JP3702117B2 - 電子部品装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電素子、水晶振動子、ICチップ等の電子部品素子をセラミックパッケージに収容し、金属製蓋体によって封止してなる電子部品装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧電素子、水晶振動子、ICチップ等の気密封止が必要な電子部品素子は、キャビティー部が形成された気密容器に収容し、キャビティー部の開口を蓋体で封止していた。尚、本発明では、このような電子部品素子を収容した部品を電子部品装置という。
【0003】
この電子部品装置の蓋体の封止構造としては種々の構造がある。しかし、蓋体を封止するにあたり、過度の熱処理を避ける必要がある。これは、封止のための熱が、内部に収容されている電子部品素子に影響すると、この電子部品素子の特性を劣化させたり、容器の気密安定性に支障をきたしてしまう。このような電子部品装置はプリント配線基板上に実装される他の電子部品の実装方法を考慮してリフロー処理を施すが、この場合、気密容器と蓋体との封止接合部分の封止が破壊されることを避けなければならない。
【0004】
このような種々の制約を解決する封止構造としては、気密容器にセラミックパッケージを使用し、また、蓋体に金属製蓋体を利用して、両者をシーム溶接を行うことが行われている。例えば特開平9−246415号公報に記載されたものがある。特に、通常のシーム溶接で使用されるセラミックパッケージ側に取着したシールリングを排除して、直接セラミックパッケージの開口面(開口周囲の表面)に、金属製蓋体をAgろう材などの金属層を介して封止するものである。
【0005】
このAgろう材層は、金属製蓋体となる金属板のセラミックパッケージ側主面に一体的に被着形成していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の特開平9−246415号では、電子部品素子を収納するセラミックパッケージの開口面(開口周囲の表面)にはメタライズ導体層と、金属製蓋体のAgろう材などの金属層とがビーム溶接が行なわれている。即ち、溶融したAgろう材などの金属層からセラミックパッケージに過度の熱が伝わりクラックが発生しやすい。また、Agろう材などの金属層の溶融部分が金属製蓋体の外辺よりも内側部位となり、Agろう材によるフィレット(金属製蓋体の端面に形成される金属の溜まり部)が形成されない。このため、溶着状態を目視によって確認することができず、その封止信頼性を大きく低下してしまう。
【0007】
また、外周の未溶接の隙間から金属腐食が発生するという問題があった。さらに金属製蓋体の下面にAgろう材の金属層を被着した蓋体を使用した場合、上面側は金属板がそのまま露出しているため、腐食しやすい構造となっていた。これをシーム溶接で封止する場合は、安定したシーム溶接ができず、信頼性試験においてセラミックパッケージにクラックが発生するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、セラミックパッケージと金属蓋体とのシーム溶接の作業性を低下させることなく、且つセラミックパッケージにクラックなどが発生することなく封止信頼性の高い電子部品装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子部品装置は、上面が開口した筐体状セラミックパッケージ内に、電子部品素子を収容し、前記セラミックパッケージの開口周囲に、厚み10〜30μmのメタライズ導体層と該メタライズ導体層上に被着した厚み5〜15μmのメッキ層とからなるシール導体層を被着形成するとともに、厚み50〜100μmのコバールからなる金属板と該金属板の下面に被着された低融点金属層とからなる金属製蓋体を前記シール導体層にシーム溶接により接合することによって前記電子部品素子を内部に気密に封止してなる電子部品装置において、前記金属製蓋体の外周を前記シールド導体層の外周より内側に位置させることにより、前記シール導体層の外周から前記金属製蓋体の端面にかけて前記低融点金属層の材料によるフィレットを形成するとともに、前記金属板の上面に、前記フィレットの回り込みを防止すべく、前記低融点金属層の材料に対して濡れ性が悪い金属層を形成したことを特徴とするものである。
【0010】
また本発明の電子部品装置は、前記低融点金属層の厚みを10〜50μmとなし、且つ前記金属製蓋体の外周と前記シール導体層の外周との距離を、前記シール導体層の幅の10〜30%となしたこと特徴とするものである。
【0011】
【作用】
上述のように、本発明の金属製蓋体は、セラミックと熱膨張係数の近似したコバール材からなり、その厚みが50μm〜100μmとなっている。そして、封止側主面に厚み10〜50μmのAgろう材などの低融点金属層が被着形成されている。
【0012】
また、セラミックパッケージ側においては、開口周囲の肉厚部には、金属製蓋体と接合するシール導体層が形成されている。このシール導体層は、タングステン、モリブデン、さらに、低融点金属層の融点以下の導体層、例えばAg系(Ag単体、Ag合金)やCu系(Cu単体、Cu合金)からなり、厚み10〜30μmである。また、メタライズ導体層上には、5〜15μmのメッキ層が被着形成されている。
【0013】
メタライズ導体層の厚みが10〜30μmであり、通常のシームリングを用いた溶接を行なう場合に比較して厚く設定されている。この厚みによるメタライズ導体層によって、シーム溶接時で発生する過度の熱がセラミックパッケージに及ぼす影響が小さくなり、クラックの発生を有効に抑えることができる。
【0014】
尚、メタライズ導体層の厚みが10μm未満では、セラミックパッケージ部分に上述の原因によりクラックが発生し易く、また、その厚みが30μmを越えると、メタライズの表面(実際にはメッキ層が被着される)が、中央部が盛り上がった形状となり、金属製蓋体と安定的に接合しないため、低融点金属層がメタライズ導体層に溶融せず、安定した封止ができなくなってしまう。
【0015】
また、メッキ層はNi材料などからなり、金属製蓋体の封止面側に形成した例えばAgろう材層と安定的に接合するための材料であり、その厚みは、5μm未満では、上述のようにシーム溶接時で発生する過度の熱がメタライズ導体層、メタライズ導体層を介してセラミックパッケージに及ぼす影響が大きくなり、クラックが発生してしまう。その厚みが15μmを越えるとメタライズ導体層との接合強度が低下していき、結果として、金属製蓋体とセラミックパッケージとの接合強度が極端に低下してしまう。
【0016】
また、金属製蓋体のコバール材からなり、その厚みを50〜100μmとすることにより、シーム溶接による金属製蓋体の伸展による応力(収縮応力)が小さくなり、セラミックパッケージにクラックを発生させない。
【0017】
例えば、50μm未満では金属板自身の剛性に欠け、安定した組立が困難となったり、シーム溶接によって接合した金属製蓋体が波うってしまい、金属製蓋体の全周にわたり安定した接合が困難となってしまう。
【0018】
また、100μmを越えると、上述のように金属製蓋体の伸展による応力(収縮応力)が大きくなり、セラミックパッケージにクラックが発生するとともに、さらに、溶接部分までの距離が増加して、溶接ができなくなることもある。
【0019】
低融点金属層であるろう材層は、金属製蓋体とセラミックパッケージに形成したシール導体層とを機械的に接合する部材であり、その厚みは10〜50μmとなっている。
【0020】
例えば、10μm未満では、シール導体層の表面の凹凸を吸収することができないため、溶接した結果、溶接が達成された部位と溶接が不充分な部位とが混在してしまい、安定した溶接を行なうことができない。また、50μmを越えると、所定溶接電流を供給しても溶けにくくなり、その結果、安定した溶接が困難となる。
【0021】
また、金属製蓋体の外周は、前記シール導体層に接合して、そのシール導体層の外周との差に、シール導体層幅の10〜30%の距離が存在し、金属製蓋体の端面に上述の低融点金属材料(ろう材)の溜まり部が形成されている。
【0022】
この距離が10%未満では、金属製蓋体の端面部分にろう材による溜まり部が充分に形成されず、その結果、強固な接合が達成できない。また、溶接による接合状態を目視によって確認することが困難となる。
【0023】
また30%を越えると、シーム溶接時の熱が直接シール導体層(セラミックパッケージ)に影響してしまい、その結果、セラミックパッケージにクラックが発生したり、また、スプラシュ(溶飛)がキャビティー部に飛散しやすく、電子部品素子の特性に不良が発生する。
【0024】
尚、金属製蓋体の表面側(封止面と対向する主面)には、低融点金属層の材料に対して濡れ性が悪い金属層が被着形成することか望ましい。これにより、溶けた低融点金属材料から成るろう材層が金属製蓋体の表面側に回り込むことを防止して、確実にメニスカスを形成することができる。
【0025】
このよう金属製蓋体とシール導体層が形成されたセラミックパッケージを用いることにより、従来技術のように、シールリングを排除して、簡単にシーム溶接を行なうことができる。
【0026】
そして、セラミックパッケージと金属蓋体とのシーム溶接の作業性を低下させることなく、セラミックパッケージにクラックなどが発生することなく封止信頼性の高い強固な接合が達成された電子部品装置となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子部品装置を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1は、本発明の電子部品装置の分解した状態の断面図であり、図2は、本発明の金属製蓋体の構造及びシーム溶接の封止構造を示す概略図である。
【0029】
図1において、電子部品装置1は、セラミックパッケージ2、電子部品素子3、金属製蓋体4とから主に構成されている。
【0030】
セラミックパッケージ2は、例えば複数のセラミック層が積層されてなり、上面が開口した電子部品素子3を収容するキャビティ部8が形成されている。即ち、セラミックパッケージ2の一面には、電子部品素子3を収容するための開口が形成されている。
【0031】
そして、セラミックパッケージ2のキャビティ部8開口周囲には、シール導体層5が被着形成されている。シール導体層5はタングステン、モリブデン、Ag系(Ag単体、Ag−Pd、Ag−PtなどのAg合金)材料、Cu系材料などのメタライズ導体層5aとNiメッキ、Auメッキなどの表面メッキ層5bの積層構造となっている。その積層構造とは、メタライズ導体層5a、Niメッキ、Auメッキの3層構造やメタライズ導体層5a、Niメッキの2層構造等が例示できる。
【0032】
メタライズ導体層5aとしては、厚み10〜30μm、例えば20μmのタングステンのメタライズ導体層が形成されている。このメタライズ導体層5aの厚においては、セラミックパッケージ2の開口周囲にクラックが発生せず、且つ安定した溶接、即ち、接合面を平坦化するための値となっている。
【0033】
例えば、その厚みが10μm未満では、シーム溶接時の過度の熱が影響してセラミックパッケージ2に影響してしまう。さらに、その厚みが30μmを越えると、メタライズ導体層5aを形成すべくペーストを塗布した時に、ペーストの表面張力によりその表面の中央部が盛り上がった形状となり、金属製蓋体4の封止面に安定的に接合せず、シーム溶接時、この盛り上がった部分に電流が集中してセラミックパッケージ側に熱応力が集中することになる。
【0034】
また、メッキ層5bは、メタライズ導体層5aに均一に溶接電流が印加されるようにすること、メタライズ導体層5aの腐食防止、Agろう材などの低融点金属層とのぬれ性を向上するために形成されるものであり、少なくともNiメッキ層を有し、必要に応じて表面にAuメッキ層が形成されている。メッキ層5bの合計での厚みは5〜15μmである。尚、Auメッキを形成する場合には、コストを考慮して非常に薄い厚み、例えば0.1〜0.3μm程度で被着される。
【0035】
例えば、メッキ層5bの厚みが5μm未満では、メタライズ導体層5aと同様にシーム溶接時の熱応力がセラミックパッケージ2に影響してしまい、クラックの発生原因となる。また、15μmを越えるとメッキに要する被着時間がかかり、また、メタライズ導体層5aとの密着強度が低下して、その結果、セラミックパッケージ2と金属製蓋体5との接合強度が低下してしまう。
【0036】
このようなセラミックパッケージ2のキャビティ部8の底面には、電子部品素子3を配置し、また、電気的に接続する配線導体(図では省略した)が形成されている。また、セラミックパッケージ2を構成する各セラミック層の層間には、所定回路を構成する配線導体、外表面には外部回路と接続する端子電極が形成されている。
【0037】
このようなセラミックパッケージ2は、例えば、周知の多層配線基板と同様にして製造されている。
【0038】
例えば、セラミックパッケージ2の底となるセラミックグリーンシート上に底面配線導体となる導体層を、また、他のセラミックグリーンシートにキャビティ部8となる貫通孔及び内部の配線導体となる導体層、シール導体層5のメタライズ導体層5aとなる導体層を含む内部の配線導体や底面の配線導体となる導体層を、タングステンやモリブデンの導電性ペーストを用いて印刷・乾燥する。
【0039】
そして、このようなセラミックグリーンシートを積層圧着を行い、所定雰囲気で焼成する。その後、必要に応じて、内部の配線導体と接続する外部端子電極を形成する。その後、シール導体層5の下地導体層5a上に、Niメッキ層、金メッキなどの表面メッキ層5bを形成する。これにより、セラミックパッケージ2が達成されることになる。尚、上述の形成方法は、グリーンシートの積層による製造方法であるが、例えば、セラミック粉末によるプレス成型で形成することができる。
【0040】
尚、上述のように、シール導体層5及び各配線導体は、焼成温度条件によって種々変えることができ、例えば、850〜1050℃で焼成可能なセラミック材料(ガラス−セラミック)を用いた場合には、AgやCuなどでシール導体層5のメタライズ導体層5aや配線導体を形成することができる。
【0041】
このようなセラミックパッケージ2のキャビティ部8内部に、弾性表面波素子や水晶振動子やICチップなどの電子部品素子3が収容されている。
【0042】
例えば、電子部品素子3の弾性表面波素子は、キャビティ部8の底面に接着材などを介して機械的に接合され、同時に、キャビティ部8に露出する所定配線導体にボンディングワイヤなどを介して電気的に接続される。尚、ICチップの場合にも、弾性表面波素子と同様であり、必要に応じて半田バンプやAuバンプを用いてフリップチップ接合しても構わない。
【0043】
また、必要に応じて、キャビティ部8内部に、弾性表面波素子や水晶振動子やICチップなどの電子部品素子3とともに、所定回路を構成する各種チップ状電子部品も収容配置される。
【0044】
金属製蓋体4は、セラミックパッケージ2に形成されたキャビティー部8の開口を封止するように、具体的には、開口周囲の肉厚部に載置されるように矩形状となっている。この金属製蓋体4は、コバールの金属板4aと、該金属板4aの下面に被着形成された低融点金属層4bと、該金属板4aの外側主面に被着形成された前記低融点金属層の材料に対して濡れ性が悪い金属層4c(以下、単に金属層という)とから構成されている。
【0045】
金属板4aは、熱膨張係数の小さいなコバールから成り、その厚みは50〜100μm、例えば85μmとなっている。例えば、例えば100μmを越える場合には、シーム溶接後の金属製蓋体4の収縮によりセラミックパッケージ2への収縮応力によりクラックの発生が高くなる。
【0046】
また50μm未満では、金属製蓋体4の剛性が低く組立工程が困難となり、またシーム溶接時に波うったりして、金属製蓋体4の外周にわたり安定した接合が不可能となる。
【0047】
また、金属板4aの下面全面には、Agろう、パラジウムろう、アルミニウム合金ろう、Au−Sn、Au−Ge材料などの低融点金属層4bが被着形成されている。ここで低融点金属材の低融点とは、例えば液相線が1010℃以下の材料であり、Agろう材では、Ag−CuにZn、Cd、Ni、Sn、Li等が含有した材料、Pdろう材では、AgやCuが含有した材料など(いずれも硬ろう材)やAu−Ge合金材、Au−Sn合金材など(軟ろう材の一部)などが例示できる。
【0048】
例えば、Agろう材(Ag:72%、残りCu:液相線650℃でろう付け温度が650〜760℃)が例示でき、その厚みが10〜50μm、例えば15μmの厚さで、金属板4の下面にクラッドされている。
【0049】
低融点金属層4bの厚みに関しては、10μm未満ではシーム溶接の際のろう材層の絶対量不足からリークなどが発生したり、金属製蓋体4の端面に形成される低融点金属層の材料による溜まり部の形成が不足して、信頼性の高い封止が困難となる。また、50μmを越えると、シーム溶接の条件を上げなくては接合が困難となり、溶接の通電時間が多大に要することになる。
【0050】
また、金属製蓋体4の外形寸法は、セラミックパッケージ2のキャビティー部8開口の周囲(肉厚部)に形成したシール導体層5の外形寸法に比較してひと回り小さく設定されている。
【0051】
具体的には、シール導体層5の幅に対して、その外周に10〜30%の露出部分dを形成することが望ましい。即ち、この露出部分は、金属製蓋体4の端面との間で低融点金属層4bの材料による溜まり部が形成される領域dとなる。
【0052】
この溜まり形成領域dがシール導体層5の幅の10%未満では、金属製蓋体4とセラミックパッケージ2の外周部分とが近接しあい、その結果、適正な溜まり部(フィレット)が形成されず、溶接状態の目視検査が困難となる。また、シール導体層5の幅の30%を越えるとキャビティ部8の内壁面と金属製蓋体4の端面との距離が小さくなり、この部分にシーム溶接時の熱衝撃が集中して、セラミックパッケージ2にクラックが発生してしまう。また、安定した気密封止が困難となる。
【0053】
このような構造の電子部品装置の組み立ては、メタライズ導体層5a及びNiメッキ、Auメッキ等からなるメッキ層5bから構成されるシール導体層5が形成されたセラミックパッケージ2を用意する。
【0054】
そして、このセラミックパッケージ2のキャビティー部8に電子部品素子3を取り付け、必要な電気的な接続処理を行う。
【0055】
次に、低融点金属層4bが形成された金属製蓋体4の面がセラミックパッケージ2側になるようにセラミックパッケージ2のキャビティー部8の開口を金属製蓋体4で被覆する。この時、金属製蓋体4の外周には、シール導体層5の幅の10〜30%の距離だけ残す。
【0056】
その後、金属製蓋体4の各辺の端部を、シーム溶接のローラ電極6を押し当てながら、所定電流を流して、圧力で押し当て、適切な通電サイクル及び移動速度を選び、一方端から他方端にかけてローラ電極6を回転移動させる。これにより、セラミックパッケージ2のシール導体層5と金属製蓋体4の低融点金属層4bとの間に溶接電流が流れ、溶接電流に基づくジュール熱が発生し、低融点金属層4bが融点以上となり、これによりセラミックパッケージ2のシール導体層5と金属製蓋体4とが強固に接合されることになる。
【0057】
本発明の特徴的なことは、上述したように、金属製蓋体4のコバールの金属板4aの厚みを50〜100μm、金属製蓋体4の封止面側に被着された低融点金属層4bの厚みを10〜50μmとするとともに、セラミックパッケージ2の開口周囲の肉厚部に形成したシール導体層5の高融点金属材料からなるメタライズ導体層5aの厚み10〜30μm、メタライズ導体層5a上に被着したメッキ層5bの厚みを5〜15μmとしたことである。
【0058】
このように、コバールの金属板4aの厚み、低融点ろう材層4bの厚み、シール導体層5のメタライズ導体層5aの厚み、メッキ層5bの厚みを適正に設定することにより、シーム溶接の際に、シールリングなどを介在させる必要がなく、しかも、シーム溶接で発生する過度の熱による衝撃をセラミックパッケージ2に集中させることがなく、セラミックパッケージ2に発生するクラックを未然に防止することができる。また、金属製蓋体4に波うつことがなく、両者を安定的に接合させることができ、気密信頼性の高い封止が可能となる。
【0059】
尚、金属製蓋体4の外周に残存させた溜まり部形成領域dを適切に設定することにより、金属製蓋体4の端面部分で低融点金属層4bの材料の溶融よる溜まり部が形成され、セラミックパッケージ2にクラックが発生することなく、強固で気密封止性に優れた溶接が可能となる。
【0060】
また、金属板4aの外側主面に低融点金属層4bに対して塗れ性の悪い金属層4cを形成することにより、そのメニスカスを確実に形成するきことができる。
【0061】
例えば、低融点金属層4b をAgろう材で構成した場合には、金属層4cとしては、Ni、アルミニウム等を用いることが好ましい。また、低融点金属層4bにアルミニウム合金で構成して場合には、金属層4cとしては、Niを用いることが望ましい。この金属層4cは、低融点ろう材層4bが被着形成された金属板4aの外側主面に、メッキ処理、溶着、スパッタなどの薄膜技法によって被着形成する。その金属層4cの厚みは、例えば1〜5μm、例えば2μmである。尚、この金属層4cは、金属製蓋体4の耐食性を向上させるものである。
【0062】
本発明者は、シームリングレスによるシーム溶接の条件、例えば、ローラー電極の移動速度3.5mm/s、通電/休止=1/6、荷重600g、通電間隔0.204mmとして、溶接電力レートを、交流サイクルの所定サイクル分、即ち通電時間に換算で、4.17ms〜5.83msに変化させてシーム溶接をおこなった。
【0063】
例えば、前記金属製蓋体4の金属板4aの厚みを85μm、低融点ろう材層4bの厚みを15μm、シール導体層5のメタライズ導体層5aを20μm、メッキ層の厚みを8μmとすると、通常のシーム溶接の電力レート(通電時間に換算して4.17ms〜5.83ms)でセラミックパッケージ2にクラックが発生したり、金属製蓋体4とセラミックパッケージ2との間の封止の状態でリークが発生したりすることがなかった。
【0064】
例えば、前記金属製蓋体4の金属板4aの厚みが上限を越える110μmにすると、通電条件に係わらず金属製蓋体4の収縮する時の応力(収縮応力)が大きくなり、セラミックパッケージにクラックが発生してしまう。さらに、溶接部分までの距離が増加して、通電時間4.17msであっても、確実な封止ができず、リークが発生してしまう。
【0065】
前記金属製蓋体4の金属板4aの厚みが40μmになると、シーム溶接時の金属の伸展によって金属製蓋体4か波うち、金属製蓋体4の全周にわたり安定な接合ができず、リークが発生してしまう。
【0066】
また、セラミックパッケージ2のシール導体層5を構成するメタライズ導体層5aに関して、メタライズ導体層の厚みが10μm未満では、電力レートの低い、例えば通電時間4.17msであっても、セラミックパッケージ2にクラックが発生してしまう。また、その厚みが30μmを越えると、メタライズ導体層5aの平坦性を欠いてしまい、安定的に接合せず、同時に、凸部分に溶接電流が集中してセラミックにクラックを発生してしまう。
【0067】
メッキ層5bに関して、その厚みが5μm未満では、電力レートが通電時間換算で、5.41ms、5.83msで、クラックの発生率が4.8%、85.3%発生してしまう。
【0068】
また、その厚みが15μmを越えると、メタライズ導体層5aとメッキ層5bとの接合強度が低下し、結果として、金属製蓋体とセラミックパッケージとの接合強度が極端に低下してしまう。
【0069】
低融点金属層4bに関して、その厚みが10〜50μmから外れ、例えば10μm未満となると、セラミックパッケージ2側のシール導体層5の表面の凹凸を充分に吸収できず、また、金属製蓋体4の端面に溜まり部が充分に形成できない。また、50μmを越えると、溶接の電力レートを通電時間に換算して5.83msであっても、低融点金属層4bが安定的に溶融せず、その結果、安定した封止が困難となることを確認した。
【0070】
即ち、上述のようの範囲を適用すると、通常のシーム溶接の条件(電力レートを通電時間に換算して4.17ms〜5.83ms)において金属製蓋体4とセラミックパッケージ2との間の接合が確実に行なえ、セラミックパッケージにクラックなどが発生することがない封止信頼性の高い電子部品装置となる。
【0071】
また、金属製蓋体4の外側主面が、低融点金属層4bの金属材料に対して濡れ性の悪い金属層4cを被覆することによって、金属製蓋体4自身が腐食することが一切なく、シーム溶接に使用するローラー電極6に溶融した低融点金属層4bの材料が付着することがないことから、このローラー電極6を金属製蓋体4の端部に沿って、通電しながら回転移動させても、溶接電流の通電状況が維持でき、信頼性の高い溶接が可能となる。尚、金属層4cを有色化(ブラック処理)することにより、金属製蓋体4の表裏判別が容易になり、組立工程が非常に簡略化する。
【0072】
【発明の効果】
本発明の電子部品装置では、前記金属製蓋体は厚み50〜100μmのコバールからなる金属板と、該金属板の下面に被着された厚み10〜50μmの低融点金属層とから成り、前記セラミックパッケージの開口周囲のシール導体層は、厚み10〜30μmのメタライズ導体層と、該メタライズ導体層上に被着した5〜15μmのメッキ層とから成るため、通常の溶接条件で非常に金属製蓋体とセラミックパッケージとの間の接合が確実に行なえ、セラミックパッケージにクラックなどが発生することがない封止信頼性の高い電子部品装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子部品装置の分解した状態の断面図である。
【図2】本発明の金属製蓋体の構造及びシーム溶接の封止構造を示す概略図である。
【符号の説明】
1・・・電子部品装置
2・・・セラミックパッケージ
3・・・電子部品素子
4・・・金属製蓋体
4a・・・金属板
4b・・・低融点金属層
4c・・・濡れ性が悪い金属層
5・・・・シール導体層
5a・・・メタライズ導体層
5b・・・メッキ層
6・・・・ローラー電極
8・・・・キャビティー部
Claims (2)
- 上面が開口した筐体状セラミックパッケージ内に、電子部品素子を収容し、前記セラミックパッケージの開口周囲に、厚み10〜30μmのメタライズ導体層と該メタライズ導体層上に被着した厚み5〜15μmのメッキ層とからなるシール導体層を被着形成するとともに、厚み50〜100μmのコバールからなる金属板と該金属板の下面に被着された低融点金属層とからなる金属製蓋体を前記シール導体層にシーム溶接により接合することによって前記電子部品素子を内部に気密に封止してなる電子部品装置において、
前記金属製蓋体の外周を前記シールド導体層の外周より内側に位置させることにより、前記シール導体層の外周から前記金属製蓋体の端面にかけて前記低融点金属層の材料によるフィレットを形成するとともに、前記金属板の上面に、前記フィレットの回り込みを防止すべく、前記低融点金属層の材料に対して濡れ性が悪い金属層を形成したことを特徴とする電子部品装置。 - 前記低融点金属層の厚みを10〜50μmとなし、且つ前記金属製蓋体の外周と前記シール導体層の外周との距離を、前記シール導体層の幅の10〜30%となしたことを特徴とする電子部品装置。
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