JP3695795B2 - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可視画像を繰り返し表示、消去することができる可逆性感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
交通機関の定期券、催し会場や建物への入場許可証などは、毎日繰り返し使用されるが、管理上不正乗車、不正入場をチェックする手段がない。近年、一部で磁気カ−ドによるチェック法も採用されているが、チェックの有無が目視できないため、装置上のトラブルによるチェックもれのおそれがあり、管理者、利用者とも不便を感じていた。また各種プリペイドカ−ドにおいても、磁気カ−ドやICカ−ドが使用されているが、記録内容が直接目視できないため、支払い金額や残額を簡単にチェックできず、使用者に対する内容保証の点で問題があった。
【0003】
そのため従来、記録媒体に目視可能な記録を行い、またそれを消去することができる可逆性感熱記録材料として、高分子樹脂母材中に有機低分子化合物を混合分散させたものが提案されている(特開昭55−154198号)。この材料は、特定のある温度領域T1(以下、この温度領域を透明化温度領域という)から常温に冷却されると透明化し、T1よりも高い温度領域T2から常温に冷却されると不透明化(白濁)する性質を有するので、そのコントラストの違いを利用して目視にて読み取れる可視画像を可逆的に印字、消去することができる。
【0004】
現在、このタイプの可逆性感熱記録材料の一般的な使用方法は、記録部全面を温度領域T1に設定された加熱スタンプや加熱ロール等を用いて透明化し、その後サーマルヘッドを用いて部分的に温度領域T2に処理することによって白濁化させ、透明地に白濁印字の可視画像を形成する。すなわち、白濁化させて印字を行い、透明化させて消去を行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
装置の小型化、低コスト化、処理速度向上の目的で、加熱スタンプや加熱ロール等ではなく、印字用と兼用してサーマルヘッドで消去を行う方式が望まれている。さらには消去(全面透明化)と印字(部分白濁化)の2工程ではなく、サーマルヘッドのドット毎にT1、T2に相当する2水準の印加エネルギーを与えることにより、前の印字を消去しながら同時に新規の印字を行うオーバーライト方式も望まれている。
【0006】
しかし、従来知られている可逆性感熱記録材料は透明化温度領域が狭いので、処理速度の速いサーマルヘッドでは、記録層の厚み方向の温度分布が大きくなり、完全に消去することが困難である。また、可逆性感熱記録材料が経時変化等を起こすと消去範囲が狭くなり、一定の条件で消去できない、あるいは、消去不可能になるといった問題点があった。
【0007】
そこで、透明化温度領域を広げる方法が考えられるが、経時変化による消去性の低下は解決できない。また、消去する直前に、一旦白濁化して初期化する方法により、経時変化による消去性低下は解消されるものの、処理工程が増えるために全体的な印字の書き換えに時間がかかる。
【0008】
本発明は上述した課題を解決するものであり、サーマルヘッドのように処理速度が速い方式を使用して、記録の書込みおよび消去できる目視可能な可逆性感熱記録材料を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、高分子樹脂母材と、該高分子樹脂母材に分散された第1,第2および第3の有機低分子化合物を主成分とし、温度により透明状態と不透明状態との可逆変化を生じる可逆性感熱記録材料であって、前記第1の有機低分子化合物が炭素数12以上の脂肪酸と炭素数1以上のアルコールとからなる高級脂肪酸エステルから選択され、前記第2の有機低分子化合物がステロイド骨格を有する脂肪酸であり、コラン酸、コール酸、リトコール酸、デオキシコール酸、ヒオデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸、ホケコール酸またはヒオコール酸から選択され、前記第3の有機低分子化合物が炭素数15以上の高級ケトンから選択され、かつ、前記第2の有機低分子化合物の融点Tmbは、第1の有機低分子化合物の融点Tmaおよび第3の有機低分子化合物の融点Tmcより高く、前記高分子樹脂母材に、第1の有機低分子化合物と第2の有機低分子化合物とを分散した場合は、第1の有機低分子化合物のみを分散した場合より、透明となる温度領域が高温側へ広がり、前記高分子樹脂母材に、第3の有機低分子化合物と第2の有機低分子化合物とを分散した場合は、第3の有機低分子化合物のみを分散した場合と、透明となる温度領域が同じであることを特徴とする可逆性感熱記録材料である
【0010】
【発明の実施の形態】
第1の有機低分子化合物と高分子樹脂母材との相溶性、融点、分散状態、量等を適切に選択することにより、分散した後、製膜すると、白濁した膜が得られる。製膜時に、第1の有機低分子化合物は高分子樹脂母材中に数μmの大きさに分散されている状態が好ましい。当該膜を加熱すると透明化する温度領域がある。この領域を透明化温度領域という。
【0011】
一般的に、透明化温度領域は第1の有機低分子化合物の融点Tma付近から数℃の範囲に現れる。本発明において、第1の有機低分子化合物と高分子樹脂母材とからなる記録材料は白濁状態と透明状態を可逆的に変化できることが必要である。
【0012】
上記記録材料は透明化温度領域が狭いので実用的でなく、透明化温度領域を広げるため、第2の有機低分子化合物を加える。第2の有機低分子化合物はその融点Tmbと第1の有機低分子化合物の融点TmaとがTma<Tmbであり、かつ、第1の有機低分子化合物と第2の有機低分子化合物とは相溶性を持つ。
【0013】
上述した、高分子樹脂母材に第1および第2の有機低分子化合物を分散した記録材料は、その透明化温度領域は第1の有機低分子化合物と第2の有機低分子化合物との混合比率に依存し、通常、第1の有機低分子化合物の融点Tmaから第2の有機低分子化合物の融点Tmbより幾らか低い温度の範囲となる。すなわち、第1の有機低分子化合物のみの場合より、透明化温度領域が広がる。
【0014】
透明化温度領域が広がる理由は、以下のように推測される。透明化温度領域は第1の有機低分子化合物と第2の有機低分子化合物の混合物が融解し始める(部分溶融)温度から、完全に融解してしまう(完全溶融)温度の領域である。第2の有機低分子化合物は第1の有機低分子化合物が融解したときに種晶(核)となって、第1の有機低分子化合物と第2の有機低分子化合物の混合物全体の溶融状態を制御し、さらに、冷却されるときには種晶(核)により結晶化状態を制御する役目を果たしている。
【0015】
このように、第2の有機低分子化合物を添加することにより、第1の有機低分子化合物のみの場合よりも高温側に透明化温度領域が広がる場合を、第1の有機低分子化合物と第2の有機低分子化合物との間に相互作用があるという。
【0016】
ところで、サーマルヘッドによる消去を実現するためには、透明化温度領域が40℃以上であることが望ましい。具体的には、Tmb−Tma≧40℃であることが望ましい。
【0017】
Tmb−Tma≧40℃である、高分子樹脂母材に第1および第2の有機低分子化合物を分散した可逆性感熱記録材料はサーマルヘッドによる消去が可能となるが、経時変化によって透明化温度領域が狭くなる傾向にある。このため、一定の条件で消去できない、あるいは、消去不可能になるといった問題が生じる。これはサーマルヘッドのように処理速度が速い消去方式に現れ、特に、サーマルヘッドの処理速度が速くなるほど顕著となる。
【0018】
この原因は明らかではないが、第1の有機低分子化合物と第2の有機低分子化合物の混合物の結晶状態が安定な状態に変化し、両者の混合物の融解挙動が経時的に変わってくるためと考えられる。この現象は高分子樹脂母材に2種以上の有機低分子化合物を分散した場合に起こり、1種類の有機低分子化合物を高分子樹脂母材に分散した記録材料では起こらない。特に、2種以上の有機低分子化合物同士の相溶性が大きく、相互作用が増すほど、経時変化は大きくなる。
【0019】
発明者は、経時変化による消去性低下の問題を解消するために鋭意検討を行った結果、可逆性感熱記録材料に第2の有機低分子化合物と相互作用のない、独立した第3の有機低分子化合物を添加することに想到した。
【0020】
第3の有機低分子化合物は以下の様にして選択される。第3の有機低分子化合物は第1の有機低分子化合物の選択方法と同様に、高分子樹脂母材に第3の有機低分子化合物を分散製膜した場合に数℃(1℃以下の場合も多い)の透明化温度領域を持つ熱可逆性感熱記録材料が得られる有機低分子化合物である。
【0021】
また、第3の有機低分子化合物の融点Tmc<第2の有機低分子化合物の融点Tmbであり、かつ、第3の有機低分子化合物は第2の有機低分子化合物と相溶性が悪い。このため、高分子樹脂母材と第2の有機低分子化合物と第3の有機低分子化合物とからなる記録材料は、高分子樹脂母材と第1の有機低分子化合物と第2の有機低分子化合物とからなる記録材料とは異なり、高温側に透明化温度領域が広くならず、第3の有機低分子化合物のみと変わらない。
【0022】
第3の有機低分子化合物は第2の有機低分子化合物の存在にかかわらず、独立して融解、結晶化でき、第2の有機低分子化合物は種晶(核)となって第3の有機低分子化合物の融解、結晶化状態を制御しない。すなわち、第3の有機低分子化合物と第2の有機低分子化合物との間に相互作用がない。
【0023】
上述した関係を満たす、第1、第2および第3有機低分子化合物を高分子樹脂母材に分散した記録材料は、第3の有機低分子化合物が他の有機低分子化合物と相互作用がない独立して存在しているため、経時変化による融解挙動の変化を起こさず、常に安定した融点を持つことになる。
【0024】
そこで、高分子樹脂母材と第1および第2の有機低分子化合物とからなる記録材料に生じる、透明化温度領域での消去性の経時的低下を、第3の有機低分子化合物を添加することで防止する。
【0025】
第3の有機低分子化合物の融点Tmcは第1の有機低分子化合物の融点Tmaに対して|Tmc−Tma|≦20℃であることが好ましい。また、経時変化による消去範囲の低下は、通常、透明化開始温度が高温側に移行するので、消去性低下部分を第3の有機低分子化合物で補うには、第3の有機低分子化合物の融点Tmcが第1の有機低分子化合物の融点Tmaに近いほど好ましく、|Tmc−Tma|≦10℃のものがさらに好ましい。
【0026】
本発明の、第1、第2および第3の有機低分子化合物を高分子樹脂母材に分散した記録材料は、幅広い透明化温度領域を持ち、温度分布が大きいサーマルヘッドでの瞬間的加熱によっても消去(透明化)が良好であり、さらに、経時変化による記録材料自体の消去性の低下を少なくし、常に同一条件での(初期化の要らない)サーマルヘッドによる消去が可能となる。
【0027】
そのため、消去装置を印字と兼用してサーマルヘッド1本で行うことができ、装置全体の小型化、低価格化が可能となり、また消去と再印字を同時に行うオーバーライトも可能となるため、処理速度も向上できる。
【0028】
本発明の可逆性感熱記録材料をさらに詳細に説明する。本発明の可逆性感熱記録材料を構成する高分子樹脂母材は透明で成膜性の良い樹脂であれば良い。より具体的には、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体として例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−アルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン系共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレートまたはその共重合体などが挙げられる。
【0029】
本発明においては、上記高分子樹脂母材中に分散させる第1の有機低分子化合物として、炭素数12以上の脂肪酸と炭素数1以上のアルコールとからなる高級脂肪酸エステルを選択し、また、第3の有機低分子化合物として、炭素数15以上の高級ケトンを選択する。
【0031】
また、炭素数12以上の脂肪酸と炭素数1以上のアルコールとからなる高級脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ベヘン酸メチル、ベヘン酸エチル、ベヘン酸ブチル、ベヘン酸オクチル、リグノセリン酸メチル、リグノセリン酸エチルなどが挙げられる。
【0032】
さらに、炭素数15以上の高級ケトンとしては8−ペンタデカノン(Tm41℃)、9−ヘプタデカノン(Tm53℃)、10−ノナデカノン(Tm58℃)、11−ヘンエイコサノン(Tm64℃)、12−トリコサノン(Tm69℃)、14−ヘプタコサノン(Tm78℃)、16−ヘントリアコンタノン(Tm83℃)、18−ペンタトリアコンタノン(Tm88℃)、2−ペンタデカノン(Tm39℃)、2−ヘキサデカノン(Tm43℃)、2−ヘプタデカノン(Tm48℃)、2−オクタデカノン(Tm52℃)、2−ノナデカノン(Tm55℃)などが挙げられる。
【0033】
第1および第3の有機低分子化合物の融点は可逆性感熱記録材料の耐熱性(印字が消去されない温度)を考慮して、ある程度高いほうが好ましいが、幅広い透明化温度領域を得るためにはできるだけ低いほうが設計に有利である。相反する両者バランスより、融点は40〜90℃の範囲を有するものが好ましく選択される。さらに、経時変化による消去性の低下範囲を小さくするためには、第1および第3の有機低分子化合物の融点の差|Tmc−Tma|≦20℃であることが好ましい。
【0034】
第2の有機低分子化合物は、その融点Tmbが第1および第3の有機低分子化合物の融点TmaおよびTmcよりも高く、かつ、第1の有機低分子化合物と相互作用が大きく、第3の有機低分子化合物と相互作用が小さいものが選択される。透明化温度領域を高温側に広げるためには、Tmbが上記で選択したTmaよりも40℃以上高いものを選択することが好ましい。
【0035】
本発明における、第2の有機低分子化合物は、ステロイド骨格を有する脂肪酸であり、具体的にはコラン酸(融点Tm163℃)、コール酸(Tm196℃)、リトコール酸(Tm190℃)、デオキシコール酸(Tm176℃)、ヒオデオキシコール酸(Tm180℃)、ケノデオキシコール酸(Tm140℃)、ウルソデオキシコール酸(Tm203℃)、デヒドロコール酸(Tm184℃)、ホケコール酸(Tm222℃)またはヒオコール酸(Tm187℃)から選択されるが、特に溶解性、相溶性などの点からデオキシコール酸が好ましい。
【0036】
第1、第2および第3の有機低分子化合物の配合比は、選択する有機低分子化合物の相溶性や融点等により変わってくるが、印字・消去装置の性能、印字のコントラストの鮮明度、透明化温度領域、透明性、経時変化の度合い等を考慮して任意に配合設計できる。特に第1の有機低分子化合物と第2の有機低分子化合物は重量比で95:5〜50:50程度が好ましく、第1の有機低分子化合物と第3の有機低分子化合物は、95:5〜5:95の範囲で任意に設計できる。
【0037】
得られた記録材料は、第1の有機低分子化合物の融点Tmaと第2の有機低分子化合物の融点Tmbの範囲の温度領域において、透明化温度領域T1が得られる。当該記録材料に、サーマルヘッドにより温度領域T1に相当する印加エネルギーを与えると透明化する。次にこの透明な記録材料を、温度領域T1よりも高い温度領域T2に相当する印加エネルギーで局部的に加熱すると、加熱された部分のみが不透明化(白濁)して、可視画像を表示することができる。画像を消去するには、当該記録材料を再び温度領域T1に相当する印加エネルギーに加熱する。
【0038】
またサーマルヘッドでは、ドット毎にT1、T2に相当する2水準の印加エネルギーを与えることにより、記録されている可視画像を消去しながら同時に新規の可視画像を得られるオーバーライト方式が可能である。さらに消去性の経時変化を抑制することができるため、形成された可視画像の処理日にかかわらず、また初期化も不必要で、常に一定の印字/消去の条件下で安定した書き換えが可能となる。
【0039】
オーバーライト方式は、消去装置を印字装置と兼用してサーマルヘッド1本で行うことができるため、装置全体の小型化、低価格化が可能となり、処理速度も向上できる。
【0040】
図1は、本発明の記録材料の一つの使用例であるカードを示すのもである。ポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成樹脂基材シート1の表面に、反射層2、記録層3、保護層4、可視記録表示窓6を形成するための印刷層5を順次積層し、また裏面には磁気記録層7、保護印刷層8を積層してある。
【0041】
反射層2は記録層3に形成される画像を見易くするためのものであり、アルミニウム、スズなどの蒸着層あるいは箔、またはアルミ粉などを混ぜた塗料層などが好ましい。保護層4としては、PET、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂などの耐熱性の高い透明樹脂のフィルムまたは塗膜を用いることができる。
【0042】
例えば、上記カードは入場、乗車、買物、レンタルなどのプリペイドカードとして使用することができ、使用の都度、使用金額および残額を磁気記録とともに記録材料層3に可視的に表示することにより、常に正確な残額を知ることができる。また本発明記録材料は、感熱複写シート、OHPシート、感熱記録ラベルなど広範な用途に適用することができる。
【0043】
【作用】
本発明は、第1の有機低分子化合物とそれよりも融点の高い第2の有機低分子化合物を含有する熱可逆性感熱記録材料に、さらに第2の有機低分子化合物より融点が低く、かつ、第2の有機低分子化合物とは相互作用のない第3の有機低分子化合物を添加する。すなわち、第2の有機低分子化合物は第3の有機低分子化合物に対して、種晶(核)として働くことがなく、第3の有機低分子化合物の結晶化を制御しない(独立して融解、結晶化を行う)。
【0044】
このため、第3の有機低分子化合物が他の有機低分子化合物と相互作用がない独立して存在しているため、経時変化による融解挙動の変化を起こさず、常に安定した融点を持つことになる。そこで、高分子樹脂母材と第1および第2の有機低分子化合物とからなる記録材料に生じる、透明化温度領域での消去性の経時的低下を、第3の有機低分子化合物を添加することで防止する。
【0045】
【実施例】
(実施例1)
あらかじめ裏面に磁気塗料を10μm厚に塗布した188μm厚のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面にアルミ蒸着し、その上に記録層を10μm厚にコーティングした。記録層の組成は、
高分子樹脂母材
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 150重量部
第1の有機低分子化合物
リグノセリン酸エチル(純度:96%) 44重量部
[C2347CO,Tma56℃]
第2の有機低分子化合物
デオキシコール酸[Tmb176℃] 4重量部
第3の有機低分子化合物
12−トリコサノン 40重量部
[C1123COC1123,Tmc68℃]
とし、これをテトラヒドロフランに溶解しアルミ蒸着層の上に塗布し、加熱乾燥したのち10μm厚の記録層を形成した。記録層の上に保護層として2μm厚のPETフィルムを貼り付け、さらに可視記録表示窓を形成するための印刷をし、一方裏面の磁気記録層の上に保護層を設け、カード形状に打ち抜いた。
【0046】
上記可逆性感熱記録カードを50℃から140℃まで1℃間隔で加熱した後、それぞれ室温に冷却して、各処理温度での記録部の反射濃度をマクベスRD−914にて測定した。反射濃度が0.5以下を白濁状態、1.0以上を透明状態とした場合、透明化温度領域は56〜135℃であり、透明化温度幅は79℃であった。
【0047】
得られたカードを80℃で温度処理して、記録層を全面透明化した後、8dot/mm、走行速度40mm/secのサーマルヘッドで印加パルス幅1msecにおいて0.38mJ/dotのエネルギーを部分的に与えたところ、その部分は白濁化されて可視画像が形成された。この白濁可視画像をその日のうちに印加パルス幅1msecにおいて0.16mJ/dotの条件にてサーマルヘッドで全面消去を行ったところ、可視画像は完全に消去された。
【0048】
さらにこれらの可視画像を室温下と40℃環境下に放置し、1週間後に同じ条件下でサーマルヘッド消去のテストを行った。結果は表1に示したように、室温下、40℃環境下とも完全に初期と同じ条件下で消去できた。
【0049】
尚、上記記録層から第1の有機低分子化合物であるリグノセリン酸エチルを除去した、記録層を有する可逆性感熱記録カードを作成した。当該可逆性感熱記録カードの透明化温度領域は68〜69℃であり、透明化温度領域は1℃しかなかった。すなわち、第2の有機低分子化合物であるデオキシコール酸と、第3の有機低分子化合物である12−トリコサノンとは相互作用がない。
【0050】
また、高分子樹脂母材と第3の有機低分子化合物である12−トリコサノンからなる記録層は、透明化温度領域は68〜69℃であり、透明化温度領域は1℃しかなかった。
【0051】
(実施例2)
記録材料の組成を以下の様にした以外は、実施例1と同様に可逆性感熱記録カードを作成し、実施例1と同様にして性能を調べ、結果を表1に示す。
【0052】
高分子樹脂母材
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 150重量部
第1の有機低分子化合物
長鎖脂肪酸エチル 44重量部
[C27〜C41程度の脂肪酸エチル混合品,Tma70℃]
第2の有機低分子化合物
デオキシコール酸[Tmb176℃] 4重量部
第3の有機低分子化合物
12−トリコサノン 40重量部
[C1123COC1123,Tmc68℃]
(比較例1)
記録材料の組成を以下の様にした以外は、実施例1と同様に可逆性感熱記録カードを作成し、実施例1と同様にして性能を調べ、結果を表1に示す。
【0053】
高分子樹脂母材
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 150重量部
第1の有機低分子化合物
リグノセリン酸エチル(純度:96%) 44重量部
[C2347CO,Tma56℃]
第2の有機低分子化合物
デオキシコール酸[Tmb176℃] 4重量部
(比較例2)
記録材料の組成を以下の様にした以外は、実施例1と同様に可逆性感熱記録カードを作成し、実施例1と同様にして性能を調べ、結果を表1に示す。
【0054】
高分子樹脂母材
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 150重量部
第1の有機低分子化合物
長鎖脂肪酸エチル 44重量部
[C27〜C41程度の脂肪酸エチル混合品,Tma70℃]
第2の有機低分子化合物
デオキシコール酸[Tmb176℃] 4重量部
【表1】
Figure 0003695795
表1より明らかなように、比較例1は第1の有機低分子化合物であるリグノセリン酸エチルと、第2の有機低分子化合物であるデオキシコール酸とが相互作用を有するので、透明化温度領域は広がっている。しかし、1週間、40℃環境下に放置する強制経時試験を行った後では、サーマルヘッドの消去性能が劣化している。
【0055】
一方、本発明の可逆性感熱記録材料である実施例1は、第3の有機低分子化合物である12−トリコサノンを加えることにより、強制経時試験後のサーマルヘッドの消去性能が改良されている。
【0056】
同様なことが、実施例2と比較例2でもいえる。すなわち、本発明の可逆性感熱記録材料はサーマルヘッドのように処理速度が速い方式を使用して、記録の書込みおよび消去できる。
【0057】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、透明化温度領域の拡大化および経時変化による消去性低下の抑制ができるため、一定の条件下でのサーマルヘッドでの透明化すなわち消去が可能となり、消去装置の小型化、低コスト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明記録材料を使用したカードの一例の断面図。
【符号の説明】
1 カード基材
2 反射層
3 記録層
4 保護層
5 印刷層
6 可視記録表示窓
7 磁気記録層
8 保護印刷層

Claims (1)

  1. 高分子樹脂母材と、該高分子樹脂母材に分散された第1、第2および第3の有機低分子化合物を主成分とし、温度により透明状態と不透明状態との可逆変化を生じる可逆性感熱記録材料であって、
    前記第1の有機低分子化合物が炭素数12以上の脂肪酸と炭素数1以上のアルコールとからなる高級脂肪酸エステルから選択され、
    前記第2の有機低分子化合物がステロイド骨格を有する脂肪酸であり、コラン酸、コール酸、リトコール酸、デオキシコール酸、ヒオデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸、ホケコール酸またはヒオコール酸から選択され、
    前記第3の有機低分子化合物が炭素数15以上の高級ケトンから選択され、かつ、前記第2の有機低分子化合物の融点Tmbは、第1の有機低分子化合物の融点Tmaおよび第3の有機低分子化合物の融点Tmcより高く、
    前記高分子樹脂母材に、第1の有機低分子化合物と第2の有機低分子化合物とを分散した場合は、第1の有機低分子化合物のみを分散した場合より、透明となる温度領域が高温側へ広がり、
    前記高分子樹脂母材に、第3の有機低分子化合物と第2の有機低分子化合物とを分散した場合は、第3の有機低分子化合物のみを分散した場合と、透明となる温度領域が同じであることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
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