JP3700729B2 - 光拡散性樹脂組成物、及び光拡散成形品 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は光透過性と光拡散性に優れた光拡散性樹脂組成物、及び該光拡散性樹脂組成物から成る光拡散板などの成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
光拡散成形品は、入射した光を拡散させて出射する成形品であり、全体を均一に照射したくとも光源との位置関係などによりそれが困難である場合などに用いられる。例えば、バックライト型の液晶ディスプレイで、液晶のすぐ近くのバックライト光源からの光がディスプレイ表面から均一に出射され、ディスプレイ状での明暗が均一になるように、光源とディスプレイ裏面の間に設置して、入射光を拡散させて均一に出射する。
【0003】
このような光拡散成形品は、光源の光を有効に利用するために、入射面からの入射光に対する出射面からの出射光の割合、すなわち平行光線透過率と拡散光線透過率を合わせた全光線透過率が高くなくてはならない。そのため、入射面で光を反射しにくく、かつ、光を吸収しにくいことが要求される。また、光を拡散させるという目的から拡散光線透過率が十分大きくなくては機能しない。
【0004】
光拡散成形品としては、表面に細かな凹凸を設けたもの、透明樹脂マトリックス中に微小な泡や粒子を分散させたものなどが用いられている。表面に細かな凹凸を設けるには成形時に凹凸を設ける以外に、成形品表面を二次加工して凹凸をつける方法があり、微粒子のはいった塗料を塗布したり、細かな傷をつけたりする方法がある。しかし、表面の凹凸で均一に拡散できるものを得るのは困難であり、比較的均一なものが得られる二次加工では手間がかかるという問題があった。一方、成形品内部に泡を分散させたものでは、均一に分散した成形品を得るのが困難であった。
【0005】
透明樹脂マトリックス中に粒子を分散させた光拡散成形品(例えば、特開平5−281408号公報や特開平6−107881号公報など)においては、粒子が多くなると光拡散性が向上するが光透過性が低下し、粒子が少なくなると光透過性が向上するが光拡散性が低下するという問題があった。そのため、用途によっては、光透過性と光拡散性のどちらかは不足することがあり、光透過性と光拡散性が共により高い光拡散成形品が求められていた。
【0006】
また、このような光拡散成形品において、透明樹脂として光透過性に優れたポリメチルメタクリレートが使用されることが多かったが、ポリメチルメタクリレートは耐湿性に問題があり、高湿条件下では湿度を吸収し、それが粒子表面に凝集し、光透過性と光拡散性を低下させることがあった。
【0007】
さらに、粒子として無機粒子を用いる場合があったが、無機粒子は透明性が低いものが多く、また無機粒子を添加した樹脂組成物は機械的強度、特に衝撃強度に劣り、光拡散板などの肉薄成形品においては、割れ易く実用的ではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、光透過性と光拡散性が共に優れた光拡散成形品を得ることを目的として、鋭意研究の結果、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のマトリックス中に、透明な微粒子を分散させて用いることにより、好ましい光拡散成形品の製造が可能となることを見い出し、本発明を完成させるに到った。
【0009】
【課題を解決する手段】
かくして、本発明によれば、熱可塑性ノルボルネン系樹脂マトリックスに透明な高分子微粒子を分散させてなる光拡散性樹脂組成物、該組成物で形成される光拡散成形品が提供される。
【0010】
(熱可塑性ノルボルネン系樹脂)
本発明の樹脂組成物はマトリックスが熱可塑性ノルボルネン系樹脂から成るものである。
【0011】
熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、特開平1−168725号公報、特開平1−190726号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報、特開平4−63807号公報、特開平6−298956号公報などで公知の樹脂であり、具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重合体、ノルボルネン系単量体とオレフィンの付加型重合体などが挙げられる。
【0012】
ノルボルネン系単量体も、上記公報や特開平2−227424号公報、特開平2−276842号公報、特開平6−80792号公報などで公知の単量体であって、例えば、ノルボルネン、そのアルキル、アルキリデン、芳香族置換誘導体およびこれら置換または非置換のオレフィンのハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等の極性基置換体、例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボエルネン、5−オクチル−2−ノルボルネン、5−オクタデシル−2−ノルボルネン等; ノルボルネンに一つ以上のシクロペンタジエンが付加した単量体、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、1,4:5,8−ジメタノ−2,3−シクロペンタジエノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4:5,10:6,9−トリメタノ−2,3−シクロペンタジエノ−1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロアントラセン等; シクロペンタジエンがディールス・アルダー反応によって多量化した多環構造の単量体、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等; シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−2,3−シクロペンタジエノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン等; 等が挙げられる。
【0013】
本発明においては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の数平均分子量は、トルエン溶媒によるGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)法で測定したポリスチレン換算値で、10,000以上、好ましくは15,000以上、より好ましくは20,000以上、200,000以下、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下のものである。分子量が小さすぎると機械的強度が低く、大きすぎると成形が困難になる。なお、ノルボルネン系単量体の開環重合体のように主鎖構造に不飽和結合を有する場合は、水素添加することにより、主鎖構造を飽和させることが好ましい。水素添加する場合は、主鎖構造の水素添加率が、90%以上にすることが好ましく、95%以上にすることがより好ましく、99%以上にすることが特に好ましい。水素添加率が低く、主鎖構造中の不飽和結合が多いと、耐熱劣化性や耐光劣化性等に劣り、長期間の安定した使用が困難となる場合がある。
【0014】
また、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度は、特に限定されず、通常、90℃以上であるが、耐熱性が求められる用途においては、110℃以上のものが好ましく、120℃以上のものがより好ましく、130℃以上のものが特に好ましく、250℃以下のものが好ましく、220℃以下のものがより好ましく、200℃以下のものが特に好ましい。ガラス転移温度が低すぎると耐熱性が劣り、ガラス転移温度が高すぎると溶融成形が困難となる。
【0015】
熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、厚さ1mmの板状成形品の全光線透過率が可視光(400〜700nm)で80%以上のものが容易に製造でき、精製することによって85%以上、好ましくは90%以上のものを製造することもできる。また、拡散させる光線が可視光でない場合も、その光線に対して同様の光透過性を有するものを用いる。
【0016】
熱可塑性ノルボルネン系樹脂の屈折率は通常1.40以上、好ましくは1.50以上、通常1.60以下、好ましくは1.56以下である。
【0017】
(透明高分子微粒子)
透明高分子微粒子を構成する透明高分子は、特に限定されないが、光透過性の高いものが好ましい。厚さ1mmの板状成形品の全光線透過率が70%以上のものが好ましく、80%以上のものがより好ましく、90%以上のものが特に好ましい。光透過性が低すぎると、高分子内部での光損失により光源のエネルギーが無駄になり、また、光拡散成形品の光透過性が低下する。なお、ここでいう全光線透過率は一般には400〜700nmの可視光であるが、例えば、透過、拡散したい光線がこれ以外の波長の場合は、その目的波長で上記の光線透過率を有していることが好ましい。
【0018】
また、透明高分子微粒子の屈折率も特に限定されないが、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の屈折率n1、透明高分子微粒子を構成する高分子の屈折率n2とするとn1/n2またはn2/n1が好ましくは1.01以上、より好ましくは1.015以上、特に好ましくは1.025以上、好ましくは1.20以下、より好ましくは1.10以下、またはn2/n1が好ましくは1.01以上、より好ましくは1.015以上、特に好ましくは1.025以上、好ましくは1.20以下、より好ましくは1.10以下である。この屈折率比が低すぎると熱可塑性ノルボルネン系高分子と透明高分子微粒子の界面での光の屈折が小さいため、成形品の光拡散性が低くなる傾向がある。屈折率比が高すぎると界面での屈折が大きすぎるため、一部が入光側に反射してしまうなど光透過性が低下する傾向がある。なお、この屈折率は、全光線透過率と同様に使用目的に応じた波長での値である。屈折率は使用する高分子の種類によって異なるが、例えば、フェニル基を含有するモノマーの使用量などにより、共重合体の屈折率を調整できる。フェニル基を含有するモノマーの使用量が多いほど、得られる共重合体の屈折率は高くなるのが通常である。
【0019】
この透明高分子微粒子は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂マトリックス中で微粒子としての形状を維持する必要がある。成形時に形状が維持できなければ、後述のように、均一な光拡散性の成形品が得られない。そのため、本発明の光拡散性樹脂組成物を、最も一般的な成形法である射出成形などの溶融成形にする場合にも変形しないように、架橋していることが好ましい。
【0020】
このような透明高分子として好ましいものとして、スチレン類、アクリロニトリル類などのビニル系モノマー; (メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類モノマー; などを単独重合、あるいは共重合、またはこれらと共重合可能なジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能モノマーを架橋剤として加えて共重合させたものや、ポリシロキサン系高分子などが例示される。多官能モノマーを加えて共重合したものなどのように、重合時に架橋可能なものは、架橋して粒子形状のものを得ることが好ましい。重合後に粒子の形状にした後、または粒子形状に重合した後に、紫外線照射などの方法で架橋した微粒子もまた好ましい。具体的には、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリスチレン、架橋ポリアクリル酸ナトリウム、架橋シリコーン、架橋アクリル−スチレン共重合体、架橋ポリメチルシルセスキオキサンなどが例示される。
【0021】
本発明においては用いられる透明高分子微粒子を形成する方法は、特に限定されないが、懸濁重合などによって粒子とすればよい。例えば、スチレンとジビニルベンゼンの共重合のように多官能モノマーを含有するモノマーを懸濁重合すれば、架橋高分子微粒子が得られ、重合後、洗浄、乾燥し、風力ミクロンセパレーターなどを用いて分級すれば、所望の粒径分布の架橋高分子微粒子が得られる。
【0022】
微粒子の粒径も特に限定されないが、平均粒径1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上が特に好ましく、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下が特に好ましい。小さすぎると本発明の組成物の光拡散性は増大するが光透過性が低下する傾向があり、大きすぎると光透過性は増大するが光拡散性が低下する傾向があり、さらに成形品の表面平滑性が低下したり、ムラが発生したりすることがある。
【0023】
本発明で用いる微粒子は、球状のものが多いほど好ましい。球状とは微粒子の短径/長径が好ましくは0.6以上、より好ましくは0.8以上、特に好ましくは0.9以上であり、角を有していないものをいう。短径とは、ひとつの微粒子の最も小さな径をいい、長径とは同じ微粒子の最も大きな径をいう。用いる微粒子中の球状微粒子の割合が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが好ましい。短径、長径、平均粒径、角の有無については、顕微鏡写真の映像を元に測定すればよい。球状でないものが多いと、成形時に分散が不均一になったり、配向性を有し、均一な光拡散性の成形品を得ることが困難である。
【0024】
なお、本発明で用いる微粒子は、一種類である必要はなく、複数種の微粒子を併用して、光透過性と光拡散性を調整してもよく、また、使用環境によっては、無機フィラーを併用してもよい。
【0025】
(光拡散性樹脂組成物)
本発明の光拡散性樹脂組成物は、目的とする光拡散成形品の光経路の長さにより、透明高分子微粒子の配合量が異なる。一般的には熱可塑性ノルボルネン系樹脂重量部に、透明高分子微粒子0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、30重量%以下、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下配合したものであり、配合量が少なすぎると光拡散性が低下し、多すぎると光透過性が低下する。しかし、例えば、100μmの厚さの光拡散板用には、通常、10重量%以上、30重量%以下、1mmの厚さの光拡散板用には、通常、1重量%以上、10重量%以下、10mmの厚さの光拡散板用には、通常、0.1重量%以上、1重量%以下、100mmの厚さの光拡散板用には、通常、0.01重量%以上、0.1重量%以下、透明高分子微粒子を配合する。これは、光経路が短い場合は容易に光透過性の高いものが得られるが、多量に透明高分子微粒子を配合しないと十分に光拡散性が得られず、一方、光経路が長い場合には光拡散性は大きいが、光透過性が低下しやすいため、少量しか配合できないためである。
【0026】
さらに、用途に応じて本発明の光拡散性樹脂組成物の特性を失わない範囲で、各種添加剤を添加してもよい。例えば、フェノール系やリン系等の老化防止剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤; ヒンダードアミン系等の耐光安定剤; 陽イオン性、陰イオン性、非イオン性等の帯電防止剤; カーボン系または金属系の粉末状または繊維状の導電性付与剤; 脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールの部分エステル及び部分エーテル等の滑剤; 等の各種添加剤を添加してもよい。また、用途に応じて本発明の組成物の特性を失わない範囲で、エチレン系重合体などの樹脂やゴム質重合体を添加してもよく、グラファイト、フッ素系樹脂粉末などの摺動性剤を添加してもよい。
【0027】
組成物を調製する方法は特に限定されず、通常の方法、例えば2軸混練などによればよい。組成物は熱可塑性ノルボルネン系樹脂中に透明高分子微粒子が均一に分散していることが好ましい。粒子が凝集するなど、均一に分散していなければ、光拡散性や光透過性にムラを生じる。
【0028】
(成形方法)
本発明の光拡散性樹脂組成物を成形する方法は、特に限定されず、一般の熱可塑性樹脂を成形する方法、射出成形、押し出し成形、圧空成形、真空成形、熱プレス成形などが用いられる。中でも射出成形が容易であり、また、寸法精度に優れたものが得られる。キャスト法でフィルムを成形することも可能であるが、透明高分子微粒子の配合量、フィルムの厚さによっては、溶媒が十分に除去される前に透明高分子微粒子が沈澱することがある。十分に薄いフィルムの場合は特に問題ないが、厚さがある場合には、強度のムラができる場合がある。
【0029】
(光拡散成形品)
本発明の光拡散成形品は、本発明の光拡散性樹脂組成物を成形したものであり、用途などにより、形状は特に限定されない。最も一般的な用途は、バックライト光源からの光が均一に出射され、照射面での明暗が均一になるように、光源と照射対象の間に設置される光拡散板であり、例えば、バックライト型の液晶ディスプレイなどに用いる。そのほかにも、反射防止フィルム、光拡散フィルム、照明カバー、反射型スクリーン、透過型スクリーンなどに用いることができる。
【0030】
(態様)
本発明の態様としては、
(1) 熱可塑性ノルボルネン系樹脂マトリックスと透明高分子微粒子からなる光拡散性樹脂組成物、
(2) 透明高分子微粒子を0.01〜30重量%含有する(1)記載の光拡散性樹脂組成物、
(3) 熱可塑性ノルボルネン系樹脂が、厚さ1mmの板状成形品の全光線透過率が80%以上のものである(2)記載の光拡散性樹脂組成物、
(4) 熱可塑性ノルボルネン系樹脂が、屈折率1.40〜1.60のものである(1)〜(3)記載の光拡散性樹脂組成物、
(5) 透明高分子微粒子を構成する透明高分子が厚さ1mmの板状成形品の全光線透過率が70%以上のものである(1)〜(4)記載の光拡散性樹脂組成物、
(6) 熱可塑性ノルボルネン系樹脂の屈折率をn1、透明高分子微粒子を構成する樹脂の屈折率をn2とするとn1/n2≧1.01またはn2/n1≧1.01である(1)〜(5)記載の光拡散性樹脂組成物、
(7) 透明高分子微粒子が平均粒径1〜30μmの球状のものである(1)〜(6)記載の光拡散性樹脂組成物、
(8) 透明高分子微粒子が、微粒子の短径/長径が0.6〜1.0で角を有していない微粒子を80%以上含有しているものである(1)〜(7)記載の光拡散性樹脂組成物、
(9) 透明高分子微粒子が、透明架橋高分子から成るものである(1)〜(8)記載の光拡散性樹脂組成物、
(10) (1)〜(9)記載の光拡散性樹脂組成物で形成される光拡散成形品、
などが挙げられる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の光拡散性樹脂組成物を成形した光拡散成形品は、光透過性と光拡散性のバランス、衝撃強度に優れ、従来の同程度の光透過性を有する光拡散成形品と比較するとより光拡散性に優れ、従来の同程度の光拡散性を有する光拡散成形品と比較するとより光透過性に優れる。また、従来のものが、耐湿試験前後で全光線透過率、濁度が大きく変化するのに対して、本発明で得られた光拡散性樹脂組成物、および成形品は変化が小さい。
【0032】
【実施例】
以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、実施例および比較例2、3で使用したビーズは、いずれも、短径/長径が0.9以上のものが、全微粒子中95%以上のものである。
【0033】
実施例1
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(ZEONEX 480、日本ゼオン製、分子量約28,000、ガラス転移温度140℃、屈折率1.53)と、真球状架橋ポリスチレンビーズ(テクポリマーSBX−8、積水化成品工業株式会社製、平均粒径約8μm、屈折率1.59)とを、樹脂温度250℃で二軸押出機(TEM35B、東芝機械製)を用いて混練し、表1に示す濃度の樹脂組成物を得た。樹脂組成物はペレタイザーによりペレットにした。
【0034】
これらのペレットを用いて射出成形により厚み1mmの平板を作成し、それぞれ、全光線透過率と濁度(拡散光線透過率)を濁度計(NDH−300A、日本電色工業株式会社製)で測定した。さらに、60℃、90%RHの環境下で500時間耐湿試験にかけた後、再度全光線透過率と濁度を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
なお、真球状架橋ポリスチレンビーズ濃度が5重量%のもののアイゾット衝撃強度(ノッチ付き)をASTM D256に従って測定したところ、2.5kgf・cm/cmであった。
【0036】
実施例2
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(ZEONEX 480)と、(a)真球状架橋シリコーン樹脂ビーズ(トスパール145、東芝シリコーン株式会社製、平均粒径約4.5μm、屈折率1.43)とを、実施例1と同様に混練して樹脂組成物を準備し、ペレット化し、厚み1mmの平板を作成してのち、全光線透過率と濁度を測定、さらに耐湿試験後にも測定した。結果を表1に示す。
【0037】
比較例1
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(ZEONEX 480)を用いて射出成形により厚み1mmの平板を作成し、全光線透過率と濁度を測定、した。さらに耐湿試験後にも測定した。結果を表1に示す。また、アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)は2.7kgf・cm/cmであった。
【0038】
比較例2
熱可塑性ポリカーボネート樹脂(パンライトL−1225、帝人化成株式会社製、屈折率1.59)と真球状架橋ポリメタクリル酸メチルビーズ(テクポリマーMBX−8,平均粒径約8μm、積水化成品工業株製)とを、樹脂温度240℃で二軸押出機(TEM35B)を用いて混練し、表1に示す濃度の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を実施例1と同様にペレット化し、厚み1mmの平板を作成してのち、全光線透過率と濁度を測定、さらに耐湿試験後にも測定した。結果を表1に示す。
【0039】
比較例3
熱可塑性メタクリル酸メチル樹脂(アクリペットVH、三菱レーヨン株式会社製、屈折率1.49)と、真球状架橋ポリスチレンビーズ(テクポリマーSBX−8)とを、樹脂温度240℃で二軸押出機(TEM35B)を用いて混練し、表1に示す濃度の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を実施例1と同様にペレット化し、厚み1mmの平板を作成してのち、全光線透過率と濁度を測定、さらに耐湿試験後にも測定した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
比較例4
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(ZEONEX 480)と、炭酸カルシウム粒形フィラー(シプロン、シプロ化成株式会社製、平均粒径約5μm)とを、実施例1と同様に混練し、5重量%の樹脂組成物を得、アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)を測定したところ、1.9kgf・cm/cmであり、衝撃強度が低下した。
Claims (2)
- ガラス転移温度が90℃以上である熱可塑性ノルボルネン系樹脂マトリックスに架橋している透明な高分子微粒子を分散させてなり、前記微粒子の平均粒径が1μm以上15μm以下である光拡散性樹脂組成物。
- 請求項1記載の組成物で形成される光拡散成形品。
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