JP3699053B2 - サンルーフ装置のガイドレール - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インナースライド型サンルーフ装置において、リフトダウン動作から開放動作を行う際のスライドパネルの開閉運動軌跡を拘束するためのガイドレールに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
車両の固定ルーフに開口を設け、その後縁側をリフトダウンさせた後に固定ルーフの下方へ引き込まれるスライドパネルをもって、この開口を開閉自在なるように構成したインナースライド型サンルーフ装置が知られている（特開平３−１２１９２６号公報などを参照されたい）。
【０００３】
このような形式のサンルーフ装置においては、スライドパネルの下面に結合された摺動部材を、固定ルーフの下方に固設されたガイドレールのガイド溝に摺合させることにより、スライドパネルの移動軌跡を拘束しているが、スライドパネルの後縁側に設けられた後部摺動部材は、全閉位置ではガイドレールに設けられた切欠部を経てガイド溝から抜け出し、スライドパネルをリフトダウンさせると切欠部からガイド溝内に入り込み、そのまま後方へのスライド移動を案内するようになっている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、この従来の構造によると、前後の摺動部材を共通のガイド溝に摺合させるため、前部摺動部材は、リフトダウン時に後部摺動部材を出入りさせるためにガイドレールに設けた切欠部の直前までしか移動し得ず、スライドパネルの移動可能距離が前後の摺動部材同士の間隔に支配されてしまう。
【０００５】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、スライドパネルの摺動可能な距離を、構造の複雑化を招かずにより一層増大することが可能なように改良されたサンルーフ装置のガイドレールを提供することにある
【０００６】
【課題を解決するための手段】
このような目的を果たすために、本発明は、車両の固定ルーフ（１）に設けられた開口（２）を閉鎖した閉位置と後縁側をリフトダウンさせた上で前記固定ルーフの下方へ引き込んだ開位置との間を移動するスライドパネル（３）の前縁側並びに後縁側の各下方に設けられた前部摺動部材（フロントスライダ７）および後部摺動部材（ピン１１）が摺合し得るガイド溝を有すると共に、前記ガイド溝の前後方向の所定の位置にて前記後部摺動部材を前記ガイド溝の内外に案内する導入溝を有するサンルーフ装置のガイドレール（１４）において、前記ガイド溝が、前記後部摺動部材が摺合する上段ガイド溝（１３）と、前記前部摺動部材が摺合する下段ガイド溝（１２）とを押出成形によって一体形成したものからなり、これら上下両ガイド溝間に、隙間（１８）が設けられると共に、上方へ開口した始端から垂直方向下向きに延在した後に後方へ延出されて前記上段ガイド溝に連続する導入溝（１６）を形成してなる導入部材（１５）が、前記上段ガイド溝に取り付けられることを特徴とするものとした。
【０００７】
このようにすれば、前部摺動部材と後部摺動部材とが、互いに干渉することなく円滑に摺動し得る。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【０００９】
図１は、本発明が適用されたサンルーフ装置の要部を示している。車体の固定ルーフ１の前側部分には、概ね矩形をなす開口２が形成されており、この開口２は、開口２の内周輪郭に対応した形状に形成されたスライドパネル３によって閉じられるようになっている。
【００１０】
図２〜図４に示すように、スライドパネル３は、開口２の内周輪郭に対応した矩形枠をなすガラスホルダ４と、例えば接着剤を用いてガラスホルダ４の上方に固着されたガラスパネル５と、ガラスホルダ４の下方における左右両側部に一体的に結合された左右一対のパネルステー６とからなっている。なお、パネルステー６は、図４に示したように、ガラスホルダ４に一体的に設けられたＬ字部材４ａを介してガラスホルダ４に結合されている。
【００１１】
パネルステー６は、前後方向に延在しており、その前端に前部摺動部材としてのフロントスライダ７が枢着され、その後部側面に形成されたカム溝８に対し、ミッドスライダ９に設けられたカムフォロワ１０が係合している。またその後端には、後部摺動部材としての横向きピン１１が突設されている。
【００１２】
固定ルーフ１の室内側には、両スライダ７・９が常時摺合する下段ガイド溝１２と、横向きピン１１がスライドパネル３の開閉作動時に摺合する上段ガイド溝１３とが形成されたガイドレール１４が固設されている。このガイドレール１４は、アルミニウム合金材の押出成形により、図６に示す如き一様な断面形状で連続的に一括成形されている。
【００１３】
上段ガイド溝１３の前後方向の適宜な位置には、上段ガイド溝１３の一部を切除することにより、弾性に富む合成樹脂材で形成された導入部材１５が取り付けられている。この導入部材１５の側面には、図５に良く示すように、上段ガイド溝１２と略等しい溝幅の導入溝１６が形成されている。この導入溝１６は、上方へ開口した始端から垂直方向下向きに僅かに延在した後、緩やかな円弧をもって後方へ延出されてそのまま上段ガイド溝１３に連結されている。
【００１４】
このサンルーフ装置は、基本的な動作は公知のものと同様であり、電動駆動されるプッシュ／プルケーブル１７（図４参照）でミッドスライダ９が前後に押し引き駆動されるようになっている。ここでミッドスライダ９が後方へ移動すると、ミッドスライダ９に設けられたカムフォロワ１０がパネルステー６に設けられたカム溝８に係合しているので、カム溝８の上下方向成分と前後方向成分とにより、ミッドスライダ９の後方移動に連れてスライドパネル３は、先ずパネルステー６の前端部のフロントスライダ７に対する枢支点を中心としてその後縁を下降させる向きに傾斜する（リフトダウン動作）。
【００１５】
このリフトダウン動作により、パネルステー６の後端に突設された横向きピン１１が導入部材１５に形成された導入溝１６の始端の上向き開口に突入し、かつこの導入溝１６をもって下段ガイド溝１２へと円滑に案内される（図３参照）。この際、導入部材１５が弾性に富む合成樹脂材で形成されているので、打音を発生することなくピン１１は導入溝１６に衝当し得る。
【００１６】
ミッドスライダ９をそのまま後方へ引き駆動すれば、下段ガイド溝１２に摺合した２つのスライダ７・９の後方移動と共に、スライドパネル３は固定ルーフ１の下方へと収容される。この時、パネルステー６は、その前端が下段ガイド溝１２に摺合したフロントスライダ７に枢支されることにより、またその後端の横向きピン１１が上段ガイド溝１３に嵌入することにより、その上下動が規制される。
【００１７】
上下両ガイド溝１２・１３間には、図６に併せて示すように、隙間１８が設けられている。これにより、上段ガイド溝１３の下壁１３ａと下段ガイド溝１２の上壁１２ａとが互いに独立するので、導入部材１５を取り付けるために上段ガイド溝１３の一部を切除しても下段ガイド溝１２には何ら影響を及ぼさずに済む。
【００１８】
なお、図６に示したように、ガイドレール１４には、上下両ガイド溝１２・１３と共に、プッシュプルケーブルの挿通溝２１、サンシェードの摺動保持部２２、側方排水溝２３、並びに固定ルーフに対する結合部２４が一体形成されているが、この種の断面形状が一定の長尺部材をアルミニウム合金材で連続的に形成する押出成型においては、上記の如き上段ガイド溝１３と下段ガイド溝１２との間に隙間１８を設ける程度の断面形状の複雑化は、製造コストにさほどの影響は及ぼさずに済む。
【００１９】
【発明の効果】
このように本発明によれば、上段ガイド溝の下壁と下段ガイド溝の上壁とを互いに独立させることができるので、チルト動作時に後部摺動部材を出入りさせるための導入部材を取り付けるために上段ガイド溝の一部を切除しても、前部摺動部材が摺動する下段ガイド溝には何ら影響を及ぼさずに済む。従って、前部摺動部材の移動距離、即ちスライドパネルが円滑に摺動し得る距離をより一層増大して開口面積を拡大する上に大きな効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明が適用されるサンルーフ装置が設けられた車両のルーフ部分の斜視図
【図２】サンルーフ装置の閉鎖時の概略側断面図
【図３】サンルーフ装置の開放動作時の概略側断面図
【図４】図３中のIV−IV線に沿う断面図
【図５】要部拡大図
【図６】ガイドレールのみの端面図
【符号の説明】
１ 固定ルーフ
２ 開口
３ スライドパネル
７ 前部スライダ
１１ ピン
１２ 下段ガイド溝
１３ 上段ガイド溝
１４ ガイドレール

Claims (1)

1. 車両の固定ルーフに設けられた開口を閉鎖した閉位置と後縁側をリフトダウンさせた上で前記固定ルーフの下方へ引き込んだ開位置との間を移動するスライドパネルの前縁側並びに後縁側の各下方に設けられた前部摺動部材および後部摺動部材が摺合し得るガイド溝を有すると共に、前記ガイド溝の前後方向の所定の位置にて前記後部摺動部材を前記ガイド溝の内外に案内する導入溝を有するサンルーフ装置のガイドレールであって、
   前記ガイド溝が、前記後部摺動部材が摺合する上段ガイド溝と、前記前部摺動部材が摺合する下段ガイド溝とを押出成形によって一体形成したものからなり、
   これら上下両ガイド溝間に、隙間が設けられると共に、上方へ開口した始端から垂直方向下向きに延在した後に後方へ延出されて前記上段ガイド溝に連続する導入溝を形成してなる導入部材が、前記上段ガイド溝に取り付けられることを特徴とするサンルーフ装置のガイドレール。

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