以下、図1~図8を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る車両走行制御装置は、運転支援機能あるいは自動運転機能を有する車両に適用することができる。以下では、自動運転機能を有する車両(自動運転車両)に、車両走行制御装置を適用する例を説明する。なお、本実施形態に係る車両走行制御装置が適用される車両を、他車両と区別して自車両と呼ぶことがある。
図1は、自車両10の走行シーンの一例を概略的に示す道路の平面図である。図1では、互いに平行に延在する左右一対の区画線DLによって規定される車線LNに沿って自車両10が走行する例、すなわち自車両10がレーンキープ走行する例が示される。区画線DLは、複数の車線LNの境界線、歩道や自転車道と車線LNとの境界線、対面通行の中央線等を含む。
自車両10は、左右一対の前輪FWと左右一対の後輪RWとを有する四輪車両であり、走行駆動力を発生する走行駆動源10aと、自車両10を制動する不図示の制動装置と、自車両10を転舵する不図示の転舵装置とを有する。走行駆動源10aは、内燃機関(エンジン)、走行モータ、あるいは内燃機関と走行モータの両方である。すなわち、自車両10はエンジン車両、電気自動車、またはハイブリッド車両である。
自車両10は、ドライバによる運転操作が不要な自動運転モードでの走行だけでなく、ドライバの運転操作による手動運転モードでの走行も可能である。例えばステアリングホイールを非操作(ハンズオフ)して自動運転モードで走行している状態において、ステアリングホイールを操作(ハンズオン)して手動運転モードで走行することができる。あるいは、所定の自動運転レベルでハンズオフにて走行している状態から、車両制御システムからの指令により自動運転レベルを1段階または2段階以上下げてハンズオンにて走行することができる。
図2は、本発明の実施形態に係る車両走行制御装置を有する車両制御システム100の全体構成を概略的に示すブロック図である。図2に示すように、車両制御システム100は、コントローラ50と、コントローラ50にそれぞれ通信可能に接続された外部センサ群1と、内部センサ群2と、入出力装置3と、測位ユニット4と、地図データベース5と、ナビゲーション装置6と、通信ユニット7と、アクチュエータACとを主に有する。
外部センサ群1は、自車両10の周辺情報である外部状況を検出する複数のセンサ(外部センサ)の総称である。例えば外部センサ群1には、自車両10の全方位の照射光に対する散乱光を測定して自車両10から周辺の障害物までの距離を測定するライダ、電磁波を照射し反射波を検出することで自車両10の周辺の他車両や障害物等を検出するレーダ、自車両10に搭載され、CCDやCMOS等の撮像素子を有して自車両の周辺(前方、後方および側方)を撮像するカメラなどが含まれる。
内部センサ群2は、自車両10の走行状態を検出する複数のセンサ(内部センサ)の総称である。例えば内部センサ群2には、自車両10の車速を検出する車速センサ、自車両10の前後方向の加速度および左右方向の加速度(横加速度)をそれぞれ検出する加速度センサ、走行駆動源1aの回転数を検出する回転数センサ、自車両10の重心の鉛直軸回りの回転角速度を検出するヨーレートセンサなどが含まれる。手動運転モードでのドライバの運転操作、例えばアクセルペダルの操作、ブレーキペダルの操作、ステアリングホイールの操作等を検出するセンサも内部センサ群2に含まれる。
入出力装置3は、ドライバから指令が入力されたり、ドライバに対し情報が出力されたりする装置の総称である。例えば入出力装置3には、操作部材の操作によりドライバが各種指令を入力する各種スイッチ、ドライバが音声で指令を入力するマイク、ドライバに表示画像を介して情報を提供するディスプレイ、ドライバに音声で情報を提供するスピーカなどが含まれる。
測位ユニット(GNSSユニット)4は、測位衛星から送信された測位用の信号を受信する測位センサを有する。測位衛星は、GPS衛星や準天頂衛星などの人工衛星である。測位ユニット4は、測位センサが受信した測位情報を利用して、自車両10の現在位置(緯度、経度、高度)を測定する。
地図データベース5は、ナビゲーション装置6に用いられる一般的な地図情報を記憶する装置であり、例えばハードディスクや半導体素子により構成される。地図情報には、道路の位置情報、道路形状(曲率など)の情報、交差点や分岐点の位置情報が含まれる。なお、地図データベース5に記憶される地図情報は、コントローラ50の記憶部52に記憶される高精度な地図情報とは異なる。
ナビゲーション装置6は、ドライバにより入力された目的地までの道路上の目標経路を探索するとともに、目標経路に沿った案内を行う装置である。目的地の入力および目標経路に沿った案内は、入出力装置3を介して行われる。目標経路は、測位ユニット4により測定された自車両10の現在位置と、地図データベース5に記憶された地図情報とに基づいて演算される。
通信ユニット7は、インターネット網や携帯電話網倒に代表される無線通信網を含むネットワークを介して図示しない各種サーバと通信し、地図情報および交通情報などを定期的に、あるいは任意のタイミングでサーバから取得する。ネットワークには、公衆無線通信網だけでなく、所定の管理地域ごとに設けられた閉鎖的な通信網、例えば無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等も含まれる。取得した地図情報は、地図データベース5や記憶部52に出力され、地図情報が更新される。
アクチュエータACは、自車両10の走行を制御するための走行用アクチュエータである。走行駆動源1aがエンジンである場合、アクチュエータACには、エンジンのスロットルバルブの開度(スロットル開度)を調整するスロットル用アクチュエータが含まれる。走行駆動源1aが走行モータである場合、走行モータがアクチュエータACに含まれる。自車両10の制動装置を作動するブレーキ用アクチュエータと転舵装置を駆動する転舵用アクチュエータもアクチュエータACに含まれる。
コントローラ50は、電子制御ユニット(ECU)により構成される。より具体的には、コントローラ50は、CPU(マイクロプロセッサ)等の演算部51と、ROM,RAM等の記憶部52と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。なお、エンジン制御用ECU、走行モータ制御用E
CU、制動装置用ECU等、機能の異なる複数のECUを別々に設けることができるが、図2では、便宜上、これらECUの集合としてコントローラ50が示される。
記憶部52には、高精度の詳細な道路地図情報が記憶される。道路地図情報には、道路の位置情報、道路形状(曲率など)の情報、道路の勾配の情報、交差点や分岐店の位置情報、車線数の情報、車線LNの幅員および車線毎の位置情報が含まれる。車線毎の位置情報とは、車線LNの中央位置や車線位置の境界線の情報、すなわち区画線DLの位置情報などである。さらに道路地図情報には、道路の各位置での路面プロファイル(路面性状)の情報、すなわち基準高さからの路面の凹凸の値、凹凸の変化(路面の勾配)を表す情報が含まれる。なお、記憶部52には、各種制御のプログラム、プログラムで用いられる閾値等の情報、測位ユニット4により検出されると位置と前輪FWおよび後輪RWの位置との位置関係を表す情報等も記憶される。
記憶部52に記憶される道路地図情報のうち、路面プロファイルの情報は、路面プロファイルが生成される度に更新され、他の道路地図情報は、所定周期で、あるいは任意のタイミングで更新される。路面プロファイルは、例えば車両制御システム100と通信可能な図示しないサーバ装置に設けられた路面プロファイル生成装置により生成される。
路面プロファイル生成装置は、例えば路面性状の測定用の専用車両を走行させることにより得られたデータから、路面プロファイルを生成する。具体的には、レーザプロファイラを搭載した専用車両を走行させ、そのときの測定データを、専用車両の位置データとともに取得することで路面プロファイルを生成する。なお、各種車両に設けられたセンサのうち、路面の凹凸と相関関係を有するセンサ(例えば横加速度を検出する横加速度センサ)の値を取得し、このセンサの値を各種車両から収集して路面プロファイルを生成することもできる。
演算部51は、機能的構成として、自車位置認識部53と、外界認識部54と、行動計画生成部55と、走行制御部56とを有する。
自車位置認識部53は、測位ユニット4で得られた自車両10の位置情報および地図データベース5の地図情報に基づいて、地図上の自車両10の位置(自車位置)を認識する。記憶部52に記憶された地図情報(建物の形状や路面プロファイルなどの情報)と、外部センサ群1が検出した自車両10の周辺情報とを用いて自車位置を認識してもよく、これにより自車位置を高精度に認識することができる。なお、道路上や道路脇の外部に設置されたセンサで自車位置を測定可能であるとき、そのセンサと通信ユニット7を介して通信することにより、自車位置を認識することもできる。
外界認識部54は、ライダ、レーダ、カメラ等の外部センサ群1からの信号に基づいて自車両10の周囲の外部状況を認識する。例えば自車両10の周辺を走行する周辺車両(前方車両や後方車両)の位置や速度や加速度、自車両10の周囲に停車または駐車している周辺車両の位置、および他の物体の位置や状態などを認識する。他の物体には、標識、信号機、道路の区画線や停止線、建物、ガードレール、電柱、看板、歩行者、自転車等が含まれる。他の物体の状態には、信号機の色(赤、青、黄)、歩行者や自転車の移動速度や向きなどが含まれる。
行動計画生成部55は、例えばナビゲーション装置6で演算された目標経路と、自車位置認識部53で認識された自車位置と、外界認識部54で認識された外部状況とに基づいて、現時点から所定時間先までの自車両10の走行軌道(目標軌道)を生成する。目標経路上に目標軌道の候補となる複数の軌道が存在するときには、行動計画生成部55は、その中から法令を順守し、かつ効率よく安全に走行する等の基準を満たす最適な軌道を選択し、選択した軌道を目標軌道とする。そして、行動計画生成部55は、生成した目標軌道
に応じた行動計画を生成する。行動計画生成部55は、前方車両を追い越すための追い越し走行、走行車線を変更する車線変更走行、走行車線を逸脱しないように車線を維持するレーンキープ走行、減速走行または加速走行等に対応した種々の行動計画を生成する。行動計画生成部55は、目標軌道を生成する際に、まず走行態様を決定し、走行態様に基づいて目標軌道を生成する。
走行制御部56は、自動運転モードにおいて、行動計画生成部55で生成された目標軌道に沿って自車両10が走行するように各アクチュエータACを制御する。より具体的には、走行制御部56は、自動運転モードにおいて道路勾配などにより定まる走行抵抗を考慮して、行動計画生成部55で算出された単位時間毎の目標加速度を得るための要求駆動力を算出する。そして、例えば内部センサ群2により検出された実加速度が目標加速度となるようにアクチュエータACをフィードバック制御する。すなわち、自車両10が目標車速および目標加速度で走行するようにアクチュエータACを制御する。なお、手動運転モードでは、走行制御部56は、内部センサ群2により取得されたドライバからの走行指令(ステアリング操作等)に応じて各アクチュエータACを制御する。
このような車両制御システム100により自車両10を自動運転モードで走行、例えばレーンキープ走行する場合、コントローラ50は、車載カメラにより撮像された画像などに基づいて、自車両10の進行方向における路面上の区画線DLを認識し、区画線DLに沿って自車両10が走行するようにアクチュエータACを制御する。したがって、自動運転を良好に行うためには、車載カメラ等からの信号により車両制御システム100(コントローラ50)が区画線DLを精度よく認識する必要がある。
しかし、走行中の路面に凹凸やうねりがあると、自車両10がピッチ運動やロール運動して車両姿勢が変化し、車載カメラ等からの信号に基づく区画線DLの認識精度が低下するおそれがある。区画線DLの認識精度が低下すると、車両制御システム100により自動運転レベルが自動的に下げられる。その結果、ドライバがステアリングホイールを操作して運転(例えば手動運転モードで運転)することが必要となり、自車両10が自動運転で継続して走行することが困難となる。そこで、本実施形態では、車載カメラ等からの信号に基づく区画線DLの認識精度が低下した場合であっても車両走行制御を良好に行うことができるよう、以下のように走行制御装置を構成する。区画線DLの認識精度の低下は、路面の段差、勾配およびうねり等の所定の路面形状において、および、トンネルの出入口、カーブ路および分岐路等の所定の道路構造において、生じる。以下では、特に、路面のうねりによって認識精度が低下する場合について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る車両走行制御装置101の要部構成を示すブロック図である。この車両走行制御装置101は、主に自動運転モードにおける自車両10の走行動作を制御するものであり、図2の車両制御システム100の一部を構成する。図3に示すように、車両走行制御装置101は、コントローラ50と、測位ユニット4と、カメラ11と、IMU21と、車速センサ22と、ディスプレイ31と、アクチュエータACとを有する。
カメラ11は、CCDやCMOS等の撮像素子(イメージセンサ)を有する単眼カメラであり、図2の外部センサ群1の一部を構成する。カメラ11は、例えば自車両10の前部の所定位置に取り付けられ、自車両10の前方空間を連続的に撮像し、対象物の画像(カメラ画像)を取得する。対象物には、車両斜め前方の左右一対の区画線DLが含まれる。カメラ画像上の対象物の位置と対象物の実際の位置(カメラ11を基準とした相対位置)との間には所定の相関間関係がある。この相関関係は予め記憶部52に記憶されており、この相関関係を用いて、カメラ画像から対象物の実位置(カメラ11を基準とした相対位置)を検出できる。なお、単眼カメラに代えてステレオカメラをカメラ11として用い、ステレオカメラにより対象物の実位置を検出してもよい。カメラ11が取得したカメラ画像は、所定時間間隔でコントローラ50に送信される。
IMU(Internal Measurement Unit)21は、自車両10の運動状態を表す物理量を
検出する装置、より具体的には直交3軸廻りの角度または角速度と加速度とを検出する慣性計測装置であり、図2の内部センサ群2の一部を構成する。IMU21により、自車両10の前後方向の揺動角(ピッチ角)と左右方向の揺動角(ロール角)とをそれぞれ検出することができる。IMU21の検出値は、所定時間間隔でコントローラ50に送信される。車速センサ22も、図2の内部センサ群2の一部を構成し、車速センサ22により検出された自車両10の車速データは、所定時間間隔でコントローラ50に送信される。
ディスプレイ31は、例えば車室内のインストルメントパネルに設けられる。ディスプレイ31は、図2の入出力装置3の一部を構成する。ディスプレイ31には、例えばドライバに対しステアリングホイールの操作(ハンズオン)を促す情報や、手動運転モードへの切換を予告および報知する情報が表示される。
コントローラ50は、機能的構成として、情報取得部511と、判定部512と、設定部513と、アクチュエータ制御部514と、報知制御部515と、記憶部52とを有する。情報取得部511は、例えば図2の自車位置認識部53により構成され、判定部512は、図2の外界認識部54により構成され、設定部513およびアクチュエータ制御部514は、図2の行動計画生成部55および走行制御部56により構成される。
情報取得部511は、自車両10の現在位置の情報を取得する位置情報取得部511aと、この現在位置に対応する自車両10の進行方向における路面プロファイルの情報、すなわち路面の勾配情報を取得する地図情報取得部511bとを有する。位置情報取得部511aは、測位ユニット4からの信号に基づいて自車両10の現在位置情報を取得する。地図情報取得部511bは、記憶部52に記憶された道路地図情報のうち、自車両10の現在位置から進行方向所定距離(例えば200m)内の路面プロファイルの情報を取得する。
判定部512は、自車両10の進行方向における路面のうねりの程度、すなわち路面勾配の変化の程度が所定程度以上であるか否かを判定する。この判定は、所定路面条件が成立しているか否かの判定である。所定路面条件の成否は、カメラ11により撮像された自車両10の前方の区画線DLの画像と、IMU21により検出された自車両10のピッチ角およびロール角と、地図情報取得部511bにより取得された路面の勾配情報とに基づいて判定される。
図4は、判定部512における処理の一例を説明するブロック図である。判定部512では、第1うねり条件、第2うねり条件および第3うねり条件の成否を併せて判定する。第1うねり条件の成否は、IMU21の検出値に基づいて判定され、第2うねり条件の成否は、地図情報取得部511bにより取得された路面勾配情報に基づいて判定され、第3うねり条件の成否は、カメラ11からの画像に基づいて判定される。
まず、第1うねり条件について説明する。図4に示すように、判定回路DT11は、自車両10の所定のピッチ運動が検出されたか否かを判定する。より具体的には、判定回路DT11は、まず、IMU2により検出された所定時間毎のピッチ角のデータの変化率(ピッチレートθa)を算出する。例えば、今回検出したデータとその直前に検出したデータとの差から、あるいは連続する3点以上のピッチ角のデータを用いてピッチレートθaを算出する。ピッチレートθaが0より大きいとき(θa>0)、自車両10は前部が下方を向いた前傾姿勢であり(ヘッドダウン)、ピッチレートθaが0より小さいとき(θa<0)、自車両10は前部が上方を向いた後傾姿勢である(ヘッドアップ)。
さらに判定回路DT11は、ピッチレートθaがプラスの所定値θa1以上となった後、所定時間内にピッチレートθaがマイナスの所定値θa2以下になったか否かを判定する。すなわち、自車両10がヘッドダウン後、所定時間内にヘッドアップしたか否か、換言するとピッチ条件が成立したか否かを判定する。
判定回路DT12は、自車両10の所定のロール運動が検出されたか否かを判定する。より具体的には、判定回路DT12は、まず、IMU2により検出された所定時間毎のロール角のデータの変化率(ロールレートθb)を算出する。例えば、今回検出したデータとその直前に検出したデータとの差から、あるいは連続する3点以上のロール角のデータを用いてロールレートθbを算出する。ロールレートθbが0より大きいとき(θb>0)、自車両10は右側に傾き(右ロール)、ロールレートθbが0より小さいとき(θb<0)、自車両10は左側に傾く(左ロール)。
さらに判定回路DT12は、ロールレートθbがプラスの所定値θb1以上となった後、所定時間内にマイナスの所定値θb2以下になったか否かを判定する。すなわち、自車両10が右ロール後に所定時間内に左ロールしたか否かを判定する。さらに、ロールレートθbが所定値θb2以下になった後、所定時間内に所定値θ1以上になったか否か、すなわち自車両10が左ロール後に所定時間内に右ロールしたか否かを判定する。これはロール条件が成立したか否かの判定である。
アンド回路DT13は、ピッチ条件およびロール条件の双方が成立したか否かを判定する。より具体的には、自車両10がヘッドダウンしながら右ロールし、その後、ヘッドアップしながら左ロールしたか否か、または、自車両10がヘッドダウンしながら左ロールし、その後、ヘッドアップしながら右ロールしたか否かを判定する。この判定は、区画線DLが誤認識されやすい条件で自車両10が走行しているか否かの判定である。
すなわち、前方が下り坂であるときと上り坂であるときとでは、カメラ11による区画線DLの捉え方に差が生じる。また、自車両10が右ロールするときと左ロールするときとでも、カメラ11による区画線DLの捉え方に差が生じる。特に、ヘッドダウンと左右一方のロールとの組み合わせ後に、ヘッドアップと左右他方のロールとの組み合わせが生じた場合、カメラ画像により認識される区画線DLのばらつきが大きく、区画線DLを誤認識しやすい。この点を考慮して、アンド回路DT13は、ピッチ条件とロール条件の双方が所定のタイミングで成立したか否かを判定する。
アンド回路DT13でピッチ条件およびロール条件の双方が所定のタイミングで成立したと判定されると、フラグオン回路DT14は、判定された時点から所定時間(例えば1秒間)だけ第1フラグをオンする。第1フラグのオンは、第1うねり条件が成立したことを意味する。
次に、第2うねり条件について説明する。抽出回路DT21は、測位ユニット4からの信号(現在位置情報)に基づいて自車両10の現在位置を特定する。さらに、予め記憶部52に記憶された測位ユニット4と前輪FWおよび後輪RWとの位置関係を用いて、左右の前輪FWと左右の後輪RWの位置を特定する。そして、記憶部52に記憶された道路地図情報のうち、現在位置から所定距離L1(例えば200m)だけ前方の範囲内の路面プロファイルの情報の中から、前輪FWと後輪RWとがそれぞれ接地する路面の高低差のある箇所の情報、すなわち縦勾配のある箇所の情報、および右輪と左輪とがそれぞれ設置する路面の高低差のある箇所の情報、すなわち横勾配のある箇所の情報をそれぞれ抽出する。具体的には、自車両10から所定距離L1内の路面の勾配を移動平均により平滑化した後、ハイパス成分を抽出し、所定の勾配データ(例えば勾配の角度データ)を抽出する。
算出回路DT22は、抽出回路DT21で抽出された所定距離L1内の勾配データのうち、所定範囲L2(例えば50m)内の勾配データの最大値と最小値との差分Δαを算出する。この場合、所定距離L1内で所定範囲L2を例えば1mずつ前方にずらし、1mずらす度に最大値と最小値との差分Δαを算出する。この差分Δαの算出は、自車両10の前後輪が接地する縦勾配のデータ、すなわちピッチ運動に関するデータと、左右輪が接地する横勾配のデータ、すなわちロール運動に関するデータのそれぞれについて行う。
判定回路DT23は、算出回路DT22で算出された差分Δαが所定値Δα1以上であるか否かを判定する。この判定は、区画線DLが誤認識されやすい条件で自車両10が走行しているか否かの判定である。すなわち、差分Δαが大きいと、路面の勾配が大きく、カメラ画像により認識される区画線DLの認識精度が悪い。この点を考慮して、判定回路DT23は、Δα≧Δα1が成立するか否かを判定する。
判定回路DT23で差分Δαが所定値Δα1以上と判定されると、フラグオン回路DT24は、その判定された時点から自車両10が所定距離(例えば200m)走行するまで第2フラグをオンする。第2フラグのオンは、第2うねり条件が成立したことを意味する。
次に、第3うねり条件について説明する。算出回路DT31は、カメラ11から送信された所定時間毎の画像信号に基づいて、カメラ画像により認識される区画線DLの角度、すなわち自車両10の前方所定範囲内(例えば30m~100m)における区画線DLの角度を算出する。より詳しくは、現時点の所定時間T前(例えば1秒前)から現時点までの間に所定時間Δt間隔(例えば0.2秒間隔)で取得された前方所定範囲内の複数のカメラ画像に基づいて、各時点の区画線DLの角度を算出する。
図5A,5Bは、所定時間T内の異なる時点(第1時点、第2時点)で得られたカメラ画像により認識される左右の区画線DLの一例を示す図である。なお、図5Aは、各時点でのばらつきが大きい区画線DLの画像DL1の例であり、図5Bは、ばらつきが小さい区画線DLの画像DL2の例である。図5A,5Bには、第1時点の画像DL1,DL2の点データをそれぞれ接続する線DL1a,DL2aと、第2時点の画像DL1,DL2の点データをそれぞれ接続する線DL1b,DL2bとが示される。
図6は、第1時点の画像DL1の点データの拡大図である。図4の算出回路DT31は、区画線DLを示す直線DL1aのうち、図6に示すように隣り合う2点の点データを結ぶ線分の角度θ、例えば自車両10の前後方向の向きを示す直線に対する角度θ(θ1、θ2、θ3、・・・)を順次算出する。隣り合う2点ではなく、3点以上の点データを結ぶ線分に対し角度θを算出してもよい。さらに、算出回路DT31は、自車両10の前方所定範囲内における点データにより得られた角度θ(θ1、θ2、θ3、・・・)の平均値を第1時点の平均角度θavとして算出する。同様に、第2時点および所定時間T内の他の時点の平均角度θavを算出する。
図4の算出回路DT32は、各時点の区画線DLの平均角度θavのうち、最大の平均角度(最大角度θav1)と最小の平均角度(最小角度θav2)との差分Δθavを算出する。例えば、第1時点の区画線DLの画像により求められた平均角度θavが最大角度θav1であり、第2時点の区画線DLの画像により求められた平均角度θavが最小角度θav2であるとき、両者の差分Δθavを算出する。差分Δθavは、各時点の区画線DLの画像のばらつきが大きいほど大きい。例えば図5Aの例は、図5Bの例よりも差分Δθavが大きい。
判定回路DT33は、算出回路DT32で算出された差分Δθavが所定値Δθav1以上であるか否かを判定する。この判定は、区画線DLが誤認識されやすい条件で自車両10が走行しているか否かの判定である。すなわち、差分Δθavが大きいと、区画線DLの画像のばらつきが大きく、カメラ画像により認識される区画線DLの認識精度が悪い。この点を考慮して、判定回路DT33は、Δθav≧Δθav1が成立するか否かを判定する。
判定回路DT33で差分Δθavが所定値Δθav1以上と判定されると、フラグオン回路DT34は、その判定された時点から所定時間(例えば3秒間)だけ第3フラグをオンする。第3フラグのオンは、第3うねり条件が成立したことを意味する。
以上の第1うねり条件、第2うねり条件および第3条件の成否の判定に加え、判定部512は、車速条件とカーブ条件の成否を判定する。具体的には、判定回路DT41は、車速センサ22により検出された車速Vが所定値(例えば40km/h)V1以上であるか否か、すなわち車速条件が成立したか否かを判定する。判定回路DT51は、現在位置情報と道路地図情報とに基づいて自車両10の現在位置から進行方向前方の所定距離内の道路の曲率半径を把握し、その曲率半径が所定範囲(例えば半径300m~半径800m)内であるか否か、すなわちカーブ条件が成立したか否かを判定する。判定回路DT41,DT51は、所定時間毎に車速条件の成否とカーブ条件の成否を判定する。
アンド回路DT61は、第1フラグと第2フラグと第3フラグとが同時にオンしているか否かを判定する。すなわち、第1うねり条件と第2うねり条件と第3うねり条件とが同時に成立しているか否かを判定する。さらにアンド回路DT61は、車速条件とカーブ条件の双方が同時に成立しているか否かを判定する。アンド回路DT61は、第1うねり条件、第2うねり条件、第3うねり条件、車速条件およびカーブ条件の全てが成立と判定すると、路面勾配の変化の程度が所定程度以上である(所定路面条件が成立)と判定する。そして、カメラ画像を無効化するための無効化フラグを、その判定を行ってから所定時間(例えば2秒間)だけ出力する。一方、第1うねり条件、第2うねり条件、第3うねり条件、車速条件およびカーブ条件のいずれかが不成立のとき、所定路面条件が不成立と判定する。
設定部513は、判定部512による判定結果に応じて、カメラ画像により認識された区画線DLに対する信頼度の値を設定する。例えば、判定部512(アンド回路DT61)から無効化フラグが出力されると、設定部513は、カメラ画像により認識される区画線DLに対する信頼度を0に設定し、判定部512から無効化フラグが出力されない場合には、信頼度を0よりも大きい値に設定する。
図3のアクチュエータ制御部514は、設定部513により設定された信頼度に応じて区画線DLを認識する。具体的には、アクチュエータ制御部514は、設定部513によって設定される信頼度が0より大きい場合には、カメラ11により得られた画像に基づいて自車両10の前方の区画線DLを認識する。そして、認識された区画線DLの位置に基づいて目標経路を生成し、自車両10が目標経路に沿って自動運転で走行するようにアクチュエータACを制御する。一方、設定部513により設定された信頼度が0の場合には、アクチュエータ制御部514は、カメラ画像による区画線DLを無効化するとともに、自車両10の前方の区画線DLの位置を、自車両10の現在位置に対応する記憶部52に記憶された道路地図情報から特定する。そして、この区画線DLの位置に基づいて目標経路を生成し、自車両10が目標経路に沿って自動運転で走行するようにアクチュエータACを制御する。
設定部513は、カメラ画像の無効化フラグが出力されない場合に、さらにカメラ画像により認識される自車両10の前方の区画線DLの延びる角度と、道路地図情報により特定される自車両10の前方の区画線DLの延びる角度との差異(角度偏差)が所定値(例えば3°)以上であるか否かを判定する。すなわち区画線DLのアンマッチ判定を行う。そして、角度偏差が所定値以上であると判定すると、自動運転レベルを1段階または2段階以上、下げる。これにより例えば自動運転モードから手動運手モードに自動的に切り換わる。設定部513は、判定部512からカメラ画像の無効化フラグが出力されるときはアンマッチ判定を行わない。したがって、無効化フラグが出力されるとき、自動運転レベルが維持される。なお、区画線DLのアンマッチ判定と自動運転レベルの変更を、設定部513ではなくアクチュエータ制御部514が行ってもよい。
報知制御部515は、判定部512から無効化フラグが所定時間継続して出力されると、ディスプレイ31に制御信号を出力し、ハンズオンの要求を指令出力部としてのディスプレイ31に表示させる。ハンズオンの要求に代えて、手動運転モードへの切換または切換の予告を、ディスプレイ31に表示させるようにしてもよい。報知制御部515が車内のスピーカに制御信号を出力し、ハンズオンの要求や手動運転モードへの切換を、ドライバに対し音声で報知するようにしてもよい。すなわち、ディスプレイ31ではなくマイクを指令出力部として構成してもよい。
図7は、コントローラ50で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば自動運転モードが選択されると開始され、自動運転モードが継続される限り、所定周期で繰り返される。
まず、ステップS1で、測位ユニット4、カメラ11、IMU21および車速センサ22からの信号を読み込む。このとき、記憶部52に記憶された道路地図情報も併せて読み込む。次いで、ステップS2で、ステップS1で読み込まれた信号および情報に基づいて、自車両10の進行方向における路面のうねりの程度が所定程度以上であるか否かを判定する。この判定は、アンド回路DT61からカメラ画像の無効化フラグ(図4)が出力されているか否かの判定である。
ステップS2で否定されるとステップS3に進む。例えば図5Bに示すようなカメラ画像DL2が得られたとき、路面のうねりの程度は所定程度未満であり、この場合にはステップS3に進む。ステップS3では、カメラ画像に基づいて区画線DLを認識するとともに、認識された区画線DLを用いて目標経路を生成する。このとき、区画線LDのアンマッチ判定を併せて行い、アンマッチと判定されると自動運転レベルを下げる。
一方、ステップS2で肯定されるとステップS4に進む。例えば図5Aに示すようなカメラ画像DL1が得られたとき、路面のうねりの程度は所定程度以上であり、この場合にはカメラ画像により認識された区画線DLの信頼度が0であるとして、ステップS4に進む。ステップS4では、自車両10の現在位置に対応する道路地図情報に基づいて、自車両10の前方の区画線DLを特定するとともに、特定された区画線DLを用いて目標経路を生成する。このとき、区画線DLのアンマッチ判定を行わない。なお、ステップS4の処理は、ステップS2で肯定されてから所定時間(例えば2秒間)だけ行われる。
ステップS5では、ステップS3またはステップS4で生成された目標経路に沿って自車両10が走行するようにアクチュエータACに制御信号を出力し、処理を終了する。
以上の処理では、ステップS2で一旦肯定された後、再び否定されると、カメラ11により得られた区画線DLの位置情報を用いてアクチュエータACが制御される。但し、ステップS2で所定時間(例えば2秒)を超えて継続して肯定判定されると、ドライバに対するハンズオンの要求がディスプレイ31を介して出力される。これにより、カメラ画像を無効化した状態での長時間にわたる自動運転モードでの運転を防止することができ、自車両10を良好な態様で自動運転走行することができる。
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両走行制御装置101は、走行用のアクチュエータACを有する自車両10の走行動作を制御するものであり、自車両10に搭載され、自車両10の進行方向における区画線DLを撮像するカメラ11と、カメラ11により得られた区画線DLの位置情報とカメラ11により得られた区画線DLの位置情報に対する信頼度(無効化フラグの出力の有無)とに基づいて、アクチュエータACを制御するアクチュエータ制御部514と、自車両10の進行方向における路面のうねりの程度が所定程度以上であるか否か(所定路面条件が成立か否か)を判定する判定部512と、を備える(図3)。アクチュエータ制御部514は、判定部512によりうねりの程度が所定程度以上であると判定されると(無効化フラグが出力されると)、区画線DLのカメラ画像を無効化する(図4)。すなわち、カメラ画像により認識される区画線DLに対する信頼度を0に設定する。
路面のうねりの程度が所定程度以上の場合には、カメラ画像により認識される区画線DLの位置と実際の区画線DLの位置との間にずれが生じやすい。このため、カメラ画像に基づいてアクチュエータACを制御すると、自車両10のふらつき等が生じやすい。この点、本実施形態では、路面のうねりの程度が所定程度以上の場合にカメラ画像を無効化するため、自車両10のふらつき等を抑えて良好な自動運転が可能である。
(2)車両走行制御装置101は、自車両10の現在の位置情報を取得する位置情報取得部511aと、位置情報取得部511aにより取得された位置情報により特定される自車両10の現在位置に対応する自車両10の進行方向における路面のうねりの情報(勾配情報)を含む地図情報を取得する地図情報取得部511bとをさらに備える(図3)。地図情報取得部511bにより取得される地図情報には、自車両10の進行方向における区画線DLの位置情報が含まれる。アクチュエータ制御部514は、判定部512により路面のうねりの程度が所定程度以上であると判定されると、カメラ11により得られた区画線DLの位置情報を用いずに、地図情報取得部511bにより取得された区画線DLの位置情報に基づいてアクチュエータACを制御する。これにより、カメラ画像を無効化した場合であっても、自動運転モードから手動運転モードに切り換えることなく、自動運転を継続することができる。したがって、ドライバに対する運転操作の要求が最小限に抑えられ、ドライバにとって快適な自動運転を実現できる。
(3)車両走行制御装置101は、自車両10の運動状態を表す物理量を検出する装置としてIMU21をさらに備える(図3)。カメラ11は、自車両10の進行方向における区画線DLを連続的に撮像するように構成される。判定部512は、地図情報取得部511bにより取得された路面のうねりの情報と、IMU21により計測された物理量(ピッチ角、ロール角)と、カメラ11により所定時間T内に撮像された区画線DLの位置のばらつきの程度とに基づいて、自車両10の進行方向における路面のうねりの程度が所定程度以上であるか否かを判定する。このようにカメラ11により撮像された画像と、IMU21により検出された物理量と、地図情報取得部511bにより取得された情報とを用いることで、路面のうねりの程度が所定程度以上であるか否かを良好に判定することができる。
(4)アクチュエータ制御部514は、カメラ11により得られた区画線DLの位置情報を用いずにアクチュエータACを制御しているときに、判定部512によりうねりの程度が所定程度未満であると判定されると(無効化フラグのオン出力が停止すると)、カメラ11により得られた区画線DLの位置情報を用いてアクチュエータACを制御する。これにより、走行中の路面のうねりの程度の悪化によりカメラ画像が無効化された後、うねりの程度が緩和された場合に、再びカメラ画像に基づいて自車両10が走行制御されるようになるため、自動運転を良好な態様で継続して行うことができる。
(5)自車両10が自動運転で走行しているとき、判定部512によりうねりの程度が所定程度以上であると所定時間継続して判定されると、ディスプレイ31に制御信号を出力することで、ドライバに対し運転操作の要求指令を出力する報知制御部515をさらに備える(図3)。これにより、自動運転で走行中にハンズオンや手動運転への切換などの指令を、適切なタイミングでドライバに報知することができ、カメラ画像を無効化した状態での長時間にわたる自動運転モードでの運転を防止することができる。
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。上記実施形態では、判定部512が、第1うねり条件と第2うねり条件と第3うねり条件と車速条件とカーブ条件とが同時に成立しているか否かを判定し、これらの条件が同時に成立しているときに、自車両10の進行方向における路面のうねりの程度が所定程度以上であると判定して、カメラ画像の無効化フラグを出力するようにした。すなわち、所定路面条件が成立していると判定して、カメラ画像の信頼度を下げるようにしたが、判定部の構成はこれに限らない。例えば、車速条件とカーブ条件とを省き、第1うねり条件と第2うねり条件と第3うねり条件とが同時に成立するときに、路面のうねりの程度が所定程度以上であると判定するようにしてもよい。
第1うねり条件のみに基づいて、すなわち地図情報取得部511bにより取得されたうねりの情報に基づいて、うねりの程度を判定するようにしてもよい。第2うねり条件のみに基づいて、すなわち第2センサ部としてのIMU21により計測された車両の運動状態を表す物理量に基づいて、うねりの程度を判定するようにしてもよい。第3うねり条件のみに基づいて、すなわちセンサ部ないし第1センサ部としてのカメラ11により所定時間内に撮像された区画線の位置のばらつきの程度に基づいて、うねりの程度を判定するようにしてもよい。第1うねり条件と第2うねり条件とに基づいて、あるいは第2うねり条件と第3うねり条件とに基づいて、あるいは第1うねり条件と第3うねり条件とに基づいて、路面のうねりの程度を判定するようにしてもよい。
判定部512が、カメラ画像の信頼性に影響を及ぼす路面形状の他のパラメータに基づいて、所定路面条件の成否を判定するようにしてもよい。例えば、路面の段差の程度が所定程度以上であるか否かにより、所定路面条件の成否を判定するようにしてもよい。路面のうねりを路面の勾配の変化とみなし、勾配の程度が所定程度以上であるか否かにより、所定路面条件の成否を判定するようにしてもよい。すなわち、車両10の進行方向におけるカメラ等のセンサ部により撮像または計測される区画線を含む路面の段差、勾配、およびうねりのいずれかの程度が所定程度以上である所定路面条件が成立するか否かを、判定部が判定するようにしてもよい。
車両10がうねりや段差のある路面を走行するときだけでなく、トンネルを有するトンネル道路(特にトンネルの出入り口)、カーブ路、および分岐路を走行するときにも、カメラ画像による検出される車線の位置と実際の車線の位置とにずれが生じやすい。すなわち、所定構造の道路を走行するときにも、車線位置にずれが生じやすい。図8は、分岐路におけるカメラ画像により認識される左右の区画線DL3の一例を示す図である。なお、図8には、走行車線における実際の区画線が実線で示される。図8に示すように、分岐路があると、区画線が屈曲するため、カメラ画像により認識される区画線DL3(二点鎖線)と、走行車線の区画線(実線)とが異なる。その結果、カメラ画像により認識された車線中央を通る基準線DL3aと、実際の走行車線の基準線DLaとの間にずれが生じるおそれがある。
この点を考慮し、設定部513が、車両10が走行しているまたは走行する予定である道路の道路構造に基づいて、区画線DLの位置情報に対する信頼度を設定するようにしてもよい。例えば、車両10が走行する道路がトンネルを有するトンネル道路(トンネルの出入口)、カーブ路、および分岐路であるときに所定道路条件が成立するものとして、所定道路条件が成立すると、カメラ画像による区画線DLの位置情報に対する信頼度を下げる(例えば0にする)ようにしてもよい。
この場合、判定部512は、測位ユニット4により得られる自車位置と地図情報とに基づいて、あるいはカメラ画像に基づいて、車両10の進行方向前方の道路が所定道路条件を満たすか否かを判定すればよい。すなわち、車両10の進行方向におけるカメラ等のセンサ部により撮像または計測される区画線を含む道路がトンネルを有するトンネル道路、カーブ路、および分岐路のいずれかである所定道路条件が成立するか否かを、判定部512が判定すればよい。この判定は、車両10が所定道路構造の道路を走行する前に行うことが好ましい。例えば、車両10が所定道路構造の道路(トンネルやカーブ)に進入する地点の所定距離だけ手前で、所定道路条件が成立するか否かの判定を行うようにすればよい。なお、車両10が所定道路構造の道路に進入した後、所定道路条件が成立するか否かの判定を行うようにしてもよい。
上記実施形態では、判定部512によりうねりの程度が所定程度以上であると判定されると、設定部513がカメラ画像を無効化し、これによりアクチュエータ制御部514が、カメラ画像による区画線DLの位置情報を用いずにアクチュエータACを制御するようにした。換言すると、設定部513が、カメラに11より得られた区画線DLの位置情報に対する信頼度を0に設定するようにしたが、判定部512により、上述した所定路面条件が成立または所定道路条件が成立と判定されると、設定部513が、区画線DLの位置情報に対する信頼度を下げるようにしてもよい。
上述したうねりの判定と同様の判定を、他の所定路面条件の成否について行うようにしてもよく、所定道路条件の成否について行うようにしてもよい。例えば、判定部512が、地図情報取得部511bにより取得された道路構造の情報に基づいて所定道路条件が成立する否かを判定するようにしてもよい。判定部512が、IMU21等の第2センサ部により計測された物理量に基づいて所定道路条件が成立するか否かを判定するようにしてもよい。判定部512が、センサ部ないし第1センサ部としてのカメラ11により所定時間内に撮像された区画線の位置のばらつきの程度に基づいて所定道路条件が成立するか否かを判定するようにしてもよい。
設定部513が、カメラ画像による区画線DLの位置情報と地図情報取得部511bにより取得された道路地図情報とを用いて信頼度を設定するようにしてもよい。この場合、路面のうねりの程度等に応じてカメラに11より得られた区画線DLの位置情報に対する信頼度を設定し、信頼度に応じて、カメラ画像の情報に含まれる区画線データと道路地図情報に含まれる区画線データの重み付けを変更すればよい。例えば信頼度が小さいほど、カメラ画像による区画線データの重み付けを小さく、あるいは、道路地図情報の区画線データの重み付けを大きくすればよい。そして、重み付け後の各データの平均値等を用いて区画線DLを特定すればよい。いずれにしろ、所定路面条件が成立または所定道路条件が成立すると判定されると、所定路面条件が不成立または所定道路条件が不成立と判定されるときよりも、信頼度を低い値に設定するのであれば、設定部の構成はいかなるものでもよい。
上記実施形態では、車載のカメラ11により自車両10の進行方向の区画線DLを撮像するようにしたが、車両に搭載された他のセンサ部により区画線DLを計測するようにしてもよい。したがって、アクチュエータ制御部は、カメラ以外のセンサ部により得られた区画線DLの位置情報と、センサ部により得られた区画線DLの位置情報に対する信頼度とに基づいて、走行用アクチュエータを制御するようにしてもよい。上記実施形態では、IMU21により自車両10の直交3軸廻りの回転運動を計測するようにしたが、他のセンサにより回転運動を計測するようにしてもよく、あるいは他のセンサにより、車両の運動状態を表す他の物理量を計測するようにしてもよく、第2センサ部の構成は上述したものに限らない。
上記実施形態では、アクチュエータ制御部514が、カメラ11により得られた区画線DLの位置情報に対する信頼度に応じてアクチュエータACを制御するようにしたが、信頼度を用いずにアクチュエータACを制御するようにしてもよい。すなわち、アクチュエータ制御部514が、判定部512により所定路面条件が成立しないと判定されると、カメラ11等のセンサ部により得られた区画線の位置情報に基づいて走行用アクチュエータを制御する一方、所定路面条件が成立すると判定されると、カメラ11等のセンサ部により得られた区画線の位置情報に基づく走行用アクチュエータの制御を停止するようにしてもよい。アクチュエータ制御部514が、判定部512により所定道路条件が成立しないと判定されると、カメラ11等のセンサ部により得られた区画線の位置情報に基づいて走行用アクチュエータを制御する一方、所定道路条件が成立すると判定されると、カメラ11等のセンサ部により得られた区画線の位置情報に基づく走行用アクチュエータの制御を停止するようにしてもよい。
上記実施形態では、自動運転機能を有する自動運転車両に車両走行制御装置101を適用したが、本発明は、自動運転車両以外の車両(例えば運転支援機能を有する車両)にも同様に適用することができる。
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。