JPH0593087A - 透明樹脂成形品,プラスチツクレンズおよびその製造方法 - Google Patents

透明樹脂成形品,プラスチツクレンズおよびその製造方法

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JPH0593087A
JPH0593087A JP25348691A JP25348691A JPH0593087A JP H0593087 A JPH0593087 A JP H0593087A JP 25348691 A JP25348691 A JP 25348691A JP 25348691 A JP25348691 A JP 25348691A JP H0593087 A JPH0593087 A JP H0593087A
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JP
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resin material
filler
transparent resin
molding
resin molded
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JP25348691A
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English (en)
Inventor
Tadamasa Fuchida
忠正 渕田
Kazuhiro Yanagidaira
和寛 柳平
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Nippon Steel Texeng Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Koki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透明樹脂成形品に適合した充填材を利用し
て、形状精度の高いプラスチックレンズなどの透明樹脂
成形品およびその製造方法を実現すること。 【構成】 射出成形により成形されたプラスチックレン
ズ1のPMMA2の内部には、小径ガラスビーズ3aお
よび大径ガラスビーズ3bからなるガラスビーズ3が充
填されている。このガラスビース3は、PMMA2と屈
折率および分散率が同等のものが使用されている。かか
るプラスチックレンズ1は、溶融状態のPMMA2にガ
ラスビース3を分散させた状態で、それを固化すること
により製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明樹脂成形品,プラ
スチックレンズおよびその製造方法に関し、特に、充填
材を用いた成形技術に関する。
【0002】
【従来の技術】日用品から光学部品に至るまで、透明な
成形品は広い範囲に用いられており、その代表的なもの
がガラス成形品である。そのうち、レンズなど形状精度
が要求されるものの製造には、研磨法が採用されてい
る。この研磨法においては、ガラス材料を粗削りした
後、それをリセス皿などに固定しておき、砥粒を粗いも
のから細かなものに順次代えて、所定形状の鏡面に仕上
げる。しかしながら、この方法によれば、その加工工程
が多く、加工時間も長いため、製造されたレンズが高価
なものになるという欠点がある。しかも、非球面形状の
ものは極めて製造しにくい。そこで、ガラス材料を、そ
のガラス転移点(Tg)以上の温度にまで加熱して軟化
させ、型内でのプレスにより成形する方法も採用されつ
つある。例えば、フリント系のガラス材料であれば、ガ
ラス転移点は430〜440℃であり、クラウン系のガ
ラス材料であれば、ガラス転移点は550〜570℃で
あり、ダンタン系のガラス材料であれば、ガラス転移点
は620〜650℃である。従って、材料に応じた温度
にまでガラス材料を加熱した状態でプレス加工すること
により、樹脂成形における圧縮成形と同様な効率で、ガ
ラスレンズなどを製造することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
とおり、ガラス材料に対して圧縮成形を行う場合には、
ガラス転移点が比較的低いフリント系のガラス材料であ
っても、約440℃以上の温度にまで加熱することが必
要であるため、以下の問題点を有する。
【0004】 型材には高い耐熱特性が要求され、通
常、セラミックスからなる型材が使用される。しかし、
型材にセラミックスを使用すると、その加工が難しく、
また高価であるため、成形品の形状や成形対象に制限が
ある。
【0005】 また、セラミックス製の型材を使用し
ても、成形圧力および成形温度が高いので、損傷し易
く、型材の寿命が短い。
【0006】かかる問題点を解消するために、ガラス材
料に代えて、樹脂材料を用いることが考えられる。樹脂
材料であれば、射出成形法や硬化反応法など、いずれの
成形方法においても、成形温度がガラス材料の成形温度
に比較して低いため、型材に対する制約も少なく、しか
も材料コストも低い。しかしながら、コスト面では樹脂
成形品の方がメリットがあるものの、樹脂成形において
は、成形時の樹脂の収縮などに起因して、球面精度およ
び面精度など形状精度が低いという問題を有する。特
に、部位による肉厚差が大きな成形品においては、反り
やひけなどが発生しやすい。それ故、ガラス成形品から
樹脂成形品に代替え可能な範囲は、高い形状精度などが
要求されないものに限られているというのが現状であ
る。
【0007】以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、
透明樹脂成形品に適合した充填材を利用することによっ
て、形状精度の高い透明樹脂成形品,プラスチックレン
ズおよびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係るプラスチックレンズなどの透明樹脂成
形品において講じた手段は、透明な樹脂成形品に、その
樹脂材料の成形温度において非溶融状態を維持可能で、
この樹脂材料の屈性率および分散率と同等の屈折率およ
び分散率を有する充填材を充填することである。
【0009】かかる透明樹脂成形品の製造方法において
は、例えば、溶融状態の透明な樹脂材料の内部に、その
成形温度においては非溶融状態を維持可能で、この樹脂
材料の屈性率および分散率と同等の屈折率および分散率
を有する充填材を分散させた状態で、樹脂材料を所定の
成形用型材の内部に注入した後に(注入工程)、この樹
脂材料を成形用型材の内部で固化させる(固化工程)。
【0010】ここで、成形用型材の内部に対し、充填材
を分散させた樹脂材料を注入するとき、樹脂供給用のノ
ズルなどで充填材が詰まることを防止する目的に、充填
材として、異なる粒径のものが混在しているものを用い
ることが好ましい。
【0011】本発明においては、注入工程に続いて、成
形用型材に対して振動を加える加振工程を行い、この加
振工程の後に固化工程を行うことが好ましい。
【0012】また、樹脂材料に熱可塑性を有するものを
用いた場合には、注入工程において、樹脂材料を加熱し
て溶融状態とし、固化工程において溶融状態の樹脂材料
を冷却することによりそれを固化させることができる。
【0013】
【作用】本発明において、充填材を分散させた状態の樹
脂材料を溶融状態として、成形用型材の内部に注入し
(注入工程)、この樹脂材料を成形用型材の内部で固化
させると(固化工程)、透明な樹脂材料の内部に充填材
が充填された透明樹脂成形品を製造できる。ここで、充
填材は、樹脂材料の成形温度においては非溶融状態を維
持可能な材料であり、耐熱性が高いので、固化過程にお
いて樹脂材料のように体積収縮(成形収縮)などが発生
しない。従って、透明樹脂成形品の材料における樹脂材
料の配合比率が低いため、成形収縮量が小さいので、ガ
ラス材料のみからなる透明成形品に代替え可能な高い球
面精度および面精度などの形状精度を有する透明樹脂成
形品を製造することができる。また、充填材は、樹脂材
料の屈性率および分散率と同等の屈折率および分散率を
有しているため、この透明樹脂成形品は、単一材料から
構成した透明樹脂成形品と同じように均一な光学特性を
有する。さらに、通常の樹脂成形に用いる成形用型材で
製造することができるため、容易に加工できるので、非
球面レンズなども容易に製造でき、透明樹脂成形品の形
状などに対する制限がない。しかも、安価である。そし
て、樹脂材料と充填材との物性を対応させたまま、その
組合せを変えることによって、均一な光学特性を確保し
ながら、透明樹脂成形品を改質することもできる。
【0014】また、充填材として、異なる粒径のものが
混在しているものを用いた場合には、樹脂供給用のノズ
ル内部などで、充填材同士が干渉し合って、そこに詰ま
ることがない。すなわち、同じ粒径のもの同士であれ
ば、互いの力が均衡し合って、拘束し合うのに対し、異
なる粒径のものが混在している場合には、互いの力が均
衡し合うことがないため、いずれかの粒径のものが他の
充填材を押し退けて通過する。従って、充填材に起因す
るノズルの詰まりなどが発生しないので、充填材の配合
量も任意に設定することができる。
【0015】さらに、注入工程に続いて、成形用型材に
対する加振工程を行う場合には、成形用型材の内部で充
填材を下方に沈降させ、肉厚部分などに充填材の集中さ
せることによって、その部位における相対的に樹脂材料
の比率を低下させて、この部分に発生するひけなどを防
止することができる。
【0016】
【実施例】次に、本発明の実施例に係るプラスチックレ
ンズ(透明樹脂成形品)について、添付図面を参照し
て、説明する。
【0017】〔実施例1〕図1は本発明の実施例1に係
るプラスチックレンズを模式的に示す断面図であり、プ
ラスチックレンズ1は、それを構成する熱可塑性樹脂た
るPMMA2(ポリメチルメタアクリレート・樹脂材
料)の内部に、K10タイプのガラスからなるガラスビ
ーズ(充填材)3が充填されている。これらのガラスビ
ーズ3は、平均粒径が約5μmの小径ガラスビーズ3a
と、平均粒径が10〜30μmの大径ガラスビーズ3b
が混在している状態で充填されている。ここで、PMM
A2の屈折率(nd )が約1.492であり、分散率の
逆数であるアッベ数(νd )が約58.4であるのに対
し、ガラスビーズ3の屈折率(nd )が約1.501で
あり、アッベ数(νd )が約56.3である。従って、
PMMA2の屈性率および分散率と、ガラスビーズ3の
屈性率および分散率とはいずれも同等であるため、プラ
スチックレンズ1の光学特性は、いずれの部位において
も均一である。なお、ガラスビーズ3は、そのガラス転
移温度が400℃以上であり、PMMA2の成形温度で
ある約200℃の条件下では、非溶融状態を維持可能で
ある。
【0018】このプラスチックレンズ1においては、ガ
ラスビーズ3の充填によって、PMMA2の相対比率が
低下しており、その成形時に発生するPMMA2の成形
収縮が抑制されているため、プラスチックレンズ1は、
中央に肉厚部1aを有する一方、外周側1bに肉薄部2
bを有し、肉厚差が大きいにもかかわらず、その形状精
度が通常のプラスチックレンズと比較して高く、ガラス
レンズに充分代替え可能な形状精度を有する。また、ガ
ラスビーズ3の充填率も高いので、従来のプラスチック
レンズに比較して、吸水率が低く、また、温度変化によ
る膨張および収縮の寸法変化や光学特性変化も小さいな
ど、ガラスレンズと同等の耐環境特性を有する。
【0019】かかる構成のプラスチックレンズ1の製造
方法を、以下に説明する。
【0020】まず、PMMA2の材料ペレットと、小径
ガラスビーズ3aと、大径ガラスビーズ3bとを所定の
比率に混合して、プラスチックレンズ材料(成形材料)
を調製し(混合工程)、成形機の材料ホッパーに投入す
る。ここに投入されたプラスチックレンズ材料は、可塑
化射出部において、約200℃にまで加熱される。この
加熱によって、PMMA2の材料ペレットは可塑化し、
溶融状態のPMMAに小径ガラスビーズ3aおよび大径
ガラスビーズ3bが分散している。この状態のプラスチ
ックレンズ材料を、約700〜1100kg/cm2
射出圧力で、レンズ成形用の金型(成形用型材)内部に
注入する(注入工程)。
【0021】ここで、金型の温度は約70℃に保持され
ている。従って、金型内部に注入されたプラスチックレ
ンズ材料は、冷却されて固化する(固化工程)。
【0022】しかる後に、固化されたプラスチックレン
ズ1は金型内部から取り出されて(離型工程)、成形工
程が終了する。なお、プラスチックレンズ1に対して
は、必要に応じて、その表面にコーティング処理などが
施される。
【0023】以上のとおり、本例に係るプラスチックレ
ンズ1の製造方法においては、充填材として配合された
ガラスビーズ3は、そのガラス転移温度が400℃以上
であり、成形温度である約200℃では、非溶融状態の
ままであるため、成形時の収縮が極めて小さい。従っ
て、プラスチックレンズ1の形状精度は、金型の精度の
みによって規定され、製造条件のうちの温度や圧力など
の影響を受けにくくなっているため、その形状精度が高
い。しかも、成形温度は、約200℃であり、低いの
で、通常の金型を用いて成形することができ、加工性が
低いセラミックス性の型材などを用いる必要がない。そ
れ故、加工性がよいので、プラスチックレンズ1のよう
な凸レンズの他、非球面レンズなども高い精度を保持し
たまま製造することができる。しかも、金型は安価であ
る。
【0024】また、本例においては、ガラスビーズ3と
して、小径ガラスビーズ3aと大径ガラスビーズ3bと
を組み合わせたものを使用している。従って、図2
(a)に示すように、可塑化射出部のノズル5の内部や
金型注入口などにガラスビーズ3が集中しても、小径ガ
ラスビーズ3aと大径ガラスビーズ3bとに加わる押出
力が異なるため、例えば、矢印Aで示すように、大径ガ
ラスビーズ3bが先に通り抜けようとする。これに対
し、図2(b)示すように、同径のガラズビーズ3cの
みを用いると、それぞれに加わる押出力は同等となっ
て、互いに拘束し合い、いずれも通り抜けできない状態
になってしまう。本例では、かかる詰まり状態が発生し
にくので、プラスチックレンズ1の特性をガラスレンズ
に近いものとする目的に、ガラスビーズ3の充填率を高
めた場合であっても、この部位で、プラスチックレンズ
材料が詰まることがない。また、粒径の異なるものを配
合した方が、ガラスビーズ3の充填率を高めることがで
きる。このように、PMMA2を、ガラスビーズ3の隙
間を埋めてガラズビーズ3同士を連結するために用いる
ことにより、PMMA2に起因する成形収縮を抑えるこ
とができると共に、プラスチックレンズの欠点である温
度に対する光学特性の変化なども、抑えることができ
る。しかも、肉厚の成形品であっても、成形サイクルが
短い。
【0025】〔実施例2〕ところで、ガラスビーズ3を
多量に配合した場合、またはガラスビーズ3が金型との
境界層に集中するように金型温度などの成形条件を設定
した場合には、プラスチック成形品と金型との境界面に
おいて、プラスチック成形品の最表面層に位置するガラ
スビーズ3は成形品と金型との密着力を低下させる。従
って、離型工程において、金型とプラスチック成形品と
の離型に過大な力を必要としないので、離型時のプラス
チック成形品の破損なども防止できる。このように、ガ
ラスビーズ3は、プラスチック成形品の離型をも容易に
する効果を有するので、この効果を、以下のとおり積極
的に利用してもよい。
【0026】図3は本発明の実施例2に係る透明樹脂成
形品としての透明なプラスチック工芸品を模式的に示す
断面図であり、透明なプラスチック工芸品11は、それ
を構成する熱可塑性樹脂たるノルボルネン系樹脂12
(樹脂材料)の内部に、K2タイプのガラスからなるガ
ラスビーズ(充填材)13が充填されているものであ
る。このガラスビーズ13は、平均粒径が約5μmの小
径ガラスビーズ13aと、平均粒径が10〜30μmの
大径ガラスビーズ13bが混在している状態で充填され
ている。ここで、ノルボルネン系樹脂12の屈折率(n
d )が約1.511であり、分散率の逆数であるアッベ
数(νd )が約57.0であるのに対し、ガラスビーズ
13の屈折率(nd )が約1.516であり、アッベ数
(νd )が約56.8である。従って、ノルボルネン系
樹脂12の屈性率および分散率と、ガラスビーズ13の
屈性率および分散率とはいずれも同等であるため、プラ
スチック工芸品11の光学特性は、いずれの部位におい
ても均一である。従って、実施例1と同様な効果を奏す
るのに加えて、本例のプラスチック工芸品11において
は、その一方面11aにガラスビーズ13が集中してお
り、この一方面11aと、金型20の型材20aとの密
着力が低く、離型が容易な状態になっている。それ故、
離型工程において、型材20aと、プラスチック工芸品
11との離型に過大な力を必要としないので、離型時の
プラスチック工芸品11の破損などをより防止できる。
また、プラスチック工芸品11の中央部の肉厚部分に、
ガラスビーズ13が集中するので、この部分におけるひ
けなどの発生も防止できる。
【0027】かかる構成のプラスチック工芸品11の製
造は、金型20の姿勢を、離型しにくい側の型材20a
が下方に位置するような状態で行う。
【0028】まず、実施例1と同様な注入工程に続い
て、金型に対して振動を加える。この振動によって、ガ
ラスビーズ13は、ノルボルネン系樹脂12の内部を沈
降していき、下方の型材20aとの境界面側に集中する
(加振工程)。
【0029】次に、冷却してノルボルネン系樹脂12を
固化させる(固化工程)。
【0030】しかる後に行う離型工程においては、プラ
スチック工芸品11の一方面11aにガラスビーズ13
が集中しているため、この一方面11aと型材20aと
の密着力が低いので、容易に離型することができる。そ
れ故、離型工程において、プラスチック工芸品11の損
傷が発生しにくく、歩留りが向上するので、より安価に
プラスチック工芸品11を製造することができる。この
場合であっても、プラスチック工芸品11の構成材料の
うち、樹脂材料の比率が低いため、成形収縮量が小さ
く、その形状精度を低下させることがない。
【0031】以上のとおり、いずれの実施例において
も、透明な樹脂成形品の内部には、それを構成する樹脂
材料と同等の屈折率および分散率を有し、かつ、樹脂材
料の成形温度においては非溶融状態を維持可能な充填材
が充填されているため、形状精度の高いプラスチックレ
ンズなどを安価に製造することができる。さらに、成形
対象としては、プラスチックレンズやプリズムなどの光
学部品の他、耐熱コップなど、従来はガラスが用いられ
ていた透明な日用品、工芸品などにも応用できる。この
場合には、ガラスと同等の耐熱性や耐久性の他、破損し
た場合に飛散しないなどの利点もある。
【0032】また、充填材は離型を容易にする作用も発
揮する。従って、実施例1,2のような射出成形法に限
らず、硬化反応法による成形にも応用できる。通常、硬
化反応法においては、射出成形法に比較して、成形サイ
クルが長いという欠点の他、離型性に劣るので、形状精
度が低下するという致命的な欠点を有する。しかしなが
ら、ガラスビーズなどの充填材の配合により、成形品と
型材との密着力を低下させることができるため、かかる
硬化反応法の致命的な欠点をも解消することができる。
従って、使用できる樹脂材料および成形法に対する制約
を緩和することができる。
【0033】なお、樹脂材料および充填材の組合せとし
ては、上記実施例の他、ノルボルネン系樹脂に対して、
屈折率(nd )が約1.512であって、アッベ数(ν
d )が約58.1であるガラス(ZK4タイプ)を組み
合わせることもできる。さらに、樹脂材料とガラス系の
充填材の他、耐熱性の樹脂材料を充填材として使用する
こともできる。たとえば、通常グレードのPMMAに、
耐熱グレードのPMMAを充填材として配合するなど、
それぞれの樹脂材料は同一種類の樹脂であってもよい。
また、異なる種類の樹脂であってもよく、それぞれの屈
折率および分散率が同等であればよい。
【0034】さらに、充填材の形状については、ビーズ
状のものの他に、フレーク状のものでもよく、限定のな
いものである。
【0035】そして、充填材の配合比としては、全成形
材料の約20wt%から約80wt%までの範囲が望ま
しく、充填材の配合比が約20wt%未満では、充填材
を配合する効果が小さく、また、充填材の配合比が約8
0wt%を超える場合には、透明樹脂成形品の機械的強
度が低下する傾向がある。従って、充填材の配合比につ
いては、プラスチック成形品に求められる機械的強度、
形状精度、さらに面精度などに対応して、最適な配合比
に設定されるべき性質のものである。
【0036】また、成形時の金型温度、樹脂注入温度
も、樹脂材料種類、充填材の配合比さらにプラスチック
成形品の用途などによって最適な条件に設定されるべき
性質のものである。
【0037】
【発明の効果】以上のとおり、本発明に係るプラスチッ
クレンズなどの透明樹脂成形品においては、樹脂材料の
屈性率および分散率と同等の屈折率および分散率を有
し、この樹脂材料の成形温度において非溶融状態を維持
可能な充填材を用いることに特徴を有しているので、以
下の効果を奏する。
【0038】 充填材は、樹脂材料の成形温度におい
ては非溶融状態を維持可能な材料であり、耐熱性が高
く、樹脂材料のように成形収縮が発生しにくい。従っ
て、透明樹脂成形品の材料のうち樹脂材料の比率が低い
ため、成形収縮量が小さいので、ガラス成形品に代替え
可能な高い形状精度を備えた透明樹脂成形品を製造する
ことができる。また、充填材は、樹脂材料と同等の屈性
率および分散率を有しているため、この透明樹脂成形品
は、単一材料から構成した透明樹脂成形品と同等の均一
な光学特性を有する。
【0039】 ガラス成形に比べて成形温度が比較的
低いので、鋼製の金型など安価で寿命の長い型材を用い
ることができ、高価で脆いセラミックス製型材を使用す
る必要がない。また、その加工も容易であるため、非球
面レンズなども容易に製造できるなど、透明樹脂成形品
の形状などに対する制限がない。
【0040】 樹脂材料と充填材との物性を対応させ
たまま、その組合せを変えることによって、均一な光学
特性を確保しながら、透明樹脂成形品を改質することも
できる。たとえば、ガラス製の充填材を採用することに
よって、透明樹脂成形品の耐熱性および耐環境性などを
ガラス成形品相当にまで向上できる。
【0041】 透明樹脂成形品と成形用型材との境界
に位置する充填材は、透明樹脂成形品と成形用型材との
密着力を低下させる。このため、これら離型が容易とな
って、離型工程において発生する透明樹脂成形品の損傷
を防止することができる。また、反応硬化法のように、
離型しにくいことに起因して発生する形状精度の低下な
ども解消することができるので、樹脂種類および成形法
に対する制約を緩和できる。
【0042】 充填材として、異なる粒径のものが混
在するものを用いた場合には、樹脂供給用のノズル内部
などで、充填材同士が干渉し合う状態になっても、互い
の力が均衡し合うことがないため、いずれかの粒径のも
のが他の充填材を押し退けてそこを通過する。従って、
充填材に起因するノズルの詰まりなどが発生しないの
で、充填材の配合量も任意に設定することができる。
【0043】 注入工程に続いて、成形用型材に対し
て振動を加える加振工程を行う場合には、成形用型材の
内部において、この振動によって充填材が下方に沈降す
る。従って、肉厚部分などに充填材の集中させることに
よって、相対的に樹脂材料の比率を低下させて、この部
分に発生するひけなどを防止することができる。さら
に、離型しにくい部分に対して充填材を集中させて、離
型工程において発生する透明樹脂成形品の損傷をさらに
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係るプラスチックレンズの
構造を模式的に示す断面図である。
【図2】(a)は図1に示すプラスチックレンズの製造
に用いたガラスビーズがノズル内を通過する状態を示す
概念図、(b)はそれと異なるガラスビーズがノズル内
を通過する状態を示す概念図である。
【図3】本発明の実施例2に係るプラスチック工芸品の
構造を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・プラスチックレンズ(透明樹脂成形品) 2・・・PMMA(樹脂材料) 3,13・・・ガラスビーズ(充填材) 3a,13a・・・小径ガラスビーズ 3b,13b・・・大径ガラスビーズ 11・・・プラスチック工芸品(透明樹脂成形品) 12・・・ノルボルネン系樹脂(樹脂材料)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な樹脂成形品には、その樹脂材料の
    成形温度において非溶融状態を維持可能で、この樹脂材
    料の屈性率および分散率と同等の屈折率および分散率を
    有する充填材が充填されていることを特徴とする透明樹
    脂成形品。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記充填材は、異な
    る粒径のものが混在していることを特徴とする透明樹脂
    成形品。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、前記
    樹脂材料は、熱可塑性を有することを特徴とする透明樹
    脂成形品。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかの項
    に規定する透明樹脂成形品からなることを特徴とするプ
    ラスチックレンズ。
  5. 【請求項5】 溶融状態の透明な樹脂材料の内部に、そ
    の成形温度において非溶融状態を維持可能で、この樹脂
    材料の屈性率および分散率と同等の屈折率および分散率
    を有する充填材を分散させた状態で、前記樹脂材料を所
    定の成形用型材の内部に注入する注入工程と、この樹脂
    材料を前記成形用型材の内部で固化させる固化工程と、
    を有することを特徴とする透明樹脂成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記樹脂注入工程に
    続いて、前記成形用型材に対して振動を加える加振工程
    を行い、この加振工程の後に前記固化工程を行うことを
    特徴とする透明樹脂成形品の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5または請求項6において、前記
    充填材は、異なる粒径のものが混在していることを特徴
    とする透明樹脂成形品の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5ないし請求項7のいずれかの項
    において、前記樹脂材料は熱可塑性を有し、前記注入工
    程においては、前記樹脂材料を加熱することによりそれ
    を溶融状態とし、前記固化工程においては、溶融状態の
    前記樹脂材料を冷却することによりそれを固化させるこ
    とを特徴とする透明樹脂成形品の製造方法。
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