JP3698455B2 - 物質の被覆方法及び被覆材 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、種々の物質を被覆する方法とその被覆方法によって調製された被覆材に関するものであり、特に、苦味や酸味などの好ましくない味や臭いを有する食品材料の被覆、胃酸で分解され易い食品材料の被覆保護とその腸溶化、抹茶やクロレラなどのような緑色を維持したい食品の被覆、化粧品などに用いる香料の除放化などを目的とした被覆方法と被覆材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、食品材料等を芯物質とする被覆方法が研究されているが、特に、食品用の水溶性物質の被覆は、その皮膜材が可食性のものに限られるため極めて困難であった。
従来の技術としては、油脂を用いる被覆方法があるが、水溶性物質であるため表面に皮膜材が着きにくく、すぐに剥がれたり、ひび割れしたり、僅かな温度上昇によって溶けたり、油がべたついたりするのでその適用は極めて限られたものであった。
【0003】
従来の被覆方法で広く用いられているのは多層膜被覆法であるが、この方法は皮膜を多層に重ね合わせるため、被覆処理の時間がかかり、芯物質と皮膜材の割合が逆転するなど、コスト面や利用面で種々の問題が残されている。
そして、被覆される芯物質に腸溶性が求められる場合は、可食性の腸溶性皮膜材が極めて限られたものである。さらに、芯物質を被覆し、且つ微粒子化するのは困難で、本発明者らが先に提案した特願平6-129310号の技術以外は殆ど見当たらないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、食品材料等を芯物質とする被覆方法には、種々の問題があり、解決されるべき課題がある。
それらの課題を要約すると、(1)水溶性の物質を容易に被覆することができて、被覆した後の芯物質と皮膜材とが良く密着し、すぐに剥がれたり、ひび割れしたりしない技術を創り出すこと。(2)熱や酸に対する耐性をもたせること、即ち、腸溶性や耐熱性のある被覆層を形成すること、(3)光や空気を遮断し、芯物質の色や香りの劣化を防ぐことができること、(4)被覆されたものが微粒子で、各種の食品や化粧品の加工に適したものを作ることなどである。
【0005】
本発明は、食品材料等を芯物質とする被覆方法に関する上記の課題に鑑みてなされたものであり、特に、水溶性の物質を容易にかつ安定した被覆材として得ること、腸溶性や耐熱性のある被覆層を形成すること、被覆された芯物質の色や香りの劣化を防ぐこと、被覆されたものが微粒子で加工に適したものであること等が可能な、種々の物質を被覆する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者は、上記の課題の達成について鋭意研究を重ね、乳蛋白質の性質に着目した。乳蛋白質は主にカゼイン及びラクトグロブリンからなり、この中にカルシウムイオンで変性し易いもの、燐酸と架橋し易いものなどが混じっている。
そして、主体となるカルシウムイオン可溶性蛋白によって安定化され、水分中にゆるやかに分散し、乳蛋白質中のアミノ基と水が親和していることが知られている。
【0007】
本発明者は、上記の乳蛋白質の性状についてさらに詳しく研究したところ、乳蛋白質がpHの変化、溶媒の添加或は加熱により、それぞれ異なった変化をすることを知見した。
そして、pHの変化により乳蛋白質の等電点以下になると、乳蛋白質の分子がヘリックス構造を形成し、その際周辺に他の物質が存在すると、それらを取り込み、包摂しながら不溶化又は難溶化した被覆層を形成するので、種々の物質を被覆することができることを見出した。
【0008】
本発明は上記の課題を解決する手段として、被覆対象とされる物質と乳蛋白質を水の共存下で混合し、この混合物のpHを乳蛋白質の等電点以下に調整することを特徴とする物質の被覆方法、
被覆対象とされる物質を乳蛋白質の水溶液に混合し、この混合物に酸を添加してpHを乳蛋白質の等電点以下に調整することを特徴とする物質の被覆方法としたものである。
【0009】
さらに本発明は、被覆対象とされる物質に、乳蛋白質の水溶液をまぶし、これに酸を添加してpHを乳蛋白質の等電点以下に調整することを特徴とする物質の被覆方法や、被覆対象とされる物質に酸を添加して混合調製したものを、乳蛋白質の水溶液に混合し、この混合物に酸を添加してpHを乳蛋白質の等電点以下に調整することを特徴とする物質の被覆方法によっても前記の課題を達成することができる。
また、本発明は、上記の4通りの物質の被覆方法によって調製された被覆材の発明によっても前記の課題を達成することができる。
【0010】
本発明の被覆方法や被覆材におて、皮膜材の原料として用いるものは、食品として使用可能な乳蛋白質であるが、本発明における乳蛋白質は、主にカゼイン及びラクトグロブリンからなり、主体となるカルシウムイオン可溶性蛋白によって安定化され、水分中にゆるやかに分散し、乳蛋白質中のアミノ基と水が親和しているものである。そして、本発明においては種々の乳蛋白質を用いることができ、上記のラクトグロブリンを用いても、被覆が可能であるが、市販の乳蛋白質の一種であるカゼインも、カゼイン・ナトリウムとして量産されているので、工業的な被覆工程ではこれを使用することが好ましい。
【0011】
この市販のカゼイン・ナトリウムは、大部分が牛乳から分離されたκ-カゼインのNa塩であるが、他の乳蛋白質も含まれている。これらを水に溶解した状態では、蛋白質はほぼ正鎖状に分散したり、カルシウムイオン不溶性蛋白質とミセルを形成して分散している。
そして、乳蛋白質の溶解或いは分散系のpHを下げ乳蛋白質の等電点以下にすると、乳蛋白質の分子がヘリックス構造を形成したり、立体的に分子がからみ合うことにより、周辺に他の物質が存在すると、それらを取り込み、凝固しながら包摂し、不溶化又は難溶化した被覆層を形成するのである。
【0012】
次に、本発明で被覆対象とされる物質としては、特に限定されるものではないが、苦味や酸味などの好ましくない味や臭いを有する水溶性の食品材料であって、その1例としてはギムネマシルベスター(以下ギムネマという)に代表される植物抽出物等が挙げられる。
また、ビタミンB1のような水溶性ビタミン類であって、微小粒子として水に溶けにくい形態で食品加工に供するもの、ビフィズス菌のように、服用に際し被覆層が胃酸で分解されないで腸溶性を付与したい食品材料、抹茶やクロレラなどのような緑色を維持したい食品や化粧品などに用いる香料などが挙げられる。
さらに、本発明においては、水に溶解した状態の物質も、上記の皮膜材に取り込み、凝固しながら包摂し、不溶化又は難溶化して被覆材とすることができる。
【0013】
そして、本発明に係る物質の被覆方法は、被覆対象とされる物質と乳蛋白質を水の共存下で混合し、この混合物のpHを乳蛋白質の等電点以下に調整することにより、乳蛋白質を凝固させて、その物質を取り込み、包摂しながら不溶化又は難溶化させる被覆方法である。
この被覆方法は、被覆対象とされる物質と乳蛋白質と酸との混合物に、水を添加する方法や、予め酸性を呈する被覆対象とされる物質に、乳蛋白質の水溶液を添加する方法などにより具体化する被覆方法である。
【0014】
他の方法としては、被覆対象とされる物質を乳蛋白質の水溶液に混合し、この混合物に酸を添加してpHを乳蛋白質の等電点以下に調整し、乳蛋白質を凝固させて被覆する方法である。
この際、乳蛋白質は、その物質を取り込み、芯物質として抱摂しながら不溶化又は難溶化し、被覆することができるのである。
なお、上記の乳蛋白質としてカゼイン・ナトリウムを用いるとすれば、その水溶液は1〜30%のものを用いることが好ましい。
【0015】
さらに他の方法としては、被覆対象とされる物質に、乳蛋白質の水溶液をまぶし、これに酸を添加してpHを乳蛋白質の等電点以下に調整し、乳蛋白質を凝固させる被覆方法である。
この被覆方法は、被覆対象とされる物質が水溶性であって、乳蛋白質の水溶液に混合すると直ちに溶解してしまうものである場合に、その物質を粉粒体としての形態を維持したまま被覆する方法として好ましい。
【0016】
また、本発明の被覆方法は、被覆対象とされる物質に酸を添加して混合調製したものを、乳蛋白質の水溶液に混合し、この混合物に酸を添加してpHを乳蛋白質の等電点以下に調整する方法でも被覆することができる。
この被覆方法は、例えばヘム鉄のように、被覆対象とされる物質を予め酸により処理して酸性にしておくことが好ましい場合に適する被覆方法である。
【0017】
そして、本発明は、上記の各被覆方法によって調製された被覆材の発明でもあるが、この本発明に係る被覆材は、例えば被覆された食品材料を口から摂取した場合に、胃液内では酸性であるためますます凝集し、腸内に至り、初めてpHや酵素の作用により凝集塊が溶解し、芯物質を放出することができるのである。
【0018】
次に、本発明においては、皮膜材となる乳蛋白質のpHを下げ、その乳蛋白質の等電点以下にすることにより、乳蛋白質を凝固させ不溶化又は難溶化させるものであるが、この際のpHの調整は、pH2乃至5に調整して乳蛋白質の等電点以下にすることが好ましい。
そして、使用する酸としては、食品として使用が可能なものであり、且つ味のよいクエン酸、コハク酸、リンゴ酸などが挙げられるが、コストや味などを考慮すると、クエン酸が好ましい。そして、これらの酸を水溶液又は微粉末として添加する。また、酸を添加してpHを調整するには、酸を加えながら攪拌する方法が採られる。
【0019】
さらに本発明においては、芯物質となる被覆対象とされる物質と皮膜材となる乳蛋白質の混合割合が重要であるが、これは被覆対象の物質によって異なるので適宜決定される。
そして、上記の各被覆方法は、工業的に実施する際に原料の配合、溶解、pH調整による凝固等の工程をすべて一つの槽で処理することが可能であり、設備も簡単で極めて効率的な被覆方法である。
【0020】
【実施例】
実施例1.50リットル容量のステンレス製丸底攪拌槽に、カゼイン・ナトリウム粉末5.3kgを投入し、さらに水35.5リットルを加えて攪拌、混合する。次いで、ギムネマ粉末2.0kgを少量ずつ加え、さらに攪拌する。このとき、液は発泡するが、これに10%クエン酸水溶液2.0リットルを添加し、pH4.0に調整する。
ギムネマをカゼイン・ナトリウム溶液中に投入したときに、ギムネマ粒子と接したカゼイン・ナトリウムは、10%クエン酸水溶液を添加することにより凝固し、ギムネマ粒子をとり込んだまま不溶化する。
次に、凝固した全量を平バットに移して70℃で通風乾燥する。そして、乾燥したものを粉砕して6.87kgの粉末を得た。なお、この粉末中のギムネマの含有量は、26.7%であった。
このギムネマ粉末の含有量は、70%までは殆ど苦味のない被覆粉末を作ることができるが、微粉末化し易く且つ羊羹、ゼリーなど甘味菓子に混合して使用するものは、15%程度のものが適当である。
【0021】
実施例2.ヘム鉄粉末3kgに10%クエン酸水溶液5.4リットルを加えて攪拌する。このとき、ヘム鉄粉末はクエン酸水溶液で湿った状態である。
これとは別に、実施例1と同じ攪拌槽に牛乳の4倍濃縮液(カゼイン10.6%、カルシウム400mg%を含む)60.5リットルと、先に調製したヘム鉄粉末とクエン酸水溶液との混合物を、上記の攪拌槽の液に投入すると、乳蛋白質は凝固し、周囲に浮遊する粒子を抱摂して被覆する。被覆を確実なものとするために、再び10%クエン酸水溶液0.4リットルを加え、液のpHを4.5に調整する。
【0022】
次に、全量を平バットに移して70℃で通風乾燥する。そして、乾燥したものを粉砕し、100メッシュの篩にかける。得られた粉末は、灰白色で生ぐさ味のないものであり、その量は8.75kgであった。なお、この粉末中のヘム鉄含量は30%であった。
ヘム鉄は、生ぐさ味があり黒色を呈するものであるから、食品に添加して使用する場合、好ましくない要因となる。そこで、本発明により被覆して、生ぐさ味や黒色をマスキングするものであるが、ヘム鉄含量50%までは可能であるが、色のマスキングが難しく、30%含有が限度である。
【0023】
実施例3.ビフィズス菌の培養液を遠心分離し、菌体を濃縮して1ミリリットル当り108個の懸濁液を調製する。この懸濁液10リットルに牛血漿粉末200gとカゼイン・ナトリウム粉末1kgを加えて攪拌して練り合わせる。次いで、この練り合わせたものに、クエン酸(無水)微粉末10gを加えて速やかに練り合わせ、全量を凍結乾燥して耐酸、腸溶性のビフィズス菌粉末1.7kgを得た。
【0024】
この実施例では、生ビフィズス菌を抱摂するため、全ての作業を短時間に行うことが必要である。また、牛血漿を加えるのは、従来より生菌の保存には牛血漿懸濁液の凍結乾燥物が最もよいことが知られているからであり、さらにカゼイン・ナトリウムによる抱摂を重ね合わせることで、安定な生菌粉末が得られる。なお、ビフィズス菌は、強酸性に弱いのと培養液がすでにpH4程度になっているので、クエン酸は低濃度のものを少量添加した。
【0025】
次に、この実施例によって得られた凍結乾燥物中に含まれる生きたビフィズス菌の数は7×108ケ/gであった。そして、本品1gを人工胃液100ミリリットル内に3時間浸漬し、次いで人工腸液100ミリリットル中に移し、3時間経過後に溶出したビフィズス菌の生菌数は、2.3×106ケ/ミリリットルで、生存率は約40%であった。
更に、凍結乾燥物の表面に低融点(43℃)の硬化油をコーティングすると、ビフィズス菌の生存率はさらに向上し、約65%になった。
【0026】
実施例4.リボフラビン粉末500gを秤量し、これに10%カゼイン・ナトリウム水溶液5リットルを加えて充分攪拌して混合する。次いで、この混合物に10%クエン酸水溶液を徐々に加えながら攪拌を続けると、カゼインが凝集し、その際リボフラビンを抱摂する。これを60℃で通風乾燥した後、粉砕して50メッシュ以下の粉末988gを得た。
【0027】
この実施例4では、水溶性ビタミン群の代表としてリボフラビンの例を示したが、他の水溶性ビタミンでも、ほぼ同様の方法で抱摂することができる。
このようにして得られたビタミンの抱摂物粉末は、水中溶出は極めて少なく、かつ腸溶性を示すので、極めて有用な手段となる。
次に、上記のリボフラビンの抱摂物粉末を水道水、人工胃液、人工腸液に浸漬して、その溶出性について試験した結果を下に示す。
【0028】
実施例5.ビタミンC(Free Acid)粉末1Kgを万能攪拌機で攪拌しながら、これにカゼインナトリウム10%水溶液75gを散布して混合する。この混合したものを、80℃で通風乾燥し、第1次マスキング粉末とする。この際、ビタミンCは酸性物質であるから、散布して混合したカゼインナトリウム水溶液が酸性に調整されて不溶化し、ビタミンCを包摂することができる。
【0029】
次に、上記の第1次マスキング粉末を流動槽内に入れ、これにエタノールと水を8:2の割合で混合した溶液にトウモロコシ蛋白質のゼインを7%の濃度で溶解した液200ミリリットルを噴霧して被覆し、これを第2次マスキング粉末とする。そして、この第2次マスキング粉末を5%カゼイン水溶液1.5kg及びミルクカルシウム100gと共に8,000rpmのホモジナイザーで5分間攪拌し、これに10%クエン酸水溶液60gを滴下した後、合量を平バットに広げ、80℃で乾燥した後に粉砕し、ビタミンC包摂物1.15kgを得た。
【0030】
この実施例5によるビタミンC包摂物は、胃液内では溶けにくく、腸内では約2時間でほぼ溶出する。また、耐熱性も向上し、湿度100%、温度110℃で6時間加熱しても、その分解率は10%以下であった。
実施例5によるビタミンC包摂物1gを各試験液100ミリリットル中に投入し、2時間経過後の溶出量を測定した結果を下に示す。なお、使用した溶解試験液は、日本薬局法第12改正に基づく組成のもので、人工腸液は、パンクレアチンを280mg/ミリリットルの割合で添加したものを使用した。
また、湿度100%、温度120℃で6時間加熱した後の残存率を測定した結果を未処理のビタミンC粉末と比較して下に示す。
【0031】
実施例6.リボフラビン1kgを100リットルの水に溶解し、これに10kgのカゼイン・ナトリウムを加えてさらに攪拌する。両者が完全に水に溶解した後に、この溶液を9,000rpmのホモジナイザーにかけ、高速攪拌する。この間溶液は粘性をもってスラリー状を呈する。
次に、ホモジナイザーの回転数を3,000rpmにおとし、10%クエン酸水溶液5リットルを徐々に加えると、液は等電点近くのpH4に達し、急に粘性を増し、スラッジ状となる。そして、リボフラビンの大部分がスラッジ中に取り込まれ、過剰包摂水として分離する液の方には、殆ど含まれないものとなる。
このスラッジを減圧乾燥して、リボフラビンを10%含有する粉末10.2kgを得た。この粉末を水中に投入しても、リボフラビンは溶出しなかった。
上記のように、水中に完全に溶解している水溶性物質(この場合リボフラビン)も、pH4になって、急激にヘリックス構造に変わる乳蛋白質の中に取り込まれ、容易に包摂される。そして、乾燥後は水に戻してもリボフラビンは水に殆ど溶けないことが証明された。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、被覆対象とされる物質と乳蛋白質を水の共存下で混合し、この混合物のpHを乳蛋白質の等電点以下に調整すること等からなる物質の被覆方法と、各被覆方法によって調製された被覆材の発明であるが、本発明によれば、
(1)水溶性の物質を容易に被覆することができ、被覆した後の芯物質と被膜材とが良く密着し、すぐに剥がれたり、ひび割れしたりしないものが得られる。
(2)被覆された食品材料を口から摂取した場合に、この食品材料は、胃液内では酸性であるためますます凝集するが、腸内ではpHや酵素の作用により溶解し、芯物質を放出することができる。
(3)光や空気を遮断し、芯物質の色や香りの劣化を防ぐことができる。
(4)被覆されたものが微粒子で、各種の食品や化粧品の加工に適したものを造ることができる。
【0033】
さらに本発明は、被覆対象とされる物質に、乳蛋白質の水溶液をまぶし、これに酸を添加してpHを乳蛋白質の等電点以下に調整する被覆方法でもあるから、被覆対象とされる物質が水溶性であって、乳蛋白質の水溶液に混合すると直ちに溶解してしまうものでも、その物質を粉粒体としての形態を維持したまま容易に被覆することができる。
そして、本発明の被覆方法を工業的に実施する場合は、原料の配合、溶解、pH調整による凝固等の工程を全て一つの槽で処理することが可能であり、設備も簡単で極めて効率的な被覆方法である。
Claims (5)
- 被覆対象とされる物質と乳蛋白質を水の共存下で混合し、この混合物のpHを乳蛋白質の等電点以下に調整することを特徴とする物質の被覆方法。
- 被覆対象とされる物質を乳蛋白質の水溶液に混合し、この混合物に酸を添加してpHを乳蛋白質の等電点以下に調整することを特徴とする物質の被覆方法。
- 被覆対象とされる物質に、乳蛋白質の水溶液をまぶし、これに酸を添加してpHを乳蛋白質の等電点以下に調整することを特徴とする物質の被覆方法。
- 被覆対象とされる物質に酸を添加して混合調製したものを、乳蛋白質の水溶液に混合し、この混合物に酸を添加してpHを乳蛋白質の等電点以下に調整することを特徴とする物質の被覆方法。
- 請求項1、2、3又は4に記載の物質の被覆方法によって調製された被覆材。
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JP08670095A JP3698455B2 (ja) | 1995-04-12 | 1995-04-12 | 物質の被覆方法及び被覆材 |
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JP08670095A JP3698455B2 (ja) | 1995-04-12 | 1995-04-12 | 物質の被覆方法及び被覆材 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH08280370A JPH08280370A (ja) | 1996-10-29 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020196844A1 (ja) | 2019-03-28 | 2020-10-01 | 森永乳業株式会社 | 耐熱性細菌組成物 |
-
1995
- 1995-04-12 JP JP08670095A patent/JP3698455B2/ja not_active Expired - Lifetime
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WO2020196844A1 (ja) | 2019-03-28 | 2020-10-01 | 森永乳業株式会社 | 耐熱性細菌組成物 |
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