JP3695647B2 - 船外機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶をプロペラにより推進する船外機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の船外機として、船体の船尾板に取り付けられる船外機が一般によく知られている。船外機はエンジンを搭載しており、その出力軸に直結されたプロペラ軸を駆動することによりプロペラを旋回させて推進力を得るものである。こうした船外機はエンジン直結型であることから、その最低速度つまりプロペラ軸の回転速度はエンジンのアイドル回転により一義的に決まっており、それ以下の速度に変更することはできない。このため、トローリングや離着岸時に適した極低速度で航行できる船外機の開発が望まれていた。
【0003】
こうした船外機の要求に対して、例えばプロペラ軸の端部に装着されるプロペラそのもので減速を行なえるようにプロペラのピッチを可変にしておき、プロペラ軸の回転速度はそのままでも推進力を可変にすることで、従来より遅い航行速度を実現したものが提案されている。また、特開昭62−191298号公報にはエンジンの出力軸と駆動軸の間に変速機を設け、この変速機によりエンジンの出力を高速、低速の2段階に切り替える船外機が示されている。変速機を高速側にセットすれば、プロペラ軸は高速度で回転して船体の高速航行が可能となり、また、低速側にセットすれば、プロペラ軸は比較的低速で回転して船体の極低速航行が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者においてはプロペラ軸に装着されるプロペラが限定されてしまい汎用性に欠けるという問題があった。また、後者においては減速比の設定は固定であり、しかもエンジンのアイドル回転から一気に極低速回転に切り替わってしまうことによるショックが発生していた。
【0005】
そこで、本発明は船体の航行を極低速域で長時間、連続的に行えるとともに高速域から極低速域にまで滑らかに移行できる船外機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の船外機は、船体の外側に取り付けられる船外機であって、船舶を推進するためのプロペラが取り付けられたプロペラ軸と、粘性流体を介して駆動軸の動力を前記プロペラ軸が連結された従動軸に伝達する流体継手と、機関の出力軸の動力を前記流体継手の駆動軸に伝達する伝達装置とを備え、前記伝達装置は、前記機関の出力軸側の垂直軸に設けられたかさ歯車と、このかさ歯車と歯合し、水平軸上で互いに反転する一対のかさ歯車とを備え、前記一対のかさ歯車のいずれか一方を前記流体継手の駆動軸に選択的に係合し、前記船舶の航行方向に前記伝達装置、前記流体継手および前記プロペラ軸を順にギヤケース内に設け、前記船舶が航行する際、前記ギヤケースが水中に没するようにするとともに、前記機関を前記ギヤケース上方の水中に没しないエンジンカバーに収納したことを特徴とする。
【0007】
本発明の船外機は、機関の出力軸から伝達装置を介して流体継手の駆動軸に動力を伝達し、さらに、流体継手の駆動軸から粘性流体を介して従動軸に動力を伝達し、この従動軸に連結されたプロペラ軸に取り付けられたプロペラにより船舶を推進する。
【0008】
これにより、船体の航行を高速域から極低速域に滑らかに移行できる。また、特別の冷却装置を設けなくとも流体継手を冷却することができ、放熱効果を向上できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の船外機の実施の形態を図面に基づいて説明する
【0010】
[第1の実施形態]
図1は第1の実施形態の船外機の構造を示す断面図である。船外機10はエンジンカバー13、エクステンションケース20およびギヤケース30から本体10aを構成し、エクステンションケース20にはエンジンカバー13の内側に収納されたエンジンの出力軸14に直結された垂直駆動軸15およびウォータポンプ83を収納する。また、砲弾形のギヤケース30には伝達軸としての垂直駆動軸15から水平駆動軸23に動力を伝達する伝達装置18、水平駆動軸23または分割された一方のプロペラ軸25に連結されたビスカスカップリング35、およびプロペラ39が取り付けられたプロペラ軸25が収納されている。エクステンションケース20は前部にスターンブラケット16を備えており、このスターンブラケット16を船尾板に固定することによって船外機10は船体に取り付けられる。
【0011】
図2はギヤケース30に収納された伝達装置18の構成を示す断面図である。伝達装置18は垂直駆動軸15の先端に嵌合されたかさ歯車17、このかさ歯車17と歯合するかさ歯車21a、21b、かさ歯車21a、21bを回転自在に支持する水平駆動軸23、水平駆動軸23の外側面に設けられたスプラインに沿って軸方向に摺動自在なクラッチシフタ38を備える。
【0012】
クラッチシフタ38の外周には環状の溝38cが形成されており、この溝38cにはレバー41が係合している。レバー41が軸41cを中心に揺動することによってクラッチシフタ38が軸方向に移動し、かさ歯車21a、21bと選択的に係合する。このレバー41はリンク機構42等を介してシフトロッド46に連結されており、このシフトロッド46はエクステンションケース20の外部に設けられた操作レバー(図示せず)に接続される。したがって、エクステンションケース20の外部からの操作により、クラッチシフタ38を軸方向に移動することができる。また、水平駆動軸23はビスカスカップリング35の入力軸としての駆動軸52に連結されており、その従動軸としてのカップリングケース58は分割された他方のプロペラ軸25に連結されている。図3はビスカスカップリング35の構造を示す断面図である。ビスカスカップリング35の駆動軸52は水平駆動軸23の先端部23aが例えばスプラインに嵌合されたチェンバーを形成するシリンダ52aを有している。このシリンダ52aの外周には軸受56、57が設けられており、従動側のカップリングケース58に回転自在に支持されている。従動軸としてのカップリングケース58の内側には溝58cが形成されており、この溝58cにはその底部から突起した多数のケースプレート58aが一定の間隔に設けられている。また、シリンダ52aの外周にも前記各ケースプレート58aと間隙を介して対向するハブプレート52bが一定の間隔に形成されている。さらに、シリンダ52aの側面には孔52cが形成されており、この孔52cを通じてシリンダ52aの内部は溝58cと連通する。また、シリンダ52aにはピストン59が摺動自在に挿通されており、コイルばね61によってピストン59の頭部59aは水平駆動軸23側に付勢されている。頭部59aの側面には溝が形成されており、この溝にはOリング59cがシリンダ52aの内壁に当接して設けられている。また、カップリングケース58の内側に形成された溝にはOリング58dが設けられており、シリンダ52aの外周面に当接する。したがって、シリンダ52aの内側から孔52cを通じて溝58cにいたる室内は油密状態に保たれる。この室内に粘性流体が満たされた状態で、ピストン59の軸方向の位置を変更すると粘性流体の体積率は変化する。これにより、駆動軸52からカップリングケース58へのトルクの伝達率も変化することになる。図2に示すように、ピストン59の前部59bは水平駆動軸23の端部から突出しており、コイルバネ61に付勢されて制御カム72に当接する。制御カム72の当接する面には段差72aが3段階に形成されている。また、制御カム72はロッド74に接続されており、不図示の外部操作装置に接続される。したがって、外部操作装置により制御カム72は上昇すると、ピストン59の前部59bは奥まった段差72aの面に当接することになる。こうしてピストン59が前方に位置決めされると、室内の粘性流体の体積率は下がりトルクの伝達効率は低くなる。また、反対に制御カム72は下降すると、ピストン59の前部59bは浅い段差72aの面に当接することになる。こうしてピストン59は後方に位置決めされて室内の粘性流体の体積率は上昇し、トルクの伝達効率は高まることになる。
【0013】
図3はビスカスカップリング35の構造を示す断面図である。ビスカスカップリング35の水平駆動軸23側にはクラッチ65が設けられている。このクラッチ65は、シリンダ52aにロックナット63によって締め付けられスプラインを介して固定されるクラッチアウタ64、このクラッチアウタ64と対向し従動軸58にスプラインを介して軸方法に摺動自在に設けられたクラッチプレート66、従動軸としてのカップリングケース58の前部を外嵌し内側に窪み67aを有するカバー67、およびこのカバー67とクラッチプレート66の間に挟まれたスチールボール69から構成される。従動軸58の回転数が低いときにはスチールボール69はカバー67内側の窪み67aに位置する(図3に示す状態)。このとき、クラッチプレート66はクラッチアウタ64と間隙を介して対向することになり、駆動軸52はビスカスカップリング35の粘性流体を介して従動軸58と結合されることになる。従動軸58の回転が所定回転数に達すると、スチールボール69は遠心力によりカバー67の表面に沿って内側の窪み67aから外側の面に移動して、クラッチプレート66をクラッチアウタ64側に押し付けるようになる。クラッチプレート66がクラッチアウタ64と係合し始めると、駆動軸52は直接に従動軸58にクラッチ結合される。これにより、従動軸58の回転はロックアップされる。
【0014】
また、ギヤケース30の水平翼としてのキャビデーションプレート89には第2吸水口86および排気口87が設けられており、排気口87は排水口を兼ねており、プロペラ39の上方から後方に位置している。排水口および排気口87は偏平な形状に形成されており、排出される冷却水や排気による乱れは軽減される。エンジンの出力軸14の回転につれてウォーターポンプ83は作動し、吸水口85から取り込まれた冷却水はエンジンを循環して排水口87から排出される。また、エンジンの排気はエクステンションケース20内の排気管20aを通って排気口87から排出される。
【0015】
以上示した構造を有する船外機10の動作について説明する。伝達装置18を前進または後進の状態とし、エンジンを始動させると、エンジンの出力軸14に連結された垂直駆動軸15、伝達装置18、ビスカスカップリング35を経てプロペラ軸25に取り付けられたプロペラ39は旋回する。このとき、操作レバー76を手前に持ち上げておくと、ピストン59はコイルバネ61に付勢されて制御カム72の奥まった段差72aを有する面にその前部59bが当接することになってシリンダ52aを含む室内の容積は最大となるので、粘性流体の体積率は低く水平駆動軸23が嵌合された駆動軸52のトルクはカップリングケース58およびプロペラ軸25に十分に伝達されない。したがって、この状態では、プロペラ軸25は極低速回転することになり、トローリングや離着岸時に適した航行を行なうことができる。
【0016】
つぎに、操作レバー76を徐々に押し下げていくとピストン59は制御カム72の浅い段差72aの面にその前部59bが当接することとなり、シリンダ52aを含む室内の容積は小さくなっていくので、粘性流体の体積率が高くなり水平駆動軸23が嵌合された駆動軸52のトルクはカップリングケース58およびプロペラ軸25に十分に伝達されるようになる。したがって、カップリングケース58およびプロペラ軸25は徐々に回転を高めていく。さらに、カップリングケース58の回転が高まって所定回転数を越えるようになると、スチールボール69は遠心力により外側に移動し始めて、外側に移動したスチールボール69により押されたクラッチプレート66はクラッチアウタ64とクラッチ結合する。したがって、駆動軸52のトルクはカップリングケース58に直接に伝達されることとなり、プロペラ軸25の回転はロックアップされる。
【0017】
以上示したように、本実施形態の船外機10によれば、高速域にあわせて固定されたギヤ比の設定による減速ではなく、ビスカスカップリング35の粘性流体を介した減速を行なうことで、トローリングや離着岸時に適した微低速の航行に滑らかに移行できる。
【0018】
また、船外機10を使用するときには、ビスカスカップリング35を収納するギヤケース30は水中に没するので、ギヤケース30が水に直接に触れることにより放熱効果を向上させ、特別の冷却装置を設けなくてもビスカスカップリング35を冷却することができる。
【0019】
尚、制御カム72の段差72aは無段階に調整されることが望ましいが、これをより複数段に形成することでよりトルクの伝達率を細かく設定するようにしてもよい。
【0020】
[第2の実施形態]
つぎに、第2の実施形態の船外機100について説明する。図4は第2の実施形態の船外機100の構造を示す断面図である。第2の実施形態の船外機100では、前記第1の実施形態の船外機10と較べてビスカスカップリングの位置が大きく変更されている。すなわち、ビスカスカップリング135をウォータポンプ183の上方に設けている。これにより、水平駆動軸123はプロペラ軸としてプロペラ139に直結されている。
【0021】
ビスカスカップリング135およびウォータポンプ183は防水用のハウジング190に収納されている。図5はハウジング190に収納されたビスカスカップリング135の構造を示す断面図である。ハウジング190のカバー190aには伝達軸182が挿通されており、その先端部182aはビスカスカップリング135の駆動軸152のシリンダ152aに嵌合されている。ビスカスカップリングの構造は前記第1の実施形態と同じである。伝達軸182の先端部182aの内側にはピストン159が摺動自在に設けられている。先端部182aは軸方向にスリット201が形成されており、このスリット201には軸方向に摺動自在なブッシュ203が設けられている。また、先端部182aにはラジアル玉軸受205が設けられており、その内輪205aはブッシュ203に嵌合されている。したがって、ラジアル玉軸受205はブッシュ203と一体に先端部182aを軸方向に移動する。ブッシュ203には内側に窪み203aが形成されており、この窪み203aにコイルバネに付勢されたピストン159の後部159aが当接される。
【0022】
また、ラジアル玉軸受205の外輪205bにはアウタフォロワ208が嵌合されており、その軸周には溝208aが形成されている。この溝208aにはアーム212の先端部212aが係合しており、アーム212はピボット軸215に摺動自在に挿通されている。さらに、アーム212の中程には斜面部212bが形成されており、この斜面部212bはカバー190aに回転自在に設けられた操作レバー223の終端に形成された係合部223aと係合し、操作レバー223を揺動させると係合部223aが斜面部212bを沿うことによって斜面部212bを押下げてアーム212は軸方向に移動する。
【0023】
したがって、操作レバー223によりアーム212がピボット軸215に沿って摺動すると、アーム212の先端部212aと係合するアウタフォロワ208も上下に摺動し、ラジアル玉軸受205は先端部182aとともに回転する内輪205aの回転を吸収しながら上下することになる。
【0024】
また、図6は水平駆動軸123に動力を伝達する伝達装置の構造を示した断面図である。水平駆動軸123にはコイルばね125により付勢されたシフトスライダ128が内挿されており、このシフトスライダ128にはクラッチシフタ138が設けられている。クラッチシフタ138には貫通孔138cが形成されており、この貫通孔138cと係合するピン131は水平駆動軸123を貫通する孔123aを通してシフトスライダ128に取り付けられている。また、コイルばね125により付勢されたシフトスライダ128はシフトカム172と当接する。シフトカム172の当接する面にはカム面172aが形成されている。また、シフトカム172にはロッド174が接続されており、このロッド174は不図示の外部操作装置に接続される。したがって、シフトカム172のカム面172aを有する面に当接するロッド174の軸方向の位置を移動させることによってクラッチシフタ138は移動して選択的にかさ歯車121a、121bと係合することになる。このように、本実施形態のシフトカム172、ロッド174、操作レバー176は前記第1の実施形態と異なり水平駆動軸123の正転、逆転に使用される。さらに、水平駆動軸123はプロペラ軸としてプロペラ139に直結されているので、水平駆動軸123からプロペラ139に向けて排気通路が形成されてプロペラ139のボスの周囲から排気を行なえる。
【0025】
このように、本実施形態においても前記第1の実施形態と同様にビスカスカップリング135を介して動力を伝達するので、プロペラ軸125の回転を高速から微低速に滑らかに移行させることができる。しかも、前記第1の実施形態では砲弾形のギヤケース30内にビスカスカップリング35が設けられているのでプロペラ側の限られた大きさの開口部からしかビスカスカップリング35を組み付けできなかったが、本実施形態ではエクステンションケース120内にビスカスカップリング135を設けているのでその組み付けを容易にできる。さらに、操作レバー223の揺動量を調節することによってブッシュ203に当接されるピストン159の位置を上下に連続的に移動できるようにしているので、無段階に粘性流体の体積率を変更することができる。
【0026】
尚、本発明を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、船舶推進装置は船外機に限らず、船内機に適用してもよい。また、ビスカスカップリングをギヤミッションの変速機と併用する構成にしてもよい。さらに、エンジンは内燃機関に限らず、外燃機関であってもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、船体の航行を高速域から極低速域に滑らかに移行できる。また、特別の冷却装置を設けなくとも流体継手を冷却することができ、放熱効果を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の船外機10の構造を示す断面図である。
【図2】ギヤケース30に収納された伝達装置18の構造を示す断面図である。
【図3】ビスカスカップリング35の構造を示す断面図である。
【図4】第2の実施形態の船外機100の構造を示す断面図である。
【図5】ハウジング190に収納されたビスカスカップリング135の構造を示す断面図である。
【図6】水平駆動軸123に動力を伝達する伝達装置の構造を示した断面図である。
【符号の説明】
10 船外機
15 垂直駆動軸
23 水平駆動軸
25 プロペラ軸
35 ビスカスカップリング

Claims (1)

  1. 船体の外側に取り付けられる船外機であって、
    船舶を推進するためのプロペラが取り付けられたプロペラ軸と、
    粘性流体を介して駆動軸の動力を前記プロペラ軸が連結された従動軸に伝達する流体継手と、
    機関の出力軸の動力を前記流体継手の駆動軸に伝達する伝達装置とを備え、
    前記伝達装置は、前記機関の出力軸側の垂直軸に設けられたかさ歯車と、このかさ歯車と歯合し、水平軸上で互いに反転する一対のかさ歯車とを備え、前記一対のかさ歯車のいずれか一方を前記流体継手の駆動軸に選択的に係合し、
    前記船舶の航行方向に前記伝達装置、前記流体継手および前記プロペラ軸を順にギヤケース内に設け、前記船舶が航行する際、前記ギヤケースが水中に没するようにするとともに、前記機関を前記ギヤケース上方の水中に没しないエンジンカバーに収納したことを特徴とする船外機
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