JP3699508B2 - 開閉式屋根のレールカバー開閉システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、天候等に応じて屋根の一部が部分的に開閉できる開閉式屋根のレールカバー開閉システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、全天候型の競技場が注目され、福岡ドームを初めとした屋根の一部が開閉できる開閉屋根式の大空間建築物が建てられている。その開閉システムとしては、屋根部構造体に設置されたレール上を開閉屋根部を支持した台車が走行して開閉を行うタイプである。このような開閉屋根式の競技場では、晴天時に、屋根の一部を開放して採光および換気等を行うことが可能であり、省エネルギー化に非常に有効な手段となっているが、降雪地帯に建設した場合、滑雪により屋根上の積雪の処理を行うが、前記したレール部が外部に露出していると雪がレールに付着し、屋根の開閉・滑雪に障害となっていた。
【0003】
そこで、前記障害を解決するため、例えば特公平4−51622号公報によるレール上に積雪するのを防止する除雪装置や、実開平4−56808号公報による移動屋根の両端部をシールするシール構造が開示されている。
前記除雪装置の概要は、開閉自在な屋根部材を支持する走行台車が走行するヒーターを備えたガイドレールに、このガイドレールを覆うようにレールハウジングおよびレールカバーを設け、レールカバーは先端がレールハウジングに対し接離方向へ開閉できるように基端部を回動自在に支持するとともに、前記走行台車側に、走行台車の走行に伴って前記レールカバーを開放する楔状の犂を設けた構成である。このようなレールハウジングとレールカバーによって、前記ガイドレール上に積雪するのを防止する。また、屋根部材を開閉する場合には、走行台車に設けた犂がレールカバーを開放するしくみである。このため、走行台車の走行に支障を来さないようになっている。
【0004】
また、前記したシール構造にあっては、移動屋根の両端を支持するレール溝と平行にシール溝を設け、このシール溝にシール水を貯水し、さらに移動屋根の両端に設けたシール板の下端を前記シール溝内のシール水内に浸漬する構成である。このようにして、移動屋根両端部のシールを行うしくみとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記した従来の解決手段では次のような問題点があった。
(1),前記除雪装置では、レールのみをレールハウジングとレールカバーで覆う場合は問題がないが、レールを固定しているレール取り付け板も同時に覆う場合やレールと直交する方向に別のレール等がある場合、レールハウジングやレールカバーが大型となる。そのため、レールカバーを開閉するのに大きな動力を必要とし、楔状の犂ではレールカバーを開閉するのに困難である。
(2),前記除雪装置では、レールハウジングやレールカバーの高さ以上に積雪した際、レールカバーを開放すると周辺の雪がレール上に落下して屋根部材の移動ができなくなる場合がある。
(3),前記したシール構造では、レール溝がアーチ状の場合、レール溝に沿ってシール溝を設けても、シール溝内にシール水が貯水できず、シールが困難である。
(4),水平方向のレール溝に前記したシール構造を採用した場合、積雪時期にはシール水が凍結する恐れがある。そのため、シール水が凍結した場合、移動屋根の開閉に支障を来すことは勿論、開閉時にシール板が破損する場合がある。
【0006】
そこでこの発明は、前記した従来方式の問題点を解決することは勿論、屋根部材を支持した走行台車が走行するガイドレール上の積雪を確実に防止できる簡単で経済的な開閉式屋根のレールカバー開閉システムを提供することを目的とし、開発したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明では、レールカバーの開閉システムを次のように構成した。まず、屋根の一部が開閉自在な可動屋根により形成された開閉式屋根において、前記可動屋根が走行するガイドレールの上方に、前記可動屋根が開く方向へ走行するのに伴い順次開き、前記可動屋根が閉じる方向へ走行するのに伴い順次閉じるレールカバーを設けた。
【0008】
また前記レールカバーは、前記ガイドレールと直交する方向へ開閉させる構成とした。
【0009】
また前記レールカバーは、ヒンジ機構を備えた複数の板状体から構成した。
【0010】
そして前記レールカバーの開閉手段として、前記可動屋根を支持してガイドレールを走行する可動屋根走行台車に、前記レールカバーが上方に開く時のカバー車輪の軌跡と一致するように形成されているカバー車輪誘導レールを設けた。また、各レールカバーの裏面にはカバー車輪を設けた。こうして前記可動屋根走行台車が走行することにより、カバー車輪がカバー車輪誘導レールに誘導されて走行し、各レールカバーを順次開閉させるようにした。
【0011】
さらに前記可動屋根走行台車には、開状態のレールカバーを閉じる方向へ押し出すためのカバー押し出し機構を装備させたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に添付図面に基づき、この発明による具体例を説明する。
図1は、この発明によるレールカバー開閉システムを採用した開閉式屋根を有するドーム型建築物の一実施例を示す平面概略図、図2は、図1における円形部Aの拡大概略図、図3は、図1における屋根部構造体のB方向からの矢視断面概略図、図4は、図3における円形部Cに設けたレールカバー部の拡大概略図、図5は、図4のD方向から見たこの発明によるレールカバー開閉システムの動作状況を示す説明図、図6は、図3における円形部Cの拡大概略図、図7は、図6のE方向から見たカバー押し出し機構を示す概略図である。
【0013】
図1に示すように、この実施例によるドーム型建築物10は、建屋本体11に固定された固定屋根12と、開閉自在な可動屋根13(矢印方向へ開く)によって構成した。この可動屋根13には、図3、図4、図5、図6に示すように、可動屋根13部材を支持する支持脚25(複数本立設される)を備えた走行台車27を設け、アーチ状のメインガーダー21上のレール溝20に設置したガイドレール14を走行させるようにした。勿論、前記ガイドレール14は、アーチ状に傾斜させて設けてある。つまり、可動屋根13が開く時は、自重により下降して開き、閉じる時は、前記走行台車27をウインチ等により引き上げて閉じる構成としたわけである。そして、可動屋根13の閉じた状態の屋根部を除くガイドレール14上を、この発明によるレールカバー15で覆った。なお、すべての屋根部材には、膜材を使用した。
【0014】
また、この発明によるレールカバー15は、図2に示すように、複数の板状体(パネル)を連続して並べ構成した。そして、この各レールカバー15の一端には、ヒンジ機構17を取り付け、前記ガイドレール14と直交する方向へ片開きの開閉とした。
【0015】
次に、この実施例の屋根構造について説明する。
この屋根部構造体は、図3に示すように、外膜部18を有する骨組構造からなる可動屋根13と、外膜部18および内膜部19を有するトラスアーチ24構造からなる固定屋根12とによって構成してある。この固定屋根12の上端側は、建屋本体11内にアーチ状に立設された複数の梁22上に固定し、上部空間は、開口部16とした。また、前記可動屋根13は、2部材に分割して構成し、前記梁22上のメインガーダー21上のレール溝20に設置したガイドレール14に、前述した可動屋根13部材を支持する支持脚25(複数本立設される)を備えた走行台車27を走行させることにより、開閉を行うものとした。また、前記可動屋根13の下端部は、固定屋根12の最上部と重なるように固定屋根12上に張り出した構造とし、可動屋根13が閉じた状態では、雨水等が開口部16から建屋本体11内へ侵入しないようにしてある。なお、前記固定屋根12および可動屋根13の表面(つまり、外膜部18)は、四フッ化エチレン樹脂コーティングガラス繊維布とした。積雪を滑落し易くするためである。
【0016】
次に、図4、図5、図6、図7により、この実施例におけるレールカバー開閉システムを説明する。
このレールカバー15の開閉は、可動屋根13の開閉動作を利用した連動開閉システムで行う。図示のように、前述したメインガーダー21上の固定屋根12間には、ヒンジ機構17を備えた片開きのレールカバー15を取り付け、各レールカバー15の裏面の予め設定した位置に車輪28を取り付けた。また一方、ガイドレール14を走行して可動屋根13の開閉を行う、可動屋根13部材を支持する支持脚25を備えた走行台車27には、前記車輪28を誘導して走行させる誘導レール29を前記車輪28の設定位置に対応させ、図示していないが、鉄骨プレートおよび桟等を介して取り付けた。この誘導レール29の形状は、予めレールカバー15が上方へ開く時の前記車輪28の軌跡と一致するように設計し、緩やかな開閉となるようにした。つまり、図5に示すようなねじれたレール形状とした。このようにして、走行台車27の走行に伴い、走行台車27に取り付けた誘導レール29上をレールカバー15の裏面に取り付けた車輪28が走行し、走行台車27側のレールカバー15から順次開いて行く構成とした。
【0017】
さらに、可動屋根13を閉じるため、走行台車27を逆方向(図5の太矢印の逆方向)に走行させるわけだが、レールカバー15を閉じるためには、90°開きで止まっているレールカバー15を閉じる方向へ押し出す必要がある。このため、図6および図7に示すように、前記した支持脚25から水平にアーム部材31を取り付け、そのアーム部材31にレールカバー15を押し出す、押し出しプレート32を備えたカバー押し出し金具33を取り付けた。ここでの押し出しプレート32には、スプリング34等を取り付けて確実に押し出すよう構成した。こうして、走行台車27が閉じる方向へ走行すると、前記押し出しプレート32がレールカバー15を閉じる方向へ押し出し、レールカバー15の裏面に取り付けた車輪28が走行台車27に取り付けた誘導レール29上を走行し、走行台車27側のレールカバー15から順次閉じて行くわけである。なお、図6では、車輪28、誘導レール29は省略してある。
【0018】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、次のような効果を奏する。
(1),この発明によるレールカバー開閉システムは、可動屋根を支持して走行する走行台車と連動して開閉するシステムであるので、別個に動力が必要なく、ローコストで確実な開閉が可能となった。
(2),この発明によるレールカバー開閉システムは、簡単な構造であるため、保守点検が非常に容易になった。
(3),この発明によるレールカバー開閉システムは、可動屋根を支持して走行する走行台車のガイドレールと直交する方向へ開閉する構成である。従って、レールカバーが傾斜しているので雪等が滑落し、レールカバー上に積雪しないようになる。
(4),(1)および(3)により、雨および雪の侵入を最小限に押さえることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるレールカバー開閉システムを採用した開閉式屋根を有するドーム型建築物の一実施例を示す平面概略図である。
【図2】図1における円形部Aの拡大概略図である。
【図3】図1における屋根部構造体のB方向からの矢視断面概略図である。
【図4】図3における円形部Cに設けたレールカバー部の拡大概略図である。
【図5】図4のD方向から見たこの発明によるレールカバー開閉システムの動作状況を示す説明図である。
【図6】図3における円形部Cの拡大概略図である。
【図7】図6のE方向から見たカバー押し出し機構を示す概略図である。
【符号の説明】
10・・ドーム型建築物
11・・建屋本体
12・・固定屋根
13・・可動屋根
14・・ガイドレール
15・・レールカバー(板状体)
16・・開口部
17・・ヒンジ機構
18・・外膜部
19・・内膜部
20・・レール溝
21・・メインガーダー
22・・梁
23・・キール
24・・トラスアーチ
25・・支持脚
26・・梁
27・・走行台車
28・・車輪
29・・誘導レール
30・・車輪(走行台車用)
31・・アーム部材
32・・押し出しプレート
33・・カバー押し出し金具
34・・スプリング
Claims (3)
- 屋根の一部が開閉自在な可動屋根により形成された開閉式屋根において、
前記可動屋根が走行するガイドレールの上方に、前記可動屋根が開く方向へ走行するのに伴い順次開き、前記可動屋根が閉じる方向へ走行するのに伴い順次閉じるレールカバーを設けた開閉式屋根のレールカバー開閉システムであって、
前記レールカバーの開閉手段は、該レールカバーの裏面に設けられたカバー車輪と、
前記可動屋根を支持して前記ガイドレールを走行する可動屋根走行台車に設けられたカバー車輪誘導レールと、を備え、
前記カバー車輪誘導レールは、前記レールカバーが上方に開く時の前記カバー車輪の軌跡と一致するように形成されていることを特徴とする開閉式屋根のレールカバー開閉システム。 - 前記レールカバーは、前記ガイドレールと直交する方向へ開閉させる構成としたことを特徴とする請求項1記載の開閉式屋根のレールカバー開閉システム。
- 前記レールカバーは、ヒンジ機構を備えた複数の板状体からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開閉式屋根のレールカバー開閉システム。
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JP23510695A JP3699508B2 (ja) | 1995-09-13 | 1995-09-13 | 開閉式屋根のレールカバー開閉システム |
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1995
- 1995-09-13 JP JP23510695A patent/JP3699508B2/ja not_active Expired - Fee Related
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