JP3699477B2 - 細胞表面受容体hekに結合するサイトカイン - Google Patents
細胞表面受容体hekに結合するサイトカイン Download PDFInfo
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Description
受容体チロシンキナーゼとして知られる蛋白質は、リガンドとの結合によって活性化される固有のキナーゼ活性を有している。このクラスの蛋白質は、触媒領域内の保存された構造上のモチーフにより特徴付けられ(Hanks等、Science,242:42,1988)、触媒領域から5'側の領域の構造上の特徴に基づき、様々なファミリーに分類することが可能である。
Boyd等(J.Biol.Chem.,267:3262,1992)は、チロシンキナーゼ活性を示す細胞表面グリコプロテインを精製した。N-末端アミノ酸配列から、この蛋白質はeph/elkファミリーのメンバーと同定され,この蛋白質はそれゆえhek(ヒトeph/elk-様キナーゼ)と命名された。hekと免疫反応するモノクローナル抗体が、多くのヒト細胞型に於けるhek発現の研究に用いられた(Boyd等、上記)。hek抗原は、ヒトpre-B細胞の白血病細胞系LK63(抗体作製の為の免疫原として用いられた細胞系)及びヒトT-細胞の白血病細胞系JMに於いて検出された。Raji Bリンパ細胞系は、弱いhek抗原発現を示し、試験された残りの細胞系(正常細胞及び腫瘍細胞の両者で、pre-B及びT-細胞系を含む造血細胞系)では一貫して陰性であった。正常組織及び腫瘍組織の生体組織検査用標本をhek抗原発現に関しても試験したが、正常組織のどれもが陽性でなく、造血腫瘍組織の非常に低い比率の部分のみが陽性であった。
上記LK63とJM細胞系、さらにヒトT-細胞の白血病細胞系HSB-2に於けるhek転写産物の発現は、ノザンブロット分析によって証明されている(Wicks等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:1611,1992)。単離されたhek cDNAクローンに対するヌクレオチド及びアミノの配列は、上記Wicks等により発表されている。
hek蛋白質は、次のものを含む多数の他の受容体チロシンキナーゼと非常に近い関係にある:elk(Letwin等、Oncogene 3:621,1988及びLhotak等、Mol.Cell.Biol.11:2496,1991);hekホモログmek4及びcek4(Sajjadi等、New Biol.3:769,1991);eek(Chan等、Oncogene 6:1057,1991);erk(Chan等、上記);eck(Lindberg等、Mol.Cell.Biol.10:6316,1990);cek5(Pasquale,E.B.Cell Regulation 2:523,1991);及びeph(Hirai等、Science 238:1717,1987)。このサブファミリーの蛋白質は、それらの細胞質領域のみでなく細胞外領域に於いても近縁にあり、41から68%同一である。興味深いことに、これら各種の受容体の組織分布は、多様である。例えば、elk mRNAの発現は、精巣及び脳に限られていることが報告されており(Lhotak等、上記)、それに対し、eckは、それら同じ二つの組織のみならず肺、腸、腎臓、脾臓、卵巣及び皮膚においても見出だされている。
受容体チロシンキナーゼに対するリガンドは、受容体を発現している細胞の増殖、分化及び生存に影響する蛋白質の多様なグループである。今日まで、hekに対するリガンドは、発見されていない。hekを結合する単数または複数の推定上のリガンドの同定は、hek蛋白質により制御される細胞プロセスの性質を研究上で有用性を証明するであろう。
発明の概要
本発明は、hekとして知られる細胞表面受容体に結合するhekリガンド(hek-L)と命名される新規のサイトカインを提供する。更に本発明は、hek-L蛋白質をコードする単離されたDNA、単離されたDNAを含む発現ベクター、及びhek-L蛋白質の発現に適した条件下で発現ベクターを含む宿主細胞を培養することによるhek-L生産方法を提供する。hek-L蛋白質又は、それの免疫原断片に対する抗体も開示されている。
発明の詳細な説明
hekとして知られる細胞表面蛋白質に結合する新規な蛋白質リガンドをコードするcDNAが本発明に於いて単離された。又、hekリガンド(hek-L)cDNAを含む発現ベクター及びhek-Lの発現に適した条件下で発現ベクターを含む宿主細胞を培養することによる組換えhek-Lポリペプチドの製造方法並びに発現したhek-Lの回収法も提供される。精製されたhek-L蛋白質は、該蛋白質の可溶型も含め本発明に包含される。
本発明は、又、hek-L免疫原に特異的な抗体を生み出す免疫原として作用することが可能なhek-L又はそれの抗原断片を提供する。従ってhek-L又はそれの抗原断片に特異的なモノクロナル抗体は調製可能である。
本発明により開示される新規なサイトカインは、受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバーである細胞表面受容体hekに対するリガンドである。本発明のhekリガンドの一つの用途としては、hek受容体を有する細胞の増殖または分化に於いて、hekと結合することにより果たされるであろうhek-Lの役割を調査するための研究道具があげられる。細胞上でのhek-Lのhekへの結合により開始され得る生物学的シグナルを研究することができる。腫瘍発生に於いてhek何等かの役割を担っている可能性が示唆されている(Boyd等、上記)。本明細書中で提供されるhekリガンドは、hek-Lの同種の受容体への結合が腫瘍発生に於いて持ち得る効果を研究する上で有用である。
本発明のhek-Lポリペプチドは、又、hekもしくはhek-L又はそれらの相互作用を検出するin vitroでの分析にも用いることができる。hek抗原は、ある種の白血病細胞系で検出されているので、hek-Lは、その様な細胞への診断用又は細胞毒性作用物を投与する為の担体としても使用可能である。hekリガンドの上記の用途及びその他の用途は、以下に詳述される。
本発明のhek-L蛋白質は、又、elkとして知られる受容体チロシンキナーゼにも結合することがわかった。elkはLetwin等,Oncogene 3:261,1988及びLhotak等Mol.Cell.Biol.11:2496,1911により記載されている。スカッチャード分析により、実施例5に記載されているように二個のhek-Lに結合したelkの二相パターンが明らかにされた。それ故、本明細書に開示されたhek-L蛋白質は、又、例えば種々の分析操作に於いて、elkを結合させるために使用できる。しかしながら、elk-Lのelkに対するより高い親和性の観点から、その様な用途には一般的には実施例5に記載されたelkリガンド(elk-L)蛋白質が、好まれる。
実施例5に記載された結合研究は、又、elkリガンド(elk-L)がhekと結合することを明らかにした(二相結合パターン)。B61として知られる近縁蛋白質(Holzman等、Mol.Cell.Biol.10:5830,1990)は、hek(線形パターン)とelk(二相パターン)の両者と結合することが見出された。相対的な親和性は、実施例5の表I及びIIに示す。
hek-L DNAをクローン化する試みに於いて核酸源として用いるのに適した細胞を決定するために、種々のタイプの細胞が、hekを(ヒトhekとFcポリペプチド抗体からなる融合蛋白質の形で)結合する能力により選別された。ヒトT-細胞の白血病細胞系は、hek/Fc結合に陽性であり、cDNA発現ライブラリーはこれから作製された。実施例3に記載されたように、hek/Fc結合蛋白質の発現に対するクローンを選別することにより、ヒトhek-Lをコードする二個の異なるcDNAクローンを単離するのに成功した。第1のヒトhek-L cDNAクローンのDNA配列とそれによりコードされるアミノ酸配列は、配列番号1及び配列番号2に示されている。第2のヒトhek-LクローンのDNA及びそれによりコードされるアミノ酸配列は、配列番号3及び配列番号4に示されている。ヒトhek-L cDNAクローンのヌクレオチド及びそれによりコードされるアミノ酸配列の両者と、Genbank及びSwissprotデータベースとの比較は、hekリガンドの配列が固有であることを示した。二つのクローンによってコードされたhek-結合蛋白質のアミノ酸配列は38%同一である。
ヒトhek-L cDNAを、第1の陽性なクローンから単離し、ストラタジーンクローニングシステム社、カリフォルニア州、ラホーヤ(Stratagene Cloning System,La Jolla,CA)より入手可能なクローニングベクターpBLUESCRIPT(登録商標)SK(-)の(マルチクローニングサイト領域の)Bam HI部位に挿入した。得られた組換えベクターは、A2/pBSと命名され、E.coli DH5α細胞に入れられて1993年8月11日にアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)に寄託され寄託番号ATCC 69384が与えられた。ヒトhek-L cDNAを、第2の陽性なクローンから単離しpBLUESCRIPT(登録商標)SK(-)のBam HI部位に挿入した。得られた組換えベクターは、C6/pBSと命名され、E.Coli DH5α細胞に入れられて1993年8月25日にアメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託され、寄託番号ATCC 69395が与えられた。両寄託は、ブタペスト条約(Budapest Treaty)の条項にもとずき行われた。
配列番号2の(クローンA2のcDNAによりコードされた)hek-Lは、N-末端シグナルペプチド(アミノ酸-19から-1まで)、細胞外領域(アミノ酸1から202まで)及びアミノ酸203から始まるC-末端疎水性領域からなる。配列番号4の(クローンC6のcDNAによりコードされた)hek-Lは、N-末端シグナルペプチド(アミノ酸-22から-1まで)、細胞外領域(アミノ酸1から160まで)、及びアミノ酸161から始まるC-末端疎水性領域からなる。
クローンA2及びC6によって発現されたhek-L蛋白質は、グリコシル−フォスファチジルイノシトール(GPI)リンケージによって細胞表面に固定されていることが知られている。GPI膜アンカーは、化学構造とその加工を含め、Ferguson,M.及びA.Williamsによって記載されている(Ann.Rev.Biochem.,57:285,1988、本明細書中に参考文献として取込まれる)。発現された当初は、ある蛋白質はGPIアンカーのシグナルを含むC-末端疎水性領域からなっている。切断部位は、疎水性領域のN-末端の上流(約10-12アミノ酸上流であることが多い)に位置する。翻訳後加工は、この切断部位での切断を含む。GPIアンカーは、加工された成熟蛋白質の新たにむき出しになったC-末端アミノ酸に接着する。それ故、hek-L蛋白質が疎水性領域にあるGPIアンカーシグナルを認識する細胞で発現するとき、配列番号2及び4のアミノ酸配列の全ては、該蛋白質の前駆体となる。
GPIアンカー蛋白質から得られた共通配列から、本発明のhek-L蛋白質の有望な切断部位は、配列番号2のアミノ酸194と195の間、及び配列番号4のアミノ酸148と149の間である。蛋白質の切断後、GPIの分子は、今や加工された蛋白質のC-末端となったセリン残基に接着する(配列番号2のアミノ酸194及び配列番号4のアミノ酸148)。切断は、hek-L蛋白質の疎水性領域の上流のどこででも起こり得る。
本明細書で使用する用語"hek-L"は、hekと結合することができ、配列番号2又は配列番号4のhek-L蛋白質と相同性(好ましくは最低80%相同)を示す一群のポリペプチドである。ヒトhek-Lは、マウス、ラット、ウシ、ブタ又はその他の霊長類の種を含む(但しそれ等に限定しないが)他の哺乳動物種由来のhek-L蛋白質と同様、本発明の範囲内である。本明細書で使用されているように、用語"hek-L"は、蛋白質の膜結合型及び可溶型(分泌型)の両者を含む。hek-結合の性質を保持するトランケイトされた蛋白質は、本発明に包含される。その様なトランケートされた蛋白質は、例えば疎水性領域を欠き細胞外(受容体結合)領域のみからなる可溶性hek-Lを含む。
ヒトhek-L cDNAを、放射性標識し、種間ハイブリダイゼーションによるほかの哺乳動物のhek-L cDNAの単離の為のプローブとして使用できる。例えば、他の哺乳動物種のT-細胞白血病細胞系から得られたcDNAライブラリーを、放射性標識されたヒトhek-L cDNAを用いスクリーニングして、陽性なクローンを単離することもできる。或いは、種々の細胞系から単離されたmRNAを、ノザンハイブリダイゼーションによりスクリーニングして、hek-L遺伝子のクローン化に用いるのに適した哺乳動物のhek-L mRNAのソースを決定することができる。
hek/Fc融合蛋白質は、下記実施例2及び3に記載したスクリーニング操作に用いられるが、hekは、hek-L蛋白質の発現に関してのクローン及び細胞系候補のスクリーニングに用いることができる。しかし、hek/Fc融合蛋白質は、容易に精製できると言う利点を提供する。更に、ジスルフィド結合が2個の独立した融合蛋白鎖のFc領域間に形成され、二量体を作る。
他の抗体Fc領域は、実施例1に記載したようにヒトIgG1 Fc領域ムテインと置換することができる。他の適切なFc領域としては、プロテインA又はプロテインGに高い親和性で結合可能なものがあり、マウスIgG1のFc領域またはヒトIgG1 Fc領域の断片、例えば、鎖間ジスルフィド結合が形成されるよう少なくともヒンジ領域を持つ断片が含まれる。
本発明の一つの態様は、可溶性hek-Lポリペプチドを提供する。可溶性hek-Lポリペプチドは、ネイティブなhek-Lの細胞外領域の全部又は一部からなるが、細胞膜にポリペプチドを繋げておくためのシグナルを含めた疎水性領域を欠く。可溶性hek-Lポリペプチドは、好都合なことに、最初合成されたとき分泌を促進するネイティブな(又はヘテロな)シグナルペプチドを含んでいるが、シグナルペプチドは、細胞からhek-Lが分泌されるとき切断される。使用できる可溶性hek-Lポリペプチドは、hek受容体を結合する能力を保持する。可溶性hek-Lは、又、可溶性hek-L蛋白質が分泌され得ることを条件に疎水性領域の一部を含むこともできる。
可溶性hek-Lは、所望の蛋白質を発現した細胞を無傷のまま細胞培養培地から、例えば遠心分離により分離し、培地(上清液)を求める蛋白質の存在に関して分析することにより、同定できる(そして非可溶性の膜結合型のものから区別することができる)。培地中のhek-Lの存在は、蛋白質が細胞から分泌されたこと、従ってそれが求める蛋白質の可溶型であることを示す。可溶性hek-Lは、この蛋白質の、例えばオルタナティブスプライシングから生じた、天然に存在する型でもよい。更に、GPIリンクされたhek-Lは、細胞表面から培養培地に、例えばプロテアーゼ又は他の酵素の働きによって、放出又は流出され得る。
hek-Lの可溶型の使用は、ある種の応用に好都合である。可溶性蛋白質が細胞から分泌されるため組換え宿主細胞からの蛋白質の精製は容易になる。更に、可溶性蛋白質は、一般的に静脈からの投与により適している。
可溶性hek-Lポリペプチドの実施例は、ネイティブなhek-L蛋白質の全ての細胞外領域からなるものを含む。そのような可溶性蛋白質の一つは、配列番号2のアミノ酸1から202までを含み、他の一つは、配列番号4のアミノ酸1から160までを含む。最初に宿主細胞内で発現させる際に、可溶性蛋白質は、使用する宿主細胞内で機能する下記のヘテロなシグナルペプチドの一つを付加的に含んでいてもよい。或いは、蛋白質は、hek-Lが配列番号2のアミノ酸-19から202まで又は配列番号4のアミノ酸-22から160までを含んでいたように、最初からネイティブなシグナルペプチドを含んでいてもよい。可溶性hek-L蛋白質は、GPI接着部位として働くアミノ酸を含むところまでC-末端を欠失するようにトランケートされていてもよい。実施例は、上で議論されたように、配列番号2のアミノ酸1-193又は配列番号4のアミノ酸1-147を含む蛋白質を含む。GPI接着部位は欠失されていてもよいが、疎水性領域の欠失が、細胞膜への蛋白質のGPIアンカーを妨げるには十分であると考えられている。更なる態様では、蛋白質はC-末端をトランケートして、C-末端アミノ酸が配列番号2のアミノ酸193と202間、又は配列番号4のアミノ酸147と160間のどのアミノ酸となっても良い。可溶性hek-L蛋白質をコードするDNA配列は、本発明に包含される。
可溶性ポリペプチドを含めトランケートされたhek-Lは、多数の従来の技術のいずれによっても調製できる。希望するDNA配列は、既知の技術を用いて化学的に合成できる。DNA断片もまたクローン化されたDNA配列の全長を制限エンドヌクレアーゼ消化で作り出すことができ、アガロースゲルでの電気泳動により分離できる。DNA断片の5'又は3'末端を希望する位置に再構築するオリゴヌクレオチドは、合成できる。オリゴヌクレオチドは、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を希望するコード配列の上流に含み、開始コドン(ATG)をコード配列の5'末端に位置させることができる。良く知られた複製連鎖反応法も、希望する蛋白質断片をコードするDNA配列を単離するため使用できる。更なる代替として、既知の変異導入の技術を用いて、希望する位置に、例えば細胞外領域の最後のアミノ酸のコドンの直ぐ下流に、終止コドンを挿入できる。
本発明の或る態様は、配列番号1のヌクレオチド83-796(全コード領域)、83-745(シグナルペプチド及び細胞外領域をコードする)、140-796(シグナルペプチドを除く蛋白質をコードする)、及び140-745(細胞外領域をコードする)からなるグループから選択されたヌクレオチド配列を含む単離されたDNAを提供する。又、配列番号3のヌクレオチド28-630(全コード領域)、28-573(シグナルペプチド及び細胞外領域をコードする)、94-630(シグナルペプチドを除く蛋白質をコードする)、及び94-573(細胞外領域をコードする)からなるグループから選択されたヌクレオチド配列を含む単離されたDNAも提供する。配列番号2及び配列番号4の蛋白質の生物学的活性のある断片をコードするDNAも、C-末端でトランケートされた上述のhek-L蛋白質をコードするDNAを含めて(但しそれ等に限定はされないが)提供される。
本発明のhek-L DNAは、cDNA、化学的に合成されたDNA、PCRにより単離されたDNA、ゲノムDNA、及びそれらの組合わせを含む。ゲノムhek-L DNAは、標準的な技術を用い、クローンA2又はC6のcDNAへのハイブリダイゼーションにより単離できる。
本発明は、組換え及び非組換えの両方の精製されたhek-Lポリペプチドを提供する。希望する生物学的活性(例えば、hekと結合する能力)を保持する、ネイティブなhek-L蛋白質の変異体及び誘導体も、又本発明の範囲に含まれる。本発明の一つの態様に於いて、成熟hek-L蛋白質は、N-末端アミノ酸配列Leu-Leu-Ala-Gln-Gly-Pro-Gly-Gly-Ala-Leu-Gly-Asnにより特徴付けられる。他の一つの態様に於いて、成熟hek-L蛋白質は、N-末端アミノ酸配列Gly-Ser-Ser-Leu-Arg-His-Val-Val-Tyr-Trp-Asn-Serにより特徴付けられる。
hek-L変異体は、例えば、天然のhek-Lポリペプチドのヌクレオチド配列コードの変異によって得ることができる。本明細書で言及されるhek-L変異体は、天然のhek-Lに本質的に相同なポリペプチドであるが、一つもしくはそれ以上の欠失、挿入、又は置換のため、天然のhek-L(ヒト、マウスまたは他の哺乳動物の種)のアミノ酸配列とは異なった配列を持つ。hekを結合するその様な変異体は、配列番号2及び配列番号4で提供されたアミノ酸配列を持つネイティブなhek-結合蛋白質の同等物である。
本発明の変異体DNA及びアミノ酸配列は、配列番号1−4の天然の配列のような天然のhek-L配列に対し、好ましくは最低80%同一であり、さらに好ましくは最低90%同一である。断片に対してのパーセント同一性は、断片中に存在するネイティブな配列の部分に関して計算される。本発明の或る態様は、配列番号2のアミノ酸1-194、1-202及び1-219、並びに配列番号4のアミノ酸1-148、1-160及び1-179からなるグループから選択された配列に、最低80%同一であるアミノ酸配列からなるhek-Lポリペプチドを提供する。
ネイティブなアミノ酸配列の変更は、多数の既知の技術のいずれによっても達成できる。変異は、ネイティブな配列の断片への連結を可能にする制限部位が横に付いている変異配列を含むオリゴヌクレオチドを合成することにより、特定の遺伝子座位に導入できる。連結後、得られた再構築された配列は、希望するアミノ酸の挿入、置換又は欠失を持つ類似体をコードする。
或いは、オリゴヌクレオチドによる部位特異的変異導入法は、必要とされる置換、欠失又は挿入に従って変更された特定のコドンを持つ変更された遺伝子を提供するために使用できる。上述の変更を行う典型的な方法は、Walder等(Gene 42:133,1986);Bauer等(Gene 37:73,1985);Craik(Bio Techniques,January 1985,12-19);Smith等(Genetic Engineering:Principles and Methods,Plenum Press,1981);Kunkel(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488,1985);Kunkel等(Methods in Enzymol.154:367,1987);及び米国特許第4,518,584号及び4,737,462号により開示され、それらは本明細書中に参考文献として取込まれる。
変異体は、保存的に置換された配列を含んでも良い。これの意味するところは、或るアミノ酸残基が、同様な生理化学的性状を持った残基により置換えられるということである。保存的置換の例は、Ile,Val,Leu又はAlaが互いに置換するような一つの脂肪族残基の他の一つとの置換、又はLysとArg間;GluとAsp間;又はGlnとAsn間のような一つの極性残基の他の一つとの置換を含む。その他のその様な保存的置換、例えば同様な疎水性の性格を持った全領域の置換は良く知られている。
hek-Lは、又グリコシル基、脂質、フォスフェート、アセチル基及びその様な他の化学成分と共有結合又は凝集結合を形成することによりhek-L誘導体を作り出すために修飾されていても良い。hek-Lの共有誘導体は、化学成分をhek-Lアミノ酸側鎖の官能基、又はhek-LポリペプチドのN-末端もしくはC-末端、又はそれらの細胞外領域に結合させることにより調製することができる。本発明に含まれるhek-Lのその他の誘導体は、N-末端又はC-末端融合体のような組換え培養での合成によるような、hek-L又はその断片の、他の蛋白質又はポリペプチドとの共有又は凝集結合体を含む。
hek-Lリガンドを最初に組換え系で発現させたとき、(ネイティブ又はヘテロな)シグナル又はリーダー配列を、hek-LポリペプチドのN-末端に含んでいても良い。シグナル又はリーダーペプチドは、翻訳時に又は翻訳後に蛋白質の合成の部位から細胞膜又は細胞壁の外側の部位への蛋白質の輸送を指令し、分泌過程で成熟蛋白質から切断される。使用される発現系に従って一般的に選択される、適切なヘテロなシグナルペプチドの実施例を、以下に記述する。
hek-Lポリペプチド融合体は、hek-Lの精製及び同定を容易にするため付加されたペプチドを含むことができる。その様なペプチドは、例えば、ポリ-His又は米国特許第5,011,912号及びHoppら、Bio/Technology 6:1204,1988により記載されている抗原同定ペプチドを含む。その様なペプチドの一つは、高度に抗原的であり発現した組換え蛋白質の迅速な分析及び容易な分離を可能にする特異的モノクローナル抗体に可逆的に結合するエピトープを提供する、FLAG(登録商標)ペプチド、Asp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys(DYKDDDDK)である。このペプチドでキャップされた融合蛋白質は、又E.coliに於ける細胞内分解に抵抗できる。4E11と命名されたマウスのハイブリドーマは、(本明細書中に参考文献として取込まれる米国特許第5,011,912号に記載されるように)ある種の二価金属カチオンの存在下でペプチドDYKDDDDKを結合するモノクローナルな抗体を生産し、アメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託番号HB 9259として寄託された。
本発明は、更に関連するネイティブパターンのグリコシル化を伴う、又は伴わないhek-Lポリペプチドを含む。酵母又は哺乳動物の発現系(例えばCOS-7細胞)で発現したhek-Lは、発現系の選択によって分子量とグリコシル化パターンが、ネイティブなhek-Lポリペプチドと同様か又は有意に異なり得る。E.coliの様なバクテリア発現系でのhek-Lポリペプチドの発現は、非グリコシル化分子を提供する。
アミノ酸残基又は配列の種々の添加もしくは置換、又は生物学的活性もしくは結合に不必要な末端または内部残基又は配列の欠失をコードするDNA構築物が調製可能である。例えば、hek-L細胞外領域のN-グリコシル化部位を、哺乳動物及び酵母発現系に於いてより均質且つ炭水化物の少ない類似体を発現させるため、グリコシル化を妨げるように修飾することができる。真核生物のポリペプチドに於けるN-グリコシル化部位は、アミノ酸トリプレットAsn-X-Yにより性格付けられる(ここで、XはProを除くいかなるアミノ酸でもよく、YはSer又はThrである)。このトリプレットをコードするヌクレオチド配列の適切な修飾は、Asn側鎖での炭水化物残基の接着を妨げる置換、添加又は欠失をもたらす。例えば、Asnが異なった蛋白質に置き換えられるよう選ばれた1個のヌクレオチドの変更は、N-グルコシル化部位を不活化するのに十分である。蛋白質のN-グリコシル化部位を不活化する既知の方法としては、本明細書中に参考文献として取込まれる米国特許第5,071,972号及び欧州特許第276,846号に記載されている方法を含む。
3個のN-グリコシル化部位が、クローンA2によりコードされたhek-Lの配列番号2のアミノ酸19-21、48-50及び81-83で見出されている。1個のN-グリコシル化部位が、クローンC6によりコードされたhek-Lの配列番号4のアミノ酸11-13で見出されている。
他の例では、生物学的活性に必須でないCys残基をコードする配列は、再生に於ける誤った分子間ジスルフィド結合を形成しないよう、Cys残基を欠失するか又は他のアミノ酸に置換えるように変更することができる。他の変異体は、KEX2プロテアーゼ活性が存在する酵母系での発現を促進するため、隣接する二塩基性アミノ酸残基の修飾によって調製される。欧州特許第212,914号は、蛋白質のKEX2プロテアーゼ加工部位を不活化するための部位特異的変異導入の使用を開示している。KEX2プロテアーゼ加工部位は、隣接する塩基性残基の存在を排除するようArg-Arg,Arg-Lys及びLys-Argの対を変更するように、残基を欠失、添加又は置換することにより不活化される。Lys-Lys対は、KEX2切断にあまり敏感でなく、Arg-Lys又はLys-ArgのLys-Lysへの転換は、KEX2部位の不活化への保存的で好ましい解決法である。KEX2プロテアーゼ加工部位は、配列番号2のhek-Lのアミノ酸26-27、87-88及び199-200に見出されている。配列番号4のhek-Lは、アミノ酸73-74と134-135にKEX2プロテアーゼ加工部位を含む。
天然に存在するhek-L変異体は、また本発明に包含される。そのような変異体の例は、mRNAオルタナティブスプライイシング又はhek-L蛋白質のタンパク質分解切断から生じるhek結合性を保持した蛋白質である。mRNAのオルタナティブスプライシングは、例えば、蛋白質の天然に存在する可溶型のような、トランケートされてはいるが生物学的に活性のあるhek-L蛋白質を作ることもできる。タンパク質分解に起因する変異体は、例えば、hek-L蛋白質から(一般的に1-5未満アミノ酸から)の一つ又はそれ以上の末端アミノ酸の加水分解による除去による、異なったタイプの宿種細胞内での発現した際のN-又はC-末端の相違を含む。シグナルペプチドは、与えられた蛋白質の異なった位置で切断され、その結果、成熟蛋白質のN-末端アミノ酸の変異が生じ得る。。
一つの発現系に於いて、クローンC6によってコードされたhek-L蛋白質のN-末端アミノ酸は、配列番号4のアミノ酸4(Leu)であった。クローンA2から誘導された可溶性hek-L融合蛋白質の調製品の一つは、N-末端アミノ酸として配列番号2のアミノ酸2(Asn)を持つ融合蛋白質(約60%)と、配列番号2のアミノ酸1(Leu)がN-末端アミノ酸である融合蛋白質の混合物から成っていた。本発明のある態様は、それゆえN-末端アミノ酸が、配列番号4のアミノ酸1-4のいずれか又は配列番号2のアミノ酸1-12のいずれかである蛋白質(可溶性又は膜結合)に向けられた。
1個以上のコドンにより同じアミノ酸がコードできる遺伝暗号の既知の縮重のため、DNA配列は、配列番号1又は3に示されたものから変異され、それでも尚配列番号2又は4のアミノ酸配列を持つhek-L蛋白質がコードされ得る。そのような変異体DNA配列は、サイレント変異(例えば、PCR増幅に於いて起こる)から生じ得るもので、またネイティブな配列を慎重に変異導入した産物でもあり得る。
それゆえ本発明は生物学的に活性なhek-Lをコードする次の物から選択され単離されたDNA配列を提供する:(a)ネイティブな哺乳動物のhek-L遺伝子のコード領域から誘導されたDNA(例えば、配列番号1又は配列番号3に示されたヌクレオチド配列のコード領域からなるcDNA);及び(b)(a)により規定されたDNAの遺伝暗号の結果としての縮重物で生物学的に活性なhek-LをコードするDNA。その様なDNA配列によりコードされたhek-L蛋白質は、本発明に包含される。
本発明のhek-L DNAは、cDNA、化学的に合成されたDNA、PCRにより単離されたDNA、ゲノムDNA、及びそれらの組合わせを含む。ゲノムhek-L DNAは、標準的な技術を用いた、クローンA2又はC6のcDNAのハイブリダイゼーションにより単離できる。
生物学的活性の分析
hekを結合する能力を持つ変異体は、適切な分析のいずれによっても同定できる。一般的な分析技術も、ネイティブなhek-L蛋白質のhek-結合活性の分析に有用である。hek-Lの生物学的活性は、例えば、hekのリガンド結合領域への結合の競合(即ち競合的結合分析)により決定できる。
hek-Lポリペプチドの競合的結合分析の一つの型は、放射性標識された可溶性ヒトhek-L及び細胞表面hekを発現しているインタクトな細胞を使用する。インタクトな細胞の替わりに、(hek/Fc融合蛋白質のような)融合蛋白質のFc領域とプロテインA又はプロテインGとの相互作用により固体相に結合させた、可溶性hekと置換えできる。別の型の競合結合分析は、放射性標識されたhek/Fc融合蛋白質のような可溶性hek及びhek-Lを発現するインタクトな細胞を用いる。又、可溶性hek-Lは、固体相に結合されていても良い。
競合結合分析は、標準的な方法論を用いて行うことができる。例えば、表面結合hekに対する結合活性を分析するため、放射性標識されたhek-Lを用いて、推定上のhek-Lホモログと競合させることができる。定性的結果は、競合オートラジオグラフィックプレート結合分析により得ることができ、又定量的結果を得るためスカッチャードプロットを使用しても良い。
又、可溶性hekは、125Iで標識されたhek-Lのような検出可能な成分の存在を分析するのに適したカラムクロマトグラフマトリクスもしくは同様の基質等の固体相に、結合させることができる。固体相への結合は、例えば、hek/Fc融合蛋白質をプロテインA又はプロテインGを含むマトリクスと結合させることにより達成できる。
hek-L(変異体を含む)の結合上の特徴は、上述と同様の競合分析に標識された可溶性hek(例えば、125I-hek/Fc)を用いて決定できる。しかしこの場合、hek-Lを発現するインタクトな細胞又は固体の基質に結合した可溶性hek-Lを用いて、推定上のhek変異体を含む試料が標識された可溶性hekのhek-Lへの結合に対して競合する程度が測定される。
膜結合hek-Lのhek結合活性を検出するための好ましい分析法は、次のようなものである。実施例1で調製されたhek/Fc融合蛋白質と、hek/Fcを直接放射性標識することを避けるため実施例3に記載された125Iで標識されたマウスの抗ヒトIgG Fc抗体を用いた、改変した間接結合分析が考案された。内在的hek-Lを発現する細胞(例えば、実施例2に記述したCCRF-HSB-2細胞系)を、次のように異なる濃度のhek/Fcに晒し、次いで一定の飽和濃度の125I抗体に晒す。
CCRF-HSB-2細胞を、96穴培養プレートを用いた懸濁液培養により培養する。細胞(2×106細胞/ウエル)を、結合培地(RPMI 1640培地、1%ウシ血清アルブミン、0.2%アジ化ナトリウム及び20mM Hepes、pH7.2)中で種々の濃度のhek/Fcの存在下又は非存在下で、37℃で1時間インキュベートする。細胞を、それからPBSで一度洗浄し、125I-マウス抗ヒトIgG Fc(40ng/ml)を含む結合培地と、穏やかに攪拌しながら37℃で1時間インキュベートする。細胞と未結合の125I-抗体は、本質的にはDower等,J.Immunol.132:751(1984)によって記載されたような、フタレート油分離法により分離される。
組換え膜結合hek-Lを発現する細胞へのhek/Fc結合に関する分析は、実施例5に記載したように行うことができる。間接結合分析が使用された。
可溶性hek-Lのhek結合活性を分析する好ましい分析法は、次のようなものである。分析法は、実施例2に記載したように内在性hek-Lを発現するCCRF-HSB-2細胞系へのhek/Fc融合蛋白質の結合を阻止する可溶性hek-Lの活性を検出する。
可溶性hek-Lを発現する発現ベクターで形質転換されたCV-1/EBNA細胞からの条件付き上清液(培養液)を、96穴プレートで滴定する。hek/Fcの一定量(1μg/ウエル)が、各ウエルの結合培地内に加えられ、次いでCCRF-HSB-2細胞がウエル当たり1-2×106個加えられる。プレートを37℃で1時間インキュベートする。細胞を、PBSで二回洗浄し、それから遠心分離によりペレット化する。125I-マウス抗ヒトIgG Fcを一定濃度で各ウエルに加え、プレートを37℃で更に1時間インキュベートする。125I-マウス抗ヒトIgG Fcは、CCRF-HSB-2細胞に結合しているhek/Fcに結合する。最後のインキュベーション後、細胞は、結合した125I-マウス抗ヒトIgG Fcと遊離した物とを分離するフタレート油の入った試験管の上部に回収される。放射性活性を、ガンマ線計測器を用いて定量化する。
hek−Lの用途
本発明のhek-Lは、hekを発現する細胞を検出する結合分析に使用できる。例えば、hek-Lもしくはその細胞外領域又はそれの断片は、125Iのような検出可能な成分と結合させることができる。125Iによる放射性標識は、高い比活性で標識された機能的な125I-hek-L分子を得るための幾つかの標準的方法により行われる。又、ビオチン(biotin)やアビジン(avidin)のような発色分析や蛍光分析反応に触媒として働くことのできる酵素のような他の検出可能な成分を用いても良い。hek発現を試験される細胞は、標識されたhek-Lと接触させることができる。インキュベーション後、未結合の標識されたhek-Lは除去され、結合は検出可能な成分を用いて測定される。
本明細書で開示されるhekリガンド蛋白質は、又、hek-Lに対する結合親和性と言う意味での、hek蛋白質の生物学的活性を測定することにも使用できる。例示として、hek-Lは、異なる温度で貯蔵された、もしくは、異なる細胞型から生産されたhek蛋白質の、生物学的活性を測定する結合親和性の研究に使用できる。例えば、あるhek蛋白質の生物学的活性は、調査研究に使用する前にこのように確認することができる。
hek-L蛋白質は、例えば種々の条件下でのhek蛋白質の在庫可能期間及び安定性をモニターする”品質管理”の研究を行う人々により使用され得る試薬としての用途が見出だされる。hekリガンドは、hek蛋白質の修飾(例えば、化学的修飾、トランケート、変異等)後に、生物学的活性が保持されているかを決定するために使用できる。hekの生物学的活性への修飾の好ましくない結果を検出する為に、修飾されたhek蛋白質のhek-Lに対する結合親和性を非修飾hek蛋白質のそれと比較される。
hekリガンドの異なる用途は、蛋白質精製工程に於ける試薬である。hek-L又はhek-L/Fc融合蛋白質は、従来の技術により固体保持物質に付着させられ、アフィニティークロマトグラフによりhekを精製するのに使用しても良い。
hek-Lポリペプチドはまた、それに結合された薬剤をhek細胞表面抗原を持つ細胞に投与する担体としての用途も見出だす。hek抗原の発現は、JM及びHSB-2と命名されたヒトT-細胞白血病細胞系及びLK63と命名されたヒトpre-B細胞白血病細胞系(Boyd等、J.Biol.Chem.267:3262,1992、及びWicks等、Proc.Nat.Acad.Sci.USA,89:1611,1992)を含むある種の白血病細胞系に対し報告されている。hek-L蛋白質は、このように診断用又は治療用薬剤をその様な細胞(又は細胞表面にhekを発現することが分っている他の細胞型)にin vitroなin vivoな方法によって投与するのに使用できる。
その様な用途の一例は、薬剤が白血病細胞に対して細胞毒性を示すか否かを評価するためhek+白血病細胞系を治療用薬剤/hek-L複合体に晒すことである。hek-Lに結合された多数の種々の治療用薬剤は、その薬剤の白血病細胞に対する細胞毒性効果を検出し比較するための分析に含められる。hek-L/診断用薬剤複合体は、hek+細胞の存在を検出するためin vitro又はin vivoで使用できる。
hek-Lポリペプチドに結合しうる診断用及び治療用薬剤は、それ等に限定はされないが、次のものを含む:薬品、毒素、放射性核種、クロモフォア、蛍光性化合物、発色分析又は蛍光分析反応を触媒する酵素、等、(適用の意図に従って特定の薬剤が選択される)。薬品の例は、種々の型の癌の治療に使用されるものを含む。例えば、L-フェニルアラニン ナイトロジェンマスタード(L-phenylalanine nitrogen mustard)又はシクロホスホアミド(cyclophosphamide)のようなナイトロジェンマスタード(nitrogen mustard)、cis-ジアミノジクロロプラチナ(cis-diaminodichloroplatinum)のようなインターカレート剤(intercalating agent)、5-フルオロウラシル(5-fluorouracil)のような代謝桔抗物質(antimetabolite)、ビンクリスチン(vincristine)のようなビンカアルカロイド(vinca alkaloides)、及びブレオマイシン(bleomycin)、アドレアマイシン(doxorubicin)、ダウノルビシン(daunorubicin)のような抗生物質(antibiotics)、並びにそれらの誘導体。毒素の中ではリシン(ricin)、アブリン(abrin)、ジフテリア毒素(diphtheria toxin)、Pseudomonas aeruginosaエクソトキシンA(exotoxin A)、リボソーム不活性蛋白質(ribosomal inactivating proteins)、トリコテセンス(trichothecenes)のようなマイコトキシン(mycotoxin)及びそれらの誘導体及び断片(例えば、単鎖)である。診断用に適した放射性核種は、それ等に限定はされないが、123I、131I、99mTc、111In、及び76Brを含む。治療用に適した放射性核種は、それ等に限定はされないが、131I、211At、77Br、186Re、188Re、212Pb、212Bi、109Pd、64Cu、及び67Cuを含む。
その様な薬剤は、適当な従来の方法のいずれかでhek-Lに結合できる。蛋白質であるhek-Lは、希望する薬剤の官能基を反応し、例えば共有結合を形作ることができるようなアミノ酸側鎖官能基を含む。あるいは、蛋白質又は薬剤は、希望する反応性官能基を作り出すか、又は結合させるように誘導できる。誘導は、種々の分子を蛋白質に結合させるために入手可能な二官能性結合試薬(Pierce Chemical Company,Rockford,Illinois)の一つを結合させることを含む。蛋白質の放射性標識するための技術が多数知られている。放射性核種金属は、例えば適当な二官能性キレート化剤を用いてhek-Lに結合できる。
hek-Lと適切な診断用又は治療用薬剤からなる(好ましくは共有結合した)複合体は、このようにして調製される。複合体は、特定の応用に適した量だけを投与もしくは他の形で使用される。
実施例5に記述したように、本明細書で提供されるhek-L蛋白質は、またelkとして知られる受容体を結合する能力をも有する。それ故、hek-Lは、hek-結合特性から発する上述の用途と類似のelk-結合特性から発する追加の用途を持つ。hek-Lは種々の分析でelkの検出に使用できる。hekを結合する抗体は、もし適当なら、elkのhek-Lへの結合は許容するが、hekのhek-Lへの結合は阻止する分析に使用できる。hekリガンドは、elk蛋白質の生物学的活性を、elk蛋白質またはそれの変異体のhek-Lに対する結合親和性の意味での評価に使用できる。hek-L蛋白質は、またelk蛋白質のアフィニティークロマトグラフによる精製に用途を見出だす。
hek−Lオリゴマー
本発明は、二量体又は三量体のようなオリゴマーの形のhek-Lポリペプチドを包含する。オリゴマーは、異なるhek-Lポリペプチドのシステイン残基間のジスルフィド結合によって形成される。本発明の一つの態様に於いて、hek-L二量体は、hek-Lのhekリガンド結合領域への結合を妨げること無く抗体(IgG1)のFc領域へhek-Lを融合させることにより生成される。”Fcポリペプチド”と言う用語は、天然型及び変異型(mutein)、及び二量体化を促進するヒンジ領域を含むトランケートされたFcポリペプチドを含む。Fcポリペプチドは好ましくは可溶性hek-L(細胞外領域のみからなる)のC-末端に融合される。抗体由来のポリペプチドの種々の部分へ融合したヘテロなポリペプチドからなる融合蛋白質の調製は、例えば本明細書中に参考文献として取込まれているAshkenazi等(PNAS USA 88:10535,1991)及びByrn等(Nature 344:677,1990)により記載されている。
hek-LのFcまたはFc変異型ポリペプチドへの融合は、実施例1に記載したhek/Fc変異型融合体の調製と類似の方法により調製できる。hek-L/Fc融合蛋白質をコードする遺伝子融合体は、適切な発現ベクターに挿入され宿主細胞に形質転換される。発現したhek-L/Fc融合蛋白質は、抗体分子のようなものを組立てることが可能で、その際Fcポリペプチド間で鎖間ジスルフィド結合を形成し二価のhek-Lを得る。あるいは、変異型が誘導されるネイティブなFcポリペプチドが、使用できる。
融合蛋白質が抗体の重鎖と軽鎖の両方から作られた場合、最高4個のhek-L細胞外領域を持つhek-Lオリゴマーを形成することが可能である。あるいは、米国特許第5,073,627号に記述されているようなペプチドリンカーを用いて2つの可溶性hek-L領域を結合できる。
本発明の特定の態様に於いて、配列番号1のアミノ酸-19から202まで又は配列番号3のアミノ酸-22から157までをコードするhek-L DNAを、実施例1に記述されたFc変異型をコードするDNAの5'末端に融合し、発現ベクターpDC410(実施例3に記載)に挿入した。得られた組換え発現ベクターで形質転換されたCV1-EBNA-1細胞は、可溶性hek-L/Fc融合蛋白質を発現するため培養された。
本発明は、ジスルフィドの相互作用により結合した、又はスペーサ-としてのアミノ酸結合基と共に、又は無しで、融合ポリマーとして発現したhek-L細胞外領域又はその断片のオリゴマーを提供する。例えば、hek-L細胞外領域の二量体は、IgG Fc領域結合基により結合できる。
発現系
本発明は、hek−Lの発現用の組換え発現ベクター、及びその発現ベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。あらゆる適する発現系を用いることができる。これらベクターは、適当な転写又は翻訳調節ヌクレオチド配列に機能できるように連結された、哺乳動物、微生物、ウィルス、又は昆虫遺伝子から誘導されるものの如き、hek−L DNA配列を含む。調節配列の例には、転写プロモーター、オペレーター、又はエンハンサー、mRNAリボソーム結合部位、及び転写及び翻訳の開始及び終結を制御する適切な配列が含まれる。ヌクレオチド配列は、調節配列がhek−L DNA配列に機能的に結びついている場合、機能できるように連結していることになる。かくして、プロモーターヌクレオチド配列がhek−L DNA配列の転写を制御するなら、そのプロモーターヌクレオチド配列はhek−L DNA配列に機能できるように連結している。通常、複製起点により付与される所期の宿主細胞内で複製する能力、及び形質転換体を同定する選択遺伝子を、この発現ベクター内に追加的に組み入れることができる。
加えて、このhek−L遺伝子にとって生来のものではない適切なシグナルペプチドをコードする配列を発現ベクター内に組み入れることができる。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNA配列を枠内(in frame)でhek−L配列に融合させて、そのhek−Lがまずシグナルペプチドを含む融合タンパク質として翻訳されるようにしてもよい。意図する宿主細胞内で機能性であるシグナルペプチドは、hek−Lポリペプチドの細胞外分泌を促進する。このシグナルペプチドは、細胞からhek−Lが分泌されるとすぐにそのhek−Lポリペプチドから切り離される。
hek−Lポリペプチドの発現に適する宿主細胞には、原核細胞、酵母又は高等真核細胞が含まれる。細菌、真菌、酵母、及び哺乳動物細胞宿主で用いるのに適切なクローニングベクター及び発現ベクターは、例えば、Pouwelsら,Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Elsevier,New York,(1985)に記載されている。無細胞翻訳系も、ここに開示したDNA構築体から誘導されるRNAを用いてhek−Lポリペプチドを産生するのに用いられるであろう。
原核生物には、グラム陰性又はグラム陽性菌、例えば、大腸菌又は桿菌が含まれる。形質転換に適する原核宿主細胞には、例えば、大腸菌、枯草菌、ネズミチフス菌、及びシュウドモナス属、ストレプトミセス属及びスタフィロコッカス属に属する他の様々な種が含まれる。大腸菌の如き原核宿主細胞内では、hek−Lポリペプチドは、該原核宿主細胞内での該組換えポリペプチドの発現を容易にするために、N−末端メチオニン残基を含むことができる。このN−末端Metは、発現された組換えhek−Lポリペプチドから切り離され得る。
原核宿主細胞で用いる発現ベクターは、一般に、1又は2以上の表現型選択可能なマーカー遺伝子を含む。表現型選択可能なマーカー遺伝子というのは、例えば、抗生物質耐性を付与するタンパク質又は独立栄養要求量を供給するタンパク質をコードする遺伝子のことである。原核宿主細胞にとって有用な発現ベクターの例には、クローニングベクターpBR322(ATCC37017)の如き市販のプラスミドから誘導されるものが含まれる。pBR322は、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性のための遺伝子を含有するので、形質転換細胞を同定する簡単な手段を提供する。適切なプロモーター及びhek−L DNA配列をこのpBR322ベクター内に挿入する。他の市販のベクターには、例えば、pKK223−3(Pharmacia Fine Chemicals,Uppsala,Sweden)及びpGEM1(Promega Biotec,Madison,WI,USA)が含まれる。
組換え原核宿主細胞発現ベクターに広く用いられるプロモーター配列には、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースプロモーター系(Changら,Nature 275:615,1978;及びGoeddelら,Nature 281:544,1979)、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddelら,Nucl.Acids Res.8:4057,1980;及びEP−A−36776)及びtacプロモーター(Maniatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,p.412,1982)が含まれる。特に有用な原核宿主細胞発現系は、ファージλPLプロモーター及びcI857ts不耐熱性レプレッサー配列を用いる。λPLプロモーターの誘導体を取り込んでいるアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから入手できるプラスミドベクターには、プラスミドpHUB2(大腸菌株JMB9(ATCC37092)内に存する)及びpPLc28(大腸菌RR1(ATCC53082)内に存する)が含まれる。
また、hek−Lを酵母宿主細胞内で、好ましくはサッカロミセス属(例えば、S.セレビシエ)から発現させてもよい。ピキア(Pichia)又はクルイベロミセス(Kluyveromyces)の如き酵母の他の属も用いることができる。酵母ベクターは、2μ酵母プラスミドからの複製起点配列、自律複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化のための配列、転写終結のための配列、及び選択可能なマーカー遺伝子を含有することが多いであろう。酵母ベクターに適するプロモーター配列には、とりわけ、メタロチオネイン、3−ホスホグリセレートキナーゼ(Hitzemanら,J.Biol.Chem.255:2073,1980)又は他の解糖酵素(Hessら,J.Adv.Enzyme Reg.7:149,1968;及びHollandら,Biochem.17:4900,1978)、例えば、エラノーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベートデカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−ホスフェートイソメラーゼ、3−ホスホグリセレートムターゼ、ピルベートキナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼのためのプロモーターが含まれる。酵母発現に用いるのに適する他のベクター及びプロモーターは、Hitzeman,EPA−73,657に更に記載されている。他の代用物は、Russellら(J.Biol.Chem.258:2674,1982)及びBeierら(Nature 300:724,1982)により記載されたグルコース抑制性ADH2プロモーターである。大腸菌内での選択及び複製のためのpBR322からのDNA配列(Ampr遺伝子及び複製起点)を上記の酵母ベクター内に挿入することにより、酵母及び大腸菌の両方で複製可能なシャトルベクターを構築することができる。
酵母α因子リーダー配列を用いて、hek−Lポリペプチドの分泌を行わせることができる。このα因子リーダー配列は、プロモーター配列と構造遺伝子配列の間に挿入されることが多い。例えば、Kurjanら,Cell 30:933,1982;Bitterら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:5330,1984;米国特許第4,546,082号;及びEP324,274を参照のこと。酵母宿主からの組換えポリペプチドの分泌を促進するのに適する他のリーダー配列は、当業者にとって公知である。リーダー配列は、1又は2以上の制限部位を含有するようにその3'末端の近くで修飾されていてもよい。これは、そのリーダー配列の構造遺伝子への融合を促進するであろう。
酵母形質転換手順は、当業者にとって公知である。かかる手順の1つは、Hinnenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:1929,1978に記載されている。このHinnenらの手順は、選択培地中でTrp+形質転換体を選択するものであって、その選択培地は、0.67%酵母窒素原基、0.5%カザミノ酸、2%グルコース、10μg/mlアデニン及び20μg/mlウラシルからなる。
発現を誘発するために、ADH2プロモーター配列を含有するベクターにより形質転換された酵母宿主細胞を“富”培地中で生育させてもよい。富培地の例は、80μg/mlアデニン及び80μg/mlウラシルを補充した1%酵母エキス、2%ペプトン、及び1%グルコースからなる培地である。ADH2プロモーターの抑制解除は、グルコースが培地から消費され尽くした時に起こる。
哺乳動物又は昆虫宿主細胞培養系を用いて、組換えhek−Lポリペプチドを発現することもできるであろう。昆虫細胞内での異種起源タンパク質の産生のためのバキュロウィルス系の委細が、LuckowとSummers,Bio/Technology 6:47(1988)により示されている。哺乳動物起源の株化細胞系も用いることができる。適する哺乳動物宿主細胞系の例には、サル腎臓細胞のCOS−7系(ATCC CRL1651)(Gluzmanら,Cell 23:175,1981)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒーラー細胞、及びBHK(ATCC CRL10)細胞系、及びアフリカミドリザル腎臓細胞系CV−1(ATCC CCL70)からMcMahanら(EMBO J.10:2821,1991)により記載された通りに誘導されたCV−1/EBNA−1細胞系が含まれる。
哺乳動物宿主細胞発現ベクターのための転写及び翻訳制御配列は、ウィルスゲノムから切り出すことができる。広く用いられるプロモーター配列及びエンハンサー配列は、ポリオーマウィルス、アデノウィルス2、シミアンウィルス40(SV40)、及びヒトサイトメガロウィルスから誘導される。SV40ウィルスゲノムから誘導されるDNA配列、例えば、SV40の起点、初期及び後期プロモーター、エンハンサー、スプライス、及びポリアデニル化部位を用いて、哺乳動物宿主細胞内での構造遺伝子配列の発現のための他の遺伝子要素を提供してもよい。ウィルスの初期及び後期プロモーターが特に有用である。というのは、いずれもウィルスの複製起点を含有することもできる断片としてウィルスゲノムから容易に得られるからである(Fiersら,Nature 273:113,1978)。SV40ウィルスの複製起点部位内に位置するHindIII部位からBglII部位に及び約250bp配列が含まれることを条件として、より小さな又はより大きなSV40断片も用いることができる。
哺乳動物宿主細胞内で用いる適例となる発現ベクターは、Okayama及びBerg(Mol.Cell.Biol.3:280,1983)により開示された通りに構築することができる。C127マウス乳房上皮細胞内の哺乳動物cDNAの安定な高レベル発現に有用な系は、実質的にCosmanら(Mol.Immunol.23:935,1986)により記載された通りに構築することができる。有用な高発現ベクター、つまりCosmanら,Nature 312:768,1984に記載されたPMLSV N1/N4は、ATCC39890として寄託されている。追加の有用な哺乳動物発現ベクターは、EP−A−0367566、及び1991年5月16日に出願された米国特許出願第07/701,415号に記載されている。なお、これらは参照によってここに組み入れられるものとする。これらベクターをレトロウィルスから誘導することができる。
天然シグナル配列をコードするDNAの代わりに、このベクターは異種起源のシグナル配列をコードするDNAを含有することができる。例には、米国特許第4,965,195号に記載されたインターロイキン−7(IL−7)についてのシグナル配列;Cosmanら,Nature 312:768(1984)に記載されたインターロイキン−2レセプターについてのシグナル配列;EP367,566に記載されたインターロイキン−4シグナルペプチド;米国特許第4,968,607号に記載されたI型インターロイキン−1レセプターシグナルペプチド;及びEP460,846に記載されたII型インターロイキン−1レセプターシグナルペプチドが含まれる。
タンパク質精製
本発明は、実質的に均質なhek−Lタンパク質であって、上記の組換え発現系により産生させることも天然に存在する細胞から精製することもできるタンパク質を提供する。このhek−Lは、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)による分析で1本のタンパク質バンドにより示されるように、実質的に均質なまでに精製される。
このhek−Lタンパク質を産生させる1つの方法は、hek−LをコードするDNA配列を含む発現ベクターで形質転換した宿主細胞をhek−Lが発現されるような条件下で培養することを含む。次いで、hek−Lタンパク質を、用いた発現系に依存して培養基又は細胞抽出液から回収する。熟練した技術者は分かるであろうが、組換えhek−Lを精製する操作は、用いた宿主細胞の型及びhek−Lが培養基中に分泌されるかどうかといった要因に従って変動するであろう。
例えば、組換えタンパク質を分泌する発現系を用いたときは、培養基をまず市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、Amicon又はMillipore Pellicon超濾過装置を用いて濃縮することができる。濃縮工程後は、濃縮液をゲル濾過媒体の如き精製基材に適用することができる。また、アニオン交換樹脂、例えば、基材又は支持体がペンダントのジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するアニオン交換樹脂を用いてもよい。基材は、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース又はタンパク質精製に広く用いられる他の型であってもよい。また、カチオン交換工程を用いてもよい。適するカチオン交換体には、スルホプロピル基又はカルボキシメチル基を含む種々の不溶性基材が含まれる。スルホプロピル基が好ましい。最後に、疎水性RP−HPLC媒体(例えば、ペンダントのメチル又は他の脂肪族基を有するシリカゲル)を用いる1又は2以上の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)工程を用いて、hek−Lを更に精製することができる。上述の幾つか又は全ての精製工程をいろいろに組み合わせて用いて、実質的に均質な組換えタンパク質を得ることができる。
hekのリガンド結合ドメインを含むアフィニティカラムを用いて、発現されたhek−Lポリペプチドを親和精製することも可能である。hek−Lポリペプチドを高塩類溶離緩衝液でアフィニティカラムから溶出させてから使用のために低塩類緩衝液中に透析してもよい。また、このアフィニティカラムはhek−Lに結合する抗体を含むこともできる。更に別法では、アフィニティカラムは、プロテインAカラムに結合したhek/Fc融合タンパク質を含む。
細菌培養で産生した組換えタンパク質は、通常、宿主細胞をまず崩壊させ、遠心分離し、不溶性ポリペプチドなら細胞沈殿物から、可溶性ポリペプチドなら上澄み液から抽出した後、1又は2以上の濃縮、塩析、イオン交換、親和精製又はサイズ排除クロマトグラフィー工程により単離される。最後に、最終精製工程のためにRP−HPLCを用いてもよい。微生物細胞は、凍結−解凍の繰り返し、音波処理、機械的崩壊、又は細胞溶解剤の使用を含むあらゆる簡便な方法により崩壊させることができる。
形質転換酵母宿主細胞を用いてhek−Lを分泌ポリペプチドとして発現させることができる。酵母宿主細胞発酵から分泌された組換えポリペプチドは、Urdalら(J.Chromatog.296:171,1984)により開示された方法と類似の方法により精製することができる。Urdalらは、組換えヒトIL−2の精製のための分取HPLCカラムでの2連続逆相HPLC工程を記載している。
本発明は、hek−Lポリペプチド及び薬学的に許容できるキャリヤー、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。かかる組成物は、緩衝液;アスコルビン酸の如き酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質;アミノ酸;グルコース、スクロース、又はデキストリンを含む炭水化物;EDTAの如きキレート剤;グルタチオン;及び他の安定剤及び賦形剤を含むことができる。中性緩衝生理食塩水又は同種血清アルブミンと混合した生理食塩水が、適例となる適切は希釈剤である。
核酸断片
本発明は、更に、ここに示したhek−Lヌクレオチド配列の断片を提供する。かかる断片は、望ましくは、配列番号:1又は3に示した配列の少なくとも約14のヌクレオチドを含む。前記断片のDNA及びRNA相補体が、hek−L DNAの一本鎖型及び二本鎖型の両方と一緒にここに提供される。
かかるhek−L核酸断片の用途のうちの1つは、プローブとしての用途である。かかるプローブを種間(cross-species)ハイブリダイゼーション操作に用いて更なる哺乳動物種からhek−L DNAを単離することができる。一例として、hek−Lの細胞外ドメインに対応するプローブを用いることができる。これらプローブにもin vitroアッセイで及びノーザン及びサザーンブロットの如き操作でhek−L核酸の存在を検出する用途がある。hek−Lを発現する細胞型を同定することができる。かかる操作は周知であるので、熟練した技術者は、特定の意図した用途に依存して、適する長さのプローブを選ぶことができる。
hek−L核酸の他の有用な断片は、一本鎖核酸配列(RNA又はDNAのいずれか)を含むアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドであって、標的hek−L mRNA(センス)又はhek−L DNA(アンチセンス)配列に結合できるオリゴヌクレオチドである。本発明によれば、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号:1又は配列番号:3に示したhek−L cDNAのコーディング領域の断片、又はそのDNA若しくはRNA相補体を含むことができる。そのような断片は、一般に、少なくとも約14のヌクレオチド、好ましくは約14〜約30のヌクレオチドを含む。所与のタンパク質についてのcDNA配列に基づいてアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを作る能力は、例えば、SteinとCohen,Cancer Res.48:2659,1988及びvan der Krolら,BioTechniques 6:958,1988に記載されている。
標的核酸配列へのアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドの結合は、二重鎖の形成をもたらし、それは、それら二重鎖の分解の増進、転写又は翻訳の早期終結を含む幾つかの手段の1つにより又は他の手段により、翻訳(RNA)又は転写(DNA)を遮断する。かくして、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて、hek−Lタンパク質の発現を遮断することができる。アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、更に、修復された糖リン酸ジエステル主鎖(又はWO91/00629に記載された如き他の糖結合)を有するオリゴヌクレオチドを含む。そして、かかる糖結合は内因性ヌクレアーゼに抵抗性である。抵抗性糖結合を有するかかるオリゴヌクレオチドは、in vivoで安定である(即ち、酵素分解に抵抗できる)が、標的ヌクレオチド配列に結合できる配列特異性は保持している。センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドの他の例には、WO90/10448に記載されたものの如き有機部分に共有結合しているオリゴヌクレオチド、及び標的核酸配列に対するそのオリゴヌクレオチドの親和性を高めるポリ(L−リシン)の如き他の部分に共有結合しているオリゴヌクレオチドが含まれる。更になお、エリプチシン(ellipticine)の如き介在物質及びアルキル化剤又は金属錯体をセンス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドに付けて、そのアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドの標的ヌクレオチド配列への結合特異性を修飾することができる。
アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを、例えば、CaPO4媒介DNA形質移入、エレクトロポレーションを含む何らかの遺伝子移送方法により又はエプスタイン−バーウィルスの如き遺伝子移送ベクターを用いることにより、標的核酸配列を含有する細胞内に導入することができる。好ましくは、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを適するレトロウィルスベクター中に挿入してから、細胞とその挿入された配列を含有するレトロウィルスベクターとをin vivo又はex vivoのいずれかで接触させることにより、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを標的核酸配列を含有する細胞内に導入する。適するレトロウィルスベクターには、マウスレトロウィルスM−MuLV,N2(M−MuLVから誘導されるレトロウィルス)、又はDCT5A、DCT5B及びDCT5Cと呼ばれる二重コピーベクター(PCT出願US90/02656を参照のこと)が含まれるが、これらに限定されない。
センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドを、WO91/04753に記載されているように、リガンド結合性分子を有する複合体の形成によって、標的ヌクレオチド配列を含有する細胞内に導入することもできる。適するリガンド結合性分子には、細胞表面レセプター、増殖因子、他のサイトカイン、又は細胞表面レセプターに結合する他のリガンドが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、リガンド結合性分子の複合化は、リガンド結合性分子のその対応する分子又はレセプターに結合する能力を実質的に妨げることがないか、又はセンス若しくはアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその複合型が細胞内に入るのを実質的に遮断することがないものである。
また、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドを、WO90/10448に記載されているようにオリゴヌクレオチド−脂質コンプレックスの形成により、標的核酸配列を含有する細胞内に導入することができる。このセンス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド−脂質コンプレックスは、好ましくは、内因性リパーゼにより細胞内で解離される。
以下の実施例は、特定の態様を説明するために示したものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:可溶性hek/Fc融合タンパク質の調製
この実施例は、hekリガンド(hek−L)をコードするcDNAクローンを単離するのに用いる可溶性hek/Fc融合タンパク質をコードする発現ベクターの構築を説明するものである。ヒトhek cDNAについてのDNA配列及びコードされるアミノ酸配列は、Wicksら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:1611,1992)に示されており、これは参照によりここに組み入れられるものとする。このhekタンパク質は、(N−末端からC−末端までに)細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを含む。
一方はhekの細胞外ドメインのN−末端断片をコードし、他方はそのhek細胞外ドメインのC−末端断片をコードする2つのDNA断片を、Wicksらの前記文献により公表されたhekヌクレオチド配列に基づくオリゴヌクレオチドプライマーを用いて標準的な条件下で行った複製連鎖反応(PCR)により単離した。このPCR用の鋳型は、CCRF−HSB−2(ATCC CCL−120.1)と名付けられたヒトT細胞白血病細胞系から単離されたmRNAから調製したcDNAであった。hek DNAの5'末端を含有するPCR産物をSpeIとHindIIIで消化して、成熟ヒトhek配列(即ち、シグナル配列をコードするDNAを欠いている配列)の5'末端からこのhek遺伝子中に見出されるHindIII部位までに及ぶDNA断片を単離した。hek細胞外ドメインDNAの3'末端を含有するPCR産物はHindIIIとClaIで消化して、hek細胞外ドメインをコードする配列の内側にあるHindIII部位から3'末端のすぐ下流のClaI部位までに及ぶ断片を単離した。このClaI部位は、この細胞外ドメインのすぐ下流に導入された多クローニング部位(MCS)内にある。
ヒトIgG1抗体のFc部分の突然変異タンパク質をコードするDNAを単離した。このFc突然変異タンパク質DNA及びそれによりコードされるポリペプチドは、1993年7月23日出願の“Novel Cytokine Which is a Ligand for OX40”と題された米国特許出願第08/097,827号に記載れている。なお、この出願は参照によりここに組み入れられるものとする。この突然変異タンパク質DNAを、本質的にDengとNickoloff,Anal.Biochem.200:81(1992)に記載された通りに行った部位特異的突然変異誘発法により、天然FcポリペプチドコーディングDNAから誘導した。このFc突然変異ポリペプチドのアミノ酸配列は、アミノ酸19がLeuからAlaに変換され、アミノ酸20がLeuからGluに変換され、そしてアミノ酸22がGlyからAlaに変換されている以外は、PCT出願WO93/10115に記載された天然Fcポリペプチドの配列と同一である。この突然変異タンパク質Fcは、イムノグロブリンレセプターに対して低い親和性しか示さない。
Fc突然変異タンパク質DNAを含有する組換えベクターをClaI及びNotIで開裂した。これらは、それぞれ該Fc突然変異タンパク質DNA挿入物のすぐ上流と下流のポリリンカー領域内でこのベクターを開裂する。所期のFc突然変異タンパク質コーディング断片を単離した。
この突然変異タンパク質Fcポリペプチドは、N−末端ヒンジ部から天然C−末端に及ぶ、即ち、本質的に完全長の抗体Fc領域である。Fc領域の断片、例えば、C−末端の先端を切り取られた断片を用いることもできる。これら断片は、好ましくは、2の別々のhek/Fc融合タンパク質のFcポリペプチド部分の間に鎖間ジスルフィド結合を形成してダイマーを生成できる多数のシステイン残基(少なくともヒンジ部内におけるシステイン残基)を含有する。
SMAG4と名付けられた哺乳動物発現ベクターをSpeIとNotIで開裂した。このSMAG4ベクターは、大腸菌内でも複製できる哺乳動物高発現ベクターpDC201(Simsら,Science 241:858,1988及びPCT出願WO89/03884に記載されている)内に挿入されたマウスインターロイキン−7シグナルペプチドコーディング配列(米国特許第4,965,195号に記載されている)を含む。SpeIは、IL−7シグナルペプチドコーディング配列のすぐ下流で開裂する。NotIは、このベクターの多クローニング部位内のSpeI部位の約155bp下流でこのベクターを開裂する。このベクター配列を含有する大きなSpeI/NotI断片及びIL−7シグナルペプチドコーディングDNAを単離した。
4元連結を行って2つのhekコーディングDNA断片及び上記のFc突然変異タンパク質コーディングDNA断片をこのSpeI/NotI開裂SMAG4発現ベクター内に挿入した。大腸菌細胞をこの連結混合液で形質転換して、所期の組換えベクターをそれから単離した。この単離ベクターは、(N−末端からC−末端までに)マウスIL−7シグナルペプチド、hek細胞該ドメイン、導入したmcsによりコードされる4アミノ酸、及びFc突然変異タンパク質を含む融合タンパク質をコードする。
次いで、この発現ベクターをプラスミドpSV3.NEOと共にCV1/EBNA細胞内に同時形質移入した。このCV1/EBNA細胞系(ATCC CRL10478)は、McMahanら(EMBO J.10:2821,1991)に記載された通りにサル腎臓細胞系から誘導されたものである。ベクターpSV3.NEOは、この宿主細胞によっては産生されないSV40 T抗原を発現する。このpSV3.NEOベクターは、pSV3(MulliganとBerg,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072,1981)に類似しているが、更にネオマイシン耐性遺伝子を含有する。これら形質転換細胞を培養してその融合タンパク質を一過性発現させたところ、IL−7シグナルペプチドにより培養基中に分泌された。この融合タンパク質をプロテインAセファロースカラムで精製し、溶出させ、そして実施例2及び3に記載する通り、hek/Fcタンパク質に結合する能力について細胞をスクリーニングするのに用いた。
実施例2:hek/Fc結合についての細胞のスクリーニング
hekリガンドをクローン化しようと、種々の細胞型をhek/Fcに結合する能力についてスクリーニングして、核酸源として有用な候補となる細胞型を同定した。細胞を実施例1で調製したhek/Fcタンパク質とインキュベートしてから、ビオチニル化マウス抗ヒトFc抗体に続いて、ストレプトアビジン−フィコエリトリン(Becton Dickinson)とインキュベートした。細胞を各工程間で洗浄して未結合試薬を除いた。このビオチニル化抗体は、Jackson Immunoresearch Laboratories,West Grove,PAから購入したものである。この抗体は、Fcγレセプターに結合したFcタンパク質に僅かな結合性しか示さなかった。ストレプトアビジンは、hek/Fc融合タンパク質のFc部分に結合している抗ヒトFc抗体に結合したビオチン分子に結合する。フィコエリトリンは、検出可能標識として役立つ蛍光性フィコビリタンパク質である。この標識の蛍光信号を各細胞型についてFACScan▲R▼フローサイトメーターを用いて測定した。
CCRF−HSB−2(ATCC CCL−120.1)と名付けられたヒトT細胞白血病細胞系がhek/Fc結合について陽性であった。CCRF−HSB−2細胞をFACS(蛍光活性化細胞選別)により4回選別して、より高いレベルのhek/Fc結合性タンパク質を発現する細胞を引き出した。
実施例3:hekリガンドcDNAの単離
4回選別CCRF−HSB−2細胞からmRNAを単離し、二本鎖cDNAをこのmRNA鋳型上で標準的方法により合成した。このcDNAをHaymerleら(Nucleic Acids Res.14:8615,1986)に記載された方法と類似のアダプター法によりpDC410のBgl II部位内に連結することにより、cDNAライブラリーを調製した。pDC410は、pDC406(McMahanら,EMBO J.10:2821,1991)に類似する発現ベクターである。pDC410では、pDC406のEBV複製起点がSV40大型T抗原(SV40プロモーターから誘導される)をコードするDNAにより置換されている。pDC410多クローニング部位(mcs)は、pDC406のものとは、それが追加の制限部位及び3つの停止コドン(各リーディングフレーム内に1ずつ)を含有する点で相違している。mcsの下流のT7ポリメラーゼプロモーターは、mcs内に挿入されたDNAの配列決定を容易にする。
pDC410内のcDNAライブラリーで形質移入した大腸菌株DH5α細胞をプレートして、プレート当たり約2000のコロニーとした。コロニーを各プレートから掻き取って、プールし、そして各プールからプラスミドDNAを調製した。次いで、約2000コロニーに相当するプールDNAを用いて、不完全集密層のCV−1/EBNA−1細胞(実施例1に記載)を形質移入した。形質移入の前に、CV−1/EBNA−1細胞は、完全培地(10%(v/v)ウシ胎児血清(FCS)、50U/mlペニシリン、50U/mlストレプトマイシン、2mM L−グルタミンを含有するダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM))内に維持しておき、そして複数の単一ウェル有孔スライド(single-well chambered slide)(Lab-Tek)上に2×505細胞/ウェルの密度でプレートしておいた。形質移入には、DEAE−デキストラン処理をしてから、Luthmanら(Nucleic Acids Res.11:1295,1983)及びMcCutchanら(J.Natl.Cancer Inst.41:351,1986)に記載された操作と類似のクロロキン処理をすることを含めた。簡単に説明すると、スライドを1mlヒトフィブロネクチン(PBS中10μg/ml)で30分間前処理した後にPBSで1回洗浄した。粘着細胞層から培地を除去して、66.6μM硫酸クロロキンを含有する1.5ml完全培地と置き換えた。次いで、0.2mlのDNA溶液(クロロキンを含有する完全培地中2μgDNA,0.5mg/ml DEAE−デキストラン)をそれら細胞に加えて5時間インキュベートした。インキュベーション後、この培地を除去して、10%DMSOを含有する完全培地の添加によって細胞に2.5〜20分間衝撃を与えた後、その溶液を新しい完全培地と置き換えた。これら細胞を2〜3日間培養して挿入した配列を一過性発現させた。
CV−1/EBNA−1細胞の形質移入単層をhek−Lの発現についてGaeringら(EMBO J.8:3667,1989)のスライドオートラジオグラフィー操作により下記の通りアッセイした。このアッセイに用いるために、マウス抗ヒトFc抗体(Jackson Immunoresearch Laboratories,West Grove,PA)をクロラミン−T法により放射性ヨウ素化した。簡単に説明すると、P6カラムをメーカーの使用説明書に従って調製した。微小分離管内で、10μgの抗体を10μlのPBS中に溶解させた。2000μCiの無担体Na125Iを添加してその溶液をよく混合した。次いで、15μlの調製したばかりのクロラミン−Tの溶液(0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中32μg/ml)を添加してその混合液を室温で30分間インキュベートした。この混合液をすぐにP6カラムに適用した。次いで、100〜150μl画分の溶出液を採集することによってこのカラムから放射標識抗体を溶出させた。結合培地(25mg/mlウシ血清アルブミン、2mg/mlアジ化ナトリウム、20mM Hepes(pH7.2)を含有するRPMI1640)をピーク画分に添加して各画分の全容量を2mlにした。放射性ヨウ素化により、5〜10×1015cpm/mmolタンパク質の範囲の比活性が得られた。
スライドオートラジオグラフィーは、次の通りに行った。形質移入CV−1/EBNA−1細胞(有孔スライドに粘着している)を脱脂粉乳を含む結合培地(BM−NFDM)(25mg/mlウシ血清アルブミン(BSA)、2mg/mlアジ化ナトリウム、20mM Hepes(pH7.2)及び50mg/ml脱脂粉乳を含有するRPMI1640)で1回洗浄した。次いで、細胞をBM−NFDM(1μg/ml)中でhek/Fc(実施例1で調製したもの)と室温で1時間インキュベートした。インキュベーション後、これら有孔スライド内の細胞単層をBM/NFDMで3回洗浄して未結合hek/Fc融合タンパク質を除去してから、40ng/ml125I−マウス抗ヒトFc抗体(1:50希釈液)と室温で1時間インキュベートした。これら細胞をBM−NFDMで3回洗浄した後、食塩加リン酸緩衝液(PBS)で2回洗浄して未結合125I−マウス抗ヒトFc抗体を除去した。細胞をPBS(pH7.3)中の2.5%グルタルアルデヒド中で室温で30分間インキュベートすることにより固定し、PBS中で2回洗浄し、そして風乾した。これら細胞を含有する有孔スライドをPhosphorimager(Molecular Dynamics)上で一晩露光してから、コダックGTNB−2写真乳剤(6倍水希釈液)に浸して暗室内で3〜5日間4℃で遮光ボックス内で露光した。次いで、これらスライドをコダックD19現像剤(40g/500ml水)中で約4分間現像し、水中で濯ぎ、そしてAgfaG433C定着液中で定着させた。これらスライドを25〜40の倍率の顕微鏡で個別に検査して、明るい背景と対照的なオートラジオグラフィーの銀粒子の存在により、hek−Lを発現する陽性細胞を同定した。
約2,000cDNAの複数プール中の約300,000cDNAをスクリーニングして、hek/Fc結合について陽性の多数の細胞を示す形質移入体プールを同定した。次いで、陽性プールを500のプールに分配し、そしてスライドオートラジオグラフィーにより再度スクリーニングした。陽性プールを同定し、100のプールに分配し、そして同じ操作によりスクリーニングした。陽性プールからの個々のコロニーを、検出可能なhek/Fc結合活性を有する表面タンパク質の合成を行う単一クローン(クローン#A2)が同定されるまでスクリーニングした。C6と名付けた第2クローンを異なる陽性プールから単離した。両方のクローンのcDNA挿入物を配列決定した。
クローンA2のヒトhekリガンドcDNAのコーディング領域のヌクレオチド配列及びコードされるアミノ酸配列を配列番号:1及び配列番号:2に示す。このタンパク質は、N−末端シグナルペプチド(アミノ酸−19〜−1)、細胞外ドメイン(アミノ酸1〜202)、及び疎水性領域を含有するC−末端ドメイン(アミノ酸203〜219)を含む。
ヒトhek−L cDNAをBgl IIでの消化によってクローンA2から切り出した。この切り出したcDNAをpBLUESCRIPT▲R▼SK(-)(Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA)の(多クローニング部位内の)BamHI部位内にクローン化した。大腸菌DH5α細胞内のこの得られたベクター(A2/pBSと名付けた)を、米国メリーランド州ロックビルのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に1993年8月11日に寄託し、受託番号ATCC69384が付与された。この寄託はブダペスト条約の規定の下に行った。
クローンC6のヒトhekリガンドcDNAのコーディング領域のヌクレオチド配列及びコードされるアミノ酸配列を配列番号:3及び配列番号:4に示す。このタンパク質は、N−末端シグナルペプチド(アミノ酸−22〜−1)、細胞外ドメイン(アミノ酸1〜160)、及び疎水性領域を含有するC−末端ドメイン(アミノ酸161〜179)を含む。
ヒトhek−L cDNAをBgl IIでの消化によってクローンC6から切り出して、pBLUESCRIPT▲R▼SK(-)のBamHI部位内に挿入した。大腸菌DH5α細胞内のこの得られたベクター(C6/pBSと名付けた)を、米国メリーランド州ロックビルのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に1993年8月25日に寄託し、受託番号ATCC69395が付与された。この寄託はブダペスト条約の規定の下に行った。
熟練した技術者には分かるであろうが、hek−Lタンパク質のドメインの上記の境界は凡そのものである。例えば、クローンA2によりコードされるhek−Lに関して、そのシグナルペプチドはアミノ酸−19〜−1を殆ど間違いなく含んでいるだろうが、アミノ酸−19から3までがそのシグナルペプチドを構成していることもあり得る。かくして、シグナルペプチドの開裂は、アミノ酸−1と1の間か又はアミノ酸3と4の間か又は両方の位置で起こり得る。クローンA2がコードするhek−Lに関連してここで用いた“シグナルペプチド”及び“成熟タンパク質”という用語は、クローンA2又はC6によりコードされるhek−Lポリペプチドについてここに記載した両方のいずれかのものを包含するだけでなく他のいずれかのものも包含することが了解される。
クローンA2及びC6によりコードされるhek−Lタンパク質は、グリコシル−ホスファチジルイノシトール(GPI)基を介して細胞膜に結合していることが分かった。かくして、その疎水性ドメインは、GPI係留のためのシグナルを含有すると考えられる。C−末端配列の開裂を含む、GPI係留をもたらすためのタンパク質のプロセシングは上で説明されている。
実施例4:hek−Lに対するモノクローナル抗体
この実施例は、hek−Lに対するモノクローナル抗体の調製を説明するものである。hek−LをCOS−7又はCV−1/EBNA−1細胞の如き哺乳動物宿主細胞内で発現させ、そしてhek/Fcアフィニティクロマトグラフィーを用いて精製する。精製したhek−L(又は細胞外ドメインの如きその断片又はその免疫原性ペプチド断片)を、慣用的技術、例えば、米国特許第4,411,993号に記載された技術を用いてhek−Lに対するモノクローナル抗体を生成させるのに用いることができる。簡単に説明すると、完全フロイントアジュバント中に乳化させた免疫原としてのhek−Lでマウスを免疫感作し、そして10〜100μgの範囲の量で皮下又は腹腔内注射する。10〜12日後、これら免疫感作動物を完全フロイントアジュバント中に乳化させた追加のhek−Lでブースター投与する。その後、1〜2週間毎の免疫感作スケジュールで、マウスに周期的にブースター投与する。ドットブロットアッセイ又はELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)によってhek−L抗体について試験するために、眼窩後方放血又は尾先端切除により血清サンプルを周期的に採取する。
適切な抗体力価の検出後、生理食塩水中のhek−Lの静脈内注射を陽性動物に最後に1回行う。3〜4日してから、それら動物を殺し、脾臓細胞を採取し、そして脾臓細胞をマウスメラノーマ細胞系、例えば、NS1又は好ましくはP3×63Ag8.653(ATCC CRL1580)と融合させる。融合によりハイブリドーマ細胞が生成し、それらをHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン)選択培地中で多数のマイクロタイタープレートにプレートして、未融合細胞、メラノーマハイブリッド、及び脾臓細胞ハイブリッドの増殖を阻害する。
これらハイブリドーマ細胞を精製hek−Lに対する反応性についてELISAにより、Engvallら,Immunochem.8:871,1971及び米国特許第4,703,004号に開示された技術を適合させることによってスクリーニングする。好ましいスクリーニング技術は、Beckmannら(J.Immunol.144:4212,1990)に記載された抗体捕捉技術である。陽性ハイブリドーマ細胞を同系BALB/cマウスに腹腔内注射して、高濃度の抗hek−Lモノクローナル抗体を含有する腹水を生成させることができる。また、ハイブリドーマ細胞をin vitroでフラスコ又は回転ビン中で種々の技術によって増殖させることができる。マウス腹水中に産生したモノクローナル抗体を硫酸アンモニウム沈殿させた後、ゲル排除クロマトグラフィーによって精製することができる。また、プロテインA又はプロテインGへの抗体の結合性に基づくアフィニティクロマトグラフィーも用いることができ、hek−Lへの結合に基づくアフィニティクロマトグラフィーも同じく用いることができる。
実施例5:結合性検討
hekに対する本発明のhekリガンドの親和性を測定した。hekリガンドは、elkとして知られるhekとは明確に異なるレセプターチロシンキナーゼにも結合することが分かった。hek又はelkに結合する他の一定のタンパク質の能力も調べた。これら検討は次の通りに行った。
a)hek結合
12ウェルプレート中のCV−1−EBNA−1細胞(実施例1に記載したもの)(2.5×105細胞/ウェル)をクローンA2又はC6(実施例3に記載した発現ベクターpDC410内のクローンA2cDNA又はクローンC6cDNA)で形質移入した。これら形質移入細胞を2日間培養して細胞膜上に保持されたhek−Lタンパク質を発現させた。次いで、これら細胞をBM−NFDM(実施例3を参照のこと)で洗浄し、実施例1で調製した種々の濃度のヒトhek/Fc融合タンパク質と室温で1時間インキュベートした。続いて、細胞を洗浄し、実施例3で調製した125I−標識マウス抗ヒトIgG抗体(40ng/ml)と結合培地中で穏やかに攪拌しながら37℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞をトリプシン処理によって採取した。全てのアッセイにおいて、125I抗体の非特異的結合をhek/Fcの不存在下で並びにhek/Fc及び200倍モル過剰の非標識マウス抗ヒトIgG抗体の存在下でアッセイした。フリーの及び細胞結合125I抗体をPackard Autogammaカウンターで定量した。親和性計算値(Scatchard,Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660,1949)をMicrovaxコンピューターでRS/1(BBN Software,Boston,MA)を作動させて出した。“空”のpDC410ベクターで形質移入したCV−1−EBNA−1細胞をコントロールとして同結合性検討に含めた。
2種の異なる組換えタンパク質、つまりヒトelk−L及びヒトB61を発現するCV−1 EBNA−1細胞へのhek/Fc結合性も、上記の実験で分析した。これら細胞をpDC410ベクター内のelkリガンド(elk−L)cDNA又はB61cDNAで形質移入した。発現されたタンパク質は細胞膜に結合していた。
elk−Lは、hekのようにレセプターチロシンキナーゼのeph/elkファミリーのメンバーであるelkとして知られるレセプターに結合する(上の“発明の背景”の節を参照のこと)。elk−Lは、それが同じファミリーの異なるレセプター(即ち、hek)に結合するか否かを調べるためにこの検討に含めた。B61として知られるタンパク質は、TNFにより誘発される新規な即時応答遺伝子(immediate-early response gene)の産物としてヒト臍静脈内皮細胞内で同定されている(Holtzmanら,Mol.Cell.Biol.10:5830,1990)。B61は、elk−Lに対するその相同性の度合い(アミノ酸レベルで33%同一)の故にこの検討に含めた。
単離したB61cDNAのヌクレオチド配列及びそれによりコードされるアミノ酸配列は、参照によりそっくりそのままここに組み入れられるHoltzmanらの前記文献に示されている。B61を産生及び回収する方法も、該タンパク質の一定の構造的特徴及び特性と一緒に記載されている。elk−L cDNAについてのヌクレオチド配列及びコードされるアミノ酸配列は、1992年11月13日に出願された係属中の米国特許出願第07/977,693号に記載されている。なお、この出願は参照によりそっくりそのままここに組み入れられるものとする。elk−Lの産生及び精製も記載されており、該タンパク質の一定の機能性ドメインが同定されている。クローニングベクターpBLUESCRIPT▲R▼SK(-)(Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA)のSmaI部位(mcs内)に挿入したヒトelk−L cDNAで形質転換した大腸菌DH5α細胞を1992年10月9日にATCC69085として寄託した。
この検討の結果は次の通りであった。
空のベクターは検出可能なhek/Fc結合を示さなかった。B61は、比較的温和な親和性で単一親和性の部類の結合性を示しつつhek/Fcに結合した。elk−Lへのhek/Fcの結合は、2種の低親和性結合成分(親和定数2.3×107M-1及び2.9×106M-1)を示す二相性パターンをもらした。hek/Fcに対するこれら2種のhek−Lタンパク質の親和性は、同等であり比較的高い。
b)elk結合
hek/Fc融合タンパク質を可溶性ラットelk/Fc融合タンパク質に換えて上記の結合性アッセイを繰り返した。ラットelkについてのヌクレオチド配列及びコードされるアミノ酸配列は、Lhotakら(Mol.Cell.Biol.11:2496,1991)に示されている。このelk/Fc融合タンパク質は、ヒトIgG1抗体から誘導される天然Fc領域ポリペプチドに融合したelkの細胞外ドメインを含んだ。この(未標識elk/Fcと放射標識マウス抗ヒトIgG抗体を用いる)間接アッセイを用いたのは、elk/Fcの直接放射標識がその結合特異性を不活性化するからであった。
この検討の結果は次の通りであった。
elk/Fc結合の二相性パターンがB61について2.3×108M-1及び7.0×107M-1のKaで認められた。elk−Lを発現する形質移入細胞へのelk/Fc結合について示された親和定数(Ka)は、種々のラット神経細胞系上で発現される天然リガンドへのelk−Fcの結合について認められるものとよく整合している。elk/Fc結合の二相性パターンが、両方のhekリガンドについて見られる。
実施例6:相同性
完全長ヒトelk−L、B61、hekリガンドA2、及びhekリガンドC6タンパク質(実施例5で記載したもの)のアミノ酸レベルでの相互の相同性を表IIIに示す。
配列表
(2)配列番号:1の情報:
(i)配列の特性:
(A)長さ:1037塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA to mRNA
(iii)ハイポセティカル:No
(iv)アンチセンス:No
(vii)直接の起源
(B)クローン名:hek-L A2
(ix)配列の特徴:
(A)名称/記号:CDS
(B)存在位置:83..799
(ix)配列の特徴:
(A)名称/記号:sig peptide
(B)存在位置:83..139
(ix)配列の特徴:
(A)名称/記号:mat peptide
(B)存在位置:140.796
(xi)配列;配列番号:1:
(2)配列番号:2の情報:
(i)配列の特性:
(A)長さ:238アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列;配列番号:2:
(2)配列番号:3の情報:
(i)配列の特性:
(A)長さ:636塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA to mRNA
(iii)ハイポセティカル:No
(iv)アンチセンス:No
(vii)直接の起源
(B)クローン名:hek-L C6
(ix)配列の特徴:
(A)名称/記号:mat peptide
(B)存在位置:94..630
(ix)配列の特徴:
(A)名称/記号:CDS
(B)存在位置:28..633
(ix)配列の特徴:
(A)名称/記号:sig peptide
(B)存在位置:28..93
(xi)配列;配列番号:3:
(2)配列番号:4の情報:
(i)配列の特性:
(A)長さ:201アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列;配列番号:4:
Claims (19)
- hekに結合することができるhekリガンド(hek−L)ポリペプチドをコードする単離されたDNAであって、前記hek−Lが下記の
1)配列番号:2の残基1−219若しくは1−202のアミノ酸配列;
2)配列番号:2の残基1−219若しくは1−202のアミノ酸配列から1又は数個のアミノ酸残基の挿入、置換若しくは欠失を有するアミノ酸配列;及び
3)配列番号:1のヌクレオチド140−796若しくは140−745の核酸配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることのできる核酸配列によってコードされるアミノ酸配列
からなるグループから選択されるアミノ酸配列を含む、前記DNA。 - 前記hek−Lポリペプチドが、配列番号:2の残基1−219のアミノ酸配列を含む、請求項1の単離されたDNA。
- 前記hek−Lポリペプチドが、配列番号:2の残基1−202のアミノ酸配列を含む、請求項1の単離されたDNA。
- hek−Lポリペプチドをコードする単離されたDNAであって、前記hek−Lポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸zないしx(ここにおいて、zは配列番号2の1ないし12位中のアミノ酸であり、そして、xは配列番号2の193ないし219位中のアミノ酸である)のアミノ酸配列を含み、そしてhekに結合することができる、前記DNA。
- 請求項1ないし4のいずれか1項のDNAを含む、発現ベクター。
- hek−Lポリペプチドを製造する方法であって、請求項5のベクターで形質転換された宿主細胞をhek−Lポリペプチドの発現を促進する条件下で培養し、そしてその培養物からhek−Lポリペプチドを回収する、ことを含む方法。
- hekに結合することができる可溶性のhek−L及びFcポリペプチドを含む融合タンパク質をコードする単離されたDNAであって、前記hek−Lが下記の
1)配列番号:2の残基1−202のアミノ酸配列;
2)配列番号:2の残基1−202のアミノ酸配列から1又は数個のアミノ酸残基の挿入、置換若しくは欠失を有するアミノ酸配列;及び
3)配列番号:1のヌクレオチド140−745の核酸配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることのできる核酸配列によってコードされるアミノ酸配列
からなるグループから選択されるアミノ酸配列を含む、前記DNA。 - 請求項7のDNAを含む、発現ベクター。
- hek−L/Fc融合タンパク質を製造する方法であって、請求項8のベクターで形質転換された宿主細胞をhek−L/Fc融合タンパク質の発現を促進する条件下で培養し、そしてその培養物からhek−L/Fc融合タンパク質を回収する、ことを含む方法。
- hekに結合することができる精製されたhek−Lポリペプチドであって、前記hek−Lが下記の
1)配列番号:2の残基1−219若しくは1−202のアミノ酸配列;
2)配列番号:2の残基1−219若しくは1−202のアミノ酸配列から1又は数個のアミノ酸残基の挿入、置換若しくは欠失を有するアミノ酸配列;及び
3)配列番号:1のヌクレオチド140−796若しくは140−745の核酸配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることのできる核酸配列によってコードされるアミノ酸配列
からなるグループから選択されるアミノ酸配列を含む、前記ポリペプチド。 - 配列番号:2の残基1−219のアミノ酸配列を含む、請求項10のhek−Lポリペプチド。
- 配列番号:2の残基1−202のアミノ酸配列を含む、請求項10のhek−Lポリペプチド。
- 精製されたhek−Lポリペプチドであって、前記hek−Lポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸zないしx(ここにおいて、zは配列番号2の1ないし12位中のアミノ酸であり、そして、xは配列番号2の193ないし219位中のアミノ酸である)のアミノ酸配列を含み、そしてhekに結合することができる、前記ポリペプチド。
- ATCC69384として寄託された形質転換細胞内に含有される組換えベクター内の、配列番号:1からなるhek−L cDNA挿入物によりコードされるhek−Lタンパク質。
- 請求項7のDNAによりコードされる融合タンパク質。
- 請求項11のhek−Lポリペプチド、又は前記hek−Lの免疫原性断片と免疫反応性である抗体であって、前記ポリペプチド及び前記免疫原性断片の双方に免疫反応性である前記抗体。
- モノクローナル抗体である、請求項17の抗体。
- hekに結合することができる可溶性のhek−Lポリペプチドを2ないし4個含むオリゴマーであって、前記可溶性hek−Lポリペプチドの各々は、下記の
1)配列番号:2の残基1−202のアミノ酸配列;
2)配列番号:2の残基1−202のアミノ酸配列から1又は数個のアミノ酸残基の挿入、置換若しくは欠失を有するアミノ酸配列;及び
3)配列番号:1のヌクレオチド140−745の核酸配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることのできる核酸配列によってコードされるアミノ酸配列
からなるグループから選択されるアミノ酸配列を含む、前記オリゴマー。 - hekに結合することができる可溶性のhek−Lポリペプチドを2ないし4個含むオリゴマーであって、前記可溶性hek−Lポリペプチドの各々は、配列番号2のアミノ酸zないしx’(ここにおいて、zは配列番号2の1ないし12位中のアミノ酸であり、そして、x’は配列番号2の193ないし202位中のアミノ酸である)のアミノ酸配列を含む、前記オリゴマー。
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