JP3701511B2 - アクチュエーションシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧アクチュエータ及び電油圧サーボ弁を用いて航空機の舵面を制御するアクチュエーションシステムに関し、特にフライ・バイ・ワイヤ方式の舵面制御装置に機械的なバックアップ機構を併設したアクチュエーションシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、航空機の舵面(昇降舵、方向舵、補助翼等の飛行制御翼面)を機械的リンケージに頼らないで制御するフライ・バイ・ワイア(Fly-By-Wire:以下、FBWという)方式の自動飛行制御システムが実現されているが、航空機には人命尊重のため高度な安全性と信頼性が要求されることから、FBW制御が不可能になるような電気系の故障が生じた場合でも操縦桿からの手動操作入力に応じた舵面制御を可能にする必要がある。そこで、舵面制御アクチュエータの給排制御機構に設けたインプットリンク(機械的入力部)と操縦桿とを比較的簡素な機械的リンケージにより結合させ、機械的に操縦制御を行うことができるバックアップ機構を併設したものがある。
【0003】
この種のアクチュエーションシステムにおいては、フライ・バイ・ワイア計算機であるフライトコントロールコンピュータ(Flight Control Computer:以下FCCという)が安定増大装置(Stability Augmentation System:以下SASという)として機能し、操縦桿による操作コマンドに機体の安定化のための補正値等が加算されて入力コマンドが生成される。そして、このコマンド信号が電油圧サーボ弁に入力され、舵面制御アクチュエータへの作動油の給排が制御されることで、舵面の操舵、保舵の制御がされる。また、前記機械的リンケージを利用してバックドライブ機構を構成することで、FBWモードにおいても舵面位置に応じて操縦桿を揺動させ、コックピット内のパイロットが舵面位置やその位置変化等を視認できるようにすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来のアクチュエーションシステムにあっては、FBWモード時において操縦桿による操作コマンドに機体の安定化のための補正値等を加算した制御コマンドを生成するため、FBWモードとメカニカルバックアップモードでは電油圧サーボ回路への入力コマンドに差が生じ、この差が大きい状態でFBWシステムが故障すると、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えに際して舵面制御アクチュエータのピストン位置(舵面位置)が急激に変化する過渡現象、すなわち、急激な舵角変化(トランジェント(transient))が生じざるを得ないという問題があった。これに対し機械的に操縦制御を行う際のアクチュエータ速度を制限することも可能ではあるが、それでは所要の操縦性能が期待できない。
【0005】
そこで本発明は、メカニカルバックアップモードへの切替え時におけるトランジェントの緩和を図るとともにメカニカルバックアップモードでの所要のアクチュエータ速度を確保することができるアクチュエーションシステムを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えがなされる際にアクチュエータの速度を一時的に制限することによって前記トランジェントの緩和を図るものであり、機械式制御弁を通る作動油の量をモード切替え弁を利用して絞ることでそれを達成するものである。
【0007】
すなわち、本発明は、シリンダ内に収納されたピストンの両側に一方及び他方の流体室を形成し、両流体室への作動流体の供給及び排出によりピストンを移動させるアクチュエータと、機械的操作入力に応じて作動する機械式制御弁及び電気制御信号入力に応じて作動する電気式制御弁を有し、両制御弁のうち何れかにより前記一方及び他方の流体室への作動流体の供給及び排出を制御する給排制御機構と、前記機械式制御弁及び電気式制御弁のうちいずれかを切替え操作圧に応じ選択して前記アクチュエータへの作動流体の給排通路に挿入するモード切替え弁と、外部からの機械的操作入力を前記機械式制御弁に伝達する操作力伝達部材を有し、前記モード切替え弁によって前記機械式制御弁が前記アクチュエータへの作動流体の給排通路に挿入されたとき、該操作力伝達部材を介した操作入力により前記機械式制御弁を作動させるバックアップ機構と、を備えたアクチュエーションシステムにおいて、前記モード切替え弁に前記切替え操作圧を付与する作動油の供給経路に、前記機械式制御弁が前記アクチュエータへの作動油の給排通路に挿入されるよう前記モード切替え弁が切り替えられるときに該モード切替え弁の切替え速度を制限することができる制限手段を設け、前記モード切替え弁が前記切替え操作圧の所定の変化によって前記機械式制御弁を前記アクチュエータへの作動油の給排通路に挿入するとき、該切替え操作圧の所定の変化によって前記制限手段が作動し、前記作動油の給排通路に挿入された前記機械式制御弁による作動油の給排制御を一時的に制限することを特徴とするものである。
【0008】
この発明では、電気系統の故障時にモード切替え弁が切替え操作圧の所定の変化によって機械式制御弁をアクチュエータへの作動油の給排通路に挿入するが、その切替え操作圧の所定の変化によって前記制限手段が作動することで、作動油の給排通路に挿入された機械式制御弁による作動油の給排制御が一時的に制限され、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えがなされる際のアクチュエータの速度がモード切替え弁により一時的に制限されることによって前記トランジェントの緩和が図られる。
【0009】
また、本発明は、舵面の操舵のために手動操作される操作部材と、シリンダ内に収納されたピストンの両側に一方及び他方の流体室を形成し、両流体室への作動流体の供給及び排出によりピストンを移動させて舵面を操舵するアクチュエータと、操作部材の操作に対応する電気制御信号又は自動操縦のための電気制御信号を出力する制御信号出力手段と、機械的操作入力に応じて作動する機械式制御弁及び前記制御信号出力手段からの電気制御信号入力に応じて作動する電気式制御弁を有し、両制御弁のうち何れかにより前記一方及び他方の流体室への作動流体の供給及び排出を制御する給排制御機構と、作動流体を所定の供給圧で供給する流体供給源と、作動流体を蓄えるリザーバ回路と、前記機械式制御弁及び電気式制御弁のうちいずれかを切替え操作圧に応じ選択して前記アクチュエータへの作動流体の給排通路に挿入するモード切替え弁と、外部からの機械的操作入力を前記機械式制御弁に伝達する操作力伝達部材を有し、前記モード切替え弁によって前記機械式制御弁が前記アクチュエータへの作動流体の給排通路に挿入されたとき、該操作力伝達部材を介した操作入力により前記機械式制御弁を作動させるバックアップ機構と、を備えたアクチュエーションシステムにおいて、前記モード切替え弁に前記切替え操作圧を付与する作動油の供給経路に、前記機械式制御弁が前記アクチュエータへの作動油の給排通路に挿入されるよう前記モード切替え弁が切り替えられるときに該モード切替え弁の切替え速度を制限することができる制限手段を設け、前記モード切替え弁が前記切替え操作圧の所定の変化によって前記機械式制御弁を前記アクチュエータへの作動油の給排通路に挿入するとき、該切替え操作圧の所定の変化によって前記制限手段が作動し、前記作動油の給排通路に挿入された前記機械式制御弁による作動油の給排制御を一時的に制限することを特徴とするものであり、このような構成によって上記と同様な作用効果を得るものである。
【0010】
本発明においては、前記モード切替え弁が前記アクチュエータへの作動油の給排通路の圧力と切替え操作圧とに応じて切り替えられる可変絞り要素付きの切替え弁として構成され、前記制限手段が、該モード切替え弁と、該モード切替え弁への切替え操作圧の供給通路に設けられた逆止弁及び絞り要素からなる遅れ機構と、を含むのが好ましい。
【0011】
さらに、前記可変絞り要素付きのモード切替え弁は、好ましくは、軸線方向に往復移動する弁体と、該弁体により開放及び閉止される開口孔が形成された弁体収納部材と、を含んで構成され、該モード切替え弁が、前記電気式制御弁を選択して前記アクチュエータへの作動油の給排通路に挿入する第1のモード切替え位置と、前記機械式制御弁を選択して前記アクチュエータへの作動油の給排通路に挿入する第2のモード切替え位置と、前記機械式制御弁を通る前記アクチュエータへの作動油の供給通路及び前記アクチュエータからの作動油の排出通路のうち少なくとも一方の通路に前記可変絞り要素を挿入する絞り挿入位置と、に切り替え可能であるのがよい。
【0012】
この場合、前記開口孔が、前記弁体の移動方向に互いに離間するよう前記弁体収納部材に形成された複数のオリフィス孔からなるのがより好ましい。可変絞り要素を含む切替え弁の製作と、弁体収納部材の加工が共に容易化できるからである。勿論、弁体により開放及び閉止される開口孔が前記弁体の移動方向に延びる非円形孔状に形成されてもよい。また、前記複数のオリフィス孔の孔径を順次異ならせて所要の可変絞りの特性を得ることができる。
【0013】
また、前記開口孔が、前記弁体の移動方向に互いに離間するよう前記弁体収納部材に形成された複数のオリフィス孔からなるのがより好ましい。弁体収納部材の加工が容易だからである。もちろん、弁体により開放及び閉止される開口孔が前記弁体の移動方向に延びる長孔状に形成されてもよい。また、前記複数のオリフィス孔の孔径を順次異ならせて所要の可変絞りの特性を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
【0015】
図1〜図9は、本発明の第1実施形態に係るアクチュエーションシステムを示す図である。なお、この実施形態は本発明を並列する多重液圧制御系統のそれぞれに適用したものであるが、図面にはその1系統のみの構成を図示している。また、以下に説明する構成は同一の舵面を駆動する各制御系統について共通するものである。
【0016】
まず、構成を説明する。
図1において、10は油圧アクチュエータであり、アクチュエータ10はシリンダ11及びピストン12を有している。このアクチュエータ10は、シリンダ11内に収納されたピストン12の軸方向両側に一方及び他方の油室13、14(流体室)を画成したものであり、これら二つの油室13、14のうち一方に作動油(作動流体)を供給し他方から排出することにより、ピストン12に油圧力を作用させ、ピストン12を移動させるようになっている。また、アクチュエータ10はそのブラケット部10aで図示しない航空機の機体側構造部材に揺動自在に支持されており、ピストン12のロッド部12eは航空機の舵面の駆動部材(図示していない)に連結されている。また、アクチュエータ10の油室13、14には後述する給排制御機構20を介して作動油が供給及び排出され、給排制御機構20には供給圧Pの作動油を供給する図示しない流体供給源と、アクチュエータ10から排出される作動油を蓄えて流体供給源側に戻すリザーバ回路とが接続されている。21は給排制御機構20の圧力導入路であり、この圧力導入路21には逆止弁23と図示しないフィルタが設けられている。
【0017】
25は機械的操作入力に応動するインプットリンク25であり、このインプットリンク25は図1中の上下両端側の何れからも操作力を入力し得る揺動式の操作力伝達部材として構成されている。すなわち、インプットリンク25の第1移動端部25a(図1中の上端部)はパイロットによって操作される図外の操縦桿若しくはペダル等の手動操作部材に機械的リンケージを介して連結されており、インプットリンク25の第2移動端部25b(図1中の下端部)はピストン12のロッド部12eに揺動可能に支持されている。また、インプットリンク25は、両移動端部25a、25bの間にサミングポイント25c(弁操作点部)を有し、第1移動端部25aからの手動操作量と第2移動端部25bからの機械的フィードバック量との偏差に相当する機械的変位を、弁操作量としてサミングポイント25cから出力するようになっている。
【0018】
31は、インプットリンク25により4ポートを開閉操作及び開度調節される3位置切替え可能な機械式制御弁であり、機械式制御弁31は圧力導入路21の分岐路21aに接続された供給圧ポート31aと、油路28を介して前記リザーバ回路に接続されるリターンポート31bと、操作入力に応じて両ポートに接続される一対の制御圧ポート31c、31dとを有している。この機械式制御弁31は、供給圧ポート31aと制御圧ポート31c又は31dとを通して、油室13又は14に流体圧供給源からの作動油を供給するとともに、油室14又は13からの作動油をリターンポート31bを通して排出させることができ、さらに、供給圧ポート31a及びリターンポート31bと制御圧ポート31c、31dとの接続を遮断して両油室13、14への作動油の供給及び排出を停止することができる。なお、図1において、31eは機械式制御弁31の弁体、31f、31gはそれぞれ機械式制御弁31を中立位置に付勢する付勢手段、例えばセンタリングスプリングであり、31hは各ポート31a、31b、31c及び31dが形成された略スリーブ状の操作入力部であり、操作入力部31hはインプットリンク25からの操作入力に応じて弁体31eと相対移動し、各ポート31a、31b、31c及び31dの開度を変化させることができる。また、油路28には前記リザーバ回路から所定値の背圧が付与されている。
【0019】
32は、図外のFCCからの電気制御信号Sa、Sbにより4ポートを開閉操作及び開度調節するよう電磁駆動される3位置切替え可能な電気式制御弁であり、電気式制御弁32は、流体圧供給源からの作動油を導入する供給圧ポート32aと、リザーバ回路に作動油を排出するリターンポート32bと、制御信号Sa、Sbの入力に応じて両ポート32a、32bに接続される一対の制御圧ポート32c、32dとを有している。この電気式制御弁32は、例えば電気制御信号Sa、Sbに応じ弁体32eを電磁駆動することにより、電気制御信号Sa又はSbの信号レベルに応じ一対の制御圧ポート32c、32dを通して油室13又は14に前記流体圧供給源からの作動油を供給するとともに、油室14又は13からの作動油をリターンポート32bを通して前記リザーバ回路に排出させることができる。さらに、電気式制御弁32は、供給圧ポート32a及びリターンポート32bと制御圧ポート32c、32dとの接続を遮断して油室13、14への作動油の供給及び排出を停止することができる。なお、前記電気制御信号Saは例えば舵角増加方向の信号、前記電気制御信号Sbは例えば舵角減少方向の信号であり、それぞれ操舵量に応じた電気制御信号として電気式制御弁32の電磁駆動部32j、32kに入力される。
【0020】
アクチュエータ10の一方及び他方の油室13、14は、6ポート3位置切替弁であるモード切替弁33の切替えにより、制御弁31、32のうち何れか一方の制御圧ポート31c、31d又は32c、32dに接続されるようになっている。このモード切替弁33は、制御弁31、32のそれぞれの制御圧ポート31c、31d及び32c、32dに接続される各一対の制御弁側ポート33a、33b及び33c、33dと、一方及び他方の油室13、14に接続された一対のアクチュエータ側ポート33f、33gと、パイロット圧導入部33h、33iとを有している。また、モード切替弁33は、パイロット圧導入部33h、33iからの付勢力に応じて変位する弁体33jと、この弁体33jをパイロット圧導入部33h、33iとは逆の方向に付勢するスプリング33kとを備えており、これら付勢力により、制御弁31、32のうち任意の一方の制御圧ポート31c、31d又は32c、32dを油室13、14に接続することができるよう、モード切替弁33は、図1及び図2にそれぞれ示した異なる複数の給排モード位置に切り替えられるようになっている。このモード切替え弁33は、アクチュエータ10への作動油の供給通路21及びアクチュエータ10からの作動油の排出通路28のうち少なくとも一方、例えば両方の通路に設けられ、図3に示すように、その供給通路21からの供給圧力Pとパイロット圧導入部33iへのパイロット圧Pa(切替え操作圧)とに応じて切り替え操作されるようになっている。また、この弁体33eの中央部には可変絞り要素41、42が設けられており、モード切替弁33が図1に示すFBWモードから図2に示すメカニカルバックアップモード位置に切り替えられるとき、これら可変絞り要素41、42がアクチュエータ10への作動油の供給及び排出通路21、28に一時的に挿入されるようになっている。
【0021】
35はモード切替弁33のパイロット圧導入部33hへのパイロット圧Paを変化させるソレノイド弁であり、パイロット圧導入部33hへのパイロット圧Paは、ソレノイド弁35がON(図1)の状態では流体圧供給源からの供給圧Pとなり、ソレノイド弁35がOFF(図2)の状態では戻り側の低圧(前記リザーバ回路による背圧)まで低下する。このソレノイド弁35は、制御弁31、32の供給圧ポート31a、32aに接続された高圧側入口ポート35aと、制御弁31、32のリターンポート31b、32bに接続された低圧側入口ポート35bと、FCCからのモード切替制御信号Scに応じて両入口ポート35a、35bのうち何れか一方に接続される出口ポート35cとを有している。また、ソレノイド弁35は、弁体35d、スプリング35e及び電磁駆動部35fからなり、電磁駆動部35fに切替制御信号Scが入力されるときに弁体35dを図1に示すON位置に変位させて、出口ポート35cを通しモード切替弁33にパイロット圧Paを加えるようになっている。すなわち、ソレノイド弁35は、前記FCCからのモード切替制御信号Scに応じて、前記流体圧供給源及びリザーバ回路のうち何れか一方側の作動油圧を、パイロット圧としてモード切替弁33のパイロット圧導入部33hに供給する。
【0022】
また、このソレノイド弁35からモード切替え弁33のパイロット圧導入部33iへの切替え操作圧(作動油)の供給通路45には、図3に示すように、パイロット圧導入部33iへの切替え操作圧の供給を許容しその逆流を阻止する逆止弁43と、この逆止弁43をバイパスするバイパス通路45aとが設けられており、バイパス通路45aには絞り要素44が設けられている。これら逆止弁43及び絞り要素44は、パイロット圧導入部33iからの作動油の逆流方向の流れを絞り要素44によって切替え操作圧の供給時よりも遅くする遅れ機構46を構成している。
【0023】
また、この遅れ機構46とモード切替弁33とは、機械式制御弁31がアクチュエータ25への作動油の給排通路21、28に挿入されるようモード切替え弁33が切り替えられるとき、そのモード切替え弁33の切替え速度を制限することができる制限手段40を構成している。この制限手段40は、モード切替え弁33が切替え操作圧Paの所定の変化によって機械式制御弁31をアクチュエータ25への作動油の給排通路21、28に挿入するとき、その切替え操作圧の所定の変化によって作動し、作動油の給排通路21、28に挿入された機械式制御弁31による作動油の給排制御を一時的に制限できるようになっている。
【0024】
具体的には、モード切替え弁33は、電気式制御弁32を選択してアクチュエータ10への作動油の給排通路21、28に挿入する第1のモード切替え位置[I]と、機械式制御弁31を選択してアクチュエータ10への作動油の給排通路に挿入する第2のモード切替え位置[II]と、機械式制御弁31を通るアクチュエータ10への作動油の供給通路21及びアクチュエータ10からの作動油の排出通路28のうち少なくとも一方の通路、例えば両方の通路に可変絞り要素41、42を挿入する絞り挿入位置[III]と、に切り替え可能である。
【0025】
また、図4〜図6に示すように、モード切替え弁33は、軸線方向に往復移動する第1のスプール弁体61と、複数の開口孔、例えば各組で3つの2組の異径のオリフィス孔62a、62b、62c(開口孔)及び常開のオリフィス孔62d、62e(開口孔)がそれぞれ形成された弁体収納部材62と、これら弁体61及び弁体収納部材62を共に収納するハウジング63及び有底の略円筒状のねじ込みプラグ64と、弁体61を図4の左側に付勢する圧縮スプリング65と、弁体61と同軸に配置された第2のスプール弁体66と、この弁体66に外装されたシールリング67と、ねじ込みプラグ64の先端部に外装されたシールリング68と、弁体収納部材62の各開口孔の両側に配置された複数のシールリング69と、を具備している。ここで、各組3つのオリフィス孔62a、62b、62cは、弁体61の移動方向に互いに離間しており、一対のアクチュエータ側ポート33f、33gに対応して2組設けられている。
【0026】
弁体61は一端でパイロット圧導入ポート31iからの供給圧Pを受け、他端でパイロット圧導入ポート33hからのパイロット圧Paを受けることにより、軸方向に変位するようになっている。この弁体61は、オリフィス孔62a〜62cを開閉することができるランド部61a、61cと、オリフィス孔62a〜62cを連通させることができる環状溝部61b、61dと、2組のオリフィス孔62eに連通することができる環状溝部61e、61fと、一端部に形成されたスリット61gと、を有している。また、ハウジング63に前記各ポート33a〜33d及び33f、33gが形成されている。
【0027】
図6に例示されるオリフィス孔62a、62b、62cは、弁体61の移動方向に互いに離間して配置され、かつ、オリフィス孔62a、62b、62cの順に開口径が段階的に拡大するように互いに異なる孔径に形成されており、これらオリフィス孔62a〜62cが全体として弁体61の移動方向に延びた開口孔62vを形成している。そして、弁体61が前記開度の増加方向に移動するとき、オリフィス孔62a、62b、62cは開口孔62vの開口面積が徐々に大きくなるよう弁体61のランド部61aによって順次開放され、逆に、弁体61が前記開度の減少方向に移動するとき、オリフィス孔62a、62b、62cは開口孔62vの開口面積が徐々に小さくなるよう弁体61のランド部61aによって順次閉止されるようになっている。これらオリフィス孔62a、62b、62cは弁体61と共に各可変絞り要素41、42を構成している。
【0028】
また、第2のスプール弁体66は、一端側でオリフィス孔62fを開閉可能であるとともに他端側でねじ込みプラグ64内に摺動自在に収納されており、両者の間に切り替え操作圧室51が形成されている。この切り替え操作圧室51は逆止弁43の軸線上に細孔状のオリフィスとして形成された絞り要素44を介して弁体66の連通路66aに連通している。すなわち、弁体66はオリフィス孔62f、62gのうち少なくともオリフィス孔62gを逆止弁43及び絞り要素44を介して連通させることができる。
【0029】
なお、図5において、61gはパイロット圧導入ポート33iを閉止しないために弁体61の一端に形成されたスリットであり、図6において、66bはパイロット圧導入ポート33hを閉止しないために弁体66の一端に形成されたスリットである。
【0030】
また、開口孔62vは、ここで例示するような3つのオリフィス孔からなるものに限らず、単一の円形オリフィス孔、弁体移動方向で同一位置に位置し周方向所定間隔(例えば等間隔)に離間する複数の円形、多角形その他の任意の形状を有する同径若しくは異径のオリフィス孔、弁体移動方向で同一位置に位置する複数のオリフィス孔が更に弁体同方向に離間するよう配列された複数組の同径若しくは異径の円形オリフィス孔、開口幅が一端から他端に近付くほど順次増大する略三角形の単一の若しくはそれが周方向所定間隔に平行配置された複数のオリフィス孔、上記のオリフィス孔の何れかを組合せた形状、その他の各種形状の単一若しくは複数のオリフィス孔であってもよいことは勿論である。さらに、弁体61の形状を適宜変更することで、更に異なる多様な可変絞り弁を採用することができることはいうまでもない。要するに、可変絞り要素41、42は、弁体61及び開口孔62vの形状を適宜選択することによって、段階的にあるいはリニアに絞り特性を変化させることができる任意の可変絞り要素とすることができる。なお、リニアな可変絞り特性は、例えば長孔状のように無段階に連続するオリフィス形状とすることで得られる。
【0031】
前記機械式制御弁31、インプットリンク25及び操縦桿までの機械的リンケージは、FCCによるFBW制御が実行できない電気系統の故障時に、操縦桿からの手動操舵を可能にするバックアップ機構30を構成しており、FCCからの電気制御信号Sa、Sbにより電気式制御弁32を作動させることができなくなるような何らかの故障が生じた場合には、操縦桿からの操作入力を給排制御機構20の機械式制御弁31に伝達し、機械的リンケージを介した手動操縦入力により給排制御機構20を作動させるようになっている。また、FCCは、FBW制御を実行する間、舵角位置センサからのフィードバック信号や航空機の応答(ピッチ、ロール及びヨーの応答)を観測する図示しない運動センサ等からの信号により、多重化されたそれぞれの制御系が正常に作動しているか否かを常時チェックし、後述するような舵面制御を実行する。
【0032】
以下、通常の制御の場合と何らかの故障が生じた場合に分けて作用を説明する。
(1)正常な制御モード
通常のFBWモードにおいては、パイロットによる操縦桿の手動操作量又は自動操縦のための必要操舵量に応じてパイロットコマンドが生成されるとともに、FCCの安定増強装置としての機能に基づいてパイロットコマンドに所要の補正処理がされる。そして、この補正された入力コマンドと舵面位置(舵角)センサからのフィードバック信号等との偏差に応じた電気制御信号Sa又はSbが生成され、各制御系統の電気式制御弁32に入力される。また、ソレノイド弁35には図1に示すパイロット圧供給位置に電磁駆動するための切替制御信号Scが入力される。そして、前記入力コマンドと位置センサからのフィードバック信号とに差が生じると、その偏差に応じた電気制御信号(以下、偏差信号という)Sa又はSbにより電気式制御弁32が弁体32eを中立位置から変位させるように駆動され、制御圧ポート32c、32dが開かれることで、一方の油室13又は14に流体圧供給源からの作動油が供給されるとともに、他方の油室14又は13からの作動油がリターンポート32bを通して排出される。
【0033】
したがって、ピストン12が油室13、14の間の差圧に応じた推力を発生して、舵面を入力コマンドに対応する舵角位置へと制御する。次いで、前記パイロットコマンドと舵面位置センサからの信号との差がほぼゼロになると、偏差信号Sa又はSbが初期値(例えばゼロ)となり、供給圧ポート32a及びリターンポート32bと制御圧ポート32c及び32dとの接続が遮断されて、油室13、14への作動油の供給及び排出が停止される。なお、所定の操作がされると、自動操縦モードから手動操縦モードに切り替えられる。例えば自動操縦モードでの飛行中に危険回避等のために手動操舵がなされたとき、パイロットの手動操縦入力を確実に優先させる状態とする。
【0034】
(2)1系統が故障した場合の制御モード
多重化した複数の制御系統のうち何れかの制御系統の電気回路に故障が生じると、故障の生じた制御系統では、ソレノイド弁35が正常に電磁駆動されないため、パイロット圧Paが低下する。したがって、故障系統では、モード切替弁33が機械式制御弁31による給排制御位置に切り替えられる。
【0035】
このとき、パイロット圧Paの低下(切替え操作圧の所定の変化)に応じて、モード切替え弁33が機械式制御弁31をアクチュエータ10への作動油の供給通路及び排出通路に挿入するが、制限手段40の一部であるモード切替え弁33は、FBWモード時の第1のモード切替え位置[I]から機械式制御弁31を選択する第2のモード切替え位置[II]へと切り替わる途中に、絞り挿入位置[III]に切り替わる。そして、絞り挿入位置[III]に切り替わったモード切替え弁33は、機械式制御弁31を通るアクチュエータ10への作動油の供給通路21及びアクチュエータ10からの作動油の排出通路28のうち少なくとも一方の通路、例えば両方の通路に可変絞り要素41、42を挿入する。また、絞り挿入位置[III]に切り替わったモード切替え弁33は、次いで、可変絞り要素41、42を徐々に開放しながらこれらによる制限の解除側に切り替えられるが、その切替は遅れ機構46によって遅らされ、アクチュエータ10への作動油給排通路に挿入された機械式制御弁31による作動油の給排制御が一時的に制限されることになる。すなわち、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えがなされる際のアクチュエータ10の速度が一時的に制限される。
【0036】
具体的には、制限手段40は、まず、最初に油路33dに圧力が供給されたときに絞り要素44を有する逆止弁43が開弁して、メカニカル・バックアップモードの状態(図8の状態)からFBWモードの状態(図4の状態)への切替えがされており、弁体66がパイロット圧導入部33iからの供給圧Pにより図4中の右側に付勢されている状態で、パイロット圧導入部33hからのパイロット圧Pa及びスプリング65により逆方向(図4中の左側)に付勢されている。そして、供給圧Pが弁体61の一端に加わった状態で、ソレノイド弁35からのパイロット圧Paが低下すると、弁体61がスプリング65に抗して右行し、図7に示すように、可変絞り要素41、42が開放され始めるのとほぼ同時に弁体66に当接して、その後、オリフィス孔である絞り要素44を通して切替え操作圧室51内の作動油が連通孔66aに漏れ出すとともに、両弁体61、66が図7に図示する位置から更に右行していく途中で2段目、3段目のオリフィス孔62b、62cが順次開いていく。
【0037】
この状態において、アクチュエータ10のピストン12の移動速度は、図9に示すように、FFBWモード時の速度(同図中1段目オリフィス速度)から、2段目のオリフィス孔62bが開いた状態、更に3段目のオリフィス孔62cが開いた状態へと、段階的に変化する。したがって、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切り替え時に急激な舵角変化(トランジェント)が生じることがなく、従来のトランジェントの問題が解消されることになる。
【0038】
このように、上述のアクチュエーションシステムにおいては、トランジェントの緩和を図るとともにメカニカルバックアップモードでの所要の速度を確保することができるアクチュエーションシステムを提供することができる。
【0039】
ところで、メカニカルバックアップモードにおいては、インプットリンク25から機械式制御弁31に操作力が伝達可能になる。したがって、一系統のみが故障した状態においては、他の制御系統からの操舵力で駆動されるインプットリンク25により機械式制御弁31を操作し、故障系統におけるアクチュエータ10を他系統のアクチュエータ動作に追従させることができるから、故障の生じた制御系統では機械的リンケージを介した制御を行いながら、正常な制御系統でのFBW制御を行うことができ、パイロットの操縦負荷を軽減できる。
【0040】
もちろん、正常な制御系統を手動操縦モードに切り替えて全制御系統を操縦桿の手動操作に応じて作動させ、手動操縦による正常な飛行をすることもできる。一方、多重化した複数の制御系統のうち何れかの制御系統に所定レベルの油圧が供給されなくなるような油圧失陥が生じた場合、ソレノイド弁35が正常状態と同様に電磁駆動されていても故障傾倒においてはパイロット圧Paが低下する。 このときも、上述のように他の制御系統からの操舵力でインプットリンク25を解して機械式制御弁31を作動させ、正常な制御系統でのFBW制御を行うことができる。
【0041】
(3)全系統の故障時の舵面制御
多重化した全制御系統に影響する電気回路の故障が生じた場合、FBW制御はできなくなり、各制御系統においてソレノイド弁35が正常に電磁駆動されないため、パイロット圧Paが低下する。
【0042】
このとき、上述の場合と同様に、パイロット圧Paの低下に応じて、モード切替え弁33が機械式制御弁31をアクチュエータ10への作動油の供給通路及び排出通路に挿入する一方、その途中で、パイロット圧Paの低下に伴って制限手段40の制限解除側への切り替えを遅れ機構46によって遅らされ、トランジェントの緩和が図られる。
【0043】
モード切替え後は、操縦桿からの手動操作入力によりインプットリンク25を介して機械式制御弁31が操作され、その手動操作に応じた開度で制御圧ポート31c、31dが開かれ、片方の油室13又は14に流体圧供給源からの作動油が供給されるとともに、残りの油室14又は13からの作動油がリターンポート31bを通してリザーバ回路に排出される。これにより、各制御系統のアクチュエータ10内でピストン12が油室13、14の間の差圧に応じた推力を発生し、ピストン12のロッド部12eが舵面を操縦桿の手動操作量(パイロットコマンド)に対応する舵角位置へと制御する。また、操縦桿が元に戻されると、供給圧ポート31a及びリターンポート31bと制御圧ポート31c及び31dとの接続が遮断されて、油室13、14への作動油の供給及び排出が停止され、保舵状態となる。
【0044】
上述のように、本実施形態によれば、機械式制御弁31を通る作動油の量をモード切替え弁33を利用して絞り、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えがなされる際にアクチュエータ10の速度を一時的に制限するようにしているので、トランジェントの緩和を図ることができる。また、モード切替え弁33の切替え操作圧Paの低下(所定の変化)に応じて、モード切替弁33と簡素な遅れ機構46とからなる制限手段40が作動し、それによって作動油の給排通路に挿入された機械式制御弁31による作動油の給排制御が一時的に制限されるので、信頼性に優れ、小型でかつ低コストの装置構成でトランジェントの緩和を図ることができる。
【0045】
また、制限手段40が、モード切替え弁33と、そのモード切替え弁33への切替え操作圧Paの供給通路に設けられた逆止弁43及び絞り要素44からなるきわめて簡素な遅れ機構46とを含む簡素な構成としているので、より簡素な構成でトランジェントの緩和を図ることができる信頼性の高いアクチュエーションシステムが実現できる。
【0046】
さらに、可変絞り要素41、42付きのモード切替え弁33が、軸線方向に往復移動する弁体61、66からなる弁体31eと、その弁体31eにより開放及び閉止される開口孔62vが形成された弁体収納部材62とを含んで構成され、そのモード切替え弁33が、電気式制御弁32を選択してアクチュエータ10への作動油の給排通路に挿入する第1のモード切替え位置[I]と、機械式制御弁31を選択してアクチュエータ10への作動油の給排通路に挿入する第2のモード切替え位置[II]と、機械式制御弁31を通るアクチュエータ10への作動油の供給通路及びアクチュエータ10からの作動油の排出通路のうち双方(少なくとも一方)に可変絞り要素を挿入する絞り挿入位置と、に切り替え可能であるのがよい。また、この場合、開口孔62vが、弁体61、66の移動方向に互いに離間するよう弁体収納部材62に形成された複数のオリフィス孔62a〜62cからなるので、可変絞り要素41、42を含むモード切替え弁33の製作と、弁体収納部材62の加工が共に容易化できる。
【0047】
なお、弁体31e(61、68)により開放及び閉止される開口孔62vが弁体31eの移動方向に延びる非円形孔状に形成されてもよいし、複数のオリフィス孔62a〜62cの孔径を順次異ならせて所要の可変絞りの特性を得ることができる。また、弁体収納部材62の加工面からすれば、開口孔62vが弁体収納部材62に形成された複数のオリフィス孔からなるのが好ましいが、弁体により開放及び閉止される開口孔62vが弁体移動方向に延びる連続した長孔状等に形成されてもよい。
【0048】
(第2実施形態)
図10及び図11は本発明の第2実施形態に係るアクチュエーションシステムを示す図である。なお、この実施形態は、制限手段40の一部を構成するモード切替え弁以外は上述の実施形態とほぼ同様のシステムであるため、上述例との相違点のみについて説明する。
【0049】
この実施形態においては、アクチュエータ10への作動油の供給及び排出通路21、28(給排通路)のうち片方の通路、例えば油室13側の給排通路にのみ可変絞り要素41が設けられており、上述例のモード切り替え弁33から可変絞り要素42を取り除いた構成となっている。
【0050】
可変絞り要素41は、図10に示すようにソレノイド弁35がONのとき、機械式制御弁31とアクチュエータ10の油室13、14の間で、供給・排出通路のうち片方の油路に挿入される絞り要素となる。
【0051】
そして、図11に示すようにソレノイド弁35がOFFとなり、パイロット圧Paの低下(切替え操作圧の所定の変化)に応じて、機械式制御弁31をアクチュエータ10への作動油の供給通路及び排出通路に挿入するようモード切替え弁33が切り替わるが、この状態において、モード切替え弁33が絞り挿入位置[III]に切り替わり、そこから可変絞り要素41を徐々に開放しながらこの絞りによる制限の解除側に切り替えられる。そして、その切替が上述例と同様に遅れ機構46によって遅らされ、アクチュエータ10への作動油の給排通路に挿入された機械式制御弁31による作動油の給排制御が一時的に制限されることになる。
【0052】
したがって、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えがなされる際のアクチュエータ10の速度が一時的に制限され、トランジェントが緩和される。
【0053】
(第3実施形態)
図12及び図13は本発明の第3実施形態に係るアクチュエーションシステムを示す図である。なお、この実施形態は、制限手段40の一部を構成するモード切替え弁以外は上述の第1、第2実施形態とほぼ同様のシステムであるため、上述例との相違点のみについて説明する。
【0054】
この実施形態においては、アクチュエータ10への作動油の供給及び排出通路21、28のうち片方の通路、例えば油室14側の給排通路にのみ可変絞り要素41が設けられており、上述の第1実施形態におけるモード切り替え弁33から可変絞り要素41を取り除いた構成となっている。
【0055】
可変絞り要素42は、図10に示すようにソレノイド弁35がONのとき、機械式制御弁31とアクチュエータ10の油室13、14の間で、供給・排出通路のうち片方の油路に挿入される絞り要素となる。
【0056】
そして、図13に示すようにソレノイド弁35がOFFとなり、パイロット圧Paの低下(切替え操作圧の所定の変化)に応じて、機械式制御弁31をアクチュエータ10への作動油の供給通路及び排出通路に挿入するようモード切替え弁33が切り替わるが、この状態において、モード切替え弁33が絞り挿入位置[III]に切り替わり、そこから可変絞り要素42を徐々に開放しながらこの絞りによる制限の解除側に切り替えられる。そして、その切替が上述例と同様に遅れ機構46によって遅らされ、アクチュエータ10への作動油の給排通路に挿入された機械式制御弁31による作動油の給排制御が一時的に制限されることになる。
【0057】
したがって、第2実施形態と同様に、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えがなされる際のアクチュエータ10の速度が一時的に制限され、トランジェントが緩和される。
【0058】
なお、上述した各実施形態においては航空機の舵面制御用アクチュエータとして説明したが、FBW制御される他用途の液圧アクチュエータ等であってもよいことはいうまでもなく、本発明は、メカニカルバックアップ機構付きFBW制御の流体圧アクチュエータシステム全般について広く適用することができるものである。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、機械式制御弁を通る作動油の量をモード切替え弁を利用して絞り、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えがなされる際にアクチュエータの速度を一時的に制限するようにしているので、トランジェントの緩和を図ることができる。
【0060】
また、モード切替え弁の切替え操作圧の所定の変化に応じて、モード切替弁と簡素な遅れ機構とからなる制限手段が作動し、それによって作動油の給排通路に挿入された機械式制御弁による作動油の給排制御が一時的に制限されるので、信頼性に優れ、小型でかつ低コストの装置構成によりトランジェントの緩和を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアクチュエーションシステムを示すその概略構成図であり、フライバイワイヤモードの状態を示している。
【図2】第1実施形態に係るアクチュエーションシステムのメカニカル・バックアップ・モードの状態を示す概略構成図である。
【図3】第1実施形態における制限手段の概略構成を示す油圧回路図である。
【図4】第1実施形態の制限手段の詳細構成を示す断面図であって、フライバイワイヤモードの状態を示す図である。
【図5】図4に示す制限手段の可変絞り要素近傍の部分拡大断面図である。
【図6】図4に示す制限手段の遅れ機構近傍の部分拡大断面図である。
【図7】第1実施形態の制限手段の詳細構成を示す断面図であって、フライバイワイヤモードの状態を示す図である。
【図8】第1実施形態の制限手段の詳細構成を示す断面図であって、メカニカル・バックアップ・モードの状態を示す図である。
【図9】メカニカル・バックアップ・モードへのモード切替え時における第1実施形態の制限手段の切替え弁移動時間(横軸)と、アクチュエータのピストン速度(縦軸)との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の第2実施形態に係るアクチュエーションシステムを示すその概略構成図であり、フライバイワイヤモードの状態を示している。
【図11】第2実施形態に係るアクチュエーションシステムのメカニカル・バックアップ・モードの状態を示す概略構成図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係るアクチュエーションシステムを示すその概略構成図であり、フライバイワイヤモードの状態を示している。
【図13】第3実施形態に係るアクチュエーションシステムのメカニカル・バックアップ・モードの状態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10 アクチュエータ
11 シリンダ
12 ピストン
13 油室(一方の流体室)
14 油室(他方の流体室)
20 給排制御機構
21 圧力導入路(供給通路)
25 インプットリンク(操作力伝達部材)
28 油路(排出通路)
31 機械式制御弁
32 電気式制御弁
33 モード切替弁(可変絞り要素付きの切替弁)
35 ソレノイド弁
40 制限手段
41、42 可変絞り要素
43 逆止弁
44 絞り要素
46 遅れ機構
51 切替え操作圧室
61 第1のスプール弁体(弁体)
61a、61c ランド部
62 弁体収納部材
62a、62b、62c オリフィス孔(開口孔)
62v 開口孔
66 第2のスプール弁体(弁体)
66a 連通孔

Claims (5)

  1. シリンダ内に収納されたピストンの両側に一方及び他方の流体室を形成し、両流体室への作動流体の供給及び排出によりピストンを移動させるアクチュエータと、
    機械的操作入力に応じて作動する機械式制御弁及び電気制御信号入力に応じて作動する電気式制御弁を有し、両制御弁のうち何れかにより前記一方及び他方の流体室への作動流体の供給及び排出を制御する給排制御機構と、
    前記機械式制御弁及び電気式制御弁のうちいずれかを切替え操作圧に応じ選択して前記アクチュエータへの作動流体の給排通路に挿入するモード切替え弁と、
    外部からの機械的操作入力を前記機械式制御弁に伝達する操作力伝達部材を有し、前記モード切替え弁によって前記機械式制御弁が前記アクチュエータへの作動流体の給排通路に挿入されたとき、該操作力伝達部材を介した操作入力により前記機械式制御弁を作動させるバックアップ機構と、を備えたアクチュエーションシステムにおいて、
    前記モード切替え弁に前記切替え操作圧を付与する作動油の供給経路に、前記機械式制御弁が前記アクチュエータへの作動油の給排通路に挿入されるよう前記モード切替え弁が切り替えられるときに該モード切替え弁の切替え速度を制限することができる制限手段を設け、前記モード切替え弁が前記切替え操作圧の所定の変化によって前記機械式制御弁を前記アクチュエータへの作動油の給排通路に挿入するとき、該切替え操作圧の所定の変化によって前記制限手段が作動し、前記作動油の給排通路に挿入された前記機械式制御弁による作動油の給排制御を一時的に制限することを特徴とするアクチュエーションシステム。
  2. 舵面の操舵のために手動操作される操作部材と、
    シリンダ内に収納されたピストンの両側に一方及び他方の流体室を形成し、両流体室への作動流体の供給及び排出によりピストンを移動させて舵面を操舵するアクチュエータと、
    操作部材の操作に対応する電気制御信号又は自動操縦のための電気制御信号を出力する制御信号出力手段と、
    機械的操作入力に応じて作動する機械式制御弁及び前記制御信号出力手段からの電気制御信号入力に応じて作動する電気式制御弁を有し、両制御弁のうち何れかにより前記一方及び他方の流体室への作動流体の供給及び排出を制御する給排制御機構と、
    作動流体を所定の供給圧で供給する流体供給源と、
    作動流体を蓄えるリザーバ回路と、
    前記機械式制御弁及び電気式制御弁のうちいずれかを切替え操作圧に応じ選択して前記アクチュエータへの作動流体の給排通路に挿入するモード切替え弁と、
    外部からの機械的操作入力を前記機械式制御弁に伝達する操作力伝達部材を有し、前記モード切替え弁によって前記機械式制御弁が前記アクチュエータへの作動流体の給排通路に挿入されたとき、該操作力伝達部材を介した操作入力により前記機械式制御弁を作動させるバックアップ機構と、を備えたアクチュエーションシステムにおいて、
    前記モード切替え弁に前記切替え操作圧を付与する作動油の供給経路に、前記機械式制御弁が前記アクチュエータへの作動油の給排通路に挿入されるよう前記モード切替え弁が切り替えられるときに該モード切替え弁の切替え速度を制限することができる制限手段を設け、前記モード切替え弁が前記切替え操作圧の所定の変化によって前記機械式制御弁を前記アクチュエータへの作動油の給排通路に挿入するとき、該切替え操作圧の所定の変化によって前記制限手段が作動し、前記作動油の給排通路に挿入された前記機械式制御弁による作動油の給排制御を一時的に制限することを特徴とするアクチュエーションシステム。
  3. 前記モード切替え弁が、前記アクチュエータへの作動油の供給通路及び前記アクチュエータからの作動油の排出通路のうち少なくとも一方の通路に設けられ、該供給通路の圧力と前記切替え操作圧とに応じて切り替えられる可変絞り要素付きの切替え弁として構成され、
    前記制限手段が、該モード切替え弁と、該モード切替え弁への切替え操作圧の供給通路に設けられた逆止弁及び絞り要素からなる遅れ機構と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエーションシステム。
  4. 前記可変絞り要素付きのモード切替え弁が、軸線方向に往復移動する弁体と、該弁体により開放及び閉止される開口孔が形成された弁体収納部材と、を含んで構成され、
    該モード切替え弁が、前記電気式制御弁を選択して前記アクチュエータへの作動油の給排通路に挿入する第1のモード切替え位置と、前記機械式制御弁を選択して前記アクチュエータへの作動油の給排通路に挿入する第2のモード切替え位置と、前記機械式制御弁を通る前記アクチュエータへの作動油の供給通路及び前記アクチュエータからの作動油の排出通路のうち少なくとも一方の通路に前記可変絞り要素を挿入する絞り挿入位置と、に切り替え可能であることを特徴とする請求項3に記載のアクチュエーションシステム。
  5. 前記開口孔が、前記弁体の移動方向に互いに離間するよう前記弁体収納部材に形成された複数のオリフィス孔からなることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエーションシステム。
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