JP3704653B2 - 電極材 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば低周波治療器等の導子として人体に貼付けて使用する電極材に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の人体に貼付けて使用する電極材としては、例えば図5に示すような構造のものが知られている。この電極材は、シート状支持体101に端子102を貫通させて、端子下端の鍔部102aをシート状支持体101の裏面に係止すると共に、導電性粘着層103を端子102及びシート状支持体101の裏面全体に設けて、端子102と導電性粘着層103を接触、導通させたものである。
【0003】
しかしながら、この電極材は、端子102として一般的な黄銅、アルミニウムなどの耐蝕性があまり良くない金属端子を使用し、導電性粘着層103として一般的な高含水率のアクリル系ヒドロゲル等を使用するため、導電性粘着層103と接触する端子102の下面が短期間のうちに腐蝕して電気抵抗が増大するという問題があった。
【0004】
そこで、シート状支持体101を、カーボン等の配合により導電化したゴム又はプラスチック等からなる耐蝕性の導電性シート状支持体に変更した電極材が開発された。この電極材は、端子102の下面が腐蝕しても、電流が端子102から導電性シート状支持体101、導電性粘着層103を経て人体に流れるので、低抵抗の通電性を持続させることができる。けれども、この電極材には以下に述べるような解決すべき課題が残されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、前記の電極材のように、端子102が耐蝕性のあまり良くない一般的な金属端子であり、導電性粘着層103が腐蝕作用の強い高含水率のアクリル系ヒドロゲル等であると、端子102の下面で生じた腐蝕が鍔部102aの上面まで拡がり、電気抵抗が増大して端子102から導電性シート状支持体101へ電流が流れにくくなるという問題があった。
【0006】
また、前記のように導電性シート状支持体101がカーボン等の配合により導電化したゴムやプラスチックの支持体であると、該支持体101の電気抵抗が比較的大きいため、支持体周縁部分の電圧降下によって端子102の下面や支持体101の端子周辺部分から集中的に直下電流が流れ易くなり、この直下電流によって不快な電気的刺激を受けるという問題もあった。
【0007】
本発明はこれらの問題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、端子の腐蝕による電気抵抗の増大を防止して良好な通電性を確保することができ、端子やその周辺部分からの集中的な直下電流による不快な電気的刺激をなくすこともできる電極材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る電極材は、下端に鍔部を設けた凸型端子を、下端に導電層を設けた基材シートの端子挿通孔に挿通して、凸型端子の上部を基材シートの上面に突出させると共に、鍔部を端子挿通孔の周囲の導電層に係着して接触させ、凸型端子と導電層の下面全体に導電性粘着層を密着させた電極材であって、上記凸型端子がステンレス製の凸型端子であり、上記導電層が上記導電性粘着層に対する耐蝕性の良好な導電下層と該導電下層より導電性の良好な導電上層との積層体であって、該導電下層が上記導電性粘着層と密着しており、該導電上層は、上記端子挿通孔の周囲に形成されたターミナル部と、このターミナル部に連なり上記基材シートの周縁部に沿って形成された広幅の通電路と、このターミナル部に連なり上記基材シートの長軸に沿って形成された直線状通電路と、この直線状通電路と上記通電路の間に形成された細幅のメッシュ状通電路とからなるパターン形状を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
そして、請求項2に係る電極材は、導電下層がカーボン層であり、導電上層が銀層又は銀−カーボン層であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項1の電極材のようにステンレス製の凸型端子を使用すると、このステンレス製の凸型端子は黄銅やアルミニウム製の一般的な金属端子よりも遥かに優れた耐蝕性を有するため、導電性粘着層と接触する凸型端子の鍔部下面が腐蝕したり、導電層と接触する鍔部上面まで腐蝕が拡大する恐れは皆無に等しくなる。従って、腐蝕による電気抵抗の増大が生じないので、低抵抗の通電性を長期に亘って維持することができる。
【0011】
また、請求項1の電極材のように、導電性粘着層に対する耐蝕性の良好な導電下層とこれより導電性の良好な導電上層との積層体で導電層を形成し、導電下層を導電性粘着層に密着させていると、耐蝕性の良好な導電下層のみで導電層を形成する場合に比べて導電層全体の電気抵抗が低下し、しかも耐蝕性の良好な導電下層によって良導電性の導電上層の腐蝕が防止されるので、導電層は低い電気抵抗を維持する。従って、導電層の周縁部分の電圧降下が少なくなり、電流が導電層全体から略均等に導電性粘着層へ流れるので、凸型端子やその周辺部分からの直下電流を防止しその効果を長期に亘って維持することができる。このような作用効果は、請求項2の電極材のように電層下層がカーボン層であり、電層上層が銀層又は銀−カーボン層である場合に、特に顕著となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は本発明の電極材の一実施形態を示す斜視図、図2は図1のA−A線拡大断面図である。
【0016】
図1及び図2において、1は下面に導電層2が形成された基材シート、3は基材シート1の端子挿通孔4に挿通されたステンレス製の凸型端子、5は凸型端子3と導電層2の下面全体に密着された導電性粘着層を示している。
【0017】
この実施形態の基材シート1は楕円形をしており、その長軸方向の一端近くに端子挿通孔4が形成されている。基材シート1の形状は、楕円形の他、円形、長円形、正方形、長方形、瓢箪形など、所望の形状とすることができ、また、端子挿通孔4の位置も、基材シート1の中央など所望の位置とすることができる。
【0018】
基材シート1としては、厚さ20〜200μm程度の軟質合成樹脂シート(フィルムも含む)が使用され、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルシートや、ポリウレタンシート等が好適に使用される。
【0019】
特に、30〜350kg/cm2 程度の弾性率を有する厚さ50〜200μm程度の透明な無架橋ポリウレタンシートであって、黄変しないように酸化防止処理を施したものは、優れた屈曲性と適度な柔軟性を有するので、電極材を人体の屈曲部の皮膚に貼付けたとき、皮膚の動きに十分追従して皮膚から簡単に剥がれる心配がなく、しかも黄変しないので清潔感があり、基材シート1として極めて好ましいものである。
【0020】
この基材シート1の下面に形成された導電層2は、導電性粘着層5に対する耐蝕性が良好な電層下層2aと、この導電下層2aよりも導電性が良好な導電上層2bとの積層体からなるものであって、導電下層2aが導電性粘着層5と密着している。
【0021】
この導電下層2aは、例えばカーボンやグラファイト等の非金属導電粉末を混合した樹脂塗料、フィルム、インキ等で形成された耐蝕性の良好な薄層であり、特にカーボン粉末を混合した樹脂塗料等で形成された表面抵抗が10〜100Ω/□程度のカーボン層が好適である。
【0022】
また、導電上層2bは、金属粉末や金属粉末と非金属導電粉末との混合粉末を含有した良導電性のペースト、樹脂塗料、インキ等で形成されたものであり、特に、銀粉末を含有した樹脂塗料等で形成された表面抵抗が0.5Ω/□以下の銀層、或は、銀粉末とカーボン粉末との混合粉末を含有したペースト等で形成された表面抵抗が1Ω/□以下の銀−カーボン層が好適である。この導電上層2bは、基材シート1の下面全体に一様に形成してもよいし、所望のパターン形状に形成してもよい。
【0023】
図3は導電上層2bのパターン形状の一例を示す平面図であって、これによれば、基材シート1の端子挿通孔4の周囲にターミナル部21bが形成され、このターミナル部21bに連なる広幅の楕円形通電路22bが基材シート1の周縁部に沿って形成されている。そして、ターミナル部21bに連なる広幅の直線状通電路23bが基材シート1の長軸に沿って形成され、この直線状通電路23bと上記の楕円形通電路22bの間には細幅のメッシュ状通電路24bが形成されている。導電上層2bが上記のようなパターン形状であると、電流がターミナル部21bから楕円形通電路22b及び直線状通電路23bを通って基材シート1の周縁部と中央部に流れ、更にメッシュ状通電路24bを通って基材シート1の全域に流れることになるので、周縁部の電圧降下が生じにくくなり、結果的に導電層2全体からほぼ均等に電流が導電性粘着層5に流れることになる。このように導電上層2bのパターン形状は、導電層2全体からほぼ均等な電流を流すことができる形状とすることが好ましく、ほぼ均等な電流を流すことができるパターン形状であれば、この図3に例示のパターン形状にのみ限定されるものではない。
【0024】
上記のように、導電層2が耐蝕性の良好な導電下層2aと良導電性の導電上層2bとの積層体で形成され、導電下層2aが導電性粘着層5と密着していると、耐蝕性の良好な導電下層2aのみで導電層を形成する場合に比べて導電層2全体の電気抵抗が低下し、しかも耐蝕性の良好な導電下層2aによって良導電性の導電上層2bの腐蝕が防止されるので、導電層2は低い電気抵抗を維持できる。従って、導電層2の周縁部分の電圧降下が少なくなり、電流が導電層2の全域から略均等に導電性粘着層5へ流れるので、凸型端子3の下面やその周辺部分からの強い直下電流を長期に亘って防止することができる。特に、導電下層2aが前記のカーボン層であり、導電上層2bが前記の銀層又は銀−カーボン層である場合は、導電層2全体としての電気抵抗(表面抵抗)が1〜2Ω/□程度まで低下するので、直下電流による不快な電気的刺激の防止効果が顕著であり、またカーボン層の耐蝕性が良いので、導電上層2bの腐蝕防止効果も顕著である。
【0025】
凸型端子3は、上部に略球形の頭部3aを形成すると共に下端に鍔部3bを形成した中空構造の端子であり、その鍔部3bの下面には黒灰色層3cが設けられている。この凸型端子3は、基材シート1の端子挿通孔4に下方から挿通され、端子頭部3aが基材シート1の上面に突出している。そして、鍔部3bが端子挿通孔4の周囲の導電層2(導電下層2a)に係着されて接触し、端子挿通孔4から凸型端子3が上方に抜け出さないように取付けられている。その場合、固定用の合成樹脂フィルム(不図示)等を鍔部3bを覆うように下方から貼着して鍔部3bを固定し、凸型端子3のグラツキを防止すると共に、凸型端子3が導電性粘着層5へめり込むのを防止するようにしてもよい。
【0026】
この凸型端子3は、金属の中でも特に耐蝕性に優れたステンレスで作製する必要があり、従来から端子の作製に使用されている黄銅、アルミニウム、その他の一般的な金属で作製する場合は、導電性粘着層5による端子の腐蝕を防止することができない。材料のステンレスとしては、SUS304、SUS316、SUS316L等が好適に使用される。
【0027】
この凸型端子3の全面には、例えばニッケル等の下地メッキ層(不図示)と、例えばクロム等の黒色の上地メッキ層(不図示)を設けることが好ましく、また鍔部3bの下面には、銀−塩化銀層やニッケルインキ層等から成る前記の黒灰色層3cを設けることが好ましい。このように鍔部3bの下面に黒灰色層3cを設けると、下方から透光性の導電性粘着層5を通して端子3の鍔部3bを透視しても、鍔部3bの下面は導電下層2aのカーボン層等と略同じ黒灰色であるため、鍔部3bの存在が分からなくなり、外観が向上する。尚、この黒灰色層3cは、凸型端子3の鍔部3bの腐蝕を防止する防蝕層ではない。
【0028】
導電性粘着層5としては、イオン化合物(例えば塩化ナトリウム、過塩素酸リチウム、塩化カリウム、塩化リチウム等)を含んだ0.5〜200KΩ・cm程度の電気抵抗を有する各種の粘着ゲル層が使用可能であり、20%以下の含水率を有するものが好適に使用される。このような低含水率の粘着ゲルからなる導電性粘着層5は、高含水率のものに比べて腐蝕作用が弱いため、凸型端子3の腐蝕防止効果を一層向上させることができる利点がある。また、上記の低含水率の粘着ゲルは電気抵抗が大きいために、凸型端子3を直接粘着ゲルと接触させても直下電流が流れるのを防止するのに有効である。従って、従来のイオン化合物を含んだ高含水率(40〜50%)のアクリル系ヒドロゲル(例えばポリヒドロキシエチルメタクリレートのゲル)などは、導電性粘着層5として好ましくない。
【0029】
特に、上記のイオン化合物を含有した含水率がわずか数%程度のポリウレタン粘着ゲルは腐蝕作用が極めて弱いため、凸型端子3を腐蝕させる心配が全くなく、しかも粘着力が良いので人体の皮膚にしっかりと貼付けることができ、また皮膚を刺激するモノマーを含まないため皮膚のかぶれ等を起こす心配もないといった利点があり、導電性粘着層5として最適のものである。
【0030】
このようなイオン化合物を含むポリウレタンゲルは、アルキレンオキサイド鎖を有するポリオールと、アルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーの少なくとも一方にイオン化合物を配合して双方を反応させるか、或は、アルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリオールプレポリマーと、アルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーの少なくとも一方にイオン化合物を配合して双方を反応させることにより、容易に得ることができる。
【0031】
尚、導電性粘着層5の内部には、必要に応じて繊維ネット、不織布、織布などの補強用芯材(不図示)を埋設してもよい。
【0032】
以上のような構成の電極材は、基材シート1から突出した凸型端子3の頭部3aを、例えば低周波治療器等の導子コード先端のコネクタに差込み接続し、導電性粘着層5の粘着力で人体に貼付けて使用される。そして、治療器の電源をいれると、導子コードを通じて供給される低周波微電流が凸型端子3から導電層2、導電性粘着層5を通って人体に流れ、筋肉や循環系の低周波治療が行われる。このとき、凸型端子3の下端からの直下電流は既述したように充分防止されるので、不快な電気的刺激を受ける心配はない。
【0033】
図4は、本発明の電極材の他の実施形態を示す部分拡大断面図である。
【0034】
この電極材は、凸型端子3の鍔部3bの上面を導電層2の導電上層2bに接触させた点に特徴を有している。このような構成であると、凸型端子3が多少のグラツキを生じても、凸型端子3と導電上層2bとの接触が確実になされ、電流が導電層2全体に均一に流れる。その他の構成は前記実施形態の電極材と同一であるので、図4において同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
【実施例】
次に、本発明の更に具体的な実施例を説明する。
【0036】
ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)の下面に、図3に示すパターン形状の銀−カーボン層からなる導電上層と、カーボン層からなる導電下層を積層して導電層を形成し、このフィルムを楕円状に打抜くと同時に端子挿通孔を穿孔して基材シートを作製した。そして、この基材シートの端子挿通孔に、ステンレス製(SUS304)の凸型端子(鍔部の外径:12mm)を下方から挿通し、凸型端子と導電層の下面全体に、導電性のポリウレタン粘着ゲル(塩化リチウム5重量%含有、含水率10%)よりなる厚さ2mmの導電性粘着層を密着させて、4.5×6.5cmの楕円形の電極材(A)を作製した。
【0037】
一方、上記のステンレス製凸型端子に代えて、表面にニッケルメッキを施した黄銅製の凸型端子を使用し、上記と同様にして比較用の電極材(B)を作製した。また、上記の導電層に代えて、カーボン層のみからなる導電層を形成したポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、上記と同様にして比較用の電極材(C)を作製した。
【0038】
次に、本実施例の電極材(A)と比較用の電極材(B)(C)を用いて、松下電工(株)製の低周波治療器(EW431)にて通電時の体感テストを行った。その結果、本実施例の電極材(A)と比較用の電極材(B)は、端子直下の異常感がなかった。しかし、比較用の電極材(C)は、端子直下の異常感があった。
【0039】
また、これらの電極材(A)(B)(C)について、導電性粘着層の各部(端子直下部分とその周辺の3箇所)の電気抵抗を測定した。その結果、本実施例の電極材(A)は、端子直下部分が680Ω、その周辺の3箇所が640Ω、700Ω、760Ωであり、比較用の電極材(B)もほぼ同様の測定値であった。しかし、比較用の電極材(C)は、端子直下部分が700Ωで電極材(A)(B)とほぼ同様であったが、周辺の3箇所が1400Ω、1900Ω、2100Ωと大きな抵抗値であった。
【0040】
更に、これらの電極材(A)(B)(C)について、凸型端子の取付箇所を中心に折れ、圧迫、引張り等の外力を繰り返し加え、通電安定性を調べた。その結果、いずれの電極材も、導電性粘着層によって凸型端子が基材シートの導電層に密着しており、グラツキによる通電の不安定さは観られなかった。
【0041】
次に、本実施例の電極材(A)と比較用の電極材(B)について、凸型端子の腐蝕テストを以下の方法で行った。即ち、前記の低周波治療器EW431を使用し、振動モードにして強度10で15分間の連続通電を1サイクルとし、1週間で合計60サイクルの通電を行って、凸型端子のポリウレタン粘着ゲル層との接触部分(鍔部下面)の腐蝕の有無を調べた。その結果、本実施例の電極材(A)は、凸型端子の腐蝕が全く観られなかったが、比較用の電極材(B)は、凸型端子の下面に僅かな錆の発生が観られた。
【0042】
更に、本実施例の電極材(A)について上記の腐蝕テストを続行し、1月余りで合計330サイクルの通電を行ったが、凸型端子の錆の発生は全く観られなかった。
【0043】
一方、上記のポリウレタン粘着ゲルに水を25%加えた浸漬液に、本実施例の電極材(A)に用いたステンレス製の凸型端子と、比較用の電極材(B)に用いた黄銅製の凸型端子をそれぞれ浸漬し、60℃に密封加熱して凸型端子の腐蝕テストを行った。その結果、ステンレス製の凸型端子は1月経過しても錆の発生が観られないのに対し、黄銅製の凸型端子は1週経過時点で錆の発生が観られた。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の電極材は、凸型端子の腐蝕を防止して低抵抗の通電性を長期に亘って維持することができ、凸型端子の下端やその周辺からの直下電流を防止して不快な電気的刺激をなくすことができるといった顕著な効果を奏する。そして、導電下層がカーボン層、導電上層が銀層又は銀−カーボン層である積層体で導電層を形成したものや、イオン化合物を含んだ低含水率のポリウレタン粘着ゲル層からなる導電性粘着層を設けたものは、直下電流による不快な電気的刺激の防止効果が一層顕著になり、更に、凸型端子の鍔部下面に黒灰色層を設けたものは、下方から透視しても凸型端子の存在が分からなくなって外観が向上するといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極材の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】導電上層のパターン形状の一例を示す平面図である。
【図4】本発明の電極材の他の実施形態を示す部分拡大断面図である。
【図5】従来の電極材の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基材シート
2 導電層
2a 導電下層
2b 導電上層
3 凸型端子
3b 鍔部
4 端子挿通孔
5 導電性粘着層
Claims (2)
- 下端に鍔部を設けた凸型端子を、下端に導電層を設けた基材シートの端子挿通孔に挿通して、凸型端子の上部を基材シートの上面に突出させると共に、鍔部を端子挿通孔の周囲の導電層に係着して接触させ、凸型端子と導電層の下面全体に導電性粘着層を密着させた電極材であって、上記凸型端子がステンレス製の凸型端子であり、上記導電層が上記導電性粘着層に対する耐蝕性の良好な導電下層と該導電下層より導電性の良好な導電上層との積層体であって、該導電下層が上記導電性粘着層と密着しており、該導電上層は、上記端子挿通孔の周囲に形成されたターミナル部と、このターミナル部に連なり上記基材シートの周縁部に沿って形成された広幅の通電路と、このターミナル部に連なり上記基材シートの長軸に沿って形成された直線状通電路と、この直線状通電路と上記通電路の間に形成された細幅のメッシュ状通電路とからなるパターン形状を備えていることを特徴とする電極材。
- 導電下層がカーボン層であり、導電上層が銀層又は銀−カーボン層であることを特徴とする請求項1に記載の電極材。
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