JP3699366B2 - ディーゼルエンジン用燃料の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石油、石炭又は天然ガス等の鉱物油以外の物質からディーゼルエンジン用燃料を製造する方法に関し、特に、魚油(バージン油又は魚廃油)又は前記魚油と植物油(バージン油又は植物廃油)との混合物からディーゼルエンジン用燃料を製造するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地球上に埋蔵されている石油、石炭、又は天然ガス等の化石燃料又は鉱物油の埋蔵量は、当然のことながら限度があり、近年のペースで掘削し使用し続けると、数十年後には枯渇することが危惧されている。
【0003】
一方、食用又は飼料、肥料等のために収穫され利用された後の魚等の廃棄量は、日本国内だけでも1年間に1000万トンから1500万トンに上るといわれており、全世界においては少なくともこの十倍以上が廃棄されているものと推測されている。このような魚廃棄物の一部は、さらに、機械的に圧搾されて固体又は紛体にされて、家畜等の飼料や農作物を育成させるための肥料等に利用される。
【0004】
魚廃棄物を圧搾する際に出る廃液は、数年前までは、その多くが海洋投棄処理されていたが、海洋汚染の一因となり地球環境の保護意識の高まりから、このような魚廃棄物の海洋投棄は各国において禁止されつつあり、関係企業や団体は、このような魚廃棄物の処分に苦慮しているのが現状である。
【0005】
魚廃棄物の海洋投棄禁止後、魚廃棄物を搾った廃液をA重油と混合しボイラー用として燃焼させ焼却処分を行っている例があるが、魚臭い排気ガスが発生して臭気環境の汚染の原因の一つになっている。又、ボイラーの釜の故障にもつながり難題が多く残っている。
【0006】
日本国内における魚廃棄物排出量の1000万トン乃至1500万トンの内、機械的に圧搾魚廃油は、年間400万トンから450万トン排出されていると言われている。地球レベル的に環境汚染を考えた場合、早急にこの解決策を考える必要がある。
【0007】
さらに、日本国における植物廃油(廃食油)の排出量は公的発表では外食産業、食品加工工場等の企業から年間約20万トン、一般家庭から約20万トンの合計40万トンと言われている。
【0008】
植物油製造メーカーの食用油の出荷量は100万トンから150万トン程度となっており、この事から植物油の排出量は実際にはもっと多く排出されていると思われる。この植物廃油(廃食油)による環境汚染が社会問題としてクローズアップされ解決策が急がれている。
【0009】
植物廃油(廃食油)の種類には大別して4種類がある。上廃油、中廃油、下廃油、汚泥となっている。現在、植物廃油(廃食油)の処理、処分方法は次の通りである。
▲1▼ 上廃油については一部家畜の飼料、石鹸、食用として再利用(海外に輸出していたが禁止になった。)
▲2▼ 上廃油の一部はメチルエステル化技術を利用してディーゼルエンジンの燃料として利用されている。
▲3▼ 中廃油、下廃油、汚泥については産業廃棄物中間処理業者が補助燃料を使用して焼却処分されている。
▲4▼ 家庭から出る廃油は固めるテンプル剤を利用して廃油を固めて各自治体のごみ焼却場にて処分されている。
▲5▼ その他悪徳業者により不法投棄で新聞等に環境汚染問題として記事になっている。
▲6▼ 家庭の廃油処理の中で台所の流し台よりそのまま流している場合もある。
【0010】
地球レベルで環境改善が叫ばれる中でこの問題も本格的解決策がない現状で各企業、各行政、各自治体とも苦慮しているのが現状であるが早急に解決すべき環境問題である。
【0011】
ここ数年、植物廃油の1部については、いわゆる「メチルエステル化技術」でディーゼルエンジン用燃料としてリサイクルされている。当該技術は、植物廃油(上廃油)に先ずメタノール又は、エタノールを原料の約30重量%くらいの数量を投入し、続いて、触媒として水酸化ナトリウムをエタノール又はメタノールの数量の1%から1.5%混入して攪拌する。しばらく静置すると比重差をもって不純物(夾雑物、水分、遊離脂肪酸)に分離し、上部の油の部分を取り出す。
【0012】
取り出した油の部分に水酸化ナトリウムを添加することによりエステル交換反応してエステル層と廃グリセリンとする。エステル層の部分を精製しメチルエステル化燃料とし、他方、廃グリセリンの部分は副産物の中和分解を行ない産業廃棄物業者が有償にて廃棄処分する。
【0013】
しかし、このメチルエステル化燃料技術には以下のような問題点がある。
1.原料(植物廃油)に対しアルコール系(メタノール又はエタノール)を30%から50%投入するので生産コストが高い。
2.アルコール系を多く使用するので防災上プラント建設費が高い。
3.作業上の安全性に問題がある。
4.精製後の歩留まりが悪い。又、廃油の中でも上廃油しか精製が出来ない。
5.アルコール系と水酸化ナトリウムを使用しているため燃料として用いた場合、排気中にホルムアルデヒド、アクロレイン、ベンゼン等が軽油使用時よりも多く排出されるのでクリーンな燃料とは言えない。
6.アルコール系を使用しているためディーゼルエンジン内のピストン、ピストンリング、ヘッド内部にトラブルが発生しやすい。
7.中廃油、下廃油、汚泥は精製出来ないので環境改善には役立たない。
【0014】
そこで、本願の発明者は、先に、上述のメチルエステル化技術の欠点を改良する目的で、植物油(バージン油)又は植物性廃油のディーゼルエンジン用燃料化精製方法を発明した(特開2000−219886号公報)。
【0015】
この方法は、加温された植物油(バージン油)又は植物性廃油に対して水とオゾンとを作用させて植物油(バージン油)又は植物性廃油中のグリセリンや動物性油脂等の不純物を分離、除去するものである。この方法は、植物廃油をディーゼルエンジン用燃料に再生する方法であって、魚廃油については言及されていない。ただし、魚廃油、動物廃油については、いくつかの大学研究室にてディーゼルエンジン用燃料として研究に入ったばかりで結果が出るまでかなりの時間が必要と思われる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの問題を全て解決すると共に環境汚染を防止し地球レベルの環境改善に役立つものである。即ち、本発明は、魚廃油等からディーゼルエンジン用の燃料を精製するものであって、魚廃油による環境汚染を防止しディーゼルエンジンの排気ガスをクリーンにすると共に鉱物油の延命を助けるものである。
【0017】
また、メチルエステル化技術の欠点のため十分普及しなかった植物廃油の再生化に新しい方法を提案し、化学薬品を一切使用せず精製でき、魚廃油と植物廃油を原料の段階で混合して精製ができるのである。さらに、精製途中に混合しても精製が出来る。そして、魚廃油、植物廃油共に単独で精製した製品を混合しても何の問題のない精製技術である。
【0018】
プラント建設も低価格であり、しかも生産コストも安価で市場競争力もある。さらに、本願は、軽油よりも良質の燃料に再生する「動植物油(バージン油)及び動植物廃油をディーゼルエンジン用の燃料に精製する方法と装置」を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
このため、本願は、魚油(バージン油又は魚廃油)又は前記魚油と植物油(バージン油又は植物廃油)の濾過された混合物(以下、「原料」という)に対して、オゾンを投入しながら前記原料の組成を破壊してクラッキング現象を生じさせるに必要な回転速度により攪拌処理することにより原料を微粒子化し、前記攪拌処理中において、原料が酸化過多にならないように酸化還元剤と重合防止剤とを投入することを特徴とするディーゼルエンジン用燃料の製造方法を提供するものである。
【0020】
本願は、また、前記原料に対して、オゾンを投入しながら前記原料の組成を破壊してクラッキング現象を生じさせるに必要な回転速度により攪拌処理することにより原料を微粒子化するための一次処理工程と、前記一次処理によって得られたものを濾過する工程と、前記濾過されたものを再度さらに微粒子化するためにオゾンを注入しながら攪拌する二次処理工程と、前記二次処理工程によって得られたものに結晶防止剤を投入する工程と、の各工程を有し、前記一次処理工程において、原料が酸化過多にならないように酸化還元剤と重合防止剤とを投入することを特徴とするディーゼルエンジン用燃料の製造方法を提供するものである。
【0021】
ここで、前記攪拌処理における前記原料の組成を破壊してクラッキング現象を生じさせるに必要な回転速度は、実質的に少なくとも1分間当たり1万回転であることを特徴とする。
【0022】
また、前記魚油は、魚又は魚廃棄物を圧搾しこれを濾過することにより得られたものである。そして、前記濾過する工程において使用される濾過材は、活性白土、ケイソウ土、ゼオライト、活性炭、骨灰であって、原料1キロリットルに対して20乃至25kg使用されることを特徴とする。
【0023】
そして、前記攪拌処理において使用されるオゾンの濃度は、2,000乃至10,000ppmであることを特徴とする。
【0024】
そして、前記酸化還元材は、酸化第二鉄化合物等の鉄化合物又は銅化合物であって、前記原料1キロリットル当たり0.15g投入されるものであり、前記重合防止剤は燐系化合物であって、原料1キロリットル当たり0.2g乃至0.25g投入されることを特徴とする。
【0025】
さらに、前記結晶防止剤は、前記原料に対し0.05乃至0.1重量%であることを特徴とする。
【0026】
本願は、さらに、魚油(バージン油又は魚廃油)又は前記魚油と植物油(バージン油又は植物廃油)の濾過された混合物を原料にしてディーゼルエンジン用燃料を製造するための処理装置であって、処理装置本体と、前記原料を前記処理装置本体内に投入するための原料投入口と、オゾンを前記処理装置本体内に投入するためのオゾン投入口と、酸化還元剤及び重合防止剤を前記処理装置本体内に投入するための薬剤投入口と、前記原料、前記オゾン、前記酸化還元剤及び前記重合防止剤を前記処理装置本体内において攪拌することによって前記原料の組成を破壊してクラッキング現象を生じさせるための攪拌手段と、を有し、前記攪拌手段は、前記処理装置本体内において前記原料等を回転させ攪拌するためのプロペラ手段と、前記処理装置本体の内側に設けられたノコ目入り攪拌補助手段とから構成されたことを特徴とするディーゼルエンジン用燃料を製造するための処理装置を提供するものである。
【0027】
ここで、前記プロペラ手段は、ノコ目入りプロペラ又は無数の針状ワイヤーブラシであり、前記プロペラ手段の回転速度は、1分間に250乃至350回転であり、これにより、前記原料等を実質的に1分間当たり少なくとも1万回転させて攪拌するのと同等の攪拌能力を有することを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法の詳細を説明する。本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法の全体プロセスフローを、図6に示す。
【0029】
本発明の原料は魚油(バージン油又は魚廃油)又は前記魚油と植物油(バージン油又は植物廃油)との混合物からなるものであって、これでディーゼルエンジン燃料油を製造するのであるが、この製造方法の全工程をより詳細に説明する。
【0030】
▲1▼ 前処理濾過工程
▲2▼ 一次処理工程
▲3▼ 一次濾過工程
▲4▼ 二次処理工程
▲5▼ 二次濾過工程
▲6▼ 製品前調整工程
上記6つの各工程について、図を参照しつつ詳細に説明する。
【0031】
〔前処理濾過工程〕
原料の魚廃油及び植物油、植物廃油には多種多様の種類がある。即ち原料を排出する企業、事業所の種類、業務内容によりいろいろな不純物が混入しているので(例、天かす、魚のくず、肉のかす等)混入している不純物を除去することが好ましい。その方法としては加圧式フィルタープレス若しくは吸引式の濾過器を使用する。濾過に使用する濾材の種類として活性白土、ケイソウ土、ゼオライト、活性炭、骨灰等いずれであってもよい。また、異種の濾材を混合して使用することも可とする。使用する濾材の量は原料1キロリットルに対し20kgから25kgとする。
【0032】
加圧式フィルタープレスの場合について図1に、吸引式濾過装置の場合については図2にそれぞれ示す。
【0033】
前処理濾過工程を通過した原料は不純物が除去されきれいな原料となって、一次処理装置へ移送する。
【0034】
〔一次処理工程〕
前処理濾過工程を終了した原料は一次処理装置に移送される。
【0035】
一次処理装置を図3に示す。一次処理装置の上部には前処理濾過装置よりの原料導入口及び酸化還元剤・重合防止剤投入口が、装置内部の最底部にオゾン注入口がそれぞれ設けられており、又、装置中央には攪拌棒が設けられている。攪拌棒にはオゾン注入口よりやや上部の位置にプロペラが取付けられている。そのプロペラには特殊加工を施し、プロペラの先端の周囲にノコギリ刃状の目が入っている。或いはオゾン注入口のやや上部に横軸にしてワイヤーブラシを設けてもよい。この目的は攪拌する時、原料を最微粒子化するためである。又、オゾンガスも最微粒子化するためでもある。さらに、攪拌する時、攪拌効率を向上させるため、前記の特殊プロペラもしくは横軸ワイヤーブラシの直ぐ上部に普通の攪拌羽根が取付けてある。又、一次処理装置内部の外側の壁の4ヶ所に上部から最低部まで帯状の、ノコギリ刃状の目が入った幅10cmから15cmの鉄板(別名ジャマ板)を設けることが好ましい。
【0036】
このような一次処理装置において、上部の原料導入口より前処理濾過装置を経た原料が導入され、下部のオゾン注入口よりオゾンが取り入れられる。使用するオゾン濃度は500乃至30,000ppmとする。これらのオゾン注入濃度範囲において望ましいオゾン濃度は、2,000ppm乃至10,000ppmである。
【0037】
これらの原料をよく攪拌する。本来攪拌速度は1分間に1万乃至3万回転が望ましいが作業上の安全から見た場合危険性が高いので、1分間に250乃至350回転もしくは500乃至1,000回転とする。ここで、当該攪拌における望ましい回転速度は、1分間に250乃至350回転である。10,000回転乃至30,000回転と同等の能力を発揮させるため、プロペラにノコギリ刃状の目を入れ特殊加工するか、無数の針状ワイヤーブラシを使用することにより超高速回転の問題を解決したのである。又、超高速回転能力の効果として原料の中で自然の電磁波が発生する。そのことによりオゾン分解反応が早く確実に行われるのである。
【0038】
攪拌により、最微粒子化された原料とオゾンは粒子同士が混合して原料の酸化促進を行ない原料中のグリセリン、脂肪酸を原料より分離、分解し浮遊させる。これを原料の破壊若しくはクラキング現象という。ただ、原料が酸化過多にならないように酸化還元剤を原料1リットル当たり0.15g投入することにより酸化抑制を行ないオゾン分解により飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸にすなわち、オレフイン効果を生じオゾニドへと変わっていく。オゾニドが還元剤によってアルデヒドやケトンを生成し燃料になりやすい状態になって行く。酸化過多になった場合原料が重合反応を起こすおそれがあるので重合防止剤を原料1kリットル当たり0.2gから0.25g投入する。この処理工程を60分間行う。
【0039】
〔一次濾過工程〕
この工程では圧力式フィルタープレス若しくは吸引式濾過を行う。この工程において使用する装置は先の前処理濾過装置として示した図1及び図2のものと全く同じである。濾過の目的は、一次処理によって原料の中より抽出した浄遊物であるグリセリン、脂肪酸等や反応に使用した酸化還元剤及び重合防止剤を除去することである。この工程で使用する濾材は、活性白土、ケイソウ土、ゼオライト、活性炭、骨灰等いずれであってもよい。若しくは各種の濾過材を混合して使用してもよい。使用する濾過剤の量は原料1kリットルに対して20kgから25kgである。一次濾過工程を通過した原料はかなり精度の高い原料となり、引火性も鉱物油並となり着火性もこの濾過工程後はでてくるのである。
【0040】
〔二次処理工程〕
一次濾過工程を終了した原料を移送する。二次処理装置は一次処理装置と同様の装置で、装置の最底部にオゾン注入口が設けてある。そして、一次処理装置と同様の形状の攪拌機及びジャマ板が同様の位置に設けてある(図3及び図4参照)。この二次処理装置に一次濾過装置を経た原料を導入し、二次処理装置の最低部のオゾン注入口よりオゾンを取り入れ攪拌する。オゾン濃度は、500乃至30,000ppmであり、望ましい濃度は、2,000乃至10,000ppmである。攪拌速度は1分間100乃至300回転であるが、1分間200乃至300回転としてもよい。好ましくはオゾン流量のバブリングだけでもよい。二次処理の目的は、原料の粒子が一次処理装置で、最微粒子化されているものをさらに超微粒子化を計るもので、これによって内燃機関に使用した場合完全燃焼するのである。
【0041】
原料の欠点である冬季の結晶を防止するための原料の0.05乃至0.1重量%の結晶防止剤を投入する。結晶防止剤としてはひまし油等を使用する。又、オゾンの特長である、脱色、脱臭効果がでてくるのである。二次処理装置の処理時間は60乃至90分間、又は、30乃至120分間であってもよい。
【0042】
〔二次濾過工程〕
二次処理工程が終了した原料を二次濾過工程を通過させる。
【0043】
目的として一次処理工程の段階で万が一浮遊物等が残り、又、二次処理装置で新たに浮遊物が抽出された場合を考えて二次濾過工程でそれらを除去する。そして製品の精度を向上させるのである。
【0044】
使用する濾材は、活性白土、ケイソウ土、ゼオライト、活性炭、骨灰いずれであってもよい。もしくは各種の濾過材を混合して使用してもよい
【0045】
〔製品前調整工程〕
二次濾過装置を通過した製品前の原料を製品前調整装置に移送する。製品前調整装置は図5に示すように、装置中央の攪拌機を有するタンクであって、上部に原料及び添加剤導入口を、下部に製品取り出し口を有する。この工程では二次濾過装置を通過した原料を最終的にディーゼルエンジン用の燃料として調整する工程である。
【0046】
二次濾過装置を通過した原料はほとんど製品に近い状態ではあるが、原料は多種多様な油がある。製品を均一化するため植物の生から抽出した添加剤を2乃至5重慮%投入し30分間攪拌する。攪拌は普通の羽根を使用し攪拌速度は1分間に150乃至200回転でよい。
【0047】
この工程が終了した時、完全なディーゼルエンジン用の燃料となる。
【0048】
この工程を終了した本発明より精製された燃料分析の1例の分析結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
上記の表で明確にわかるように、本発明技術で精製された燃料(表の中ではリバイブ燃料)は、日本国内におけるメチルエステル化法EU規格より精度が高いことが明らかである。特に、日本国内で実際に精製を行っている某社と比較した場合、その精度の差が表れている。燃料としての分析の中で、蒸留試験結果の数値は重要である。表の通り蒸留試験において、リバイブ燃料は出光軽油より優れた数値である。このことは、燃料として如何に液体粒子が極小化されているかということがわかると思われる。燃料の粒子を極小化するということは、内燃機関に使用すると不完全燃焼を防ぎ、完全燃焼させることが出来るということになる。完全燃焼することは、排気ガス中に有害物質を含まず黒鉛が発生しなくなる。従って、現在、社会問題化しているディーゼルエンジンから排出される排気ガスによる環境汚染の改善が期待できるものと確信するのである。
次に実施例をもって本発明を更に具体的に説明する。
【0051】
魚廃棄物より機械的に圧搾して取り出した魚廃液及び魚油(バージン油)を原料として使用する。この原料1kリットルを圧力式フィルタープレスを使用して魚のあらの屑、夾雑物等の不純物を除去する。その際濾材として活性白土を使用した。不純物が除去された原料(魚油、魚廃油)を一次処理装置へ移送する。一次処理装置では、図3に示すように処理槽の上部より原料を装入し下方のオゾン投入口よりオゾン濃度2,000乃至10,000ppmを攪拌しながら供給する。攪拌中に酸化還元剤として酸化第二鉄化合物を、又、重合防止剤として燐化合物を添加し、約60分間処理を行う。なお、攪拌機の回転速度は500乃至1,000回転/1分であった。一次処理終了後原料を一次濾過装置に移し、反応で生じたグリセリンや脂肪酸等の不純物を除去する。
【0052】
一次濾過装置を通過した原料を二次処理装置へ移送し、装置下部のオゾン注入口よりオゾンを注入する。オゾン濃度は2,000乃至10,000ppm、攪拌速度は200から400回転/1分間である。原料の0.05乃至0.1重量%の結晶防止剤としてひまし油を投入する。処理時間は60乃至90分であった。二次処理が終了した原料を二次濾過装置を通過させて製品化アップを行う。濾材は活性白土であった。二次濾過装置を通過した後、製品前調整装置へ移送し、この原料に対して2乃至5重量%の植物添加剤を投入し約30分間攪拌する。これによって、本願発明が目的とする最終製品を得た。
【0053】
【発明の効果】
以上詳しく記載したように、本発明は、従来廃棄されてきた魚廃棄油又は植物廃棄油と魚廃棄油の混合物を原料にして、従来の鉱物資源から製造したディーゼルエンジンの性能と勝るとも劣らない品質のディーゼルエンジン用燃料を、より安価に製造することを実現したのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法において使用する圧力式フィルタープレスによる前処理濾過装置の例を示す。
【図2】 本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法において使用する吸引式濾過装置の前処理濾過装置の例を示す。
【図3】 本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法において使用するプロペラ式一次処理装置の例を示す。
【図4】 本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法において使用するブラシ型一次処理装置の例を示す。
【図5】 本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法において使用する製品前調整装置の例を示す。
【図6】本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法の全体プロセスフローを示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、石油、石炭又は天然ガス等の鉱物油以外の物質からディーゼルエンジン用燃料を製造する方法に関し、特に、魚油(バージン油又は魚廃油)又は前記魚油と植物油(バージン油又は植物廃油)との混合物からディーゼルエンジン用燃料を製造するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地球上に埋蔵されている石油、石炭、又は天然ガス等の化石燃料又は鉱物油の埋蔵量は、当然のことながら限度があり、近年のペースで掘削し使用し続けると、数十年後には枯渇することが危惧されている。
【0003】
一方、食用又は飼料、肥料等のために収穫され利用された後の魚等の廃棄量は、日本国内だけでも1年間に1000万トンから1500万トンに上るといわれており、全世界においては少なくともこの十倍以上が廃棄されているものと推測されている。このような魚廃棄物の一部は、さらに、機械的に圧搾されて固体又は紛体にされて、家畜等の飼料や農作物を育成させるための肥料等に利用される。
【0004】
魚廃棄物を圧搾する際に出る廃液は、数年前までは、その多くが海洋投棄処理されていたが、海洋汚染の一因となり地球環境の保護意識の高まりから、このような魚廃棄物の海洋投棄は各国において禁止されつつあり、関係企業や団体は、このような魚廃棄物の処分に苦慮しているのが現状である。
【0005】
魚廃棄物の海洋投棄禁止後、魚廃棄物を搾った廃液をA重油と混合しボイラー用として燃焼させ焼却処分を行っている例があるが、魚臭い排気ガスが発生して臭気環境の汚染の原因の一つになっている。又、ボイラーの釜の故障にもつながり難題が多く残っている。
【0006】
日本国内における魚廃棄物排出量の1000万トン乃至1500万トンの内、機械的に圧搾魚廃油は、年間400万トンから450万トン排出されていると言われている。地球レベル的に環境汚染を考えた場合、早急にこの解決策を考える必要がある。
【0007】
さらに、日本国における植物廃油(廃食油)の排出量は公的発表では外食産業、食品加工工場等の企業から年間約20万トン、一般家庭から約20万トンの合計40万トンと言われている。
【0008】
植物油製造メーカーの食用油の出荷量は100万トンから150万トン程度となっており、この事から植物油の排出量は実際にはもっと多く排出されていると思われる。この植物廃油(廃食油)による環境汚染が社会問題としてクローズアップされ解決策が急がれている。
【0009】
植物廃油(廃食油)の種類には大別して4種類がある。上廃油、中廃油、下廃油、汚泥となっている。現在、植物廃油(廃食油)の処理、処分方法は次の通りである。
▲1▼ 上廃油については一部家畜の飼料、石鹸、食用として再利用(海外に輸出していたが禁止になった。)
▲2▼ 上廃油の一部はメチルエステル化技術を利用してディーゼルエンジンの燃料として利用されている。
▲3▼ 中廃油、下廃油、汚泥については産業廃棄物中間処理業者が補助燃料を使用して焼却処分されている。
▲4▼ 家庭から出る廃油は固めるテンプル剤を利用して廃油を固めて各自治体のごみ焼却場にて処分されている。
▲5▼ その他悪徳業者により不法投棄で新聞等に環境汚染問題として記事になっている。
▲6▼ 家庭の廃油処理の中で台所の流し台よりそのまま流している場合もある。
【0010】
地球レベルで環境改善が叫ばれる中でこの問題も本格的解決策がない現状で各企業、各行政、各自治体とも苦慮しているのが現状であるが早急に解決すべき環境問題である。
【0011】
ここ数年、植物廃油の1部については、いわゆる「メチルエステル化技術」でディーゼルエンジン用燃料としてリサイクルされている。当該技術は、植物廃油(上廃油)に先ずメタノール又は、エタノールを原料の約30重量%くらいの数量を投入し、続いて、触媒として水酸化ナトリウムをエタノール又はメタノールの数量の1%から1.5%混入して攪拌する。しばらく静置すると比重差をもって不純物(夾雑物、水分、遊離脂肪酸)に分離し、上部の油の部分を取り出す。
【0012】
取り出した油の部分に水酸化ナトリウムを添加することによりエステル交換反応してエステル層と廃グリセリンとする。エステル層の部分を精製しメチルエステル化燃料とし、他方、廃グリセリンの部分は副産物の中和分解を行ない産業廃棄物業者が有償にて廃棄処分する。
【0013】
しかし、このメチルエステル化燃料技術には以下のような問題点がある。
1.原料(植物廃油)に対しアルコール系(メタノール又はエタノール)を30%から50%投入するので生産コストが高い。
2.アルコール系を多く使用するので防災上プラント建設費が高い。
3.作業上の安全性に問題がある。
4.精製後の歩留まりが悪い。又、廃油の中でも上廃油しか精製が出来ない。
5.アルコール系と水酸化ナトリウムを使用しているため燃料として用いた場合、排気中にホルムアルデヒド、アクロレイン、ベンゼン等が軽油使用時よりも多く排出されるのでクリーンな燃料とは言えない。
6.アルコール系を使用しているためディーゼルエンジン内のピストン、ピストンリング、ヘッド内部にトラブルが発生しやすい。
7.中廃油、下廃油、汚泥は精製出来ないので環境改善には役立たない。
【0014】
そこで、本願の発明者は、先に、上述のメチルエステル化技術の欠点を改良する目的で、植物油(バージン油)又は植物性廃油のディーゼルエンジン用燃料化精製方法を発明した(特開2000−219886号公報)。
【0015】
この方法は、加温された植物油(バージン油)又は植物性廃油に対して水とオゾンとを作用させて植物油(バージン油)又は植物性廃油中のグリセリンや動物性油脂等の不純物を分離、除去するものである。この方法は、植物廃油をディーゼルエンジン用燃料に再生する方法であって、魚廃油については言及されていない。ただし、魚廃油、動物廃油については、いくつかの大学研究室にてディーゼルエンジン用燃料として研究に入ったばかりで結果が出るまでかなりの時間が必要と思われる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの問題を全て解決すると共に環境汚染を防止し地球レベルの環境改善に役立つものである。即ち、本発明は、魚廃油等からディーゼルエンジン用の燃料を精製するものであって、魚廃油による環境汚染を防止しディーゼルエンジンの排気ガスをクリーンにすると共に鉱物油の延命を助けるものである。
【0017】
また、メチルエステル化技術の欠点のため十分普及しなかった植物廃油の再生化に新しい方法を提案し、化学薬品を一切使用せず精製でき、魚廃油と植物廃油を原料の段階で混合して精製ができるのである。さらに、精製途中に混合しても精製が出来る。そして、魚廃油、植物廃油共に単独で精製した製品を混合しても何の問題のない精製技術である。
【0018】
プラント建設も低価格であり、しかも生産コストも安価で市場競争力もある。さらに、本願は、軽油よりも良質の燃料に再生する「動植物油(バージン油)及び動植物廃油をディーゼルエンジン用の燃料に精製する方法と装置」を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
このため、本願は、魚油(バージン油又は魚廃油)又は前記魚油と植物油(バージン油又は植物廃油)の濾過された混合物(以下、「原料」という)に対して、オゾンを投入しながら前記原料の組成を破壊してクラッキング現象を生じさせるに必要な回転速度により攪拌処理することにより原料を微粒子化し、前記攪拌処理中において、原料が酸化過多にならないように酸化還元剤と重合防止剤とを投入することを特徴とするディーゼルエンジン用燃料の製造方法を提供するものである。
【0020】
本願は、また、前記原料に対して、オゾンを投入しながら前記原料の組成を破壊してクラッキング現象を生じさせるに必要な回転速度により攪拌処理することにより原料を微粒子化するための一次処理工程と、前記一次処理によって得られたものを濾過する工程と、前記濾過されたものを再度さらに微粒子化するためにオゾンを注入しながら攪拌する二次処理工程と、前記二次処理工程によって得られたものに結晶防止剤を投入する工程と、の各工程を有し、前記一次処理工程において、原料が酸化過多にならないように酸化還元剤と重合防止剤とを投入することを特徴とするディーゼルエンジン用燃料の製造方法を提供するものである。
【0021】
ここで、前記攪拌処理における前記原料の組成を破壊してクラッキング現象を生じさせるに必要な回転速度は、実質的に少なくとも1分間当たり1万回転であることを特徴とする。
【0022】
また、前記魚油は、魚又は魚廃棄物を圧搾しこれを濾過することにより得られたものである。そして、前記濾過する工程において使用される濾過材は、活性白土、ケイソウ土、ゼオライト、活性炭、骨灰であって、原料1キロリットルに対して20乃至25kg使用されることを特徴とする。
【0023】
そして、前記攪拌処理において使用されるオゾンの濃度は、2,000乃至10,000ppmであることを特徴とする。
【0024】
そして、前記酸化還元材は、酸化第二鉄化合物等の鉄化合物又は銅化合物であって、前記原料1キロリットル当たり0.15g投入されるものであり、前記重合防止剤は燐系化合物であって、原料1キロリットル当たり0.2g乃至0.25g投入されることを特徴とする。
【0025】
さらに、前記結晶防止剤は、前記原料に対し0.05乃至0.1重量%であることを特徴とする。
【0026】
本願は、さらに、魚油(バージン油又は魚廃油)又は前記魚油と植物油(バージン油又は植物廃油)の濾過された混合物を原料にしてディーゼルエンジン用燃料を製造するための処理装置であって、処理装置本体と、前記原料を前記処理装置本体内に投入するための原料投入口と、オゾンを前記処理装置本体内に投入するためのオゾン投入口と、酸化還元剤及び重合防止剤を前記処理装置本体内に投入するための薬剤投入口と、前記原料、前記オゾン、前記酸化還元剤及び前記重合防止剤を前記処理装置本体内において攪拌することによって前記原料の組成を破壊してクラッキング現象を生じさせるための攪拌手段と、を有し、前記攪拌手段は、前記処理装置本体内において前記原料等を回転させ攪拌するためのプロペラ手段と、前記処理装置本体の内側に設けられたノコ目入り攪拌補助手段とから構成されたことを特徴とするディーゼルエンジン用燃料を製造するための処理装置を提供するものである。
【0027】
ここで、前記プロペラ手段は、ノコ目入りプロペラ又は無数の針状ワイヤーブラシであり、前記プロペラ手段の回転速度は、1分間に250乃至350回転であり、これにより、前記原料等を実質的に1分間当たり少なくとも1万回転させて攪拌するのと同等の攪拌能力を有することを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法の詳細を説明する。本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法の全体プロセスフローを、図6に示す。
【0029】
本発明の原料は魚油(バージン油又は魚廃油)又は前記魚油と植物油(バージン油又は植物廃油)との混合物からなるものであって、これでディーゼルエンジン燃料油を製造するのであるが、この製造方法の全工程をより詳細に説明する。
【0030】
▲1▼ 前処理濾過工程
▲2▼ 一次処理工程
▲3▼ 一次濾過工程
▲4▼ 二次処理工程
▲5▼ 二次濾過工程
▲6▼ 製品前調整工程
上記6つの各工程について、図を参照しつつ詳細に説明する。
【0031】
〔前処理濾過工程〕
原料の魚廃油及び植物油、植物廃油には多種多様の種類がある。即ち原料を排出する企業、事業所の種類、業務内容によりいろいろな不純物が混入しているので(例、天かす、魚のくず、肉のかす等)混入している不純物を除去することが好ましい。その方法としては加圧式フィルタープレス若しくは吸引式の濾過器を使用する。濾過に使用する濾材の種類として活性白土、ケイソウ土、ゼオライト、活性炭、骨灰等いずれであってもよい。また、異種の濾材を混合して使用することも可とする。使用する濾材の量は原料1キロリットルに対し20kgから25kgとする。
【0032】
加圧式フィルタープレスの場合について図1に、吸引式濾過装置の場合については図2にそれぞれ示す。
【0033】
前処理濾過工程を通過した原料は不純物が除去されきれいな原料となって、一次処理装置へ移送する。
【0034】
〔一次処理工程〕
前処理濾過工程を終了した原料は一次処理装置に移送される。
【0035】
一次処理装置を図3に示す。一次処理装置の上部には前処理濾過装置よりの原料導入口及び酸化還元剤・重合防止剤投入口が、装置内部の最底部にオゾン注入口がそれぞれ設けられており、又、装置中央には攪拌棒が設けられている。攪拌棒にはオゾン注入口よりやや上部の位置にプロペラが取付けられている。そのプロペラには特殊加工を施し、プロペラの先端の周囲にノコギリ刃状の目が入っている。或いはオゾン注入口のやや上部に横軸にしてワイヤーブラシを設けてもよい。この目的は攪拌する時、原料を最微粒子化するためである。又、オゾンガスも最微粒子化するためでもある。さらに、攪拌する時、攪拌効率を向上させるため、前記の特殊プロペラもしくは横軸ワイヤーブラシの直ぐ上部に普通の攪拌羽根が取付けてある。又、一次処理装置内部の外側の壁の4ヶ所に上部から最低部まで帯状の、ノコギリ刃状の目が入った幅10cmから15cmの鉄板(別名ジャマ板)を設けることが好ましい。
【0036】
このような一次処理装置において、上部の原料導入口より前処理濾過装置を経た原料が導入され、下部のオゾン注入口よりオゾンが取り入れられる。使用するオゾン濃度は500乃至30,000ppmとする。これらのオゾン注入濃度範囲において望ましいオゾン濃度は、2,000ppm乃至10,000ppmである。
【0037】
これらの原料をよく攪拌する。本来攪拌速度は1分間に1万乃至3万回転が望ましいが作業上の安全から見た場合危険性が高いので、1分間に250乃至350回転もしくは500乃至1,000回転とする。ここで、当該攪拌における望ましい回転速度は、1分間に250乃至350回転である。10,000回転乃至30,000回転と同等の能力を発揮させるため、プロペラにノコギリ刃状の目を入れ特殊加工するか、無数の針状ワイヤーブラシを使用することにより超高速回転の問題を解決したのである。又、超高速回転能力の効果として原料の中で自然の電磁波が発生する。そのことによりオゾン分解反応が早く確実に行われるのである。
【0038】
攪拌により、最微粒子化された原料とオゾンは粒子同士が混合して原料の酸化促進を行ない原料中のグリセリン、脂肪酸を原料より分離、分解し浮遊させる。これを原料の破壊若しくはクラキング現象という。ただ、原料が酸化過多にならないように酸化還元剤を原料1リットル当たり0.15g投入することにより酸化抑制を行ないオゾン分解により飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸にすなわち、オレフイン効果を生じオゾニドへと変わっていく。オゾニドが還元剤によってアルデヒドやケトンを生成し燃料になりやすい状態になって行く。酸化過多になった場合原料が重合反応を起こすおそれがあるので重合防止剤を原料1kリットル当たり0.2gから0.25g投入する。この処理工程を60分間行う。
【0039】
〔一次濾過工程〕
この工程では圧力式フィルタープレス若しくは吸引式濾過を行う。この工程において使用する装置は先の前処理濾過装置として示した図1及び図2のものと全く同じである。濾過の目的は、一次処理によって原料の中より抽出した浄遊物であるグリセリン、脂肪酸等や反応に使用した酸化還元剤及び重合防止剤を除去することである。この工程で使用する濾材は、活性白土、ケイソウ土、ゼオライト、活性炭、骨灰等いずれであってもよい。若しくは各種の濾過材を混合して使用してもよい。使用する濾過剤の量は原料1kリットルに対して20kgから25kgである。一次濾過工程を通過した原料はかなり精度の高い原料となり、引火性も鉱物油並となり着火性もこの濾過工程後はでてくるのである。
【0040】
〔二次処理工程〕
一次濾過工程を終了した原料を移送する。二次処理装置は一次処理装置と同様の装置で、装置の最底部にオゾン注入口が設けてある。そして、一次処理装置と同様の形状の攪拌機及びジャマ板が同様の位置に設けてある(図3及び図4参照)。この二次処理装置に一次濾過装置を経た原料を導入し、二次処理装置の最低部のオゾン注入口よりオゾンを取り入れ攪拌する。オゾン濃度は、500乃至30,000ppmであり、望ましい濃度は、2,000乃至10,000ppmである。攪拌速度は1分間100乃至300回転であるが、1分間200乃至300回転としてもよい。好ましくはオゾン流量のバブリングだけでもよい。二次処理の目的は、原料の粒子が一次処理装置で、最微粒子化されているものをさらに超微粒子化を計るもので、これによって内燃機関に使用した場合完全燃焼するのである。
【0041】
原料の欠点である冬季の結晶を防止するための原料の0.05乃至0.1重量%の結晶防止剤を投入する。結晶防止剤としてはひまし油等を使用する。又、オゾンの特長である、脱色、脱臭効果がでてくるのである。二次処理装置の処理時間は60乃至90分間、又は、30乃至120分間であってもよい。
【0042】
〔二次濾過工程〕
二次処理工程が終了した原料を二次濾過工程を通過させる。
【0043】
目的として一次処理工程の段階で万が一浮遊物等が残り、又、二次処理装置で新たに浮遊物が抽出された場合を考えて二次濾過工程でそれらを除去する。そして製品の精度を向上させるのである。
【0044】
使用する濾材は、活性白土、ケイソウ土、ゼオライト、活性炭、骨灰いずれであってもよい。もしくは各種の濾過材を混合して使用してもよい
【0045】
〔製品前調整工程〕
二次濾過装置を通過した製品前の原料を製品前調整装置に移送する。製品前調整装置は図5に示すように、装置中央の攪拌機を有するタンクであって、上部に原料及び添加剤導入口を、下部に製品取り出し口を有する。この工程では二次濾過装置を通過した原料を最終的にディーゼルエンジン用の燃料として調整する工程である。
【0046】
二次濾過装置を通過した原料はほとんど製品に近い状態ではあるが、原料は多種多様な油がある。製品を均一化するため植物の生から抽出した添加剤を2乃至5重慮%投入し30分間攪拌する。攪拌は普通の羽根を使用し攪拌速度は1分間に150乃至200回転でよい。
【0047】
この工程が終了した時、完全なディーゼルエンジン用の燃料となる。
【0048】
この工程を終了した本発明より精製された燃料分析の1例の分析結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
上記の表で明確にわかるように、本発明技術で精製された燃料(表の中ではリバイブ燃料)は、日本国内におけるメチルエステル化法EU規格より精度が高いことが明らかである。特に、日本国内で実際に精製を行っている某社と比較した場合、その精度の差が表れている。燃料としての分析の中で、蒸留試験結果の数値は重要である。表の通り蒸留試験において、リバイブ燃料は出光軽油より優れた数値である。このことは、燃料として如何に液体粒子が極小化されているかということがわかると思われる。燃料の粒子を極小化するということは、内燃機関に使用すると不完全燃焼を防ぎ、完全燃焼させることが出来るということになる。完全燃焼することは、排気ガス中に有害物質を含まず黒鉛が発生しなくなる。従って、現在、社会問題化しているディーゼルエンジンから排出される排気ガスによる環境汚染の改善が期待できるものと確信するのである。
次に実施例をもって本発明を更に具体的に説明する。
【0051】
魚廃棄物より機械的に圧搾して取り出した魚廃液及び魚油(バージン油)を原料として使用する。この原料1kリットルを圧力式フィルタープレスを使用して魚のあらの屑、夾雑物等の不純物を除去する。その際濾材として活性白土を使用した。不純物が除去された原料(魚油、魚廃油)を一次処理装置へ移送する。一次処理装置では、図3に示すように処理槽の上部より原料を装入し下方のオゾン投入口よりオゾン濃度2,000乃至10,000ppmを攪拌しながら供給する。攪拌中に酸化還元剤として酸化第二鉄化合物を、又、重合防止剤として燐化合物を添加し、約60分間処理を行う。なお、攪拌機の回転速度は500乃至1,000回転/1分であった。一次処理終了後原料を一次濾過装置に移し、反応で生じたグリセリンや脂肪酸等の不純物を除去する。
【0052】
一次濾過装置を通過した原料を二次処理装置へ移送し、装置下部のオゾン注入口よりオゾンを注入する。オゾン濃度は2,000乃至10,000ppm、攪拌速度は200から400回転/1分間である。原料の0.05乃至0.1重量%の結晶防止剤としてひまし油を投入する。処理時間は60乃至90分であった。二次処理が終了した原料を二次濾過装置を通過させて製品化アップを行う。濾材は活性白土であった。二次濾過装置を通過した後、製品前調整装置へ移送し、この原料に対して2乃至5重量%の植物添加剤を投入し約30分間攪拌する。これによって、本願発明が目的とする最終製品を得た。
【0053】
【発明の効果】
以上詳しく記載したように、本発明は、従来廃棄されてきた魚廃棄油又は植物廃棄油と魚廃棄油の混合物を原料にして、従来の鉱物資源から製造したディーゼルエンジンの性能と勝るとも劣らない品質のディーゼルエンジン用燃料を、より安価に製造することを実現したのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法において使用する圧力式フィルタープレスによる前処理濾過装置の例を示す。
【図2】 本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法において使用する吸引式濾過装置の前処理濾過装置の例を示す。
【図3】 本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法において使用するプロペラ式一次処理装置の例を示す。
【図4】 本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法において使用するブラシ型一次処理装置の例を示す。
【図5】 本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法において使用する製品前調整装置の例を示す。
【図6】本発明に係るディーゼルエンジン用燃料の製造方法の全体プロセスフローを示す。
Claims (12)
- 魚油(バージン油又は魚廃油)又は前記魚油と植物油(バージン油又は植物廃油)の濾過された混合物(以下、「原料」という)に対して、オゾンを投入しながら前記原料の組成を破壊してクラッキング現象を生じさせるに必要な回転速度により攪拌処理することにより原料を微粒子化し、
前記攪拌処理中において、原料が酸化過多にならないように酸化還元剤と重合防止剤とを投入することを特徴とするディーゼルエンジン用燃料の製造方法。 - 魚油(バージン油又は魚廃油)又は前記魚油と植物油(バージン油又は植物廃油)の濾過された混合物(以下、「原料」という)に対して、オゾンを投入しながら前記原料の組成を破壊してクラッキング現象を生じさせるに必要な回転速度により攪拌処理することにより原料を微粒子化するための一次処理工程と、
前記一次処理によって得られたものを濾過する工程と、
前記濾過されたものを再度さらに微粒子化するためにオゾンを注入しながら攪拌する二次処理工程と、
前記二次処理工程によって得られたものに結晶防止剤を投入する工程と、
の各工程を有し、
前記一次処理工程において、原料が酸化過多にならないように酸化還元剤と重合防止剤とを投入することを特徴とするディーゼルエンジン用燃料の製造方法。 - 前記攪拌処理における前記原料の組成を破壊してクラッキング現象を生じさせるに必要な回転速度は、実質的に少なくとも1分間当たり1万回転であることを特徴とする請求項1又は2に記載のディーゼルエンジン用燃料の製造方法。
- 前記魚油は、魚又は魚廃棄物を圧搾しこれを濾過することにより得られたものである請求項1又は2に記載のディーゼルエンジン用燃料の製造方法。
- 前記濾過する工程において使用される濾過材は、活性白土、ケイソウ土、ゼオライト、活性炭、骨灰であって、原料1キロリットルに対して20乃至25kg使用されることを特徴とする請求項2に記載のディーゼルエンジン用燃料の製造方法。
- 前記攪拌処理において使用されるオゾンの濃度は、2,000乃至10,000ppmであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のディーゼルエンジン用燃料の製造方法。
- 前記酸化還元材は、酸化第二鉄化合物等の鉄化合物又は銅化合物であって、前記原料1キロリットル当たり0.15g投入されることを特徴とする請求項1又は2に記載のディーゼルエンジン用燃料の製造方法。
- 前記重合防止剤は燐系化合物であり、原料1キロリットル当たり0.2g乃至0.25g投入されることを特徴とする請求項1又は2に記載のディーゼルエンジン用燃料の製造方法。
- 前記結晶防止剤は、前記原料に対し0.05乃至0.1重量%であることを特徴とする請求項2記載のディーゼルエンジン用燃料の製造方法。
- 魚油(バージン油又は魚廃油)又は前記魚油と植物油(バージン油又は植物廃油)の濾過された混合物を原料にしてディーゼルエンジン用燃料を製造するための処理装置であって、
処理装置本体と、
前記原料を前記処理装置本体内に投入するための原料投入口と、
オゾンを前記処理装置本体内に投入するためのオゾン投入口と、
酸化還元剤及び重合防止剤を前記処理装置本体内に投入するための薬剤投入口と、
前記原料、前記オゾン、前記酸化還元剤及び前記重合防止剤を前記処理装置本体内において攪拌することによって前記原料の組成を破壊してクラッキング現象を生じさせるための攪拌手段と、を有し、
前記攪拌手段は、前記処理装置本体内において前記原料等を回転させ攪拌するためのプロペラ手段と、前記処理装置本体の内側に設けられたノコ目入り攪拌補助手段とから構成されたことを特徴とするディーゼルエンジン用燃料を製造するための処理装置。 - 前記プロペラ手段は、ノコ目入りプロペラ又は無数の針状ワイヤーブラシである請求項10に記載のディーゼルエンジン用燃料を製造するための処理装置。
- 前記プロペラ手段の回転速度は、1分間に250乃至350回転であり、これにより、前記原料等を実質的に1分間当たり少なくとも1万回転させて攪拌するのと同等の攪拌能力を有することを特徴とする請求項10又は11に記載のディーゼルエンジン用燃料を製造するための処理装置。
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