JP3696663B2 - 電子写真装置用クリーニングブレード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、広範囲の温度領域において長期的に安定したクリーニング性を有する電子写真装置用クリーニングブレードに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置は、表面に光導電体層を設けた感光体を有しており、作動の際、上記感光体の外周面が一様に帯電され、ついで被模写体の被模写像を介してその外周面を露光することにより、静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成し、これを紙等に転写し、定着させるものである。
【0003】
この過程において、転写後の感光体の外周にはトナーが一部残留するので、この残留トナーを除去する必要がある。このようなトナーの除去は、クリーニングブレードにより行われている。
クリーニングブレードは、通常、金属板からなる支持部材、弾性体からなるブレード部材、及び、支持部材にブレード部材を取り付けるための接着剤層より形成されている。
【0004】
上記ブレード部材は、感光体に当接して残留トナーを除去するものであるので、感光体へ与えるダメージが少く、クリーニング時に適度な圧接力を有し、耐磨耗性に優れていること等が求められる。従来、このようなブレード部材には、JIS A硬度60〜80のポリウレタンエラストマーからなる弾性体が、機械的強度、耐磨耗性等に優れたものとして使用されている。
【0005】
このような特性を持ったポリウレタンエラストマーは、通常、ポリオールとイソシアネートとを反応させて両末端がNCOとなるプレポリマーを得た後、1,4−ブタンジオール(以下「1,4BG」という)、トリメチロールプロパン(以下「TMP」という)等の低分子量ジオール、低分子量トリオール等で架橋して得られる。
【0006】
この場合、ポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサンアジペート、ポリカプロラクトン等の直鎖状ポリエステルポリオールであり、分子量が1000〜4000であるものが使用される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、クリーニングブレードの使用時には、ビビリ音(鳴き)が生じる場合がある。このビビリ音は、振動吸収性を表すtanδ値と相関があり、使用温度でのtanδ値(5%伸長10Hzの条件にて測定)が0.03以下になると発生しやすくなることがわかっている。
tanδ値は、以下に説明する複素弾性率C* から導かれるものである。
【0008】
線形弾性体に、下記式(1)で表される正弦波の歪みεを定常振動的に与えたとき、応力σは、同一の角周波数ωで応答する。この線形弾性体は粘性を有するので、応力σは、下記式(2)で表される。下記式(2)中σ* は、下記式(3)で表されるものであり、下記式(3)中C* は、複素弾性率と呼ばれるものである。
【0009】
一方、σ* は複素数であり、下記式(4)で表される。下記式(4)中δは、応力と歪みとの位相差角を表し、力学的損失角と呼ばれるものである。下記式(3)と下記式(4)とから、複素弾性率C* は、下記式(5)で表すことができる。
【0010】
複素弾性率C* の実数部C′=(σ0 /ε0 )cosδは、動的貯蔵弾性率と呼ばれ、虚数部C′′=(σ0 /ε0 )sinδは、動的損失弾性率と呼ばれる。複素関数は、動的挙動の記述のみに使われるものであり、複素弾性率は、動的複素弾性率と同意義であるので、C′とC′′とについても、それぞれ貯蔵弾性率、損失弾性率と省略される。
tanδ値は、C′′/C′で表され、損失正弦と呼ばれるものであり、その値が大きい程、その線形弾性体は、ゴム弾性を有するものとなる。
【0011】
【数1】
【0012】
通常、電子写真装置は、5〜40℃の環境下で使用され、このとき装置内温度は5〜60℃になるので、ブレード部材には、5〜60℃でのtanδ値が0.03以上であることが要求される。
【0013】
図1は、tanδ値と温度との関係を表す図である。縦軸は、tanδ値を表し、横軸は、温度(℃)を表す。このtanδ値は、例えば、1,4BG、TMP等の低分子量架橋剤の添加比率を変量して変動させることができる。
【0014】
1,4BG、TMP等の低分子量架橋剤の添加比率を変量させることにより、図1中の破線で表されるtanδ値は、実線で表されるtanδ値に比べて50℃付近で若干の上昇を示しており、ビビリ音の発生を抑えることができる。
【0015】
しかし、このようにして1,4BG、TMP等の低分子量架橋剤の添加比率を変量させて得られるブレード部材は、永久歪みが著しく大きくなり、長期にわたり使用した場合に変形が生じ、一定の圧接力を保つことができなくなり、クリーニング不良が生じる等の問題を有する。
【0016】
また、クリーニングブレードの低温でのクリーニング性は、tanδ値のピーク温度と相関がある。電子写真装置の使用温度が、ピーク温度以下である場合には、ブレード部材にゴム弾性がなくなり、クリーニング不良等が発生する。
【0017】
しかし、上述と同様に、例えば、1,4BG、TMP等の低分子量架橋剤の添加比率を変量してtanδ値のピーク温度を低温側に変動させた場合、図1中の破線が示すように、高温での充分な振動吸収性を得ることができない。
【0018】
温度依存性が少なく、クリーニング性と耐久性とに優れた電子写真装置用クリーニングブレードについては、種々の検討がなされている。
例えば、特開昭59−30574号公報には、ポリオールとしてポリカプロラクトンエステルを用いて得られるポリウレタンエラストマーからなるブレード部材が開示されており、特開平7−98558号公報には、ポリオールとしてポリブチレンアジペート、ポリヘキシレンアジペート等を用いたポリウレタンエラストマーからなるブレード部材が開示されている。
しかし、これらは、いずれも振動吸収性が充分でなく、ビビリ音の発生を抑えることができるものではない。
【0019】
本発明は、上記現状に鑑み、低温でのクリーニング性と高温での振動吸収性とに優れた高耐久性を有する電子写真装置用クリーニングブレードを提供することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、ブレード部材と、支持部材と、接着剤層とからなる電子写真装置用クリーニングブレードにおいて、前記ブレード部材が、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及びアジピン酸からなる下記式
【化1】
で表されるポリオールとポリイソシアネートとを反応させ硬化されてなるウレタンエラストマーからなるものであり、前記ポリオールは、前記式で表され、かつ、異種分子量を有する2種類のポリオールを混合することによって得られるものであるところに存する。
以下に本発明を詳述する。
【0021】
本発明で使用されるブレード部材は、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及びアジピン酸からなる上記式で表されるポリオールとポリイソシアネートとを反応させ硬化されてなるウレタンエラストマーからなるものである。上記3−メチル−1,5−ペンタンジオールは、側鎖にメチル基を1つ有し、構造の多様化が図られるので、tanδ値の温度依存性は小さくなり、広範囲の温度領域において長期的に安定したクリーニング性を有するものとなる。
【0022】
上記ウレタンエラストマーを調製する際に、ポリオールとして、例えば、ネオペンチルグリコール等の側鎖メチル基が2以上存在するものを使用した場合には、分子鎖のミクロブラウン運動が著しく低下し、低温特性が損なわれるが、上記上記3−メチル−1,5−ペンタンジオールは、側鎖にメチル基を1つ有するものであるので、低温特性が損なわれない。
【0023】
上記3−メチル−1,5−ペンタンジオールとしては、平均分子量が1500〜4000であるものが好ましい。平均分子量が1500未満であると、架橋点間分子量が低下し、分子鎖のミクロブラウン運動が著しく低下して低温特性が損なわれ、4000を超えると、架橋点間分子量が長くなりすぎ、ハードセグメント濃度が低下し、補強効果が充分でなくなり、機械的強度の低下が著しくなる。
【0024】
上記3−メチル−1,5−ペンタンジオールとしては、分子量分布の指標となる(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)の値が3.5以上であるものが好ましい。(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)の値が3.5以上であると、3−メチル−1,5−ペンタンジオールの構造の多様化が助長され、3.5未満であると、高温で充分なtanδ値を得ることができない。
【0025】
本発明で使用されるイソシアネートとしては特に限定されないが、好ましくは、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。
本発明で使用される架橋剤としては特に限定されないが、好ましくは、グリコール架橋剤系等を挙げることができる。
【0026】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0027】
実施例1〜4、比較例1〜3
3−メチル−1,5−ペンタンジオール及びアジピン酸からなる上記式で表されるポリオールとして、クラレ社製クラポールPを用いた。クラポールPの分子量として、479(クラポールP−510)、1004(クラポールP−1010)、1982(クラポールP−2010)、4065(クラポールP−4010)、4815(クラポールP−5010)の5種類を用い、分子量分布の調整は、これらの異種分子量成分のブレンドにより行った。分子量分布の測定は、東ソー社製GPC HLC−8020を用いてスチレン換算により求めた。
【0028】
ブレード部材の評価
硬さは、JIS A スプリング硬度計にて測定した。
永久伸びは、JIS 1号ダンベルにより試料を打ち抜き、200%伸長で10分保持後の値を求めた。
粘弾性特性は、レオメトリックファースト社製RSA−IIを用いて5%伸長10Hzの条件にて温度分散を求めた。
【0029】
ブレード部材の作製
(1)プレポリマーの合成
上記ポリオールを表1の比率で混合した。これを70℃で12Hr減圧乾燥した。次に表1に示す比率でプレポリマーのNCO%が6.5%になるように4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製「ミリオネートMT」)を加え、窒素雰囲気下70℃で3Hr反応することでプレポリマーを得た。
【0030】
(2)ブレード部材の作製
上記プレポリマーを100℃で1Hr減圧脱泡後、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンの混合物(60/40重量比)をプレポリマー100gに対し表1の比率で加え、泡をかまないように2〜3分充分に混合し140℃に保持された遠心成形機に250回転の回転速度の金型に流し込み、その後1000回転に保持して1Hr成形した。円筒状のシートを取り出しカットして開いた状態で120℃で12Hr後架橋後冷却し、室温で1週間熟成後、所定寸法にカットし、ブレード部材を得た。
表1に実施例、比較例の配合比率及び各特性値を示した。表中MDIは、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを表し、BG/TMPは、1,4−ブタンジオール/トリメチロールプロパン(60/40重量比)を表す。
図2、3にtanδ値を示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
本発明の電子写真装置用クリーニングブレードは、上述した構成からなるので、広範囲の温度領域において長期にわたり安定したクリーニング性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のブレード部材のtanδ値を示す図。縦軸は、tanδ値を表し、横軸は、温度(℃)を表す。
【図2】実施例1〜4のブレード部材のtanδ値を示す図。縦軸は、tanδ値を表し、横軸は、温度(℃)を表す。
【図3】比較例1〜3のブレード部材のtanδ値を示す図。縦軸は、tanδ値を表し、横軸は、温度(℃)を表す。
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