JP3705479B2 - 継ぎ目無し管の圧延制御方法及び圧延装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マンドレルミルにおいて、管肉厚及び管長さを所望の値に圧延する継ぎ目無し管の圧延制御方法及び圧延装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2は、マンネスマン−マンドレルミル方式による継ぎ目無し鋼管の製造方法を示す説明図である。図2に示すように、継ぎ目無し鋼管の製造に際しては、まずビレット51を、加熱炉52で1200〜1300℃まで加熱する。次に、加熱されたビレット51をピアサー53で穿孔圧延して中空素管54とする。この中空素管54に芯金棒55(以降、芯金棒55をマンドレルバーという)を挿入し、マンドレルミル56で延伸圧延して管肉厚を調整する。その後マンドレルバー55を抽出し、サイザー又はストレッチレデューサー等の絞り圧延機57で管を所定の径に成形し、製品寸法に仕上げる。マンドレルミル56では、複数個のスタンド#1,…,#Nにおいて、中空素管54を外側から孔型ロール58で、内側からマンドレルバー55でそれぞれ拘束し、圧延方向に垂直な面内で90°ずつ交差した部分の肉厚を交互に圧延する。
【0003】
ここで、マンドレルミル56の各スタンドのうち、素管54の各部位を圧延する最終のスタンド(つまり、当該スタンドの孔型の溝底部で圧延された素管の部位がそれ以降のマンドレルミル56のどのスタンドでも圧延されない場合)は、一般に、マンドレルミルの仕上げスタンドと称されている。
【0004】
マンドレルミル56で所定の肉厚を得るには、マンドレルミル56の仕上げスタンドの孔型ロール58の孔型溝底径と、使用するマンドレルバー55の外径とにより幾何学的に決定される間隔(ロールギャップ)によって肉厚が決まるため、マンドレルミル56の仕上げスタンドの孔型ロール58の孔型溝底径とマンドレルバー55の外径とを一義的に決定する必要がある。したがって、継ぎ目無し鋼管の仕上げ肉厚が異なる場合には、それに応じて別のマンドレルバー55に交換する等、その都度径の異なるマンドレルバー55を使用する必要がある。これは、溝底径の異なる孔型ロール58に交換するよりも、マンドレルバー55を交換する方が容易なためである。
【0005】
しかしながら、製造するすべての肉厚に対応するマンドレルバー55を準備することは、マンドレルバー55の置き場の確保や製造コストの観点から現実的ではない。そこで、マンドレルバー55の製造コストが比較的安い小径管の場合には、マンドレルミル56では例えば肉厚0.5mmピッチで管を製造し、後続する絞り圧延機で管肉厚を微調整することにより、所望の肉厚にすることがなされている。一方、マンドレルバー55の製造コストが高い中径管や大径管では、マンドレルミル56で製造する肉厚のピッチをさらに大きくする必要があり、絞り圧延機での調整可能範囲を超えるピッチになる。そこで、製造の対象となる管寸法のうち、微小に異なる複数の肉厚に対しては同一のマンドレルバー55を使用し、マンドレルミル56のロールギャップを変更することにより孔型溝底間距離を調整して製造する方法が提案されている。
【0006】
従来、マンドレルミルのロールギャップを調整する一般的な方法として、特開平8−71613号公報の実施例に開示された方法が知られている。すなわち、マンドレルミルにおいて肉厚25mmの管を製造する際、直径が97mmのマンドレルバーを用いた場合には、孔型溝底半径を73.5mm(孔型溝底間距離は147mm)に設定して圧延し、直径が87mmのマンドレルバーを用いた場合には、前記孔型溝底間距離を137mmに変更して圧延する。つまり、前記いずれの場合においても、孔型ロールの溝底部とマンドレルバーとにより幾何学的に決定される間隔を、マンドレルミル出側での目標とする肉厚である25mmに設定する方法である。
【0007】
また、通常、素管を孔型ロールで圧延したとき、ロールで圧延されないフランジ部の肉厚が、素管の肉厚より小さくなるというフランジ減肉と称する現象が知られている。つまり、仕上第1スタンドで仕上げた肉厚が、仕上第2スタンドのフランジ部の減肉によりさらに薄くなるが、この影響を防止するべく、前記孔型ロールの溝底部とマンドレルバーにより幾何学的に決定される間隔をマンドレルミル出側の目標とする肉厚より大きく設定する方法(特開平8−71611号公報)が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、マンドレルミルのロールギャップを変更した場合には、管の周方向に偏肉が発生する。なぜならば、孔型ロールの孔型径と使用するマンドレルバーの外径とにより幾何学的に決定される間隔によって肉厚が決まるため、所定のロールギャップ以外では一対の孔型ロールで形成される孔型径(形状)が変化し、これに伴って前記間隔も周方向で変化するからである。
【0009】
上記現象を、真円孔型の孔型ロールの仕上げスタンドロールを例にとって模式的に示したのが図3である。以下、図3のロール孔型の最も深い部分をロールの溝底部63、2つのロールに挟まれ肉厚圧下をしていないロール孔型の開口部をフランジ部64という。図3(a)は、一対の孔型ロール61とマンドレルバー62とから形成される間隔が円周方向で均一、つまり円周方向で肉厚が均一となる場合を示す。また、図3(b)は、ロールギャップを締めた場合に円周方向で肉厚が不均一となる場合を示す。図3(b)の場合には、孔型ロール61の溝底部63に相当する部分で孔型ロール61とマンドレルバー62との間隔が一番小さくなり、孔型ロール61のフランジ部64側に進むにつれて、孔型ロール61とマンドレルバー62との間隔は広くなる。したがって、圧延された管は、孔型ロール61の溝底部63で最小になり、フランジ部64に向かって厚肉となる。
【0010】
このため、特開平8−71613号公報の実施例に開示された従来の方法では、孔型ロールの溝底部の肉厚はマンドレルミル出側での目標とする肉厚に合致するが、孔型ロールのフランジ部に向かって厚肉となるため、管の平均肉厚はマンドレルミル出側での目標とする肉厚より厚めになるという問題がある。
【0011】
また、管の製造プロセスでは、通常、注文された管のうち、同一外径で同一肉厚の管については、複数の管を取り合わせて1本の管として圧延し、圧延後に注文された長さに切り分けることがなされている。ここで、圧延された管の長さが目標より短くなると、圧延された管から予定数の注文品を切り分けることができなくなり、注文品を再度圧延することを余儀なくされる。このため、管長さを目標通りに圧延することは重要な課題である。
【0012】
一方、管の重量は、管の断面積と長さの積に等しいことから、管の長さと管の肉厚とは反比例の関係にある。ところが、特開平8−71613号公報の実施例に開示された従来の方法では、管の平均肉厚はマンドレルミル出側での目標とする肉厚より厚くなるため、管の長さはマンドレルミル出側での目標とする長さより短くなり、前記課題を解決できないという問題がある。
【0013】
また、特開平8−71611号公報に記載の方法についても、特開平8−71613号公報の実施例に開示された方法に比べて偏肉を抑制できるものの、特開平8−71613号公報の実施例と同様に、管平均肉厚が目標より厚くなり、管長さが目標に比べ短くなるという問題を有している。一方、図3(b)とは逆に、ギャップを基準位置より開いた場合も、同様の理由により、従来法では管肉厚が目標よりも薄くなる(管長さが長くなる)という問題を有している。
【0014】
本発明は、斯かるマンドレルミルにおける従来技術の問題点を解決するべくなされたもので、マンドレルミルの出側において管肉厚及び管長さを所望の値に圧延し得る継ぎ目無し管の圧延制御方法及び圧延装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
マンドレルミル仕上スタンドのロールギャップを変更して、マンドレルミル出側での管平均肉厚及び管長さを所望の値に圧延するには、マンドレルミル仕上げスタンドでの管周方向の肉厚分布を予測し、管断面積を正確に算出する必要がある。
【0016】
ここで、ロールギャップを基準位置より閉めた場合には、圧延された管の肉厚は、孔型ロールの溝底部で最小になり、孔型ロールとマンドレルバーとの間に管材が充満している範囲内で、フランジ部に向かって厚肉になる。逆に、ロールギャップを基準位置より開いた場合には、圧延された管の肉厚は、孔型ロールの溝底部では厚いが、孔型ロールとマンドレルバーとの間に管材が充満している範囲内で、フランジ部に向かって薄くなる。そして、孔型ロールとマンドレルバーとの間に管材が充満していない部分では、ロールギャップの位置によらず、前述したようにフランジ減肉が生じる。このため、仕上スタンドでの管周方向の肉厚分布を予測するには、管材とマンドレルバーとが離れる点、管材と孔型ロールとが離れる点、及びフランジ減肉量を正確に予測する必要があるが、これらの特性値は、仕上げスタンドでの管肉厚の圧下量や管周長の絞り量によって異なるだけでなく、材料とマンドレルバーとの摩擦係数や、スタンド間の張力状態によっても異なる。よって、一般的に前記特性値の予測は難しいものである。
【0017】
そこで本発明者らは、マンドレルミル仕上げスタンドのロールギャップ変更量及びマンドレルバー径の変更量と、管平均肉厚との関係について鋭意調査を行った。その結果、マンドレルミルの仕上スタンドの孔型の溝底部の曲率半径をR[mm]、マンドレルバーの直径をDM[mm]、孔型の溝底部の肉厚をTG[mm]としたとき、マンドレルミル出側の平均肉厚の変化量(平均肉厚−溝底部の肉厚)ΔT[mm]は、次式で表すパラメータで整理できることを見出した。
2×(R−TG)−DM ・・・(1)
【0018】
図4に、マンドレルミル出側の平均肉厚の変化量ΔT(孔型の溝底部の肉厚と等しいときΔT=0とした)と、上記パラメータ2×(R−TG)−DM との関係を示す。図4に示すように、パラメータ2×(R−TG)−DM が大きくなるにつれて、マンドレルミル出側の平均肉厚の変化量ΔTも大きくなる。これは、次式(2)で表される仕上げスタンドで圧延した後の溝底部の管内径
2×(R’−TG) R’:溝底部の管外半径 ・・・(2)
がDMに等しいことから、パラメータ2×(R−TG)−DM が大きいと、溝底部の管外半径を、孔型の溝底部の曲率半径Rより小さくして圧延することになり、圧延された管は、図3(b)に示すようにフランジ部に向かって、より厚肉になるためである。逆にパラメータ2×(R−TG)−DM が小さいと、同様の理由で、圧延された管はフランジ部に向かって、より薄肉になる。
【0019】
したがって、マンドレルミルの出側において管平均肉厚及び管長さを所望の値に圧延するには、パラメータ2×(R−TG)−DMが0より大きいときは、マンドレルミルの仕上スタンドのロールの溝底部の肉厚を、マンドレルミル出側の目標平均肉厚より小さく設定すればよいということになる。逆に、パラメータ2×(R−TG)−DMが0より小さいときは、マンドレルミルの仕上スタンドのロールの溝底部の肉厚を、マンドレルミル出側の目標平均肉厚より大きく設定すればよい。なお、図4に示す例は、2ロールマンドレルミルの場合であるが、3ロールマンドレルミルや4ロールマンドレルミル等であっても、同様の考え方をすることができる。
【0020】
次に、前記のように、マンドレルミルの仕上スタンドのロールの溝底部の肉厚を、パラメータ2×(R−TG)−DMが0より大きいときはマンドレルミル出側の目標平均肉厚より小さく設定し、0より小さいときはマンドレルミル出側の目標平均肉厚より大きく設定する際、ロールの溝底部の目標肉厚の変更量の望ましい範囲について調査、発案した結果を説明する。
【0021】
図4に示すマンドレルミル出側の平均肉厚の変化量ΔTと、パラメータ2×(R−TG)−DMとの関係は、略次式(3)のように表すことができる。
ΔT=T−TG={2×(R−TG)−DM}×0.055 ・・・(3)
なお、式(3)の関係は、仕上げスタンドのロール溝底部の孔型が真円のときには、管肉厚や材質によらず成立している。
【0022】
ここで、式(3)を変形すると次式(4)となる。
上記式(4)の第2項{2×(R−T)−DM}×0.055に比べ、第3項2×(T−TG)×0.055≒0.1×{2×(R−T)−DM}×0.055は十分小さいため、近似的に次式(5)の関係が成り立つ。
TG=T−{2×(R−T)−DM}×0.055 ・・・(5)
【0023】
さらに、マンドレルミルの出側において管長さを所望の値に圧延するには、(T−TG)/{2×(R−T)−DM}をどのような範囲にすればよいかを調査した結果を図5に示す。図5において、横軸は(T−TG)/{2×(R−T)−DM}と0.055との差を、縦軸は長さ偏差率の絶対値としている。図5から、長さ偏差率を1%未満にするには、(T−TG)/{2×(R−T)−DM}を次の範囲にする必要があることを見出した。
0.03<(T−TG)/{2×(R−T)−DM}<0.08 ・・・(6)
【0024】
したがって、マンドレルミルの出側において、管長さの所望の値からの偏差を1%未満にして圧延するには、マンドレルミルの仕上スタンドのロールの溝底部の目標肉厚をTG[mm]、マンドレルミル出側の目標平均肉厚をT[mm]、孔型の溝底部の曲率半径をR[mm]、芯金棒の直径をDM[mm]としたとき、マンドレルミルの仕上スタンドのロールの溝底部の目標肉厚TGを次の範囲に設定して圧延すればよい。
(A)2×(R−T)−DM>0のとき
(B)2×(R−T)−DM<0のとき
【0025】
以上の説明は、マンドレルミル仕上各スタンドの孔型の溝底の肉厚を、全て同一設定した場合についてしたものであるが、例えば特開平5−138209号公報に示されるように、所定の理由により、マンドレルミル仕上各スタンドの孔型の溝底の肉厚が互いに異なる場合がある。以下、マンドレルミル仕上各スタンドの孔型の溝底の肉厚が互いに異なる場合に、ロールの溝底部の目標肉厚の変更量の望ましい範囲について調査、発案した結果を説明する。
【0026】
図6に示すように、マンドレルミルの仕上第iスタンドのj方向のロールの溝底部の肉厚をTG(i,j)[mm]とした場合、TG(i,j)の最大値と最小値との差をΔTF[mm]とする。この△TFの値を変更した場合における、マンドレルミル出側の平均肉厚の変化量ΔT(孔型の溝底部の肉厚の平均値E[TG(i,j)]と等しいとき△T=0とした)と、パラメータ2×(R−E[TG(i,j)])−DMとの関係を図7に示す。なお、図7の例は、2ロールマンドレルミルの場合であるが、3ロールマンドレルミルや4ロールマンドレルミル等であっても、同様の考え方をすることができる。
【0027】
図7に示すように、グラフの傾きは、図4に示す式(3)の場合とほぼ同じであるものの、マンドレルミル出側の平均肉厚の変化量ΔTと、パラメータ2×(R−E[TG(i,j)])−DMとの関係は、ΔTF=0以外の場合、図4に比べて若干オフセットを有する。
【0028】
前記オフセット量(図7のグラフのy切片)とΔTFとの関係を図8に示す。図8及び図7より、マンドレルミル出側の平均肉厚の変化量ΔT(孔型の溝底部の肉厚と等しいときΔT=0とした)と、パラメータ2×(R−E[TG(i,j)])−DMとの関係は、ほぼ次式のように表すことができる。
【0029】
よって、前述したΔTF=0の場合と同様の考察により、ロールの溝底部の目標肉厚TG(i,j)[mm]の望ましい範囲は、マンドレルミル出側の目標平均肉厚をT[mm]、孔型の溝底部の曲率半径をR[mm]、芯金棒の直径をDM[mm]としたとき、次式のようになる。
(A)2×(R−T)−DM>0のとき
(B)2×(R−T)−DM<0のとき
【0030】
本発明は、本発明者らが見出した上記新しい知見により案出されたものであり、マンドレルミルの出側において管肉厚及び管長さを所望の値に圧延し得る継ぎ目無し管の圧延制御方法及び圧延装置を提供するものである。
【0031】
すなわち、本願の第1発明は、複数の孔型ロールスタンドを具備し、該孔型ロールスタンドが形成するロール孔型配列内にマンドレルバーを配置し、管を圧延するマンドレルミルにおいて、該マンドレルミルの最終2スタンドのうち少なくとも1つ以上のロールで、前記マンドレルバーの半径と前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚との和よりもロール孔型の溝底部の曲率半径が大きいとき、前記ロールの溝底部の肉厚を前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚より小さく設定して圧延することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法である。
【0032】
本願の第2発明は、複数の孔型ロールスタンドを具備し、該孔型ロールスタンドが形成するロール孔型配列内にマンドレルバーを配置し、管を圧延するマンドレルミルにおいて、該マンドレルミルの最終2スタンドのうち少なくとも1つ以上のロールで、前記マンドレルバーの半径と前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚との和よりもロール孔型の溝底部の曲率半径が小さいとき、前記ロールの溝底部の肉厚を前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚より大きく設定して圧延することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法である。
【0033】
本願の第3発明は、前記第1発明において、前記マンドレルミルの最終2スタンドのロールの溝底部の肉厚をTG[mm]、前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚をT[mm]、前記ロール孔型の溝底部の曲率半径をR[mm]、前記マンドレルバーの直径をDM[mm]としたとき、前記TGを次の範囲に設定して圧延することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法である。
T−[2×(R−T)−DM]×0.08< TG <T−[2×(R−T)−DM]×0.03
【0034】
本願の第4発明は、前記第2発明において、前記マンドレルミルの最終2スタンドのロールの溝底部の肉厚をTG[mm]、前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚をT[mm]、前記ロール孔型の溝底部の曲率半径をR[mm]、前記マンドレルバーの直径をDM[mm]としたとき、前記TGを次の範囲に設定して圧延することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法である。
T−[2×(R−T)−DM]×0.03< TG <T−[2×(R−T)−DM]×0.08
【0035】
本願の第5発明は、前記第1発明において、前記マンドレルミルの最終2スタンドのうち第iスタンドのj方向のロールの溝底部の肉厚をTG(i,j)[mm]、前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚をT[mm]、前記ロール孔型の溝底部の曲率半径をR[mm]、前記マンドレルバーの直径をDM[mm]としたとき、前記TG(i,j)の平均値E[TG(i,j)]を次の範囲に設定して圧延することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法である。
【数3】
【0036】
本願の第6発明は、前記第2発明において、前記マンドレルミルの最終2スタンドのうち第iスタンドのj方向のロールの溝底部の肉厚をTG(i,j)[mm]、前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚をT[mm]、前記ロール孔型の溝底部の曲率半径をR[mm]、前記マンドレルバーの直径をDM[mm]としたとき、前記TG(i,j)の平均値E[TG(i,j)]を次の範囲に設定して圧延することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法である。
【数4】
T−{2×(R−T)−DM}×0.03+ΔTF×0.05
< E[TG(i,j)]
< T−{2×(R−T)−DM}×0.08+ΔTF×0.05
【0037】
本願の第7発明は、複数の孔型ロールスタンドを具備し、該孔型ロールスタンドが形成するロール孔型配列内にマンドレルバーを配置し、管を圧延するマンドレルミルと、該マンドレルミルの最終2スタンドのうち少なくとも1つ以上のロールで、前記マンドレルバーの半径と前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚との和よりもロール孔型の溝底部の曲率半径が大きいとき、前記ロールの溝底部の肉厚を前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚より小さく設定して圧延するように前記ロールのギャップを調整する圧延制御装置とを備えることを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置である。
【0038】
本願の第8発明は、複数の孔型ロールスタンドを具備し、該孔型ロールスタンドが形成するロール孔型配列内にマンドレルバーを配置し、管を圧延するマンドレルミルと、該マンドレルミルの最終2スタンドのうち少なくとも1つ以上のロールで、前記マンドレルバーの半径と前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚との和よりもロール孔型の溝底部の曲率半径が小さいとき、前記ロールの溝底部の肉厚を前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚より大きく設定して圧延するように前記ロールのギャップを調整する圧延制御装置とを備えることを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置である。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
まず、本願の第1発明、第2発明、第3発明、第4発明、第7発明及び第8発明に係る第1の実施形態について、図1に基づき説明する。
【0040】
図1において、11は複数個のスタンド#1,・・・,#Nからなるマンドレルミル、12はピアサーで穿孔された中空素管(素管)、13はマンドレルバー、14はマンドレルミルの圧延ロールをそれぞれ示す。ピアサーで穿孔された素管12は、内部にマンドレルバー13が挿入され、マンドレルバー13の後端が保持装置(図示せず)によって一定速度に保持された状態で、マンドレルミル11においてマンドレルバー13と複数の孔型圧延ロール14とにより延伸圧延される。
【0041】
また、図1において、15は演算装置、16はマンドレルミル11の仕上げスタンドの各ロール圧下装置である。演算装置15及び圧下装置16によって、本願の第7発明及び第8発明における圧延制御装置が構成されている。演算装置15は、マンドレルミル11の出側目標管肉厚T[mm]、マンドレルミル11の仕上スタンドの孔型溝底部の曲率半径R[mm]、マンドレルバー13の外径DM[mm]から、予め与えられた下記の式(12)に基づいて、マンドレルミル11の仕上スタンドにおける適切な孔型の溝底の管肉厚TG[mm]を計算する。さらに、演算装置15は、前記適切な管肉厚TGを与えるために必要なマンドレルミル11の仕上げスタンドの圧下位置を算出する。
TG=T−{2×(R−T)−DM}×0.055 ・・・(12)
【0042】
演算装置15には、式(12)が予め組み込まれている。演算装置15は、前述のように、式(12)に基づいてマンドレルミル11の仕上げスタンドで与えるべき孔型の溝底の管肉厚TGを計算し、該計算されたTGからマンドレルミル11の仕上げスタンドの必要なギャップを下記式(13)によって算出し、該算出されたギャップをマンドレルミル11の仕上げスタンドの各ロール圧下装置16に指令する。圧下装置16は、前記指令に基づきギャップを調整する。
G=G0+2×TG+DM−D0 ・・・(13)
ここで、G :マンドレルミル仕上げスタンドで与えるべきギャップ
G0:標準時(孔型設計時)のマンドレルミル仕上げスタンドのギャップ
D0:標準時(孔型設計時)の孔型の溝底間距離
【0043】
以上のように、演算装置15は、式(12)に基づき、マンドレルミル11の出側において管肉厚および管長さを所望の値に圧延するために必要なマンドレルミル11仕上げスタンドのギャップを演算し、マンドレルミル11仕上げスタンドの各ロール圧下装置16に指令し、ギャップを調整する。したがって、マンドレルミル11の仕上げスタンドの孔型の溝底の管肉厚は、前述した式(7)又は式(8)を満たし、2×(R−T)−DMが正の場合にはマンドレルミル11仕上げスタンドのロールの溝底部の薄肉部とフランジ側の厚肉部とが相殺される。また、2×(R−T)−DMが負の場合にはマンドレルミル11仕上げスタンドのロールの溝底部の厚肉部とフランジ側の薄肉部とが相殺され、管12の管肉厚及び管長さを所望の値に圧延することができる。
【0044】
次に、本願の第5発明および第6発明に係る第2の実施形態について、前述した第1の実施形態と同様に、図1に基づいて説明する。
【0045】
本実施形態では、演算装置15は、マンドレルミル11の出側目標管肉厚T[mm]、マンドレルミル11の仕上スタンドの孔型の溝底部の曲率半径R[mm]、マンドレルバーの外径DM[mm]、マンドレルミル11の仕上#Nスタンド(Nはマンドレルミルで肉厚圧下するスタンド数)の孔型の溝底の肉厚と仕上#N−1スタンドの孔型の溝底の肉厚との差ΔTF[mm]から、予め与えられた下記の式(14)に基づいて、マンドレルミル11の仕上スタンドにおける適切な孔型の溝底の管肉厚TG(i)[mm](iはスタンド番号であり,NまたはN−1)を計算する。さらに、演算装置15は、前記適切な管肉厚TG(i)を与えるために必要なマンドレルミル11の仕上げスタンドの圧下位置を算出する。
TG(N) =TG_E+ΔTF/2 ・・・(14)
TG(N−1)=TG_E−ΔTF/2
TG_E=T−{2×(R−T)−DM}×0.055+ΔTF×0.05
ここで、TG−E=E[TG(N),TG(N−1)],E[・]は平均値
【0046】
演算装置15には、式(14)が予め組み込まれている。演算装置15は、前述のように、式(14)に基づいてマンドレルミル11の仕上げスタンドで与えるべき孔型の溝底の管肉厚TG(i)を計算し、該計算されたTG(i)からマンドレルミル11の仕上げスタンドの必要なギャップを前記式(13)によって算出し、該算出されたギャップをマンドレルミル11の仕上げスタンドの各ロール圧下装置16に指令する。圧下装置16は、前記指令に基づきギャップを調整する。
【0047】
以上のように、演算装置15は、式(14)に基づき、マンドレルミル11の出側において管肉厚および管長さを所望の値に圧延するために必要なマンドレルミル11仕上げスタンドのギャップを演算し、マンドレルミル11仕上げスタンドの各ロール圧下装置16に指令し、ギャップを調整する。したがって、マンドレルミル11の仕上げスタンドの孔型の溝底の管肉厚は、前述した式(10)又は式(11)を満たし、2×(R−T)−DMが正の場合にはマンドレルミル11仕上げスタンドのロールの溝底部の薄肉部とフランジ側の厚肉部とが相殺される。2×(R−T)−DMが負の場合にはマンドレルミル11仕上げスタンドのロールの溝底部の厚肉部とフランジ側の薄肉部とが相殺され、管12の管肉厚および管長さを所望の値に圧延することができる。
【0048】
なお,ロールギャップの設定精度には多少のばらつきがあるため、孔型の溝底の肉厚を正確に式(12)及び式(14)の値にすることは難しいが、図5より、長さ偏差率を1%未満にするには、孔型の溝底の肉厚を式(7)(又は式(8))及び式(10)(又は式(11))の範囲とすれば足りる。
【0049】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態において、マンドレルミル11は、2ロールマンドレルミルとしたが、3ロールマンドレルミルや2スタンド以上の4ロールマンドレルミル等であっても、同様の方法で、マンドレルミルの出側において管肉厚及び管長さを所望の値に圧延することが可能である。
【0050】
以下、実施例を説明することにより、本発明の特徴をより一層明らかにする。(1)試験1
まず、外径320.0mm、肉厚17.0mmの素管を、圧下方向を交互に90°交差させて連続配置された5スタンドの2ロールミルで圧延するマンドレルミルにおいて、#4、#5スタンドの溝底肉厚が等しくなるようにロールギャップを設定し、外径が260mmのマンドレルバーを用いて、外径276.0mm、肉厚7.0mmに延伸圧延する場合の実施例及び比較例を示す。
【0051】
(実施例1:本発明法A)式(12)に基づきマンドレルミル仕上げスタンドで与えるべき孔型の溝底の管肉厚を計算し、計算された管肉厚から前記マンドレルミル仕上げスタンドの必要なギャップを式(13)によって計算し、マンドレルミル仕上げスタンドのギャップを調整して、マンドレルミルで延伸圧延した。
【0052】
(実施例2:本発明法B)下記の式(15)に基づきマンドレルミル仕上げスタンドで与えるべき孔型の溝底の管肉厚を計算し、計算された管肉厚から前記マンドレルミル仕上げスタンドの必要なギャップを式(13)によって計算し、マンドレルミル仕上げスタンドのギャップを調整して、マンドレルミルで延伸圧延した。
TG=T−{2×(R−T)−DM}×0.02 ・・・(15)
【0053】
(比較例1:従来法)孔型ロールの溝底部とマンドレルバーにより幾何学的に決定される間隔を、マンドレルミル出側での目標とする肉厚に設定する特開平8−71613号公報の実施例に開示された従来法で圧延した。
【0054】
上記本発明法A、本発明法B、及び従来法のそれぞれについて管長さ精度を比較した結果を表1に示す。ここで、管長さ精度は下記の式(16)によって計算した。
ΔL=(L−L0)/L0×l00[%] ・・・(16)
ここで、
ΔL:管長さ精度[%],L:マンドレルミル出側実績管長さ[m]
L0:マンドレルミル出側目標管長さ[m]
【表1】
【0055】
表1に示すように、マンドレルミルのギャップを調整した本発明法A及びBによれば、従来法と比較して、管長さ精度が0.6%以上改善された。
【0056】
(2)試験2
次に、外径320.0mm、肉厚17.0mmの素管を、圧下方向を交互に90°交差させて連続配置された5スタンドの2ロールミルで圧延するマンドレルミルにおいて、#4、#5スタンドの溝底肉厚が等しくなるようにロールギャップを設定し、外径が258mmのマンドレルバーを用いて、外径276.0mm、肉厚7.0mmに延伸圧延する場合の実施例及び比較例を示す。
【0057】
(実施例3:本発明法A)式(12)に基づきマンドレルミル仕上げスタンドで与えるべき孔型の溝底の管肉厚を計算し、計算された管肉厚から前記マンドレルミル仕上げスタンドの必要なギャップを式(13)によって計算し、マンドレルミル仕上げスタンドのギャップを調整して、マンドレルミルで延伸圧延した。
【0058】
(実施例4:本発明法B)式(15)に基づきマンドレルミル仕上げスタンドで与えるべき孔型の溝底の管肉厚を計算し、計算された管肉厚から前記マンドレルミル仕上げスタンドの必要なギャップを式(13)によって計算し、マンドレルミル仕上げスタンドのギャップを調整して、マンドレルミルで延伸圧延した。
【0059】
(比較例2:従来法)孔型ロールの溝底部とマンドレルバーにより幾何学的に決定される間隔を、マンドレルミル出側での目標とする肉厚に設定する特開平8−71613号公報の実施例に開示された従来法で圧延した。
【0060】
上記本発明法A、本発明法B、及び従来法のそれぞれについて管長さ精度を比較した結果を表2に示す。
【表2】
【0061】
本試験2における圧延条件は、試験1における圧延条件に比べて圧延に使用したマンドレルバーの外径が小さいために、式(1)のパラメータが大きいことになる。式(1)のパラメータが大きい場合、表2に示すように、従来法では管長さ精度が極めて悪くなる。一方、マンドレルミルのギャップを調整した本発明法A及びBによれば、従来法と比較して、管長さ精度が1.1%以上改善された。特に、孔型の溝底の肉厚が式(7)又は式(8)の範囲に入るように調整した本発明法Aでは、管長さ精度を0.5%以内に抑えることができ、所望の管長さを得ることができた。
【0062】
(3)試験3
次に、外径320.0mm、肉厚17.0mmの素管を、圧下方向を交互に90°交差させて連続配置された5スタンドの2ロールミルで圧延するマンドレルミルにおいて、#4、#5スタンドの溝底肉厚が等しくなるようにロールギャップを設定し、外径が264mmのマンドレルバーを用いて、外径276.0mm、肉厚7.0mmに延伸圧延する場合の実施例及び比較例を示す。
【0063】
(実施例5:本発明法A)式(12)に基づきマンドレルミル仕上げスタンドで与えるべき孔型の溝底の管肉厚を計算し、計算された管肉厚から前記マンドレルミル仕上げスタンドの必要なギャップを式(13)によって計算し、マンドレルミル仕上げスタンドのギャップを調整して、マンドレルミルで延伸圧延した。
【0064】
(実施例6:本発明法B)式(15)に基づきマンドレルミル仕上げスタンドで与えるべき孔型の溝底の管肉厚を計算し、計算された管肉厚から前記マンドレルミル仕上げスタンドの必要なギャップを式(13)によって計算し、マンドレルミル仕上げスタンドのギャップを調整して、マンドレルミルで延伸圧延した。
【0065】
(比較例3:従来法)孔型ロールの溝底部とマンドレルバーにより幾何学的に決定される間隔を、マンドレルミル出側での目標とする肉厚に設定する特開平8−71613号公報の実施例に開示された従来法で圧延した。
【0066】
上記本発明法A、本発明法B、及び従来法のそれぞれについて管長さ精度を比較した結果を表3に示す。
【表3】
表3に示すように、マンドレルミルのギャップを調整した本発明法A及びBによれば、従来法と比較して、管長さ精度が0.6%以上改善された。
【0067】
(4)試験4
次に、外径320.0mm、肉厚17.0mmの素管を、圧下方向を交互に90°交差させて連続配置された5スタンドの2ロールミルで圧延するマンドレルミルにおいて、#4スタンドの孔型の溝底の肉厚と、♯5スタンドの孔型の溝底の肉厚との差が0.5mmとなるようにロールギャップを設定し、外径が258mmのマンドレルバーを用いて、外径276.0mm、肉厚7.0mmに延伸圧延する場合の実施例及び比較例を示す。
【0068】
(実施例7:本発明法C)式(14)に基づきマンドレルミル仕上げスタンドで与えるべき孔型の溝底の管肉厚を計算し、計算された管肉厚から前記マンドレルミル仕上げスタンドの必要なギャップを式(13)によって計算し、マンドレルミル仕上げスタンドのギャップを調整して、マンドレルミルで延伸圧延した。
【0069】
(実施例8:本発明法D)下記の式(17)に基づきマンドレルミル仕上げスタンドで与えるべき孔型の溝底の管肉厚を計算し、計算された管肉厚から前記マンドレルミル仕上げスタンドの必要なギャップを式(13)によって計算し、マンドレルミル仕上げスタンドのギャップを調整して、マンドレルミルで延伸圧延した。
TG(N) =TG_E+ΔTF/2 ・・・(17)
TG(N−1)=TG_E−ΔTF/2
TG_E=T−{2×(R−T)−DM}×0.055
【0070】
(比較例4:従来法)#4スタンド及び♯5スタンドの孔型の溝底の肉厚の平均値をマンドレルミル出側での目標とする肉厚に設定する従来法で圧延した。
【0071】
上記本発明法C、本発明法D、及び従来法のそれぞれについて管長さ精度を比較した結果を表4に示す。
【表4】
【0072】
表4に示すように、マンドレルミルのギャップを調整した本発明法C及びDによれば、従来法と比較して、管長さ精度が2.0%以上改善された。特に、孔型の溝底の肉厚が式(10)又は式(11)の範囲に入るように調整した本発明法Cでは、管長さ精度を0.5%以内に抑えることができ、所望の管長さを得ることができた。
【0073】
(5)試験5
最後に、外径320.0mm、肉厚17.0mmの素管を、圧下方向を交互に90°交差させて連続配置された5スタンドの2ロールミルで圧延するマンドレルミルにおいて、#4スタンドの孔型の溝底の肉厚と、#5スタンドの孔型の溝底の肉厚との差が0.5mmとなるようにロールギャップを設定し、外径が264mmのマンドレルバーを用いて、外径276.0mm,肉厚7.0mmに延伸圧延する場合の実施例及び比較例を示す。
【0074】
(実施例9:本発明法C)式(14)に基づきマンドレルミル仕上げスタンドで与えるべき孔型の溝底の管肉厚を計算し、計算された管肉厚から前記マンドレルミル仕上げスタンドの必要なギャップを式(13)によって計算し、マンドレルミル仕上げスタンドのギャップを調整して、マンドレルミルで延伸圧延した。
【0075】
(実施例10:本発明法D)式(17)に基づきマンドレルミル仕上げスタンドで与えるべき孔型の溝底の管肉厚を計算し、計算された管肉厚から前記マンドレルミル仕上げスタンドの必要なギャップを式(13)によって計算し、マンドレルミル仕上げスタンドのギャップを調整して、マンドレルミルで延伸圧延した。
【0076】
(比較例5:従来法)#4スタンド及び♯5スタンドの孔型の溝底の肉厚の平均値をマンドレルミル出側での目標とする肉厚に設定する従来法で圧延した。
【0077】
上記本発明法C、本発明法D、及び従来法のそれぞれについて管長さ精度を比較した結果を表5に示す。
【表5】
【0078】
表5に示すように、マンドレルミルのギャップを調整した本発明法C及びDによれば、従来法と比較して、管長さ精度が1.5%以上改善された。
【発明の効果】
以上に述べた通り、本発明によれば、マンドレルミル仕上げスタンドの各ロールのギャップを、マンドレルバーの半径及びマンドレルミル出側の目標平均肉厚の和と、ロール孔型の溝底部の曲率半径との大小に応じて調整することにより、従来よりも、管肉厚及び管長さが所望する値に近づくように圧延することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の一実施形態に係る圧延装置示す概略構成図である。
【図2】 図2は、マンネスマンーマンドレルミル方式による継ぎ目無し鋼管の製造工程の説明図である。
【図3】 図3は、真円孔型ロールでのロールギャップと孔型形状との関係を示し、(a)は孔型ロールとマンドレルバーの間隔が円周方向で均一の場合、(b)はロールギャップを締めた場合をそれぞれ表す。
【図4】 図4は、マンドレルミルの仕上げスタンドの各ロールの溝底の肉厚を全て等しく設定した場合におけるパラメータ2×(R−TG)−DMと、マンドレルミル出側の平均肉厚の変化量との関係を示すグラフである。
【図5】 図5は、マンドレルミルの仕上スタンドのロールの溝底の肉厚と、マンドレルミル出側の平均肉厚との差が、マンドレルミル出側の管長さの偏差率にどのような影響を与えるかを示すグラフである。
【図6】 図6は、マンドレルミルの仕上げスタンドのロールの溝底の肉厚TG(i,j)の説明図である。
【図7】 図7は、マンドレルミルの仕上げスタンドの各ロールの溝底の肉厚を互いに異なる値に設定した場合における、パラメータ2×(R−TG)−DMと、マンドレルミル出側の平均肉厚の変化量との関係を示すグラフである。
【図8】 図8は、マンドレルミルの仕上げ第1スタンドのロールの溝底の肉厚とマンドレルミルの仕上げ第2スタンドのロールの溝底の肉厚との偏差と、マンドレルミル出側の平均肉厚の変化量の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
11,56 マンドレルミル
12,54,93 素管
13,55,62,92 マンドレルバー
14,58,61,91 マンドレルミルの圧延ロール
15 演算装置
16 マンドレルミルの圧延ロールの圧下装置
51 ビレット
52 加熱炉
53 ピアサー
57 絞り圧延機
63 溝底部
64 フランジ部
Claims (8)
- 複数の孔型ロールスタンドを具備し、該孔型ロールスタンドが形成するロール孔型配列内にマンドレルバーを配置し、管を圧延するマンドレルミルにおいて、
該マンドレルミルの最終2スタンドのうち少なくとも1つ以上のロールで、前記マンドレルバーの半径と前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚との和よりもロール孔型の溝底部の曲率半径が大きいとき、前記ロールの溝底部の肉厚を前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚より小さく設定して圧延することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法。 - 複数の孔型ロールスタンドを具備し、該孔型ロールスタンドが形成するロール孔型配列内にマンドレルバーを配置し、管を圧延するマンドレルミルにおいて、
該マンドレルミルの最終2スタンドのうち少なくとも1つ以上のロールで、前記マンドレルバーの半径と前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚との和よりもロール孔型の溝底部の曲率半径が小さいとき、前記ロールの溝底部の肉厚を前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚より大きく設定して圧延することを特徴とする継ぎ目無し管の圧延制御方法。 - 前記マンドレルミルの最終2スタンドのロールの溝底部の肉厚をTG[mm]、前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚をT[mm]、前記ロール孔型の溝底部の曲率半径をR[mm]、前記マンドレルバーの直径をDM[mm]としたとき、前記TGを次の範囲に設定して圧延することを特徴とする請求項1に記載の継ぎ目無し管の圧延制御方法。
T−[2×(R−T)−DM]×0.08< TG <T−[2×(R−T)−DM]×0.03 - 前記マンドレルミルの最終2スタンドのロールの溝底部の肉厚をTG[mm]、前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚をT[mm]、前記ロール孔型の溝底部の曲率半径をR[mm]、前記マンドレルバーの直径をDM[mm]としたとき、前記TGを次の範囲に設定して圧延することを特徴とする請求項2に記載の継ぎ目無し管の圧延制御方法。
T−[2×(R−T)−DM]×0.03< TG <T−[2×(R−T)−DM]×0.08 - 複数の孔型ロールスタンドを具備し、該孔型ロールスタンドが形成するロール孔型配列内にマンドレルバーを配置し、管を圧延するマンドレルミルと、
該マンドレルミルの最終2スタンドのうち少なくとも1つ以上のロールで、前記マンドレルバーの半径と前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚との和よりもロール孔型の溝底部の曲率半径が大きいとき、前記ロールの溝底部の肉厚を前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚より小さく設定して圧延するように前記ロールのギャップを調整する圧延制御装置とを備えることを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置。 - 複数の孔型ロールスタンドを具備し、該孔型ロールスタンドが形成するロール孔型配列内にマンドレルバーを配置し、管を圧延するマンドレルミルと、
該マンドレルミルの最終2スタンドのうち少なくとも1つ以上のロールで、前記マンドレルバーの半径と前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚との和よりもロール孔型の溝底部の曲率半径が小さいとき、前記ロールの溝底部の肉厚を前記マンドレルミル出側の目標平均肉厚より大きく設定して圧延するように前記ロールのギャップを調整する圧延制御装置とを備えることを特徴とする継ぎ目無し管の圧延装置。
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