JP3704274B2 - クラフト紙粘着テープの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば段ボール箱等の封緘用として好適なクラフト紙粘着テープの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば段ボール箱等で各種内容物を梱包する時の封緘用としてクラフト紙粘着テープが広く用いられている。上記クラフト紙粘着テープは、一般的に、クラフト紙の一方の面にポリエチレン樹脂層が積層され、そのポリエチレン樹脂層上にシリコーン系離型剤等からなる離型剤層が設けられおり、クラフト紙の他方の面(非離型剤層側の面)にゴム系粘着剤、熱可塑性エラストマー系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤等からなる粘着剤層が設けられた構成を有している。
【0003】
近年、クラフト紙粘着テープの段ボール箱等に対する封緘性能や粗面を有する被着体に対する接着性能等を向上させるために種々の試みがなされており、本出願人も、クラフト紙の一方の面に密度が0.925〜0.950g/cm3 であり、メルトフローレートが1〜20g/10分である耐熱性の良いポリエチレン系樹脂層を積層し、且つ、クラフト紙の他方の面に水を含浸させた後、粘着剤を塗工し加熱して粘着剤層中に気泡を生成させるクラフト紙粘着テープの製造方法を提案している。
【0004】
上記提案にあるクラフト紙粘着テープの製造方法の場合、水をクラフト紙に含浸させた後に粘着剤を塗工し加熱して粘着剤層中に気泡を生成させるので、気泡を生成させる際の加熱により、ポリエチレン系樹脂層が溶融してポリエチレン系樹脂層中にも気泡が生成し、結果的に粘着剤層中の気泡生成量が減少したり、クラフト紙粘着テープ背面(ポリエチレン系樹脂層側の面)が凹凸を帯びる等の問題が発生しがちであり、ポリエチレン系樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂の耐熱性を上げる必要があった。
【0005】
ポリエチレン系樹脂の耐熱性を上げる効果的な方法としては、密度を高くして融点を高めたポリエチレン系樹脂を用いる方法が挙げられるが、ポリエチレン系樹脂の密度を高めると、ポリエチレン系樹脂層の腰が強くなって、クラフト紙粘着テープにカールや反りが起こりやすくなったり、クラフト紙粘着テープ自体の反発力により段ボール箱等に貼り付けた後に剥がれやすくなるという問題点や、クラフト紙に対するポリエチレン系樹脂層の積層時の初期接着性が不十分となったり、ポリエチレン系樹脂層の加熱収縮により熱履歴後の接着性が低下するという問題点等が発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、クラフト紙とポリエチレン系樹脂層との接着性が初期及び熱履歴後のいずれについても優れていると共に、カールや反りを起こさず、加熱によって粘着剤層中に気泡を生成させる際にポリエチレン系樹脂層中に気泡を生成することが殆どないので、粘着剤層中の気泡生成量が減少したり、テープ背面が凹凸を帯びることがなく、且つ、例えば段ボール箱等に対する優れた封緘性能や粗面を有する被着体に対する優れた接着性能等を発現し得るクラフト紙粘着テープの簡便な製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によるクラフト紙粘着テープの製造方法は、一方の面にポリエチレン系樹脂層が積層されたクラフト紙の他方の面に液状揮発成分を塗工もしくは含浸した後、この上に粘着剤層を積層し、次いで加熱することにより粘着剤層中に気泡を生成させるクラフト紙粘着テープの製造方法であって、上記ポリエチレン系樹脂層が、(a)密度が0.950g/cm3 以上であり、メルトフローレートが5〜45g/10分である高密度ポリエチレン樹脂、(b)メルトフローレートが2〜20g/10分であり、メルトフローレートと溶融弾性指数との関係が下式(1)を満たす高圧法低密度ポリエチレン樹脂、(c)メルトフローレートが0.2〜8g/10分であり、メルトフローレートと溶融弾性指数との関係が下式(2)を満たす高圧法低密度ポリエチレン樹脂からなり、且つ、上記各ポリエチレン樹脂の溶融混合物は、密度が0.930〜0.950g/cm3 であり、メルトフローレートが2〜20g/10分であることを特徴とする。
【0008】
本発明で用いられるクラフト紙としては、一般的に粘着テープ用として用いられているクラフト紙で良く、例えば、未晒クラフト紙、半晒クラフト紙、晒クラフト紙、或いは、これらに伸長性を付与するためにクルパック加工が施されたもの、また、これらに湿潤強度を付与するためにウェットストレングス加工が施されたもの等が挙げられるが、なかでもクルパック加工が施されたクラフト紙やウェットストレングス加工が施されたクラフト紙等が好適に用いられる。
【0009】
上記クラフト紙は、特に限定されるものではないが、その坪量が40〜100g/m2 であるものが好ましい。クラフト紙の坪量が40g/m2 未満であると、クラフト紙粘着テープの強度が不十分となることがあり、逆にクラフト紙の坪量が100g/m2 を超えると、クラフト紙粘着テープ自体の反発力が強くなって、段ボール箱等の被着体に貼り付けた後に剥がれやすくなることがある。
【0010】
本発明の製造方法においては、上記クラフト紙の一方の面に、(a)密度が0.950g/cm3 以上であり、メルトフローレート(以下、「MFR」と記す)が5〜45g/10分である高密度ポリエチレン樹脂、(b)MFRが2〜20g/10分であり、MFRと溶融弾性指数(以下、「MT」と記す)との関係が下式(1)を満たす高圧法低密度ポリエチレン樹脂、(c)MFRが0.2〜8g/10分であり、MFRとMTとの関係が下式(2)を満たす高圧法低密度ポリエチレン樹脂からなり、且つ、上記各ポリエチレン樹脂の溶融混合物は、密度が0.930〜0.950g/cm3 であり、MFRが2〜20g/10分であるポリエチレン系樹脂層が積層されていることが必要である。
MT≦−0.4×log(MFR)+4.0 式(1)
MT≧−0.5×log(MFR)+4.2 式(2)
【0011】
上記密度とは、JIS K−6760「ポリエチレン試験方法」に準拠して測定された密度を意味し、上記MFRとは、JIS K−6760に準拠して、試験温度190℃、試験荷重21.18Nの条件で測定されたMFRを意味する。また、上記MTとは、23℃−50%RHの雰囲気下において、MFR測定時と同一の試験温度及び試験荷重で押出しされた溶融ポリエチレン樹脂のストランドを8m/分の速度で引取った時の引取り張力(g)を意味する。
【0012】
(a)成分である高密度ポリエチレン樹脂の密度が0.950g/cm3 未満であると、上記(a)成分、(b)成分及び(c)成分の各ポリエチレン樹脂の溶融混合物の密度が低くなり、ポリエチレン系樹脂層の耐熱性が不十分となる。
【0013】
また、(a)成分である高密度ポリエチレン樹脂のMFRが5g/10分未満であると、クラフト紙にポリエチレン系樹脂層を積層する時の高速加工性が阻害され、逆に上記高密度ポリエチレン樹脂のMFRが45g/10分を超えると、クラフト紙にポリエチレン系樹脂層を積層する時にネックインが大きくなり、生産性が低下する。
【0014】
(b)成分である高圧法低密度ポリエチレン樹脂のMFRが2g/10分未満であると、クラフト紙にポリエチレン系樹脂層を積層する時の高速加工性が阻害され、逆に上記高圧法低密度ポリエチレン樹脂のMFRが20g/10分を超えると、クラフト紙にポリエチレン系樹脂層を積層する時にネックインが大きくなり、生産性が低下する。
【0015】
また、(b)成分である高圧法低密度ポリエチレン樹脂のMFRとMTとの関係が前記式(1)を満たさないと、クラフト紙にポリエチレン系樹脂層を積層する時の高速加工性が阻害される。
【0016】
(c)成分である高圧法低密度ポリエチレン樹脂のMFRが0.2g/10分未満であると、クラフト紙にポリエチレン系樹脂層を積層する時の高速加工性が阻害され、逆に上記高圧法低密度ポリエチレン樹脂のMFRが8g/10分を超えると、クラフト紙にポリエチレン系樹脂層を積層する時にネックインが大きくなり、生産性が低下する。
【0017】
また、(c)成分である高圧法低密度ポリエチレン樹脂のMFRとMTとの関係が前記式(2)を満たさないと、クラフト紙にポリエチレン系樹脂層を積層する時にネックインが大きくなり、生産性が低下する。
【0018】
本発明の製造方法においては、高圧法低密度ポリエチレン樹脂として、(b)成分である前記式(1)を満たす低MT樹脂と(c)成分である前記式(2)を満たす高MT樹脂とが併用されることが必要である。
【0019】
高圧法低密度ポリエチレン樹脂として低MT樹脂のみを用いると、クラフト紙にポリエチレン系樹脂層を積層する時にネックインが非常に大きくなり、生産性が著しく低下する。また、高圧法低密度ポリエチレン樹脂として高MT樹脂のみを用いると、クラフト紙にポリエチレン系樹脂層を高速で積層する時のクラフト紙に対するポリエチレン系樹脂層の初期接着性が低下したり、離型処理や粘着剤層の積層に伴う熱履歴後の接着性が不十分となる。また、展開力(巻戻し力)の高いクラフト紙粘着テープの場合、巻重体状とされたクラフト紙粘着テープの展開(巻戻し)時にクラフト紙からポリエチレン系樹脂層が剥離しやすくなる。
【0020】
本発明の製造方法においては、上記(a)成分、(b)成分及び(c)成分の溶融混合物の密度が0.930〜0.950g/cm3 であり、MFRが2〜20g/10分であることが必要である。
【0021】
上記溶融混合物の密度が0.930g/cm3 未満であると、ポリエチレン系樹脂層の耐熱性が不十分となって、粘着剤層中へ気泡を生成させるための加熱時にポリエチレン系樹脂層が溶融状態となって発泡し、粘着剤層中の気泡生成量が減少したり、テープ背面が凹凸を帯びる等の不都合が発生し、逆に上記溶融混合物の密度が0.950g/cm3 を超えると、ポリエチレン系樹脂層の腰が強くなって、クラフト紙粘着テープで段ボール箱等を封緘する時の作業性が低下したり、クラフト紙粘着テープ自体の反発力が強くなって、段ボール箱等に貼り付けた後に剥がれやすくなる。
【0022】
また、上記溶融混合物のMFRが2g/10分未満であると、クラフト紙にポリエチレン系樹脂層を積層する時の高速加工性が阻害され、逆に上記溶融混合物のMFRが20g/10分を超えると、クラフト紙にポリエチレン系樹脂層を積層する時にネックインが大きくなり、生産性が低下する。
【0023】
クラフト紙の一方の面に上述した(a)成分、(b)成分及び(c)成分からなるポリエチレン系樹脂層を積層する方法としては、生産性が良く、クラフト紙とポリエチレン系樹脂層との接着性も優れたものとなることから、押出しラミネーション法を採用することが好ましい。上記ポリエチレン系樹脂層は、単層であっても良いし、2層以上の多層であっても良い。
【0024】
また、上記ポリエチレン系樹脂層中には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が添加されていても良い。
【0025】
ポリエチレン系樹脂層の全体の厚みは、特に限定されるものではないが、10〜25μmであることが好ましい。ポリエチレン系樹脂層の全体の厚みが10μm未満であると、ポリエチレン系樹脂層の強度や耐熱性が不十分となることがあり、逆にポリエチレン系樹脂層の全体の厚みが25μmを超えると、ポリエチレン系樹脂層の腰が強くなって、クラフト紙粘着テープがカールや反りを起こしやすくなることがある。
【0026】
本発明の製造方法においては、クラフト紙粘着テープの展開性(巻戻し性)を向上させるために、クラフト紙の一方の面に積層されたポリエチレン系樹脂層の表面に離型剤からなる離型剤層が形成されていることが好ましい。通常、離型剤層は粘着剤層の積層前に形成されるので、粘着剤層を積層する時の加熱や粘着剤層中に気泡を生成させるための加熱に耐える必要があり、好ましい離型剤としては、例えば、付加反応型シリコーン樹脂系離型剤、縮合反応型シリコーン樹脂系離型剤、長鎖アルキル基ペンダント型グラフトポリマー系離型剤等が挙げられる。また、離型剤層の形成方法としては、例えば、グラビアロール等による塗工方法が挙げられる。
【0027】
本発明の製造方法においては、クラフト紙の他方の面(ポリエチレン系樹脂層が積層されていない方の面)に液状揮発成分を塗工もしくは含浸した後、この上に粘着剤層を積層し、次いで加熱することにより粘着剤層中に気泡を生成させることが必要である。
【0028】
上記液状揮発成分としては、例えば、水、或いは、アルコール、トルエン、酢酸エチル等の有機溶剤等が挙げられるが、なかでも、安全性に優れ急激に揮発することもないことから、水が好適に用いられる。これらの液状揮発成分は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0029】
クラフト紙の他方の面に液状揮発成分を塗工もしくは含浸する方法としては、例えば、グラビアロール等による転写塗工方法やスプレー塗布機等によるスプレー(噴霧)塗工方法等が挙げられる。
【0030】
上記粘着剤層を形成させるために用いられる粘着剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、熱可塑性エラストマー系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられるが、なかでも、加熱により容易に軟化して液状揮発成分のガス化を妨げず、冷却により容易に固化して生成した気泡を微細な分散状態で保持し、且つ、好ましい緩衝性を呈することから、熱可塑性エラストマー系ホットメルト型粘着剤が好適に用いられる。
【0031】
上記熱可塑性エラストマー系ホットメルト型粘着剤とは、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体等の熱可塑性エラストマーの1種もしくは2種以上を主成分とし、これに本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、粘着性付与樹脂、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、カップリング剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上を添加してなる粘着剤である。
【0032】
クラフト紙の他方の面(ポリエチレン系樹脂層が積層されていない方の面)に粘着剤層を積層する方法としては、例えば、ロールコーター、ダイコーター、ホットメルトコーター等を用いて、上記粘着剤をクラフト紙の他方の面に直接塗工する方法が挙げられる。
【0033】
クラフト紙の他方の面に塗工もしくは含浸された液状揮発成分をガス化させて粘着剤層中に気泡を生成させるための加熱手段としては、特に限定されるものではなく、例えば、溶剤型粘着剤を用いて粘着テープを作製する場合に一般的に用いられる加熱乾燥装置等が挙げられる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
クルパック加工及びウェットストレングス加工が施された坪量75g/m2 の未晒クラフト紙の一方の面上に、(a)成分として密度0.973g/cm3 、MFR28g/10分の高密度ポリエチレン樹脂、(b)成分として密度0.916g/cm3 、MFR4.2g/10分、MT3.2gの高圧法低密度ポリエチレン樹脂、(c)成分として密度0.935g/cm3 、MFR2g/10分、MT8gの高圧法低密度ポリエチレン樹脂からなる密度0.935g/cm3 、MFR7g/10分の溶融混合物を押出しラミネーション法により押出して、厚み15μmのポリエチレン系樹脂層を積層した。次に、このポリエチレン系樹脂層の表面に付加反応型シリコーン樹脂系離型剤を固形分の塗工量が0.5g/m2 となるように塗工して離型剤層を形成した。
【0036】
次いで、上記クラフト紙の他方の面(ポリエチレン系樹脂層が積層されていない方の面)に水を塗工量が約4g/m2 となるようにスプレー塗工した後、この上に、熱可塑性エラストマーとしてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(商品名「クレイトンTR−1107」、シェル化学社製)100重量部、粘着性付与樹脂として石油樹脂(商品名「クイントンA−100」、日本ゼオン社製)100重量部、軟化剤としてプロセスオイル(商品名「シェルフレックス702」、シェル化学社製)30重量部及び酸化防止剤(老化防止剤)として商品名「ヨシノックス425」(吉富製薬社製)1重量部からなる熱可塑性エラストマー系ホットメルト型粘着剤を塗工量が40g/m2 となるようにダイコーターで溶融塗工して粘着剤層を積層し、引き続き160℃の加熱乾燥装置中に30秒間放置して、粘着剤層中に気泡が生成したクラフト紙粘着テープを作製した。
【0037】
(比較例1)
ポリエチレン系樹脂層の積層において、実施例1で用いた高密度ポリエチレン樹脂と実施例1で用いた2種類の高圧法低密度ポリエチレン樹脂の内の1種類の高圧法低密度ポリエチレン樹脂とからなる密度0.932g/cm3 、MFR6g/10分の溶融混合物を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、粘着剤層中に気泡が生成したクラフト紙粘着テープを作製した。
【0038】
(比較例2)
ポリエチレン系樹脂層の積層において、密度0.923g/cm3 、MFR5g/10分の高圧法低密度ポリエチレン樹脂のみを用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、粘着剤層中に気泡が生成したクラフト紙粘着テープを作製した。
【0039】
実施例1、比較例1及び比較例2で作製したクラフト紙とポリエチレン系樹脂層との積層体の性能(▲1▼クラフト紙とポリエチレン系樹脂層との接着性)、及び、実施例1、比較例1及び比較例2で作製したクラフト紙粘着テープの性能(▲2▼ポリエチレン系樹脂層の耐熱性)を以下の方法で評価した。その結果は表1に示した。
【0040】
▲1▼クラフト紙とポリエチレン系樹脂層との接着性:ボンドテスター法により、クラフト紙とポリエチレン系樹脂層との積層体のクラフト紙側(ポリエチレン系樹脂層が積層されていない方の側)から圧縮空気をあて、クラフト紙面からポリエチレン系樹脂層が剥離した時の空気圧を測定した。空気圧が高いほど接着性が優れていることになる。
【0041】
▲2▼ポリエチレン系樹脂層の耐熱性:顕微鏡写真分析法により、クラフト紙粘着テープのポリエチレン系樹脂層から5mm×4mmの面積をランダムに5点選び、顕微鏡(倍率20倍)写真によってポリエチレン系樹脂層中の発泡数を数え、上記5点の発泡数の平均値を算出した。発泡数が少ないほど耐熱性が優れていることになる。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明の製造方法においては、クラフト紙の一方の面に積層されるポリエチレン系樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂として、(a)特定の密度とMFRを有する高密度ポリエチレン樹脂、(b)特定のMFRとMT(低MT)を有する高圧法低密度ポリエチレン樹脂及び(c)特定のMFRとMT(高MT)を有する高圧法低密度ポリエチレン樹脂の3成分からなる溶融混合物を用い、且つ、この溶融混合物の密度及びMFRが特定の範囲とされているので、クラフト紙とポリエチレン系樹脂層との接着性が初期及び熱履歴後のいずれについても優れていると共に、クラフト紙とポリエチレン系樹脂層との積層体は強度と柔軟性のバランスが良好であるので、カールや反りを起こし難く、且つ、上記ポリエチレン系樹脂層は優れた耐熱性を有するので、熱履歴を受けても殆ど発泡せず、ポリエチレン系樹脂層の表面(テープ背面)が凹凸を帯びることもない。
【0044】
また、クラフト紙の他方の面に積層されている粘着剤層は多数の微細な気泡を含有しているので、良好な緩衝性を有し、例えば段ボール箱等に対する優れた封緘性能や粗面を有する被着体に対する優れた接着性能等を発現する。
【0045】
以上述べたように、本発明の製造方法によれば、上記諸性能を高度なバランスで兼備するクラフト紙粘着テープを簡便に得ることが出来る。
Claims (1)
- 一方の面にポリエチレン系樹脂層が積層されたクラフト紙の他方の面に液状揮発成分を塗工もしくは含浸した後、この上に粘着剤層を積層し、次いで加熱することにより粘着剤層中に気泡を生成させるクラフト紙粘着テープの製造方法であって、上記ポリエチレン系樹脂層が、(a)密度が0.950g/cm3 以上であり、メルトフローレートが5〜45g/10分である高密度ポリエチレン樹脂、(b)メルトフローレートが2〜20g/10分であり、メルトフローレートと溶融弾性指数との関係が下式(1)を満たす高圧法低密度ポリエチレン樹脂、(c)メルトフローレートが0.2〜8g/10分であり、メルトフローレートと溶融弾性指数との関係が下式(2)を満たす高圧法低密度ポリエチレン樹脂からなり、且つ、上記各ポリエチレン樹脂の溶融混合物は、密度が0.930〜0.950g/cm3 であり、メルトフローレートが2〜20g/10分であることを特徴とするクラフト紙粘着テープの製造方法。
MT≦−0.4×log(MFR)+4.0 式(1)
MT≧−0.5×log(MFR)+4.2 式(2)
(式中、MTは溶融弾性指数を示し、MFRはメルトフローレートを示す)
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