JP3699191B2 - 光ファイバジャイロ装置のデータの補正方法 - Google Patents

光ファイバジャイロ装置のデータの補正方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光ファイバジャイロにおける出力データの補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバジャイロ装置は、走行機械の進行角度等を検知するためのセンサとして利用されるが、使用される地球上の位置によって地球の自転の影響を受ける角度ドリフトと、使用環境の温度の違いによる角度ドリフトが発生する。
【0003】
図5は、光ファイバジャイロ装置の基本的な構成を示すブロック図である。
光ファイバジャイロ装置1は、光ファイバコイル10を有し、光源20からの光は、ライン12,14を介して逆向きに投入される。光ファイバコイル10に角速度が加えられると、互いに逆向きに光ファイバコイル内を通過する光の到達に位相差が発生する。この位相差から回転角、回転角速度、回転角速度を演算することができる。
【0004】
このための基本的な要素として、光路16中に第1の光カプラ22、偏光子24、第2の光カプラ26が配設される。第1の光カプラ22から分岐された光は光電変換回路30、同期検波回路32を介してフィードバック信号発生回路34へ送られる。同期検波回路32の出力はクロック回路40、位相変調信号発生回路42を介して一方の光路14へ投入される。フィードバック信号発生回路34の出力は他方の光路12へフィードバックされるとともにライン50からデータとして出力される。
角度ドリフトのうちで、地球の自転の影響を受けるドリフトは、光ファイバジャイロ装置1を使用する地球上の緯度により一元的に決まるので、容易に補正することができる。
【0005】
図6は、光ファイバジャイロ装置の使用環境の温度変化に対する検出する角度データのドリフトを示す。
横軸は光ファイバジャイロ装置の通電開始からの時間を示し、縦軸は温度、角度の変化を示す。通電開始後に、光ファイバジャイロ装置の温度は上昇し、これに伴ない角度ドリフトが発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、これらの角度ドリフトをキャンセルする方法として温度安定環境下で一定時間ジャイロの角度データを計測しその間の計測点列の関数を変換することによりドリフトを補正する方法(バイアス補正)がある。しかし、温度安定環境下でないと精度よく補正ができないという制約がある。即ち、バイアス補正の実施後に温度条件が変化すると図6のグラフのバイアス補正実行後に示す角度ドリフトが発生する。
そこで本発明は、上述した角度ドリフトの影響を軽減する光ファイバジャイロ装置及びデータ補正方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ファイバジャイロ装置は、従来の光ファイバジャイロ装置の構成手段に加えて、光ファイバジャイロ装置の環境温度を検出する手段と、環境温度の変化に基づいて角度データを補正して出力する手段を備えるものである。
そして、データの補正方法は、光ファイバジャイロ装置が通電開始後の一定時間経過後に、一定時間中での角度変化と温度変化を測定して、
K=A/Te
ここで、 K :補正係数
A :角度変化(a°/△t)
Te:温度変化(T℃/△t)
を算出するステップと、
算出された補正係数に基づいて、
θ=θr−∫K(dT/dt)dt
ここで、 θ :補正後の角度データ
θr:補正前の角度データ
dT/dt:温度データ
を演算して補正後の角度データを出力するステップとを備えるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を実施する光ファイバジャイロ装置の基本構成を示すブロック図である。
全体を符号100で示す光ファイバジャイロ装置は、従来と同様に、光ファイバコイル10を有し、光源20からの光からライン12,14を介して逆向きに投入される。光ファイバコイル10に角速度が加えられると、互いに逆向きに光ファイバコイル内を通過する光の到達に位相差が発生する。この位相差から回転角、回転角速度、回転角速度を演算することができる。
【0009】
このための基本的な要素として、光路16中に第1の光カプラ22、偏光子24、第2の光カプラ26が配設される。第1の光カプラ22から分岐された光は光電変換回路30、同期検波回路32を介してフィードバック信号発生回路34へ送られる。同期検波回路32の出力はクロック回路40、位相変調信号発生回路42を介して一方の光路14へ投入される。フィードバック信号発生回路34の出力は他方の光路12へフィードバックされるとともにライン50からデータとして出力される。
【0010】
本発明の光ファイバジャイロ装置にあっては、温度検出手段110を備えて、光ファイバジャイロ装置の使用環境温度を検出し、角度データ補正処理手段へ送る。角度データ補正処理手段120は、フィードバック信号発生回路34からライン50を介して入力する角度データ出力θrに温度データによる補正を加えて、ライン130に補正角度データθを出力する。
【0011】
ここで、θとθrの関係は次の▲1▼、▲2▼式で表される。
θ=θr−∫K(dT/dt)dt ……………▲1▼
K=A/Te ………………………………………▲2▼
ここで、
K :補正係数
dT/dt:温度データ
A :角度変化(a°/△t)
Te:温度変化(T℃/△t)
θ :補正後の角度データ
θr:補正前の角度データ
【0012】
図2は実使用環境での温度と角度データの実験例を示す。本実験では通電開始後2000秒で温度が12℃から18℃まで上昇し、角度ドリフトが1.8度発生したことを示す。
これらの値を式▲2▼に代入し、
補正係数 K=0.167を得る。
この補正係数を式▲1▼に代入することによって、入力される角度データθrを補正して、補正後の角度データθを得ることができる。
【0013】
図3は補正後の角度データの変化を示すグラフである。太線で示す補正後の角度θは補正前の角度θrに比べて温度変化によるドリフトが軽減されていることが明らかである。
【0014】
図4は、本発明による角度データの補正処理のフロー図である。
ステップS10でスタートした処理は、ステップS11で光ファイバジャイロ装置に通電を開始する。ステップS12で光ファイバジャイロ装置の環境温度を計測し、ステップS13で計測開始からの経過時間が1時間を経過したかをチェックする。
1時間が経過したときにはステップS14で温度変化と角度ドリフト量を検出し、式▲2▼により、補正係数Kを算出する。
ステップS15で温度変化率補正式▲1▼に式▲2▼で算出した補正係数Kを適用し、ステップS16で温度変化率補正を実施し、角度データθを出力し、ステップS17で処理を終了する。
【0015】
【発明の効果】
本発明は以上のように、光ファイバジャイロ装置が使用する環境温度により一定の角度ドリフトを発生することに着目して、温度変化を検知して入力される角度データに補正を加えて角度データを出力するので、より精度の高い角度データを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバジャイロ装置の構成を示すブロック図。
【図2】使用環境の温度変化と角度ドリフトの関係を示す図。
【図3】本発明による角度ドリフトの補正を示す図。
【図4】本発明の補正処理のフロー図。
【図5】光ファイバジャイロ装置の基本的な構造を示すブロック図。
【図6】従来の角度ドリフトの補正を示す図。
【符号の説明】
10 光ファイバコイル
20 光源
22 光カプラ
24 偏光子
26 光カプラ
20 光電変換回路
32 同期検波回路
34 フィードバック信号発生回路
40 クロック回路
42 位相変調信号発生回路
110 温度検出手段
120 角度データ補正処理手段

Claims (1)

  1. 光源と、光ファイバコイルと、光源からの光を光ファイバコイルに対して互いに逆向きに入力させる手段と、光ファイバコイルからの逆向きに出力される光の位相差を検出する手段と、位相差に基づいて光ファイバコイルの角度変化を演算して角度データとして出力する手段とを備える光ファイバジャイロ装置のデータの補正方法において、
    光ファイバジャイロ装置の環境温度を検出する手段と、環境温度の変化に基づいて角度データを補正して出力する手段を備え、光ファイバジャイロ装置が通電開始後の一定時間経過後に、一定時間中での角度変化と温度変化を測定して、
    K=A/Te
    ここで、 K :補正係数
    A :角度変化(a°/△t)
    Te:温度変化(T℃/△t)
    を算出するステップと、
    算出された補正係数に基づいて、
    θ=θr−∫K(dT/dt)dt
    ここで、 θ :補正後の角度データ
    θr:補正前の角度データ
    dT/dt:温度データ
    を演算して補正後の角度データを出力するステップと、
    を備える光ファイバジャイロ装置のデータの補正方法。
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