JP3702760B2 - 真空式汚水処理システムにおける真空発生装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は真空式汚水処理システムにおける真空発生装置に関し、特にエジェクタを用いて真空(負圧)を発生させる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
汚水の処理システムとして、真空発生装置で発生させた真空により汚水を吸引・収集して後段の汚水処理装置へ送り出し、そこで汚水を浄化処理する真空式汚水処理システムが用いられている。第7図は、特公平8−18028号に記載されたこのシステムの一例を示したものであって、各家庭等において排水された汚水を、真空発生装置100で発生させた真空により真空管路102を通じて空気とともに気液混合状態で真空発生装置100の汚水槽104内に吸引し、そしてそこで気液分離して汚水のみを後段の汚水処理装置へと送るようになっている。
【0003】
真空発生装置100としては、土中にほぼ下半分を埋設したハウジング106内に汚水槽104と機械室108とを区画形成し、そしてエジェクタ110により汚水槽104内の汚水をその噴出口から噴出させつつ循環させ、その噴出口からの噴出流によって真空を発生させるようにした形態のものが一般に採用されている。
【0004】
この真空発生装置100においては、汚水槽104と機械室108とを別々に区画形成する必要があり、これに起因してハウジング106ないし真空発生装置100自体が大型のものとならざるを得ないといった問題があった。
【0005】
そこでかかる真空発生装置のハウジングとして、下水システムにおいて広く用いられているマンホール用の円筒体を用い、その内部を汚水槽と成してそこにエジェクタを配置・収容することが考えられている。第8図(A)はその一例を示したものであって、循環ポンプ112により汚水114を揚水するとともに、エジェクタ116の噴出口より汚水槽118内に噴出させ、真空発生部120で発生させた真空(負圧)により管路122から汚水を吸引するようになっている。
【0006】
しかしながらこのような真空発生装置の場合、マンホール用円筒体の直径として、少なくてもエジェクタ116の水平方向長さ+噴出流の長さ分の直径が必要であり、直径の大きなマンホール用円筒体が必要となってしまう。またこの他噴出流が壁面に対して正面から勢い良く衝突するために、その反射流が激しく、加えて気相中における噴出流の滞留時間が短いために、気相中で気液分離が十分に行われないといった問題がある。
【0007】
これに対し第8図(B)に示しているように、エジェクタ124からの噴出流を鉛直下方に噴出させる。この場合には、真空発生装置のハウジング126として直径の小さなマンホール用円筒体を用いることが可能である。しかしながらこの形式の場合、エジェクタ124からの噴出流が強い勢いで汚水液114中に突入するために液中に多量の空気が混入し、循環ポンプ112の揚水能力が大きく低下する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
これを防止するため、エジェクタ124からの噴出流の途中にバッファー板128を設け、ここで勢いを止めることが考えられるが、この場合にはバッファー板128に対して噴出流が勢い良く衝突するためにバッファー板128の強度が問題となり、加えて水が飛び散ることによって泡が多量に発生し、通気管(図示略)を介して泡が外部に流出することもある。
【0009】
本発明は、上記の種々の問題点を解決し、ポンプへの空気巻込が無く、しかも泡の発生も著しく少ない真空式汚水処理システムにおける真空発生装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の真空発生装置は、収集した汚水を一旦汚水槽に収容するとともに、該汚水槽内の汚水をエジェクタによりその噴出口より噴出させつつ循環させ、該エジェクタの噴出作用に基づいて真空を発生させるようにした真空発生装置であって、前記エジェクタを前記汚水槽内に上下方向に配設し、該エジェクタからの噴出流を該汚水槽内の水面上方から水面に向って噴出させるようにした真空式汚水処理システムにおける真空発生装置において、該エジェクタの噴出水が当たる水受け板を水面下に設けたことを特徴とするものである。
【0011】
かかる真空発生装置にあっては、水受け板を設けているので、エジェクタの噴出水流が汚水槽内の汚水に突入して汚水に空気が流入することがなく、ポンプへの空気巻込が防止される。また、水受け板を水面下に設けているので、水が飛び散ることによる泡の発生も防止される。
【0012】
この水受け板は、水面下100〜300mmに配置されることが好ましい。水受け板の位置が100mmよりも浅いと、水が飛び散って泡が生じるおそれがある。また、300mmよりも深いと、空気が汚水に巻き込まれるおそれがある。
【0013】
この水受け板は平板形であってもよく、上に凸となる錐又は山形であってもよい。錐又は山形の場合、その上端と下端の中間のレベルが水面下100〜300mmの範囲にあるように配置されるのが好ましい。
【0014】
この水受け板を設けたことにより泡の発生量は著しく少なくなるが、皆無になる訳ではなく、エジェクタを作動させると汚水の水面上には多少なりとも泡が生じる。この泡が通気管内に流入することを防止するために、通気管の入口に対向させて設けるのが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図(A)は実施の形態に係る真空発生装置の縦断面図、同(B)は同(A)のB−B線に沿う断面図、第2、3図は第1図(A)のII−II線及びIII−III線に沿う断面図である。第4、5図は水受け板の斜視図、第6図は防泡板の斜視図である。
【0016】
汚水槽10は、この実施の形態では略円筒形のコンクリート製のものであり、上部にはマンホール12が設けられている。マンホール12の下側の槽壁にラダー13が設けられている。
【0017】
この汚水槽10は、上下方向の中間よりも若干上位の箇所に水平にフロアプレート14が設置され、上側の作業室16と下側の水槽室18とに区画されている。フロアプレート14には、水槽室18内を点検するための点検蓋19(第2図)が設けられている。
【0018】
このフロアプレート16よりも上側の槽壁に、真空下水管が接続される流入管20が設けられている。フロアプレート16よりも下側の槽壁には、下水の流出用の移流管22と、汚水槽10内を大気に連通させるための通気管24とが設けられている。
【0019】
この通気管24の入口に対面するように泡流出防止板(以下、防泡板という。)26が設けられている。第6図の通り、この防泡板26は、通気管24の入口24aに対面する主板部26aと、該主板部26aから槽壁に向って立設された1対の側板部26bと、該側板部26bに連なる脚片部26cとを有した略ハット形状のものである。該側板部26bが上下方向を指向するように配置され、脚片部26cが壁内壁にアンカーボルト等によって固定される。
【0020】
第2図の通り、汚水槽10内における前記流入管20の末端側には、仕切弁30、エルボ32、フレキ管34及び逆止弁36がこの順に接続され、該逆止弁36がエジェクタ40の吸引ポートに接続されている。この逆止弁36は流入管20からエジェクタ40に向う流れを許容し、それと反対方向の流れを阻止する。
【0021】
エジェクタ40の水(作動流体)流入口には揚水用の配管42が接続されている。この配管42は、フロアプレート14を貫通して汚水槽10の底部近傍まで引き回され、エルボ43を介してポンプ44に接続されている。このポンプ44はその底面部に吸込口46を備えている。
【0022】
エジェクタ40は、水の噴出方向を下向きにして上下方向に設置されており、上記の通りその上端部の水流入口に該配管42が接続されている。
【0023】
エジェクタ40の噴出口は、汚水槽10内の水面WLよりも上位に位置する。なお、水面WLは移流管22の入口のレベルに合致する。
【0024】
このエジェクタ40の噴出口の鉛直下方の水面下に水受け板50が設置されている。
【0025】
この実施の形態では、水受け板50は平板状であり、ブラケット52及び固定部材54を介して前記配管42に固定されている。
【0026】
第4図の通り、この固定部材54は、1対の半割り円筒状の挟持金具56、58よりなり、これら挟持金具56、58によって配管42を挟み、挟持金具56,58のフランジ56a、58a同士をボルト及びナット(図示略)によって連結することにより該配管42に固定される。前記ブラケット52は該挟持金具58に連結されている。
【0027】
なお、この実施の形態では水受け板50は円板形となっているが、方形、多角形あるいは楕円形等であってもよい。また、この水受け板50は平板よりなるが、第5図(A)、(B)のように上に凸の錐形の水受け板50Aや、上に凸の山形の水受け板50B等としてもよい。
【0028】
この水受け板50は、水面下100〜300mmに設置されている。
【0029】
この実施の形態にあっては、エジェクタ40は2基設置され、これに連なる配管42及びポンプ44も2系統設けられ、仕切弁30から逆止弁36に至る吸込系統も2系統設けられている。このように並列に設置された2系列のポンプ44及びエジェクタ40等よりなる吸引機構は交互に駆動される。
【0030】
このように構成された真空発生装置において、ポンプ44を駆動すると、汚水槽10内の汚水がポンプ44から配管42を介してエジェクタ40に供給され、該エジェクタ40の噴出口から下方に噴出される。そして、エジェクタ40内に生じた負圧が逆止弁36、仕切弁30(開放常態にある。)を介して、流入管20に伝達される。そして、該流入管20に接続された真空下水管内が負圧となり、真空下水管内の汚水が汚水槽10に向って流れる。汚水が流入することによって汚水槽10内の水位が上昇しようとすると、この汚水は移流管22を介して汚水槽10から流出する。
【0031】
エジェクタ40から噴出した汚水は、水面下の水受け板50に当たるため、噴出水に巻き込まれた空気が汚水槽10内の汚水の深部に達することがなく、ポンプ44に空気が巻き込まれることが防止される。
【0032】
また、この水受け板50は水面下に配置されているので、エジェクタ噴出水が飛び散らず、泡の発生も極めて少ない。仮に泡が生じても、通気管24の流入口に対面して防泡板26を設けているので、泡が通気管24内に流入することが防止される。
【0033】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の真空発生装置は、ポンプに対する空気の巻き込みがなく、また泡の発生量も著しく少ない。本発明によると、泡が通気管に流入することを防止するよう構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る真空発生装置の断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】水受け板の斜視図である。
【図5】別の水受け板の斜視図である。
【図6】防泡板の斜視図である。
【図7】真空式汚水処理システムの一例を示す説明図である。
【図8】従来の真空発生装置を示す断面図である。
【符号の説明】
10 汚水槽
14 フロアプレート
20 流入管
22 移流管
24 通気管
26 防泡板(泡流出防止板)
30 仕切弁
36 逆止弁
40 エジェクタ
44 ポンプ
50、50A、50B 水受け板
Claims (4)
- 収集した汚水を一旦汚水槽に収容するとともに、該汚水槽内の汚水をエジェクタによりその噴出口より噴出させつつ循環させ、該エジェクタの噴出作用に基づいて真空を発生させるようにした真空発生装置であって、
前記エジェクタを前記汚水槽内に上下方向に配設し、該エジェクタからの噴出流を該汚水槽内の水面上方から水面に向って噴出させるようにした真空式汚水処理システムにおける真空発生装置において、
該エジェクタの噴出水が当たる水受け板を水面下に設けたことを特徴とする真空式汚水処理システムにおける真空発生装置。 - 請求項1において、該水受け板を水面下100〜300mmに設けたことを特徴とする真空式汚水処理システムにおける真空発生装置。
- 請求項1又は2において、該水受け板は平板形、上に凸となる錐形、又は上に凸となる山形であることを特徴とする真空式汚水処理システムにおける真空発生装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、該汚水槽内を大気に連通させるための通気管が該汚水槽の槽壁に設けられており、泡の該通気管内への流入を阻止するための泡流出防止板を該通気管の入口に対面させて設けたことを特徴とする真空式汚水処理システムにおける真空発生装置。
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