JP3701506B2 - アクチュエーションシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体圧アクチュエータを用いるアクチュエーションシステムに関し、特にフライバイワイヤ方式の制御装置に機械的なバックアップ機構を併設したアクチュエーションシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、航空機の舵面(昇降舵、方向舵、補助翼等の飛行制御翼面)等の制御対象を機械的リンケージに頼らないで制御するフライバイワイヤ(Fly-By-Wire:以下、FBWという)方式の制御システムが実現されているが、人命尊重のための高度な安全性と信頼性が要求される航空機等においては、FBW制御が不可能になるような電気系の故障が生じた場合でも操縦桿からの手動操作入力に応じて舵面制御できる必要がある。そこで、このような場合に、油圧アクチュエータの給排制御機構に設けたインプットリンクと操縦桿とを比較的簡素なリンケージにより機械的に連結し、機械的に操縦制御を行うことができるバックアップ機構を併設したものがある。
【0003】
この種のアクチュエーションシステムにおいては、FBW計算機が多機能化されるためFBWモード時において補正値等を加算した制御コマンドが生成される。例えば航空機のフライトコントロールコンピュータ(Flight Control Computer:以下単にFCCという)は安定増大装置(SAS:Stability Augmentation System)としても機能し、操縦桿による操作コマンドに機体の安定化のための補正値等が加算されて入力コマンドが生成される。そして、このコマンド信号が電油圧サーボ回路に入力され、舵面制御アクチュエータへの作動油の供給及び排出が制御されて、舵面の操舵、保舵の制御がなされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来のアクチュエーションシステムにあっては、FBWモード時において操縦桿による操作コマンドのようなパイロットコマンドに機体の安定化等ののための補正値を加算した制御コマンドが生成するため、FBWモードとメカニカルバックアップモードでは入力コマンドに差が生じ、この差が大きい状態でFBWシステムが故障すると、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えに際して舵面制御アクチュエータのピストン位置(舵面位置)が急激に変化する過渡現象、すなわち、急激な舵角変化(トランジェント(transient))が生じるおそれがある。
【0005】
したがって、前記入力コマンドの差が大きくなり得る状態、例えば航空機の着陸や着水アプローチ中におけるFBWシステムの故障に対して、トランジェントを緩和して危険を回避する必要がある。また、航空機にあってはアクチュエータを多重使用するアクチュエーションシステムが多用されるため、トランジェントの緩和機構を簡素でかつ信頼性の高いものとする必要がある。
【0006】
そこで本発明は、前記トランジェントの緩和を図るとともにメカニカルバックアップモードでの所要の速度を確保することができる信頼性の高いアクチュエーションシステムを低コストで提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えがなされる際にアクチュエータの速度を一時的に制限し、モード切替えより遅れて該制限を解除することにより、前記トランジェントの緩和を図るものであって、機械式制御弁を通る作動流体の量を絞ることでそれを達成するものである。
【0008】
すなわち、本発明は、シリンダ内に収納されたピストンの両側に一方及び他方の流体室を形成し、両流体室への作動流体の供給及び排出によりピストンを移動させるアクチュエータと、機械的操作入力に応じて作動する機械式制御弁及び電気制御信号入力に応じて作動する電気式制御弁を有し、両制御弁のうち何れかにより前記一方及び他方の流体室への作動流体の供給及び排出を制御する給排制御機構と、前記機械式制御弁及び電気式制御弁のうちいずれかを切替え操作圧に応じ選択して前記アクチュエータへの作動流体の供給及び排出通路に挿入するモード切替え弁と、外部からの機械的操作入力を前記機械式制御弁に伝達する操作力伝達部材を有し、前記モード切替え弁によって前記機械式制御弁が前記アクチュエータへの作動流体の供給及び排出通路に挿入されたとき、該操作力伝達部材を介した操作入力により前記機械式制御弁を作動させるバックアップ機構と、を備えたアクチュエーションシステムにおいて、前記切替え操作圧に応じて作動し前記機械式制御弁を通る作動流体の流量を制限することができる制限手段を設け、前記切替え操作圧の所定の変化によって前記機械式制御弁を前記アクチュエータへの作動流体の供給及び排出通路に挿入するよう前記モード切替え弁が切り替えられるとき、該切替え操作圧の所定の変化により前記制限手段を作動させて前記機械式制御弁を通した作動流体の供給及び排出を一時的に制限し、モード切替え弁の切り替えより遅れて該制限を解除することを特徴とするものである。
【0009】
この発明では、電気系統の故障時にモード切替え弁が切替え操作圧の所定の変化によって機械式制御弁をアクチュエータへの作動流体の供給通路及び排出通路に挿入するが、その切替え操作圧の所定の変化によって前記制限手段が作動することで、作動流体の供給通路及び排出通路に挿入された機械式制御弁による作動流体の給排制御が一時的に制限され、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えがなされる際のアクチュエータの速度が一時的に制限されることによって前記トランジェントの緩和が図られる。
【0010】
また、本発明は、舵面の操舵のために手動操作される操作部材と、シリンダ内に収納されたピストンの両側に一方及び他方の流体室を形成し、両流体室への作動流体の供給及び排出によりピストンを移動させて舵面を操舵するアクチュエータと、操作部材の操作に対応する電気制御信号又は自動操縦のための電気制御信号を出力する制御信号出力手段と、機械的操作入力に応じて作動する機械式制御弁及び前記制御信号出力手段からの電気制御信号入力に応じて作動する電気式制御弁を有し、両制御弁のうち何れかにより前記一方及び他方の流体室への作動流体の供給及び排出を制御する給排制御機構と、作動流体を所定の供給圧で供給する流体供給源と、作動流体を蓄えるリザーバ回路と、前記機械式制御弁及び電気式制御弁のうちいずれかを切替え操作圧に応じ選択して前記アクチュエータへの作動流体の供給及び排出通路に挿入するモード切替え弁と、外部からの機械的操作入力を前記機械式制御弁に伝達する操作力伝達部材を有し、前記モード切替え弁によって前記機械式制御弁が前記アクチュエータへの作動流体の供給及び排出通路に挿入されたとき、該操作力伝達部材を介した操作入力により前記機械式制御弁を作動させるバックアップ機構と、を備えたアクチュエーションシステムにおいて、前記切替え操作圧に応じて作動し前記機械式制御弁を通る作動流体の流量を制限することができる制限手段を設け、前記切替え操作圧の所定の変化によって前記機械式制御弁を前記アクチュエータへの作動流体の供給及び排出通路に挿入するよう前記モード切替え弁が切り替えられるとき、該切替え操作圧の所定の変化により前記制限手段を作動させて前記機械式制御弁を通した作動流体の供給及び排出を一時的に制限し、モード切替え弁の切り替えより遅れて該制限を解除することを特徴とするものであり、このような構成によって上記と同様な作用効果を得るものである。
【0011】
前記制限手段は、好ましくは、前記アクチュエータへの作動流体の供給通路及び前記アクチュエータからの作動流体の排出通路のうち少なくとも一方の通路に設けられ、該供給通路の圧力と前記切替え操作圧とに応じて切り替えられる可変絞り要素付きの切替え弁と、該切替え弁への切替え操作圧の供給通路に設けられた逆止弁及び絞り要素からなる遅れ機構と、を含むものであり、その場合、前記可変絞り要素付きの切替え弁が、開度の増加方向及び減少方向に往復移動する弁体と、該弁体により開放及び閉止される開口孔が形成された弁体収納部材とを含んで構成され、前記弁体が前記開度の増加方向に移動するのに伴って前記開口孔の開口面積が大きくなるようにするのがよい。
【0012】
また、前記開口孔が、前記弁体の移動方向に互いに離間するよう前記弁体収納部材に形成された複数のオリフィス孔からなるのがより好ましい。弁体収納部材の加工が容易だからである。もちろん、弁体により開放及び閉止される開口孔が前記弁体の移動方向に延びる長孔状に形成されてもよい。また、前記複数のオリフィス孔の孔径を順次異ならせて所要の可変絞りの特性を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1〜図7は、本発明の第1実施形態に係るアクチュエーションシステムを示す図である。なお、この実施形態は本発明を並列する多重液圧制御系統のそれぞれに適用したものであるが、図面にはその1系統のみの構成を図示している。また、以下に説明する構成は同一の舵面を駆動する各制御系統について共通するものである。
【0015】
まず、構成を説明する。
【0016】
図1において、10は油圧アクチュエータであり、アクチュエータ10はシリンダ11及びピストン12を有している。このアクチュエータ10は、シリンダ11内に収納されたピストン12の軸方向両側に一方及び他方の油室13,14(流体室)を画成したものであり、これら二つの油室13,14のうち一方に作動油(作動流体)を供給し他方から排出することにより、ピストン12に油圧力を作用させ、ピストン12を移動させるようになっている。また、アクチュエータ10はそのブラケット部10aで図示しない航空機の機体側構造部材に揺動自在に支持されており、ピストン12のロッド部12eは航空機の舵面の駆動部材に連結されている。また、アクチュエータ10の油室13,14には後述する給排制御機構20を介して作動油が供給及び排出され、給排制御機構20には供給圧Pの作動油を供給する図示しない流体供給源と、アクチュエータ10から排出される作動油を蓄えて流体供給源側に戻すリザーバ回路とが接続されている。21は給排制御機構20の圧力導入路であり、この圧力導入路21には逆止弁23と図示しないフィルタが設けられている。
【0017】
25は機械的操作入力に応動するインプットリンク25であり、このインプットリンク25は図1中の上下両端側の何れからも操作力を入力し得る揺動式の操作力伝達部材として構成されている。すなわち、インプットリンク25の第1移動端部25a(図1中の上端部)はパイロットによって操作される図外の操縦桿若しくはペダル等の手動操作部材に機械的リンケージを介して連結されており、インプットリンク25の第2移動端部25b(図1中の下端部)はピストン12のロッド部12eに揺動可能に支持されている。また、インプットリンク25は、両移動端部25a,25bの間にサミングポイント25c(弁操作点部)を有し、第1移動端部25aからの手動操作量と第2移動端部25bからの機械的フィードバック量との偏差に相当する機械的変位を、弁操作量としてサミングポイント25cから出力するようになっている。
【0018】
31は、インプットリンク25により4ポートを開閉操作及び開度調節される3位置切替え可能な機械式制御弁であり、機械式制御弁31は圧力導入路21の分岐路21aに接続された供給圧ポート31aと、油路28を介して前記リザーバ回路に接続されるリターンポート31bと、操作入力に応じて両ポートに接続される一対の制御圧ポート31c,31dとを有している。この機械式制御弁31は、供給圧ポート31aと制御圧ポート31c又は31dとを通して、油室13又は14に流体圧供給源からの作動油を供給するとともに、油室14又は13からの作動油をリターンポート31bを通して排出させることができ、さらに、供給圧ポート31a及びリターンポート31bと制御圧ポート31c,31dとの接続を遮断して両油室13,14への作動油の供給及び排出を停止することができる。なお、図1において、31eは機械式制御弁31の弁体、31f,31gはそれぞれ機械式制御弁31を中立位置に付勢する付勢手段、例えばセンタリングスプリングであり、31hは各ポート31a,31b,31c及び31dが形成された略スリーブ状の操作入力部であり、操作入力部31hはインプットリンク25からの操作入力に応じて弁体31eと相対移動し、各ポート31a,31b,31c及び31dの開度を変化させることができる。また、油路28には前記リザーバ回路から所定値の背圧が付与されている。
【0019】
32は、図外のFCCからの電気制御信号Sa,Sbにより4ポートを開閉操作及び開度調節するよう電磁駆動される3位置切替え可能な電気式制御弁であり、電気式制御弁32は、流体圧供給源からの作動油を導入する供給圧ポート32aと、リザーバ回路に作動油を排出するリターンポート32bと、制御信号Sa,Sbの入力に応じて両ポート32a,32bに接続される一対の制御圧ポート32c,32dとを有している。この電気式制御弁32は、例えば電気制御信号Sa,Sbに応じ弁体32eを電磁駆動することにより、電気制御信号Sa又はSbの信号レベルに応じ一対の制御圧ポート32c,32dを通して油室13又は14に前記流体圧供給源からの作動油を供給するとともに、油室14又は13からの作動油をリターンポート32bを通して前記リザーバ回路に排出させることができる。さらに、電気式制御弁32は、供給圧ポート32a及びリターンポート32bと制御圧ポート32c,32dとの接続を遮断して油室13,14への作動油の供給及び排出を停止することができる。なお、前記電気制御信号Saは舵角増加方向の信号、前記電気制御信号Sbは舵角減少方向の信号であり、それぞれ操舵量に応じた電気制御信号として電気式制御弁32の電磁駆動部32j,32kに入力される。
【0020】
一方、アクチュエータ10の一方及び他方の油室13,14は、6ポート2位置切替弁であるモード切替弁33の切替えにより、制御弁31,32のうち何れか一方の制御圧ポート31c,31d又は32c,32dに接続されるようになっている。このモード切替弁33は、制御弁31,32のそれぞれの制御圧ポート31c,31d及び32c,32dに接続される各一対の制御弁側ポート33a,33b及び33c,33dと、一方及び他方の油室13,14に接続された一対のアクチュエータ側ポート33f,33gと、パイロット圧導入部33hとを有している。また、モード切替弁33は、パイロット圧導入部33hからの付勢力に応じて変位する弁体33jと、この弁体33jをパイロット圧導入部33hとは逆の方向に付勢するスプリング33kとを備えており、これら付勢力により、制御弁31,32のうち任意の一方の制御圧ポート31c,31d又は32c,32dを油室13,14に接続することができるよう、モード切替弁33は、図1及び図2にそれぞれ示した二つの給排モード位置に切り替えられるようになっている。
【0021】
また、モード切替弁33のパイロット圧導入部33hへのパイロット圧Paは、ソレノイド弁35がON(図1)の状態では流体圧供給源からの供給圧Pとなり、ソレノイド弁35がOFF(図2)の状態では戻り側の低圧(前記リザーバ回路による背圧)まで低下する。ソレノイド弁35は、制御弁31,32の供給圧ポート31a,32aに接続された高圧側入口ポート35aと、制御弁31,32のリターンポート31b,32bに接続された低圧側入口ポート35bと、FCCからのモード切替制御信号Scに応じて両入口ポート35a,35bのうち何れか一方に接続される出口ポート35cとを有している。また、ソレノイド弁35は、弁体35d、スプリング35e及び電磁駆動部35fからなり、電磁駆動部35fに切替制御信号Scが入力されるときに弁体35dを図1に示すON位置に変位させて、出口ポート35cを通しモード切替弁33にパイロット圧Paを加えるようになっている。すなわち、ソレノイド弁35は、前記FCCからのモード切替制御信号Scに応じて、前記流体圧供給源及びリザーバ回路のうち何れか一方側の作動油圧を、パイロット圧としてモード切替弁33のパイロット圧導入部33hに供給する。
【0022】
一方、機械式制御弁31を通るアクチュエータ10への作動油の供給通路及び排出通路のうち少なくとも一方の通路には、機械式制御弁31を通る作動油の流量を制限することができるタイムディレイバルブ機構40(制限手段)が設けられている。このタイムディレイバルブ機構40は、機械式制御弁31と前記リザーバ回路の間の油路28(排出通路)に設けられた可変絞り要素41a付きの切替え弁41を備えており、この切替え弁41は、供給通路である圧力導入路21からの供給圧Pによって全開位置側に、ソレノイド弁35からのパイロット圧Pa(切替え操作圧)によって絞り位置側に付勢され、切り替え操作される。また、切替え弁41へのパイロット圧Paの供給通路42には、逆止弁43及び絞り要素44と逆止弁43を閉弁方向に付勢するスプリング45とからなる遅れ機構46が設けられており、ソレノイド弁35がOFFとなってパイロット圧Paが低下するとき、切替え弁41の全開位置側への切替えが遅れ機構46により遅らされて徐々に進行するようになっている。すなわち、タイムディレイバルブ機構40はモード切替え弁33の切替え操作圧であるパイロット圧Paに応じて作動し、モード切替え弁33がパイロット圧Paの低下(所定の変化)によって機械式制御弁31をアクチュエータ10への作動油の供給通路及び排出通路に挿入するとき、そのパイロット圧Paの低下によって作動し、前記作動油の供給及び排出通路に挿入された機械式制御弁31がアクチュエータ10への作動油の供給及び排出を制御するのが一時的に制限され、モード切替え弁33の切り替えより遅れてその制限が解除されるようになっている。
【0023】
具体的には、図4及び図5に示すように、可変絞り要素付きの切替え弁41は、開度の増加方向及び減少方向である軸方向に往復移動可能なスプール状の弁体61と、この弁体61により開放及び閉止される例えば3つのオリフィス孔62a,62b,62c,62e及び常開のオリフィス孔62dがそれぞれ形成された弁体収納部材62と、これら弁体61及び弁体収納部材62を共に収納するハウジング63及び有底の略円筒状のねじ込みプラグ64と、複数のシールリング65、66、67a、67b、67c、67dと、を具備している。弁体61は、オリフィス孔62a〜62cを開閉することができるランド部61aと、オリフィス孔62a〜62cを連通させることができる環状溝部61bと、オリフィス孔62eに連通することができる環状溝部61cと、オリフィス孔61eを開閉可能なランド部61dと、図1中左端側の小受圧面部61eと、環状溝部61cを逆止弁43に連通させる中心連通孔61fと、図1中右端側の大受圧面部61gと、逆止弁43の開弁時の通路を構成する連通路61hとを有している。また、弁体61の図1中の右端部61gはねじ込みプラグ64内に摺動自在に収納されており、両者の間に切り替え操作圧室51が形成されている。この切り替え操作圧室51は逆止弁43の軸線上に細孔状のオリフィスとして形成された絞り要素44を介して中心連通路61fに連通している。
【0024】
図6(a)に示すように例示されるオリフィス孔62a,62b,62cは、弁体61の移動方向に互いに離間して配置され、かつ、オリフィス孔62a,62b,62cの順に開口径が段階的に拡大するように互いに異なる孔径に形成されており、これらオリフィス孔62a〜62cが全体として弁体61の移動方向に延びた開口孔62を形成している。そして、弁体61が前記開度の増加方向に移動するとき、オリフィス孔62a,62b,62cは開口孔62の開口面積が徐々に大きくなるよう弁体61のランド部61aによって順次開放され、逆に、弁体61が前記開度の減少方向に移動するとき、オリフィス孔62a,62b,62cは開口孔62の開口面積が徐々に小さくなるよう弁体61のランド部61aによって順次閉止されるようになっている。これらオリフィス孔62a,62b,62cは弁体61と共に可変絞り要素41aを構成している。
【0025】
開口孔62は、ここで例示するような3つのオリフィス孔からなるものに限らず、単一の円形オリフィス孔、弁体移動方向で同一位置に位置し周方向所定間隔(例えば等間隔)に離間する複数の円形、多角形その他の任意の形状を有する同径若しくは異径のオリフィス孔、弁体移動方向で同一位置に位置する複数のオリフィス孔が更に弁体同方向に離間するよう配列された複数組の同径若しくは異径の円形オリフィス孔、開口幅が一端から他端に近付くほど順次増大する略三角形の単一の若しくはそれが周方向所定間隔に平行配置された複数のオリフィス孔、上記のオリフィス孔の何れかを組合せた形状、その他の各種形状の単一若しくは複数のオリフィス孔であってもよいことは勿論である。さらに、弁体61の形状を適宜変更することで、更に異なる多様な可変絞り弁を採用することができることはいうまでもない。要するに、可変絞り要素41aは、弁体61及び開口孔62の形状を適宜選択することによって、段階的にあるいはリニアに絞り特性を変化させることができる任意の可変絞り要素とすることができる。なお、リニアな可変絞り特性は、例えば図6(b)に示すように、弁体61の移動方向に延びる長孔状のように無段階に連続するオリフィス形状とすることで得られる。
【0026】
前記機械式制御弁31、インプットリンク25及び操縦桿までの機械的リンケージは、FCCによるFBW制御が実行できない電気系統の故障時に、操縦桿からの手動操舵を可能にするバックアップ機構30を構成しており、FCCからの電気制御信号Sa,Sbにより電気式制御弁32を作動させることができなくなるような何らかの故障が生じた場合には、操縦桿からの操作入力を給排制御機構20の機械式制御弁31に伝達し、機械的リンケージを介した手動操縦入力により給排制御機構20を作動させるようになっている。また、FCCは、FBW制御を実行する間、舵角位置センサからのフィードバック信号や航空機の応答(ピッチ、ロール及びヨーの応答)を観測する図示しない運動センサ等からの信号により、多重化されたそれぞれの制御系が正常に作動しているか否かを常時チェックし、後述するような舵面制御を実行する。
【0027】
以下、通常の制御の場合と何らかの故障が生じた場合に分けて作用を説明する。
【0028】
(1)正常な制御モード
通常のFBWモードにおいては、パイロットによる操縦桿の手動操作量又は自動操縦のための必要操舵量に応じてパイロットコマンドが生成されるとともに、FCCの安定増強装置としての機能に基づいてパイロットコマンドに所要の補正処理がされる。そして、この補正された入力コマンドと舵面位置(舵角)センサからのフィードバック信号等との偏差に応じた電気制御信号Sa又はSbが生成され、各制御系統の電気式制御弁32に入力される。また、ソレノイド弁35には図1に示すパイロット圧供給位置に電磁駆動するための切替制御信号Scが入力される。そして、前記入力コマンドと位置センサからのフィードバック信号とに差が生じると、その偏差に応じた電気制御信号(以下、偏差信号という)Sa又はSbにより電気式制御弁32が弁体32eを中立位置から変位させるように駆動され、制御圧ポート32c,32dが開かれることで、一方の油室13又は14に流体圧供給源からの作動油が供給されるとともに、他方の油室14又は13からの作動油がリターンポート32bを通して排出される。したがって、ピストン12が油室13,14の間の差圧に応じた推力を発生して、舵面を入力コマンドに対応する舵角位置へと制御する。次いで、前記パイロットコマンドと舵面位置センサからの信号との差がほぼゼロになると、偏差信号Sa又はSbが初期値(例えばゼロ)となり、供給圧ポート32a及びリターンポート32bと制御圧ポート32c及び32dとの接続が遮断されて、油室13,14への作動油の供給及び排出が停止される。
【0029】
なお、所定の操作がされると、自動操縦モードから手動操縦モードに切り替えられる。例えば自動操縦モードでの飛行中に危険回避等のために手動操舵がなされたとき、パイロットの手動操縦入力を確実に優先させる状態とする。
【0030】
(2)1系統が故障した場合の制御モード
多重化した複数の制御系統のうち何れかの制御系統の電気回路に故障が生じると、故障の生じた制御系統では、ソレノイド弁35が正常に電磁駆動されないため、パイロット圧Paが低下する。したがって、故障系統では、モード切替弁33が機械式制御弁31による給排制御位置に切り替えられる。
【0031】
このとき、パイロット圧Paの低下(切替え操作圧の所定の変化)に応じて、モード切替え弁33が機械式制御弁31をアクチュエータ10への作動油の供給通路及び排出通路に挿入する。一方、そのパイロット圧Paの低下に伴ってタイムディレイバルブ機構40の切替え弁41が制限解除側に切り替えられるが、その切替は遅れ機構46によって遅らされ、アクチュエータ10への作動油給排通路に挿入された機械式制御弁31による作動油の給排制御が一時的に制限されることになり、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えがなされる際のアクチュエータ10の速度が一時的に制限される。
【0032】
具体的には、タイムディレイバルブ機構40は、まず、最初に油路63dに圧力が供給されたときに絞り要素44を有する逆止弁43が開弁して、メカニカル・バックアップモードの状態(図5の状態)からFBWモードの状態(図4の状態)への切替えがされており、小受圧面部61eが油路63aの供給圧Pにより図4中の右側に付勢されている状態で、大受圧面部61がパイロット圧Paにより逆方向に付勢されているが、供給圧Pが小受圧面部61eに加わったこの状態で、油路63dの圧力(ソレノイド弁35からのパイロット圧Pa)が低下すると、オリフィス孔である絞り要素44を通して切替え操作圧室51内の作動油が中心連通孔61fに漏れ出し、スプール弁体61が図4に図示する位置から図5に図示する位置11まで移動していき、その途中で2段目、2段目のオリフィス孔62b,62cが順次開いていく。
【0033】
このとき、アクチュエータ10のピストン12の移動速度は、図7に示すように、FFBWモード時の速度(同図中1段目オリフィス速度)から、2段目のオリフィス孔62bが開いた状態、更に3段目のオリフィス孔62cが開いた状態へと、段階的に変化する。したがって、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切り替え時に急激な舵角変化(トランジェント)が生じることがなく、従来のトランジェントの問題が解消されることになる。
【0034】
このように、上述のアクチュエーションシステムにおいては、トランジェントの緩和を図るとともにメカニカルバックアップモードでの所要の速度を確保することができるアクチュエーションシステムを提供することができる。
【0035】
ところで、メカニカルバックアップモードにおいては、インプットリンク25から機械式制御弁31に操作力が伝達可能になる。したがって、一系統のみが故障した状態においては、他の制御系統からの操舵力で駆動されるインプットリンク25により機械式制御弁31を操作し、故障系統におけるアクチュエータ10を他系統のアクチュエータ動作に追従させることができるから、故障の生じた制御系統では機械的リンケージを介した制御を行いながら、正常な制御系統でのFBW制御を行うことができ、パイロットの操縦負荷を軽減できる。
【0036】
もちろん、正常な制御系統を手動操縦モードに切り替えて全制御系統を操縦桿の手動操作に応じて作動させ、手動操縦による正常な飛行をすることもできる。
【0037】
一方、多重化した複数の制御系統のうち何れかの制御系統に所定レベルの油圧が供給されなくなるような油圧失陥が生じた場合、ソレノイド弁35が正常状態と同様に電磁駆動されていても故障傾倒においてはパイロット圧Paが低下する。
このときも、上述のように他の制御系統からの操舵力でインプットリンク25を解して機械式制御弁31を作動させ、正常な制御系統でのFBW制御を行うことができる。
【0038】
(3)全系統の故障時の舵面制御
多重化した全制御系統に影響する電気回路の故障が生じた場合、FBW制御はできなくなり、各制御系統においてソレノイド弁35が正常に電磁駆動されないため、パイロット圧Paが低下する。
【0039】
このとき、上述の場合と同様に、パイロット圧Paの低下に応じて、モード切替え弁33が機械式制御弁31をアクチュエータ10への作動油の供給通路及び排出通路に挿入する一方、そのパイロット圧Paの低下に伴ってタイムディレイバルブ機構40の切替え弁41が制限解除側に切り替えられるとともに、その切替が遅れ機構46によって遅らされ、トランジェントの緩和が図られる。
【0040】
モード切替え後は、操縦桿からの手動操作入力によりインプットリンク25を介して機械式制御弁31が操作され、その手動操作に応じた開度で制御圧ポート31c、31dが開かれ、片方の油室13又は14に流体圧供給源からの作動油が供給されるとともに、残りの油室14又は13からの作動油がリターンポート31bを通してリザーバ回路に排出される。これにより、各制御系統のアクチュエータ10内でピストン12が油室13、14の間の差圧に応じた推力を発生し、ピストン12のロッド部12eが舵面を操縦桿の手動操作量(パイロットコマンド)に対応する舵角位置へと制御する。また、操縦桿が元に戻されると、供給圧ポート31a及びリターンポート31bと制御圧ポート31c及び31dとの接続が遮断されて、油室13、14への作動油の供給及び排出が停止され、保舵状態となる。
【0041】
なお、全制御系統に所定レベルの油圧が供給されなくなるような油圧失陥が生じた場合、各制御系統において逆止弁23により作動油の逆流が阻止されるとともに、戻り側のタイムディレイバルブ機構40において可変絞り要素41a付きの切替え弁41が絞る作用をなす。したがって、この状態において、舵面のばたつき等を抑えることができる。
【0042】
(第2実施形態)
図8〜図10は本発明の第2実施形態に係るアクチュエーションシステムを示す図である。なお、この実施形態はタイムディレイバルブ機構40を油圧の供給側に配置した以外は上述の実施形態とほぼ同様のシステムであるため、上述例との相違点のみについて説明する。
【0043】
この実施形態においては、アクチュエータ10への作動油の供給通路である圧力導入路21にタイムディレイバルブ機構40が配置されており、図8に示すようにソレノイド弁35がONのとき、機械式制御弁31の排出側に接続する絞り要素となる。
【0044】
一方、図9に示すようにソレノイド弁35がOFFとなり、パイロット圧Paが低下すると、このパイロット圧Paの低下(切替え操作圧の所定の変化)に応じて、機械式制御弁31をアクチュエータ10への作動油の供給通路及び排出通路に挿入するようモード切替え弁33が切り替わる。このとき、そのパイロット圧Paの低下に伴ってタイムディレイバルブ機構40の切替え弁41が制限解除側に切り替えられることになるが、上述の実施機体と同様に、その切替えは遅れ機構46によって遅らされ、アクチュエータ10への作動油給排通路に挿入された機械式制御弁31による作動油の給排制御が一時的に制限されることから、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えがなされる際のアクチュエータ10の速度が一時的に制限され、トランジェントが緩和される。
【0045】
(第3実施形態)
図11〜図12は本発明の第3実施形態に係るアクチュエーションシステムを示す図である。なお、この実施形態はタイムディレイバルブ機構を油圧の供給側と戻り側の双方に配置した以外は上述の実施形態とほぼ同様のシステムである。
【0046】
このアクチュエーションシステムにおいては、圧力導入路21及び油路28にタンデム型に一体化された切替え弁141、142を挿入し、これを供給圧Pとパイロット圧Paとて切替え操作するようにしたタイムディレイバルブ機構140が採用されている。切替え弁141は圧力導入路21において、切替え弁142は戻り側の油路28において、それぞれ上述したタイムディレイバルブ機構40と同様に機能する。
【0047】
したがって、この場合にも、上述と同様に、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えがなされる際のアクチュエータ10の速度を一時的に制限し、トランジェントの緩和を図ることができる。
【0048】
(第4実施形態)
図13は本発明の第4実施形態に係るアクチュエーションシステムを示す図である。
【0049】
このアクチュエーションシステムは、上述の各実施形態のように流体圧供給源からの供給圧をタイムディレイバルブ機構40の切替え弁41の切替えに利用するのではなく、機械式制御弁31の排出ボート31b(排出通路の上流側)の油圧Pmをセンシングし、これをパイロット圧Paに対抗する切替え圧としてタイムディレイバルブ機構40の切替え弁41に与えるようにしたものである。
【0050】
この場合、機械式制御弁31の排出ボート31bと切替え弁41の間の油圧が高まってから切替え弁41が全開側に付勢される点以外は上述例と同様であり、この場合にも、FBWモードからメカニカルバックアップモードへの切替えがなされる際のアクチュエータ10の速度を一時的に制限し、トランジェントの緩和を図ることができる。
【0051】
(第5実施形態)
図14は本発明の第5実施形態に係るアクチュエーションシステムを示す図である。なお、この実施形態は多重化の手段としてタンデム型のアクチュエータを用いたものであり、その各油圧系統にタイムディレイバルブ機構40を設けた構成となっている。
【0052】
図14において、210はタンデム型のアクチュエータであり、このアクチュエータ210は各一対の油室213A、213B及び214A、214Bを有している。また、231は機械式制御弁で、インプットリンク25により8ポートを開閉操作及び開度調節される3位置切替え可能な構造になっている。この機械式制御弁231は、2つの油圧系統A、Bの圧力導入路211、212の分岐路211a、221aに接続された各一対の供給圧ポート231aと、2つの油圧系統A、Bの戻り側の油路281、282を介して前記リザーバ回路に接続される各一対のリターンポート231bと、インプットリンク25の機械的操作入力に応じて両ポート231a、231bに接続される各一対の制御圧ポート231c、231dとを有している。また、機械式制御弁231は、供給圧ポート231aと制御圧ポート231c又は231dとを通して、油室213A、213B又は214A、214Bに流体圧供給源からの作動油を供給するとともに、油室214A、214B又は213A、213Bからの作動油をリターンポート31bを通して排出させることができ、さらに、供給圧ポート231a及びリターンポート231bと制御圧ポート231c、231dとの接続を遮断して両油室213A、213B、214A、214Bへの作動油の供給及び排出を停止することができる。なお、図14において、231eは機械式制御弁231の弁体、231f、231gはそれぞれ機械式制御弁231を中立位置に付勢する付勢手段、例えばセンタリングスプリングであり、231hは各ポート231a〜231dが形成された略スリーブ状の操作入力部である。操作入力部231hは、インプットリンク25からの操作入力に応じて弁体231eと相対移動し、各ポート231a〜231dの開度を変化させることができる。
【0053】
232は、図外のFCCからの電気制御信号Sa、Sbにより8ポートを開閉操作及び開度調節するよう電磁駆動される3位置切替え可能な電気式制御弁であり、電気式制御弁232は、流体圧供給源からの作動油を導入する各一対の供給圧ポート232aと、リザーバ回路に作動油を排出する各一対のリターンポート232bと、制御信号Sa、Sbの入力に応じて両ポート232a、232bに接続される各一対の制御圧ポート232c、232dとを有している。この電気式制御弁232は、例えば電気制御信号Sa、Sbに応じ弁体232eを電磁駆動することにより、電気制御信号Sa又はSbの信号レベルに応じ制御圧ポート232c、232dを通して油室213A、213B又は214A、214Bに前記流体圧供給源からの作動油を供給するとともに、油室214A、214B又は213A、213Bからの作動油をリターンポート232bを通して前記リザーバ回路に排出させることができる。さらに、電気式制御弁232は、供給圧ポート232a及びリターンポート232bと制御圧ポート232c、232dとの接続を遮断して油室213A、213B及び214A、214Bへの作動油の供給及び排出を停止することができる。なお、第1実施形態と同様に、前記電気制御信号Saは舵角増加方向の信号、前記電気制御信号Sbは舵角減少方向の信号であり、それぞれ操舵量に応じた電気制御信号として電気式制御弁232の電磁駆動部232j、232kに入力される。
【0054】
一方、アクチュエータ210のA系統の油室213A、214A及びB系統の油室213B、214Bは、それぞれポート2位置切替弁である一対のモード切替弁233A、233Bの切替えにより、制御弁231、232のうち何れか一方の制御圧ポート231c、231d又は232c、232dに接続されるようになっている。これらのモード切替弁233A、233Bは、制御弁231、232のそれぞれの制御圧ポート231c、231d及び232c、232dに接続される各一対の制御弁側ポート233a及び233bと、それぞれ油室213A、214A若しくは油室213B、214Bに接続された各一対のアクチュエータ側ポート233f、233gと、パイロット圧導入部233hとを有している。また、モード切替弁233A、233Bは、それぞれパイロット圧導入部233hからの付勢力に応じて変位する弁体233jと、この弁体233jをパイロット圧導入部233hとは逆の方向に付勢するスプリング233kとを備えており、これら付勢力により、制御弁231、232のうち任意の一方の制御圧ポート231c、231d又は232c、232dを油室213A、213B又は214A、214Bに接続することができるよう、モード切替弁233A、233Bはそれぞれ二つの給排モード位置に切り替えられるようになっている。
【0055】
また、モード切替弁233のパイロット圧導入部233hへのパイロット圧Pa、Pbは、一対のソレノイド弁235A、235BがそれぞれONの状態では流体圧供給源からの供給圧Pとなり、ソレノイド弁235A、235BがそれぞれOFFの状態では戻り側の低圧まで低下する。ソレノイド弁235A、235Bは、制御弁231、232の供給圧ポート231a、232aに接続された高圧側入口ポート235aと、制御弁231、232のリターンポート231b、232bに接続された低圧側入口ポート235bと、FCCからのモード切替制御信号Sc、Sdに応じて両入口ポート235a、235bのうち何れか一方に接続される出口ポート235cとを有している。また、ソレノイド弁235A、235Bは、弁体235d、スプリング235e及び電磁駆動部235fからなり、電磁駆動部235fに切替制御信号ScまたはSdが入力されるときに弁体235dを図中に示すON位置に変位させて、出口ポート235cを通しモード切替弁233A、233Bにパイロット圧Pa、Pbを付与するようになっている。すなわち、ソレノイド弁235A、235Bは、前記FCCからのモード切替制御信号Sc、Sdに応じて、前記流体圧供給源及びリザーバ回路のうち何れか一方側の作動油圧を、パイロット圧Pa、Pbとしてモード切替弁233A、233Bのパイロット圧導入部233hに供給する。
【0056】
一方、機械式制御弁231を通るアクチュエータ210への作動油の供給通路及び排出通路のうち少なくとも一方の通路、例えば排出通路である油路281、282には、それぞれ機械式制御弁231を通る作動油の流量を制限することができるタイムディレイバルブ機構40A、40B(制限手段)が設けられている。これらタイムディレイバルブ機構40A、40Bは、それぞれ第1実施形態におけるタイムディレイバルブ機構40と同様に構成されており、供給通路である圧力導入路211、212からの供給圧Pによって全開位置側に、ソレノイド弁235A、235Bからのパイロット圧Pa、Pb(切替え操作圧)によって絞り位置側に付勢され、切り替え操作される。
【0057】
このアクチュエーションシステムにおいても、油圧系統A、Bにおいてそれぞれ上述の実施形態と同様な動作がされ、一系統のみの電気故障又は油圧失陥時には他方の油圧系統でFBWモードの制御を継続することができ、FWBモードからメカニカルバックアップモードへの切り替えがされる際には、タイムディレイバルブ機構40A、40Bによって、第1実施形態と同様にアクチュエータ210のピストン212の移動速度が一時的に制限され、トランジェントの緩和が図られる。
【0058】
なお、上述の第5実施形態における各タイムディレイバルブ機構40A、40Bを、図11及び図12に示した第3実施形態のタイムディレイバルブ機構140若しくは図13に示したタイムディレイバルブ機構40と同様に構成することができることはいうまでもない。また、上述した各実施形態においては航空機の舵面制御用アクチュエータとして説明したが、FBW制御される他用途の液圧アクチュエータ等であってもよいことはいうまでもなく、本発明は、メカニカルバックアップ機構付きFBW制御の流体圧アクチュエータシステム全般について広く適用することができるものである。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、機械式制御弁がアクチュエータへの作動流体の給排通路に挿入されるとき、機械式制御弁を通る作動流体の流量を制限する制限手段によって機械式制御弁を通した作動流体の供給及び排出を一時的に制限してアクチュエータの速度を一時的に制限し、そのモード切替え弁の切り替えより遅れて該制限を解除するようにしているので、フライバイワイヤ制御モードからメカニカルバックアップモードへの切替えがなされる際に急激な舵角変化(トランジェント)が生じるのを防止することができる。
【0060】
また、前記制限手段が、アクチュエータへの作動流体の供給通路及び前記アクチュエータからの作動流体の排出通路のうち少なくとも一方の通路に設けられ、該供給通路の圧力と前記切替え操作圧とに応じて切り替えられる可変絞り要素付きの切替え弁と、該切替え弁への切替え操作圧の供給通路に設けられた逆止弁及び絞り要素からなる遅れ機構と、を含むようにすれば、簡素な構成でトランジェントの緩和を図ることができ、信頼性に優れた低コストのアクチュエーションシステムを提供することができる。
【0061】
さらに、前記可変絞り要素付きの切替え弁が、開度の増加方向及び減少方向に往復移動する弁体と、該弁体により開放及び閉止される開口孔が形成された弁体収納部材とを含んで構成され、前記弁体が前記開度の増加方向に移動するのに伴って前記開口孔の開口面積が大きくなるようにすれば、より簡素で、かつ、信頼異性の高い制限手段を構成することができる。また、前記開口孔が、前記弁体の移動方向に互いに離間するよう前記弁体収納部材に形成された複数のオリフィス孔からなるようにすれば、加工が容易であり、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアクチュエーションシステムを示すその概略構成図であり、フライバイワイヤモードの状態を示している。
【図2】第1実施形態に係るアクチュエーションシステムのメカニカル・バックアップ・モードの状態を示す概略構成図である。
【図3】第1実施形態におけるタイムディレイバルブ機構の概略構成を示す油圧回路図である。
【図4】第1実施形態のタイムディレイバルブ機構の詳細構成を示す断面図であって、フライバイワイヤモードの状態を示す図である。
【図5】第1実施形態のタイムディレイバルブ機構の詳細構成を示す断面図であって、メカニカル・バックアップ・モードの状態を示す図である。
【図6】第1実施形態のタイムディレイバルブ機構における可変絞り要素のオリフィス構造を示す説明図で、(a)はその開口孔を複数のオリフィス孔で構成した態様を示し、(b)はその開口孔を弁体移動方向に延びる長穴形状とした態様を示している。
【図7】メカニカル・バックアップ・モードへのモード切替え時における第1実施形態のタイムディレイバルブ機構の切替え弁移動時間(横軸)と、アクチュエータのピストン速度(縦軸)との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第2実施形態に係るアクチュエーションシステムを示すその概略構成図であり、フライバイワイヤモードの状態を示している。
【図9】第2実施形態に係るアクチュエーションシステムのメカニカル・バックアップ・モードの状態を示す概略構成図である。
【図10】第2実施形態におけるタイムディレイバルブ機構の概略構成を示す油圧回路図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るアクチュエーションシステムを示すその概略構成図であり、フライバイワイヤモードの状態を示している。
【図12】第3実施形態に係るアクチュエーションシステムのメカニカル・バックアップ・モードの状態を示す概略構成図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係るアクチュエーションシステムを示すその概略構成図であり、フライバイワイヤモードの状態を示している。
【図14】本発明の第5実施形態に係るアクチュエーションシステムを示すその概略構成図であり、フライバイワイヤモードの状態を示している。
【符号の説明】
10、210 アクチュエータ
11、211 シリンダ
12、212 ピストン
13、213A、213B 油室(一方の流体室)
14、214A、214B 油室(他方の流体室)
20、220 給排制御機構
21、211、212 圧力導入路(供給通路)
23、233A、233B 逆止弁
25 インプットリンク(操作力伝達部材)
28 油路(排出通路)
31、231 機械式制御弁
32、232 電気式制御弁
33、233A、233B モード切替弁
35、235A、235B ソレノイド弁
40、40A、40B、140 タイムディレイバルブ機構
41、141、142 可変絞り要素付きの切替え弁
41a 可変絞り要素
43 逆止弁
44 絞り要素
46 遅れ機構
51 操作圧室
61 スプール弁体
61a、61d ランド部
61f 中心連通孔
62 開口孔
62a、62b、62c オリフィス孔(開口孔)
63 ハウジング

Claims (5)

  1. シリンダ内に収納されたピストンの両側に一方及び他方の流体室を形成し、両流体室への作動流体の供給及び排出によりピストンを移動させるアクチュエータと、
    機械的操作入力に応じて作動する機械式制御弁及び電気制御信号入力に応じて作動する電気式制御弁を有し、両制御弁のうち何れかにより前記一方及び他方の流体室への作動流体の供給及び排出を制御する給排制御機構と、
    前記機械式制御弁及び電気式制御弁のうちいずれかを切替え操作圧に応じ選択して前記アクチュエータへの作動流体の供給及び排出通路に挿入するモード切替え弁と、
    外部からの機械的操作入力を前記機械式制御弁に伝達する操作力伝達部材を有し、前記モード切替え弁によって前記機械式制御弁が前記アクチュエータへの作動流体の供給及び排出通路に挿入されたとき、該操作力伝達部材を介した操作入力により前記機械式制御弁を作動させるバックアップ機構と、を備えたアクチュエーションシステムにおいて、
    前記切替え操作圧に応じて作動し前記機械式制御弁を通る作動流体の流量を制限することができる制限手段を設け、
    前記切替え操作圧の所定の変化によって前記機械式制御弁を前記アクチュエータへの作動流体の供給及び排出通路に挿入するよう前記モード切替え弁が切り替えられるとき、該切替え操作圧の所定の変化により前記制限手段を作動させて前記機械式制御弁を通した作動流体の供給及び排出を一時的に制限し、モード切替え弁の切り替えより遅れて該制限を解除することを特徴とするアクチュエーションシステム。
  2. 舵面の操舵のために手動操作される操作部材と、
    シリンダ内に収納されたピストンの両側に一方及び他方の流体室を形成し、両流体室への作動流体の供給及び排出によりピストンを移動させて舵面を操舵するアクチュエータと、
    操作部材の操作に対応する電気制御信号又は自動操縦のための電気制御信号を出力する制御信号出力手段と、
    機械的操作入力に応じて作動する機械式制御弁及び前記制御信号出力手段からの電気制御信号入力に応じて作動する電気式制御弁を有し、両制御弁のうち何れかにより前記一方及び他方の流体室への作動流体の供給及び排出を制御する給排制御機構と、
    作動流体を所定の供給圧で供給する流体供給源と、
    作動流体を蓄えるリザーバ回路と、
    前記機械式制御弁及び電気式制御弁のうちいずれかを切替え操作圧に応じ選択して前記アクチュエータへの作動流体の供給及び排出通路に挿入するモード切替え弁と、
    外部からの機械的操作入力を前記機械式制御弁に伝達する操作力伝達部材を有し、前記モード切替え弁によって前記機械式制御弁が前記アクチュエータへの作動流体の供給及び排出通路に挿入されたとき、該操作力伝達部材を介した操作入力により前記機械式制御弁を作動させるバックアップ機構と、を備えたアクチュエーションシステムにおいて、
    前記切替え操作圧に応じて作動し前記機械式制御弁を通る作動流体の流量を制限することができる制限手段を設け、
    前記切替え操作圧の所定の変化によって前記機械式制御弁を前記アクチュエータへの作動流体の供給及び排出通路に挿入するよう前記モード切替え弁が切り替えられるとき、該切替え操作圧の所定の変化により前記制限手段を作動させて前記機械式制御弁を通した作動流体の供給及び排出を一時的に制限し、モード切替え弁の切り替えより遅れて該制限を解除することを特徴とするアクチュエーションシステム。
  3. 前記制限手段が、前記アクチュエータへの作動流体の供給通路及び前記アクチュエータからの作動流体の排出通路のうち少なくとも一方の通路に設けられ、該供給通路の圧力と前記切替え操作圧とに応じて切り替えられる可変絞り要素付きの切替え弁と、該切替え弁への切替え操作圧の供給通路に設けられた逆止弁及び絞り要素からなる遅れ機構と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエーションシステム。
  4. 前記可変絞り要素付きの切替え弁が、開度の増加方向及び減少方向に往復移動する弁体と、該弁体により開放及び閉止される開口孔が形成された弁体収納部材と、を含んで構成され、
    前記弁体が前記開度の増加方向に移動するのに伴って前記開口孔の開口面積が大きくなるようにしたことを特徴とする請求項3に記載のアクチュエーションシステム。
  5. 前記開口孔が、前記弁体の移動方向に互いに離間するよう前記弁体収納部材に形成された複数のオリフィス孔からなることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエーションシステム。
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