JP3695651B2 - 蛍光x線分析用の油試料の調製 - Google Patents

蛍光x線分析用の油試料の調製 Download PDF

Info

Publication number
JP3695651B2
JP3695651B2 JP2002064860A JP2002064860A JP3695651B2 JP 3695651 B2 JP3695651 B2 JP 3695651B2 JP 2002064860 A JP2002064860 A JP 2002064860A JP 2002064860 A JP2002064860 A JP 2002064860A JP 3695651 B2 JP3695651 B2 JP 3695651B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver
oil sample
ray
solvent
sulfur
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2002064860A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003284957A (ja
Inventor
保弘 鮎川
恵 小野
Original Assignee
理学電機工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 理学電機工業株式会社 filed Critical 理学電機工業株式会社
Priority to JP2002064860A priority Critical patent/JP3695651B2/ja
Priority to US10/099,953 priority patent/US20020176536A1/en
Publication of JP2003284957A publication Critical patent/JP2003284957A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3695651B2 publication Critical patent/JP3695651B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N23/00Investigating or analysing materials by the use of wave or particle radiation, e.g. X-rays or neutrons, not covered by groups G01N3/00 – G01N17/00, G01N21/00 or G01N22/00
    • G01N23/22Investigating or analysing materials by the use of wave or particle radiation, e.g. X-rays or neutrons, not covered by groups G01N3/00 – G01N17/00, G01N21/00 or G01N22/00 by measuring secondary emission from the material
    • G01N23/223Investigating or analysing materials by the use of wave or particle radiation, e.g. X-rays or neutrons, not covered by groups G01N3/00 – G01N17/00, G01N21/00 or G01N22/00 by measuring secondary emission from the material by irradiating the sample with X-rays or gamma-rays and by measuring X-ray fluorescence
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2223/00Investigating materials by wave or particle radiation
    • G01N2223/07Investigating materials by wave or particle radiation secondary emission
    • G01N2223/076X-ray fluorescence

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油試料に含まれる硫黄分を蛍光X線分析するための油試料の調製法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、プロパン、ブタン、ガソリン、灯油、軽油等の石油製品、または、石油製品の原料となる石油半製品(基材油とも呼ばれる。LN、MN、HN、ケロシン、ソルベントケロシン、LGO、MGO、HGO等)には、さまざまな形態でSが存在している。その代表的な例としては、H2S、R−SH、R−S−R、R−S−S−R、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェンなどがあり(Rはアルキル基)、油の沸点留分の違いによって、それぞれに含まれるSの形態も変化する。このような油のSについて蛍光X線分析する場合には、試料が液体であることから、従来、油試料を液体試料ホルダに充填し、その試料窓をフィルム(窓材)で覆って、He雰囲気下で1次X線を照射して分析している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このとき、HeやフィルムにSの蛍光X線が吸収されるので、油試料をそのまま測定する従来の方法では、Sが微量すなわち蛍光X線が微弱な場合に十分対応できず、Sの定量濃度範囲は数ppm〜%のオーダーの範囲であり、定量下限値として1ppm程度の分析が限界とされてきた。また、蛍光X線分析以外の微量電量滴定法等によっても、実際には定量下限値として100ppb程度の分析が限界である。これでは、最近の厳しい品質管理等のための微量Sの分析に、十分に対応できない。
【0004】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、油試料に含まれるSを沈降またはろ過により濃縮して10〜30ppb程度の定量下限で蛍光X線分析するための油試料の調製法等を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願第1の発明は、油試料に含まれる硫黄分を蛍光X線分析するために前記油試料を調製する方法に用いる液体触媒であって、溶媒に硝酸銀を溶解させた硝酸銀溶液と、前記溶媒に酢酸ナトリウムを溶解させた酢酸ナトリウム溶液との混合溶液から、酢酸銀と、電磁波または粒子線を照射して沈殿させた硫化銀を含む銀化合物および銀とをろ過により除去したものである。
【0006】
油試料に含まれる微量Sを蛍光X線分析するためには、試薬を用いてSを抽出、濃縮する必要が生じてくるが、10ppb程度の極微量になると、調製に用いる市販の試薬に不純物として含まれるSも無視できなくなることを、発明者は見いだした。そこで、10ppb程度の極微量Sの分析にも支障がないように、上述のようにSをほぼ完全に除去した液体触媒を本願第1の発明とした。
【0007】
本願第1の発明の液体触媒を用いて油試料を調製し、Sについて蛍光X線分析すれば、液体触媒に含まれる不純物のSが問題となることがなく、10ppb程度の極微量Sの分析が可能となる。この液体触媒は、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールである油試料に好適に用いられ、その場合、前記溶媒が、触媒用の、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであることが好ましい。なお、本願では、分析対象の油試料が石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールである場合もあるため、それと区別するために、液体触媒の製造に溶媒として用いるものを、触媒用石油製品、触媒用石油半製品または触媒用アルコールと呼ぶ。また、銀化合物とは、無機銀化合物と有機銀化合物の両方を指す。
【0008】
本願第2の発明は、前記本願第1の発明の液体触媒を製造する方法であって、以下の手順に従う。まず、溶媒に硝酸銀を溶解させた硝酸銀溶液と、前記溶媒に酢酸ナトリウムを溶解させた酢酸ナトリウム溶液とを混合して酢酸銀を生成させる。次に、その混合溶液に第1のろ過を行って前記酢酸銀を除去する。次に、電磁波または粒子線を照射して硫化銀を含む銀化合物および銀を沈殿させる。次に、第2のろ過を行って前記銀化合物および銀を除去する。次に、窒素ガスを流入させて溶存酸素を除去する。最後に、酸化防止および長期保存性向上のためにアルデヒドまたはアンモニアを添加する。
【0009】
本願第2の発明の製造方法によれば、前記本願第1の発明の液体触媒を製造することができ、さらにその酸化を防止するので保存による性能劣化を低減できる。この液体触媒の製造方法は、油試料が石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールである場合に好適に用いられ、その場合、前記溶媒が、触媒用の、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであり、前記アルデヒドがホルムアルデヒド、アセトアルデヒドまたはベンズアルデヒドであることが好ましい。また、前記電磁波または粒子線としては、銀のL吸収端波長よりも長波長側でかつ硫黄の吸収端波長を含むX線を用いることができる。
【0010】
本願第3の発明は、前記本願第1の発明の液体触媒を製造するための装置であって、前記硫化銀を含む銀化合物および銀を沈殿させるために、前記混合溶液に前記電磁波または粒子線を照射する触媒精製用線源を備える。
【0011】
本願第3の発明の製造装置によれば、前記本願第1の発明の液体触媒を製造するにあたって、前記混合溶液に前記電磁波または粒子線を照射して前記硫化銀を含む銀化合物および銀を沈殿させることができる。ここで、触媒精製用線源を、銀のL吸収端波長よりも長波長側でかつ硫黄の吸収端波長を含むX線を照射する触媒精製用X線源とすることができる。
【0012】
本願第4の発明は、油試料に含まれる硫黄分を蛍光X線分析するために前記油試料を調製する方法であって、以下の手順に従う。まず、前記本願第1の発明の液体触媒に窒素ガスを流入させて溶存酸素を除去する。次に、その液体触媒を、試料ホルダに採取した前記油試料に添加して攪拌する。次に、その攪拌された溶液に電磁波または粒子線を照射して硫化銀を含む銀化合物および銀を沈殿させる。そしてさらに、アンモニアまたはアルデヒドを添加して硫化銀を含む硫黄化合物以外の銀化合物および銀を溶解させることにより、硫化銀を含む硫黄化合物を前記試料ホルダの底部の窓上に沈殿物として残す。
【0013】
本願第4の発明の調製法によれば、前記本願第1の発明によるSをほぼ完全に除去した液体触媒を用いて、油試料に含まれるSを抽出、沈降させて、濃縮するので、測定に十分な強度の蛍光X線が得られ、10ppb程度の極微量Sの分析ができる。この油試料の調製法は、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールである油試料に好適に用いられ、その場合、前記液体触媒における溶媒が、触媒用の、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであることが好ましい。また、前記電磁波または粒子線としては、銀のL吸収端波長よりも長波長側でかつ硫黄の吸収端波長を含むX線を用いることができる。
【0014】
本願第5の発明は、前記本願第4の発明の調製法を用いて油試料に含まれる硫黄分を分析するための蛍光X線分析装置であって、前記電磁波または粒子線を前記攪拌された溶液に上方から照射する前処理用線源と、1次X線を前記試料ホルダの底部の窓に下方から照射する分析用X線源とを備える。
【0015】
本願第5の発明の蛍光X線分析装置によれば、前記本願第4の発明にかかる調製(前処理)のための電磁波または粒子線の照射と、調製された油試料の分析のための1次X線の照射を、1台の装置で行うことができる。したがって、簡単な構成で、10ppb程度の極微量Sの分析ができる。この蛍光X線分析装置は、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールである油試料に好適に用いられ、その場合、前記液体触媒における溶媒が、触媒用の、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであることが好ましい。また、前記電磁波または粒子線としては、銀のL吸収端波長よりも長波長側でかつ硫黄の吸収端波長を含むX線や、硫黄の吸収端波長に単色化されたX線を用いることができる。
【0016】
本願第6の発明は、油試料に含まれる硫黄分を蛍光X線分析するために前記油試料を調製する方法であって、以下の手順に従う。まず、前記本願第1の発明の液体触媒に窒素ガスを流入させて溶存酸素を除去する。次に、その液体触媒を前記油試料に添加して攪拌する。次に、その攪拌された溶液に電磁波または粒子線を照射し、さらにろ過膜を用いてろ過して、硫化銀を含む銀化合物および銀を前記ろ過膜上に分離する。
【0017】
本願第6の発明の調製法によれば、前記本願第1の発明によるSをほぼ完全に除去した液体触媒を用いて、油試料に含まれるSを抽出、ろ過して、濃縮するので、測定に十分な強度の蛍光X線が得られるが、前記本願第4の発明の調製法とは異なり、硫黄化合物以外の沈殿物の再溶解を行わない。したがって、定量下限が15ppb程度になるものの、やはり極微量Sの分析ができ、しかも迅速、簡便に調製ができる。また、前記本願第4の発明の調製法とは異なり、油試料に含まれるSをろ過により濃縮するので、沈降するのを待つことなくいっそう迅速に調製ができ、さらに、油試料に含まれるSを試料ホルダの底部の窓上に沈殿させるのではなく、ろ過膜上に固体として分離して固着させるので、下面照射のみならず上面照射の蛍光X線分析装置を用いても分析することができる。この油試料の調製法も、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールである油試料に好適に用いられ、その場合、前記液体触媒における溶媒が、触媒用の、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであることが好ましい。また、前記電磁波または粒子線としては、銀のL吸収端波長よりも長波長側でかつ硫黄の吸収端波長を含むX線を用いることができる。
【0018】
本願第7の発明は、油試料に含まれる硫黄分を蛍光X線分析するために前記油試料を調製する方法であって、以下の手順に従う。まず、溶媒に硝酸銀を溶解させた硝酸銀溶液と、前記溶媒に酢酸ナトリウムを溶解させた酢酸ナトリウム溶液とを、試料ホルダに採取した前記油試料に液体触媒として添加して攪拌する。次に、その攪拌された溶液に電磁波または粒子線を照射して、硫化銀を含む銀化合物および銀を前記試料ホルダの底部の窓上に沈殿させる。
【0019】
本願第7の発明の調製法においても、油試料に含まれるSを抽出、沈降させて、濃縮するので、測定に十分な強度の蛍光X線が得られるが、前記本願第4の発明の調製法とは異なり、試薬に含まれるSの除去および硫黄化合物以外の沈殿物の再溶解を行わない。したがって、定量下限が30ppb程度になるものの、やはり極微量Sの分析ができ、しかも迅速、簡便に調製ができる。この油試料の調製法も、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールである油試料に好適に用いられ、その場合、前記液体触媒における溶媒が触媒用の炭素数1ないし8のアルコールであることが好ましい。また、前記電磁波または粒子線としては、銀のL吸収端波長よりも長波長側でかつ硫黄の吸収端波長を含むX線や、硫黄の吸収端波長に単色化されたX線を用いることができる。
【0020】
本願第8の発明は、油試料に含まれる硫黄分を蛍光X線分析するために前記油試料を調製する方法であって、以下の手順に従う。まず、溶媒に硝酸銀を溶解させた硝酸銀溶液と、前記溶媒に酢酸ナトリウムを溶解させた酢酸ナトリウム溶液とを、前記油試料に液体触媒として添加して攪拌する。次に、その攪拌された溶液に電磁波または粒子線を照射し、さらにろ過膜を用いてろ過して、硫化銀を含む銀化合物および銀を前記ろ過膜上に分離する。
【0021】
本願第8の発明の調製法においても、油試料に含まれるSを抽出、ろ過して、濃縮するので、測定に十分な強度の蛍光X線が得られるが、前記本願第7の発明の調製法と同様、試薬に含まれるSの除去および硫黄化合物以外の沈殿物の再溶解を行わない。したがって、定量下限が30ppb程度になるものの、やはり極微量Sの分析ができ、しかも迅速、簡便に調製ができる。また、前記本願第7の発明の調製法とは異なり、油試料に含まれるSをろ過により濃縮するので、沈降するのを待つことなくいっそう迅速に調製ができ、さらに、油試料に含まれるSを試料ホルダの底部の窓上に沈殿させるのではなく、ろ過膜上に固体として分離して固着させるので、下面照射のみならず上面照射の蛍光X線分析装置を用いても分析することができる。この油試料の調製法も、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールである油試料に好適に用いられ、その場合、前記液体触媒における溶媒が触媒用の炭素数1ないし8のアルコールであることが好ましい。また、前記電磁波または粒子線としては、銀のL吸収端波長よりも長波長側でかつ硫黄の吸収端波長を含むX線や、硫黄の吸収端波長に単色化されたX線を用いることができる。
【0022】
本願第9の発明は、油試料に含まれる硫黄分を分析するための蛍光X線分析方法であって、以下の手順に従う。まず、溶媒に硝酸銀を溶解させた硝酸銀溶液と、前記溶媒に酢酸ナトリウムを溶解させた酢酸ナトリウム溶液とを、試料ホルダに採取した前記油試料に液体触媒として添加して攪拌する。次に、前記試料ホルダの底部の窓に下方から1次X線を照射して、硫化銀を含む銀化合物および銀を前記窓上に沈殿させるとともに、発生する蛍光X線の強度を測定する。
【0023】
本願第9の発明の蛍光X線分析方法によれば、従来の下面照射の蛍光X線分析装置を用いて、前記本願第7の発明にかかる調製(前処理)のためのX線の照射と、調製された油試料の分析のための1次X線の照射を同時に行うことができる。したがって、迅速、簡単に30ppb程度の極微量Sの分析ができる。この蛍光X線分析方法は、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールである油試料に好適に用いられ、その場合、前記液体触媒における溶媒が触媒用の炭素数1ないし8のアルコールであることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態である油試料の調製法(前記本願第4の発明に対応する)について説明する。この調製法は、石油製品、半製品、炭素数1ないし8のアルコール等の油試料に含まれる硫黄分を蛍光X線分析するために前記油試料を調製する方法であって、液体触媒を用いる。この液体触媒は、前記本願第1の発明に対応する実施形態であり、溶媒に硝酸銀を溶解させた硝酸銀溶液と、前記溶媒に酢酸ナトリウムを溶解させた酢酸ナトリウム溶液との混合溶液から、酢酸銀と、電磁波または粒子線を照射して沈殿させた硫化銀を含む銀化合物および銀とをろ過により除去したものである。
【0025】
最初に、この液体触媒の製造について、図1A、図1Bのフローチャートにしたがって説明する。この製造方法は、前記本願第2の発明に対応する実施形態であり、まず、溶媒に硝酸銀を溶解させた硝酸銀溶液と、前記溶媒に酢酸ナトリウムを溶解させた酢酸ナトリウム溶液とを混合して酢酸銀を生成させる。油試料が石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールである場合には、溶媒が、触媒用の、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであることが好ましく、溶媒と油試料が同種であること、例えば石油製品である油試料に対しては同じ石油製品である溶媒を用いることがさらに好ましい。ここでは、入手の容易なイソプロパノールを溶媒として用い、硝酸銀2.1gを水1mlに溶解させたものを、イソプロパノールで全量を500mlにメスアップし(ステップ1による溶液A)、酢酸ナトリウム0.4gを水0.5mlに溶解させたものを、イソプロパノールで全量を500mlにメスアップし(ステップ2による溶液B)、溶液Aと溶液Bを常温で混合して、酢酸銀(白色の浮遊物)を生成させる(ステップ3)。
【0026】
なお、溶媒である触媒用アルコールとして、イソプロパノール等の市販のアルコールを用い、これには必ず水が含まれるが、その水分の量が少ないと硝酸銀や酢酸ナトリウムが溶解しにくいので、上述のように、いったん水に溶解させてからイソプロパノール等に溶解させるのが好ましい。
【0027】
次に、混合溶液に第1のろ過を行って前記酢酸銀を除去する。ここでは、0.45μmのミリポアフィルターでろ過する(ステップ4)。
【0028】
次に、電磁波または粒子線を照射して硫化銀を含む銀化合物および銀を沈殿させる。このとき電磁波または粒子線の照射に用いる装置が、前記本願第3の発明に対応する実施形態である。ここでは、試料に上方から1次X線を照射する、従来のいわゆる上面照射の蛍光X線分析装置を用いて、硫黄の吸収端波長(5.018Å)を含むX線を混合溶液15mlに上方から1時間照射した後静置し、硫化銀を含む銀化合物および銀を沈殿させる(ステップ5)。すなわち、Sに吸収されやすいX線を含む前記1次X線の照射により、前記不純物として含まれるSを反応させ、硫化銀を主とする銀化合物(無機、有機の両方)に変化させて沈殿させる。この際、他の不純物例えばClも塩化銀として沈殿するほか、酸化銀等の銀化合物(無機、有機の両方)および銀が沈殿するが、照射するX線を、銀のL吸収端波長(3.7Å)よりも長波長側でかつ硫黄の吸収端波長を含むX線とすると、酸化銀や銀の生成が抑制されるので、効率よく、硫黄を含む銀化合物(主として硫化銀)を沈殿させることができる。照射する電磁波または粒子線として、高強度のシンクロトロン放射光等を用いれば、短時間に処理できる。また、下方から照射すると、沈殿物が障害となって電磁波または粒子線が混合溶液内部に到達しにくくなり、反応が緩慢になるおそれがあるので、照射は、上方または側方からが好ましい。
【0029】
次に、第2のろ過を行って、黒色の沈殿物、すなわち前記沈殿した硫化銀を含む銀化合物および銀を除去する。ここでは、0.45μmのミリポアフィルターでろ過する(ステップ6)。これにより、前記不純物として含まれるSが硫黄を含む銀化合物(主として硫化銀)として除去されるとともに、前記塩化銀、酸化銀等の銀化合物および銀も除去される。
【0030】
次に、窒素ガスを流入させて溶存酸素を除去する。ここでは、20分間バブリングする(ステップ7)。最後に、酸化防止および長期保存性向上のためにアルデヒドまたはアンモニア(複数種類を併用してもよい)を添加する。溶媒として、触媒用の、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールを用いる場合には、酸化防止および長期保存性向上のためのアルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドまたはベンズアルデヒドであることが好ましい。ここでは、ベンズアルデヒド10mlを添加する(ステップ8)。ステップ7,8により、液体触媒(具体的には銀)の酸化が防止されるので、保存(ステップ9)による性能劣化を低減できる。なお、酸化反応をより抑制するために、冷暗所で保存することが好ましい。
【0031】
さて、本実施形態の油試料の調製法では、以上のようにして製造した液体触媒を用いて、図2のフローチャートのように以下の手順に従う。まず、液体触媒に窒素ガスを流入させて溶存酸素を除去する。これは、保存中に溶存した酸素によって後に酸化銀が生じるのを防ぐためである。ここでは、20分間バブリングする(ステップ1)。
【0032】
次に、その液体触媒を、液体試料ホルダ(以下、単に試料ホルダという)に採取した油試料に添加して攪拌する。ここでは、油試料5mlを試料ホルダに採取し(ステップ2)、液体触媒2mlを添加して攪拌する(ステップ3)。この試料ホルダ11は、図3に断面で示すように、円筒状で、上部および底部に脱着可能でX線透過性の窓(フィルム)13,12を有している。また、この試料ホルダ11は、前述した液体触媒製造の際の容器として用いることもできる。
【0033】
次に、その攪拌された溶液に電磁波または粒子線を照射して硫化銀を含む銀化合物および銀を沈殿させる。ここで、図3に示す蛍光X線分析装置を用いる。この装置は、前記本願第5の発明に対応する実施形態であって、前記電磁波または粒子線として硫黄の吸収端波長に単色化されたX線4を前記攪拌された溶液15,16に上方から照射する前処理用X線源1と、1次X線6を前記試料ホルダ11の底部の窓12に下方から照射するX線管等の分析用X線源5と、調製された油試料から発生する蛍光X線7を検出する検出手段8とを備える。
【0034】
前処理用X線源1は、硫黄の吸収端波長を含むX線を発生するX線管2と、そのX線管2から発生したX線を分光して、硫黄の吸収端波長に単色化されたX線4を発生する分光素子3とを有する。単色化は、分光素子によらず、ターゲット材にX線管からのX線を照射して蛍光X線を発生させる2次ターゲット方式によってもよい。K、Ca、Ru、Rh等を含む2次ターゲット材が望ましい。検出手段8は、蛍光X線7からSの蛍光X線を分光する分光素子9と、その分光されたSの蛍光X線の強度を測定する検出器10とを有する。試料ホルダ11は、その底部の窓12に対応した孔を有する試料台14の上に載置される。
【0035】
この装置を用いて、攪拌された溶液15,16に電磁波または粒子線4を照射して硫化銀を含む銀化合物および銀を沈殿させる。ここでは、硫黄の吸収端波長に単色化されたX線4を攪拌された溶液15,16に上方から30分照射する(図2のステップ4)。すなわち、Sに吸収されやすいX線4の照射により、油試料16に含まれるSを反応させ、硫化銀を主とする銀化合物(無機、有機の両方)に変化させて沈殿させる。
【0036】
この際、他に油試料16に含まれる例えばClも塩化銀として沈殿するほか、酸化銀等の銀化合物(無機、有機の両方)および銀が沈殿する。このように、硫黄を含まない銀化合物および銀が沈殿したままであると、分析時に散乱線を発生したり、Sの蛍光X線を吸収したりして、微量Sの正確な分析の妨げとなるので、次述の手順で溶解させるが、その溶解を短時間で行うためには、沈殿は少ない方が好ましい。そのために、ここでは、特にSを効率的に反応させるべく、硫黄の吸収端波長に単色化されたX線4を照射する。次善策として、単色化されていなくても、銀のL吸収端波長よりも長波長側でかつ硫黄の吸収端波長を含むX線を照射してもよい。また、前述したように、下方から照射すると、沈殿物が障害となって電磁波または粒子線が溶液15,16内部に到達しにくくなり、反応が緩慢になるおそれがあるので、照射は、上方または側方からが好ましく、ここでは上方から照射する。
【0037】
ただし、例えば、試料に下方から1次X線を照射する、従来のいわゆる下面照射の蛍光X線分析装置(図3において、前処理用X線源1を取り去った装置)を用いて、この油試料の調製と後の分析を簡便に行うこともできる。この場合には、分析用X線源5を前処理用X線源1として兼用し、硫黄の吸収端波長を含むX線である1次X線6を溶液15,16に下方から照射して、硫化銀を含む銀化合物および銀を沈殿させる。
【0038】
次に、さらに、アンモニアまたはアルデヒド(複数種類を併用してもよい)17を添加して硫化銀を含む硫黄化合物以外の銀化合物および銀を溶解させることにより、硫化銀を含む硫黄化合物18を試料ホルダ11の底部の窓12上に沈殿物として残す。ここでは、ベンズアルデヒド17を添加して20時間程度恒温(30℃)状態で静置することにより、適度の対流を起こして硫化銀を含む硫黄化合物以外の沈殿物を溶解させる。静置に20時間程度を要するのは、硫黄を含まない銀化合物および銀が多く沈殿した場合であって、硫黄の吸収端波長に単色化されたX線4を照射した場合のように、硫黄を含まない銀化合物および銀が少ない場合には、もっと短時間でよい。これにより、硫化銀を主として含む硫黄化合物18を試料ホルダ11の底部の窓12上に沈殿物として残す(図2のステップ5)。この状態の硫化銀を主として含む硫黄化合物18を蛍光X線分析用の試料とする。
【0039】
すなわち、ステップ4で用いた、図3の蛍光X線分析装置または従来の下面照射の蛍光X線分析装置を続けて用いて、試料ホルダ11の底部の窓12に向けて下方から1次X線6を照射し、沈殿物として残った硫化銀を含む硫黄化合物18から発生するSの蛍光X線7の強度を測定する。このようにすれば、調製(前処理)のための電磁波または粒子線(ここでは、硫黄の吸収端波長に単色化されたX線4、または硫黄の吸収端波長を含むX線6)の照射と、調製された油試料の分析のための1次X線6の照射を、1台の装置で行うことができる。
【0040】
図4は、液体触媒の製造に従来の上面照射の蛍光X線分析装置を用い、油試料の調製と分析に従来の下面照射の蛍光X線分析装置を用いて、本実施形態の調製法でSの標準値がそれぞれ0,25,50,75,100ppbである5種の標準油試料を調製し、S濃度を分析することにより、作成した検量線である。Sが数10ppbレベルの極微量であるにもかかわらず、きわめて直線性の高い検量線が作成できる。そして、DBDS(C49―S―S―C49)をイソプロピルアルコールで希釈してS濃度を50ppbに調製したものを油試料として用意し、標準油試料と同様に本実施形態の調製法で調製したものを試料ホルダ10個分(n=1〜10)作製し、前記検量線を適用してS濃度を分析した結果を表1に示す。これによれば、σ値が5.15、CV値が9.6と、Sが50ppb(0.05ppm)レベルの極微量であるにもかかわらず、十分な繰り返し精度が得られることが分かる。
【0041】
【表1】
Figure 0003695651
【0042】
以上のように、第1実施形態の油試料の調製法によれば、Sをほぼ完全に除去した液体触媒15を用いて、油試料16に含まれるSを、硫化銀を含む硫黄化合物18として抽出、沈降させて、濃縮するので、10ppb程度の極微量Sの分析ができる。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態である油試料の調製法(前記本願第6の発明に対応する)について説明する。この油試料の調製法は、前記第1実施形態の油試料の調製法(前記本願第4の発明に対応する)と比較すると、容器に採取した油試料に液体触媒を添加して攪拌し、電磁波または粒子線としてX線を照射するところまでは同じである。ただし、油試料を採取する容器は、液体触媒を添加して攪拌し、X線が照射できれば足り、蛍光X線分析用の液体試料容器(図3の試料ホルダ11)である必要はない。また、攪拌された溶液に照射するX線として、ここでは、従来のいわゆる上面照射の蛍光X線分析装置が1次X線として上方から照射する、硫黄の吸収端波長(5.018Å)を含むX線を用いる。
【0044】
そして、以下のように、X線を照射した溶液をろ過膜を用いて吸引ろ過して、硫化銀を含む銀化合物および銀をろ過膜上に分離する。まず、図7のように、フラスコ(ブフナーフラスコ)21にゴム栓22およびガラス摺り合わせを介して漏斗23をシールして取り付け、漏斗23の注入口に、メッシュ部材24を介して試料調製用ホルダ25を載置する。漏斗23、メッシュ部材24、試料調製用ホルダ25の各間も、ゴム部材によりシールする。
【0045】
試料調製用ホルダ25には、高分子多孔質膜、ミリポアフィルター、ろ紙またはろ布であるろ過膜26が張ってある。後述するように分離した物とともに1次X線が照射されるろ過膜26としては、分析対象であるSを含まないことから、ポロエチレンまたはポリプロピレンの二軸延伸高分子多孔質膜が好ましく、ここではそれを用いる。ただし、蛍光X線分析においては0.06mmよりも深い位置のSは検出しないのに対し、ろ過により分離される物の厚みが0.06mmよりも厚くなるように油試料の量を増やすことは容易なので、Sを含む高分子多孔質膜、ミリポアフィルター、ろ紙またはろ布についても、含有するSが分析に影響しないように、つまり油試料の量を調整して分離物の厚みが0.06mmよりも厚くなるようにすることにより、ろ過膜26として用いることができる。
【0046】
そして、前記X線を照射した溶液28をろ過膜26に注ぐとともに、フラスコ21の吸引口21aから、例えば蛍光X線分析装置付属の真空ポンプおよびアスピレーターで排気して、吸引ろ過を行う。この吸引ろ過により、図8のように、ろ過膜26上に硫化銀を含む銀化合物および銀27が分離される。すなわち、試料調製用ホルダ25のろ過膜26上に、油試料に含まれるSが分離物の一部として濃縮され塗布された状態になるので、この試料調製用ホルダ25に下方からベース部材38を取り付けてろ過膜26および分離物27を持ち上げ、試料測定用ホルダ29とする。この試料測定用ホルダ29を上面照射の蛍光X線分析装置の試料台に載置すれば、上方から分離物27に1次X線6を照射して発生する蛍光X線7の強度を測定することができる。なお、分離物27はろ過膜26に固着するので、試料測定用ホルダ29を下向きにしてもはがれ落ちることはなく、下面照射の蛍光X線分析装置で分析することもできる。
【0047】
第2実施形態である油試料の調製法において、ろ過は、加圧ろ過によってもよい。例えば、図9のように、シリンジ(注射器)32に前記X線を照射した溶液28を吸引し、シリンジ32の先に、ろ過膜26を組み込んだろ過カートリッジ33を取り付け、シリンジ32内の溶液28を押し出すことにより加圧ろ過する。ろ過膜26は、吸引ろ過の場合と同様のものを用いることができる。加圧ろ過の結果、図10のように、ろ過膜26上に硫化銀を含む銀化合物および銀27が分離される。すなわち、ろ過カートリッジ33のろ過膜26上に、油試料に含まれるSが分離物の一部として濃縮され塗布された状態になるので、このろ過カートリッジ33を分解してろ過膜26を取り出し、図11のように、通常の固体試料に用いられる試料ホルダ(以下、固体試料ホルダという)34に組み込んで、上面照射の蛍光X線分析装置の試料台に載置すれば、上方から分離物27に1次X線6を照射して発生する蛍光X線7の強度を測定することができる。また、吸引ろ過の場合と同様に、固体試料ホルダ34を下向きにして、下面照射の蛍光X線分析装置で分析することもできる。さらに、ろ過は、要する時間は長くなるが、同様のろ過膜26を用いて、簡便に常圧ろ過によってもよい。
【0048】
以上のように、第2実施形態の油試料の調製法によれば、前記第1実施形態で用いたのと同じSをほぼ完全に除去した液体触媒を用いて、油試料に含まれるSを抽出、ろ過して、濃縮するので、測定に十分な強度の蛍光X線が得られるが、前記第1実施形態の調製法とは異なり、硫黄化合物以外の沈殿物の再溶解を行わない。したがって、定量下限が15ppb程度になるものの、やはり極微量Sの分析ができ、しかも迅速、簡便に調製ができる。また、前記第1実施形態の調製法とは異なり、油試料に含まれるSをろ過により濃縮するので、沈降するのを待つことなくいっそう迅速に調製ができ、さらに、油試料に含まれるSを試料ホルダ(液体試料ホルダ)の底部の窓上に(溶液の下方に)沈殿させるのではなく、ろ過膜上に固体として分離して固着させるので、下面照射のみならず上面照射の蛍光X線分析装置を用いても分析することができる。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態である蛍光X線分析方法(前記本願第9の発明に対応する)について、図5のフローチャートにしたがって説明する。この蛍光X線分析方法は、前記本願第7の発明に対応する油試料の調製法の実施形態を含む。この蛍光X線分析方法では、まず、溶媒に硝酸銀を溶解させた硝酸銀溶液と、前記溶媒に酢酸ナトリウムを溶解させた酢酸ナトリウム溶液とを、試料ホルダに採取した前記油試料に液体触媒として添加して攪拌する。油試料が石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールである場合には、前記液体触媒における溶媒が触媒用の炭素数1ないし8のアルコールであることが好ましい。ここでは、入手の容易なイソプロパノール(イソプロピルアルコール)を溶媒として用いる。
【0050】
すなわち、蛍光X線分析(XRF)用の液体試料容器(図3の試料ホルダ11)に油試料2mlを採取し(ステップ1)、酢酸ナトリウムを水に溶解させイソプロパノールで希釈した酢酸ナトリウム溶液2mlを液体触媒(試薬A液)として添加し(ステップ2)、硝酸銀を水に溶解させイソプロパノールで希釈した硝酸銀溶液2mlを液体触媒(試薬B液)として添加し(ステップ3)、攪拌して、浮遊する酢酸銀を生成させる(ステップ4)。なお、酢酸ナトリウムや硝酸銀をいったん水に溶解させるのは、前述したのと同じ理由による。
【0051】
次に、試料ホルダの底部の窓に下方から1次X線を照射して、硫化銀を含む銀化合物および銀を前記窓上に沈殿させるとともに、発生する蛍光X線の強度を測定する。ここで、試料に下方から1次X線を照射する、従来のいわゆる下面照射の蛍光X線分析装置(図3において、前処理用X線源1を取り去った装置)を用いる。すなわち、分析用X線源5を前処理用X線源として兼用し、硫黄の吸収端波長を含むX線である1次X線6を試料ホルダ11の底部の窓12に下方から照射して、硫化銀を含む銀化合物および銀を窓12上に沈殿させるともに(ステップ5)、沈殿物から発生するSの蛍光X線7の強度を測定する(ステップ6)。
【0052】
なお、いつの時点での蛍光X線7の強度を採用するかについては、沈殿させながら測定して、強度が飽和した時点すなわち沈殿しつくした時点での測定強度を採用する方法や、より迅速に、1次X線照射開始から所定の例えば2分後の測定強度を採用する方法がある。いずれの方法についても、標準試料を測定して検量線を作成する段階から一貫して行う。
【0053】
図6は、第3実施形態の蛍光X線分析方法により、Sの標準値がそれぞれ0,10,25,50,100ppbである5種の標準油試料を調製し、S濃度を分析することにより、作成した検量線である。Sが数10ppbレベルの極微量であるにもかかわらず、かなり直線性の高い検量線が作成できる。そして、灯油をイソプロピルアルコールで希釈してS濃度を30ppbに調製したものを油試料として用意し、標準油試料と同様に第3実施形態の蛍光X線分析方法により、調製(前処理)したものを試料ホルダ10個分(n=1〜10)作製し、前記検量線を適用してS濃度を分析した結果を表2に示す。これによれば、σ値が9.83、CV値が27.9と、Sが30ppb(0.03ppm)レベルの極微量であるにもかかわらず、良い繰り返し精度が得られることが分かる。
【0054】
【表2】
Figure 0003695651
【0055】
以上のように、第3実施形態の蛍光X線分析方法においても、油試料に含まれるSを抽出、沈降させて、濃縮するので、測定に十分な強度の蛍光X線が得られるが、前記第1実施形態の調製法とは異なり、試薬に含まれるSの除去および硫黄化合物以外の沈殿物の再溶解を行わない。また、従来の下面照射の蛍光X線分析装置を用いて、調製(前処理)のためのX線の照射と、調製された油試料の分析のための1次X線の照射を同時に行うことができる。したがって、迅速、簡単に30ppb程度の極微量Sの分析ができる。
【0056】
次に、本発明の第4実施形態である油試料の調製法(前記本願第8の発明に対応する)について説明する。この油試料の調製法は、前記第3実施形態の蛍光X線分析方法に含まれた前記本願第7の発明に対応する油試料の調製法の実施形態と比較すると、容器に採取した油試料に液体触媒を添加して攪拌し、電磁波または粒子線としてX線を照射するところまでは同じである。ただし、調製(前処理)のためのX線の照射を、調製された油試料の分析のための1次X線の照射と同時に行うことはしないので、油試料を採取する容器は、蛍光X線分析用の液体試料容器(図3の試料ホルダ11)である必要はない。また、攪拌された溶液に照射するX線として、ここでは、従来のいわゆる上面照射の蛍光X線分析装置が1次X線として上方から照射する、硫黄の吸収端波長(5.018Å)を含むX線を用いる。そして、前記第2実施形態の調製法と同様に、X線を照射した溶液をろ過膜を用いて吸引、加圧または常圧ろ過して、硫化銀を含む銀化合物および銀をろ過膜上に分離する。
【0057】
第4実施形態の油試料の調製法においても、油試料に含まれるSを抽出、ろ過して、濃縮するので、測定に十分な強度の蛍光X線が得られるが、前記第3実施形態の蛍光X線分析方法と同様、試薬に含まれるSの除去および硫黄化合物以外の沈殿物の再溶解を行わない。また、油試料に含まれるSをろ過により濃縮するので、沈降するのを待つ必要がない。したがって、やはり、迅速、簡単に30ppb程度の極微量Sの分析ができる。さらに、油試料に含まれるSを試料ホルダ(液体試料ホルダ)の底部の窓上に(溶液の下方に)沈殿させるのではなく、ろ過膜上に固体として分離して固着させるので、下面照射のみならず上面照射の蛍光X線分析装置を用いても分析することができる。
【0058】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の油試料の調製法等によれば、油試料に含まれるSを沈降またはろ過により濃縮して10〜30ppb程度の定量下限で蛍光X線分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1A】本発明の第1実施形態である蛍光X線分析用の油試料の調製法に用いる液体触媒の製造方法の前半を示すフローチャートである。
【図1B】同製造方法の後半を示すフローチャートである。
【図2】本発明の第1実施形態である蛍光X線分析用の油試料の調製法を示すフローチャートである。
【図3】同調製法を用いて油試料に含まれる硫黄分を分析するための蛍光X線分析装置の一例を示す概略図である。
【図4】同調製法を用いて作成した検量線の一例である。
【図5】本発明の第3実施形態である蛍光X線分析方法を示すフローチャートである。
【図6】同分析方法を用いて作成した検量線の一例である。
【図7】本発明の第2、第4実施形態である蛍光X線分析用の油試料の調製法において、吸引ろ過する様子を示す概略断面図である。
【図8】同調製法の吸引ろ過によるろ過膜上の分離物を、蛍光X線分析する様子を示す概略断面図である。
【図9】同調製法において、吸引ろ過に代えて加圧ろ過する様子を示す概略断面図である。
【図10】同調製法の加圧ろ過によるろ過膜上の分離物を示す概略断面図である。
【図11】同調製法の加圧ろ過によるろ過膜上の分離物を、蛍光X線分析する様子を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…前処理用線源、4…電磁波または粒子線、5…分析用X線源、6…1次X線、11…試料ホルダ、12…試料ホルダの底部の窓、15…液体触媒、16…油試料、17…アンモニアまたはアルデヒド、18…硫化銀を含む硫黄化合物、26…ろ過膜。

Claims (17)

  1. 油試料に含まれる硫黄分を蛍光X線分析するために前記油試料を調製する方法に用いる液体触媒であって、
    溶媒に硝酸銀を溶解させた硝酸銀溶液と、前記溶媒に酢酸ナトリウムを溶解させた酢酸ナトリウム溶液との混合溶液から、酢酸銀と、電磁波または粒子線を照射して沈殿させた硫化銀を含む銀化合物および銀とをろ過により除去した液体触媒。
  2. 請求項1において、
    前記油試料が石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであり、
    前記溶媒が、触媒用の、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールである液体触媒。
  3. 請求項1に記載の液体触媒を製造する方法であって、
    溶媒に硝酸銀を溶解させた硝酸銀溶液と、前記溶媒に酢酸ナトリウムを溶解させた酢酸ナトリウム溶液とを混合して酢酸銀を生成させ、
    その混合溶液に第1のろ過を行って前記酢酸銀を除去し、
    電磁波または粒子線を照射して硫化銀を含む銀化合物および銀を沈殿させ、
    第2のろ過を行って前記銀化合物および銀を除去し、
    窒素ガスを流入させて溶存酸素を除去し、
    酸化防止および長期保存性向上のためにアルデヒドまたはアンモニアを添加する液体触媒の製造方法。
  4. 請求項3において、
    前記油試料が石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであり、
    前記溶媒が、触媒用の、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであり、
    前記電磁波または粒子線が、銀のL吸収端波長よりも長波長側でかつ硫黄の吸収端波長を含むX線であり、
    前記アルデヒドがホルムアルデヒド、アセトアルデヒドまたはベンズアルデヒドである液体触媒の製造方法。
  5. 油試料に含まれる硫黄分を蛍光X線分析するために前記油試料を調製する方法であって、
    請求項1に記載の液体触媒に窒素ガスを流入させて溶存酸素を除去し、
    その液体触媒を、試料ホルダに採取した前記油試料に添加して攪拌し、
    その攪拌された溶液に電磁波または粒子線を照射して硫化銀を含む銀化合物および銀を沈殿させ、
    さらに、アンモニアまたはアルデヒドを添加して硫化銀を含む硫黄化合物以外の銀化合物および銀を溶解させることにより、硫化銀を含む硫黄化合物を前記試料ホルダの底部の窓上に沈殿物として残す油試料の調製法。
  6. 請求項において、
    前記油試料が石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであり、
    前記液体触媒における溶媒が、触媒用の、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであり、
    前記攪拌された溶液に照射する電磁波または粒子線が、銀のL吸収端波長よりも長波長側でかつ硫黄の吸収端波長を含むX線である油試料の調製法。
  7. 請求項に記載の調製法を用いて油試料に含まれる硫黄分を分析するための蛍光X線分析装置であって、
    前記電磁波または粒子線を前記攪拌された溶液に上方から照射する前処理用線源と、
    1次X線を前記試料ホルダの底部の窓に下方から照射する分析用X線源とを備えた蛍光X線分析装置。
  8. 請求項に記載の調製法を用いて油試料に含まれる硫黄分を分析するための蛍光X線分析装置であって、
    前記銀のL吸収端波長よりも長波長側でかつ硫黄の吸収端波長を含むX線を前記攪拌された溶液に上方から照射する前処理用X線源と、
    1次X線を前記試料ホルダの底部の窓に下方から照射する分析用X線源とを備えた蛍光X線分析装置。
  9. 請求項において、
    前記前処理用X線源の照射するX線が、硫黄の吸収端波長に単色化されたX線である蛍光X線分析装置。
  10. 油試料に含まれる硫黄分を蛍光X線分析するために前記油試料を調製する方法であって、
    請求項1に記載の液体触媒に窒素ガスを流入させて溶存酸素を除去し、
    その液体触媒を前記油試料に添加して攪拌し、
    その攪拌された溶液に電磁波または粒子線を照射し、さらにろ過膜を用いてろ過して、硫化銀を含む銀化合物および銀を前記ろ過膜上に分離する油試料の調製法。
  11. 請求項10において、
    前記油試料が石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであり、
    前記液体触媒における溶媒が、触媒用の、石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであり、
    前記攪拌された溶液に照射する電磁波または粒子線が、銀のL吸収端波長よりも長波長側でかつ硫黄の吸収端波長を含むX線である油試料の調製法。
  12. 油試料に含まれる硫黄分を蛍光X線分析するために前記油試料を調製する方法であって、
    溶媒に硝酸銀を溶解させた硝酸銀溶液と、前記溶媒に酢酸ナトリウムを溶解させた酢酸ナトリウム溶液とを、試料ホルダに採取した前記油試料に液体触媒として添加して攪拌し、
    その攪拌された溶液に電磁波または粒子線を照射して、硫化銀を含む銀化合物および銀を前記試料ホルダの底部の窓上に沈殿させる油試料の調製法。
  13. 油試料に含まれる硫黄分を蛍光X線分析するために前記油試料を調製する方法であって、
    溶媒に硝酸銀を溶解させた硝酸銀溶液と、前記溶媒に酢酸ナトリウムを溶解させた酢酸ナトリウム溶液とを、前記油試料に液体触媒として添加して攪拌し、
    その攪拌された溶液に電磁波または粒子線を照射し、さらにろ過膜を用いてろ過して、硫化銀を含む銀化合物および銀を前記ろ過膜上に分離する油試料の調製法。
  14. 請求項12または13において、
    前記油試料が石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであり、
    前記溶媒が触媒用の炭素数1ないし8のアルコールであり、
    前記攪拌された溶液に照射する電磁波または粒子線が、銀のL吸収端波長よりも長波長側でかつ硫黄の吸収端波長を含むX線である油試料の調製法。
  15. 請求項14において、
    前記攪拌された溶液に照射するX線が、硫黄の吸収端波長に単色化されたX線である油試料の調製法。
  16. 油試料に含まれる硫黄分を分析するための蛍光X線分析方法であって、
    溶媒に硝酸銀を溶解させた硝酸銀溶液と、前記溶媒に酢酸ナトリウムを溶解させた酢酸ナトリウム溶液とを、試料ホルダに採取した前記油試料に液体触媒として添加して攪拌し、
    前記試料ホルダの底部の窓に下方から1次X線を照射して、硫化銀を含む銀化合物および銀を前記窓上に沈殿させるとともに、発生する蛍光X線の強度を測定する蛍光X線分析方法。
  17. 請求項16において、
    前記油試料が石油製品もしくはその原料となる石油半製品または炭素数1ないし8のアルコールであり、
    前記溶媒が触媒用の炭素数1ないし8のアルコールである蛍光X線分析方法。
JP2002064860A 2001-03-30 2002-03-11 蛍光x線分析用の油試料の調製 Expired - Lifetime JP3695651B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002064860A JP3695651B2 (ja) 2001-03-30 2002-03-11 蛍光x線分析用の油試料の調製
US10/099,953 US20020176536A1 (en) 2001-03-30 2002-03-19 Preparation of an oil sample fox X-ray fluorescence analysis

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001098779 2001-03-30
JP2001-98779 2001-03-30
JP2001-129757 2001-04-26
JP2001129757 2001-04-26
JP2002-16862 2002-01-25
JP2002016862 2002-01-25
JP2002064860A JP3695651B2 (ja) 2001-03-30 2002-03-11 蛍光x線分析用の油試料の調製

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003284957A JP2003284957A (ja) 2003-10-07
JP3695651B2 true JP3695651B2 (ja) 2005-09-14

Family

ID=27482162

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002064860A Expired - Lifetime JP3695651B2 (ja) 2001-03-30 2002-03-11 蛍光x線分析用の油試料の調製

Country Status (2)

Country Link
US (1) US20020176536A1 (ja)
JP (1) JP3695651B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9164047B2 (en) * 2010-10-08 2015-10-20 Bruker Axs Gmbh Apparatus and method for supporting a liquid sample for measuring scattering of electromagnetic radiation
CN102128849B (zh) * 2010-12-03 2013-03-13 浙江大学 X射线荧光光谱仪在线采样装置及在线采样方法
JP6517002B2 (ja) * 2014-11-07 2019-05-22 三菱重工業株式会社 廃液中における金属酸化物の検出装置及び方法
FR3052259B1 (fr) * 2016-06-02 2023-08-25 Avenisense Capteur, procede de calibration d'un capteur et methode automatisee de suivi en ligne de l'evolution d'un corps liquide
RU2623194C1 (ru) * 2016-06-28 2017-06-22 Федеральное государственное бюджетное образовательное высшего образования "Российский химико-технологический университет имени Д. И. Менделеева" (РХТУ им. Д. И. Менделеева) Способ рентгенофлуоресцентного определения микроэлементов с концентрированием методом соосаждения
SE540371C2 (en) * 2017-02-06 2018-08-21 Orexplore Ab A sample holder for holding a drill core sample or drill cuttings, an apparatus and system comprising the holder

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4577338A (en) * 1982-11-01 1986-03-18 Xertex Corporation X-Ray fluorescence spectrometer and method of calibrating the same
JPH0843329A (ja) * 1994-07-30 1996-02-16 Horiba Ltd 蛍光x線分析方法
JPH08136480A (ja) * 1994-11-11 1996-05-31 Dkk Corp 油中硫黄分測定装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20020176536A1 (en) 2002-11-28
JP2003284957A (ja) 2003-10-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106905538B (zh) 一种含锌金属有机框架材料及其制备方法和应用
Fontàs et al. Novel and selective procedure for Cr (VI) determination by X-ray fluorescence analysis after membrane concentration
CN1731156A (zh) 食品中甲醛的快速检测方法
JP3695651B2 (ja) 蛍光x線分析用の油試料の調製
Naeemullah et al. Cloud point extraction and flame atomic absorption spectrometric determination of cadmium and nickel in drinking and wastewater samples
Yuan et al. Determination of cadmium at the nanogram per liter level in seawater by graphite furnace AAS using cloud point extraction
CN110887803B (zh) 一种测定含钨铌钢中磷含量的方法
CN108398411A (zh) 一种基于荧光共振能量转移检测烟碱的方法
JP2006234752A (ja) 金属材料中アルミニウムの定量方法および装置
JP5670438B2 (ja) 塩化物検出用クロム不含指示デバイス
CN106483157A (zh) 一种脱硫液中总氯的测定法
CN109053711A (zh) 一种用于汞离子检测的探针化合物及其制备方法和应用
CN109444065A (zh) 副产浓盐酸中酚含量的测定方法
Langmyhr et al. Atomic-absorption spectrometric determination of copper, lead, cadmium and manganese in pulp and paper by the direct-atomization technique
CN108956582A (zh) 一种高铜废水中磷含量的发射光谱测定方法
López-García et al. Solid-phase dispersive microextraction using reduced graphene oxide for the sensitive determination of cadmium and lead in waters
RU2327157C1 (ru) Индикаторное средство для определения ферроцена в бензине
CN109900673B (zh) 提高生物质焦油重金属元素检测灵敏度的方法
CN111551533A (zh) 表面增强基底及其制备方法和绝缘油中甲醇的检测方法
CN110609023B (zh) 一种多巴胺修饰的氧化钼量子点的制备方法及其在痕量铀检测中的应用
JP2024057689A (ja) セレン評価方法
RU2760002C2 (ru) Способ определения массовой концентрации железа общего в попутных водах и водах нефтегазоконденсатных месторождений рентгенофлуоресцентным методом
AU2020100714A4 (en) Device and method for detecting a substance contained in a sample
CN113640084B (zh) 一种农田土壤微塑料的检测方法
JPH0712690A (ja) 赤外分光分析に用いるサンプル捕集方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050330

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050621

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050623

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080708

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090708

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090708

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090708

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100708

Year of fee payment: 5