JPH11303979A - 駆動トルク推定制御装置および駆動トルク推定方法 - Google Patents

駆動トルク推定制御装置および駆動トルク推定方法

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JPH11303979A
JPH11303979A JP10769598A JP10769598A JPH11303979A JP H11303979 A JPH11303979 A JP H11303979A JP 10769598 A JP10769598 A JP 10769598A JP 10769598 A JP10769598 A JP 10769598A JP H11303979 A JPH11303979 A JP H11303979A
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torque
estimating
estimated
engine
drive
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JP10769598A
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Inventor
Hiroshi Kuroiwa
弘 黒岩
Mitsuyoshi Okada
光義 岡田
Masahiko Ibamoto
正彦 射場本
Junichi Noda
淳一 野田
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Hitachi Ltd
Hitachi Automotive Systems Engineering Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Car Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】4WDシステムの駆動系に適用した場合でも高
精度の駆動トルクを推定することが可能な駆動トルク推
定制御装置及び方法を実現する。 【解決手段】推定トルク切り換え部48は判定部47の判断
信号でポンプトルク推定部40とエンジントルク推定部41
との推定トルクを切り換え推定トルク種別判断部49は推
定部41からのエンジントルクTeならこれをブロック50に
入力する。ブロック50は補機トルク記憶部46に格納した
補機トルクTaccを読み出しポンプトルクTpを算出する。
推定トルク種別判断部49は推定部40で推定したトルクTp
であればブロック52に入力する。ブロック56は4WD配
分指令信号Xと伝達効率補正係数k’とを用い伝達効率
補正係数k’を求めブロック57を介して補正係数kを出
力する。補正係数kはブロック54でToと乗算され、補正
出力軸トルクTkを求めブロック55でファイナルギア比rf
を乗じて駆動輪トルクTDを算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機を装着
した自動車において、走行する道路勾配をマイクロコン
ピュータ内蔵の電子制御装置により計算により推定し、
この推定した勾配に対応して最適に自動車を制御する駆
動トルク推定制御装置及び駆動トルク推定方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】駆動トルク推定制御の例としては、道路
勾配推定制御を行うものがあり、例えば、特開平3−2
4362号公報に記載のように、車速やスロットル開度
やその変化速度から道路勾配の状況を判断し、その勾配
に応じた変速を行うようにしたもの等がある。
【0003】また、特開平6−147304号公報に記
載されたものでは、トルク推定をベースとした走行負荷
推定、道路勾配推定を行い自動変速機を最適に制御する
ことが開示されている。
【0004】従来の、道路勾配推定の基本原理は、上記
特開平6−147304号公報に開示されているよう
に、車両の駆動力(駆動トルク)と走行抵抗とのバラン
ス式を用いて両者の差分を算出し、この差分が道路勾配
抵抗であるとして、勾配を算出、推定するものである。
【0005】ここで、走行抵抗とは、転がり抵抗、空気
抵抗、加速抵抗、勾配抵抗を総称したものであり、勾配
抵抗以外は車速の関数として計算により算出(推定)が
可能である。
【0006】車両の駆動力(駆動トルク)の算出(推
定)方法としては、電子制御装置にあらかじめ記憶して
おいたエンジンのトルク特性マップにより、そのときの
エンジンの運転状態に該当するポイントのエンジントル
クを検索し、算出(推定)する方法や、電子制御装置に
あらかじめ記憶しておいたトルクコンバータのポンプ容
量係数特性を用いて、トルクコンバータの入力トルクを
算出(推定)する方法がある。さらに、この両者の長所
を使い分けて用いるようにしたものとして、上記特開平
6−147304号公報に記載されたような方法もあ
る。道路勾配推定精度を向上させるためには、特開平6
−147304号公報に記載された方法が良い。
【0007】これらの方法では、エンジンから駆動輪ま
での伝達効率が全運転域で一定として推定計算している
か、または、エンジントルク特性マップとトルクコンバ
ータのポンプ容量係数特性とを、あらかじめ、伝達効率
を考慮して修整して入力しておくかの方法を採用してい
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来技術を適用して四輪駆動車の道路勾配推定制御を行う
と、下記のごとき不具合が生ずることが明らかとなっ
た。エンジンからの出力トルクを前後輪に配分する方式
を四輪駆動方式(以下、4WDと略す)と称しており、
パートタイム4WDとフルタイム4WDとがある。パー
トタイム4WDは運転者のレバー操作、あるいはスイッ
チ操作により、二輪駆動(2WD)と4WDとが切り換
えられるようになっている。一方、フルタイム4WD
は、常時前後輪にトルクが自動的に配分されるようにな
っているものである。
【0009】上記のように4WDとしては種々の方式が
あるが、4WD特有の問題として内部循環トルクの発生
により、トルクの伝達損失が2WDに比べて大きくな
る、ということがあげられる。
【0010】前輪と後輪とを直結している場合、前輪と
後輪との回転数は一致していることになる。しかし、前
輪と後輪とのタイヤ半径は空気圧の差分、タイヤの機差
分等により全く同じということはほとんどない。
【0011】したがって、このようにタイヤ半径が前後
輪で合致していない場合、いずれかのタイヤがスリップ
するか、駆動伝達系のいずれかの部分でスリップすれ
ば、トルクの伝達損失は大きくなることになる。このよ
うにして生じるトルクの伝達損失分を内部循環トルクと
称している。
【0012】フルタイム4WDの中でも、前後輪を連結
する箇所に油圧多板クラッチを配し、この油圧多板クラ
ッチへの作用油圧をソレノイドバルブを介して制御し、
クラッチ締結力を制御して、前輪と後輪へのトルク配分
を自由に制御する方式、いわゆる電子制御油圧多板クラ
ッチ制御式4WDの場合、上記した問題が特に顕著とな
る。
【0013】すなわち、前輪と後輪へのトルク配分が自
由に制御されるため、トルク配分比の大きさによって、
上記した伝達損失分は変わってくることになる。油圧多
板クラッチの替わりに電磁クラッチを用いたとしても上
記問題は同様に発生する。
【0014】このようにして、前後輪の駆動トルク配分
が変わることに伴って伝達効率が変わると、最終的な実
際の車輪の駆動トルクが変わることになる。
【0015】一方、上述したごとく、従来の道路勾配推
定制御技術では、前輪と後輪へのトルク配分比の変化に
よって、伝達効率も変化することを認識していないの
で、この伝達効率の変化を考慮していなかった。
【0016】従来技術においては、伝達効率はあらかじ
め固定値設定、或いはこの伝達効率分を考慮してエンジ
ン、トルコン特性をあらかじめ修整して記憶するように
しているため、この前後輪の駆動トルク配分が変わって
も、実際の車輪の駆動トルクは変わらない。
【0017】したがって、4WDで駆動トルク配分が自
由に変わる方式のものでは、実際の車輪の駆動トルクと
推定した車輪の駆動トルクとが合致しなくなる、すなわ
ち、誤差が大きくなると云う問題点を有していた。その
結果、この推定駆動トルクを用いて推定する道路勾配値
も誤差が大きくなるという不具合を有していた。
【0018】本発明の目的は、4WDシステムの駆動系
に適用した場合でも、高精度の駆動トルクを推定するこ
とが可能な駆動トルク推定制御装置及び駆動トルク推定
方法を実現することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は次のように構成される。 (1)エンジンと自動変速機とを制御する少なくとも一
つの電子制御手段と、車輪を駆動する駆動系とを有する
車輌における、車輪の駆動トルクを推定する駆動トルク
推定制御装置において、上記自動変速機の出力軸トルク
を推定する第1の推定手段と、上記エンジンから車輪ま
での間の駆動系の伝達効率に相当する指標を推定する第
2の推定手段と、を備え、上記第1と第2の推定手段の
演算結果に基づいて、車輪の駆動トルクを推定する。
【0020】(2)また、エンジンと自動変速機とを制
御する少なくとも一つの電子制御手段と、車輪を駆動す
る駆動系と有する車輌における、道路勾配推定制御装置
において、上記自動変速機の出力軸トルクを推定する第
1の推定手段と、上記エンジンから車輪までの間の駆動
系の伝達効率に相当する指標を推定する第2の推定手段
とを有し、上記第1と第2の推定手段の演算結果に基づ
いて、車輪の駆動トルクを推定する駆動トルク推定制御
手段と、転がり抵抗トルク及び空気抵抗トルクを算出す
る平地走行抵抗トルク推定手段と、加速抵抗トルクを算
出する加速抵抗トルク推定手段と、を備える。
【0021】(3)また、エンジンと自動変速機とを制
御する少なくとも一つの電子制御手段と、車輪を駆動す
る駆動系と有する車輌における、道路勾配推定方法にお
いて、上記自動変速機の出力軸トルクを推定し、上記エ
ンジンから車輪までの間の駆動系の伝達効率に相当する
指標を推定し、推定した出力軸トルク及び指標に基づい
て、車輪の駆動トルクTDを推定し、転がり抵抗トルク
と空気抵抗トルクから平地走行抵抗トルクTRを推定
し、加速抵抗トルクTαを推定し、推定した駆動トルク
TDと、平地走行抵抗トルクTRと、加速抵抗トルクT
αとから、勾配抵抗トルクTθをTθ=TD−TR−T
αとして算出し、算出した勾配抵抗トルクTθに所定の
補正演算を施して道路勾配を算出する。
【0022】(4)好ましくは、上記(1)において、
車輪の前後輪への駆動トルク配分を自動制御する手段
と、この自動制御手段からのトルク配分指令信号に応じ
て、上記伝達効率に対応する補正係数を出力する補正係
数記憶手段と、をさらに備える。
【0023】(5)また、好ましくは、上記(1)にお
いて、車輪の前後輪への駆動トルク配分を手動操作する
手段と、この手動操作手段からのトルク配分指令信号に
応じて、上記伝達効率に対応する補正係数を出力する補
正係数記憶手段と、をさらに備える。
【0024】(6)また、エンジンと自動変速機とを制
御する少なくとも一つの電子制御手段と、車輪を駆動す
る駆動系とを有する車輌における、車輪の駆動トルクを
推定する駆動トルク推定方法において、自動変速機の出
力軸トルクを推定し、エンジンから車輪までの間の駆動
系の伝達効率を推定し、推定した出力軸トルクと伝達効
率とを乗算して補正出力軸トルクを算出し、算出した補
正出力軸トルクにあらかじめ設定しておいたファイナル
ギア比を乗算して、車輪の駆動トルクを推定する。
【0025】(7)また、好ましくは、上記(1)にお
いて、自動変速機の出力軸トルクを推定する第1の推定
手段は、あらかじめ設定記憶させておいたエンジンのト
ルク特性よりエンジントルクを推定する第1のトルク推
定手段と、あらかじめ設定記憶させておいたトルクコン
バータのポンプ容量係数特性よりポンプトルクを推定す
る第2のトルク推定手段とを有し、所定の運転状態で、
上記第1及び第2のトルク推定手段を切り換えて用い、
推定トルク値にその時の自動変速機のギア比を乗算して
自動変速機の出力軸トルクを推定する。
【0026】(8)また、上記(6)において、あらか
じめ設定記憶させておいたエンジンのトルク特性よりエ
ンジントルクを推定し、あらかじめ設定記憶させておい
たトルクコンバータのポンプ容量係数特性よりポンプト
ルクを推定し、所定の運転状態で、上記推定したエンジ
ンントルク及びポンプトルクとを切り換えて用い、推定
トルク値にその時の自動変速機のギア比を乗算して自動
変速機の出力軸トルクを推定する。
【0027】(9)また、好ましくは、上記(7)にお
いて、第1のトルク推定手段と第2のトルク推定手段で
の推定トルクの切り換え時、あらかじめ所定の運転状態
ごとに記憶更新しておいた、上記第1及び第2のトルク
推定手段のそれぞれにおける推定トルク偏差を補正値と
して用いる。
【0028】(10)また、好ましくは、上記(8)に
おいて、上記推定したエンジンントルク及びポンプトル
クとの切り換え時、あらかじめ所定の運転状態ごとに記
憶更新しておいた、上記推定したエンジンントルク及び
ポンプトルクのそれぞれにおける推定トルク偏差を補正
値として用いる。
【0029】上記した従来技術の課題を解決するには、
前輪と後輪へのトルク配分に応じて伝達損失分の予測値
を順次切り換えてやれば良い。すなわち、電子制御式の
4WDの場合、電子制御装置では前輪と後輪へのトルク
配分制御のための指令値を出力している。例えば、油圧
多板クラッチ方式の場合、油圧多板クラッチへの供給油
圧制御用のソレノイド駆動信号を出力している。また、
電磁クラッチ方式であれば、電磁クラッチへの励磁電流
駆動信号を出力している。
【0030】このトルク配分制御用信号に応じてトルク
伝達効率に相当する補正係数値を選択できるようにする
ことにより、上記した問題点を解決することができる。
この考え方を利用すると、パートタイム4WDの場合で
も、上記伝達効率の変化分を考慮して駆動トルクを推定
することができる。
【0031】この場合、2WDと4WDの切り換えを示
す電気信号が必要である。この切り換え電気信号を電子
制御装置に入力し、現在の駆動状態(2WDまたは4W
D)を判断し、それぞれの状態に応じたトルク伝達効率
に相当した補正係数を選択すればよいことになる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態
が適用される自動車(車輌)のシステム構成図である。
図1において、1はエンジン、2は自動変速機(以下A
Tと略す)、3はプロペラシャフト、4は終減速機を兼
ねる差動装置、5は駆動輪、6はATの油圧回路、7は
マイクロコンピュータ内蔵のATの電子制御装置(コン
トロールユニット)である。なお、ATの電子制御装置
については、ここではATCUと略称する。
【0033】また、8はマイクロコンピュータ内蔵のエ
ンジンの電子制御装置(コントロールユニット)であ
り、ここではECUと略称する。さらに、9はエアーク
リーナ、10はエアーフローセンサ、11はスロットル
制御器、12は吸入マニホールド、13は燃料を噴射す
るインジェクタである。
【0034】AT2の内部は、さらにトルクコンバータ
14とギアトレイン15とに分かれており、タービン回
転数を検出するタービンセンサ16と、AT2の出力軸
回転数を検出する車速センサ17とが付設されている。
ECU8にはクランク角センサ、エアーフローセンサ1
0、スロットルセンサ18、図示していないがエンジン
冷却水温センサ、エンジン排気管中の排気ガスの酸素濃
度を検出するセンサ、排気温度センサ等のセンサ情報が
入力され、エンジン回転数等の諸演算を実行してインジ
ェクタ13に開弁駆動信号を出力し燃料量を制御する。
【0035】また、ECU8は、アイドルスピードコン
トロールバルブ(ISC)19に開弁駆動信号を出力し
補助空気量を制御する。さらに、ECU8は、図示して
いないが点火プラグに点火信号を出力し点火時期を制御
する等、種々の制御を実行する。
【0036】一方、ATCU7にはタービンセンサ1
6、車速センサ17、ATF(AT油)温度センサ等の
センサ情報、およびECU8からのエンジン回転数、ス
ロットル開度等の信号等が入力され諸演算を実行して、
油圧回路6に装着された油圧制御用ソレノイドバルブ2
0に開弁駆動信号を出力するようになっている。
【0037】本発明の一実施形態では、エンジン吸入空
気量の検出をエアーフローセンサ10により直接行う方
式を呈示したが、本発明はこれに限定されることなく例
えば吸入マニホールド12内の圧力と吸入空気温度とか
ら、計算により空気量を算出する方式、スロットル開度
とエンジン回転数とから、計算により空気量を算出する
方式等いずれでも良いことは云うまでもない。
【0038】また、本発明の実施形態では、ATCU7
とECU8を各々別個に設けたものを例示したが、本発
明はこれに限定されることはなく、ATCU7とECU
8とを一体にしたものでも良い。
【0039】また、本発明の実施形態では、フロントエ
ンジン、リアドライブ方式の構成例を示したが、本発明
はこれに限定されることなくフロントエンジン、フロン
トドライブ方式、リアエンジン、リアドライブ方式、4
輪駆動方式等いずれの方式でも良いことは云うまでもな
い。
【0040】図4は、ATU7内の一部の制御ブロック
図であり、駆動系の伝達効率の補正を実行する駆動輪ト
ルク推定部のブロック図、図2は図4中のポンプトルク
推定部40の内部ブロック図であり、図3は図4中のエ
ンジントルク推定部41の内部ブロック図である。
【0041】図2において、この制御ブロックは、トル
コン特性を用いてトルクを推定する制御ブロックであ
り、ブロック32でエンジン回転数Neとトルクコンバ
ータの出力軸回転数、すなわち、タービン回転数Ntの
比をとり、次式(1)のように、トルコンのスリップ比
eを算出する。 e=Nt/Ne …………(1) 次に、ブロック33では、あらかじめ記憶しておいたト
ルコンのポンプ容量係数特性(e−Cp特性)より、ポ
ンプ容量係数Cpを求める。トルクコンバータの入力ト
ルク、すなわち、ポンプトルクTpは次式(2)で表せ
る。 Tp=Cp・Ne2 …………(2) 乗算器であるブロック27でエンジン回転数の自乗Ne
2を求め、乗算器であるブロック28で(2)式よりポ
ンプトルクTpを求める。
【0042】次に、図4のブロック51(トルク比特性
テーブル)では、ブロック43(推定トルク切り換え
部)により算出されたスリップ比eが入力され、あらか
じめ記憶しておいたトルコンのトルク比特性(e−t特
性)より、トルク比tを求める。
【0043】そして、図4のブロック52(乗算器)に
は、ポンプトルク推定部40で推定されたポンプトルク
Tpとブロック51で算出されたトルク比とから、次式
(3)によってギアトレインへの入力トルク、すなわ
ち、タービントルクTtを求める。 Tt=t・Tp …………(3) ブロック53(乗算器)ではギア位置信号Gpから求め
られたギア比r(Gp)と、ブロック52からのタービ
ントルクTtが入力され、次式(4)式によりAT出力
軸トルクToが計算される。 To=Tt・r(Gp) …………(4) 次に、ブロック54(乗算器)では、ブロック53から
のAT出力軸トルクToと、後述するブロック57から
の補正係数kとが入力され、補正出力軸トルクTkが算
出される。
【0044】そして、ブロック55(乗算器)では、ブ
ロック54からの補正出力軸トルクTkから、次式
(5)により駆動輪トルクTDを計算する。 TD=Tk・rf …………(5) ここで、rfはあらかじめ記憶しておいた終減速比(フ
ァイナルギア比)である。
【0045】以上により、エンジン回転数Neとタービ
ン回転数Ntを所定時間(例えば10ms)ごとに取り
込み、トルコン特性を利用してポンプトルクTp、ター
ビントルクTt、AT出力軸トルクTo、駆動輪トルク
TDを算出でき、ほぼ実時間でトルクを推定することが
できる。
【0046】図3はエンジントルク特性を用いてトルク
を推定する制御ブロックを示したものである。図3にお
いて、ブロック23では、スロットル開度TVOとエン
ジン回転数Neとを入力して、あらかじめ記憶しておい
たエンジントルク特性(エンジントルクマップ)よりエ
ンジントルクTeを求める。
【0047】図4のブロック50では次式(6)により
トルコン入力トルク、すなわち、ポンプトルクTpを算
出する。 Tp=Te−Tacc ……………(6) ここで、Taccは補機トルクと称しているもので、後
述するが、トルコン特性で求めたポンプトルクTpとン
ジントルク特性を用いて求めたエンジントルクTeの同
時点における偏差分である。すなわち、エンジンでの出
力分Teに対し、エアコン、パワーステアリング、ヘッ
ドライト等の補機により実際にトルコンに入力されるト
ルク、ポンプトルクTpは補機トルクTacc分だけ差
し引かれた値になる。
【0048】次に、ブロック52では上記(3)式にし
たがってタービントルクTtを算出する。これ以降につ
いては、図2の場合と同様であるので、ここでは説明を
省略する。
【0049】図3のブロック23の例は、スロットル開
度TVOとエンジン回転数Neをパラメータとしたエン
ジントルクマップを示したが、本発明はこれに限定され
ることはなく、吸気マニホールド12内の絶対圧力Pm
とエンジン回転数Neをパラメータとしたエンジントル
クマップを用い、これに吸気温度分の補正を加えるよう
にしたものでも良い。また、インジェクタ13への基本
噴射パルス幅Tpとエンジン回転数Neをパラメータと
したエンジントルクマップを用いて算出するようにして
も良い。その他、エンジントルクに直接的に関与するパ
ラメータであればいずれのマップでも良いことは云うま
でもない。
【0050】図4の例において、図2に示したトルコン
特性によるポンプトルク推定部40と、図3に示したエ
ンジントルク特性によるエンジントルク推定部41の両
者で推定したトルクのうち、どちらのものを制御信号と
して用いるかの判断と切り換えを行う。また、この図4
の例においては、推定部40、41の両者で推定したト
ルクの偏差をエンジン補機トルク分として記憶、更新処
理する。さらに、この更新した最新の補機トルク分(両
者の偏差量)によるエンジントルク特性による推定エン
ジントルクを補正するものである。
【0051】図4に示した制御ブロックは、トルコン特
性によるポンプトルク推定部40と、エンジントルク特
性によるエンジントルク推定部41との両者で推定した
トルクのうち、どちらのものを制御信号として用いるか
の判断を行う推定トルク切り換え判定部47と、この推
定トルク切り換え判定部47からの判断信号が供給され
て、制御で用いる推定トルクを切り換える推定トルク切
り換え部48とを有している。
【0052】補機トルク更新判定部44での更新判断に
より、更新すべきとの判断が出された場合、補機トルク
算出部45で補機トルクTaccを算出し、この算出し
た補機トルクTaccを補機トルク記憶部46に格納、
記憶させる。
【0053】推定トルク切り換え部48の後段には現在
の(切り換え後の)推定トルクの種別を判定する推定ト
ルク種別判断部49がある。ここで、エンジントルク特
性によるエンジントルク推定部41で推定したエンジン
トルクTeであると判定されると、エンジントルクTe
はブロック50に入力される。そして、このブロック5
0において、補機トルク記憶部46に格納、記憶されて
いる最新の補機トルクTaccが読み出され、算出式
(Tp=Te−Tacc)からポンプトルクTpを算出
する。
【0054】一方、推定トルク種別判断部49で、トル
コン特性によるポンプトルク推定部40で推定したポン
プトルクTpであると判定されると、ブロック50をバ
イパスして、次のブロック52に入力される。
【0055】すなわち、この場合にはブロック40で求
めたポンプトルクTpがそのまま利用されることにな
る。ブロック52ではブロック51で求めたトルク比t
とポンプトルクTpとの積をとってタービントルクTt
を算出する。さらに、ブロック53では、タービントル
クTtにギア比r(Gp)を乗じて、AT出力軸トルク
Toを算出する。
【0056】次に、ブロック56では、4WD配分指令
信号(前後輪への駆動トルクの配分比率を指示する信
号)を入力して、あらかじめ設定記憶しておいた4WD
配分指令信号Xと伝達効率補正係数k’(指標)との特
性テーブル、あるいは変換特性式を用いて、伝達効率補
正係数k’を求める。求めた伝達効率補正係数k’は、
ブロック57のフィルタで一時遅れ特性をもたせ補正係
数kとして出力する。
【0057】この補正係数kはブロック54で、ブロッ
ク53からの出力であるAT出力軸トルクToと乗算さ
れ、補正出力軸トルクTkが求められる。ブロック57
で一時遅れのフィルタリング処理を行うようにした理由
は、4WD配分指令信号Xによって油圧多板クラッチの
油圧制御用のソレノイドが制御された場合、これによっ
て油圧が変化し油圧多板クラッチの締結トルクが変化す
るのに一時遅れ特性を呈する、ということを考慮したた
めである。
【0058】さらに、ブロック55では、補正出力軸ト
ルクTkにファイナルギア比rfを乗じて駆動輪トルク
TDを算出するように構成している。
【0059】次に、補機トルク更新判定部44の機能に
ついて詳述する。基本的には上述したように、機関(自
動車)が安定しているときに、トルコン特性によるポン
プトルク推定部40で推定したポンプトルクTpとエン
ジントルク特性によるエンジントルク推定部41で推定
したエンジントルクTeとの偏差分を補機トルクTac
cとして利用しようというものであり、補機トルク更新
判定部44は、この機関(自動車)が安定しているかど
うかの識別を主に行う機能を有している。
【0060】したがって、入力信号としては、ブロック
42で算出されるスロットル開度TVOの時間変化分d
TVO/dt、変速指令信号(変速開始指令信号、変速
完了信号)、変速種別信号(オートアップ1−2、セレ
クトアップ2−3、セレクトダウン4−3等の種別を示
す信号)、ロックアップL/U信号(L/U OFF、
ON信号)、あらかじめ設定した所定時間毎のインター
バル時間、及びブロック43出算出されるトルコンのス
リップ比eがあらかじめ設定した所定値以下かどうかの
識別を行うためのスリップ比e信号等を用いれば良い。
【0061】これらの信号を入力することにより、補機
トルク更新判定部44では、(A)dTVO/dtがあ
らかじめ設定した大きさ以下であるか、(B)スリップ
比eはあらかじめ設定した大きさ以下であるか、(C)
変速指令は出ているか、(D)変速の種別はあらかじめ
設定した種別であるか、の以上の4条件(A)〜(D)
が全て満足された場合、補機トルク更新をすべきと判断
する。
【0062】一方、上記(C)、(D)の条件は満たし
ていないが、上記(A)、(B)の条件に、(E)L/
U指令信号がOFFからONに切り替わったか、という
条件を満足した場合にも補機トルク更新をすべきと判断
する。
【0063】さらに、条件を追加しても良い。また、
(F)あらかじめ設定した所定時間に達したか、という
条件を満足し、さらに(A)、(B)の条件を満足した
場合にも補機トルク更新を行っても良い。
【0064】次に、推定トルク切り換え判定部47の機
能について詳述する。トルコン特性によるポンプトルク
推定部40で算出された推定トルクTpから、エンジン
トルク特性によるエンジントルク推定部41で算出され
た推定トルクTeへの切り替え条件としては、(G)ス
リップ比eは、あらかじめ設定した所定値以上か、
(H)変速期間中で、かつ変速種別はあらかじめ設定し
たものか、(I)L/U中か、のいずれかの条件(G)
〜(I)を満足した場合とする。これらの条件を満たさ
ない場合には、ポンプトルク推定部40での推定トルク
Tpを用いることになる。
【0065】補機トルク更新判定部44で、補機トルク
を更新すべきと判断すると、補機トルク算出部45に更
新OKを示す信号を、補機トルク算出部45に供給す
る。補機トルク算出部45では、ポンプトルク推定部4
0で計算された推定ポンプトルクTpと、エンジントル
ク特性によるエンジントルク推定部41で計算された推
定エンジントルクTeとを入力し、補機トルクをTac
c=Te−Tpの算術式により算出する。
【0066】補機トルク算出部45の算出結果は、一回
計算したらすぐに補機トルク記憶部46に入力しても良
いが、演算結果の誤差を極力低く抑えるために、数回分
(例えば演算周期10msごとの演算結果の数回分)の
平均値を補機トルク記憶部46に入力することが望まし
い。
【0067】図5は、道路勾配推定部の制御ブロック図
であり、この道路勾配推定部は図1のATU7内の制御
ブロックである。そして、ブロック60は駆動輪トルク
推定部であり、図4の全体に示した制御ブロックに該当
している。
【0068】なお、図5には、駆動輪トルク推定部60
への入力信号として、ギア位置信号Gp、エンジン回転
数Ne、タービン回転数Ntのみ記しているが、実際に
は図4で詳述したごとくの種々の信号が入力されている
ことは云うまでもない。ここでは簡略化、省略化して記
している。
【0069】ここで、車輪の駆動トルクTdと走行抵抗
トルクの関係を以下に示す。走行抵抗トルクとしては、
転がり抵抗トルクTr、空気抵抗トルクTa、加速抵抗
トルクTα、勾配抵抗トルクTθがあり、自動車が走行
中はこれらの走行抵抗トルクと車輪の駆動トルクTdと
がバランスしていることになるので、次式(7)が成立
する。 Td=Tr+Ta+Tα+Tθ …………(7) ここで、転がり抵抗トルクTrは、次式(8)により表
される。 Tr=μr・W・g・Rt ……………(8) ただし、Wは車両重量、μrは転がり抵抗係数、Rtは
車輪有効半径、gは重力の加速度である。tまた、空気
抵抗トルクTaは、次式(9)により表される。 Ta=μ1・A・VSP2・Rt …………(9) ただし、μ1は空気抵抗係数、Aは全面投影面積、VS
Pは車速である。
【0070】また、加速抵抗トルクTαは、次式(1
0)により表される。 Tα=〔(W+Wr)・α/g〕・Rt …………(10) ただし、Wrは回転部分慣性重量、αは車両前後加速度
である。
【0071】また、勾配抵抗トルクTθは、次式(1
1)により表される。 Tθ=W・g・sinθ・Rt …………(11) ただし、θは道路の傾斜角度(勾配)である。
【0072】また、(10)式の車両前後加速度αは、
次式(12)で表されるという関係であり、車速の時間
微分値である。 α=d(VSP)/dt ……………(12) (7)式より、勾配抵抗トルクTθは、次式(13)で
算出でき、Tr+Ta+Tαが求まれば勾配抵抗トルク
Tθは求まることになる。 Tθ=Td−(Tr+Ta+Tα) …………(13) 抵抗トルクTrは、(8)式からも明らかなように、あ
らかじめ設定できる数値であり、空気抵抗トルクTa
は、(9)式からも明らかなように、車速VSP以外は
あらかじめ設定できる数値である。
【0073】また、加速抵抗Tαは、(10)式、(1
2)式からも明らかなように、車速の時間微分値d(V
SP)/dt以外はあらかじめ設定できる数値である。
したがって、車速VSPの情報を入力して演算処理を行
うことにより、勾配抵抗トルクTθを求めることができ
る。
【0074】ブロック61は平地走行抵抗トルクTRの
推定部である。ここで、平地走行抵抗トルクTRは転が
り抵抗トルクTrと空気抵抗トルクTaの和であり、次
式(14)で表される。 TR=(μr・W・Rt)+(μ1・A・VSP2・Rt) ………(14) VSP以外は全てあらかじめ設定した定数としてあり、
VSPを入力して(14)式を演算することにより平地
走行抵抗トルクTRは容易に求められる。
【0075】なお、上記(14)式を演算する代わり
に、車速VSPを関数とした平地走行抵抗トルクTRの
テーブルをあらかじめ設定しておき、テーブル検索方式
として、抵抗トルクTRを算出しても良い。
【0076】次に、ブロック62は車速微分部であり、
上記(12)式により車両前後加速度αを求める。この
場合、車VSPを時間微分するので時間的に信号が変動
しやすい。
【0077】そこで、ブロック63(ローパスフィル
タ)でフィルタリング処理を行い、安定した信号を得る
ようにしている。車速VSPそのものが高精度、かつ安
定した信号である場合には、このフィルタリング処理は
不要である。
【0078】ブロック64には(10)式の車両前後加
速度α以外のパラメータの関数式をあらかじめ数値化し
て記憶してある。そして、ブロック65ではこの両者の
積、つまり、加速度αと、この加速度α以外のパラメー
タとの積をとり、(10)式の演算を実行して、加速抵
抗トルクTαを求める。
【0079】ブロック66では(13)式にしたがっ
て、車輪の駆動トルクTDから平地走行抵抗トルクTR
と加速抵抗トルクTαとを差し引き、勾配抵抗トルクT
θを算出する。ブロック67はローパスフィルタLPF
であり、高周波ノイズ成分の除去を行っている。勾配抵
抗トルクTθに高周波ノイズ成分が重畳していない場合
には、このブロック67は不要である。
【0080】ブロック69では、(11)式を変換して
次式(15)で示すの演算を実行し、勾配値θtを算出
する。 θt=sin-1〔Tθ/(W・g・Rt)〕 …………(15) ブロック68には上記(15)式の分母部分(W・g・
Rt)をあらかじめ定数として設定してある。
【0081】図6は、上述した電子制御油圧多板クラッ
チ式4WDシステムのシステム構成図を示したものであ
る。図6において、エンジン70で発生したトルクは、
自動変速機(AT)71で所定のトルクに増減制御さ
れ、前輪側はフロントデファレンシャルギア(略称フロ
ントデフ)75を介して左右の前輪76に伝達される。
また、エンジン70で発生したトルクは、油圧多板クラ
ッチ式のものが内蔵されたトランスファー72、リアデ
ファレンシャルギア(略称リアデフ)77を介して左右
の後輪78に伝達される。
【0082】油圧多板クラッチ式のものが内蔵されたト
ランスファー72にはトルク配分制御用ソレノイド73
が装着されている。このトルク配分制御用ソレノイド7
3はエンジン−AT一体の電子制御装置74に内蔵され
た4WD電子制御部からの駆動信号(4WD配分指令信
号)によって駆動される。
【0083】なお、本発明の一実施形態においては、エ
ンジン−AT一体の電子制御装置74を例示したが、本
発明はこれに限定されることはなく、エンジン、AT、
4WDの制御用の電子制御装置のそれぞれが個別になっ
ているものでも何ら問題はない。
【0084】図7は、油圧多板クラッチ式4WDの前後
輪への駆動トルク配分の原理を模式的に示したものであ
る。この図7では、フロントエンジン−フロントドライ
ブ方式をベースに4WD制御を行うようにした場合のも
のを例示している。
【0085】図7において、エンジンとATよりなる機
関80からのトルクToは、変換ギアを介して、一方は
前輪76に直接伝達され、他方は、後輪78へ油圧多板
クラッチ72を内蔵したトランスファーを介して伝達さ
れる。
【0086】油圧多板クラッチ72への供給油圧を高め
ると、クラッチ72の締結力が高まり、後輪側への伝達
トルクTrが大きくなり、その分だけ前輪側への伝達ト
ルクTfは小さくなる。
【0087】ATの出力軸トルクToと上記伝達トルク
Tr、Tfは次式(16)の関係式が成立する。 To=Tf+Tr ……………(16) したがって、油圧多板クラッチ72への供給油圧を所定
値以下にすると、クラッチ72の締結力がほとんどなく
なり、後輪側への伝達トルクTrは零となり、To=T
fとなって、前輪駆動(フロントドライブ)のみとな
る。
【0088】油圧多板クラッチ72への供給油圧を所定
値以上に高めると、クラッチ72は完全に締結し、Tf
=Trとなり、前後輪76、78への駆動トルク配分は
50:50となる。これが、通常云われる強4WD状態
であり、これ以上に後輪側にトルクが配分されること
は、上記フロントドライブ方式をベースとした4WD方
式ではない。
【0089】図8は、上述した油圧多板クラッチ72の
制御油圧Pとクラッチ伝達トルクTcとの関係を示した
グラフである。図8において、制御油圧Pと伝達トルク
Tcとの関係は、ほぼ一次の比例関係にある。図6に示
した4WDトルク配分制御用ソレノイド73を制御する
ことにより、制御油圧Pは自由に変えられる。
【0090】したがって、トルク配分制御用ソレノイド
73の制御信号の大きさを変えることにより、油圧多板
クラッチ72のクラッチ伝達トルクTcを任意の大きさ
に自由に制御することができ、クラッチ伝達トルクTc
=Trであるから、後輪へのトルク配分量を自由に変え
ることができる。
【0091】図9は、上述したトルク配分制御用ソレノ
イド73への指令信号である4WD配分指令信号Xと補
正係数k’との関係を示すグラフである。この図9に示
すグラフは、図4のブロック56に記憶される4WD配
分指令信号Xと補正係数k’との関係が該当している。
補正係数k’は、前後輪のトルク配分比に応じて変わる
駆動系の伝達効率分に相当するものである。
【0092】図6、図7のようなフロントドライブ方式
をベースとする4WDの場合、4WD配分指令信号Xを
所定値まで小さくし、油圧多板クラッチ72への作用油
圧Pを所定値以下にすると、伝達トルクTcがなくなり
後輪側へのトルク配分が零となり、前輪駆動(2WD)
となる。
【0093】また、逆に、4WD配分指令信号Xを所定
値まで大きくし、油圧多板クラッチ72への作用油圧P
を所定値以上にすると、伝達トルクTcが最大となり、
後輪側へのトルク配分が前輪側と同一となり、前後輪等
トルク駆動(強4WD)となる。
【0094】したがって、この4WD配分指令信号Xに
応じた伝達効率相当の補正係数k’を、あらかじめ図9
のような特性を持たせたテーブル、あるいは関数式とし
て記憶させておく。そして、上記テーブルを検索した補
正係数k’又は関数式で算出した補正係数k’を利用す
ることにより、2WDから強4WDまでの間の種々のト
ルク配分比における駆動系の伝達効率を考慮した、出力
軸トルクの補正を行うことができる。
【0095】これにより、最終的な車輪の駆動トルクT
dも高精度に推定することができ、道路勾配推定値の精
度も大幅に向上させることができる。
【0096】図10はパートタイム4WDの場合の駆動
系の伝達効率分を考慮した駆動トルクの推定制御方法を
示したブロック図である。図10において、ブロック8
0はAT出力軸トルク推定部であり、図4に示したもの
のうち、諸信号入力部からAT出力軸トルクToの算出
部53までが該当する。
【0097】パートタイム4WDの場合、運転者が手動
操作して2WDと4WDとを切り換える。この切り換え
を電気信号に置き換え、2WD−4WD切り換え信号8
1を判断ブロック82に入力する。
【0098】判断ブロック82では、2WDと4WDの
どちらの信号が入力されたかを判断し、2WDと判断す
るとブロック83に進み、4WDと判断するとブロック
84に進む。
【0099】ブロック83では2WDの時の駆動系の伝
達効率に相当する補正係数k1’(あらかじめ設定した
値)を読み出し、所定の一次遅れ特性を有したフィルタ
85を通過させ、補正係数k1とする。そして、ブロッ
ク87で補正係数k1と出力軸トルクToとを乗算し、
補正出力軸トルクTkを求め、ブロック88でこれにフ
ァイナルギア比rfを乗算して車輪駆動トルクTdを算
出する。
【0100】一方、ブロック84では4WDの時の駆動
系の伝達効率に相当する補正係数k2’(あらかじめ設
定した値)を読み出し、所定の一次遅れ特性を有したフ
ィルタ86を通過させ、補正係数k2とする。そして、
ブロック87で補正係数k2と出力軸トルクToとを乗
算し、補正出力軸トルクTkを求め、ブロック88でこ
れにファイナルギア比rfを乗算して車輪駆動トルクT
dを算出する。
【0101】以上の簡単な処理を行うことにより、パー
トタイム4WDの場合でも好適に伝達効率を考慮して推
定トルクを補正することができ、高精度な勾配推定が可
能となる。
【0102】つまり、本発明の一実施形態によれば、前
後輪の駆動トルク配分指令xに応じた補正係数kを、推
定したAT出力軸トルクToに乗算し、補正出力軸トル
クTkを算出するように、構成したので、4WDシステ
ムの駆動系に適用した場合でも、高精度の駆動トルクを
推定することが可能な駆動トルク推定制御装置及び駆動
トルク推定方法を実現することができる。
【0103】したがって、この駆動トルク推定制御装置
による変速線可変制御は、道路勾配の大きさに応じたき
めの細かい制御が可能となり、ドライバーの意図にあっ
た変速感を実現することができる。
【0104】なお、ポンプトルク推定部40により推定
された推定ポンプトルクTp及びエンジントルク推定部
41により推定された推定エンジントルクTeを、前後
輪の駆動トルク配分を変化させた実際のAT出力軸トル
クと比較して、補正テーブル等を作成し、トルクTp及
びTeを補正するように構成することも考えられる。し
かしながら、トルクTp及びTeを補正するように構成
したのでは、補正テーブル等が複雑化するとともに、そ
の後のスリップ比等の影響により、実際のAT出力軸ト
ルクと誤差が生じる可能性が高い。
【0105】これに対して、上述した一実施形態のよう
に、推定したAT出力軸トルクToに補正係数kを乗算
するように構成すれば、補正テーブル等が複雑化するこ
となく、また、実際のAT出力軸トルクとの誤差もあま
り生じること無く、AT出力軸トルクを高精度に推定す
ることができる。
【0106】なお、本発明は、アートマチック車のみな
らず、マニュアル車(手動操作車)についても、適用可
能である。
【0107】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているため、次のような効果がある。4WDシステムの
駆動系に適用した場合でも、高精度の駆動トルクを推定
することが可能な駆動トルク推定制御装置及び駆動トル
ク推定方法を実現することができる。
【0108】また、4WD搭載車における駆動系の伝達
効率をつねに好適に反映した形で駆動輪トルクを高精度
に推定することができ、この駆動輪トルクを用いて推定
する道路勾配値も高精度化が図れる。したがって、この
推定勾配を用いた変速線可変制御も、勾配の大きさに応
じたきめの細かい制御が可能となり、ドライバーの意図
にあった変速感を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が適用される自動車のシス
テム構成図である。
【図2】ポンプトルク推定部の内部ブロック図である。
【図3】エンジントルク推定部の内部ブロック図であ
る。
【図4】駆動系の伝達効率の補正を実行する駆動輪トル
ク推定部のブロック図である。
【図5】道路勾配推定部のブロック図である。
【図6】電子制御油圧多板クラッチ式4WDシステムの
システム構成図である。
【図7】油圧多板クラッチ式4WDのトルク伝達経路の
説明図である。
【図8】油圧多板クラッチの制御油圧とクラッチ伝達ト
ルクとの関係を示すグラフである。
【図9】4WD配分指令信号と補正係数との関係を示す
グラフである。
【図10】駆動系の伝達効率分を考慮した駆動トルクの
推定制御方法を示したブロック図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 AT 7 ATCU 8 ECU 40 トルコン特性によるトルク推定部 41 エンジントルク特性によるトルク推定部 44 補機トルク更新判定部 45 補機トルク算出部 46 補機トルク記憶部 47 推定トルク切り換え判定部 48 推定トルク切り換え部 49 推定トルク種別判断部 50 エンジントルク特性による推定トルクの補
機補正部 51 トルク比特性テーブル 52〜55 乗算器 56 4WD配分指令信号Xと伝達効率補正係数
k‘との特性テーブル 60 駆動輪トルク推定部 71 道路勾配推定部 80 AT出力軸トルク推定部 82 判断部 85、86 フィルタ
フロントページの続き (72)発明者 射場本 正彦 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内 (72)発明者 野田 淳一 茨城県ひたちなか市高場2477番地 株式会 社日立カーエンジニアリング内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンと自動変速機とを制御する少なく
    とも一つの電子制御手段と、車輪を駆動する駆動系とを
    有する車輌における、車輪の駆動トルクを推定する駆動
    トルク推定制御装置において、 上記自動変速機の出力軸トルクを推定する第1の推定手
    段と、 上記エンジンから車輪までの間の駆動系の伝達効率に相
    当する指標を推定する第2の推定手段と、 を備え、上記第1と第2の推定手段の演算結果に基づい
    て、車輪の駆動トルクを推定することを特徴とする駆動
    トルク推定制御装置。
  2. 【請求項2】エンジンと自動変速機とを制御する少なく
    とも一つの電子制御手段と、車輪を駆動する駆動系と有
    する車輌における、道路勾配推定制御装置において、 上記自動変速機の出力軸トルクを推定する第1の推定手
    段と、上記エンジンから車輪までの間の駆動系の伝達効
    率に相当する指標を推定する第2の推定手段とを有し、
    上記第1と第2の推定手段の演算結果に基づいて、車輪
    の駆動トルクを推定する駆動トルク推定制御手段と、 転がり抵抗トルク及び空気抵抗トルクを算出する平地走
    行抵抗トルク推定手段と、 加速抵抗トルクを算出する加速抵抗トルク推定手段と、 を備えることを特徴とする道路勾配推定制御装置。
  3. 【請求項3】エンジンと自動変速機とを制御する少なく
    とも一つの電子制御手段と、車輪を駆動する駆動系と有
    する車輌における、道路勾配推定方法において、 上記自動変速機の出力軸トルクを推定し、上記エンジン
    から車輪までの間の駆動系の伝達効率に相当する指標を
    推定し、推定した出力軸トルク及び指標に基づいて、車
    輪の駆動トルクTDを推定し、 転がり抵抗トルクと空気抵抗トルクから平地走行抵抗ト
    ルクTRを推定し、 加速抵抗トルクTαを推定し、 推定した駆動トルクTDと、平地走行抵抗トルクTR
    と、加速抵抗トルクTαとから、勾配抵抗トルクTθを
    Tθ=TD−TR−Tαとして算出し、 算出した勾配抵抗トルクTθに所定の補正演算を施して
    道路勾配を算出することを特徴とする道路勾配推定方
    法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の駆動トルク推定制御装置に
    おいて、車輪の前後輪への駆動トルク配分を自動制御す
    る手段と、この自動制御手段からのトルク配分指令信号
    に応じて、上記伝達効率に対応する補正係数を出力する
    補正係数記憶手段と、をさらに備えることを特徴とする
    駆動トルク推定制御装置。
  5. 【請求項5】請求項1記載の駆動トルク推定制御装置に
    おいて、車輪の前後輪への駆動トルク配分を手動操作す
    る手段と、この手動操作手段からのトルク配分指令信号
    に応じて、上記伝達効率に対応する補正係数を出力する
    補正係数記憶手段と、をさらに備えることを特徴とする
    駆動トルク推定制御装置。
  6. 【請求項6】エンジンと自動変速機とを制御する少なく
    とも一つの電子制御手段と、車輪を駆動する駆動系とを
    有する車輌における、車輪の駆動トルクを推定する駆動
    トルク推定方法において、 自動変速機の出力軸トルクを推定し、 エンジンから車輪までの間の駆動系の伝達効率を推定
    し、 推定した出力軸トルクと伝達効率とを乗算して補正出力
    軸トルクを算出し、 算出した補正出力軸トルクにあらかじめ設定しておいた
    ファイナルギア比を乗算して、車輪の駆動トルクを推定
    することを特徴とする駆動トルク推定方法。
  7. 【請求項7】請求項1記載の駆動トルク推定制御装置に
    おいて、自動変速機の出力軸トルクを推定する第1の推
    定手段は、あらかじめ設定記憶させておいたエンジンの
    トルク特性よりエンジントルクを推定する第1のトルク
    推定手段と、あらかじめ設定記憶させておいたトルクコ
    ンバータのポンプ容量係数特性よりポンプトルクを推定
    する第2のトルク推定手段とを有し、所定の運転状態
    で、上記第1及び第2のトルク推定手段を切り換えて用
    い、推定トルク値にその時の自動変速機のギア比を乗算
    して自動変速機の出力軸トルクを推定することを特徴と
    する駆動トルク推定制御装置。
  8. 【請求項8】請求項6記載の駆動トルク推定方法におい
    て、あらかじめ設定記憶させておいたエンジンのトルク
    特性よりエンジントルクを推定し、あらかじめ設定記憶
    させておいたトルクコンバータのポンプ容量係数特性よ
    りポンプトルクを推定し、所定の運転状態で、上記推定
    したエンジンントルク及びポンプトルクとを切り換えて
    用い、推定トルク値にその時の自動変速機のギア比を乗
    算して自動変速機の出力軸トルクを推定することを特徴
    とする駆動トルク推定方法。
  9. 【請求項9】請求項7記載の駆動トルク推定制御装置に
    おいて、第1のトルク推定手段と第2のトルク推定手段
    での推定トルクの切り換え時、あらかじめ所定の運転状
    態ごとに記憶更新しておいた、上記第1及び第2のトル
    ク推定手段のそれぞれにおける推定トルク偏差を補正値
    として用いるようにしたことを特徴とする駆動トルク推
    定制御装置。
  10. 【請求項10】請求項8記載の駆動トルク推定方法にお
    いて、上記推定したエンジンントルク及びポンプトルク
    との切り換え時、あらかじめ所定の運転状態ごとに記憶
    更新しておいた、上記推定したエンジンントルク及びポ
    ンプトルクのそれぞれにおける推定トルク偏差を補正値
    として用いるようにしたことを特徴とする駆動トルク推
    定方法。
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