JP3699821B2 - 自動車の制御装置および制御方法 - Google Patents

自動車の制御装置および制御方法

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機を装着した自動車において、走行する道路勾配をマイクロコンピュータ内蔵の電子制御装置による計算により推定し、この推定した勾配に対応して最適に自動車を制御する自動車の制御装置および制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路勾配を推定して自動車の自動変速機やエンジンの出力の制御を行うこの種のものとしては、特開平3−24362号公報に記載のように、車速やスロットル開度、その変化速度等から勾配の状況を判断し、勾配に応じた変速を行うようにしたものがある。また、特開平6−147304 号公報では、トルク推定をベースとした走行負荷推定,勾配推定を行い自動変速機を最適に制御することが開示されている。
【0003】
従来の勾配推定の基本原理は、特開平6−147304 号公報に開示されているように、自動車の駆動トルク(または駆動力)と走行抵抗のバランス式を用いて両者の差分を算出し、この差分が道路勾配抵抗であるとして、勾配を算出,推定するものである。ここで走行抵抗とは、転がり抵抗,空気抵抗,加速抵抗,勾配抵抗を総称したものであり、勾配抵抗以外は車速の関数として計算により算出が可能である。
【0004】
自動車の駆動トルクの算出方法としては、電子制御装置にあらかじめ記憶しておいたエンジンのトルク特性マップより、そのときのエンジンの運転状態に該当したポイントのエンジントルクを検索し、算出する方法や、電子制御装置にあらかじめ記憶しておいたトルクコンバータのポンプ容量係数特性を用いて、トルクコンバータの入力トルクを算出する方法がある。さらに、この両者の長所を使い分けて用いるようにした特開平6−147304 号公報の様な方法もある。
【0005】
勾配推定精度を向上させようとすると、前記特開平6−147304 号公報に記載のようにすることが望ましい。ここで開示している両者の切り換え方法は、トルクコンバータの速度比(すなわちスリップ比)が所定値以下では前記したトルクコンバータ特性を利用してトルクコンバータ入力トルクを求め、それ以上の領域では前記したエンジンのトルク特性を用いてエンジントルクを求め、両者の切り換え時(すなわちトルクコンバータ特性方式からエンジントルク特性方式への切り換え時)は両者の計算値、すなわち、トルクコンバータの入力トルクとエンジントルクをほぼ同時に算出し、両者の偏差分を補機トルク分(エアコン,ヘッドライト,パワーステアリング等の負荷分からなる)として算出し、以降の算出したエンジントルクからこの補機トルク分を引いてトルクコンバータ入力トルクを求めるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術では、トルクコンバータのスリップ比の大きさによってトルクの計算方式を切り換える方法では、下記の問題点があり、これにより計算したトルクの値の精度が低くなる場合があり、結果として計算した道路勾配値の誤差が大きくなるという不具合を有していることが明らかとなった。
【0007】
(1)トルクコンバータのスリップ比があらかじめ設定しておいた所定値を越えたとき、トルクコンバータ特性での推定からエンジントルク特性での推定に切り換える方式の場合、アクセル開度ほぼ一定の状態での加速、いわゆるオートアップでの加速中にアクセルペダルを急に戻すような操作を行うと、オートアップ中は前記所定値以下のスリップ比であったものが急に所定値以上となり、切り換えを実行することになる。しかし、この切り換え時は過渡状態であり、両者の推定トルク値の精度は定常時よりも低下している。したがって、このときに両者の推定トルク値の偏差をとり、この偏差を補機トルク分として記憶し、エンジントルク特性での推定トルク値からこの補機トルク分を差し引く方法では推定トルク誤差が大きくなり、推定勾配の誤差も著しく大きくなり、所望の勾配推定精度を満足できなくなる。
【0008】
(2)エンジントルクマップの検索パラメータとして、エンジン回転数とスロットル開度を用いる方式の場合、高地に登っていった場合、吸入空気温度が大きく変わった場合等、空気密度の変化に伴いエンジンで吸入する質量の空気量が変わっても、スロットル開度が同一だと同一空気量と判断することになり、結局、同一トルクとして推定してしまうことになる。例えば、標高が3000メートルの高地の場合、気圧の低下分,外気温の低下分を考慮して空気密度を算出すると、標高0メートルの平地に対し、約30パーセント低い値となる。エンジントルクはこの空気密度に比例することになるので、標高3000メートルの高地に行くと、エンジントルクは同一スロットル開度、エンジン回転数の場合でも約30パーセント低い値となる。したがって、上記した方法でエンジントルクを推定すると、高地に行くほど実際のトルクより大きめのトルクを推定することになり推定誤差が大きくなる。
【0009】
したがって、前記したスリップ比が所定値以上となり、エンジントルク特性でトルクを推定する領域が長時間継続するような登坂路が有った場合、推定トルクは実際のエンジントルクより大きめとなり、勾配推定値に大きな誤差を生じさせることになる。
【0010】
本発明は、道路勾配の推定値の誤差を小さくできる制御装置および制御方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記した従来技術の課題を解決するためには、補機トルク補正値の更新時期をエンジンが比較的安定している時とし、トルクコンバータ特性からの推定,エンジントルクマップからの推定とも比較的高精度に行えるときを選定する必要がある。この様な状態として最適なのは、前記トルクコンバータのスリップ比が所定値以下(このときトルクコンバータでのトルク推定が比較的高精度に行えるスリップ比の最大値よりわずかに小さい値に設定するのがよい)で、スロットル開度ほぼ一定での加速時の変速、すなわち、いわゆるオートアップ、あるいは、別名パワーオンアップシフトの変速指令が出た直後、両者でそれぞれ計算して求めたトルク推定値の偏差を演算結果出力ごとに(例えば10ミリ秒ごとに)数回分平均化処理を行い、これにより求められた偏差分の平均値を最新の補機トルクとして制御装置内のメモリーに格納しておき、制御に用いる推定トルクの推定をトルクコンバータ特性からエンジントルク特性に切り換える条件となったとき、この格納して有る前記最新の補機トルクを読み出し、算出されたエンジントルクからこの補機トルクを差し引いてトルクコンバータ入力トルクとして利用すればよいことになる。
【0012】
エンジンが安定しているときとは、前記したスリップ比が所定値以下で、且つ、オートアップの指令が出たときの他に、前記したスリップ比が所定値以下で、且つ、スロットル開度がほぼ一定でのセレクトシフトアップ,セレクトシフトダウン,ロックアップONの指令が出たときなどが該当しており、この様な条件を満たしたときはいつでも前記した補機トルク補正値の更新を行うことにより従来の不具合を解消することが出来る。
【0013】
ここで、前述した制御に用いる推定トルクの算出をトルクコンバータ特性からエンジントルク特性に切り換える条件としては、トルクコンバータのスリップ比が前記した所定値以上になった点、或いは、種々の変速指令がでて変速が終了するまでの制御上の変速期間に相当する期間、或いはロックアップ期間およびそれに該当する期間等が最適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施例)
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明のシステム構成図である。1はエンジン、2は自動変速機、3はプロペラシャフト、4は終減速機を兼ねる差動装置、5は駆動輪、6は自動変速機の油圧回路、7はATCU(自動変速機の電子制御装置)、8はECU(エンジンの電子制御装置)、9はエアークリーナ、10はエアーフローセンサ、11はスロットル弁制御器、12は吸入マニホールド、13は燃料を噴射するインジェクタである。
【0015】
自動変速機の内部はさらにトルクコンバータ14とギアトレイン15とに分かれており、タービン回転数を検出するタービンセンサ16と自動変速機出力軸回転数を検出する車速センサ17とが付設されている。
【0016】
ECU8にはクランク角センサ81,エアーフローセンサ10,スロットルセンサ18,図示していないがエンジン冷却水温センサ,エンジン排気管中の排気ガスの酸素濃度を検出するセンサ,排気温度センサ等のセンサ情報が入力され、エンジン回転数他の諸演算を実行してインジェクタ13に開弁駆動信号を出力し燃料量を制御、また、アイドルスピードコントロールバルブ19に開弁駆動信号を出力して補助空気量を制御、また、図示していないが点火プラグに点火信号を出力し点火時期を制御等、種々の制御を実行する。
【0017】
一方、ATCU7にはタービンセンサ16,車速センサ17,自動変速機の油の温度を検知するATF温センサ71等のセンサ情報、およびECU8からのエンジン回転数,スロットル弁開度等の信号が入力され、諸演算を実行して、油圧回路6に装着された油圧制御用ソレノイドバルブ20に開弁駆動信号を出力するようになっている。
【0018】
本実施例ではエンジン吸入空気量の検出をエアーフローセンサ10により直接行う方式を呈示したが、本発明はこれに限定されることなく例えば吸入マニホールド12内の圧力と吸入空気温度より計算により空気量を算出する方式,スロットル弁開度とエンジン回転数を用いて計算により空気量を算出する方式等いずれでも良いことは云うまでもない。また、本実施例では、ATCU7とECU8を各々別個に設けたものを例示したが、本発明はこれに限定されることはなく、ATCU7とECU8を一体にしたものでも良い。また、本実施例では、フロントエンジン・リアドライブ方式の構成例を示したが、本発明はこれに限定されることなくフロントエンジン・フロントドライブ方式,リアエンジン・リアドライブ方式,4輪駆動方式等いずれの方式でも良いことは云うまでもない。
【0019】
図2はトルクコンバータ特性を用いてトルクを推定する制御ブロックを示したものである。ブロック32では、エンジン回転数Neとトルクコンバータの出力軸回転数、すなわち、タービン回転数Ntの比をとり、
e=Nt/Ne …(1)
より、トルクコンバータのスリップ比eを算出する。
【0020】
次にブロック33では、あらかじめ記憶しておいたトルクコンバータのポンプ容量係数特性(e−Cp特性)より、ポンプ容量係数Cpを求める。トルクコンバータの入力トルク、すなわち、ポンプトルクTpは(2)式で表せる。
【0021】
Tp=Cp・Ne2 …(2)
ブロック27でエンジン回転数の自乗Ne2 を求め、ブロック28で(2)式よりポンプトルクTpを求める。ブロック34では、あらかじめ記憶しておいたトルクコンバータのトルク比特性(e−t特性)より、トルク比tを求める。
【0022】
ブロック29では(3)式によってギアトレインへの入力トルク、すなわち、タービントルクTtを求める。
【0023】
Tt=t・Tp …(3)
ブロック30ではギア位置信号Gpを入力してギア比r(Gp)を求める。
【0024】
ブロック21では(4)式により自動変速機出力軸トルクToを計算する。
【0025】
To=Tt・r(Gp) …(4)
ブロック22では(5)式より駆動輪トルクTDを計算する。
【0026】
D=To・rf …(5)
ここでrfはブロック31にあらかじめ記憶しておいた終減速比である。以上により、エンジン回転数Neとタービン回転数Ntを所定時間(例えば10ミリ秒)ごとに取り込み、トルクコンバータ特性を利用してポンプトルクTp,タービントルクTt,自動変速機出力軸トルクTo,駆動輪トルクTD を算出でき、ほぼ実時間でトルクを推定することができる。
【0027】
図3はエンジントルク特性を用いてトルクを推定する制御ブロックを示したものである。ブロック32でエンジン回転数Neとトルクコンバータの出力軸回転数、すなわち、タービン回転数Ntの比をとり、前述の(1)式より、トルクコンバータのスリップ比eを算出する。ブロック34では、あらかじめ記憶しておいたトルクコンバータのトルク比特性(e−t特性)より、トルク比tを求める。
【0028】
一方、ブロック23では、スロットル弁開度TVOとエンジン回転数Neを入力して、あらかじめ記憶しておいたエンジントルク特性よりエンジントルクTeを求める。
【0029】
ブロック24では(6)式よりトルクコンバータ入力トルク、すなわち、ポンプトルクTpを算出する。
【0030】
Tp=Te−Tacc …(6)
ここでTaccは補機トルクと称しているもので、後述するが、トルクコンバータ特性で求めたポンプトルクTpとエンジントルク特性を用いて求めたエンジントルクTeの同時点における偏差分である。すなわち、エンジンでの出力分Teに対し、エアコン,パワーステアリング,ヘッドライト等の補機により実際にトルクコンバータに入力されるトルク,ポンプトルクTpは補機トルクTacc分だけ差し引かれた値になる。
【0031】
ブロック29では前述の(3)式にしたがってタービントルクTtを算出する。これ以降の演算については前記図2の場合と同様であるのでここでは説明を省略する。
【0032】
ブロック23の例はスロットル弁開度TVOとエンジン回転数Neをパラメータとしたエンジントルクマップを示したが、本発明はこれに限定されることはなく、吸気マニホールド12内の絶対圧力Pmとエンジン回転数Neをパラメータとしたエンジントルクマップを用い、これに吸気温度分の補正を加えるようにしたものでも良いし、インジェクタ13への基本噴射パルス幅Tpとエンジン回転数Neをパラメータとしたエンジントルクマップを用いて算出するようにしても良い。その他、エンジントルクに直接的に関与するパラメータであればいずれのマップでも良いことは云うまでもない。
【0033】
図4は本発明の主要部分を示す制御ブロックである。トルクコンバータ特性によるポンプトルク推定部40とエンジントルク特性によるエンジントルク推定部41の両者で推定したトルクのうち、どちらのものを制御信号として用いるかの判断を行う推定トルク切換判定部47、この推定トルク切換判定部47での判断信号を受けて、制御で用いる推定トルクを切り換える推定トルク切換部48を有している。更に、補機トルク更新判定部44での更新判断により、更新すべきとの判断が出された場合、補機トルク算出部45で補機トルクTaccを算出し、この算出した補機トルクTaccを補機トルク記憶部46に格納,記憶させる。
推定トルク切換部48の後段には現在の(すなわち切り換え後の)推定トルクの種別を判定する推定トルク種別判断部49がある。ここで、エンジントルク特性によるエンジントルク推定部41で推定したエンジントルクTeであると判定されるとブロック50に移り、補機トルク記憶部46に格納,記憶されている最新の補機トルクTaccを読み出し、ポンプトルクTpをTp=Te−Taccとして算出する。
【0034】
一方、推定トルク種別判断部49で、トルクコンバータ特性によるポンプトルク推定部40で推定したポンプトルクTpであると判定されるとブロック50をバイパスしてつぎの工程に進む。すなわち、この場合にはブロック40で求めたポンプトルクTpがそのまま利用されることになる。
【0035】
ブロック52ではブロック51で求めたトルク比tとポンプトルクTpの積をとってタービントルクTtを算出し、さらにブロック53ではこれにギア比を乗じて自動変速機出力軸トルクToを算出し、さらにブロック54ではこれに終減速比を乗じて駆動輪トルクTdを算出するように構成している。ブロック52以降の制御フローは図2,図3で説明したものと同様である。
【0036】
補機トルク更新判定部44の機能について以下に詳述する。基本的には前述したように、エンジンが安定しているときに、トルクコンバータ特性によるポンプトルク推定部40で推定したポンプトルクTpとエンジントルク特性によるエンジントルク推定部41で推定したエンジントルクTeの偏差分を補機トルクTaccとして利用しようというものであり、補機トルク更新判定部44はこのエンジンが安定しているかどうかの識別を主に行う機能を有している。したがって入力信号としては、スロットル弁開度TVOの時間変化分dTVO/dt,変速指令信号(変速開始指令信号,変速完了信号)、変速種別信号(1速から2速へのオートアップ,2速から3速へのセレクトアップ,4速から3速へのセレクトダウン等の種別を示す信号),ロックアップ信号(図中ではL/U指令で示す)、あらかじめ設定した所定時間毎のインターバル時間、及びトルクコンバータのスリップ比eがあらかじめ設定した所定値以下かどうかの識別を行うためのスリップ比e信号等を用いれば良い。これらの信号を入力することにより、補機トルク更新判定部44では(1)dTVO/dtがあらかじめ設定した大きさ以下であるか、(2)スリップ比eはあらかじめ設定した大きさ以下であるか、(3)変速指令は出ているか、(4)変速の種別はあらかじめ設定した種別であるか、の4条件が全て満足された場合、補機トルク更新をすべきと判断する。
【0037】
一方、(3),(4)の条件は満たしていないが、(1),(2)の条件に(5)L/U指令信号がOFFからONに切り換わったか、という条件を満足した場合にも補機トルク更新をすべきと判断する。さらに条件を追加しても良い。例えば、(6)あらかじめ設定した所定時間に達したか、という条件を満足し、さらに(1),(2)の条件を満足した場合にも補機トルク更新を行っても良い。
【0038】
つぎに推定トルク切換判定部47の機能について詳述する。トルクコンバータ特性によるポンプトルク推定部40での推定トルクから、エンジントルク特性によるエンジントルク推定部41での推定トルクへの切り換え条件としては、(7)スリップ比eはあらかじめ設定した所定値以上か、(8)変速期間中で、かつ変速種別はあらかじめ設定したものか、(9)ロックアップ中か、のいずれかの条件を満足した場合とする。この条件を満たさない場合にはポンプトルク推定部40での推定トルクを用いることになる。
【0039】
補機トルク更新判定部44で更新すべきと判断されると、補機トルク算出部45ではポンプトルク推定部40で計算された推定ポンプトルクTpと、エンジントルク特性によるエンジントルク推定部41で計算された推定エンジントルクTeを入力し、補機トルクをTacc=Te−Tpの算術式より算出する。この算出結果は、一回計算したらすぐに補機トルク記憶部46に入力しても良いが、演算結果の誤差を極力低く抑えるために、数回分(例えば演算周期10ミリ秒ごとの演算結果の数回分)の平均値を補機トルク記憶部46に入力することが望ましい。
【0040】
図5は本発明による道路勾配推定の制御ブロック図である。ブロック60は駆動輪トルクTd推定部であり、前記図4で説明したものが該当している。入力信号はギア位置信号Gpとエンジン回転数Ne,タービン回転数Ntのみ記しているが、実際には図4で詳述したごとくの種々の信号が入力されていることは云うまでもない。ここでは簡略化,省略化して記している。ここで車輪の駆動トルクTdと走行抵抗トルクの関係を下記に示す。
【0041】
走行抵抗トルクとしては転がり抵抗トルクTr,空気抵抗トルクTa,加速抵抗トルクTα,勾配抵抗トルクTθがあり、自動車が走行中はこれらの走行抵抗トルクと車輪の駆動トルクTdがバランスしていることになるので、
Td=Tr+Ta+Tα+Tθ …(7)
という関係式が成立する。
【0042】
転がり抵抗トルクTrは
Tr=μr・W・g・Rt …(8)
W;自動車重量 μr;転がり抵抗係数 Rt;車輪有効半径空気抵抗トルクTaは
Ta=μ1・A・VSP2・Rt …(9)
μ1;空気抵抗係数 A;全面投影面積 VSP;車速
加速抵抗トルクTαは
Tα=〔(W+Wr)・α/g〕・Rt …(10)
Wr;回転部分慣性重量 g;重力の加速度 α;自動車前後加速度勾配抵抗トルクTθは
Tθ=W・g・sinθ・Rt …(11)
θ;道路の傾斜角度(勾配)
前記(10)式の自動車前後加速度αは
α=d(VSP)/dt …(12)
という関係であり、車速の時間微分値である。
【0043】
前記(7)式より勾配抵抗トルクTθは
Tθ=Td−(Tr+Ta+Tα) …(13)
となり、Tr+Ta+Tαが求まれば勾配抵抗トルクTθは求まることになる。
Trは(8)式からも明らかなように、あらかじめ設定できる数値であり、Taは(9)式からも明らかなように、車速VSP以外はあらかじめ設定できる数値である。また、Tαは(10),(12)式からも明らかなように車速の時間微分値d(VSP)/dt以外はあらかじめ設定できる数値である。したがって、車速VSPの情報を入力して演算処理を行うことにより、勾配抵抗トルクTθを求めることができる。
【0044】
ブロック61は平地走行抵抗トルクTRの推定部である。ここで平地走行抵抗トルクTRは転がり抵抗トルクTrと空気抵抗トルクTaの和であり、
TR=(μr・W・Rt)+(μ1・A・VSP2・Rt) …(14)
で表される。VSP以外は全てあらかじめ設定した定数としてあり、VSPを入力して(14)式を演算することによりTRは容易に求められる。車速VSPを関数としたTRのテーブルをあらかじめ設定しておき、テーブル検索方式としても良いことは云うまでもない。
【0045】
ブロック62は車速微分部であり、(12)式により自動車前後加速度αを求める。この場合、VSPを時間微分するので時間的に信号が変動しやすい。そこでブロック63でフィルターリング処理を行い、安定した信号を得るようにしている。VSPそのものが高精度、かつ安定した信号である場合にはこのフィルターリング処理は不要である。
【0046】
ブロック64には(10)式のα以外のパラメータの関数式をあらかじめ数値化して記憶してある。ブロック65ではこの両者の積をとり(10)式の演算を実行し、加速抵抗トルクTαを求める。
【0047】
ブロック66では(13)式にしたがって、車輪の駆動トルクTdから平地走行抵抗トルクTRと加速抵抗トルクTαを差し引いて、勾配抵抗トルクTθを算出する。ブロック67はローパスフィルタLPFであり、高周波ノイズ成分の除去を行っている。Tθに高周波ノイズ成分が重畳していない場合にはこのブロック67は不要である。
【0048】
ブロック69では(11)式を変換して
θ=sin-1〔Tθ/(W・g・Rt)〕 …(15)
の演算を実行し、勾配値θを算出する。ブロック68には(15)式の分母部分をあらかじめ定数として設定してある。
【0049】
図6は前記した駆動輪トルク推定部70(図4が該当する)で推定した駆動輪トルクTdを勾配推定部71(図5が該当する)に入力して勾配θを推定し、ブロック72ではこの推定勾配値θとブレーキ信号,スロットル弁開度TVO,車速VSP等の情報も入力して、変速線可変制御を実行する。
【0050】
図7は推定勾配値θに対する変速線の可変量を示す説明図である。ここでは可変量として車速を用いた例であり、ΔVSPで表示してある。推定勾配値があらかじめ設定してあるθ1より大きくなると(すなわち登り勾配になると)、可変量をΔVSP1とし、推定勾配値があらかじめ設定してあるθ2より大きくなると、可変量をΔVSP2とさらに大きくする設定としている。
【0051】
一方、推定勾配値があらかじめ設定してある−θ3より大きくなると(すなわち下り勾配になると)、可変量をΔVSP3とし、推定勾配値があらかじめ設定してある−θ4より大きくなると、可変量をΔVSP4とさらに大きくする設定としている。
【0052】
この様に設定することにより、登り勾配では変速線が勾配値に応じて高車速側に移動し、シフトアップしずらくさせることにより、ビジイシフトを抑止している。また駆動力の確保も図っている。
【0053】
また、下り勾配でも変速線を勾配値に応じて高車速側に移動させることによりエンジンブレーキが聞き易いように配慮している。
【0054】
図8は変速線を可変する場合の例を示したものである。登り勾配で可変量がΔVSP1の例である、実線が平坦路での変速線,破線が登り勾配で可変量がΔVSP1の変速線である。図8の例では1速から2速,2速から3速,3速から4速のシフトアップ線すべてを平坦路の変速線に対し、ΔVSP1だけ高車速側に平行移動させたものである。
【0055】
一方、図9は1速から2速へのシフトアップ線の可変量ΔVSP1に対し、2速から3速へのシフトアップ線はΔVSP1をk1倍させ、3速から4速へのシフトアップ線はΔVSP1をk2倍させ、変速比が小さいほど変速線を大きくシフトさせるようにしたものである。通常の使用頻度が高い変速比が小さい領域で顕著にビジイシフト抑止,エンジンブレーキ効果が得られるように配慮した例である。
【0056】
以上により、エンジントルク特性を利用してエンジントルクを推定する場合にも、エンジンの補機トルク分(これにはエンジンの経年劣化分、吸入空気の密度変化に伴うエンジントルク変化分も含まれる)を高精度に、かつ高頻度に補正できるので、自動変速機の入力トルクであるポンプトルクを高精度に推定することができ、この推定ポンプトルクを用いて推定する道路勾配値も高精度化が図れる。したがって、この推定勾配を用いた変速線可変制御も、勾配の大きさに応じたきめの細かい制御が可能となり、ドライバーの意図にあった変速感を実現することができる。
【0057】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によれば、道路勾配の推定値の誤差を小さくできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステム構成図。
【図2】トルクコンバータの特性を利用したトルク推定ブロック図。
【図3】エンジントルク特性を利用したトルク推定ブロック図。
【図4】本発明の主要部分である補機トルク更新と切り換えを実行する制御ブロック図。
【図5】勾配推定ブロック図。
【図6】トルク,勾配推定と変速線可変制御の関連ブロック図。
【図7】推定勾配値と変速線可変量の関係図。
【図8】変速線可変の具体例を示す変速線図。
【図9】変速線可変の他の具体例を示す変速線図。
【符号の説明】
1…エンジン、2…自動変速機、7…ATCU、8…ECU、11…スロットル弁制御器、14…トルクコンバータ。

Claims (1)

  1. トルクコンバータの特性を利用してポンプトルクを算出する第一のトルク算出手段と、
    エンジンのトルク特性を利用してエンジントルクを算出する第二のトルク算出手段と、
    前記第一のトルク算出手段と前記第二のトルク算出手段で算出されたトルクの値のいずれかを選択するトルク切り換え手段と、
    前記第一のトルク算出手段で算出された第一のトルクの値と前記第二のトルク算出手段で算出された第二のトルクの値との偏差分を補機トルクとして算出し、記憶する補機トルク更新手段と、を有し、
    前記補機トルク更新手段は、前記トルク切り換え手段で前記第二のトルク算出手段が選択されている場合は、前記補機トルク更新手段に記憶された前記トルクの偏差分を用いて前記第二のトルクの値を補正するとともに、自動車のスロットル弁の開度またはアクセルペダルの開度のいずれかの時間微分値信号が所定値以下で、かつ、前記トルクコンバータのスリップ比の信号が所定値以下で、かつ、前記トルクコンバータのロックアップを指令する信号があるときに、記憶された前記補機トルクが更新される自動車の制御装置。
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