JP3697951B2 - 電子装置収容ボックス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車等に用いられる電子装置収容ボックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ECUユニット等の電子装置を収容するためのボックスとして、図5に示すようなものが知られている。このボックス71では、電子装置72を収容可能な内箱73が外箱74に収容されている。両箱73,74間には、空間部としての冷却層75が形成されている。内箱73の底部には排水孔73aが形成され、それに対応して外箱74の底部にも排水孔74aが形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来構造においては、排水孔73a,74aの形成部位と冷却層75とが何ら遮蔽されていなかった。このため、冷却層75に侵入した流体が外部の高温化によって気化した場合、流体が内箱73側の排水孔73aを介して内箱73内に逆侵入し、電子装置72に悪影響を及ぼすおそれがあった。
【0004】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、流体排出孔を介して内箱に流体が逆浸入しにくい電子装置収容ボックスを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、電子装置を収容可能な内箱が外箱に収容され、前記両箱間に空間部が形成され、かつ前記両箱に流体排出孔がそれぞれ形成された電子装置収容ボックスにおいて、前記内箱側の流体排出孔と前記外箱側の流体排出孔とを連通させるとともに、少なくとも前記内箱側の流体排出孔の形成部位と前記空間部とを遮蔽する遮蔽構造として機能するリブを、所定間隔を隔てて配置された前記両箱のうち少なくとも一方の底部から突出させ、同リブを他方の底部に一体化したことをその要旨としている。
【0006】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電子装置収容ボックスにおいて、前記両箱は合成樹脂製であり、前記リブは振動溶着によって前記他方の底部に一体化されたものであることをその要旨としている。
【0008】
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1又は請求項2に記載の発明によると、少なくとも前記内箱側の流体排出孔の形成部位と前記空間部とを遮蔽する遮蔽構造として機能するリブが存在する。そのため、外部から空間部に入した水がエンジンルーム内の高温化によって気化しても、水蒸気が内箱側の流体排出孔を介して内箱内に逆入しにくくなる。従って、内箱内に設けられた電子装置に対して悪影響を及ぼすことがほとんどない。
【0009】
また、リブは、両箱のうち少なくとも一方の底部から突出され、他方の底部に一体化されているため、流体排出孔の形成部位に流体が入り込むことがない。従って、流体排出孔を介して内箱に流体がいっそう逆浸入しにくくなる。
【0010】
さらに、リブは、所定間隔を隔てて配置された両箱の底部間において形成されている。そのため、請求項2に記載の発明によると、リブを一体化する際における振動溶着を簡単に行うことが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を自動車のエンジンルームに設けられる電子装置収容ボックスに具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0012】
図1,図2に示すように、電子装置収容ボックス11は、上面が開口された合成樹脂製の外箱12を備えている。この外箱12の両端底部には、流体排出孔としての下部排水孔13が2つ形成されている。外箱12内には、上面が開口された合成樹脂製の内箱14が収容されている。この内箱14は外箱12から所定間隔を隔てて配置されている。内箱14内には、自動車のエンジン燃料噴射制御等を行う電子装置15が設けられている。
【0013】
内箱14の両端底部には、流体排出孔としての上部排水孔16が2つ形成されている。各排水孔13,16同士は、それぞれ上下方向における位置が互いにずれている。これにより、エンジンルーム内からの水滴や塵埃が、下部排水孔13、上部排水孔16を介して内箱14内に入りにくくなる。外箱12及び内箱14に形成された上部開口部12a,14aは、蓋17によって閉塞されている。
【0014】
前記外箱12の内周面と内箱14の外周面との間には、空間部としての冷却層18が形成されている。図示しないが、外箱12の側壁には、外部からの冷却用空気を循環させるための通気口が形成されている。そして、電子装置収容ボックス11の外部から通気口を介して冷却層18内に、空気を積極的に流すことにより電子装置が冷却される。
【0015】
前記外箱12の底面には、円形状をなす内側リブ21が突設されている。この内側リブ21の内側に、前記下部排水孔13及び上部排水孔16が位置している。又、外箱12及び内箱14の間には、円形状をなす遮蔽構造としての外側リブ22が設けられている。外側リブ22の中心は内側リブ21の中心と一致しており、同外側リブ22の径は内側リブ21の径よりも大きくなっている。そのため、外側リブ22によって、内側リブ21の外周が所定の間隔をおいて囲まれている。外側リブ22の高さは、内側リブ21の高さよりも高く設定されている。
【0016】
外側リブ22の上端部は、内箱14の下部と一体的に形成されている。又、外側リブ22の下端部は、外箱12の底面に対して接合され、振動溶着により一体化されている。このため、外側リブ22の内部と前記冷却層18とは隔絶されている。要するに、両箱12,14における両排水孔13,16の形成部位Aと冷却層18とが、外側リブ22によって遮蔽されている。そして、内箱14の内部は、上部排水孔16、外側リブ22で囲まれた空間部、及び下部排水孔13を介して、電子装置収容ボックス11の外部に通じている。
【0017】
次に、上記のように構成された電子装置収容ボックス11の作用について説明する。
冷却層18内に侵入した水(流体)は、エンジンルーム内に高温下によって気化する場合がある。この場合において、両箱12,14における排水孔13,16の形成部位Aと冷却層18とが外側リブ22により遮蔽されているため、気化した水蒸気が、上部排水孔16を介して内箱14内に逆侵入することがない。
【0018】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)両箱12,14間には、両箱12,14における排水孔13,16の形成部位Aと冷却層18とを遮蔽する外側リブ22が設けられている。そのため、外箱12に形成された図示しない冷却用通気口を介して冷却層18に侵入した水が、エンジンルーム内の高温化によって気化しても、水蒸気が上部排水孔16を介して内箱14内に逆侵入しにくくなる。従って、内箱14内に設けられた電子装置15に対して悪影響を及ぼすことがほとんどない。
【0019】
(2)両箱12,14は共に合成樹脂から構成されている。又、外側リブ22は、その上端部が内箱14の底部に一体的に形成され、下端部が振動溶着によって外箱12の底面に一体化されている。そのため、流体排出孔の形成部位に水蒸気が入り込むことがない。従って、上部排出孔16を介して内箱14内に水蒸気がいっそう逆浸入しにくくなる。しかも、外側リブ22の内側には内側リブ21が形成されている。そのため、水蒸気が上部排水孔16を介して内箱14内により逆侵入しにくくなる。
【0020】
(3)外側リブ22は、所定間隔を隔てて配置された両箱12,14の底部間において形成されている。そのため、外側リブ22を外箱12の底部に一体化する際において、振動溶着を簡単に行うことができる。
【0021】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0022】
さて、この第2実施形態では、図3,図4に示すように、下部排水孔13は、外側リブ22の内側でなく外側に形成されている。内側リブ21の一部には、開口部21aが形成されている。内側リブ21の高さは、外側リブ22の高さと同じになっている。内側リブ21の上端面は、内箱14の底部に当接されている。そして、内側リブ21の上端面と内箱14の底部とは、振動溶着によって一体化されている。
【0023】
又、外側リブ22についても、その一部に開口部22aが形成されている。そして、外側リブ22に形成された開口部22aと、前記内側リブ21に形成された開口部21aとは、互いに対向位置している。言い換えれば、両リブ21,22の中心を通る直線状に位置している。従って、本実施形態では、両リブ21,22によって、両箱12,14における排水孔13,16の形成部位Aと冷却層18とを遮蔽する迷路状の遮蔽構造が形成されている。つまり、各リブ21,22がそれぞれ開口部21a,22aを有していても、迷路状になっているため、形成部位Aと冷却層18とは実質的に遮蔽されていることとほぼ同じである。
【0024】
この構成によれば、冷却層18内に侵入した水が水蒸気になっても、上部排水孔16と冷却層18との間が迷路状になっているため、水蒸気等が入りにくくなる。従って、この第2実施形態においても、前述した第1実施形態とほぼ同様の効果を発揮させることができる。
【0025】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 第1実施形態の別例として、外側リブ22の上下両端部を、振動溶着により両箱12,14と一体化してもよい。又、外側リブ22の上端部のみを、振動溶着により内箱14と一体化し、下端部を外箱12と一体的に形成してもよい。
【0026】
・ 第1実施形態の別例として、外側リブ22の下端部を、外箱12の底面に対して接着剤により一体化してもよい。
・ 第1実施形態の別例として、内側リブ21を省略してもよい。又、内側リブ21を外側リブ22と同じ高さに形成し、同リブ21の上端面を内箱14の底部に当接し、溶着してもよい。
【0027】
・ 第1及び第2実施形態の別例として、上下各排水孔13,16をそれぞれ1つ又は3つ以上設けてもよい。
・ 第1及び第2実施形態の別例として、上下各排水孔13,16を電子装置収容ボックス11の両端部ではなく、中央部に設けてもよい。
【0028】
・ 第1及び第2実施形態の別例として、内箱14内に収容される電子装置15(CPU)を冷却するファンにより冷却層18内に冷却用空気を流すようにしてもよい。
【0029】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想をその効果とともに以下に列挙する。
(1) 請求項1又は請求項2において、前記流体排出孔は、前記両箱の底部の複数箇所に設けられ、前記各流体排出孔に前記遮蔽構造がそれぞれ設けられている電子装置収容ボックス。この構成によれば、流体を電子装置収容ボックスの外部に排出しやすくなるとともに、流体排出孔を介して内箱に流体が逆浸入しにくくなる。
【0030】
(2) 請求項1、請求項2、前記(1)のいずれかにおいて、遮蔽構造の内側、かつ両箱の底部同士の間に空間が形成されている電子装置収容ボックス。この構成にすれば、電子装置の冷却性をいっそう向上させることができる。
【0031】
(3) 電子装置が収容可能な内箱が外箱に収容され、前記両箱間に空間部が形成され、かつ前記両箱に流体排出孔がそれぞれ形成された電子装置収容ボックスにおいて、前記両流体排出孔の形成部位と前記空間部とを遮蔽する遮蔽構造を、前記両箱間に設けた電子装置収容ボックス。
【0032】
(4) 電子装置が収容可能な内箱が外箱に収容され、前記両箱間に空間部が形成され、かつ前記両箱に流体排出孔がそれぞれ形成された電子装置収容ボックスにおいて、前記両流体排出孔の形成部位と前記空間部とを遮蔽する迷路構造を前記両箱間に設けた電子装置収容ボックス。この構成にすれば、簡単な構成にも拘わらず、流体排出孔を介して内箱に流体が逆浸入しにくくなる。
【0033】
(5) 前記(4)において、前記迷路構造は、内箱及び外箱の間に設けられた非環状をなすリブにより構成されている。
(6) 請求項1、請求項2、前記(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記空間部は冷却用空気を通すためのものである電子装置収容ボックス。この構成によれば、電子装置の冷却性能がいっそう向上する。
【0034】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1又は請求項2に記載の発明によれば、流体排出孔を介して内箱に流体が逆浸入しにくくなる。
【0035】
また、流体排出孔を介して内箱に流体がいっそう逆浸入しにくくなる。
請求項に記載の発明によれば、箱に対しリブを一体化する際において、振動溶着を簡単に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の電子装置収容ボックスの縦断面図。
【図2】 図1の2−2断面図。
【図3】 第2実施形態の電子装置収容ボックスの縦断面図。
【図4】 図3の4−4断面図。
【図5】 従来技術の電子装置収容ボックスの縦断面図。
【符号の説明】
11…電子装置収容ボックス、12…外箱、13…下部排水孔(流体排出孔)、14…内箱、15…電子装置、16…上部排水孔(流体排出孔)、18…冷却層(空間部)、21…内側リブ(第2実施形態における遮蔽構造)、22…外側リブ(第1及び第2実施形態における遮蔽構造)、A…形成部位。

Claims (2)

  1. 電子装置を収容可能な内箱が外箱に収容され、前記両箱間に空間部が形成され、かつ前記両箱に流体排出孔がそれぞれ形成された電子装置収容ボックスにおいて、
    前記内箱側の流体排出孔と前記外箱側の流体排出孔とを連通させるとともに、少なくとも前記内箱側の流体排出孔の形成部位と前記空間部とを遮蔽する遮蔽構造として機能するリブを、所定間隔を隔てて配置された前記両箱のうち少なくとも一方の底部から突出させ、同リブを他方の底部に一体化したことを特徴とする電子装置収容ボックス。
  2. 前記両箱は合成樹脂製であり、前記リブは振動溶着によって前記他方の底部に一体化されたものであることを特徴とする請求項1に記載の電子装置収容ボックス。
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