JP3702017B2 - 再生器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、吸収式冷温水機における再生器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の再生器としては、例えば図3に例示したような箱体1内の内部に図示しない吸収器で冷媒を吸収した溶液を蒸発分離域5の気相部に設置した散布器9を介して注入し、この溶液を炉筒2に生成する図示しない火炎と排気通路3を通って排出される図示しない廃ガスの余熱によって加熱し、溶液に吸収された冷媒を蒸発分離して冷媒吐出口7から吐出すると共に、冷媒が蒸発して冷媒濃度が低下した溶液を溶液吐出口8から吐出する構成の高温再生器が周知である。
【0003】
なお、図中2cは炉筒戻り室、4は加熱対流域、6は溶液管である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の高温再生器は、散布器が箱体の両側壁に平行に、且つ、両側壁から等距離の位置に設置されて、溶液が蒸発分離域の中心部に平均的に注入される構成であるため、対流による溶液の循環混合が不十分であり、濃度むらが生じて運転状態の変動に対して迅速な対応ができないと云った問題点があり、この点の解決が課題となっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来技術の課題を解決するためになされたもので、水平方向に延設された炉筒と、この炉筒の終端部から延設して炉筒の上方に水平に配設された排気通路とを収納し、排気通路を上下に貫通する複数の溶液管を備え、縦断面がU字状の加熱対流域を形成すると共に、この加熱対流域の上方に蒸発分離域を連設する箱体内に、吸収器で冷媒を吸収した溶液が蒸発分離域の気相部に設置した散布器を介して注入され、この箱体内の溶液を炉筒内に生成する火炎と排気通路を通って排出される廃ガスによって加熱し、冷媒を溶液から蒸発分離して吐出すると共に、冷媒が蒸発して冷媒濃度が低下した溶液を溶液吐出口から吐出する再生器において、
【0006】
箱体の一方の側壁側と他方の側壁側とで溶液散布量が異なる散布器を炉筒の始端側に設置すると共に、少量の溶液が散布される側の側壁の前記散布器の炉筒始端側に溶液吐出口を設けた第1の構成の再生器と、
【0007】
箱体の一方の側壁の側に散布口が向いた散布器を設置すると共に、箱体の側壁の前記散布器の炉筒始端側に溶液吐出口を設けた第2の構成の再生器と、
【0008】
箱体の一方の側壁側と他方の側壁側とで開口面積が異なる散布器を設置すると共に、開口面積が小さい散布口側の外壁の前記散布器の炉筒始端側に溶液吐出口を設けた第3の構成の再生器と、を提供し、従来技術の課題を解決するものである。
【0009】
【作用】
散布器から溶液を散布しながら、加熱対流域と蒸発分離域とに貯留されている溶液を、炉筒の始端から終端に向かってガスバーナなどによって火炎を形成し、火炎による発熱と廃ガスの余熱によって加熱すると、火炎と反転して排出される廃ガスによって加熱される炉筒終端側の溶液温度が最も高く、散布器の下方の溶液温度が最も低いので、炉筒の終端側では溶液が上昇し、炉筒の始端側では沈降する溶液の強い対流が生じる。
【0010】
特に、溶液吐出口が形成された側壁の側より、溶液吐出口が形成されていない側壁の側により多くの溶液が注入されるので、炉筒の始端側では溶液は下降し、炉筒の終端側では溶液は上昇することから、溶液の対流力を維持しながら、溶液濃度を速やかに均一化することが可能となり、これにより運転状態の変動に対する応答性が改善される。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいてさらに詳細に説明する。なお、理解を容易にするため前記図3に示した従来の再生器と同じ機能を持つ部分には、同一の符号を付した。
【0012】
図1に例示した本発明の高温再生器も、散布器9の構造を除いては図3に例示した従来周知の高温再生器と同じ構成である。
【0013】
すなわち、箱体1には水平方向に延設された炉筒2と、炉筒戻り室2cを介してこの炉筒の終端2bから延設され、炉筒の上方に水平に配設された排気通路3とが収納されて、箱体1の内側に縦断面がU字状を呈する加熱対流域4と、この加熱対流域の上方に連設された蒸発分離域5とが形成される。排気通路3を上下に貫通する複数の溶液管6が配設されて加熱対流域4および蒸発分離域5における図示しない溶液が上下方向に流動自在になっている。また、炉筒2の始端2aから炉筒戻り室2cに向かって図示しないガスバーナなどで火炎を形成して、火炎による発熱と廃ガスの余熱によって箱体1内に注入した溶液を加熱し、冷媒を溶液から蒸発分離して箱体1の上部に設けた冷媒吐出口7から吐出すると共に、冷媒が蒸発して冷媒濃度が低下した溶液を前板1c側の側壁1aに設けた溶液吐出口8から吐出する構成となっている。
【0014】
そして、この実施例に用いた散布器9は、平な底板に同一径の開口9aが一方が粗で他方が次第に密になるように列設された直線状の散布器であり、開口9aが粗に形成さている側を溶液吐出口8が形成された側壁1aに向け、開口9aが密に形成さている側を他方の側壁1bに向け、溶液吐出口8より前板1cの側に僅かに片寄せた位置に、底板を水平にして設置されている。また、散布器9は長手方向の中央部に、箱体1の側壁1a・1bと平行に、且つ、その両側壁から等距離の位置に設けた供給手段9bを介して、吸収器で冷媒を吸収した溶液が図示しないポンプを介して供給できるように構成されている。
【0015】
このため、散布器9から蒸発分離域5に散布し、加熱対流域4・蒸発分離域5に貯留されている溶液を、炉筒2の始端2aから炉筒戻り室2cに向かって図示しないガスバーナなどによって火炎を形成し、火炎による発熱と廃ガスの余熱によって箱体1の溶液を加熱すると、火炎と反転する廃ガスによって加熱される炉筒戻り室2c近傍の溶液温度が最も高く、散布器9の下方の溶液温度が最も低いので、炉筒戻り室2c近辺の溶液は上昇し、前壁1cの側では沈降する溶液の強い対流が生じる。
【0016】
特に、溶液吐出口8が形成された側壁1aの側より、溶液吐出口8が形成されていない側壁1bの側により多くの溶液が注入されるので、前壁1cの側では溶液は下降して後壁1cでは溶液は上昇することから、溶液の対流力を維持しながら、溶液濃度を速やかに均一化することが可能となり、これにより運転状態の変動に対する応答性が改善される。
【0017】
なお、散布器9の開口9aは、図2(a)のように溶液吐出口8を設けていない側壁1bの側に向けて形成しても良いし、図2(b)のように溶液吐出口8を設けた側壁1aの側の開口径を小さく形成し、側壁1bの側の開口径を大きく形成することもできる。
【0018】
開口9aを上記何れのように形成する場合も、開口9aは等間隔に列設しても良いし、溶液吐出口8の側が粗になり、その反対側が密になるように列成することもできる。また、複数列に形成しても良いし、供給手段9bを溶液吐出口8から離間する方向、すなわち側壁1bの側に片寄せて設置したり、側壁1bの側が側壁1aの側より僅かに低くなるように設置したりすることもできる。
【0019】
また、散布器9・供給手段9bをパイプによって形成しても良いし、供給手段9aは散布器9の上に垂下するように、上下方向に配設することもできる。
【0020】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0021】
例えば、散布器9を傾けて、そのヘッド差を利用し、出口の反対側に溶液を多く散布させることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、水平方向に延設された炉筒と、この炉筒の終端部から延設して炉筒の上方に水平に配設された排気通路とを収納し、排気通路を上下に貫通する複数の溶液管を備え、縦断面がU字状の加熱対流域を形成すると共に、この加熱対流域の上方に蒸発分離域を連設する箱体内に、吸収器で冷媒を吸収した溶液が蒸発分離域の気相部に設置した散布器を介して注入され、この箱体内の溶液を炉筒内に生成する火炎と排気通路を通って排出される廃ガスによって加熱し、冷媒を溶液から蒸発分離して吐出すると共に、冷媒が蒸発して冷媒濃度が低下した溶液を溶液吐出口から吐出する再生器において、
【0023】
箱体の一方の側壁側と他方の側壁側とで溶液散布量が異なる散布器を炉筒の始端側に設置すると共に、少量の溶液が散布される側の側壁の前記散布器の炉筒始端側に溶液吐出口を設けた再生器であり、
【0024】
箱体の一方の側壁の側に散布口が向いた散布器を設置すると共に、箱体の側壁の前記散布器の炉筒始端側に溶液吐出口を設けた再生器であり、
【0025】
箱体の一方の側壁側と他方の側壁側とで開口面積が異なる散布器を設置すると共に、開口面積が小さい散布口側の外壁の前記散布器の炉筒始端側に溶液吐出口を設けた再生器であるので、
【0026】
何れの再生器においても炉筒終端近辺では溶液は上昇し、炉筒始端近辺では沈降する溶液の強い対流が生じる。
【0027】
そして、溶液吐出口が形成された側壁の側より、溶液吐出口が形成されていない側壁の側により多くの溶液が注入されるので、炉筒始端側では溶液は下降して炉筒終端側では溶液は上昇することから、溶液の対流力を維持しながら、溶液濃度を速やかに均一化することが可能となり、これにより運転状態の変動に対する応答性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の説明図である。
【図2】散布器の他の形状例を示す説明図である。
【図3】従来技術を示す説明図である。
【符号の説明】
1 箱体
1a・1b 側壁
1c 前板
1d 後板
2 炉筒
2a 始端
2b 終端
2c 炉筒戻り室
3 排気通路
4 加熱対流域
5 蒸発分離域
6 溶液管
7 冷媒吐出口
8 溶液吐出口
9 散布器
9a 開口
9b 供給手段

Claims (3)

  1. 水平方向に延設された炉筒2と、この炉筒2の終端2b部から延設して炉筒2の上方に水平に配設された排気通路3とを収納し、排気通路3を上下に貫通する複数の溶液管6を備え、縦断面がU字状の加熱対流域4を形成すると共に、この加熱対流域4の上方に蒸発分離域5を連設する箱体1内に、吸収器で冷媒を吸収した溶液が蒸発分離域5の気相部に設置した散布器9を介して注入され、この箱体1内の溶液を炉筒2内に生成する火炎と排気通路3を通って排出される廃ガスによって加熱し、冷媒を溶液から蒸発分離して冷媒吐出口7から吐出すると共に、冷媒が蒸発して冷媒濃度が低下した溶液を溶液吐出口8から吐出する再生器において、箱体1の一方の側壁1a側と他方の側壁1b側とで溶液散布量が異なる散布器9を炉筒2の始端2a側に設置すると共に、少量の溶液が散布される側の側壁1aの前記散布器9の炉筒始端2a側に溶液吐出口8を設けたことを特徴とする再生器。
  2. 水平方向に延設された炉筒2と、この炉筒2の終端2b部から延設して炉筒2の上方に水平に配設された排気通路3とを収納し、排気通路3を上下に貫通する複数の溶液管6を備え、縦断面がU字状の加熱対流域4を形成すると共に、この加熱対流域4の上方に蒸発分離域5を連設する箱体1内に、吸収器で冷媒を吸収した溶液が蒸発分離域5の気相部に設置した散布器9を介して注入され、この箱体1内の溶液を炉筒2内に生成する火炎と排気通路3を通って排出される廃ガスによって加熱し、冷媒を溶液から蒸発分離して冷媒吐出口7から吐出すると共に、冷媒が蒸発して冷媒濃度が低下した溶液を溶液吐出口8から吐出する再生器において、箱体1の一方の側壁1aの側に散布口9aが向いた散布器9を設置すると共に、箱体1の側壁1aの前記散布器9の炉筒始端2a側に溶液吐出口8を設けたことを特徴とする再生器。
  3. 水平方向に延設された炉筒2と、この炉筒2の終端2b部から延設して炉筒2の上方に水平に配設された排気通路3とを収納し、排気通路3を上下に貫通する複数の溶液管6を備え、縦断面がU字状の加熱対流域4を形成すると共に、この加熱対流域4の上方に蒸発分離域5を連設する箱体1内に、吸収器で冷媒を吸収した溶液が蒸発分離域5の気相部に設置した散布器9を介して注入され、この箱体1内の溶液を炉筒2内に生成する火炎と排気通路3を通って排出される廃ガスによって加熱し、冷媒を溶液から蒸発分離して冷媒吐出口7から吐出すると共に、冷媒が蒸発して冷媒濃度が低下した溶液を溶液吐出口8から吐出する再生器において、箱体の一方の側壁1a側と他方の側壁1b側とで開口面積が異なる散布器を設置すると共に、開口面積が小さい散布口9a側の外壁の前記散布器9の炉筒始端2a側に溶液吐出口8を設けたことを特徴とする再生器。
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