JP3695736B2 - 内燃エンジンの排気浄化触媒装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃エンジンの排気浄化触媒装置に係り、特に浄化効率復活機能を備えた装置に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
内燃エンジンが所定運転状態にある時に空燃比を理論空燃比(14.7)よりも燃料希薄側(リーン側)の目標値(例えば、22)に制御して、エンジンの燃費特性等を改善する空燃比制御方法が知られている。このようなリーン空燃比制御方法において、従来の三元触媒装置では排気ガス中の窒素酸化物(NOx)が充分に浄化できないという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために、酸素富過状態(酸化雰囲気)において排気ガス中のNOxを吸着し、吸着したNOxを炭化水素(HC)過剰状態(還元雰囲気)で還元させる特性を有した排気浄化触媒、所謂NOx触媒を使用して、大気へのNOx排出量を低減させることが知られている。このNOx触媒では、リーン空燃比制御時にNOxを吸着させることになるが、リーン燃焼運転を連続して行うと触媒の吸着量に限度があるために吸着が飽和量に達したときには排気ガス中のNOxの大部分が大気に排出されることになる。そこで、NOx触媒の吸着量が飽和に達する前に、空燃比を理論空燃比またはその近傍値に制御するリッチ空燃比制御に切換え、還元雰囲気(リッチ状態)でNOxの還元を行うような方法が、特開平5−133260号公報等により知られている。
【0004】
この空燃比制御方法では、リーン燃焼運転からリッチ燃焼運転への切換えタイミングをリーン空燃比制御を開始してからの経過時間に基づいて制御し、所定時間が経過した時点でリッチ空燃比制御に切換えた後、リッチ空燃比制御により触媒に吸着されていたNOxの還元が終了すると再びリーン空燃比制御に戻すようにしており、このようにリーン燃焼運転とリッチ燃焼運転とを交互に繰り返すことでNOx触媒の吸着能力を維持し、NOx量の低減を図るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
NOx触媒に吸着する物質は、NOxだけならよいが、実際にはNOx以外の物質、例えば、硫黄やその化合物等も付着する。このようなNOx以外の物質(以下、浄化能力低下物質という)は、本来NOxが吸着されるべきところに、NOxの替わりに付着することになるため、結果的にNOxの吸着能力を低減させることになる。
【0006】
このように、NOx触媒に付着したNOx以外の浄化能力低下物質は、上述の公報に開示されるような空燃比制御を行っても取り除くことができず、時間の経過とともに、その付着堆積量は増加することになる。このような浄化能力低下物質の堆積を放置しておくと、NOxの吸着能力は低下する一方となり、NOx触媒がその機能を充分に果たさなくなる虞がある。
【0007】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、窒素酸化物(NOx)以外の浄化能力低下物質が付着しても、内燃エンジンを運転させたまま、且つ、運転状態を悪化させることなく、排気浄化触媒(NOx触媒)の機能を維持可能な排気浄化触媒装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1の発明では、内燃エンジンの排気通路に配設され、リーン燃焼運転時に排気ガス中の窒素酸化物を吸着する排気浄化触媒を備えた内燃エンジンの排気浄化触媒装置において、前記排気浄化触媒に付着した浄化能力低下物質の付着量を推定する付着量推定手段と、前記付着量推定手段により推定された付着量が所定付着量に達したとき、前記内燃エンジンの燃焼状態を変更して前記排気浄化触媒に燃料及び空気を供給し、この燃料を燃焼させて前記排気浄化触媒の温度を上昇させる触媒加熱手段と、前記内燃エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段とを備え、前記運転状態検出手段により前記内燃エンジンが所定の中高負荷運転状態にあり運転が安定していると判定されたときのみ、前記触媒加熱手段による前記排気浄化触媒の温度上昇を許容することを特徴とする。
【0009】
これにより、排気浄化触媒に吸着され、窒素酸化物の浄化能力を低下させる浄化能力低下物質の付着量が、付着量推定手段により推定され、その付着量が所定付着量を超えると、排気浄化触媒の温度が触媒加熱手段により内燃エンジンの燃焼状態を変更して排気浄化触媒に燃料及び空気を供給し、この燃料を燃焼させることで上昇させられ、浄化能力低下物質が排気浄化触媒から良好に燃焼除去され、排気浄化触媒への窒素酸化物の吸着能力が復活することになるが、この際、内燃エンジンの燃焼状態の変更による排気浄化触媒の昇温は、エンジンの運転状態が所定の中高負荷運転状態で安定しているときにおいてのみ実施される。
【0012】
また、請求項2の発明では、前記運転状態検出手段は、前記内燃エンジンの排気温度を推定する排気温度推定手段を有し、この排気温度推定手段により推定される排気温度が規定温度以上であるとき、内燃エンジンが前記所定の中高負荷運転状態にあり運転が安定していると判定することを特徴とする。
これにより、エンジンの所定の中高負荷運転状態は、排気温度推定手段により推定される排気温度によって容易に求められ、当該内燃エンジンの燃焼状態の変更による排気浄化触媒の昇温は、排気温度が規定温度以上で運転が安定しているときにのみ実施される。
【0013】
また、この際、前記排気温度推定手段は、エンジン負荷を検出する負荷検出手段と、エンジン回転数を検出する回転数検出手段とを有し、前記負荷検出手段により検出されたエンジン負荷と、回転数検出手段により検出したエンジン回転数とに基づいて排気温度を推定するのがよい。
これにより、排気温度が規定温度以上となるような中高負荷域の運転状態は、エンジン負荷とエンジン回転数によって容易に求められ、当該排気浄化触媒の昇温は、エンジンの運転状態が所定の中高負荷運転状態で安定しているときに実施される。
【0014】
また、この際、前記運転状態検出手段により内燃エンジンが前記中高負荷運転状態と判定されているときの経過時間を積算する計時手段を備え、前記触媒加熱手段による排気浄化触媒の昇温は、前記計時手段により積算される時間が所定時間に達するまで継続されるのがよい。
これにより、排気浄化触媒の昇温は、エンジンの運転状態が所定の中高負荷運転状態で安定しているときにおいて、経過時間が所定時間に達するまで継続されることになる。従って、排気浄化触媒は高温状態に充分維持されることになり、浄化能力低下物質の除去が良好に実施される。
【0015】
また、この際、前記計時手段は、前記触媒温度検出手段により検出された温度が所定温度以上であるとき、前記経過時間を積算するのがよい。
これにより、触媒温度が所定温度以上にあり、浄化能力低下物質を確実に除去可能な状態にある時間のみが経過時間として計時されることになり、浄化能力低下物質の除去が確実なものとなる。
【0016】
また、この際、前記計時手段は、前記運転状態検出手段により内燃エンジンが前記中高負荷運転状態にあると判定された後、一定時間経過後に前記経過時間の積算を開始するのがよい。
これにより、エンジンの運転状態が中高負荷運転状態となってから一定時間が経過し、運転状態が安定しているときの時間のみが経過時間として計時されることになり、浄化能力低下物質の除去がより確実なものとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る排気浄化触媒装置を備えた内燃エンジンを示す概略構成図である。
同図において、符号1は自動車用エンジン、例えば、V型6気筒ガソリンエンジン本体であり、燃焼室を始め吸気系や点火系等がリーン燃焼可能に設計されている。このV型6気筒ガソリンエンジン本体(以下、単にエンジン本体と記す)1は、片方側(左側)バンク1aと他方側(右側)バンク1bにそれぞれ気筒が3気筒ずつ配設されている。左側バンク1aと右側バンク1bの各気筒毎に設けられた吸気ポート2a,2bには、燃料噴射弁3a,3bが取り付けられた吸気マニホールド4を介し、エアクリーナ5、吸入空気量Afを検出するエアフローセンサ6、スロットルバルブ7、ISC(アイドルスピードコントロール)バルブ8等を備えた吸気管9が接続されている。
【0018】
エアフローセンサ6としては、カルマン渦式エアフローセンサ等が好適に使用される。ISCバルブ8は、アイドリング回転数を制御するためのものであり、図示しないエアコンの作動等によるエンジン負荷Leの変動に応じバルブ開度を調節して、吸入空気量を変化させ、アイドリング運転を安定させる働きをするものである。また、このISCバルブ8は、後述する空燃比補正制御時には開弁側に作動し、空燃比補正実施に伴う出力低下を補うように作用する。
【0019】
また、各気筒の排気ポート10a,10bには、排気マニホールド11a,11bを介して、空燃比を検出するための空燃比センサ(リニアO2センサ等)12の取り付けられた排気管14が接続され、この排気管14には、排気浄化触媒13を介して、図示しないマフラーが接続されている。
排気浄化触媒13は、NOx触媒13aと三元触媒13bとの2つの触媒を備えており、NOx触媒13aの方が三元触媒13bよりも上流側に配設されている。NOx触媒13aは、酸化雰囲気においてNOx(窒素酸化物)を吸着させ、HC(炭化水素)の存在する還元雰囲気では、NOxをN2(窒素)等に還元させる機能を持つものである。NOx触媒13aとしては、例えば、耐熱劣化性を有するPtとランタン、セリウム等のアルカリ希土類からなる触媒が使用されている。NOx触媒13aには、触媒温度センサ26が接続されており、NOx触媒13aの温度を高温域まで検出可能になっている。尚、触媒温度センサ26は、エンジン本体1からの排気温度を推定する排気温度推定手段としても機能可能である。
【0020】
一方、三元触媒13bは、HC、CO(一酸化炭素)を酸化させるとともに、NOxを還元する機能をもっており、この三元触媒13bによるNOxの還元は、理論空燃比(14.7)付近での燃焼時において最大に促進されるようになっている。
エンジン本体1には、吸気ポート2a,2bから燃焼室15a,15bに供給された空気と燃料との混合ガスに着火するための点火プラグ16a,16bが各気筒毎に配置されている。また、符号18は、カムシャフトと連動するエンコーダからクランク角同期信号θCRを検出するクランク角センサ、符号19はスロットルバルブ7の開度θTHを検出するスロットルセンサ、符号20は冷却水温TWを検出する水温センサ、符号21は大気圧Paを検出する大気圧センサ、符号22は吸入空気温度Taを検出する吸気温センサである。
【0021】
尚、エンジン回転速度(エンジン回転数)Neは、クランク角センサ18が検出するクランク角同期信号θCRの発生時間間隔から演算される(回転数検出手段)。また、体積効率ηvは、上記エアフローセンサ6により検出された空気流量Afと上記エンジン回転速度Ne等とから演算され、大気圧センサ21が検出する大気圧Pa、吸気温センサ22が検出する吸気温度Ta等によって補正される。さらに、エンジン負荷Leは、スロットルセンサ19により検出されるスロットル開度θTH、上記体積効率ηv等から演算される(負荷検出手段)。
【0022】
車室内には、図示しない入出力装置、多数の制御プログラムを内蔵した記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)、計時手段として機能するタイマカウンタ等を備えたECU(電子制御ユニット)23が設置されており、エンジン本体1の空燃比制御、点火時期制御、吸入空気量制御や後述する排気浄化触媒装置のリフレッシュ制御等を行っている。ECU23の入力側には、車両の走行距離を車速パルスの積算値等によりカウントする距離メータ25や上述した各種センサ類が接続され、これらセンサ類からの検出情報が入力される。一方、出力側には、上述の燃料噴射弁3a,3bや点火ユニット24および後述する自動変速機30の油圧コントローラ60等が接続され、これらに向けて各種センサ類からの入力情報に基づき演算された最適値が出力されるようになっている。燃料噴射弁3a,3bは、ECU23からの指令により、パルス状の電流が供給されて駆動するものであり、その電流のパルス幅によって燃料噴射量が決定される。点火ユニット24は、ECU23からの指令により、各気筒の点火プラグ16a,16bに高電圧を出力する。
【0023】
図2には、上記の排気浄化触媒装置を備えたエンジン本体1と自動変速機(AT)30とが搭載された車両のパワープラントの概略構成を示してある。同図に示すように、自動変速機30はエンジン本体1の出力軸31に接続されており、この自動変速機30の駆動軸50には図示しない駆動輪がデファレンシャルギヤ等を介して接続されている。
【0024】
自動変速機30は、自動変速機本体32とトルクコンバータ33とから構成されている。自動変速機本体32は、複数組のプラネタリギヤの他、油圧クラッチや油圧ブレーキ等の油圧摩擦係合要素を内蔵しているが、ここでは説明を省略する。
トルクコンバータ33は流体継手であり、ハウジング33、ケーシング34、ポンプ36、タービン37、ステータ38等から構成されている。ケーシング34は、上記出力軸31に接続され、出力軸31と同期して回転するようになっている。また、タービン37は、自動変速機本体32の入力軸39に接続されており、ステータ38は図示しないワンウェイクラッチを介してハウジング33に取付けられている。
【0025】
ケーシング34内には、作動油が満たされている。この作動油は出力軸31とともに回転するポンプ36によって吐出され、タービン37を回転させるようになっている。これにより、トルクコンバータ33は流体継手として機能することになり、エンジン本体1の出力は自動変速機本体32を介して図示しない駆動輪に伝達される。
【0026】
ケーシング34とタービン37の間には、湿式単板式のダンパクラッチ40が介装されており、このダンパクラッチ40が係合することにより出力軸31と入力軸39とが直結可能になっている。ダンパクラッチ40が係合した直結状態では、出力軸31からの出力が作動油を介さずに入力軸39に直接伝達されることになり、この場合にはトルクコンバータ33は流体継手としては機能しないことになる。
【0027】
ケーシング34のタービン37とダンパクラッチ40間からは、油路42が延びており、またケーシング34とダンパクラッチ40間からは、油路46が延びている。これらの油路42と油路46は、油圧コントローラ60内の図示しないコントロールバルブに接続されており、このコントロールバルブは、図示しないが所定圧の作動油を供給する油圧源に接続されている。この油圧源から供給される作動油は、コントロールバルブを介して油路42と油路46を循環するようになっており、コントロールバルブがECU23の出力信号に応じてデューティ制御されることにより、その循環方向が切換えられるようになっている。
【0028】
循環方向が油路46から油路42の方向である場合には、油圧源からの作動油は油路46を通ってケーシング34とダンパクラッチ40間に供給される一方、ケーシング34内の作動油がタービン37とダンパクラッチ40間の油路42から排出される。これにより、ケーシング34とダンパクラッチ40間の圧力が高くなり、ダンパクラッチ40はその係合が解除される側に押圧されて非直結状態となる。この非直結状態においては、トルクコンバータ33は通常の流体継手として機能している。
【0029】
これとは逆に、循環方向が油路42から油路46の方向である場合には、油圧源からの作動油は油路42を通ってタービン37とダンパクラッチ40間に供給される一方、ケーシング34とダンパクラッチ40間の作動油が油路46から排出される。これにより、タービン37とダンパクラッチ40間の作動油の圧力が高くなり、ダンパクラッチ40は押圧されて係合し、直結状態となる。このような直結状態では、出力軸31の出力が自動変速機本体32の入力軸39に直接伝達されることになる。
【0030】
次に、上述のように構成された排気浄化触媒装置の作用を、図3乃至図9を参照して説明する。
図3および図4に示すフローチャートは、ECU23が実行するリフレッシュ制御手順を示している。
このリフレッシュ制御は、NOx触媒13aに付着するNOx以外の付着物(浄化能力低下物質)、例えば硫黄やその化合物等が所定量に達したと判定されたら、NOx触媒13aに燃料と空気とを供給してこの燃料を燃焼させ、NOx触媒13aを高温状態に加熱するリフレッシュ運転(触媒加熱手段)を実施し、その浄化能力低下物質をNOxがNOx触媒13aに吸着するときの障害とならないように除去しようというものである。
【0031】
先ず、ステップS10では、ECU23は、浄化能力低下物質の付着量がエンジン本体1の消費燃料積算量Fに略比例して増加することから、燃料噴射弁3a,3bを駆動する電流のパルス幅を積算し、これを演算することで消費燃料積算量Fを求め、この消費燃料積算量Fに基づいてNOx触媒13aに付着堆積している浄化能力低下物質の量を推定する(付着量推定手段)。
【0032】
尚、この消費燃料積算量Fは、燃料噴射弁3に供給される駆動電流の全てのパルス幅を積算して求めてもよいが、NOx触媒13aへの浄化能力低下物質の付着は、リーン燃焼運転の場合に多くなる傾向にあるから、リーン燃焼運転を実施しているときにのみ限定して積算する方が好ましい。さらに、NOx触媒13aが所定温度以下の場合にも浄化能力低下物質は付着し易いため、リーン燃焼運転であって、かつNOx触媒13aが所定の温度以下のときにのみパルス幅の積算を行うようにすれば、より適切に浄化能力低下物質の付着量の推定ができる。
【0033】
次に、ステップS12では、浄化能力低下物質が所定量に達したか否かを、ステップS10で演算した消費燃料積算量Fが所定値F1以上であるか否かで判別する。この所定値F1は、実験等により適宜値に設定され、浄化能力低下物質の付着量が許容量を越えない範囲、つまり、浄化能力低下物質の付着によって増加するNOx排出量が法規等の規制値を越えない範囲内の値に設定される。判別結果がYes(肯定)の場合には、浄化能力低下物質が所定量を越えたと判定でき、次にステップS16に進む。一方、判別結果がNo(否定)で消費燃料積算量Fが所定値F1に達していない場合には、次にステップS14に進む。
【0034】
ステップS14は、制御電源であるバッテリが、車両整備の実施等のために一旦外され、再度接続された直後であるか否かを判別するステップである。この判別は、バッテリが外された際、ECU23のRAMに記憶された消費燃料積算量Fや後述する走行距離D等に基づいて推定される浄化能力低下物質の付着量の推定値が一旦ゼロ値にリセットされ、付着量の推定値と実際の付着量との整合性がとれなくなることを防止すべく実施されるものである。
【0035】
このステップS14の判別結果がNo(否定)の場合には、バッテリは接続されているが、ステップS12での消費燃料積算量Fの判別結果が未だ所定値F1に達していない状態と判定でき、この場合には何もせずに当該ルーチンを終了する。一方、判別結果がYes(肯定)で、バッテリ再接続直後の場合には、ステップS12のYes(肯定)の判別結果と同様に、次にステップS16に進む。尚、バッテリが外されても、ECU23のバックアップ機能等により、消費燃料積算量Fや走行距離D等の値が確実に記憶保持されるような場合には、ステップS14の判別を実施しなくてもよい。
【0036】
ステップS16では、エンジン本体1の運転状態が、リフレッシュ運転を実施しても良い状態であるか否かを、運転状態検出手段である各種センサ類からの信号値に基づいて判別する。
ここでは、エンジン回転速度Ne、エンジン負荷Leの算出要素である体積効率ηvおよび冷却水温TWが判定の対象となり、それぞれの値が下記(1)乃至(3)に示す不等式の範囲内となるか否かが判別される。
【0037】
Ne1≦Ne≦Ne2 …(1)
ηv1≦ηv≦ηv2 …(2)
TW1≦TW …(3)
ここに、Ne1、Ne2、ηv1、ηv2およびTW1は閾値を示し、例えば、Ne1は1500rpm、Ne2は5000rpm、ηv1は30%、ηv2は85%であり、TW1は、例えば暖機運転が完了したとみなせる50℃に設定されている。これらの閾値は、エンジン本体1の運転状態が、所謂中負荷域から高負荷域となる値を示しており、この場合、エンジン本体1の排気温度は所定温度TEX(例えば、600℃)以上であると推定される(排気温度推定手段)。
【0038】
このように、エンジン本体1の運転状態が中負荷域から高負荷域となるような中高負荷運転状態をリフレッシュ運転実施の成立条件とするのは、例えば、Ne1、ηv1よりも小さい低負荷域においてリフレッシュ運転を実施すると、エンジン本体1の出力が安定せず、運転フィーリングが悪化する虞があるためであり、またNe、ηvの値がNe2、ηv2よりも大きい高負荷域においては、排気ガス温度が高温であり、これによりNOx触媒13aも高温状態となっていることから、この状態でリフレッシュ運転を実施すると、NOx触媒13aが過熱され、焼損する虞があるためである。
【0039】
ステップS16の判別結果がNo(否定)、すなわちNe、ηv、TWのいずれかが上記の範囲から外れている場合には、リフレッシュ運転をすべきではない状態と判定でき、この場合にはリフレッシュ運転は実施せず、ステップS18を経て再度ステップS16を実行し、このステップS16の実行は、その判別結果がNo(否定)でなくなるまで繰り返される。尚、ステップS18では、後述するフラグf(RF)がゼロ値にリセットされる。
【0040】
一方、ステップS16の判別結果がYes(肯定)で、Ne、ηv、TWの全ての値が上記不等式(1)〜(3)の範囲内にある場合には、エンジン本体1の運転状態が中負荷域から高負荷域にあってリフレッシュ運転を実施してもよい安定した状態であるため、次にステップS20に進む。このとき、ECU23のタイマカウンタが経過時間tの積算を開始する。
【0041】
ステップS20は、後述するリフレッシュモード運転が実行されたことを記憶する前記フラグf(RF)が値1であるか否かを判別するステップである。ステップS16の判別結果がYes(肯定)でリフレッシュ運転が可能となった直後においては、このフラグf(RF)の値はリセットされたゼロ値の状態(f(RF)=0)であるため、この場合には、ステップS20の判別結果は必然的にNo(否定)となり、次にステップS22に進む。
【0042】
ステップS22はAT(自動変速機)直結解除のステップであり、ここでは、前述した油圧コントローラ60のコントロールバルブをデューティ制御し、自動変速機30のダンパクラッチ40の係合を解除して非直結状態とする。これにより、トルクコンバータ33は通常の流体継手として機能することになる。このようにダンパクラッチ40の直結を解除することにより、後述するリフレッシュ運転の実施により発生するエンジン本体1の出力変動が自動変速機30に直接に伝達されることはなく、運転フィーリングの悪化を防止できる。尚、このステップS22の実行時に、ダンパクラッチ40が既に非直結状態である場合には、その非直結状態が継続されることになる。
【0043】
次のステップS24以降はリフレッシュ運転を実行するステップである。
ステップS24乃至ステップS28はリフレッシュ運転のうち昇温モード運転を構成するステップであり、ここではNOx触媒13aの温度TCATをNOx触媒13aから浄化能力低下物質を燃焼除去するのに充分な所定温度T1(例えば、650℃)まで昇温させる。
【0044】
先ず、ステップS24において、気筒毎に空燃比補正制御を行う。この空燃比補正は、エンジン本体1の一部の気筒(例えば、#1、#3、#5気筒)については、空燃比が高く空気量の多いリーン燃焼運転に、一方、残余の気筒(例えば、#2、#4、#6気筒)については、空燃比が低く燃料の多いリッチ燃焼運転に制御するものである。
【0045】
このリーン燃焼運転とリッチ燃焼運転の空燃比補正方法としては、リーン燃焼運転側については、空気量一定のもとに燃料量を減らし、一方、リッチ燃焼運転側については、燃料量一定のもとに空気量を減らすようなものとしている。具体的には、リーン燃焼運転については次式(4)に基づいて空燃比補正し、リッチ燃焼運転については次式(5)に基づいて空燃比補正する。
【0046】
LAF=AVAF+AVAF×DAF/100 …(4)
RAF=AVAF−AVAF×DAF/100 …(5)
ここに、LAFはリーン空燃比を、RAFはリッチ空燃比を示し、DAFは空燃比補正量(%)を示す。また、AVAFはリーン空燃比とリッチ空燃比との平均空燃比を示し、ここでは、例えば理論空燃比である14.7の値に設定される。この空燃比補正量DAF(%)は、リフレッシュ運転開始時点で検出されたエンジン回転速度Neおよび体積効率ηvに基づいて、予め記憶されたマップ(図示せず)を使用して設定される。
【0047】
このようにエンジン本体1の一部の気筒をリーン燃焼運転とし、残余の気筒をリッチ燃焼運転とするような、空燃比の異なる運転を略同時に実施すると、エンジン本体1から排出される排気ガスには、リーン燃焼運転を実施した気筒から排出された空気すなわち残存酸素を含む排気ガスと、リッチ燃焼運転を実施した気筒から排出された未燃炭化水素(未燃HC)やCOを含む排気ガスとが混在することになる。そして、これらの排気ガスは、排気管14を介してNOx触媒13aに供給されることになる。
【0048】
この未燃HCと残存酸素含む排気ガスは、空燃比センサ12の検出信号に基づいてその空燃比、つまり実際の平均空燃比が常時監視されている。そして、この空燃比の検出値が上記の平均空燃比AVAFと一致していない場合には、リーン燃焼運転を実施している一部の気筒または/およびリッチ燃焼運転を実施している残余の気筒に供給する燃料量あるいは空気量を適宜補正し、実際の平均空燃比と平均空燃比AVAFとが一致するようにしている。
【0049】
NOx触媒13aに供給された未燃HCは、NOx触媒13aが排気ガスの熱によって加熱状態にあることから、NOx触媒13a内において前記残存酸素の存在により燃焼させられ、NOx触媒13aの温度を急激に上昇させることになる。尚、この昇温モード運転では、排気ガスの平均空燃比AVAFが14.7に設定されているため、その燃焼は良好なものとなり、排気ガス中の汚染物質を増加させることなくNOx触媒13aを昇温させることができる。
【0050】
ところで、通常、リーン燃焼運転においては、燃料供給量が少ないことからエンジン出力が小さくなり、一方、リッチ燃焼運転においては、燃料供給量が充分であることから高出力を発生する。従って、上述のような気筒別の空燃比補正を行う場合、リーン燃焼運転を行う気筒とリッチ燃焼運転を行う気筒の選択が悪く、気筒の点火順序の関係からリーン燃焼運転の燃焼が連続したり、リッチ燃焼運転の燃焼が連続したりすると、エンジン出力にムラが発生し、運転フィーリングを悪化させることに繋がる。そこで、このような不都合を解消するために、リーン燃焼運転を実施する気筒とリッチ燃焼運転を実施する気筒とは、リーン燃焼運転とリッチ燃焼運転とが交互にバランスよく実施されるように選択される。
【0051】
例えば、本実施例のように、エンジン本体1がV型6気筒エンジンの場合には、図8の気筒配列図に示すように、気筒の点火順序は通常#1−#2−#3−#4−#5−#6の順となるため、一つ置きに燃焼する左側バンク1aの#1,#3,#5の3気筒についてはリーン燃焼運転を実施し、右側バンク1bの#2,#4,#6の3気筒についてはリッチ燃焼運転を実施するように制御する。
【0052】
また、直列6気筒エンジンのようなエンジン本体1’の場合には、図9の気筒配列図に示すように、気筒の点火順序は通常#1−#5−#3−#6−#2−#4あるいは#1−#4−#2−#6−#3−#5の順となるため、一つ置きに燃焼する#1,#2,#3の3気筒についてはリーン燃焼運転を実施し、他の#4,#5,#6の3気筒についてはリッチ燃焼運転を実施するように制御すればよい。
【0053】
尚、リーン燃焼運転気筒とリッチ燃焼運転気筒の選択は、必ずしも気筒数の半分ずつを割り当てるものでなくてもよく、例えば、6気筒の内2気筒をリーン燃焼運転とし、残りの4気筒をリッチ燃焼運転に設定するようにしてもよい。さらに、6気筒のような偶数気筒のエンジン本体1に限らず、5気筒のような奇数気筒のエンジン本体1にも適用することが可能であり、この場合には、気筒数をリーン燃焼運転気筒とリッチ燃焼運転気筒にバランスよく分けることができないことになるが、排気される残存酸素と未燃HC量とが適正なものになるように、空燃比等を調整してやればよい。
【0054】
以上のように空燃比補正を実施したら、次にステップS26に進む。このステップS26では、上記の空燃比補正制御を実施したことに合わせて、点火時期を好適に補正する。
リーン燃焼運転時には、点火時期を進角させて燃焼を早めると、燃焼効率を向上させることができ、一方、リッチ燃焼運転時には、点火時期を遅角させて燃焼を遅らせると、ノッキングの発生等を防止することができる。従って、リーン燃焼運転を行う気筒については、点火時期を進角させ、リッチ燃焼運転を行う気筒については、点火時期を遅角させるようにしている。
【0055】
具体的には、リーン燃焼運転については次式(6)に基づいて点火時期を進角し、リッチ燃焼運転については次式(7)に基づいて点火時期を遅角する。
L点火時期=O/L点火時期−k×(LAF−O/L目標AF) …(6)
R点火時期=O/L点火時期+k×(O/L目標AF−RAF) …(7)
ここに、L点火時期はリーン燃焼運転の点火時期を、R点火時期はリッチ燃焼運転の点火時期を、またO/L点火時期は、通常のリーン燃焼運転時の点火時期を、O/L目標AFは通常のリーン燃焼運転時の目標空燃比を示しており、kは実験等により求められた比例定数である。尚、上式は、それぞれ前述したリーン空燃比LAFあるいはリッチ空燃比RAFを含んでいることから、L点火時期、R点火時期もLAF、RAFと同様に、前述したエンジン回転速度Neおよび体積効率ηvに基づくものである。
【0056】
点火時期の補正を実施したら、次にステップS28に進む。ステップS28では、ISCバルブ8を開弁側に調節して吸入空気量の補正を行う。
この吸入空気量補正は、上記の空燃比補正制御が、リーン燃焼運転側では一定空気量に対して燃料量を減らし、リッチ燃焼運転側では一定燃料量に対して空気量を減らすようなものであり、全体としてのエンジン出力を低下させるものであるため、この出力低下を防止することを目的として実施するものである。この補正により、吸入空気量が増加することになり、エンジン出力を安定的に一定に保持することができる。
【0057】
この吸入空気の補正量は、上記空燃比補正量DAFと同様にエンジン回転速度Neおよび体積効率ηvに基づいて予め記憶されたマップを使用して設定されるものである。
尚、上記の空燃比補正、点火時期補正、吸入空気量補正を行う際に、これらの補正を急激に行うとエンジン本体1の運転状態に変動が生じる虞があるため、徐々に補正値に近づけるよう実施することが望ましい。
【0058】
以上のようにして、リフレッシュ運転の昇温モード運転が実施されると、NOx触媒13aは急速に昇温させられ、NOx触媒13aの温度TCATは、NOx触媒13aに付着した浄化能力低下物質が燃焼除去されるに充分な所定温度T1(650℃)にまで達することになる。
次のステップS30では、触媒温度センサ26によって検出された触媒温度TCATが、所定温度T1(例えば、650℃)に達したか否かを判別する。判別結果がNo(否定)で触媒温度TCATが所定温度T1(650℃)未満の場合には、未だ浄化能力低下物質を燃焼除去させるに充分な温度ではないと判定でき、前述のステップS16に戻ってエンジン本体1の運転状態が安定するのを待つ。一方、判別結果がYes(肯定)で触媒温度TCATが所定温度T1(650℃)に達したと判定された場合には、次にステップS32に進む。
【0059】
ステップS32では、前述したステップS16の判別結果がYes(肯定)となり、リフレッシュ運転を開始したときに計時を始めた経過時間tが一定時間ts(例えば、5秒)経過したか否かを判別する。判別結果がNo(否定)で未だ一定時間ts(5秒)が経過していない場合には、エンジン本体1の運転状態が不安定であるとみなすことができ、この場合にはステップS16に戻り、エンジン本体1の運転状態が安定するのを待つ。一方、判別結果がYes(肯定)で一定時間ts(5秒)が経過したと判定された場合には、エンジン本体1の運転状態は安定したとみなすことができ、次にステップS34に進む。
【0060】
ステップS34乃至ステップS38はリフレッシュ運転のうちリフレッシュモード運転を構成するステップであり、ここでは所定温度T1(650℃)に達したNOx触媒13aの温度をその所定温度T1(650℃)に維持し、浄化能力低下物質(硫黄やその化合物)をNOx触媒13aから略完全に燃焼除去させるようにする。このリフレッシュモード運転では、前述した昇温モード運転と同様にして、先ずステップS34で空燃比補正を行った後、ステップS36で点火時期補正を、そしてステップS38で吸入空気量補正を行う。
【0061】
先ず、ステップS34において空燃比補正を行うことになるが、ここでは昇温モード運転の場合と異なり、その平均空燃比AVAFはリッチ空燃比側に設定してあり、その値は例えば13.7である。そして、この平均空燃比(13.7)の値を用いて、前述した式(4)および式(5)からリーン空燃比LAFとリッチ空燃比RAFとを求め、これに基づいて各気筒の空燃比を補正する。
【0062】
このようにAVAFをリッチ側に設定することにより、排気ガスは、昇温モード運転のときよりもCOとHCとを多く含むことになる。そして、これらのCOとHCは、高温下で燃焼除去した浄化能力低下物質と反応し、これによって浄化能力低下物質が良好に放出されることになる。また、このHCはNOxを還元することから、NOx触媒13aに吸着されているNOxも同時に除去されることになる。
【0063】
ステップS36では、昇温モード運転の場合と同様にして、ステップS34で補正設定したリーン空燃比LAFとリッチ空燃比RAFに合わせて、前述した式(6)および式(7)からリーン燃焼運転のL点火時期とリッチ燃焼運転のR点火時期とを好適に補正する。そして、ステップS38では、やはり昇温モード運転の場合と同様に、ISCバルブ8を開弁側に調節して吸入空気量の補正を行い、エンジン出力の低下を補うようにする。
【0064】
このリフレッシュモード運転を終了したら、次にステップS40に進み、フラグf(RF)に値1を設定して、リフレッシュモード運転が実行されたことを記憶し、ステップS42に進む。
ステップS42では、当該ステップS42が実行される毎に、累積時間CSTが次式(8)により演算され、触媒温度TCATが所定温度T1(650℃)を越え、かつリフレッシュ運転開始から一定時間ts(5秒)経過後のリフレッシュ運転の継続時間が積算される(計時手段)。
【0065】
CST=CST+1 …(8)
この累積時間CSTは、当該ステップS42が実行されるときのみ値1だけカウントアップされるものであるため、上述したステップS16の判別結果がNo(否定)の場合や、ステップS30あるいはステップS32の判別結果のいずれかがNo(否定)の場合には加算されないことになる。従って、ステップS16、ステップS30およびステップS32の判別結果が全てYes(肯定)であり、リフレッシュモード運転が確実に実行された場合の時間だけが正味時間として累積されることになる。ここに、カウントアップする値1は、例えば、当該ルーチンの実行周期に応じて設定された基準時間Xtに対応したものである。
【0066】
このように加算された累積時間CSTは、次のステップS44において、予め実験等により設定された所定時間t1(例えば、600秒)に対応する所定値XCと比較され、リフレッシュ運転を所定時間t1(600秒)に亘って行ったか否かが判別される。この所定時間t1(600秒)は、浄化能力低下物質が充分に除去されたとみなせる時間である。判別結果がNo(否定)で累積時間CSTが所定値XCに達していない場合には、浄化能力低下物質の除去が充分でないと判断でき、ステップS16に戻りリフレッシュ運転を継続する。
【0067】
累積時間CSTが所定値XCに達しておらず、再びステップS16が実行されたときにおいて、その判別結果がYes(肯定)でエンジン本体1がリフレッシュ運転に良好な運転状態を維持していればステップS20に進む。今回は、既にリフレッシュモード運転が実行されてフラグf(RF)が値1に設定されていることから、このステップS20の判別結果はYes(肯定)となる。この場合には、昇温モード運転を実行することなくステップS34に進み、リフレッシュモード運転のみを実行して触媒温度TCATを所定温度T1(650℃)に維持する。
【0068】
一方、リフレッシュ運転が一旦開始されたにもかかわらず、エンジン本体1の運転状態がリフレッシュ運転域から外れ、ステップS16の判別結果がNo(否定)となった場合には、リフレッシュ運転を中止して次にステップS18に進む。このステップS18ではフラグf(RF)の値をゼロ値にリセットする(f(RF)=0)。このようにフラグf(RF)の値が一旦ゼロ値に戻されると、次回ステップS16を経てステップS20が実行されたときには、その判別結果はNo(否定)となり、ステップS24以降の昇温モード運転が再度実行されることになる。これにより、リフレッシュ運転の中止によって低下した触媒温度TCATを再び所定温度T1(650℃)にまで戻すことができる。
【0069】
ステップS44の判別結果がYes(肯定)となり、累積時間CSTが所定値XCに達したと判定された場合には、浄化能力低下物質が略完全に除去されたとみなすことができ、リフレッシュ運転を終了して、最後にステップS46を実行する。
ステップS46では、リフレッシュ運転の終了により、積算されていた累積時間CST、消費燃料積算量Fおよびフラグf(RF)の値をゼロ値にリセットし、さらにはAT直結解除をリセットして自動変速機30のダンパクラッチ40を直結可能にする。これにより、次回のリフレッシュ運転の実行に備える。
【0070】
ところで、上記実施例においては、浄化能力低下物質の付着量を消費燃料積算量Fに基づいて推定するようにしたが、この他に、走行距離D、吸入空気積算量A、エンジン本体1の運転時間Hに基づいて推定しても消費燃料積算量Fによる場合と同様の効果を得ることができる。この場合、走行距離Dについては、距離メータ25によって求めるようにし、吸入空気積算量Aについては、カルマン渦式のエアフローセンサ6の渦パルス数の積算値を演算して求めるようにする。また、運転時間Hについては、例えばタイマによってエンジン本体1作動中の時間を計時するようにすればよい。
【0071】
走行距離Dによって浄化能力低下物質の付着量を推定する場合には、図5に示すように、前述したリフレッシュ制御のフローチャートのうち、付着量推定手段であるステップS10とステップS12を、それぞれ走行距離Dを演算するステップS100および走行距離Dが所定値D1(例えば、1000km)に達したか否かを判別するステップS120とに置き換える。さらに、ステップS46中の燃料積算量Fのリセットに代えて、走行距離Dをゼロ値にリセットするステップS460に置き換える。
【0072】
また、吸入空気積算量Aによって浄化能力低下物質の付着量を推定する場合には、図6に示すように、リフレッシュ制御のフローチャートのうち、付着量推定手段であるステップS10とステップS12を、それぞれ吸入空気積算量Aを算するステップS101および吸入空気積算量Aが所定値A1に達したか否かを判別するステップS121に置き換える。さらに、ステップS46中の燃料積算量Fのリセットに代えて、吸入空気積算量Aをゼロ値にリセットするステップS461に置き換える。
【0073】
運転時間Hによって推定する場合についても同様にして、図7に示すように、リフレッシュ制御のフローチャートの付着量推定手段を、それぞれ運転時間Hを演算するステップS102と運転時間Hが所定値H1に達したか否かを判別するステップS122とに置き換え、さらに、ステップS46中の燃料積算量Fのリセットに代えて、運転時間Hをゼロ値にリセットするステップS462に置き換えるようにする。
【0074】
以上、詳細に説明したように、気筒別にリーン燃焼とリッチ燃焼とを実施して排気ガス中に未燃HCおよび酸素を同時に含ませるような空燃比補正制御を行い、未燃HCをNOx触媒13a内で燃焼させ、NOx触媒13aを高温化するリフレッシュ運転を行うようにしたので、NOx触媒13aに付着していた浄化能力低下物質はその燃焼熱によってNOx触媒13aから良好に燃焼除去されることになる。これにより、NOx触媒13aのNOx吸着能力が再生され、NOx浄化効率が復活することになる。また、このリフレッシュモード運転時、NOx触媒13aを通過する排気ガス中にはHCが含まれていることから、このHCによって同時にNOxも良好に還元されて除去される。
【0075】
尚、上記実施例では、リフレッシュ運転の継続時間には、ステップS16での運転状態判別、ステップS30での触媒温度判別およびステップS32での経過時間判別の全ての判別結果がYes(肯定)であり、リフレッシュ運転が良好に実施されている場合のみの累積時間CSTをカウントアップするようにしたが、これに限られず、例えば、ステップS16の運転状態の判別結果とステップS30の触媒温度TCATの判別結果のみがYes(肯定)である場合や、ステップS16の判別結果とステップS32での経過時間tの判別結果のみがYes(肯定)である場合に累積時間CSTをカウントアップするようにしても同様の効果が得られる。また、ステップS16の運転状態の判別結果だけで判定するようにしても充分な効果が期待できる。
【0076】
また、上記実施例では、リフレッシュ運転の実施周期を、浄化能力低下物質が所定量に達する毎、すなわち消費燃料積算量Fが所定値F1(走行距離Dでは所定値D1、吸入空気積算量Aでは所定値A1、運転時間Hでは所定値H1)に達する毎としたが、NOx触媒13aはその使用時間が長くなると劣化が進むため、徐々に各所定値を小さくし、その実施周期を短くするとより効果的である。
【0077】
さらに、上記実施例では、エンジン本体1は、V型6気筒エンジンとしたが、気筒数やエンジン形式(例えば、水平対向式等)による制限はなく、いかなる気筒数のものでも、また、いかなるエンジン形式のものでも適用可能である。
【0078】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明の請求項1の排気浄化触媒装置によれば、内燃エンジンの排気通路に配設され、リーン燃焼運転時に排気ガス中の窒素酸化物を吸着する排気浄化触媒を備えた内燃エンジンの排気浄化触媒装置において、排気浄化触媒に吸着され、窒素酸化物の浄化能力を低下させる浄化能力低下物質の付着量が、付着量推定手段により推定され、その付着量が所定付着量を超えると、排気浄化触媒の温度が触媒加熱手段により内燃エンジンの燃焼状態を変更して排気浄化触媒に燃料及び空気を供給し、この燃料を燃焼させることで上昇させられ、浄化能力低下物質が排気浄化触媒から良好に燃焼除去され、排気浄化触媒への窒素酸化物の吸着能力が復活することになるが、この際、排気浄化触媒の昇温は、エンジンの運転状態が所定の中高負荷運転状態で安定しているときにおいてのみ実施される。即ち、エンジンの運転状態が安定していないときには、内燃エンジンの燃焼状態の変更による排気浄化触媒の昇温を実施しないようにでき、運転状態の悪化を防止できる。
【0081】
また、請求項2の排気浄化触媒装置によれば、運転状態検出手段は、内燃エンジンの排気温度を推定する排気温度推定手段を有し、この排気温度推定手段により推定される排気温度が規定温度以上であるとき、内燃エンジンが所定の中高負荷運転状態にあると判定するので、エンジンの所定の中高負荷運転状態は、排気温度推定手段により推定される排気温度によって容易に求められ、当該排気浄化触媒の昇温は、排気温度が規定温度以上であるときに実施される。即ち、排気温度が低いときには中高負荷運転状態にないと判定でき、この場合には内燃エンジンの燃焼状態を変更しないようにして運転状態の悪化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例が適用される排気浄化触媒装置を備えた内燃エンジンの概略構成図である。
【図2】排気浄化触媒装置を備えた内燃エンジンが搭載された車両のパワープラントの概略構成図である。
【図3】図1の電子制御ユニット(ECU)が実行するリフレッシュ制御ルーチンのフローチャートの一部である。
【図4】図3に示すフローチャートに続くリフレッシュ制御ルーチンのフローチャートの残部である。
【図5】浄化能力低下物質の付着量推定手段を走行距離による推定に置き換えた場合のリフレッシュ制御ルーチンのフローチャートの一部である。
【図6】浄化能力低下物質の付着量推定手段を吸入空気積算量による推定に置き換えた場合のリフレッシュ制御ルーチンのフローチャートの一部である。
【図7】浄化能力低下物質の付着量推定手段を運転時間による推定に置き換えた場合のリフレッシュ制御ルーチンのフローチャートの一部である。
【図8】図1に示すV型6気筒エンジンの気筒配列を示す概略図である。
【図9】直列6気筒エンジンの気筒配列を示す概略図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
1a 片方側(左側)バンク
1b 他方側(右側)バンク
3a 燃料噴射弁
3b 燃料噴射弁
6 エアフローセンサ
8 ISC(アイドルスピードコントロール)バルブ
12 空燃比センサ
13 排気浄化触媒
13a NOx触媒
13b 三元触媒
16a 点火プラグ
16b 点火プラグ
18 クランク角センサ
23 電子制御ユニット(ECU)
25 距離メータ
26 触媒温度センサ
30 自動変速機(AT)
33 トルクコンバータ
40 ダンパクラッチ
Claims (2)
- 内燃エンジンの排気通路に配設され、リーン燃焼運転時に排気ガス中の窒素酸化物を吸着する排気浄化触媒を備えた内燃エンジンの排気浄化触媒装置において、
前記排気浄化触媒に付着した浄化能力低下物質の付着量を推定する付着量推定手段と、
前記付着量推定手段により推定された付着量が所定付着量に達したとき、前記内燃エンジンの燃焼状態を変更して前記排気浄化触媒に燃料及び空気を供給し、この燃料を燃焼させて前記排気浄化触媒の温度を上昇させる触媒加熱手段と、
前記内燃エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段とを備え、
前記運転状態検出手段により前記内燃エンジンが所定の中高負荷運転状態にあり運転が安定していると判定されたときのみ、前記触媒加熱手段による前記排気浄化触媒の温度上昇を許容することを特徴とする内燃エンジンの排気浄化触媒装置。 - 前記運転状態検出手段は、前記内燃エンジンの排気温度を推定する排気温度推定手段を有し、この排気温度推定手段により推定される排気温度が規定温度以上であるとき、内燃エンジンが前記所定の中高負荷運転状態にあり運転が安定していると判定することを特徴とする、請求項1記載の内燃エンジンの排気浄化触媒装置。
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