JP3701466B2 - モータ取付装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばディーゼル機関の吸入空気量を調整するスロットルバルブにギヤを有する駆動機構を介してステップモータの出力軸を連結した駆動装置等において、ステップモータを駆動機構に取り付けるモータ取付装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼル機関の吸入空気量を調整するスロットルバルブを開閉駆動する駆動装置として、ステップモータと、ステップモータの出力軸に取り付けられた駆動ギヤ(モータギヤ)と、スロットルバルブが取り付けられたスロットル軸と連結され、駆動ギヤと噛み合わされる被駆動ギヤを有する駆動機構からなる駆動装置が用いられている。この場合、ステップモータの所定のステップ位置を基準ステップ位置とし、この基準ステップ位置にステップモータに供給するパルスの数、すなわちステップ数を加減算してステップモータの現在ステップ位置、したがってスロットルバルブの現在開度位置を検出する。そして、アクセルペダルの踏み込み量に応じたスロットルバルブの目標開度位置とステップモータの現在ステップ位置に対応するスロットルバルブの現在開度位置との差に基づいてステップモータのステップ数を求め、求めたステップ数だけステップモータを回転させることによってスロットルバルブの開度位置を制御している。しかしながら、ステップモータの脱調やディーゼル機関停止時にはステップモータへの通電が遮断される等によりステップモータの現在ステップ位置とスロットルバルブの現在開度位置との対応関係が一致しなくなることがある。このため、ステップモータの現在ステップ位置とスロットルバルブの現在開度位置との対応関係を一致させる初期化処理を行う必要がある。このような初期化処理を行う駆動装置としては、例えば特開平3−57852号公報に記載されている。この従来の駆動装置における初期化処理は、スロットルバルブが所定の開度位置に回動されるとオン・オフ状態が切り替わるスイッチを設け、このスイッチのオン・オフ状態が切り替わった時点でステップモータの現在ステップ位置を基準ステップ位置に設定するものである。
【0003】
ところで、スロットルバルブが所定の開度位置、例えば全閉位置にある時にはステップモータは特定の相が励磁状態にあるという前提で制御プログラムが作成されている場合には、制御プログラムの制約から、ステップモータが特定の相の励磁状態にある時にスロットルバルブが所定の開度位置にあることが要求される。例えば、4相(A,B,C,D)ステップモータを用いた場合、スロットルバルブが全閉位置にあることを検出する全閉スイッチのオン・オフ状態が切り替わった時点で、ステップモータのA相が励磁状態にあることが要求される。この要求は、前記初期化処理の実行では達成することができず、前記制約条件を満足するようにステップモータを駆動機構に取り付けることによって達成することができる。この場合、スロットルバルブが所定の開度位置、例えば全閉位置にある時の被駆動ギヤの歯の位置と、ステップモータの特定の相が励磁されている時の駆動ギヤの歯の位置とが対応しないことがあるため、ステップモータの駆動機構に対する取り付け角度を調整可能とする必要がある。
一方、モータの出力軸に駆動ギヤを取り付け、被駆動機器と連結され、駆動ギヤと噛み合わされる被駆動ギヤをギヤケース内に設けた駆動装置において、ギヤケースにモータを取り付けるための取付孔(ネジ孔)を設けるとともに、モータに取り付け用長孔を設けることにより、ギヤケースに対するモータの取り付け角度を調整可能としたモータ取付機構は、例えば特開平8−28669号公報に記載されている。
そこで、このようなモータ取付機構を、前記スロットルバルブが所定の開度位置にある時にステップモータの特定の相が励磁状態にあるようにステップモータを駆動機構に取り付けるためのモータ取付機構として用いることが考えられる。すなわち、駆動機構を内蔵したギヤケースにステップモータを取り付けるための取付孔を設けるとともに、ステップモータに取り付け用長孔を設けたモータ取付装置が考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このモータ取付機構を用いてモータ取付装置を構成する場合、以下のような問題点がある。
例えば、スロットルバルブを駆動する駆動モータとして相数が4相(A,B,C,D)で、1相励磁時のステップ角度が11.25度のステップモータを用い、またスロットルバルブが全閉位置にある時にステップモータがA相励磁されていることという制約条件がある場合、ステップモータがA相励磁状態で駆動ギヤがステップモータの一周中に取り得る位置は45度間隔の位置である。したがって、駆動ギヤの位置と被駆動ギヤの位置関係がどのような状態であってもステップモータを駆動機構に取り付けることができるようにするためには、取り付け用長孔の角度は45度以上必要となる。なお、取り付け用長孔の最小角度は、駆動ギヤの歯数や被駆動ギヤの歯数によっても変わる。例えば、駆動ギヤの歯数が12であり、また駆動ギヤと噛み合わされる被駆動ギヤの歯数が駆動ギヤの歯数より多い場合には、駆動ギヤの歯の間隔は30度であるから、ステップモータの取り付け用長孔の最小角度は30度でよいことになる。
【0005】
ステップモータを駆動機構に取り付ける方法を図21、図22により説明する。組み付け設備によりスロットルバルブを所定の開度位置、例えば全閉位置に設定した後、ステップモータ80の特定の相の1つを励磁した状態で駆動ギヤと被駆動ギヤが噛み合うようにステップモータ80の駆動機構に対する取付位置を回転調整する。そして、調整完了後、ネジ85を取り付け用長孔83に挿通させ、駆動機構を内蔵しているギヤケースに設けられた取付孔に締め付ける。なお、調整範囲をこえて取り付け不可能な時には、ステップモータの隣の特定の相を励磁し、同様のステップモータ取付位置の回転調整を行うことにより取り付け可能となることもある。
この場合、駆動ギヤや被駆動ギヤの位置関係が各製品毎に異なるためステップモータの調整角度も各製品毎に異なるが、取り付け用長孔83の角度が大きいと、取り付け後のステップモータ80の取り付け角度の振れ、すなわちモータ取り付け振れ角度も大きくなる。また、モータ取り付け振れ角度が大きくなると、コネクタ84や接続ケーブル86の取り付け振れ角度も大きくなる。例えば、図21に示すステップモータ80、コネクタ84及び接続ケーブル86の取り付け角度から図22に示すステップモータ80、コネクタ84及び接続ケーブル86の取り付け角度の範囲の取り付け振れ角度となる。このため、ステップモータ80を駆動機構に取り付けたスロットルバルブ駆動装置を車両に搭載する場合、ステップモータ80、コネクタ84及び接続ケーブル86の取り付け振れ角度の範囲分のスペースを確保する必要があり、また接続ケーブル86の長さも取り付け振れ角度を考慮する必要があるため、車両等への搭載性がよくない。
本発明は、このような問題点を解決するために創案されたものであり、モータの取り付け振れ角度を減少させて車両等への搭載性を向上させることができるモータ取付装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
ステップモータと、
前記ステップモータの出力軸に取り付けられた第1ギヤと、
前記ステップモータを取り付けかつ駆動機構を内蔵するギヤケース側に設けられ、前記第1ギヤと噛み合わされる第2ギヤと
を備え、
前記ステップモータ及び前記ギヤケースの一方には、ギヤケースに対するステップモータの取り付け角度を調整するための長孔が設けられており、
前記ステップモータ及びギヤケースの他方には、前記長孔に挿通されたネジが締め付けられる取付孔が設けられており、
前記ネジを、前記長孔に挿通させて前記取付孔に締め付けることにより、前記ギヤケースに前記ステップモータを取り付けるようにしたモータ取付装置であって、
前記取り付け用長孔の角度をθ、前記第1ギヤの歯数をn、前記ステップモータの一周中に特定の相が励磁される数をmとしたとき、
前記取り付け用長孔の角度θを、
θ min =360度/(nとmの最小公倍数)
により求められる最小角度(「最小値」ともいう。)θ min に設定したモータ取付装置である。
請求項1に記載のモータ取付装置によれば、取り付け用長孔の角度θを最小角度θ min に設定することにより、ステップモータの取り付け振れ角度を減少させることができ、車両等への搭載性を向上させることができる。
また、請求項2に記載の発明は、
ステップモータと、
前記ステップモータの出力軸に取り付けられた第1ギヤと、
前記ステップモータを取り付けかつ駆動機構を内蔵するギヤケース側に設けられ、前記第1ギヤと噛み合わされる第2ギヤと
を備え、
前記ステップモータ及び前記ギヤケースの一方には、ギヤケースに対するステップモータの取り付け角度を調整するための長孔が設けられており、
前記ステップモータ及びギヤケースの他方には、前記長孔に挿通されたネジが締め付けられる取付孔が設けられており、
前記ネジを、前記長孔に挿通させて前記取付孔に締め付けることにより、前記ギヤケースに前記ステップモータを取り付けるようにしたモータ取付装置であって、
前記取り付け用長孔の角度をθ、前記第1ギヤの歯数をn、前記ステップモータの一周中に特定の相が励磁される数をm、前記第1ギヤ及び前記第2ギヤによるバラツキ分をαとしたとき、
前記取り付け用長孔の角度θを、
θ min =360度/(nとmの最小公倍数)+α
により求められる最小角度θ min に設定したモータ取付装置である。
請求項2に記載のモータ取付装置によれば、取り付け用長孔の角度θを、バラツキ分αを加えた最小角度θ min に設定することにより、ステップモータの取り付け振れ角度を減少させることができ、車両等への搭載性を向上させることができ、また第1ギヤ及び第2ギヤによるバラツキ分αを吸収することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
まず、ディーゼル機関の吸入空気量を調整するスロットルバルブ及びその駆動装置の概略図を図1〜図5により説明する。なお、図1はスロットルバルブ及びその駆動装置の側部断面図、図2は図1のII―II線断面図、図3は図1のIII―III線断面図、図4はステップモータの側面図、図5は図1のV方向から見た側面図である。
スロットルボディ10には、ディーゼル機関の燃焼室に接続されている吸気通路11が形成されている。この吸気通路11には、吸気通路の開口面積を可変調整して燃焼室内に導入される吸入空気量を調整するためのスロットルバルブ12が設けられている。スロットルバルブ12はスロットル軸13に一体回動可能に取り付けられており、スロットル軸13はベアリング14、15によりスロットルボディ10に回動可能に取り付けられている。スロットルバルブ12は、ステップモータ、スプリング、ギヤを有する駆動機構30等により構成される駆動装置によって開閉制御される。
【0008】
スロットル軸13の一端(図1の右方端)とスロットルボディ10の間には、リターンスプリング31が設けられている。このリターンスプリング31によって、スロットル軸13及びスロットルバルブ12は開方向に付勢されている。
一方、スロットル軸13の他端(図1の左方端)には、ギヤケース40に内蔵された被駆動ギヤ41が一体に取り付けられている。
また、スロットル軸13の他端には、2本のアーム部42a、42bを有するレバー42が回動可能に装着されている。一方のアーム部42bは、L字状に形成され、被駆動ギヤ41側に延伸されている。このアーム部42bの先端部は、被駆動ギヤ41に形成されている溝部内に係合されている。レバー42のアーム部42bと被駆動ギヤ41の間には、リリーフスプリング32が設けられている。リリーフスプリング32は、レバー42を被駆動ギヤ41に対して図2の反時計回り方向に付勢している。これにより、アーム部42bの先端部は、通常はリリーフスプリング32の付勢力によって、被駆動ギヤ41に形成されている溝部のスロットル軸13を中心とした反時計回り方向側の側壁と当接している。この状態で、被駆動ギヤ41とレバー42とは一体となって回動される。
【0009】
また、他方のアーム部42aの先端部には、ギヤケース40に取り付けられた全開スイッチ44と当接可能な押圧部43が設けられている。この押圧部43は、スロットルバルブ12が全開位置にある時に全開スイッチ44と当接して全開スイッチ44をオンとする。全開スイッチ44の出力信号は、ディーゼル機関の各種制御を行う電子制御装置(ECU)に出力される。ここで、全開位置とは、吸気通路11の開口面積が最大となるスロットルバルブ12の開度位置をいう。なお、スロットルバルブ12は押圧部43が全開スイッチ44と当接する全開位置よりもさらに開方向側に回動可能となっており、スロットルバルブ12が全開位置よりさらに所定角度だけ開方向側に回動すると、図示しない開方向ストッパによりそれ以上の開方向の回動が制限されるように構成されている。
さらに、アーム部42aの先端部には、押圧部43とは反対側、すなわちスロットルバルブ12の開方向側に当接部が設けられている。この当接部は、スロットルバルブ12が全閉位置に位置する時に全閉ストッパに当接してレバー42の閉方向側への回動を規制する。ここで、全閉位置とは、吸気通路11の開口面積が最小となるスロットルバルブ12の開度位置をいう。
全閉ストッパに当接する当接部材の取り付け位置はアーム部42aに限定されず、スロットル軸13の一端側でもよい。
【0010】
また、被駆動ギヤ41は、ギヤケース40内の支軸45に一体回動可能に取り付けられた第2中間ギヤ46と噛み合っている。さらに支軸45には第1中間ギヤ47が一体回動可能に取り付けられており、この第1中間ギヤ4はステップモータ50の出力軸51に一体回動可能に取り付けられた駆動ギヤ52と噛み合っている。これにより、ステップモータ50の出力軸51の回動力が駆動ギヤ52、第1中間ギヤ47、第2中間ギヤ46及び被駆動ギヤ41を介してスロットル軸13に伝達され、スロットル軸13の回動によってスロットルバルブ12が開閉制御される。なお、駆動ギヤ52は、本明細書でいう「第1ギヤ」に相当する。また、第1中間ギヤ47は、本明細書でいう「第1ギヤ」に相当する。
【0011】
また、ギヤ等を有する駆動機構30を内蔵したギヤケース40には、ステップモータ50を取り付けるための取付孔48が設けられている。さらに、ステップモータ50には、ギヤケース40に対するステップモータ50の取付角度を調整するための取り付け用長孔53が設けられている。
そして、駆動ギヤ52と第1中間ギヤ47が噛み合うようにステップモータ50の取付角度を調整した後、ネジ55を取り付け用長孔53に挿入し、取付孔48に締め付ける。
【0012】
次に、ステップモータ50をギヤ等を有する駆動機構30を内蔵したギヤケース40に取り付ける方法を説明する。
ここで、ステップモータ50をギヤケース40に取り付ける際の制約条件は、スロットルバルブ12が全閉位置にある時にはステップモータ50は特定の相(例えばA相)が励磁されていること、モータ取り付け振れ角度ができるだけ小さいことである。そこで、本実施の形態では、ステップモータ50の取付角度を調整するための取り付け用長孔53の角度θの最小値θminを以下のように設定する。
θmin=360度/(nとmの最小公倍数)+α
ここで、nはステップモータ50の出力軸51に取り付けられた駆動ギヤ52の歯数、mはステップモータ50の一周中に特定相(例えばA相)が励磁される数、αは駆動ギヤ52や第1中間ギヤ47等のバラツキ分である。なお、αの値は0を含めて任意に設定可能である。
【0013】
ステップモータ50の出力軸51に取り付けられた駆動ギヤ(モータギヤ)52の歯数nが12の場合について、ステップモータ50の一周中にA相励磁の状態で駆動ギヤ52が取り得る位置を図6〜図9に示す。ここで、ステップモータとして1ステップ角が11.25度の4相ステップモータを用い、駆動ギヤ52や第1中間ギヤ47のバラツキ分α=1度とする。この場合、任意のA相を励磁している状態から隣のA相を励磁するとステップモータの出力軸は11.25度×4=45度の角度だけ回動するから、ステップモータ50の一周中にA相が励磁される数m、すなわちステップモータ50の一周中にA相励磁の状態で駆動ギヤ52が取り得る位置の数m=[360度÷45度]=8である。また、駆動ギヤ52の歯の間隔は[360度÷12]=30度である。また、取り付け用長孔53の最小角度θminは、θmin=[360度÷(12と8の最小公倍数)+1度]=16度である。
図6は、ステップモータ50の任意のA相を励磁した時の駆動ギヤ52の歯A〜Lの位置を示したものである。図7は、図6に示す状態からステップモータ50の任意のA相から順に隣のA相を励磁した場合、すなわちステップモータ50の出力軸51を45度ずつ回転させた場合の駆動ギヤ52の歯A〜Lの取り得る位置を示したものである。図7に示すように、駆動ギヤ52の歯A〜Lの内、45度の倍数の角度間隔にあるA,D,G及びJ、C,F,I及びL、B,E,H及びKはそれぞれ同じ位置を取る。すなわち、ステップモータ50の一周中にA相励磁で駆動ギヤ52が取り得る位置は、n=12と、m=8の最小公倍数24だけ等間隔で存在する。
図8は、ステップモータ50の任意のA相を励磁した時の駆動ギヤ52の各歯の位置を示したものである。図9は、図8に示す状態からステップモータ50の任意のA相の隣のA相を順次励磁した場合、すなわち45度回転させた場合の駆動ギヤ52の各歯の位置を示したものである。図中の数字は、ステップモータを回転させた回数を示している。ここで、ステップモータ50の出力軸を1回45度左回転させると、駆動ギヤ52の歯は左に45度回転するが、30度右隣の歯も45度左回転する。すなわち、歯は同一ではないが、見かけ上駆動ギヤ52の歯は左に15度(=45度−30度)回転したことになる。ステップモータ50の出力軸をもう1回45度左回転させると、見かけ上駆動ギヤ52の歯は左に15度回転したこととになり、この歯の位置は0回の歯の位置と一致する。
したがって、駆動ギヤ52の歯数nが12の場合には、取り付け用長孔53の角度を[360度÷(nとmの最小公倍数)+α]=[360度÷24+1度]=16度以上とすれば、最大でも[(mとnの小さい方)÷(mとnの最大公約数)−1回]=[8÷4−1回]=1回、ステップモータの出力軸の特定の位置がとる角度(ステップモータ50の特定相を励磁している状態から隣の特定相を励磁した時の出力軸の回転角度)=[11.25度×4]=45度回転させれば、駆動ギヤ52を第1中間ギヤ47に噛み合わせることができる。
【0014】
駆動ギヤ(モータギヤ)52の歯数nが13の場合について、ステップモータ50の一周中にA相励磁の状態で駆動ギヤ52が取り得る位置を図10〜図13に示す。この場合、駆動ギヤ52の歯の間隔は[360度÷13]=27.7度である。また、取り付け用長孔53の最小角度θminは、θmin=[360度÷(13と8の最小公倍数)+1度]=4.5度である。
図10は、ステップモータ50の任意のA相を励磁した時の駆動ギヤ52の歯A〜Mの位置を示したものである。図11は、図10に示す状態からステップモータ50の任意のA相から順に隣のA相を励磁した場合の駆動ギヤ52の歯A〜Mの取り得る位置を示したものである。この場合、各歯A〜Mは、互いの角度間隔が45度の倍数ではないため、それぞれ異なる位置を取る。すなわち、ステップモータ50の一周中にA相励磁で駆動ギヤ52が取り得る位置は、n=13と、m=8の最小公倍数104だけ等間隔で存在する。
図12は、ステップモータ50の任意のA相を励磁した時の駆動ギヤ52の各歯の位置を示したものである。図13は、図12に示す状態からステップモータ50の任意のA相の隣のA相を順次励磁した場合の駆動ギヤ52の各歯の位置を示したものである。図中の数字は、ステップモータを隣のA相励磁に切り換えて回転させた回数を示している。ここで、ステップモータ50の出力軸を1回45度左回転させると、駆動ギヤ52の歯は左に45度回転するが、27.7度右隣の歯も45度左回転するから、見かけ上駆動ギヤ52の歯は左に17.3度(=45度ー27.7度)回転したことになる。以後、ステップモータ50の出力軸を順次45度左回転させる毎に見かけ上駆動ギヤ52の歯は左に17.3度ずつ回転したことになる。
したがって、駆動ギヤ52の歯数nが13の場合には、取り付け用長孔53の角度を[360度÷(nとmの最小公倍数)+α]=[360度÷104+1度]=4.5度以上とすれば、最大でも[(mとnの小さい方)÷(mとnの最大公約数)ー1回]=[8÷1ー1回]=7回、ステップモータ50の出力軸51の特定の位置がとる角度回転させれば駆動ギヤ52を第1中間ギヤ47に噛み合わせることができる。
【0015】
駆動ギヤ(モータギヤ)52の歯数nが14の場合について、ステップモータ50の一周中にA相励磁の状態で駆動ギヤ52が取り得る位置を図14〜図17に示す。この場合、駆動ギヤ52の歯の間隔は[360度÷14]=25.7度である。また、取り付け用長孔53の最小角度θminは、θmin=[360度÷(14と8の最小公倍数)+1度]=7.4度である。
図14は、ステップモータ50の任意のA相を励磁した時の駆動ギヤ52の歯A〜Nの位置を示したものである。図15は、図14に示す状態からステップモータ50の任意のA相から順に隣のA相を励磁した場合の駆動ギヤ52の歯A〜Nの取り得る位置を示したものである。この場合、各歯A〜Nの内、互いの角度間隔が45度の倍数である歯はそれぞれ同じ位置を取る。すなわち、ステップモータ50の一周中にA相励磁で駆動ギヤ52が取り得る位置は、n=14と、m=8の最小公倍数56だけ等間隔で存在する。
図16は、ステップモータ50の任意のA相を励磁した時の駆動ギヤ52の各歯の位置を示したものである。図17は、図16に示す状態からステップモータ50の任意のA相の隣のA相を順次励磁した場合の駆動ギヤ52の各歯の位置を示したものである。図中の数字は、ステップモータを回転させた回数を示している。ここで、ステップモータ50の出力軸を1回45度左回転させると、駆動ギヤ52の歯は左に45度回転するが、25.7度右隣の歯も45度左回転するから、見かけ上駆動ギヤ52の歯は左に19.3度(=45度ー25.7度)回転したことになる。以後、ステップモータ50の出力軸を順次45度左回転させる毎に見かけ上駆動ギヤ52の歯は左に19.3度ずつ回転したことになる。
したがって、駆動ギヤ52の歯数nが14の場合には、取り付け用長孔53の角度を[360度÷(nとmの最小公倍数)+α]=[360度÷56+1度]=7.4度以上とすれば、最大でも[(mとnの小さい方)÷(mとnの最大公約数)ー1回]=[8÷2ー1回]=3回、ステップモータの出力軸の特定の位置がとる角度(45度)回転させれば駆動ギヤ52を第1中間ギヤ47に噛み合わせることができる。
【0016】
以上のように、ステップモータ50の一周中に特定の相を励磁した状態で駆動ギヤ52が取り得る位置は、駆動ギヤ52の歯数nとステップモータ50の一周中に特定の相が励磁される数m(ステップモータ50の一周中にステップモータ59の出力軸51の特定の位置がとる角度)の最小公倍数だけ等間隔で存在する。したがって、取り付け用長孔53の角度を[360度/(nとmの最小公倍数)+α]に設定することにより、取り付け用長孔53の角度を小さくすることができる。
【0017】
本発明のモータ取付装置を用いてステップモータを駆動機構に取り付ける方法の一例を図18のフローチャート図により説明する。
まず、ステップモータ50を取り付ける前に、組み付け設備等の外力によってスロットルバルブ12を全閉状態、例えばレバー42のアーム部42aの先端部に設けられた当接部43bが全閉ストッパに当接させる(ステップ101)。
次に、ステップモータ50の任意のA相を励磁する(ステップ102)。
任意のA相を励磁した状態で、ギヤケース40の取付孔48とステップモータ50の取り付け用長孔53が一番近い位置で、駆動ギヤ52を第1中間ギヤ47を噛み合わせてステップモータ50をギヤケース40に取り付ける(ステップ103)。
そして、ギヤバックラッシュを吸収させるためステップモータ50をリターンスプリング31の付勢力に抗する方向(図2において反時計方向)に軽く回す(ステップ104)。
ここで、ステップモータ50の取り付け用長孔53とギヤケース40の取付孔48の回転位置関係を判別し、ネジ55が組み付け可能か否かを判断する(ステップ105)。
図19に示すようにネジ55が組み付け不可能な場合は、ステップモータ50をギヤケース40から外す(ステップ106)。そして、ステップモータ50の出力軸51を隣のA相まで回転させ(ステップ107)た後、ステップ103の処理を行う。
ステップ105で、ネジ55が組み付け可能な場合は、ネジ55を取り付け用長孔53を貫通させ、取付孔48に締め付ける(ステップ108)。
そして、組み付け設備によるバルブ全閉状態を解除して処理を終了する(ステップ109)。
【0018】
取り付け用長孔53の角度が小さいほど駆動ギヤ52と第1中間ギヤ47が噛み合う範囲が狭くなる。このため、前記の取り付け方法ではステップモータ50の出力軸を隣のA相まで回転させる処理の回数が多くなり、ステップモータ50の駆動機構30への取り付けに時間がかかる。
そこで、取り付け用長孔53の角度が小さくても短時間にステップモータを駆動機構30に取り付けることができる取り付け方法を以下に説明する。ステップモータ50の特定の相の隣の特定の相への駆動(ステップモータ50の出力軸の特定の位置が取る角度)を何回行えば駆動ギヤ52が見かけ上何度回転するかは、例えば図9、図13、図17により事前に判別することができる。したがって、ギヤケース40の取付孔48と取り付け用長孔53のズレ角を検出し、検出したズレ角から次にステップモータ50を45度毎に何回回転させればよいかを判別することにより、ステップモータ50の回転処理が1回ですみ、ステップモータ50の取り付け時間を短縮することができる。
【0019】
本発明のモータ取付装置を用いてモータを取り付ける他の方法を図20のフローチャート図により説明する。
図20のフローチャート図のステップ201〜205、212、213は図18に示したフローチャート図のステップ101〜105、108、109と同様であるため説明を省略する。
ステップ205でネジ55が組み付け不可能である場合には、取付孔48と取り付け用長孔53とのズレ角をセンサ等によって測定する(ステップ206)。なお、取付孔48と取り付け用長孔53とのズレ角は、図19に示すように、スロットルボディ10のフランジ面を基準にコネクタ54の角度を測定し、測定した角度に基づいて求めることもできる。
そして、ステップモータ50を45度毎の回転を何回行えば取付孔48と取り付け用長孔53とのズレ角に一番近いかを計算する(ステップ207)。
その後、ステップモータ50をギヤケース40から外し(ステップ208)、ステップモータ50をステップ207で計算した回数回転させる(ステップ209)。
駆動ギヤ52と第1中間ギヤ47を噛み合わせてステップモータ50を再度ギヤケース40に取り付ける(ステップ210)。
そして、ギヤバックラッシュを吸収させるためステップモータ50をリターンスプリング31の付勢力に抗する方向に軽く回し(ステップ211)、ステップ212に進む。
【0020】
以上の実施の形態では、取り付け用長孔の角度の最小値θminを各部のバラツキを考慮したが、各部のバラツキを考慮することなく設定することもできる。
また、取り付け用長孔をステップモータに設けたが、ギヤケースに設けてもよい。
また、ステップモータの励磁方式として1相励磁方式を用いたが、他の励磁方式を用いることもできる。
また、スロットルバルブの全閉位置で調整したが、調整位置は全閉位置に限定されず中間開度位置で所定の吸入空気量に調整する等種々の開度位置を選択することができる。
また、ディーゼル機関のスロットルバルブ駆動装置について説明したが、本発明はこれに限定されず種々の機器を駆動する駆動装置に適用することができる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のモータ取付装置によれば、取り付け用長孔の角度を小さくすることができるため、ステップモータの取り付け振れ角度を減少させることができ、車両等への搭載性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スロットルバルブ及び駆動装置の側部断面図である。
【図2】図1のII線断面図である。
【図3】図1のIII線断面図である。
【図4】ステップモータの側面図である。
【図5】図1のV方向から見た図である。
【図6】モータギヤの歯数が12の時の初期位置を示す図である。
【図7】モータギヤの歯数が12の時の各ギヤの取り得る位置を示す図である。
【図8】モータギヤの歯数が12の時の初期位置を示す図である。
【図9】図8の状態から所定角度ずつ左回転させた時の各ギヤの取り得る位置を示す図である。
【図10】モータギヤの歯数が13の時の初期位置を示す図である。
【図11】モータギヤの歯数が13の時の各ギヤの取り得る位置を示す図である。
【図12】モータギヤの歯数が13の時の初期位置を示す図である。
【図13】図12の状態から所定角度ずつ左回転させた時の各ギヤの取り得る位置を示す図である。
【図14】モータギヤの歯数が14の時の初期位置を示す図である。
【図15】モータギヤの歯数が14の時の各ギヤの取り得る位置を示す図である。
【図16】モータギヤの歯数が14の時の初期位置を示す図である。
【図17】図16の状態から所定角度ずつ左回転させた時の各ギヤの取り得る位置を示す図である。
【図18】本発明のモータ取付装置を用いてステップモータを取り付ける方法の一例のフローチャート図である。
【図19】本発明のモータ取付装置を用いてステップモータを取り付ける方法の他の例を説明するための図である。
【図20】本発明のモータ取付装置を用いてステップモータを取り付ける方法の他の例のフローチャート図である。
【図21】従来のモータ取付装置を用いてステップモータを取り付ける方法を説明する図である。
【図22】従来のモータ取付装置を用いてステップモータを取り付ける方法を説明する図である。
【符号の説明】
13 スロットル軸
31 リターンスプリング
32 リリーフスプリング
40 ギヤケース
46、47 中間ギヤ
48 取付孔
52 駆動ギヤ
53 取り付け用長孔
55 ネジ
Claims (2)
- ステップモータと、
前記ステップモータの出力軸に取り付けられた第1ギヤと、
前記ステップモータを取り付けかつ駆動機構を内蔵するギヤケース側に設けられ、前記第1ギヤと噛み合わされる第2ギヤと
を備え、
前記ステップモータ及び前記ギヤケースの一方には、ギヤケースに対するステップモータの取り付け角度を調整するための長孔が設けられており、
前記ステップモータ及びギヤケースの他方には、前記長孔に挿通されたネジが締め付けられる取付孔が設けられており、
前記ネジを、前記長孔に挿通させて前記取付孔に締め付けることにより、前記ギヤケースに前記ステップモータを取り付けるようにしたモータ取付装置であって、
前記取り付け用長孔の角度をθ、前記第1ギヤの歯数をn、前記ステップモータの一周中に特定の相が励磁される数をmとしたとき、
前記取り付け用長孔の角度θを、
θ min =360度/(nとmの最小公倍数)
により求められる最小角度θ min に設定したモータ取付装置。 - ステップモータと、
前記ステップモータの出力軸に取り付けられた第1ギヤと、
前記ステップモータを取り付けかつ駆動機構を内蔵するギヤケース側に設けられ、前記第1ギヤと噛み合わされる第2ギヤと
を備え、
前記ステップモータ及び前記ギヤケースの一方には、ギヤケースに対するステップモータの取り付け角度を調整するための長孔が設けられており、
前記ステップモータ及びギヤケースの他方には、前記長孔に挿通されたネジが締め付けられる取付孔が設けられており、
前記ネジを、前記長孔に挿通させて前記取付孔に締め付けることにより、前記ギヤケースに前記ステップモータを取り付けるようにしたモータ取付装置であって、
前記取り付け用長孔の角度をθ、前記第1ギヤの歯数をn、前記ステップモータの一周中に特定の相が励磁される数をm、前記第1ギヤ及び前記第2ギヤによるバラツキ分をαとしたとき、
前記取り付け用長孔の角度θを、
θ min =360度/(nとmの最小公倍数)+α
により求められる最小角度θ min に設定したモータ取付装置。
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