JP3699068B2 - 小型滑走艇 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、水ジェットにより推進され、水面上を滑走する小型滑走艇に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水上をあたかもモーターサイクルのように滑走する小型滑走艇には、推進用のエンジンとして従来、2サイクルのものが搭載されている。2サイクルエンジンは小型・軽量であるうえ、その潤滑方式が小型滑走艇の使用態様に適しているからである。つまり2サイクルエンジンは、クランクケース内にオイル(潤滑油)を溜めないドライサンプ方式で潤滑がなされるが、小型滑走艇は、水上で転倒(転覆)し操縦者等がそのつど引き起こしたうえ滑走を楽しむといった性格の乗り物であるため、転倒時にもクランクケースから燃焼室側へオイルが流入することのないドライサンプ方式が好ましいのである。
【0003】
これに対して通常の4サイクルエンジンは、クランクケース内にオイルを溜めるウェットサンプ方式の潤滑をなすため、転倒すれば、シリンダとピストンとの隙間を通ってオイルが燃焼室内に流入してしまう。燃焼室内にオイルが入ると、排気に白煙が混じるほか、多くの場合はエンジンが停止して再始動も困難になってしまうため、従来は小型滑走艇に4サイクルエンジンが使用されることはなかった。
【0004】
なお、小型滑走艇に2サイクルエンジンが搭載されている例として、たとえば実開平3−61152号公報がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、騒音や大気汚染の防止の観点から、小型滑走艇などに関しても4サイクルエンジンの使用可能性が検討され始めている。
【0006】
しかしながら、小型滑走艇等に4サイクルエンジンを使用するためには、前述した、転倒の際のオイルに関する不都合を解消しなければならない。すなわち、ウェットサンプ方式の従来の4サイクルエンジンをそのまま小型滑走艇に使用するなら、転倒時にクランクケース内から燃焼室内へオイルが流入してしまう。
【0007】
かといって4サイクルエンジンをドライサンプ方式にすると、構造がかなり複雑化してしまう。ドライサンプ方式だとクランクケース内にオイルを溜めないことから、オイルタンクを別に設置するとともに、クランクケースからオイルを吸い出してそのタンクへ送る潤滑油回収ポンプを設け、その上で、当該タンクから各部へオイルを供給するための潤滑系統(フィルターや圧送ポンプ・配管など)を構成する必要があるからである。吸入した混合気をクランクケース内で予圧するという本質的な特徴から必然的にドライサンプとしている2サイクルエンジンとは異なり、もともと構造が簡単とはいえない4サイクルエンジンを特別な必然性もないのにドライサンプにするのは、したがって現実的に極めて不利なのである。
【0008】
本発明の目的は、4サイクルエンジンを使用し、転倒(横転ないし反転)したとしても、オイルパンのオイルが燃焼室内には流入しない小型滑走艇を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の小型滑走艇は、下部後方にある水ジェットポンプのインペラにて加圧・噴出される水ジェットにより推進され、水面上を滑走する小型滑走艇であって、(i)前記インペラを駆動するエンジンは4サイクルエンジンであり、(ii)転倒状態(横転ないし反転状態)になったときエンジンを自動的に停止させるスイッチ(いわゆる転倒スイッチ)を備える−ものである。言うまでもないが、エンジンを停止させるときには潤滑油の圧送ポンプも停止させる。
そして、請求項1の発明は、前記4サイクルエンジンが、クランクケースの底部の下方に連通孔を介してオイルパンを備え、そのオイルパンにオイルを溜めるというウエットサンプ方式の潤滑を行うものであり、前記転倒状態になったときエンジンを自動的に停止させるスイッチは、防水性を十分にした密閉構造の箱のうちに取り付け、エンジンの点火装置に直結させたものであり、左右いずれかに一定角度以上傾いたとき、前記点火装置のエキサイタコイルからの出力をアースさせてエンジンを停止させる構成とされる。
【0010】
このようにすれば、小型滑走艇とともにそのエンジン(搭載されたエンジン)が転倒したとき、上記(ii)のスイッチがはたらいてエンジンや潤滑油圧送ポンプが自動的に停止させられる。転倒状態で自動停止すれば、たとえばクランク軸の軸受部分に給油されたオイルがシリンダ(燃焼室)の方へ滴下するといったことが避けられ、また、オイルパン内でオイルが移動したことにより当該圧送ポンプがエアを吸い込むという不都合も防止される。
【0012】
クランクケースの底部の下方に連通孔を介してオイルパンを備え、そのオイルパンにオイルを溜めるというウェットサンプ方式の潤滑を行うので、従来の一般的な4サイクルエンジンに比べて潤滑のためにとくに構造が複雑になることがない。すなわち、エンジンの必要箇所を潤滑したオイルは、クランクケースを経由して重力の作用でその下方のオイルパン内に自然落下するため、ドライサンプ方式のようにオイルタンクを別置きにしたうえでそこへオイルを送るための回収用ポンプ等を設ける必要はなく、特殊な潤滑用機器を新たに設ける必要もない。
この場合、請求項2に記載のように、前記転倒スイッチは、前記小型滑走艇のボディの内側に配置し防水性を十分にした密閉構造の箱である電装品収納ボックスのうちに取り付けられ、一端の接地された電線による回路に、船体の左右に対称に各一組の開いた接点を設けておき、両接点間に架けたU字状の軌道に沿って移動可能に重錘を配置し、軌道が左右いずれかに一定角度以上傾いたとき、移動した重錘が一方の接点に接してそれを閉じ、点火装置のエキサイタコイルからの出力をアースさせてエンジンを停止させる構成とすることができる。
【0013】
【実施の形態】
図1および図2に本発明の第一実施例を示す。この例は、新たに開発した4サイクルエンジン20を小型滑走艇1に搭載したもので、図1はその小型滑走艇1およびそのエンジン20の横断面図、図2はエンジン20等が見えるよう一部を透視して示す小型滑走艇1の側面図である。
【0014】
小型滑走艇1はレジャーを主目的とする水上の乗り物で、図2に示すように、船底ハル2の上にフード3やシート4・ハンドル5などを取り付けて一人〜二人が搭乗できるようになっている。下部後方にある水ジェットポンプのインペラ48にて加圧・噴出される水ジェットにより推進され、水面上を滑走することができる。インペラ48はエンジン20により駆動されるが、そのエンジン20は、船底ハル2やフード3・シート4などで囲まれた密閉空間のうち船体の前後ほぼ中央に搭載されている。エンジン20の出力は弾性継手46を介して駆動軸47へ伝えられ、その駆動軸47がインペラ48を回転させるのである。
【0015】
エンジン20は4サイクルのものとし、4気筒にするとともに図1のとおり構成したものである。まず、エンジン20はシリンダヘッド21を上部に有し、それより下にシリンダ25やクランクケース29・オイルパン34を備えている。シリンダヘッド21のうちには吸気通路22と排気通路23があり、各通路22・23を開閉するバルブとともにそれらのための動弁機構24などが組み込まれている。吸気通路22の上流側には吸気サイレンサ11やキャブレター12が接続され、排気通路23の下流側にはマフラ13が接続される。また、シリンダ25の内側には上下に摺動可能なようにピストン26が配置され、それらとシリンダヘッド21にて囲まれた空間が燃焼室27となっている。ピストン26はクランク軸28に連結されており、そのクランク軸28は軸受(図示せず)を介してクランクケース29により支えられている。そしてクランクケース29の最低部分には、オイルを溜めるオイルパン34が密に取り付けてあり、その窪みになった下部に円筒状のストレーナ35が配置され、それが、各部の強制潤滑を行うための給油ポンプ(潤滑油圧送ポンプ。図示せず)に接続されている。なお、以上に説明した範囲では、このエンジン20は、自動車用などの一般的な4サイクルエンジンととくに相違するわけではない。
【0016】
この4サイクルエンジン20の特徴は、クランクケース29やオイルパン34の構成にある。すなわち、クランクケース29として、外殻部分29c・29dのほかに袋状の内側部分29a・29bを形成し、オイルパン34の上にその内側部分29a・29bの底部が位置するようにしたのである。つまり、一般的な4サイクルエンジンではクランクケースの底部がオイルパンにほかならないのに対して、この4サイクルエンジン20では、クランクケース29(内側部分29a・29b)の底部のほかに、さらに下方にオイルパン34を設けていることになる。ただし、クランクケース29の内側部分29a・29bの底部には、下向きに突出した円筒状の周壁30とともに小径の連通孔31を設け、シリンダ25の摺動面やクランク軸28などに強制給油されたオイルがオイルパン34上に滴下し回収されるようにしている。なお、クランクケース29の外殻部分29c・29dは、それぞれ内側部分29a・29bと一体に形成したものではあるが、オイルパン34に対してボルト等(図示せず)により密に接合され、機能上はオイルパン34の側壁となっている。図示のようにこの側壁の各面と連通孔31との間には大きな距離をおき、また側壁の上端部と連通孔31(周壁30の下端)との間には上下方向にもかなりの寸法をとったので、上記側壁とクランクケース29(内側部分29a・29b)との間にはいずれの方向にも十分な容積をもつスペースSがあることになる。
【0017】
この4サイクルエンジン20は、その内部にオイルを溜めるというウェットサンプ方式の潤滑を行うものでありながら、小型滑走艇1が転倒してエンジン20が横転ないし反転状態になったときにも、オイルパン34内に溜まったオイルを燃焼室27内へ流入させる恐れがない。オイルパン34の上に溜まっていたオイルは、エンジン20が横転ないし反転になるとき、そのオイルパン34の側壁(外殻部分29c・29d)の内側ないし上部に移動するが、その側壁と連通孔31との間には上記のとおり容積の大きなスペースSがあるためオイルはそこに溜まり、連通孔31を通ってクランクケース29(内側部分29a・29b)の内部へ入ることはないからである。言いかえれば、側壁各部と連通孔31との間に十分な距離があるうえ側壁上端部と連通孔31との間の上下寸法も十分なので、転倒の途中もしくは転倒した状態において、オイルは内側部分29a・29bの外側にのみ存在するのである。内側部分29a・29bの内部へオイルが入ることがない以上、シリンダ25とピストン26との隙間を経てオイルが燃焼室27内へ至ることもない。小型滑走艇1の転倒の仕方によっては、跳ね上がるオイルがわずかながら連通孔31を通って内部へ至ることもあるが、その量は少ないため、燃焼室27内に入って運転に不都合をきたすには至らない。
【0018】
なお、連通孔の周壁とオイルパン側壁との間の距離ならびにその周壁の下向きの突出寸法は、以上の点より、オイルの量やオイルパン・クランクケースの形状などに応じて適切に定めればよい。エンジンの転倒する向きなどによって多少のオイルがクランクケース内に戻る可能性がある場合にも、その量がわずかとなる以上、クランクケースから燃焼室へのオイルの流入は簡単な手段で容易に防止され得る。
【0019】
またこの小型滑走艇1には、転倒したときにエンジン20を自動停止させる目的で、図3(a)〜(c)のように転倒スイッチ18bを設けている。転倒スイッチ18bは、同(a)および図2に示すように、小型滑走艇1のボディの内側に配置した電装品収納ボックス8(耐水性のない電装品等の部品を収納すべく防水性を十分にした密閉構造の箱)のうちに取り付け、図3(b)のとおりエンジン20の点火装置18に直結させている。同(b)において、符号18a・18c・18d・18eはそれぞれ、エキサイタコイル・CDIユニット・点火コイル・点火プラグであり、それらによって点火装置18が構成されている。転倒スイッチ18bそのものとしては、図3(c)に示す重錘(おもり)式のものを使用した。すなわち、一端の接地された電線18pによる図示の回路に、左右(船体の左右方向)対称に各一組の開いた接点18qを設けておき、両接点18q間に架けたU字状の軌道18sに沿って移動可能に重錘18rを配置したものである。軌道18sが左右いずれかに一定角度(たとえば60°)以上傾いたとき、移動した重錘18rが一方の接点18qに接してそれを閉じ、図3(b)に示す点火装置18のエキサイタコイル18aからの出力をアースさせてエンジン20を停止させる。以上のようにすれば、小型滑走艇1が横転ないし反転したとき、潤滑油圧送ポンプ等を含めてエンジン20はただちに停止し、図1のクランク軸28などへのオイルの供給もストップすることになる。そうすると、連通孔31を経ずにクランクケース29の内側に直接供給されるオイルもなくなるので、燃焼室27内へのオイルの流入をなくす意味で一層このましい。
【0020】
そのほか、図1のようにこのエンジン20のオイルパン34には、冷却水の通路すなわちウォータジャケット34aを形成し、図2に示す水ジェットの噴出口6に開口する取水具7から取り出される水をその内部に通すようにしている。具体的には、ウォータジャケット34a(図1)の連結具34b(図1または図2)を、チューブ(図示せず)を介して取水具7(図2)と接続し、他方の連結具34c(図1・図2)は同様にチューブにてシリンダ25(図1)の冷却水用連結具25a(同)と接続した。こうすることにより、水ジェットポンプ(図2)の水がシリンダ25(図1)やシリンダヘッド21(同)とともにオイルパン34(同)を冷却する。図2のとおりエンジン20は船底ハル2やフード3に囲まれた密閉空間に配置してあり滑走中でも空冷されることがないにもかかわらず、かかる水冷構造にしたために適切な冷却がなされる。
【0021】
なお、この4サイクルエンジン20において、図1のように連通孔31の周囲に設けた円筒状の周壁30は、必ずしも不可欠なものではない。それがない場合にも、転倒した際のオイルはクランクケース29(内側部分29a・29b)の外のスペースSに溜まり、連通孔31内へは流入しないからである。その場合、下向きに突出した上記の内側部分29a・29bが、クランクケース29の底部であるとともに、連通孔31に対する一種の周壁(請求項に表現した周壁)として機能することになる。
【0022】
つづいて図4・図5に本発明の第二実施例を示す。図4は新規の4気筒・4サイクルエンジン60についての断面図であり、図5は、それを搭載した小型滑走艇1の側面図(エンジン60等を透視状態で示す)である。図5の小型滑走艇1は図2に示したものと同様のもので、同一部分には前記と同じ符号を付してその説明を省略する。図4のエンジン60が、シリンダヘッド61やシリンダ65・ピストン66・クランク軸68・クランクケース69などを備え、吸気サイレンサ51やキャブレター52ならびにマフラ53(図5)と接続されている点も、前記した第一実施例(図1・図2)のエンジン20と同様である。
【0023】
第一実施例と比較すると、この実施例はまずエンジン60等のレイアウトについて相違する。すなわち、第一実施例では図1のようにシリンダ25を側方(艇1の側方)へ傾斜させたうえその隣に吸気サイレンサ11の置き場を確保したのに対し、この第二実施例では、図4・図5のようにエンジン60を横置き(クランク軸68を艇1の左右へ向ける)にしてシリンダ65を大きく傾けたうえ、エンジン60の上に吸気サイレンサ51を配置している。そうしたレイアウトはいずれも、2サイクルエンジンに比べてかなり寸法の大きな4サイクルエンジン20または60を、小型滑走艇1におけるシート4内の限られた空間のうちに納めるためのものである。そしてこの第二実施例の場合、横置きにしたエンジン60の出力は、図4のように平歯車対81や傘歯車対82および平歯車対83などを介して軸85より後方へ取り出し、継手86から図5のとおりインペラ88の駆動軸87へ伝えるようにしている。
【0024】
図4の4サイクルエンジン60はまた、クランクケース69やオイルパン74の構成についても第一実施例(図1)のエンジン20と多少相違する。図1のエンジン20では、オイルパン34やその側壁となる部分で囲まれる空間内にクランクケース29(内側部分29a・29b)の底部を設けたが、図4のエンジン60では、図4(b)に示すように、クランクケース69の底部とオイルパン74とはそれぞれ別の空間を形成するように配置した。すなわち、上部ケース69a(図4(a))やその底部となる下部ケース69b、さらにはクランク軸68のタイミングチェーン68a(図4(b))用のカバー69c(同)で囲まれるクランクケース69の空間の下に、上側壁73とともに閉空間を形成するオイルパン74を配置した。クランクケース69やオイルパン74など上記の各部材は、ボルト等(図示せず)を用いて一体に結合している。そして、上記のように形成した上下二つの空間は図4(a)・(b)のように二箇所の連通孔71でつなぎ、各連通孔71の回りに、クランクケース69の下部ケース69bからオイルパン74へ向かって突出する円筒状の周壁70を形成した。オイルパン74上の閉空間において、連通孔71の周壁70の周囲および上部には図4(b)のとおり大きなスペースSを確保している。なお、オイルパン74の窪み状になった下部にストレーナ75を配置し、それを潤滑油圧送ポンプ(図示せず)に接続していることは、第一実施例の場合と同様である。
【0025】
図4に示すこの4サイクルエンジン60も、いわゆるウェットサンプ方式の潤滑をなすものだが、小型滑走艇1とともに転倒したとき、オイルパン74内に溜まったオイルがやはり燃焼室67内へ流入しないという利点を有する。転倒時にもかかる流入を起こさないのは、オイルパン74の空間において周壁70(連通孔71)の周囲および上部に大きなスペースSがあるからである。つまり、エンジン60が横転ないし反転したとき、オイルはそのスペースSのうちに溜まり、連通孔71からクランクケース69の内部へ至るものはほとんどなく、したがってオイルがシリンダ65の内壁を燃焼室67へ向かうことはないのである。
【0026】
上記のスペースSのうち図4(b)において周壁70の左側に示される部分に限っては容積がやや小さいため、その側を下にしてエンジン60が転倒したときには多少のオイルが連通孔71を経てクランクケース69内へ戻ることがある。しかしながらその場合にも、下記の理由により、燃焼室67にまでオイルが入る恐れはない。理由の一つは、そうしてクランクケース69に至るオイルはオイルパン74上の全オイルではなく少量であること。理由の第二は、上記の側へエンジン60が転倒した場合には、クランクケース69へ入ったオイルはタイミングチェーン68a(図4(b))の部分へ至り、それと直角の方向にあるシリンダ65(図4(a))の方へは向かわないこと。またもう一つの理由は、クランクケース69の一部として、図4(b)のようにクランク軸68の各対のウェブを囲むように内部仕切り69d(オイルを滴下させるための連通孔69eを有する)を設けているため、これよりシリンダ65の方へはオイルが入りにくいこと、である。なお、連通孔71の大きさに比べて周壁70が長いが、この点は、オイルパン74内でのオイルが跳ね上がりが激しい場合にもそれがクランクケース69内に入るのを防ぐ意味で有利である。
【0027】
前記第一実施例の場合と同様に、この第二実施例においても、小型滑走艇1のうちのいずれかの箇所に転倒スイッチ(図示せず)を設けてエンジン60に接続し、転倒の際、エンジン60を自動停止させることとしている。潤滑油圧送ポンプ(図示せず)等を含めてエンジン60を停止させることにより、図4のクランク軸68などクランクケース69の内側へのオイルの供給を止めるためである。
【0028】
また、図4に示すとおり、このエンジン60のオイルパン74にもウォータジャケット74aを形成し、水ジェットの噴出口6(図5)より取り出される水をその内部に通すようにしている。図4(a)における符号74b・74cは、ウォータジャケット74a内へ通じる連結具で、上記の水を通してさらにシリンダ65の冷却水連結具65aへ送るためのものである。
【0029】
【発明の効果】
本発明の小型滑走艇が転倒(横転ないし反転)したとしても、オイルパンのオイルが燃焼室内には流入しないので、姿勢復帰させたのちの再始動が円滑に行える。つまり、小型滑走艇などが転倒したときスイッチ(転倒スイッチ)がはたらいて点火装置のエキサイタコイルからの出力をアースさせてエンジンを停止させるとともに潤滑油圧送ポンプを自動停止させることができる。
【0030】
ウェットサンプ方式の潤滑を行うので、従来の一般的な4サイクルエンジンに比べて潤滑のためにとくに構造を複雑にする必要がない。したがって製造容易なうえにコンパクトで占有スペースが小さく、また低コストであるといった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例である4サイクルエンジン20を示す横断面図である。
【図2】図1の4サイクルエンジン20を搭載した小型滑走艇1を示す側面図で、一部を透視して示したものである。
【図3】小型滑走艇1における転倒スイッチ18b等について示す図で、図3(a)は小型滑走艇1の横断面図においてスイッチ18bの配置を示すもの、同(b)は点火装置18におけるスイッチ18bの接続を示すもの、そして同(c)は転倒スイッチ18bそのものの構成を示す概要図である。
【図4】図4(a)は本発明の第二実施例である4サイクルエンジン60の要部を示す横断面図で、同(b)は、同(a)におけるb−b断面図である。
【図5】図4の4サイクルエンジン60を搭載した小型滑走艇1を示す側面図で、一部を透視して示したものである。
【符号の説明】
1 小型滑走艇
18b スイッチ(転倒スイッチ)
20・60 4サイクルエンジン
29・69 クランクケース
34・74 オイルパン
48 インペラ
Claims (2)
- 下部後方にある水ジェットポンプのインペラにて加圧・噴出される水ジェットにより推進され、水面上を滑走する小型滑走艇であって、前記インペラを駆動するエンジンは4サイクルエンジンであり、転倒状態になったときエンジンを自動的に停止させるスイッチを備える小型滑走艇において、
前記4サイクルエンジンは、クランクケースの底部の下方に連通孔を介してオイルパンを備え、そのオイルパンにオイルを溜めるというウエットサンプ方式の潤滑を行うものであり、
前記転倒状態になったときエンジンを自動的に停止させるスイッチは、防水性を十分にした密閉構造の箱のうちに取り付け、エンジンの点火装置に直結させたものであり、左右いずれかに一定角度以上傾いたとき、前記点火装置のエキサイタコイルからの出力をアースさせてエンジンを停止させる構成であることを特徴とする小型滑走艇。 - 前記転倒スイッチは、前記小型滑走艇のボディの内側に配置し防水性を十分にした密閉構造の箱である電装品収納ボックスのうちに取り付けられ、
一端の接地された電線による回路に、船体の左右に対称に各一組の開いた接点を設けておき、両接点間に架けたU字状の軌道に沿って移動可能に重錘を配置し、軌道が左右いずれかに一定角度以上傾いたとき、移動した重錘が一方の接点に接してそれを閉じ、点火装置のエキサイタコイルからの出力をアースさせてエンジンを停止させる請求項1記載の小型滑走艇。
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