JP3702033B2 - 溶融炉における炉体の冷却構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば廃棄物等を溶融処理する溶融炉に係り、特に金属製の水冷式の炉体とした溶融炉の冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物の溶融炉として従来から各種のものが利用されており、その炉体の内部を構成する炉壁は耐火物を配列したものが一般的である。
【0003】
このような耐火物の炉壁構造では、耐火物の溶損が避けられないことから、定期的に耐火物の補修作業が必要とされ、溶融処理の稼働率への影響は無視できない。これに対し、近来では、本願出願人等が提案して特願平6−300272号(資料として頂いております平成6年11月8日付けの整理番号P6112692の出願番号を補充下さい)として出願したように、炉壁を金属製としてこれを水冷する構成としたものがある。
【0004】
このような金属製の水冷炉壁であれば、耐火物炉壁に比べると溶損の問題が解消され、補修作業の短縮が可能となり、稼働率の向上が図られる等の利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
水冷炉壁は、炉壁の内部を中空としてこの中に冷却水を外部から供給して循環させることによって冷却するというものであるが、冷却水の循環や圧力を適正にしなければ、炉内圧力との関係で炉壁にクラックを発生した場合、水蒸気爆発を起こす可能性がある。
【0006】
たとえば、炉壁の水冷構造として、特開昭54−150304号公報に記載のように炉底部分の周りの耐火物を金属製の水冷ジャケットで覆い、この中に冷却水を高圧で噴射することによって冷却するというものがある。
【0007】
ところが、耐火物の溶損度が大きいようなときに水冷ジャケットにクラックが発生したような場合、炉内圧力よりも水冷ジャケット内の冷却水の圧力が高いと、このクラック部分から冷却水が炉内に浸入する恐れがある。このような冷却水の浸入が発生すると、水蒸気爆発を引き起こすことになり、操業面での危険性がかなり高くなる。
【0008】
また、金属炉壁のクラックが発生する部分が炉内側であってしかも溶融物に埋没した位置にある場合、微小なクラックを確認することは非常に困難である。したがって、耐火物炉壁の場合と同様に、定期的に炉壁の点検をすることが必要となり、稼働率の低下を招くことになる。
【0009】
本発明において解決すべき課題は、水冷炉壁にクラックが発生しても冷却水の炉内への浸入がなくしかもクラックの発生の検出も可能な金属製の水冷炉体の冷却構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属製の水冷構造の炉体を備え、前記炉体内の循環路に冷却水を供給した後に外部に回収する溶融炉において、前記炉体より低いレベルに位置し且つ前記炉体の下部側から冷却水を供給する供給路と、前記供給路と循環路との接続レベルより高い位置で前記循環路に接続した回収路とを備え、前記回収路には前記供給路から冷却水を吸引するサクション式のポンプを備えてなることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
このような構成において、炉体の冷却水循環路を常に大気圧より低く維持すると共にポンプの上流に冷却水の中に混入する空気を滞留させ、内部の水位降下によって空気混入を検出するための空気混入検出器を備えたものとすることができ、空気混入を検知することによって炉体内壁のクラックの発生を知ることが可能となる。
【0012】
また、空気混入検出器が空気混入を検出したときの信号によって溶融加熱を遮断する制御の系を備えるようにすれば、クラック発生の初期の段階で加熱が停止されるのでクラックの成長を抑制することができる。
【0013】
【実施例】
図1は本発明の炉体の冷却構造を示す概略図である。
【0014】
図において、たとえば廃棄物を溶融処理するための溶融炉1は、円筒状の炉壁2とその底部に配置され昇降機構(図示せず)によって炉壁2の下端から下方に移動可能な炉床3とから構成されたものである。これらの炉壁2及び炉床は、銅や銅合金及び鋼またはこれらの組み合わせによる金属製のものであり、その内部を中空として冷却水の循環路2a,3aを全体に形成している。そして、溶融炉1の中に投入された廃棄物を溶融するために、一対の電極4a,4bを上下に配置し、これらによる放電によって廃棄物を加熱溶融する。
【0015】
炉壁2及び炉床3にそれぞれ冷却水を供給するための給水タンク5を備え、炉壁2と炉床3との間にそれぞれ給水配管6,7を接続し、これらの給水配管6,7には流量調整弁6a,7aを組み込む。給水配管6は炉壁2の下端側に接続され、他方の給水配管7は炉床3の底部から接続され、いずれも循環路2a,3aの底部側から給水されるようにする。また、給水配管6には開閉弁6bを備えると共に、給水源側に分岐して接続した流路6cにも開閉弁6dを設けるものとする。
【0016】
一方、循環路2a,3aから出た冷却水を回収するための回収タンク8を設け、炉壁2及び炉床3側のそれぞれに接続した分岐管9a,9bを合流させた回収管9をこの回収タンク8まで配管する。分岐管9aは炉壁2の上端側に接続され、他方の分岐管9bも給水配管7の接続位置よりも高い部分に接続されている。そして、回収管9の下流端側には給水タンク5から水を吸い上げることによって回収タンク8までサクション方式によって流動化させるバキューム式のポンプ10を備える共に、その上流側には気泡検出器11を設ける。
【0017】
図2は気泡検出器11の概略図であり、炉壁2及び炉床3にクラック発生したときに循環路2a,3aの中にクラックから入り込んだ空気が流下してくるものを検出する機能を持つものである。この気泡検出器11はその下端部を回収管9の中途に接続し、上端には空気抜き管11aを備えると共にこれに開閉弁11bを設けると共に、水位検知のために従来から利用されている超音波レベル計11cを備えている。この超音波レベル11cによって或る一定レベルに水位が降下したことが検出されると、その信号が電極4a,4bへの電源4cのコントローラに入力され、即時に通電が遮断されるように制御する。
【0018】
以上の構成において、電極4a,4bによる加熱の前に、気泡検出器11の開閉弁11bを開けた状態として開閉弁6bを閉じると共に開閉弁6dを開くことによって、冷却水を系内に充満させていく。このとき、気泡検出器11のレベルは分岐管9aよりも低いので、その内部には冷却水が充満し、空気抜き管11aから冷却水がオーバーフローする状態になれば、気泡検出器11の中には空気が全く介在しない状態に設定でき、この後に開閉弁11bを閉じ、その後開閉弁6dを閉じると共に開閉弁6bを開き、更にポンプ10を作動させることによって、給水タンク5から冷却水を回収タンク8側に吸引して流す。
【0019】
電極4a,4bによる加熱溶融の過程では、ポンプ10が作動して給水タンク5からの冷却水は循環路2a,3aを経由して炉壁2と炉床3を冷却する。この冷却においては、給水タンク5は溶融炉1のレベルよりも低い配置とすることによって、この給水タンク5から給水配管6,7までのヘッドは循環路2a,3aに作用しない。また、ポンプ10によって冷却水が循環路2a,3aの出側方向に引かれる流れであることから、先のヘッドが作用しないこととポンプ10によるサクション流れの設定とによって、循環路2a,3a内の圧力を大気圧以下とすることが可能である。
【0020】
ここで、溶融加熱の期間に炉壁2及び炉床3の内壁にクラックが生じた場合には、これらの循環路2a,2bは大気圧に対して負圧になっている。そして、溶融路1内での廃棄物の加熱溶融では、図1に示すように溶融灰Aとその周りの温度が低い未溶融灰Bができる状態となり、未溶融灰Bには空気が混入している。また、未溶融灰Bはポーラス体あって通気性を持つものであるから、混入空気が発生したクラックから大気圧より低い循環路2a,3aの中に流れ込むことになる。
【0021】
この流入空気は冷却水の流れと共に回収管9側に流れていき、気泡検出器11の中に流れ込む。この気泡検出器11は初期状態では冷却水が充満しているが、空気の流れ込みによってこの空気が気泡となって上昇していく。したがって、この上昇気泡が気泡検出期11の上端部に溜まり始めて次第に水位が降下していき、この水位降下を超音波レベル計11cが検出する。
【0022】
このようにクラックが発生したときには、流入空気を利用して超音波レベル11cによって水位の降下を検出することができ、このときの出力信号によって電源4cを即時に遮断する。これにより、加熱溶融が中断され、クラックの成長を阻止することができ、冷却水が溶融炉1の中に浸入することを未然に防いで水蒸気爆発を防止することができる。
【0023】
なお、炉壁2及び炉床3の内壁に従来のように耐火物を設ける構成としてもよいことは無論である。この場合でも、耐火物の溶損度が大きいときに炉壁2や炉床3にクラックが発生することがあるが、耐火物はポーラス性であることから空気のクラック側への流れが可能であるため、先の例と同様に気泡検出器11を利用してクラックの発生を知ることができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明では、炉壁及び炉床の循環路を大気圧よりも低く設定するので、クラックが発生しても冷却水が炉内に浸入することがなく、水蒸気爆発を確実に防ぐことができる。
【0025】
また、クラックの発生後においては、クラックから入り込む外部空気を利用して気泡検出器によりこのクラック発生を検出することができるので、溶融物の中に埋まっている部分に発生する微小なクラックも確実に検出することができ、水蒸気爆発をより一層確実に防止できる。
【0026】
更に、気泡検出器からの信号によって加熱を停止するように制御すれば、発生したクラックの成長を阻止することができ、これによっても水蒸気爆発の恐れを回避でき、安全な操業が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の冷却構造を備えた溶融炉を冷却水の循環系と共に示す概略図である。
【図2】 気泡検出器の概略を示す図である。
【符号の説明】
1 :溶融炉
2 :炉壁
2a:循環路
3 :炉床
3a:循環路
4a:電極
4b:電極
5 :給水タンク
6 :給水配管
7 :給水配管
8 :回収タンク
9 :回収管
10 :ポンプ
11 :気泡検出器
11a:空気抜き管
11b:開閉弁
11c:超音波レベル計
Claims (3)
- 金属製の水冷構造の炉体を備え、前記炉体内の循環路に冷却水を供給した後に外部に回収する溶融炉において、前記炉体より低いレベルに位置し且つ前記炉体の下部側から冷却水を供給する供給路と、前記供給路と循環路との接続レベルより高い位置で前記循環路に接続した回収路とを備え、前記回収路には前記供給路から冷却水を吸引するサクション式のポンプを備えてなる溶融炉における炉体の冷却構造。
- 前記ポンプの上流に冷却水の中に混入する空気を滞留させ、内部の水位降下によって空気混入を検出するための空気混入検出器を備えてなる請求項1記載の溶融炉における炉体の冷却構造。
- 前記空気混入検出器が空気混入を検出したときの信号によって溶融加熱を遮断する制御の系を備えてなる請求項2記載の溶融 炉における炉体の冷却構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09864396A JP3702033B2 (ja) | 1996-04-19 | 1996-04-19 | 溶融炉における炉体の冷却構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09864396A JP3702033B2 (ja) | 1996-04-19 | 1996-04-19 | 溶融炉における炉体の冷却構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09287733A JPH09287733A (ja) | 1997-11-04 |
JP3702033B2 true JP3702033B2 (ja) | 2005-10-05 |
Family
ID=14225192
Family Applications (1)
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JP09864396A Expired - Lifetime JP3702033B2 (ja) | 1996-04-19 | 1996-04-19 | 溶融炉における炉体の冷却構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3702033B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
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LU90693B1 (en) * | 2000-12-11 | 2002-06-12 | Wurth Paul Sa | Kuehlsystem fuer einen metallurgischen Schmelzofen |
-
1996
- 1996-04-19 JP JP09864396A patent/JP3702033B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH09287733A (ja) | 1997-11-04 |
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