不十分である欠点があった。
【0004】
特に、各種家電製品、事務機器、家具、建築外装材等の金属製品には、金属板に予め塗料を塗布した後に成形加工が行われる場合があるが、塗膜形成後に用途に応じた形状に成形加工されるため、折り曲げ、ロール成形、エンボスプレス、絞り加工等の成形加工に耐える十分な可撓性と金属面に対する接着力を保持することが要求され、また、成形後の製品は、その最終用途に応じて、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、耐熱性、防食性等が必要とされるが、従来の水系ウレタン樹脂組成物ではこれらの要求を満足させることは極めて困難であった。
【0005】
このため、水系ウレタン樹脂の組成を変化させることによって被塗布物との密着性を向上させ、また、耐水性、耐薬品性、防食性等を改善しようとする試みもなされている。
【0006】
例えば、特開昭62−246972号公報には、3官能以上のポリオールおよび/または多価アミン化合物を用いて分岐度を高めた水系ウレタン樹脂に中性ないし塩基性の体質顔料を配合することが提案されているが、この方法による改善効果は不十分であり、実用上満足しえるものではなかった。また、特開平2−269723号公報には、上記分岐度を高めた水系ウレタン樹脂の特性を改善するために、ポリイソシアネート化合物として水との反応性の大きい芳香族ポリイソシアネートと水との反応性の小さい脂肪族または脂環族ポリイソシアネートを併用することが提案されているが、塗膜の強度が大きくなる反面、可撓性が小さくなる欠点があり、実用上満足できるものではなかった。
【0007】
また、特開平6−172637号公報には、ポリオールとして塩素化されたポリオールを用いることによって被塗布物、特にプラスチックとの密着性を改善することが記載されているが、防食性が不十分であり、金属材料に適用するには満足できるものではなかった。
【0008】
また、特開平2−255819号公報には、硬質ウレタンフォームを製造するために用いられるポリオールとして、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物とポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールとを併用することが記載されているが、このようなポリオールの組み合わせを水系ウレタンの製造に用いることについては示唆すらされていない。
【0009】
従って、本発明の目的は、造膜性、伸び、耐摩耗性、耐寒性、強度、基材との密着性、防食性に優れ、かつ作業環境性の優れた水系ウレタン樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、種々検討を重ねた結果、ポリエステルポリオールおよびビスフェノール骨格を含有するジオール化合物を特定量使用した特定のポリオール化合物を、水系ウレタン樹脂の形成に用いることによって、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0011】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、平均分子量200以上の高分子量ポリオール化合物、鎖延長剤および有機ポリイソシアネート化合物から製造されたウレタン樹脂が水に乳化分散されている水系ウレタン樹脂組成物において、
上記高分子量ポリオール化合物として、・低分子量ポリオールと多価カルボン酸又は炭酸とから得られる末端に水酸基を有するポリエステルポリオール40〜85重量%、・下記〔化2〕(前記〔化1〕と同じ)の一般式(I)で表されるビスフェノール骨格含有ジオール15〜50重量%および・その他の高分子量ポリオール化合物0〜45重量%からなる高分子量ポリオール化合物の混合物を用い、上記鎖延長剤として、3官能以上のポリオールまたは3官能以上のポリアミンを用いたことを特徴とする水系ウレタン樹脂組成物を提供するものである。
【0012】
【化2】
Figure 0003705640
(式中、R1およびR2は各々水素原子または炭素原子数1〜3の低級アルキル基を示し、Aは炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、mおよびnは各々1〜20を示す。)
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の水系ウレタン樹脂組成物について詳述する。
【0014】
本発明の水系ウレタン樹脂組成物は、周知の方法で製造でき、例えば、(1)上記▲1▼の低分子量ポリオールと多価カルボン酸又は炭酸とから得られる末端に水酸基を有するポリエステルポリオールおよび上記▲2▼の一般式(I)で表されるビスフェノール骨格含有ジオールを含む平均分子量200以上の高分子量ポリオール化合物(以下、単に「高分子量ポリオール化合物」ともいう)と有機ポリイソシアネート化合物とを、鎖延長剤とともに、反応に不活性で水との親和性の大きい溶媒中でウレタン化反応させてプレポリマーとし、このプレポリマーを必要に応じて乳化剤の存在下に水に分散させる方法、(2)上記(1)の方法において、鎖延長剤の一部として分子中にカルボキシル基を有する低分子量ポリオール化合物を用い、このカルボキシル基を中和して自己乳化分散性を付与したプレポリマーを水に分散させる方法があげられる。また、上記(1)および(2)の方法において、鎖延長剤は任意の段階で使用することができ、プレポリマーを製造する段階で用いるばかりでなく、分散させる水中に予め鎖延長剤を溶解し、プレポリマーの分散と鎖延長を同時に行わせる方法を採用することもできる。
【0015】
これらの方法の中でも、特に、(2)の方法は、乳化剤を使用する必要がないので工程が簡便となるばかりでなく、塗膜中に残存する乳化剤による悪影響のおそれがなくなるので好ましい。
【0016】
本発明の水系ウレタン樹脂組成物を製造するために使用される、高分子量ポリオール化合物の平均分子量は200以上であるが、好ましくは200〜10000、特に好ましくは300〜5000である。該平均分子量が200未満の場合は柔軟性が乏しくなり基体への密着性および伸びが低下する欠点があり、また、10000を超える場合は高粘度となり取扱が困難となるばかりでなく、強度や耐溶剤性が低下する傾向にある。
【0017】
上記高分子量ポリオール化合物は、前記・のポリエステルポリオールを該高分子量ポリオール化合物の合計量に対して40〜85重量%含有し、前記・のビスフェノール骨格含有ジオールを該高分子量ポリオール化合物の合計量に対して15〜50重量%含有することを要件とするものである。
【0018】
ここで、上記ポリエステルポリオールの含有量が30重量%未満の場合には塗膜の伸びが不十分となったり耐溶剤性が不十分となり、また、95重量%を超えるとビスフェノール骨格含有オールの含有量が少なくなりすぎるために防食性が不十分となる。また、上記ビスフェノール骨格含有ジオールの含有量が5重量%未満の場合は防食性が不十分となり、また、70重量%を超えた場合には塗膜の伸びが不十分となったり、耐溶剤性が不十分となる。
【0019】
上記ポリエステルポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、3−メチルペンタンジオール、ヘキサメチレングリコール、水添ビスフェノールA、トリメチロールプロパン等の低分子量ポリオールと、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の多価カルボン酸との縮合物、又は上記低分子量ポリオールと炭酸との縮合物(例えば、ポリカーボネートポリオール)であり、特に、該多価カルボン酸の全部または一部としてフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸を用いた場合に、塗膜物性に優れる水系ウレタン樹脂が得られるので好ましい。
【0020】
また、上記一般式(I)で表されるビスフェノール骨格含有ジオールは、メチレンビスフェノール、エチリデンビスフェノール、ブチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール等のR1およびR2が各々水素原子または低級アルキル基であるビスフェノールに炭素原子数2〜4のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)を付加する周知の方法により製造されるものであり、mおよびnで表されるアルキレンオキサイドの付加モル数が1〜20、好ましくは1〜10のものを用いる必要がある。ここで、mおよびnが20を超える場合は、上記ジオールの分子量が過大となるため高粘度となり取扱いが困難なばかりでなく、防食性の改善効果が不十分となる。
【0021】
本発明においては、上記高分子量ポリオール化合物として、上記ポリエステルポリオールおよび上記ビスフェノール骨格含有ジオールの他に、前記・のその他の高分子量ポリオール化合物を含有することが可能であり、該その他の高分子量ポリオール化合物としては、例えば、前記のポリエステルポリオールの製造に用いた前記低分子量ポリオールのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド高付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/プロピレングリコール等のポリエーテルポリオールがあげられる。上記その他の高分子量ポリオール化合物の含有量は、上記高分子量ポリオール化合物の合計量に対して0〜45重量%であることが必要である。
【0022】
また、本発明の水系ウレタン樹脂組成物を製造するために使用される鎖延長剤としては、3官能以上のポリオールまたは3官能以上のポリアミンの他、通常用いられる鎖延長剤が用いられ、例えば、平均分子量200未満の低分子量ポリオール化合物および低分子量ポリアミン化合物があげられる。
【0023】
上記低分子量ポリオール化合物としては、前記ポリエステルポリオールの製造に用いられる前記低分子量ポリオールや、分子中にカルボキシル基を有する低分子量ポリオール化合物があげられ、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等を用いることができる。特に、前述のように、自己乳化分散性を付与したプレポリマーを水に分散させて自己乳化型の水系ウレタン樹脂組成物を調製する場合は、上記鎖延長剤の一部として、該分子中にカルボキシル基を有する低分子量ポリオール化合物を用いることが好ましい。この場合、該分子中にカルボキシル基を有する低分子量ポリオール化合物は、前記高分子量ポリオール化合物に対して好ましくは5〜50重量%、更に好ましくは5〜30重量%が用いられ、5重量%未満の場合は自己乳化性が不十分となり、また、50重量%を超えて用いると伸び等の物性を低下させるおそれがある。
【0024】
また、上記の分子中にカルボキシル基を有する低分子量ポリオール化合物を用いた場合には、プレポリマーの製造時または製造後に中和剤によって中和することによって自己乳化性とすることができるが、この中和剤としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基があげられ、これらはカルボキシル基を中和するに十分な量が用いられる。
【0025】
また、上記鎖延長剤として用いられる上記低分子量ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、メラミン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジドなどがあげられる。上記分子中にカルボキシル基を有する低分子量ポリオール化合物以外の鎖延長剤の使用量は、目的とするウレタン樹脂の分子量にもよるが、通常は、ウレタン樹脂を構成する全成分に対して0.5〜10重量%が用いられる。
【0027】
ここで、上記3官能以上のポリオールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン等があげられ、また、上記3官能以上のポリアミンとしては、例えば、メラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリ(アミノメチル)プロパン等があげられる。
【0028】
次に、本発明の水系ウレタン樹脂組成物を製造するために使用される有機ポリイソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環式および芳香族ポリイソシアネート化合物があげられ、具体的には、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステル、水添キシリレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等があげられるが、これらの中でも、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステル、水添キシリレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ポリイソシアネート化合物を用いた場合に、耐薬品性、防食性等だけではなく、耐候性に優れた被膜が得られるので好ましい。
【0029】
上記有機ポリイソシアネート化合物は、前述の高分子量ポリオール化合物および鎖延長剤の活性水素の合計に対し、通常0.5〜2倍当量、好ましくは0.8〜1.5倍当量となるように使用される。該有機ポリイソシアネート化合物の使用量が0.5倍当量未満の場合にはウレタン樹脂の分子量が小さくなりすぎ、また、2倍当量を超えると水に分散させたときに水との反応により尿素結合が過剰に生成してその特性を低下させるおそれがある。
【0030】
また、前記プレポリマーを製造する際に用いられる溶媒としては、反応に不活性で水との親和性の大きい有機溶媒が好ましく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル等があげられ、これらの溶媒は、通常、プレポリマーを製造するために用いられる上記原料に対して、10〜100重量%が用いられる。
【0031】
上述のようにして得られた本発明の水系ウレタン樹脂組成物は、通常、樹脂固形分が5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%となるように調整される。該固形分が5重量%未満の場合には水を多量に含有するため乾燥に長時間を要することとなり、また、80重量%を超えると高粘度となり取扱いが困難となる傾向にある。
【0032】
本発明の水系ウレタン樹脂組成物に、水系エポキシ樹脂、水系アミノ樹脂、ブロック化イソシアネート等の架橋剤を併用することにより、強度、耐薬品性、防食性等をさらに向上させることもできる。
【0033】
また、本発明の水系ウレタン樹脂組成物には、必要に応じて、フェノール系抗酸化剤、有機ホスファイトもしくはホスホナイトなどの有機リン系抗酸化剤、チオエーテル系抗酸化剤、紫外線吸収剤、またはヒンダードアミン化合物などの光安定剤を加えることができる。
【0034】
上記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン−ビス〔β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられる。
【0035】
また、上記有機リン系抗酸化剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(モノおよびジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタントリホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクタデシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10ホスファフェナンスレン−10−オキシドなどがあげられる。
【0036】
また、上記チオエーテル系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステルなどのジアルキルチオジプロピオネート類およびペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)などのポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類などがあげられる。
【0037】
また、上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)などの2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステルなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリドなどの置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどのシアノアクリレート類などがあげられる。
【0038】
また、上記ヒンダードアミン化合物などの光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラテス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラエチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカンなどのヒンダードアミン化合物があげられる。
【0039】
また、本発明の水系ウレタン樹脂組成物には、目的に応じて、着色剤、ワックス類、防腐剤、消泡剤、可塑剤、フィラー、溶剤、造膜助剤、分散剤、増粘剤、香料等の慣用の添加物を加えることもできる。
【0040】
上述のようにして得られた本発明の水系ウレタン樹脂組成物は、常温乾燥によるだけで、密着性、防食性、各種の機械物性に優れたポリウレタン皮膜を形成することができ、さらに、前記の架橋剤を併用した場合においても常温ないしは僅かの加熱により架橋反応させて、より、特性の優れたポリウレタン皮膜を形成することができる。
【0041】
本発明の水系ウレタン樹脂組成物は、上記の特徴を有するため、繊維、編物、織物、不織布、木、紙、皮革、金属、ガラス、プラスチック等の含浸、コーティング、塗料、接着剤、インキ用ビヒクル等として利用することができる。特に、本発明の水系ウレタン樹脂組成物は、基材への密着性、防食性に優れる特徴を有しているので、金属用塗料として用いるのに好適である。
【0042】
さらに、本発明の水系ウレタン樹脂組成物は、他の水系樹脂エマルジョン、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂等の合成樹脂エマルジョンおよび天然ゴム、SBR、NBR等のゴムラテックスとの相溶性が良好であり、これらの改質剤としても有用である。
【0043】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例によって制限を受けるものではない。尚、実施例および比較例における部は特にことわりのないかぎり重量部を表す。
【0044】
実施例1
多価カルボン酸成分としてイソフタル酸/アジピン酸(モル比1/1)を用い、低分子量ポリオール成分として1,6−ヘキサンジオールを用いて得られた末端に水酸基を有する平均分子量2000のポリエステルポリオール100部、平均分子量660のビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物50部、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸15部およびメラミン5部をとり、90℃に昇温して内容物を溶解させた。次いで、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート110部およびN−メチル−2−ピロリドン110部をとり、最高120℃まで加熱して5時間攪拌してイソシアネート含有率2.5%のプレポリマーを製造し、ここにトリエチルアミン14部を加えて中和した。
【0045】
エチレンジアミン3部、アジピン酸ジヒドラジド3部を溶解した脱イオン水543部を40℃に加熱し、この温度を保ちながら、これに上記プレポリマーを滴下することによって、固形分濃度30重量%の水系ウレタン樹脂組成物を得た。
【0046】
実施例2
ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物として、平均分子量360のビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物27部を用いるほかは実施例1と同様の操作により、固形分濃度29重量%の水系ウレタン樹脂組成物を得た。
【0047】
実施例3
ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物として、平均分子量580のビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物44部を用いるほかは実施例1と同様の操作により、固形分濃度30重量%の水系ウレタン樹脂組成物を得た。
【0048】
実施例4
ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物として、平均分子量1000のビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物76部を用いるほかは実施例1と同様の操作により、固形分濃度32重量%の水系ウレタン樹脂組成物を得た。
【0049】
実施例5
メラミンに代えてトリメチロールプロパンを用いるほかは実施例1と同様の操作により、固形分濃度30重量%の水系ウレタン樹脂組成物を得た。
【0050】
実施例6
平均分子量2000のポリエステルポリオール100部に代えて同一組成で平均分子量1000のポリエステルポリオール50部を用いるほかは実施例1と同様の操作により、固形分濃度27重量%の水系ウレタン樹脂組成物を得た。
【0051】
実施例7
平均分子量2000のポリエステルポリオール100部に代えて同一組成で平均分子量1500のポリエステルポリオール75部を用いるほかは実施例1と同様の操作により、固形分濃度29重量%の水系ウレタン樹脂組成物を得た。
【0052】
実施例8
ポリエステルポリオールとして、多価カルボン酸成分にイソフタル酸/アジピン酸(モル比8/2)を用い、低分子量ポリオール成分に1,6−ヘキサンジオールを用いて得られた末端に水酸基を有する平均分子量2000のポリエステルポリオールを用いるほかは実施例1と同様の操作により、固形分濃度30重量%の水系ウレタン樹脂組成物を得た。
【0053】
実施例9
ポリエステルポリオールの使用量を150部とし、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物の使用量を33部とするほかは実施例1と同様の操作により、固形分濃度32重量%の水系ウレタン樹脂組成物を得た。
【0054】
実施例10
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート110部に代えて、イソフォロンジイソシアネート93部を用いるほかは実施例1と同様の操作により、固形分濃度30重量%の水系ウレタン樹脂組成物を得た。
【0055】
比較例1
ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物に代えて、平均分子量700のポリプロピレングリコール53部を用いる他は実施例1と同様の操作により、固形分濃度30重量%の水系ウレタン樹脂組成物を得た。
【0056】
比較例2
ポリエステルポリオールに代えて平均分子量2000のポリプロピレングリコールを用いる他は実施例1と同様の操作により、固形分濃度30重量%の水系ウレタン樹脂組成物を得た。
【0057】
使用例
リン酸亜鉛処理を施した鋼板に実施例1〜10および比較例1〜2で得られた水系ウレタン樹脂組成物を、乾燥膜厚が25μmとなるように塗布して塗膜を形成させた後、下記の通り、耐食性、密着性、耐溶剤性の試験を行った。それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0058】
耐食性:JIS−Z−2731による塩水噴霧試験を200時間行い、錆の発生状況を観察した。
Figure 0003705640
【0059】
密着性:沸騰水に2時間浸漬後ゴバン目剥離試験を行い、塗膜の剥離状態を観察した。
Figure 0003705640
【0060】
耐溶剤性:酢酸エチル/トルエン混合溶媒に24時間浸漬後の塗膜の表面状態を観察した。
Figure 0003705640
【0061】
【表1】
Figure 0003705640
【0062】
上記〔表1〕の結果から以下のことが明らかである。
高分子量ポリオール化合物として、ビスフェノール骨格含有ジオール(ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物)に代えてポリエーテルポリオールを用いた場合(比較例1)は、全ての試験項目、特に耐食性が著しく劣り、また、ポリエステルポリオールに代えてポリエーテルポリオールを用いた場合(比較例2)は、特に密着性に著しく劣っており実用上全く不満足である。
これに対し、高分子量ポリオール化合物として、ポリエステルポリオールおよびビスフェノール骨格含有ジオール(ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物)を用いた本発明の水系ウレタン樹脂組成物(実施例1〜10)は、耐食性、密着性および耐溶剤性の全ての試験項目において極めて優れた特性を示している。
【0063】
【発明の効果】
本発明の水系ウレタン樹脂組成物は、耐食性、密着性および耐溶剤性の優れた塗膜を与えることのできるものである。

Claims (4)

  1. 平均分子量200以上の高分子量ポリオール化合物、鎖延長剤および有機ポリイソシアネート化合物から製造されたウレタン樹脂が水に乳化分散されている水系ウレタン樹脂組成物において、
    上記高分子量ポリオール化合物として、・低分子量ポリオールと多価カルボン酸又は炭酸とから得られる末端に水酸基を有するポリエステルポリオール40〜85重量%、・下記〔化1〕の一般式(I)で表されるビスフェノール骨格含有ジオール15〜50重量%および・その他の高分子量ポリオール化合物0〜45重量%からなる高分子量ポリオール化合物の混合物を用い、上記鎖延長剤として、3官能以上のポリオールまたは3官能以上のポリアミンを用いたことを特徴とする水系ウレタン樹脂組成物。
    Figure 0003705640
    (式中、R1およびR2は各々水素原子または炭素原子数1〜3の低級アルキル基を示し、Aは炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、mおよびnは各々1〜20を示す。)
  2. 上記多価カルボン酸の一部または全部が、芳香族多価カルボン酸である請求項1記載の水系ウレタン樹脂組成物。
  3. 上記鎖延長剤が、分子中にカルボキシル基を有する低分子量ポリオール化合物を含む請求項1または2記載の水系ウレタン樹脂組成物。
  4. 上記有機ポリイソシアネート化合物が、脂肪族または脂環式ポリイソシアネート化合物である請求項1〜3の何れかに記載の水系ウレタン樹脂組成物。
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