JP3701938B2 - スルホン酸コモノマーを含有するナイロン6共重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナイロン6繊維の製造方法に関し、より詳細には、ベンゼンスルホン酸塩を含有するナイロン6共重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ナイロン繊維はカーペットまたはその他織物の材料の製造に広く用いられてきたが、近年、PETの性質改善および応用に関する研究開発が進んでいることから、ナイロンの市場が脅かされつつある。しかし、ナイロンはその独特な性質により、一定の分野においては依然として適用されている。現在、ナイロン繊維の製造方法に関する技術もしくは開発において重点が置かれているのは、特殊なコモノマーとナイロンモノマーとを合成反応させてナイロン共重合体を得ることである。ナイロンコモノマーから製造される樹脂または繊維は、食品着色剤や土に対して優れた防汚性を発揮する(特許文献1〜6参照)。
【0003】
ところで、ナイロン6に用いられる染料は、従来より酸性染料が主である。上記の方法によって改質されたナイロン共重合体は、カチオン染料で染色され得るため、多くの新しいタイプの織物が開発できるようになる(特許文献7〜9参照)。
【0004】
ナイロン共重合体の主要なコモノマーは、5−スルホイソフタル酸アルカリ塩(またはジメチル−5−スルホイソフタレートアルカリ塩)である。ナイロン共重合体は、5−スルホイソフタル酸アルカリ塩(またはジメチル−5−スルホイソフタレートアルカリ塩)とヘキサメチレンジアミンとを、ナイロンコモノマー(ε−カプロラクタム=CPL)またはそのオリゴマーに加え、共重合を促すことによって作製される。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第5889138号明細書
【特許文献2】
米国特許第5108684号明細書
【特許文献3】
特開平3−137221号公報
【特許文献4】
特開平1−223908号公報
【特許文献5】
特開昭53−142499号公報
【特許文献6】
特開昭53−134896号公報
【特許文献7】
米国特許第5484455号明細書
【特許文献8】
米国特許第5342417号明細書
【特許文献9】
米国特許第5199958号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法によって得られるナイロン共重合体は、水への溶解度(extractable water)が高すぎるために、つぎのような問題を生ずる。
(1)ナイロン共重合体中のコモノマー(たとえば、ベンゼンスルホン酸)含有量の変化が激しいため、ナイロンの物質的・化学的安定性に影響を及ぼす。
(2)抽出液中の化合物含有量が高いため、ナイロン6モノマー(CPL)のリサイクルを困難とし、製造コストを引き上げてしまう。
【0007】
上記問題に鑑みて、本発明の目的は、5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物の製造方法、および、5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物を中間体としたスルホン塩含有のナイロン6共重合体を製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために検討した結果、ジアルキル−5−スルホイソフタレートアルカリ塩(A)と、脂肪族ジアミン(B)とを2〜30モル比で反応させる工程(1)、ε−カプロラクタム(C)と脂肪族ジカルボン酸(D)とを反応させて、低分子量のオリゴマーを形成させる工程(2)、および5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物(E)と触媒とを、工程(2)で得られたオリゴマーに加え、重合反応させてスルホン酸コモノマーを含有するナイロン6共重合体を得る工程(3)から得られるナイロン6共重合体が、水への溶解度が大幅に低下されたため、ナイロンの物質的・化学的安定性を向上させることができ、さらに、抽出液中の化合物含有量も大幅に減少され得るため、ナイロン6モノマー(ε−カプロラクタム)リサイクルの複雑性が軽減されことを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】
すなわち、本発明は、式(I)で示されるジアルキル−5−スルホイソフタレートアルカリ塩(A)と、式(II)で示される脂肪族ジアミン(B)とを、2〜30モル比で反応させ、未反応の脂肪族ジアミン(B)を完全に除去し、式(III)で示される5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物(E)を得る工程(1)、ε−カプロラクタム(C)と式(IV)で示される脂肪族ジカルボン酸(D)とを反応させて、低分子量のオリゴマーを形成する工程(2)、および5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物(E)と触媒とを、工程(2)で得られたオリゴマー中に加える工程(3)からなるものであって、(E)/(C)のモル比が0.005〜0.150であり、(D)/(E)のモル比が1.05〜1.00であるナイロン6共重合体の製造方法に関する。
【0010】
【化3】
【0011】
(式中、Rはアルキル基であり、MはLi、NaまたはKからなる群より選ばれた1種であり、nは正の整数である。)
式(I)中のRは、−(CH2)nH(nは1〜6の正の整数。)であることが好ましい。
【0012】
式(II)、式(III)中のnは、1〜12の正の整数であることが好ましい。
【0013】
式(IV)中のnが、1〜12の正の整数であることが好ましい。
【0014】
式(I)または式(III)中のMはLi、NaまたはKからなる群より選ばれた1の物質であることが好ましい。
【0015】
前記触媒は、次亜リン酸、酢酸、これらのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれた1の物質であることが好ましい。
【0016】
触媒の含量は、ε−カプロラクタム(C)に対して0.5〜3.0モル%であることが好ましい。
【0017】
工程(1)における反応温度は、160〜200℃であることが好ましい。
【0018】
また、工程(2)における反応温度は、200〜260℃であることが好ましく、工程(3)における反応温度は、200〜280℃であることが好ましい。
また、本発明は、式(I)で示されるジアルキル−5−スルホイソフタレートアルカリ塩(A)と、式(II)で示される脂肪族ジアミン(B)とを2〜20モル比で反応させ、未反応の脂肪族ジアミン(B)を完全に除去する、式(III)で示される5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物(E)の製造方法に関する。
【0019】
【化4】
【0020】
(式中、Rはアルキル基であり、MはLi、NaまたはKからなる群より選ばれた1種であり、nは正の整数である。)
ジアルキル−5−スルホイソフタレートアルカリ塩(A)と、脂肪族ジアミン(B)との反応温度は、160〜200℃であることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明は、式(I)で示されるジアルキル−5−スルホイソフタレートアルカリ塩(A)と、式(II)で示される脂肪族ジアミン(B)とを、2〜30モル比で反応させ、未反応の脂肪族ジアミン(B)を完全に除去し、式(III)で示される5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物(E)を得る工程(1)、ε−カプロラクタム(C)と式(IV)で示される脂肪族ジカルボン酸(D)とを反応させて、低分子量のオリゴマーを形成する工程(2)、および5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物(E)と触媒とを、工程(2)で得られたオリゴマー中に加る工程(3)からなるものであって、(E)/(C)のモル比が0.005〜0.150であり、(D)/(E)のモル比が1.05〜1.00であるナイロン6共重合体の製造方法に関する。
【0022】
【化5】
【0023】
以下、本発明について、詳細に説明するが、これらは本発明を限定しようとするものではない。
【0024】
<工程(1)>
工程(1)では、ジアルキル−5−スルホイソフタレートアルカリ塩(A)と、脂肪族ジアミン(B)とを、反応させ、未反応の脂肪族ジアミン(B)を完全に除去し、5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物(E)を得る。
【0025】
ジアルキル−5−スルホイソフタレートアルカリ塩(A)は式(I)で示され、Mはどのような金属原子でもよいが、Li、NaまたはKからなる群より選ばれた1の物質であることが、好ましい。また、Rはアルキル基であり、直鎖状、分岐状であっても良いが、−(CH2)nHで表わされるアルキル基であり、nが1〜6の正の整数であることが好ましく、4〜6がより好ましい。nが0の場合は、重合反応性が低下する傾向があり、nが7以上の場合は、重合体の耐熱性が悪くなる傾向にある。
【0026】
脂肪族ジアミン(B)は式(II)で表わされる。式(II)中のnは正の整数であれば良いが、1〜12の正の整数であることが好ましく、nは1〜2がより好ましい。nが0の場合、および、nが13の場合はいずれも重合反応性が低下する傾向にある。
【0027】
ジアルキル−5−スルホイソフタレートアルカリ塩(A)と脂肪族ジアミン(B)のモル比((B)/(A))は2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、さらに好ましくは、5〜10である。2より小さい場合は、ダイマーまたはトリマーの中間体が生じる傾向にあり、30より大きい場合は、大量の未反応物を除去する必要がある。
【0028】
ジアルキル−5−スルホイソフタレートアルカリ塩(A)と脂肪族ジアミン(B)との反応は、160〜200℃で行うことが好ましく、より好ましくは170〜180℃で行う。160℃より低い場合は、反応率が60%以下となる傾向があり、200℃より高い場合は、化合物が褐色を呈する傾向にある。
【0029】
ジアルキル−5−スルホイソフタレートアルカリ塩(A)と脂肪族ジアミン(B)とを合成させて、5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物(E)が生成するが、脂肪族ジアミン(B)の残量が多すぎると、等量の化合物(式(IV)をさらに添加することが必要となって、重合体の融点が過度に低くなるため、これを回避するという点から、未反応の脂肪族アミンを完全に除去するのが好ましい。この場合、減圧蒸留下で蒸留する(圧力2.0〜0.5mmHg)ことにより脂肪族ジアミン(B)の除去を行う。
【0030】
工程(1)の反応により、式(III)で示される5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物(E)が得られる。式(III)中のnは正の整数で、式(II)中のnと同一である。また、式(III)中のMも、式(I)中の金属原子と同一である。
【0031】
<工程(2)>
工程(2)では、ε−カプロラクタムと脂肪族ジカルボン酸(D)とを反応させ、ε−カプロラクタムが開環し、低分子量のオリゴマーが得られる。
【0032】
ε−カプロラクタムはナイロン6共重合体の主原料となる。
【0033】
脂肪族ジカルボン酸(D)は式(IV)で表わされる。式(IV)中の
nは正の整数であれば良いが、1〜12の正の整数であることが好ましく、4〜6がより好ましい。nが0の場合は、重合体の耐熱性が悪くなる傾向があり、nが13以上の場合は、重合体の融点が低下する傾向にある。
【0034】
工程(2)の反応は、200〜260℃で行うことが好ましく、より好ましくは210〜230℃で行う。200℃より低い場合は、反応速度が遅くなるうえ、反応が不完全となる傾向があり、260℃より高い場合は、化合物の色が黄色に変わる傾向にある。
【0035】
<工程(3)>
工程(3)により、工程(1)で得られた5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物(E)と触媒とを、工程(2)で得られたオリゴマー中に加え、ベンゼンスルホン酸コモノマーを含有するナイロン6共重合体が得られる。
【0036】
触媒としては、次亜リン酸、酢酸、これらのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩があげられる。次亜リン酸、酢酸、これらのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を用いた場合は、重合反応時間を減少させることができる点で好ましい。次亜リン酸、酢酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の中では、次亜リン酸を用いるのがより好ましい。
【0037】
また、好適な触媒量は、ε−カプロラクタム(C)に対して、0.5〜3モル%であり、より好ましくは0.5〜0.7モル%である。0.5モル%より小さい場合は、反応時間が長くなりすぎる傾向にあり、3モル%より大きい場合は、重合物の耐熱性が低くなり、色が褐色に変わる傾向がある。
【0038】
工程(3)の反応は、200〜280℃で行うことが好ましく、より好ましくは250〜275℃で行う。200℃より低い場合は、重合反応性が悪くなる傾向があり、280℃より高い場合は、重合物が褐色に変わる傾向にある。
【0039】
5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物(E)とε−カプロラクタム(C)のモル比(E)/(C)は0.005〜0.150が好ましく、より好ましくは0.018〜0.003である。0.005より小さい場合は、カチオン系染料の染色性が顕著に現れない傾向があり、0.150より大きい場合は、重合体の耐熱性が低くなる傾向にある。
【0040】
また、脂肪族ジカルボン酸(D)と5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物(E)のモル比(D)/(E)は、1.03〜1.00が好ましく、より好ましくは1.01〜1.00、さらに好ましくは1.00である。1.00より小さい場合は、アミノ酸値が高くなりすぎて、重合体が黄色に変わり、分子量が制御しがたくなる傾向があり、1.05より大きい場合は、重合体の分子量が低くなりすぎる傾向がある。
【0041】
以上の工程により、ベンゼンスルホン塩含有のナイロン6共重合体を製造することができる。
【0042】
【実施例】
実施例1
<工程(1)>
中間体化合物の合成(5−ベンゼンスルフォン酸ジアミド化合物)
ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩(5−SSIPDM)0.90モルと、1,6−ヘキサメチレンジアミン1.8モルとを、室温下で316SS(ステンレス鋼)の2L反応器に入れ、均一になるまで30分間攪拌したのち、この混合物を200℃まで加温した(温度上昇率は1.0℃/分)。反応器内の温度が200℃に達したら、その温度を1.7時間保持したのち、真空蒸留機を起動して、未反応の1,6−ヘキサメチレンジアミンを除去し、式(V):
【0043】
【化6】
【0044】
で示される化合物を得た。
【0045】
1HNMR(D2O+TMS,ppm)分析の結果は、8.27〜8.44(3H,フェニル)、3.30〜3.50(4H,NCH2)、1.28〜2.43(8H,4CH2)であり、IR(cm-1)分析(最大吸収ピーク)の結果は、3200;3140;1650であった。
【0046】
<工程(2)>
ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩の理論量を1.9モル%とするナイロン6共重合体の合成(触媒=1.9モル%)
ε−カプロラクタム23.20(CPL)モルと、水11.11モルと、アジピン酸0.45モルとを上述の2L反応器に加えたのち、常圧下で温度を室温から180〜190℃まで上昇させ、およそ6時間反応させて低分子量の重合体を得た。
【0047】
<工程(3)>
工程(2)で得られた低分子量の重合体と、工程(1)で得られた中間体化合物0.45モルと、次亜リン酸0.45モルとを、室温下で316SSの2L反応器に入れ、引き続き30分間均一になるまで攪拌してから、温度を230℃まで上げた。そして、反応器内の温度が230℃になったのち、20時間この温度を保持した。ついで、攪拌トルクが所定値になった時に、得られた生成物を反応器から取り出してピース状に切断し、最終製品としてのナイロン6共重合体を得た。RV=2.97dl/g、Tm=209.8℃、Td=287.7℃であり、水への溶解量(ソクスレー抽出)は7.22重量%であった。
【0048】
ここで、RVとは、相対粘度である。RVは、H2SO4(96〜97%)を溶媒とし、25℃(粘度計:97号)で測定する。
【0049】
Tmとは、融点である。Tmは、DSC(示差走査熱量分析装置:パーキンエルマー社製、Pyris1)を用いて測定する。
【0050】
Tdとは、分解点である。Tdは、TGA(熱重量分析装置:パーキンエルマー社製、Spectrum One)を用いて測定する。
【0051】
実施例2
ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩の理論量を1.9モル%とするナイロン6共重合体の合成(触媒=0.9モル%)
工程(3)における次亜リン酸触媒の含有量を0.50モルから0.22モルに減少させたほかは、実施例1と同じ条件で行なった。得られた生成物につき、RV=2.96dl/g、Tm=209.1℃、Td=320.8℃であり、水への溶解量(ソクスレー抽出)は5.79重量%であった。
【0052】
比較例1
ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩の理論量を1.9モル%とするナイロン6共重合体の合成(触媒=0.9モル%)
ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩(5−SSIPDM)0.5モルと、アジピン酸(AA)0.5モルと、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)1モルとを、室温下にて316SSの2L反応器に入れた。100℃で30分間均一になるまで攪拌したのち、この混合物を200℃まで加温した(温度上昇率は0.83℃/分)。反応器内の温度が200℃に達したら、その温度を2時間保持し、そののち冷却した。つぎ、ε−カプロラクタム(CPL)8.0モルと、H2O2.2モルと、次亜リン酸触媒0.2モルとを反応器に加え入れた。温度を170℃まで上げ、この混合物が均一となるよう30分間攪拌した。ついで、温度を200℃まで高めて15時間放置したのち、攪拌トルクが所定値に達するまで、さらに温度を上げて230℃とした。そして、得られた生成物を取り出してピース状に切断し、最終製品としてのナイロン6共重合体を得た。この生成物につき、RV=2.13dl/g、Tm=188℃、Td=290.5℃であり、水への溶解量(ソクスレー抽出)は8.21重量%であった。
【0053】
【表1】
【0054】
表1より、本発明が提供する方法によって製造されたナイロン6共重合体は、その水への溶解度が大幅に低下されたことが判り、共重合体中のコモノマー含有量が安定し、変質ナイロンの物質的性質に係る安定性を向上させることができる。さらに、抽出液における反応物質の量を減少させたことによって、ナイロン6モノマー(ε−カプロラクタム=CPL)のリサイクルの複雑性が大いに軽減されるという効果がある。
【0055】
本発明を説明するために好適な実施例を例示したが、以上に開示した発明に基づいての変更や修飾は可能である。上に掲げた実施例は、本発明の原理を説明するための最良の態様を提示すべく選択・記載されたものである。これによって、当該分野の知識を有する者は、多様な実施の形式において、また、所定の用途に応じた多種の変形を施すことによって、本発明を利用することができるようになる。なお、これら変更および修飾はいずれも、上記したクレームが適法に認められた場合に、そのクレームにより決定される本発明の範囲内において行なわれるものとする。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の方法によれば、製品としてのナイロン6共重合体における水への溶解度が大幅に低下されたため、共重合体におけるモノマー含有量の安定性が改善され、ナイロンの物質的・化学的安定性を向上させることができる。さらに、抽出液中の化合物含有量も大幅に減少され得るため、ナイロン6モノマー(ε−カプロラクタム)リサイクルの複雑性が軽減される。したがって、製造コストの引き下げが可能となる。
Claims (11)
- 式(I)で示される(A)ジアルキル−5−スルホイソフタレートアルカリ塩と、式(II)で示される(B)脂肪族ジアミンとを、2〜30モル比で反応させ、未反応の脂肪族ジアミン(B)を完全に除去し、式(III)で示される(E)5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物を得る工程(1)、(C)ε−カプロラクタムと式(IV)で示される(D)脂肪族ジカルボン酸とを反応させ、低分子量のオリゴマーを形成する工程(2)、および5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物(E)と触媒とを、工程(2)で得られたオリゴマー中に加える工程(3)からなり、(E)/(C)のモル比が0.005〜0.150であり、(D)/(E)のモル比が1.05〜1.00であるナイロン6共重合体の製造方法。
- 式(I)中のRが、−(CH2)nH(ここでnは1〜6の正の整数。)である請求項1記載のナイロン6共重合体の製造方法。
- 式(II)、式(III)中のnが、1〜12の正の整数である請求項1または2記載のナイロン6共重合体の製造方法。
- 式(IV)中のnが、1〜12の正の整数である請求項1、2または3記載のナイロン6共重合体の製造方法。
- 前記触媒が、次亜リン酸、酢酸またはこれらのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれた1種である請求項1、2、3または4記載のナイロン6共重合体の製造方法。
- 前記触媒の含量が、ε−カプロラクタム(C)に対して0.5〜3.0モル%である請求項1、2、3、4または5記載のナイロン6共重合体の製造方法。
- 工程(1)における反応温度が、160〜200℃である請求項1、2、3、4、5または6記載のナイロン6共重合体の製造方法。
- 工程(2)における反応温度が、200〜260℃である請求項1、2、3、4、5、6または7記載のナイロン6共重合体の製造方法。
- 工程(3)における反応温度が、200〜280℃である請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載のナイロン6共重合体の製造方法。
- ジアルキル−5−スルホイソフタレートアルカリ塩(A)と、式(II)で示される脂肪族ジアミン(B)との反応温度が、160〜200℃である請求項10記載の5−ベンゼンスルホン酸ジアミド化合物(E)の製造方法。
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