JP3699270B2 - 移動足場装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、この発明は移動足場装置に関し、更に詳しくは、橋梁、高架道路の床裏面、大型建築物、例えば体育館等の補修,塗装などに代表されるメンテナンス作業に適した移動足場装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
橋梁等で代表される構築物のメンテナンス作業には足場が必要であって、陸上に立設した構築物の比較的低い場所では、高所作業車や地上から組み上げたパイプ製の足場を用いることで対処できる。しかしながら、地上高が数十メートルにもなる橋梁或いは海上や河川上に立設された橋梁等では上述のような手段では対処できず、橋梁に対して取り付けられた足場装置が必要となる。
【0003】
この足場装置装置として、作業の進捗に伴って足場の位置を逐次移動できる移動式の作業足場装置を本件出願人が種々提案している。その一つとして、特公平5−54551号公報に記載された従来例では、橋梁などの軸方向の変化、更には曲線橋梁などに対しても橋梁下の平面内を任意に移動できる移動足場装置が提案されている。
【0004】
図7,8,9にて、上述の従来の移動足場装置を説明する。図7は係る移動足場装置を架設した高架道路等の構築物を斜め下から観た全体図であり、図8,9はこの移動足場装置の使用状態を示した説明図である。
【0005】
この移動足場装置では、構築物1の下面の端梁材2からリブ2Aが左右(幅)方向に張り出しているのを利用して、このリブ2Aに対し橋梁材2の長さ方向に沿ってハンガーレール11が万力12により取り付けられている。ハンガーレール11は、逆T字形の断面形状をしており、下面には波形のラック状歯11aが長さ方向に設けられている。なお、このラック状歯11aには図示しない駆動輪のピニオンやストップピンなどが噛合・係合する。
【0006】
ハンガーレール11には、複数の移動足場用吊持機20が移動可能に装着されている。これらの吊持機20は、横連結棒28によって連動して移動するようになっている。また、吊持機20には、縦連結子50を介して移動足場用吊持機30が吊持されている。そして、一対の吊持機30には、この吊持機30間の幅方向の間隔より長いトラスフレーム40が支持されており、この一対の吊持機30間に、トラスフレーム40上部のガイドレール41が左右方向移動可能に装着されている。なお、縦連結子50は中間部分にスライド軸受が介挿されて、両端軸が相対回転可能なものである。
【0007】
吊持機20は、箱形のケーシング21にハンガーレール11を貫通する窓穴が開設されたものである。このケーシング21には、ボルト22が貫通した状態で螺合している。複数のボルト22は対向して配設されており、それぞれ先端に車輪23が回転可能に設けられている。そして、ボルト22を後退させて車輪23間を開いた状態でハンガーレール11を窓穴に入れ、それからボルト22を前進させてボルト22間を狭めると、ハンガーレール11が車輪23間に納まって、車輪23がハンガーレール11の上面を転動する状態になる。このとき、吊持機20は、ハンガーレール11に装着されたままで移動できるものとなっている。
【0008】
吊持機30も、上下逆さで且つ鉛直線基準に90°回っているが同様の構造である。すなわち、箱形のケーシング31にガイドレール41を貫通する窓穴が開設されており、このケーシング31に複数のボルト32が対向して貫通螺合しており、ボルト32の先端に車輪33がガイドレール41の下面を転動することで、ガイドレール41に装着されたままで移動できるものとなっている。
【0009】
このような吊持機20,30によって吊持されたトラスフレーム40の下辺棒43には、長板状の足場板60が、複数枚、端部のフックを係止して敷き詰められている。こうして布設された移動足場に乗って、構築物1の下面に対する必要なメンテナンス作業を行い、その部分の作業を終えると、その後は作業進行方向へ新たなハンガーレール11を継ぎ足す。この際、収納自在な所謂オーバーハング足場を一時的に引き出し、この上に乗ってハンガーレールを延長連結する。そして、継ぎ足したハンガーレール11側へ吊持機20の作動等によって移動足場を移動させて再びメンテナンス作業を行う。
【0010】
この従来の作業足場装置は、構築物の長手方向の両側に一対のハンガーレール11を取り付け、このハンガーレール11上を移動する複数の吊持機20と、この各吊持機20に対して水平面に沿って回転できる状態で連結されている第2の吊持機30を備え、この第2の吊持機30によってハンガーレール11と交差する方向に移動可能にトラスフレーム40を支持しているので、ハンガーレール11と吊持機20との移動機構及びトラスフレーム40上に設けたガイドレール41と第2の吊持機30との移動機構によって、トラスフレーム40に支持されている足場板が、構築物の長手方向に沿って移動できるばかりか、構築物の幅方向の変化にも追従でき、構築物下の平面上を任意の方向に移動可能できる構造になっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来例では、構築物下の一つの平面上は任意の方向に足場を移動可能にできるが、足場を垂直方向に移動させることができない。これに対して、図6に示すように、高架道路等の構築物1の床裏面には複数の梁材2を備えたものがあり、このような構築物の床裏面は垂直方向に凹凸形状になっている。このような構築物1に対して上述の移動足場装置を布設する場合には、梁材2の底面から下方に作業者が移動できるだけの距離H1を離した破線60Aの位置に足場を設置すると、足場から床裏面までの距離H2が作業不能な距離となってしまい、また、足場から床裏面までの距離H2を作業可能な距離に設定すると、梁材2の底面と足場までの距離H1が狭くなって、作業者が床裏面全体に渡って移動し難くなってしまうという不都合が生じる。
【0012】
また、上述の状況に関わらず、構築物の形状によっては、一つの平面内で足場を移動可能にしただけでは作業不能となる領域が生じる場合が多々あり、構築物に布設される足場は長手方向と幅方向に任意に移動するのみでは不十分であるという問題があった。
【0013】
本発明は、上述のような問題を解決するために提案されたものであって、構築物に布設される移動足場装置において、足場の位置を構築物の長手方向,幅方向に加えて垂直方向にも任意に移動可能にすることを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による移動足場装置は、構築物の長手方向に沿って、作業の進行に伴って逐次取り付けられる一対のハンガーレールを備え、該一対のハンガーレールのそれぞれに少なくとも一組の吊持機が移動可能に装着されてなり、上記吊持機のそれぞれには該吊持機に対して水平面に沿って回転可能に連結された第2の吊持機が装着され、この第2の吊持機によって上記ハンガーレールに対して立体交差する少なくとも一対のガイドレールが移動可能に吊持されてなる移動足場装置において、上記各ガイドレールには、ガイドレール上を水平方向に移動可能に支持される一対のスライド部材が設けられ、該スライド部材には垂直方向に配設された垂直支持材を上下に昇降し得る昇降機が連結されてなり、該昇降機によって上下に昇降自在に支持された上記垂直支持材間を水平梁材によって連結し、該水平梁材間に足場板を支持してなることを特徴とする。
【0015】
上述の移動足場装置によると、まず、足場板は垂直支持材の上下への昇降に伴って垂直方向に自在に移動できる。また、垂直支持材自体がガイドレール上を水
平方向にスライドするスライド部材と連結した昇降機に支持されており、足場板は水平方向にも移動可能となっている。そして、上記のガイドレールは、上述した従来の移動足場装置と同様に、構築物の長手方向に沿って取り付けられたハンガーレールに移動可能に装着された吊持機及びこの吊持機に対して水平面に沿って回転可能に連結された第2の吊持機によって移動可能に吊持されているので、構築物下の特定の水平面上であれば任意の位置にガイドレールを配設することができる。
【0016】
したがって、本発明の移動足場装置によると、足場板を構築物の長手方向に沿って移動できるばかりか、構築物の幅方向の変化にも追従でき、構築物下の平面上を任意の方向に移動可能できると共に、足場板を垂直方向及び水平方向に任意に移動させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する(なお、従来と同一の部分には同一の番号を付して一部説明を省略する。)。図1〜3は実施例の要部を示す説明図であって、図1が橋軸に対する横断面図、図2が平面図、図3が側面図である。
【0018】
構築物の長手方向に沿って床裏面に設けられた橋梁材2のリブ2Aに、一対のハンガーレール11が装着される(図面では片側のみ示す。)。このハンガーレール11のそれぞれに少なくとも一組の吊持機20が移動可能に装着される。吊持機20のそれぞれには吊持機20に対して水平面に沿って回転可能に連結された第2の吊持機30が装着される。上述のハンガーレール11に対して立体交差する少なくとも一対のガイドレール41を備えたトラスフレーム40が、第2の吊持機30によって移動可能に吊持されている。吊持機20と第2の吊持機30は縦連結子50によって連結されている。
【0019】
各ガイドレール41には、ガイドレール41上を水平方向に移動可能に支持される一対のスライド部材60が設けられる。この左右一対のスライド部材60は、支持材61によって連結されており、この支持材61間に昇降機70が連結されている。また、左右一対の昇降機70は支持材71によって連結されている。71は昇降機70を駆動するモータであり、モータ71の動力を駆動軸72によって左右一対の昇降機70のギヤ73に伝達している。
【0020】
80は昇降機70によって上下に昇降自在に支持された垂直支持材である。この垂直支持材80には上記のギヤ73に噛み合うラック状歯73が設けられている。一方のガイドレール41側の一対の垂直支持材80間には水平なトラスフレーム81が装着され、このトラスフレーム81によって一対の垂直支持材80が連結されている。そして、この水平に配置したトラスフレーム81間に足場板82が支持される。
【0021】
次ぎに、図4によって、実施例の可動部分を詳細に説明する。
吊持機20は、箱型のケーシング21にハンガーレール11上に載る車輪23がその内側の空間に軸22aを介して取り付けられており、車輪23の持つフランジがハンガーレール11の側縁に沿っている。この車輪23の下側の空間中にはラック状歯11aに噛み合うピニオン輪28が軸28aによりケーシング21に取り付けられている。そして、ピニオン輪28の軸28aに設けた歯車24に対してケーシング21に設けたクランクハンドル25の軸25aの歯車が噛み合い、これによってトルク伝達できるようになっている。ケーシング21の側面にはラック状歯11aの幅方向に沿って窓孔26が穿設されており、この窓孔26にロックピン27を挿入するとラック状歯11aの係止状態を保持できるようになっている。
【0022】
また、吊持機20の下端部には、第2の吊持機30がスラスト軸受51を介して縦連結子50により吊持されている。スラスト軸受51によって第2の吊持機30は水平面内で自在に回転可能となっている。第2の吊持機30のケーシング31には、ピニオン輪34,車輪33が軸支され、ピニオン輪34はガイドレール41のラック状歯42に噛み合い、車輪33はそのガイドレール41の下面に当接することで、ガイドレール41上を第2の吊持機30が移動可能となっている。ケーシング31の側面には窓孔36が穿設されており、この窓孔36にロックピン37を挿入するとラック状歯42の係止状態を保持できるようになっている。
【0023】
スライド部材60は、第2の吊持機30と同様の機構をなし、ケーシング60aには、ピニオン輪62,車輪63が軸支され、ピニオン輪62はガイドレール41のラック状歯42に噛み合い、車輪63はそのガイドレール41の下面に当接している。図示を省略したがロックピン37のようにスライド部材60をガイドレール41に固定する手段を必要に応じて備えている。
【0024】
昇降機70について説明すると、ケーシング70aに、ギヤ73,車輪74が軸支され、ギヤ73は垂直支持材80のラック状歯80aに噛み合い、車輪74が垂直支持材80の側面に当接して、ギヤ73とラック状歯80aの噛合いを保持している。そして、ギヤ73をモータ71の駆動によって正逆回転させることによって、垂直支持材80を上下に昇降させている。
【0025】
次に実施例の移動足場装置の移動作業について説明する。先ず、構築物の橋梁材2のリブ2Aに沿って適当な間隔で万力12を介してハンガーレール11を吊持する。ハンガーレール11はメンテナンス作業の必要な箇所に順次装着されるが、このとき、一対のハンガーレール11,11の幅方向の間隔は一定である必要はなく、橋梁材2の形状に沿って配置される。このハンガーレール11,11に吊持機20,第2の吊持機30を介してガイドレール41を備えたトラスフレーム40を吊持させる。
【0026】
このガイドレール41はハンガーレール11と立体的に交差するように必要な方向に配置されるが、この移動に当たっては、橋梁材2が平面視上曲線を描いているとき、または、橋梁材2の幅員寸法が拡張或いは縮幅している場合には、左右幅方向に配置される一対の吊持機20並びに第2の吊持機30の間隔は変化するが、ガイドレール41のラック状歯42に沿って第2の吊持機30が移動する(第2の吊持機30に対してガイドレール41が相対的に移動する)ことでこの変化を吸収し、必要な位置に配置される。
【0027】
特に、図5に示した橋脚Pと橋梁Bとが斜交交差する場合には、曲線内側の吊持機20を、ロックピン27を窓孔26に挿入してラック状歯11aと係合させることで固定し、曲線外側の吊持機20だけを移動させる。これによって、ガイドレール41はその長さ方向と斜交する方向に移動し、他の橋脚Pに近接配置させ得る。このように、吊持機20と第2の吊持機30とを任意に移動させることによって、ガイドレール41を構築物下の任意の位置に移動させることができる。
【0028】
一対のガイドレール41をメンテナンスが必要な位置に配置すると、これを支持する4箇所の吊持機20,30を、ロックピン27,37を窓孔26,36に挿入してラック状歯11a,42と係合させることで固定する。この状態で、ガイドレール41上のスライド部材60を移動させて、足場の水平面内での位置を定めてスライド部材60をガイドレール41に固定する。そして、その状態で、昇降機70を駆動させて垂直支持材80を上昇させ、トラスフレーム81によって支持された足場板82を所望の高さまで移動させる。
【0029】
また、一定箇所のメンテナンス作業が終了すると、現在、橋梁材2に装着されているハンガーレールの先端に、新たにハンガーレール11を継ぎ足し、この継ぎ足したハンガーレール11に吊持機20,30を移行させて、上述の作業を繰り返す。
【0030】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されるので、移動足場装置による足場を構築物の長手方向に沿って移動できるばかりか、構築物の幅方向の変化にも追従でき、構築物下の平面上を任意の方向に移動可能できると共に、足場を垂直方向及び水平方向に任意に移動させることができる。これによって、如何なる構築物の形態に対しても、移動足場装置を布設して、構築物のメンテナンス作業をスムースに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の要部を示す説明図(橋軸に対する横断面図)。
【図2】本発明の実施例の要部を示す説明図(平面図)。
【図3】本発明の実施例の要部を示す説明図(側面図)。
【図4】本発明の実施例における可動部分を示す説明図。
【図5】本発明の実施例を説明する説明図。
【図6】本発明を説明する説明図。
【図7】従来例を示す説明図。
【図8】従来例を示す説明図。
【図9】従来例を示す説明図。
【符号の説明】
11 ハンガーレール
20 吊持機
30 第2の吊持機
40,81 トラスフレーム
41 ガイドレール
50 縦連結子
60 スライド部材
61 支持材
70 昇降機
71 モータ
72 駆動軸
73 ギヤ
80 垂直支持材
82 足場板
Claims (1)
- 構築物の長手方向に沿って、作業の進行に伴って逐次取り付けられる一対のハンガーレールを備え、該一対のハンガーレールのそれぞれに少なくとも一組の吊持機が移動可能に装着されてなり、上記吊持機のそれぞれには該吊持機に対して水平面に沿って回転可能に連結された第2の吊持機が装着され、この第2の吊持機によって上記ハンガーレールに対して立体交差する少なくとも一対のガイドレールが移動可能に吊持されてなる移動足場装置において、
上記各ガイドレールには、ガイドレール上を水平方向に移動可能に支持される一対のスライド部材が設けられ、該スライド部材には垂直方向に配設された垂直支持材を上下に昇降し得る昇降機が連結されてなり、該昇降機によって上下に昇降自在に支持された上記垂直支持材間を水平梁材によって連結し、該水平梁材間に足場板を支持してなることを特徴とする移動足場装置。
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1998
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