JP3700508B2 - 走行路判別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車が走行している走行路の種類を判別する、走行路判別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、走行中の道路に対する車両の位置や姿勢の把握を行ない、これに基づいて自動車の自動走行制御を行なったり、ドライバの運転を支援したりする技術(運転支援装置)が開発されている。
自動走行制御の場合、ドライバに何ら頼ることなく自動車を運転することが必要であり、道路をはじめとした基本的施設(インフラ)を整備するなど、その実用化には様々な条件整備が前提となる。
【0003】
一方、運転支援装置の場合、自動車を運転するのはあくまでもドライバであり、運転支援装置はドライバの運転操作のミスをドライバに知らせたりミスを解消する方向へ運転を補助したりするものである。したがって、運転支援装置は、現在の道路環境においても実現可能な技術が多く、より実用性の高い運転支援装置の開発が望まれている。
【0004】
こうした運転支援装置の一つに車線逸脱抑制装置がある。この車線逸脱抑制装置としては、自動車が不注意で走行車線から逸脱しそうになるとドライバに警報を発する技術がある。
しかしながら、このような車線逸脱警報は自車両が現在走行している道路の種類にかかわらず、同じ判定値を用いて車線逸脱判定を行なっているため、必ずしも正確な車線逸脱判定が行なえているとはいえない。特に、高速道路及び高速道路相当の道路(例えば自動車専用道路など)は、一般道と比べて高速走行となる等、かなり異なる走行状態となる。このため、少なくとも高速道路及び高速道路相当の道路とそれ以外の道路とを正確に判別し、それぞれの道路に応じて適切な車線逸脱判定等を行なえるようにしたい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動車が現在走行している道路の種類を判別する技術としては、例えば特開平7−251753号公報に開示された技術がある。この公報に開示された技術では、GPS(グローバルポジショニングシステム)により求められる車両の走行位置(緯度と経度)と、道路情報記憶手段に地上位置に関連付けて記憶されている地図データとから、自車両が走行している道路の種類を判別するようにしている。
【0006】
しかし、この公報に開示された技術では、道路が新しく敷かれる等して道路情報記憶手段に記憶されている地図データが古くなった場合には自車両が走行中の道路の種類を正確に判別することができない可能性がある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、自車両が走行中の道路が高速道路又は高速道路相当の道路であるかを、簡易に、かつ、精度良く判別できるようにした、走行路判別装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明の走行路判別装置では、曲率算出手段が走行レーンの曲率を算出し、レーン幅算出手段が走行レーンの幅を算出する。そして、判定手段が、曲率算出手段により算出されたレーン曲率がレーン曲率判定値よりも小さいか否かを判定するとともに、レーン幅算出手段により算出されたレーン幅がレーン幅判定値よりも大きいか否かを判定する。この結果、判定手段がレーン曲率がレーン曲率判定値よりも小さいと判定し、かつ、レーン幅がレーン幅判定値よりも大きいと判定した場合には、積算手段が、この判定が継続される間この継続時間に対応するパラメータの積算を行なう。そして、走行路判別手段が、積算手段による積算値が所定値を超えたら車両が走行する走行路が高速道路又は高速道路相当の道路であると判別する。
また、本発明の走行路判別装置では、旋回曲率算出手段が旋回曲率を算出し、前後加速度センサが前後加速度を検出し、車速センサが車速を検出する。そして、判定手段が、旋回曲率が旋回曲率判定値よりも小さいか否かを判定し、前後加速度が前後加速度判定値よりも小さいか否かを判定し、さらに、車速が車速判定値よりも大きいか否かを判定する。この結果、判定手段が、旋回曲率が旋回曲率判定値よりも小さく、かつ、前後加速度が前後加速度判定値よりも小さく、かつ、車速が車速判定値よりも大きいと判定した場合には、積算手段が、この判定が継続される間この継続時間に対応するパラメータの積算を行なう。そして、走行路判別手段が、積算手段による積算値が所定値を超えたら車両が走行する走行路が高速道路又は高速道路相当の道路であると判別する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明すると、図1〜図6は本発明の第1実施形態としての走行路判別装置を示すものである。
本走行路判別装置は、自車両が走行中の走行路(道路)の種類を正確に判別できるようにするためのものであり、具体的には自車両の走行状態(車速,操舵角,前後加速度等)や走行レーンの幅等を利用して自車両が走行中の道路の種類を判別するものである。そして、本実施形態では、このようにして判別された道路の種類に応じて車線逸脱判定に用いる判定値等を変更しながら、車両が車線から逸脱するのを抑制する車線逸脱抑制処理を行なうようになっている。
【0009】
したがって、本走行路判別装置は、図1に示すように、走行車線に対する自車両の位置を認識するために、車両1の前方の道路状態を撮像する撮像手段としてのカメラ2と、カメラ2からの画像情報から画像情報を適宜処理して前方道路上の左右の白線位置を認識する画像情報処理手段3と、この画像情報処理手段3による白線位置画像情報から走行レーン(走行車線)の曲率ρを算出する曲率算出手段4Aとをそなえている。
【0010】
なお、この曲率ρと車速Vとにより横加速度Gを算出できるが、横加速度Gは、カーブ路におけるドライバの負担に関する判定パラメータに相当する。また、曲率算出手段4Aは、自車両に対する走行車線(走行レーン)の相対位置を推定する走行レーン推定手段4内の機能要素としてそなえられている。
まず、車両が走行するカーブの大きさの度合い、即ち、走行レーンの曲率ρの算出について説明する。
【0011】
画像情報処理手段3では、まず、図2に示すように、カメラ2からの原画像41を取り込み、この原画像41から道路白線を抽出して、抽出した道路白線の画像を、鉛直上方から見たような平面視画像42に変換する。
次に、白線12L,12Rの認識について図3を参照しながら説明する。なお、ここでは、走行レーン左端の路側線としての白線12Lの認識について説明するが、走行レーン右端の白線12Rを基準とする場合についても同様であるため、左端の白線12Lについては単に白線12と称することにする。
【0012】
次に、画像情報処理手段3では、図3(a)に示すように、車両1にそなえられたカメラ2により平地において車両前方の範囲(例えば5m〜30m)の白黒画像情報を取り込み、この画像情報から画面上で縦方向の画像を一部省略する。そして、この画面上で等間隔になるような複数の水平線11を設定する。
この白黒画像情報の取り込みは、微小な制御周期毎に更新されるようになっており、図3(b)に示すように、それぞれの水平線11上において前回の画面での白線位置の左右の所要の範囲(ここでは、左右50画素〔dot〕)を白線探査エリア(処理対象領域)10として設定する。また、初回の画面は、直線路における白線位置を前回の画面データとして利用する。
【0013】
そして、図3(c)に示すように、各水平線の明度をそれぞれ左から横方向に微分する。また、図中の符号14はガードレールである。
ところで、通常の路面は輝度が低く、輝度変化も小さい。これに対して、白線12は通常の路面に比して輝度が非常に高いので、このように道路の明度を微分すると、通常の路面から白線12への境界点で輝度変化がプラス、白線12から通常の路面への境界点で輝度変化がマイナスとなるような微分データが得られる。このような微分データの一例を図3(d)に示す。
【0014】
そして、各水平線11のデータそれぞれについて、微分値のピークが左からプラス,マイナスの順に並んで現れ、且つそれぞれのピークの間隔が白線12として妥当と思われる程度(プラスのピークからマイナスのピークまでの間隔が例えば30dot以内)に納まっている組み合わせを白線候補として抽出し、通常は、図3(e)に示すように、その中点Mを白線候補点15として保存する。
【0015】
そして、これらの白線候補点15のうち、画面中心に最も近いもののみを最終候補点として残す。
これは、例えば車両1が左側通行の場合、探索エリア10の中の右側が通常輝度変化の少ない道路面であり、この通常の道路面に最も近い白線候補点15が白線12と判断できる。したがって白線12よりもさらに左側に、ノイズの原因となる物体(例えばガードレール14等)が存在する場合であっても、カメラ2により撮像された画像情報から白線12を確実に認識することができる。
【0016】
そして、図3(f)に示すように、最後に各水平線データにおける白線候補点15の上下方向の連続性を画面の下方から順次検証していく。
まず、事前に前画面での白線12の上下端間の傾きを計算しておく。そして、最下点15Aを白線12とすると、一本だけ上の水平線11上の候補点15Bが、前回の白線12の傾き分±50dotの範囲内に入っているかを検証する。
【0017】
候補点15Bがこの範囲内に入っていればこれを白線とし、入っていないときは候補点15Bは却下されて、上述の傾きから補間計算した座標が白線位置としてみなされる。そして、この検出を各水平線について同様の作業を行なうことにより、連続した白線12を認識することができるのである。
このような白線認識の作業は、所要の周期で継続して行なわれ、その都度白線12の認識が更新されるようになっている。
【0018】
走行レーン右端の路側線としての白線12Rの認識についも、これと同様に行なわれる。
そして、走行レーン推定手段4では、このように各認識周期で認識された原画像41上の白線12L,12Rを平面視画像42に変換して、これらの白線12L,12R間の距離を走行レーンのレーン幅Lbとして算出するようになっている。なお、このような機能をレーン幅算出手段4Bという。
【0019】
また、走行レーン推定手段4に備えられる曲率算出手段4Aでは、図4に示すように、例えば車両前方の道路中心線LC上の点B(これをカーブ検出点とする)に対してサンプリング距離Lだけ後方の第1地点(点A)と、カーブ検出点(点B)に対してサンプリング距離Lだけ前方の第2地点(点C)とを与えて、点Aから点Bに至る第1のベクトルABと、点Bから点Cに至る第2のベクトルBCとのなす角度θを点Bにおける曲率指標(曲率特性)として算出するようになっている。
【0020】
そして、これらのサンプリング距離Lと曲率指標θとから走行レーンの曲率(道路曲率)ρを次式により算出するようになっている。
ρ=2sin(θ/2)/L ・・・・・・・・・・・・(1)
つまり、この曲率指標θの値は、点Bにおけるカーブの屈曲度を表す指標であり、曲率指標θが大きい程、点Bにおけるカーブの曲率ρが大きく、カーブが急であることを示している。
【0021】
さらに、本走行路判別装置は、図1に示すように、車両が走行する走行路の状態が高速道路又は高速道路相当の道路(例えば自動車専用道路等)であるかを判別する走行路判別手段5を備えている。
本実施形態では、走行路判別手段5は、車両の走行状態及び車両が走行する走行路の状態に基づいて、自車両が走行中の走行レーンが単調な状態(走行路単調状態)であるかの観点から道路種類の判別を行なうものとして構成され、具体的には、上述のように曲率算出手段4Aにより算出された走行レーンのレーン曲率ρ及びレーン幅算出手段4Bにより算出された走行レーンのレーン幅Lbから、自車両が走行中の道路の種類を判別するようになっている。つまり、曲率算出手段4A及びレーン幅算出手段4Bは、走行路の状態を検出する状態検出手段9として機能する。
【0022】
また、これらの曲率算出手段4A及びレーン幅算出手段4Bからの情報に基づいて走行路が高速道路に相当する状態であるか否かを判定する状態判定手段7と、この状態判定手段7の判定結果に基づいて、高速道路に相当する旨の判定がされた場合、この継続時間に相当するパラメータ値を積算する積算手段8とが備えられており、走行路判別手段5では、積算手段8の積算結果に基づいて判定を行なうようになっている。
【0023】
本走行路判別装置による走行路判別処理は、図5のフローチャートに示す手順で行なわれる。
つまり、まずステップS10で、状態判定手段7が、走行レーンのレーン曲率ρ(絶対値)がレーン曲率判定値(レーン曲率しきい値)Tρよりも小さいか否かを判定し、さらに走行レーンのレーン幅L(絶対値)がレーン幅判定値(レーン幅しきい値)TLbよりも大きいか否かを判定する。なお、レーン曲率判定値Tρは、例えば約250Rに相当する値として設定される。また、レーン幅判定値TLbは、例えば約3.5mもしくは約3.25m程度の幅に相当する値として設定される。
【0024】
この判定の結果、レーン曲率ρがレーン曲率判定値Tρよりも小さい(ρ<Tρ)と判定し、かつ、走行レーンのレーン幅Lbがレーン幅判定値TLbよりも大きい(Lb>TLb)と判定した場合は、走行路単調状態であり、自車両が走行中の道路が高速道路又は高速道路相当の道路である可能性があると判断して、このような状態で車両が所定距離よりも長い距離走行したかを判定すべく、ステップS20,S30の処理を行なう。なお、車両が所定距離よりも長い距離走行したかの判定は、上述のような状態が所定時間継続したかの判定と考えることもできる。
【0025】
ここで、車両が所定距離よりも長い距離走行したかを判定しているのは、高速道路又は高速道路相当の道路であるとの道路判別をより確実に行なえるようにするためである。
まず、ステップS20で、上述のような走行路単調状態で走行した距離に相当する値(これを高速レベルSという)を算出する。
【0026】
ここでは、前回の演算周期における高速レベルS0に所定値を加算することによって、今回の演算周期における高速レベルS1を算出する。つまり、上述のような状態での走行が解除されない限り、演算周期毎に積算手段8により高速レベルの値(高速判定の継続時間に対応するパラメータ)を積算することで、今回の演算周期における高速レベルS1を算出する。
【0027】
これは,車速Vに依存する係数をK1とし、電子制御ユニットの演算周期に相当するサイクル周期(例えば20msec)をdTとして、次式により表される。
今回の高速レベルS1=前回の高速レベルS0+K1×dT
ここで、車速Vに依存する係数K1は、車両の走行速度が高速であるほど大きくなるように設定している。なお、係数K1とサイクル周期dTとを乗算した値は距離に相当する値となる。
【0028】
ここでは、車速Vに依存する係数K1は、次式により算出している。
K1=K1′×V
このK1′は、例えば図6に示すように車速Vに対して段階的に変化するように設定している。つまり、図6に示すように、車速約60km(一般道での一般的な走行速度)で1となり、車速約70kmで2となり、車速約80km(高速道路等での一般的な走行速度)で5となるように設定している。これにより、車両が高速で走行している場合には高速道路又は高速道路相当の道路である可能性が高いため、より早く高速道路又は高速道路相当の道路であるとの判定を行なうようにしている。なお、この係数K1を算出するための係数K1′の設定は、これに限られるものではない。
【0029】
次に、ステップS30で、走行路判別手段5が、ステップS20で算出された高速レベルS1が高速レベル判定値(高速レベルしきい値)Tsよりも大きいか否かを判定する。なお、例えば約1000m程度の距離に相当する値として設定される。
この判定の結果、高速レベルS1が高速レベル判定値Tsよりも大きい(S1>Ts)と判定した場合には、上述の走行路単調状態が高速道路又は高速道路相当の道路であると考えられる程度(例えば約1000m程度)続いたことになるため、ステップS40へ進み、自車両が走行中の道路は高速道路又は高速道路相当の道路であると判別して、リターンする。
【0030】
一方、高速レベルS1が高速レベル判定値Ts以下(S1≦Ts)と判定した場合には、高速道路又は高速道路相当の道路であると判別できる程度に走行路単調状態が続いていないため、ステップS50へ進み、自車両が走行中の道路は高速道路又は高速道路相当の道路以外の道路(例えば一般道)であると判別して、リターンする。
【0031】
ところで、ステップS10で、状態判定手段7が、レーン曲率ρがレーン曲率判定値Tρ以上(ρ≧Tρ)であると判定するか、又は、走行レーンのレーン幅Lbがレーン幅判定値TLb以下(Lb≦TLb)であると判定するかした場合は、自車両が走行中の走行レーンが単調な状態(走行路単調状態)でなく、自車両が走行中の道路が高速道路又は高速道路相当の道路である可能性はないと判断して、ステップS60へ進み、走行路判別手段5が、それまでに積算された高速レベルSの積算値をクリアして(高速レベルS=0)、ステップS50へ進み、自車両が走行中の道路は高速道路又は高速道路相当の道路であると判別して、リターンする。
【0032】
なお、ここでは、高速レベルSの積算値をクリアして0としているが、必ずしも0にする必要はなく、例えば0近傍の値に設定することで、実質的にクリアするようにしても良い。
ところで、本実施形態では、この走行路判別手段5による道路判別結果に応じて、車両が車線を逸脱する危険があるかの判定に用いる判定値を変更し、この判定値を用いて車線逸脱危険状態になると判定した場合に警報手段25から警報音を発して、聴覚によりドライバに注意を喚起するように警報手段25を制御する制御手段(コントローラ)6をそなえている。また、例えばインパネ(インストルメントパネル)内には、作動スイッチ23がオンの場合、又は、車両が車線から逸脱するおそれがある場合に、これを表示する作動表示部24が設けられている。
【0033】
なお、画像情報処理手段3,走行レーン推定手段4,曲率算出手段4A,レーン幅算出手段4B,状態判定手段7,積算手段8,走行路判別手段5,コントローラ6は、CPU,入出力インタフェース,ROM,RAM等をそなえてなる電子制御ユニット(ECU)19として構成される。
したがって、本実施形態の走行路判別装置によれば、車両が走行する走行路の状態の少なくとも一方に基づいて高速道路又は高速道路相当の道路であるか否かを判定し、高速道路又は高速道路相当の道路であると判定した場合に、高速レベルに所定のパラメータの積算を行ない、高速道路又は高速道路相当の道路と判定しない場合は積算値を実質的にクリアするようにして、積算値が所定値を超えたら車両が走行する走行路が高速道路又は高速道路相当の道路であると判別するようになっているため、GPSコンピュータや地図データ等の特別な装備がないとしても、自車両が走行中の道路が高速道路又は高速道路相当の道路であるかを、簡易に、かつ、精度良く判別できるという利点がある。
【0034】
次に、第2実施形態について、図7,図8を参照しながら説明する。
本実施形態は、上述の第1実施形態のものと、走行路判別手段の構成が異なる。つまり、上述の第1実施形態では、走行路判別手段が自車両が走行中の走行レーンが単調な状態(走行路単調状態)であるかにより道路種類の判別を行なうようにしているが、本実施形態では、これに代えて、走行路判別手段が車両の運動状態が単調な状態(車両運動単調状態)であるかにより道路種類の判別を行なうものとして構成されている点が異なる。なお、その他の構成,作用等については上述の第1実施形態のものと同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0035】
このため、本実施形態にかかる走行路判別手段5Aには、上述の第1実施形態のものと異なり、図7に示すように、状態検出手段9Aとしてのヨーレートセンサ20,前後加速度センサ(前後Gセンサ)21及び車速センサ22からの各検出情報が入力されるようになっており、これらの各検出状態に基づいて、自車両が走行中の道路の種類を判別するようになっている。
【0036】
ここでは、状態検出手段9Aは、車速センサ22により検出される車速Vと、ヨーレートセンサ20により検出されるヨーレート(回転角速度)とから、旋回曲率ρ1を算出(推定)する機能(旋回曲率算出手段9a)を備えている。
なお、前後Gセンサ21により検出される前後加速度(前後G)を用いているが、車速センサ22で検出される車速を微分することで、前後Gを算出(推定)するようにしても良い。また、ヨーレートセンサ20の代わりに、横Gセンサやハンドル角(操舵角)センサを設け、これらのセンサからの検出情報に基づいて旋回曲率ρ1を算出する構成としても良い。
【0037】
本走行路判別装置による走行路判別処理は、図8のフローチャートに示す手順で行なわれる。
つまり、まずステップS10で、状態判定手段7Aにより、旋回曲率ρ1(絶対値)が旋回曲率判定値(旋回曲率しきい値)Tρ1よりも小さいか否かを判定し、また、前後加速度A(絶対値)が前後加速度判定値(前後加速度しきい値)TAよりも小さいか否かを判定し、さらに、車速Vが車速判定値(車速しきい値)TVよりも大きいか否かを判定する。
【0038】
ここで、旋回曲率判定値Tρ1は、例えば約250Rに相当する値として設定される。また、前後加速度判定値TAは、例えば約0.15Gに相当する値として設定される。さらに、車速判定値TVは、例えば約60km/hに相当する値として設定される。
この判定の結果、旋回曲率ρ1が旋回曲率判定値Tρ1よりも小さい(ρ1<Tρ1)と判定し、かつ、前後加速度Aが前後加速度判定値TAよりも小さい(A<TA)と判定し、かつ、車速Vが車速判定値TVよりも大きい(V>TV)と判定した場合は、車両運動単調状態であり、自車両が走行中の道路が高速道路又は高速道路相当の道路である可能性があると判断して、このような状態で車両が所定距離よりも長い距離走行したかを判定すべく、ステップS20,S30の処理を行なう。ここで、車両が所定距離よりも長い距離走行したかを判定しているのは、高速道路又は高速道路相当の道路であるとの道路判別をより確実に行なえるようにするためである。なお、積算手段8Aや走行路判定手段5Aにより行なわれるステップS20〜ステップS60の処理は、上述の第1実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0039】
なお、旋回曲率算出手段(状態検出手段)9a(9A),状態判定手段7A,積算手段8A,走行路判別手段5A,コントローラ6Aは、CPU,入出力インタフェース,ROM,RAM等をそなえてなる電子制御ユニット(ECU)19として構成される。
したがって、本実施形態にかかる走行路判別装置によれば、車両の運動状態(走行状態)に基づいて高速道路又は高速道路相当の道路であるか否かを判定し、高速道路又は高速道路相当の道路であると判定した場合に、高速レベルに所定のパラメータの積算を行ない、高速道路又は高速道路相当の道路と判定しない場合は積算値を実質的にクリアするようにして、積算値が所定値を超えたら車両が走行する走行路が高速道路又は高速道路相当の道路であると判別するようになっているため、GPSコンピュータや地図データ等の特別な装備がなかったとしても、自車両が走行中の道路が高速道路又は高速道路相当の道路であるかを、簡易に、かつ、精度良く判別できるという利点がある。
【0040】
なお、上述の各実施形態では、走行路判別をそれぞれ独立に行なっているが、これらの各実施形態の走行路判別を両方行なって、両方の判別結果が一致した場合にのみその判別結果を用いるようにしても良いし、いずれか一方の判別結果を選択して用いるようにしても良い。
また、上述の各実施形態では、車速Vに依存する係数K1を同一のものを用いて高速レベルの積算を行なうようにしているが、上述の各実施形態毎に異なる係数を用いるようにしても良い。
【0041】
また、上述の各実施形態では、走行位置検知手段がカメラ2により撮像される画像から車両の走行位置を検知するようにしているが、これに限られるものではなく、例えば磁気ネイル及び磁気センサ等により車両の走行位置を検知したり、D−GPSナビゲーションを用いて車両の車線に対する相対位置を検出する構成としても良い。
【0042】
また、上述の各実施形態にかかる走行路判別装置に作動スイッチを設け、ドライバの好みに応じて本装置を作動させたり、作動させなかったりできるような構成にしても良い。
また、上述の各実施形態では、走行路判別装置によって判別された道路の種類を用いて車線逸脱判定を行なうようにしているが、上述の各実施形態にかかる走行路判別装置による判別結果の用途はこれに限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で広く他の用途に用いることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の走行路判別装置によれば、自車両が走行中の道路が高速道路又は高速道路相当の道路であるかを、簡易に、かつ、精度良く判別できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての走行路判別装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる走行レーン認識のための画像処理を説明する図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる走行レーン認識を(a)〜(f)の順で説明する模式図である。
【図4】走行レーンの曲率の算出について説明するための説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態としての走行路判別装置による走行路判別処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態としての走行路判別装置の走行路判別に用いられる係数を説明するための図である。
【図7】本発明の第2実施形態としての走行路判別装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図8】本発明の第2実施形態としての走行路判別装置による走行路判別処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 車両
2 カメラ
3 画像情報処理手段
4 走行レーン推定手段
4A 曲率算出手段(状態検出手段)
4B レーン幅算出手段(状態検出手段)
5,5A 走行路判別手段
6,6A 制御手段(コントローラ)
7 状態判定手段
8 積算手段
9,9A 状態検出手段
9a 旋回曲率算出手段(状態検出手段)
20 ヨーレートセンサ(状態検出手段)
21 前後Gセンサ(前後加速度センサ,状態検出手段)
22 車速センサ(状態検出手段)
23 作動スイッチ
24 作動表示部
25 警報手段
Claims (2)
- 走行レーンの曲率を算出する曲率算出手段と、
走行レーンの幅を算出するレーン幅算出手段と、
前記曲率算出手段により算出されたレーン曲率がレーン曲率判定値よりも小さいか否かを判定するとともに、前記レーン幅算出手段により算出されたレーン幅がレーン幅判定値よりも大きいか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段がレーン曲率がレーン曲率判定値よりも小さいと判定し、かつ、レーン幅がレーン幅判定値よりも大きいと判定した場合には、この判定が継続される間この継続時間に対応するパラメータの積算を行なう積算手段と、
前記積算手段による積算値が所定値を超えたら前記車両が走行する走行路が高速道路又は高速道路相当の道路であると判別する走行路判別手段とを備えることを特徴とする、走行路判別装置。 - 旋回曲率を算出する旋回曲率算出手段と、
前後加速度を検出する前後加速度センサと、
車速を検出する車速センサと、
旋回曲率が旋回曲率判定値よりも小さいか否かを判定し、前後加速度が前後加速度判定値よりも小さいか否かを判定し、さらに、車速が車速判定値よりも大きいか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が旋回曲率が旋回曲率判定値よりも小さく、かつ、前後加速度が前後加速度判定値よりも小さく、かつ、車速が車速判定値よりも大きいと判定した場合には、この判定が継続される間この継続時間に対応するパラメータの積算を行なう積算手段と、
前記積算手段による積算値が所定値を超えたら前記車両が走行する走行路が高速道路又は高速道路相当の道路であると判別する走行路判別手段とを備えることを特徴とする、走行路判別装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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