JP3701507B2 - 往復動加振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、粉体供給用ホッパ、振動フィーダなど物体に直接振動を加える加振源として利用される往復動加振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
加振装置には、圧電素子や電磁石を利用したもの、あるいはボールを偏心した軌道をエアーで回転させて加振源を形成するボール方式のものなど種々の形式のものがある。このうち、ボール方式の加振装置は、ホッパで供給する粉体のブリッジ防止などに多く使用されている。
【0003】
このボール方式の加振装置は、ボールを収納した本体自体が振動源となり、取付けられた物体全体を振動させる構造であって、例えば図3に示すように、粉体供給用ホッパに取付ける場合、ホッパ全体に振動を与えてホッパに溜め込んだ粉体がブリッジを起こして底部の排出口から排出することができなくなるのを防止している。
【0004】
図において1は加振手段、2は粉体供給用ホッパ、3は排出部、4は支持手段、5は開閉手段である。ホッパ2は支持手段4で支持されており、その支持端にはホッパ側の支持ブラケット2aとの間に振動吸収のための耐振用ゴム4aが設けられ、ホッパ2全体が振動してもその振動を支持手段4との間で遮断している。開閉手段5は弁座5aに嵌合する弁体5bと、これを上下動してホッパ2を開閉するシリンダ5cとを備えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ボール方式の加振装置は、上述したようにボールをエアーで回転させる構造であるので力が弱い。小型の装置で強い振動を発生させることができず、強力な振動を発生させようとすると、装置の大型化、重量増が避けられない。
【0006】
また、この装置は、本体が直接振動し、その振動を例えばホッパに加えて内部の粉体に間接的に伝えることを前提としているため、用途も狭い。例えば、ホッパにおける粉体のブリッジ防止では、粉体を直接掻き動かした方がより良い効果が望め、ホッパ支持の簡素化等も図り易いが、出力軸をもたないボール方式の加振装置では、直接の掻き動かしが行えない。また、この方式の加振装置は、振動フィーダやポンプなどの駆動源としては役に立たない。
【0007】
電磁石式のものなど他の形式の加振装置も、往復運動は得られるが、サイズ、重量が大きく、高価で用途も限定されるなど一長一短があり、小型、軽量化、低コスト化を図ることができ、用途も広いなどの有利な利点を得るには種々問題があり、これらの種々の問題を解決する1つの試みとしてピストン内蔵のシリンダを用いた往復動加振装置を検討した。
【0008】
この往復動加振装置は、ピストンを往復動自在に内蔵したシリンダの両端壁に加圧流体を導入する入口ポートをそれぞれ設け、シリンダ内のピストン両端の圧力室用の2つの排出ポートをシリンダ周壁に設けてピストンの変位により排出ポートの一方を開き他方を閉じるようにし、ピストンの慣性移動で圧力室のピストン推力を交互に反転させてピストンを往復運動するように構成している。
【0009】
しかし、このような構成の往復動加振装置は、ピストンの長さに対応する間隔で排出ポートをシリンダ周壁に設け、2つの排出ポート間の中間点を中心にピストンが変位し、慣性移動で圧力室のピストン推力が交互にその強弱を反転する構成となっているため、装置を取付ける対象物の負荷が大きい程振動の振幅が大きくなり、振動数が小さくなる。反対に負荷が小さければ振動の振幅小、振動数は大となり、振幅が負荷の大きさに比例する。
【0010】
このように振動の振幅は負荷の大きさに比例し、振動数は逆比例するけれど、ピストンが作動途中で中間点を越えると慣性力が急激に低下するため負荷を大きくすれば振幅をいくらでも大きくできる訳ではなく、振幅を大きくするには一定の限度がある。まして、荷重の大きさに関係なく振幅だけを大きくすることはできない。従って、振幅が一定限度内に限られるため、その用途が限定される。
【0011】
例えば上述した一定振幅範囲以下(20〜30mm以下)の場合、粉体ホッパのブリッジ防止用などには利用できるが、振動篩装置や洗浄装置などのように50〜100mm以上の振幅値を要求される装置には利用できない。従って、上記往復動加振装置のように振動の振幅を設定する構成として、ピストン移動の中間点を無くしてピストンへの加圧力と運動荷重の慣性力に左右されず、ピストンに作用する加圧力とシリンダ長さだけでピストンが移動し、全ストロークに亘ってシリンダ押圧力により振動振幅が与えられるような加振装置が所望される。
【0012】
この発明は、上述した従来の加振装置の種々の問題に留意して、小型、軽量化、低コスト化が図れ、かつ振幅を任意の値に自由に設定でき、用途の広い往復動加振装置を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決する手段として、シリンダ内にピストンを往復動自在に挿置し、シリンダを閉じる両端壁にシリンダ内をピストンで区画して生じる2つの圧力室へ加圧流体を導入する入口ポートと、加圧流体が導入された圧力室と反対側の圧力室の流体を排出する排出ポートと、各圧力室をピストンの移動により入口ポートと排出ポートのいずれかに切替えて接続する切替弁とをそれぞれ設け、上記切替弁を弁室を形成する穿設穴内に設け、圧力室の流体を弁室が生じた側の排出路を弁室に連通させて排出ポートへ排出するように形成し、ピストンと切替弁との間に設けた切替補助手段を介して圧力室の加圧流体による押圧力を交互に反転させてピストンを往復動させるように構成して成る往復動加振装置としたのである。
【0014】
かかる構成のこの発明の往復動加振装置は、切替弁の作用によりピストンを繰り返し左右へ往復動させる。加圧流体が両端壁の入口ポートから同時に送られたとき、初期状態ではピストンは任意の中間位置、両方の切替弁は一方が開、他方が閉となっており、開の切替弁を介して圧力室へ加圧流体が送られると(他方の切替弁は閉のため加圧流体は入口ポートで遮断)、その圧押力でピストンが他方の切替弁側の方へ移動し、切替補助手段を介して他方の切替弁を押圧する。
【0015】
この押圧力が切替弁を閉として保持している力に打ち勝つと他方の切替弁が切替えられて開となり、一方の切替弁は閉となる。このため他方の切替弁側から加圧流体が圧力室に流入し、ピストンを反対方向へ押し返す。このような動作を繰り返すことによりピストンはシリンダ内で所定の振幅(ストローク)で振動を繰り返す。この振幅の値はピストンの振幅に対応するシリンダ長さにより設定される。
【0016】
ピストンは移動途中で押圧力が急激に減少することはなく、常に所定の押圧力で押され続けるから、シリンダの中間点を過ぎると急激に押圧力を失うこともなく、振幅はシリンダ長さを任意に設定することにより荷重の大きさと無関係に設定することができる。
【0017】
【実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の往復動加振装置の主要縦断面図である。図示のように、シリンダ10内にピストン11が往復動自在に挿置され、シリンダ11の両端はシリンダ端壁12A、12Bで閉じられ、締付ロッド13とナットにより締付けて固定されている。シリンダ10内はピストン11により2つの圧力室AとBに区画される。シリンダ端壁12A、12Bには加圧流体の入口ポート14A、14B、圧力室A、B内の流体を排出する排出ポート15A、15B、及び各圧力室A、Bをピストンの移動により入口14A、14Bと排出ポート15A、15Bのいずれかに切替えて接続する切替弁16A、16Bとがそれぞれ設けられている。
【0018】
上記切替え弁16Aと16Bは連結ロッド17により互いに連結され、2つの切替弁16A、16Bの開、閉動作が互いに連動して反転するようにしている。切替弁16A、16Bは弁室18内に挿置され、弁室18は端壁12A、12Bに切替弁16A、16Bが所定の深さに挿置されるように穿設した穴内に形成されており、弁室18の内周壁は切替弁16A、16Bが繰り返し往復動するのに十分耐えることができ、かつ加圧流体が漏れないようにメタルブッシュ19が嵌合され、さらに端壁の穿設穴の奥側には切替弁16A、16Bが当接する際の消音のためゴムパッキン23が嵌め込まれている。
【0019】
切替え弁16A、16B間の連結ロッド17の切替弁端寄り位置にはコイルばね20が切替補助手段の1つとして挿置されており、後で説明するように、ピストン11の端がこのコイルばねに当接してピストン11を押圧する押圧力を切替え弁16A、16Bに伝達するためのものである。コイルばね20は例えば中空部材、又は複数のロッドを並行に設けたものでもよく、ピストン11の押圧力を切替弁16A、16Bに伝達できる部材であればよい。
【0020】
弁室18にはその片側にさらに小径穴21が連通して設けられ、この小径穴21に排出ポート15A、15Bが接続して設けられている。小径穴21と弁室18の両方にまたがって復帰ばね(コイルばね)22が設けられ、その片端で切替弁16A、16Bを常に押圧している。又、弁室18には圧力室A、Bを排出ポート15A、15Bに連通させるための排出路24もそれぞれ接続されている。なお、図示の状態は後で説明するように、ピストン11が右端から反対方向へ押し戻されるよう切替えられた直後の状態を示しており、圧力室A側にのみ弁室18を示しているが、切替弁16A、16Bが切替えられると圧力室B側の端壁12B内にも弁室18が発生する。
【0021】
25はピストン11外周のメタルリング、26はシリンダ10と端壁12A、12B間のO−リング、27は連結ロッド17用のメタルブッシュである。又、入口ポート14A、14Bへは同一加圧流体を2つに分岐させ、それぞれ流量調整弁Vを介して送り込まれる。排出ポート15A、15BはそれぞれマフラMを介して消音しながら大気へ開放される。29A、29Bは入口ポート14A、14Bを穿設穴に連通する連通孔である。連通孔29A、29Bは切替弁16A、16Bの外周に接するように設けられ、切替弁16A、16Bの一方が開であれば連結ロッド17により他方が閉となるように連動する切替弁16A、16Bに対応した位置に設けられている。
【0022】
以上の構成とした第1実施形態の往復動加振装置の作用は次の通りである。この実施形態で用いられる加圧流体はエアーであり、流量調整弁Vにより所定流量とした加圧エアーを左右の入口ポート14A、14Bに送る。ピストン11は初期状態では図中1点鎖線で示すように、左右のコイルばね20の間の任意の位置に停止しているが、説明を分り易くするためピストン11が図示のように右端寄りに位置している状態から説明する。この状態では切替弁16Aは弁室18を開き、切替弁16B側の弁室18は閉じている。
【0023】
この状態で加圧エアーが入口ポート14A、14Bから同時にシリンダ10内へ送り込まれると、入口ポート14Bからの加圧エアーによりピストン11は左方へ押圧され、一方入口ポート14Aからの加圧エアーは連通孔29Aを切替弁16Aで閉じて遮断されており、圧力室A内の流体は、左側の排出路24、弁室18を介して小径穴21へ通じ、排出ポート15AからマフラMへと直接排気されるからピストン11を右方へ押圧する押圧力を発生させることはない。従って、ピストン11は図示の右端寄り位置から左方へと移動する。ピストン11が左方のコイルばね20を押圧しなお左方へと移動すると、切替弁16Aを右方へ押圧する復帰ばね22の弾性力とエアーの背圧力に抗して切替弁16Aを左方へとピストン11がさらに押圧する。
【0024】
このため、左端壁側の復帰ばね22の弾性力とエアーの背圧力よりピストン11を左方へ押圧する押圧力が大きくなると、瞬時に切替弁16Aは弁室18内へ移動してゴムパッキン23に当たり切替えが行なわれて停止し、図示と反対の状態となる。図示の状態は加圧流体の流れに関して切替弁16BがON、切替弁16AがOFFであり、ピストン11を左方へ押し返し始めた瞬間の状態を示しているが、ピストン11が上述したように左方へ移動して移動ストロークの左側端で切替弁16A、16Bが切替えられると図示と反対の状態となる。又、切替弁16Aと16Bは連動して動作するため一方がONとなれば他方がOFFとなる。このため、切替弁16AがONとなり、切替弁16BがOFFになると、圧力室B内のエアーは右側の排出路24、弁室18、小径穴21を通って排出ポート15Bから排出される。
【0025】
一方、切替弁16AはONとなり、加圧エアーを圧力室Aへ送り込むためピストン11は押圧されて右方へと移動を始める。このとき、圧力室A側の排出路24は切替弁16Aにより流路をカットされているから、加圧エアーが排出ポート15Aへ流れることはない。こうして、ピストン11が右方へ移動して圧力室B内のコイルばね20の押圧を始めると、次の切替動作が前回の切替弁16A、16Bによる動作と同じように繰り返され、ピストン11が往復動を繰り返す。
【0026】
なお、切替弁16A、16Bによる切替動作の際、切替補助手段であるコイルばね20はピストン11に対してクッションの役目もし、ピストンが最初にコイルばね20に当たって圧縮され、このばね圧縮力が復帰ばね22の弾性力とエアー背圧力による保持力に打ち勝つと切替弁16A、16Bが切り替わるが、ピストン11がストロークエンドまで到達しないようにコイルばね20の長さと強さで調整することによりストロークエンドの手前で切替動作をするようにしている。
【0027】
上記ピストン11の往復動作の振幅(ストローク)は、ピストン11の端壁12A、12Bの直前で切替えられるまでの全ストロークに亘って常に加圧エアーの押圧力で移動し、その間に中間点などがないため押圧力が途中で急激に低下することがない。従って、ピストンの振幅(ストローク)を例えば50、100、200mm等としたければその所望の振幅に見合うように対応するシリンダ長さを設定すれば、荷重の大きさに関係なく所望の振幅が得られる。
【0028】
又、上記往復動加振装置は、ピストン11が切替弁16A、16Bにより切替えられる際には押圧力が急速に遮断され、コイルばね20により端壁12A、12Bの直前で移動を停止するから、ピストン11は端壁12A、12Bに当たらず衝撃音を生じることがないため他の形式の加振装置に比較して音が静かである。
【0029】
図2に第2実施形態の往復動加振装置の主要縦断面図を示す。基本的な構成は第1実施形態と同じであるが、ピストン11に一方の端壁からシリンダ外へ突出するピストンロッド11Rが設けられている点、及び切替弁16A、16B、連結ロッド17などがシリンダ中心から偏心位置に設けられている点で異なっている。なお、28は端壁12Aに設けられたピストンロッド11R用のメタルブッシュである。
【0030】
従って、第1実施形態のピストンロッド無しの往復動加振装置は加振対象物に直接取付けて対象物全体を振動させるように用いられるのに対して、第2実施形態ではピストンロッド11Rを介して振動を加えるように用いられる点で異なるが、振動の振幅を任意に設定できる点では同様である。
【0031】
なお、上記第1、第2の実施形態のいずれも左右の切替弁を連結ロッドにより連動させるようにしたが、連結ロッド以外に切替弁を連動切替動作させる例えば加圧エアーを用いて切替弁を互いに逆方向に動作させる連動部材又は電磁力で動作する連動部材により連動させるようにしてもよい。この場合は連結ロッドは不要である。
【0032】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、この発明の往復動加振装置はシリンダ内のピストンを端壁に設けた切替弁により押圧方向を交互に切替えて押圧してピストンを往復振動するようにしたから、ピストンの移動は加圧流体による押圧力で行われ、切替え弁と切替補助手段の作用で移動方向は切替えられ、従ってピストンの移動ストロークである振幅は荷重の大きさと無関係にシリンダの長さによって決められ、所望の振幅値を任意に設定でき、粉体供給ホッパだけでなく振動フィーダや振動篩装置など各種の機器、設備に広く応用できるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の往復動加振装置の主要縦断面図
【図2】第2実施形態の往復動加振装置の主要縦断面図
【図3】粉体ホッパに従来の加振手段を設けた例の主要断面図
【符号の説明】
10 シリンダ
11 ピストン
12A、12B 端壁
14A、14B 入口ポート
15A、15B 出口ポート
16A、16B 切替弁
17 連結ロッド
18 弁室
20 コイルばね
22 復帰ばね
23 ゴムパッキン
24 排出路
V 流量調整弁
M マフラ
Claims (4)
- シリンダ内にピストンを往復動自在に挿置し、シリンダを閉じる両端壁にシリンダ内をピストンで区画して生じる2つの圧力室へ加圧流体を導入する入口ポートと、加圧流体が導入された圧力室と反対側の圧力室の流体を排出する排出ポートと、各圧力室をピストンの移動により入口ポートと排出ポートのいずれかに切替えて接続する切替弁とをそれぞれ設け、上記切替弁を弁室を形成する穿設穴内に設け、圧力室の流体を弁室が生じた側の排出路を弁室に連通させて排出ポートへ排出するように形成し、ピストンと切替弁との間に設けた切替補助手段を介して圧力室の加圧流体による押圧力を交互に反転させてピストンを往復動させるように構成して成る往復動加振装置。
- 前記切替弁を連結ロッドで互いに連結して連動させ、この連結ロッドをピストンに対し互いに移動自在に挿通させたことを特徴とする請求項1に記載の往復動加振装置。
- 前記切替補助手段を弾性部材により形成し、弾性部材をピストンで押圧する力が切替弁の上記補助手段と反対側に設けた復帰ばねと背圧力の保持力より大になると切替弁を切替動作させるように設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の復帰動加振装置。
- 前記ピストンにシリンダ端壁を貫通して移動自在にピストンロッドを設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の往復動加振装置。
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