JP3695215B2 - ヨーレートセンサの異常検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ヨーレートセンサの異常を検出するヨーレートセンサの異常検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平10−175528号公報(以下、従来例という。)に記載されているように、旋回時の内外輪の軌跡の違いによって生じる、左右輪の車輪速差に基づいてヨーレートを推定する方法があり、この推定ヨーレートとヨーレートセンサの検出値とを比較し、これらが一致しないときにヨーレートセンサが異常であると判定することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のように左右輪の車輪速差に基づいてヨーレートを推定するようにした場合、左右輪が異径タイヤである場合等左右輪にタイヤ径差があると、ヨーレートの推定誤差が大きくなってしまい、実際にはヨーレートセンサは正常であるにも係わらず、ヨーレートの推定誤差が大きいために、誤判定をしてしまう場合があるという問題がある。
【0004】
そこで、この発明は、上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、ヨーレートセンサの異常を誤判定することなく的確に検出することの可能なヨーレートセンサの異常検出装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るヨーレートセンサの異常検出装置は、右輪の車輪速度を検出する右車輪速度検出手段と、左輪の車輪速度を検出する左車輪速度検出手段と、前記右車輪速度検出手段の検出値及び前記左車輪速度検出手段の検出値に基づいて車両に発生するヨーレートを推定するヨーレート推定手段と、ヨーレートセンサの検出ヨーレート及び前記ヨーレート推定手段で推定した推定ヨーレートをそれぞれハイパスフィルタ処理するカットオフ周波数可変のフィルタ処理手段と、前記フィルタ処理手段でハイパスフィルタ処理した前記検出ヨーレートと前記推定ヨーレートとの差分値を算出し、当該差分値が予め設定したしきい値以上となる状態が予め設定した異常判定時間以上継続したとき前記ヨーレートセンサが異常と判定する異常判定手段と、車両が加減速状態であるか否かを検出する加減速検出手段と、を備え、前記フィルタ処理手段は、前記加減速検出手段で非加減速状態であることを検出したときには、前記ヨーレートセンサが出力異常となったときにこれに伴い生じると予測される前記差分値が前記しきい値以上となる状態が前記異常判定時間以上継続し得る予め設定したカットオフ周波数に設定し、前記加減速検出手段で加減速状態であることを検出したときには、非加減速状態時よりも大きく且つ加減速状態となったときにこれに伴い生じると予測される前記差分値が前記しきい値以上となる状態の継続時間が前記異常判定時間よりも短くなり得る予め設定したカットオフ周波数に設定することを特徴としている。
【0008】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係るヨーレートセンサの異常検出装置によれば、左右のタイヤ径が異なることに起因するヨーレートセンサの異常検出の誤判定を回避することができ、また、加減速状態であるときにはカットオフ周波数をより高くするようにしたから、加減速状態であることに起因する異常検出の誤判定を回避し、ヨーレートセンサの異常を的確に検出することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、第1の実施の形態を説明する。
図1は、本発明によるヨーレートセンサの異常検出装置の一例を示した構成図であって、この異常検出装置は、例えば、四輪操舵制御装置等、ヨーレートセンサを用いて制御を行う制御装置を備えた車両に適用され、非駆動輪の右輪に設けられ車輪の回転速度を検出する右車輪速センサ11と、非駆動輪の左輪に設けられ車輪の回転速度を検出する左車輪速センサ12と、車両に発生する前後加速度を検出する前後加速度センサ13と、車両に発生するヨーレートを検出するヨーレートセンサ14と、これら各センサの検出信号をもとに、ヨーレートセンサ14の異常判定を行うコントロールユニット20と、を備え、このコントロールユニット20では、その異常判定結果を前記四輪操舵制御装置等の制御装置50に通知するようになっている。
【0011】
前記コントロールユニット20は、例えば、前記各種センサからの検出信号を読み込むための波形成形機能やF/V変換機能やA/D変換機能を有すると共にヨーレートセンサ14の異常判定結果を制御装置50に通知するための入出力インタフェース回路、マイクロプロセサ等の演算処理装置、この演算処理装置で実行される後述の異常判定処理の処理プログラム等を格納するためのROM、RAM等の記憶装置を備えたマイクロコンピュータ等で構成されている。
【0012】
前記コントロールユニット20は、機能的には、図1に示すように、左右輪の車輪速センサ11及び12の検出信号に基づいてヨーレートを推定するヨーレート推定部21と、ヨーレート推定部21で推定した推定ヨーレートφobs 及びヨーレートセンサ14の検出信号である検出ヨーレートφR を個別にハイパスフィルタ処理するハイパスフィルタ22及び23と、車両が加減速状態であるか否かに応じてハイパスフィルタ22及び23のカットオフ周波数を調整する加減速判定部24と、ハイパスフィルタ22及び23のフィルタ出力の偏差Δφを算出する演算部25と、演算部25で算出した偏差Δφをもとに異常判定を行う異常判定部26とを備えている。
【0013】
そして、実際には、前記異常検出処理を実行し、前記左右車輪速センサ11,12の検出値をもとにヨーレートを推定し、推定した推定ヨーレートφobs と前記ヨーレートセンサ14の出力である検出ヨーレートφR とをそれぞれハイパスフィルタ処理し、ハイパスフィルタ処理後の推定ヨーレートφobs ′及び検出ヨーレートφR ′を比較し、これらの差Δφが所定の異常判定時間Tの間、予め設定したしきい値αを越えているときに、ヨーレートセンサ14が異常であると判定するようになっている。
【0014】
図2は、コントロールユニット20で実行される異常判定処理の処理手順の一例を示すフローチャートであって、この異常判定処理は、例えば所定時間毎のタイマ割り込みとして実行されるようになっている。
前記異常判定処理では、まず、ステップS1で、各種センサの検出信号を読み込む。つまり、左右の車輪速センサ11及び12からの車輪速検出値VwR 及びVwL 、前後加速度センサ13の前後加速度検出値XG 、ヨーレートセンサ14からの検出ヨーレートφR を読み込む。
【0015】
次いで、ステップS2に移行し、車輪速センサ11及び12からの車輪速検出値VwR 及びVwL をもとに、次式(1)に基づいて推定ヨーレートφobs を算出する。
φobs =(VwR −VwL )/TR ……(1)
なお、式(1)中のTRは車両のトレッドであって、非駆動輪間の距離に相当する。
【0016】
次いで、ステップS3に移行し、前後加速度検出値XG に基づいて後のハイパスフィルタ処理におけるカットオフ周波数ωC を設定する。つまり、前後加速度検出値XG をもとに、車両が加減速状態であるかどうかを判定し、加減速状態でないと判定した場合には、予め設定した第1の周波数ωC1をカットオフ周波数ωC として設定する。一方、車両が加減速状態である判定した場合には、予め設定した、前記第1の周波数ωC1よりも周波数の高い第2の周波数ωC2をカットオフ周波数ωC として設定する。
【0017】
次いで、ステップS4に移行し、ステップS3の処理で設定されたカットオフ周波数ωC に基づいて、推定ヨーレートφobs 及び検出ヨーレートφR をそれぞれハイパスフィルタ処理する。なお、推定ヨーレートφobs 及び検出ヨーレートφR に対して、同一のカットオフ周波数ωC でハイパスフィルタ処理する。
次いで、ステップS5に移行して、ハイパスフィルタ処理後の検出ヨーレートφR ′からハイパスフィルタ処理後の推定ヨーレートφobs ′を減算した値の絶対値を求め、これを偏差Δφとする。次いで、ステップS6に移行して、偏差Δφと予め設定したしきい値αとを比較し、予め所定の記憶領域に記憶している過去の比較結果をもとに、偏差Δφがしきい値αを上回る状態が、異常判定時間T以上継続したときには、ヨーレートセンサ14が異常であると判定してステップS7に移行し、フェールフラグFをF=1に設定した後、ステップS10に移行する。
【0018】
一方、ステップS6の処理で、偏差Δφがしきい値αを上回る状態が異常判定時間Tの間継続していないときにはステップS8に移行し、フェールフラグFをF=0に設定した後、ステップS10に移行する。このステップS10では、フェールフラグFを制御装置50に出力し処理を終了する。そして、例えば、これ以後は、コントロールユニット20がリセットされるまで、フェールフラグFをF=1として出力するようになっている。
【0019】
なお、前記第1の周波数ωC1は、ヨーレートセンサ14に異常が発生して検出ヨーレートφR が異常な値を示すようになったときに、前記偏差Δφがしきい値αを越える時間が異常判定時間T以上継続するような値に設定される。
また、第2の周波数ωC2は、車両に加減速度が発生することに起因して発生する偏差Δφが、異常判定時間Tの間継続しない値に設定される。
【0020】
また、前記異常判定時間Tは、ヨーレートセンサ14の異常を、ノイズ等によって誤検知することなく的確に検出することの可能な値に設定される。
ここで、右及び左車輪速センサ11及び12が右及び左車輪速度検出手段に対応し、図2において、ステップS2の処理がヨーレート推定手段に対応し、ステップS4の処理がフィルタ処理手段に対応し、ステップS6の処理が異常判定手段に対応し、ステップS3の処理で前後加速度センサ13の前後加速度検出値XG に基づき加減速状態であるか否かを判定する処理が加減速検出手段に対応している。
【0021】
次に、上記第1の実施の形態の動作を、図3に示すタイムチャートを伴って説明する。
コントロールユニット20では、所定の割り込みタイミングで図2に示す異常判定処理を実行し、推定ヨーレートφobs を算出し、加減速状態であるか否かに基づいてカットオフ周波数ωC を設定し、推定ヨーレートφobs 及び検出ヨーレートφR をハイパスフィルタ処理し、その偏差Δφがしきい値αを上回っているかどうかを判定している。
【0022】
今、時点t0 で左右の非駆動輪のタイヤ径が異なる車両が定速度で直進走行しているものとすると、ヨーレートセンサ14が正常であれば、検出ヨーレートφR はほぼ零となるが、推定ヨーレートφobs は、非駆動輪の左右のタイヤ径が異なるため、車輪速検出値VwR 及びVwL の差ΔVwに応じた値となる。
ここで、推定ヨーレートφobs の、ΔVwに応じたオフセット分は、車速が一定の場合には定常偏差とみなすことができる。
【0023】
したがって、これら推定ヨーレートφOBS 及び検出ヨーレートφR をハイパスフィルタ処理すると、タイヤ径の差に起因した推定ヨーレートφobs のオフセット分は除去され、図3(a)に示すように、ハイパスフィルタ処理後の推定ヨーレートφobs ′(図3(a)に実線で示す)及び検出ヨーレートφR ′(図3(a)に破線で示す)はほぼ零となる。よって、図3(b)に示すように、偏差Δφはほぼ零となるから、ヨーレートセンサ14は正常であると判定され、フェールフラグFはF=0に設定される(図3(c))。このとき、車両は定速走行しているから、カットオフ周波数ωC は比較的低い第1の周波数ωC1に設定されている。
【0024】
この状態から時点t1 で、車両が加速すると、前後加速度検出値XG をもとに車両が加減速状態であると判定し、カットオフ周波数ωC を、第1の周波数ωC1よりも高い第2の周波数ωC2に設定する(ステップS3)。このとき、左右の車輪速差ΔVwが増加するため、ハイパスフィルタ処理後の推定ヨーレートφobs ′は、図3(a)に示すように一時的に増加し、この時点では、カットオフ周波数ωC は、比較的高い第2の周波数ωC2に設定されているから、推定ヨーレートφobs ′は比較的速やかに収束する。
【0025】
一方、検出ヨーレートφR は、直進走行をしているからほぼ零のままを維持する。そのため、偏差Δφは、図3(b)に示すように、推定ヨーレートφobs ′と同様に一時的に増加する。
そして、時点t2 で偏差Δφがしきい値αを越えるが、この時点では、しきい値αを越えた状態が異常判定時間Tの間継続していないから、ステップS6からS8に移行する。よって、フェールフラグFはF=0を維持するから、ヨーレートセンサ14の異常と判定しない。
【0026】
そして、偏差Δφがしきい値αを越えた状態が異常判定時間Tの間継続していない間は、フェールフラグFはF=0を維持し、時点t2 から異常判定時間Tが経過する以前の時点t3 で偏差Δφがしきい値αを下回るから、時点t1 で加速したことによって生じた偏差Δφに対して、ヨーレートセンサ14の異常と判定しない。
【0027】
そして、時点t1 で加速した後、定速直進走行となった状態から、時点t4 で、ヨーレートセンサ14に異常が発生し、その出力がある値に固定されてしまった場合には、検出ヨーレートφR の増加に伴って、ハイパスフィルタ処理した検出ヨーレートφR ′は一時的に増加する。このとき、定速走行を行っているから、そのカットオフ周波数ωC は比較的低い第1の周波数ωC1に設定されているため、検出ヨーレートφR ′は比較的ゆっくり収束する。一方、推定ヨーレートφobs は、異径タイヤであることに起因して生じるオフセット値となるが、ハイパスフィルタ処理されるから、ハイパスフィルタ処理後の推定ヨーレートφobs ′はほぼ零となる。
【0028】
したがって、図3(b)に示すように、偏差Δφも、検出ヨーレートφR ′と同様に一時的に増加する。そして、時点t5 で偏差Δφがしきい値αを越えるが、この時点では、しきい値αを越えた状態が異常判定時間Tの間継続していないから(ステップS6)、フェールフラグFはF=0を維持し(ステップS8)、ヨーレートセンサ14の異常と判定しない。
【0029】
そして、偏差Δφがしきい値αを越えた状態が継続し、時点t6 で異常判定時間Tが経過したときには、ヨーレートセンサ14が異常であると判定し、ステップS6からステップS7に移行し、フェールフラグFをF=1に設定する。これにより、フェールフラグFが通知された制御装置50では、例えばヨーレートセンサ14を用いた制御を行わない等の対処を行う。
【0030】
このように、車輪速差ΔVwに基づいて推定した推定ヨーレートφobs 及びヨーレートセンサ14の検出ヨーレートφR をハイパスフィルタ処理した後に比較するようにしたから、左右輪に異径タイヤを装着した場合或いはタイヤが磨耗している場合等、左右の非駆動輪にタイヤ径差がある場合でも、このタイヤ径差に起因して生じる推定ヨーレートφobs のオフセット分を除去することができる。よって、オフセット分が除去された推定ヨーレートφ′と検出ヨーレートφR とを比較することによって、ヨーレートセンサ14の異常の誤検知を回避することができる。
【0031】
また、車両が定速走行しているときには、第1の周波数ωC1をカットオフ周波数ωC として設定し、車両に加減速度が発生しているときには、第1の周波数ωC1よりも高い周波数の第2の周波数ωC2をカットオフ周波数ωC として設定するようにしたから、ヨーレートセンサ14の真の異常を確実に検知すると共に、車両に加減速度が発生したことに起因して偏差Δφが発生した場合にこれをヨーレートセンサ14の異常と誤判断することを防止することができる。よって、異常判定時間Tを、ヨーレートセンサ14の真の異常を検知することの可能な時間に設定した場合でも、加減速時の誤判定を防止することができるから、異常判定時間Tを、ノイズ等によって誤検知することなく、ヨーレートセンサ14の真の異常を検知することの可能な最短時間に設定することによって、より早い時点でヨーレートセンサ14の異常を検出することができる。
【0032】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態におけるヨーレートセンサの異常検出装置は、上記第1の実施の形態のヨーレートセンサの異常検出装置において、その機能構成が異なること以外は同様であるので、同一部の詳細な説明は省略する。
図4は、第2の実施の形態におけるヨーレートセンサの異常検出装置の構成を示したものであって、この第2の実施の形態では、ハイパスフィルタ22及び23のカットオフ周波数ωC は所定周波数に設定されている。そして、ヨーレート推定部21で推定した推定ヨーレートφobs 及び検出ヨーレートφR は、それぞれハイパスフィルタ22及び23でハイパスフィルタ処理され、これらの偏差Δφが演算部25で算出されてこれが異常判定部26に出力される。また、加減速判定部24では、前後加速度検出値XG をもとに車両が加減速状態であるか否かの判定を行いその判定結果を異常判定部26に通知する。異常判定部26では、加減速状態でないときには、第1の異常判定時間T1 に基づいて異常判定を行い、加減速状態であるときには、前記第1の異常判定時間T1 よりも短い第2の異常判定時間T2 に基づいて異常判定を行う。
【0033】
図5は、第2の実施の形態における異常判定処理の処理手順の一例を示すフローチャートであって、上記第1の実施の形態における異常判定処理と同一部には同一符号を付与している。
この第2の実施の形態における異常判定処理では、まず、ステップS1で、各種センサの検出信号を読み込み、次いで、ステップS2で前記式(1)に基づいて推定ヨーレートφobs を算出する。次いで、ステップS4に移行し、予め設定された所定のカットオフ周波数ωC に基づいて推定ヨーレートφobs 及び検出ヨーレートφR をハイパスフィルタ処理する。なお、推定ヨーレートφobs 及び検出ヨーレートφR に対して、同一のカットオフ周波数ωC でハイパスフィルタ処理する。
【0034】
次いで、ステップS5に移行して、ハイパスフィルタ処理後の検出ヨーレートφR ′と推定ヨーレートφobs ′との偏差Δφを求め、次いで、ステップS5aに移行して、異常判定時間Tを設定する。つまり、前後加速度XG に基づき車両が加減速状態でないと判定されるときには、第1の異常判定時間T1 を異常判定時間Tとして設定し、車両が加減速状態であると判定されるときには、前記第1の異常判定時間T1 よりも長い第2の異常判定時間T2 を異常判定時間Tとして設定する。
【0035】
次いで、ステップS6に移行し、偏差Δφと予め設定したしきい値αとを比較し、偏差Δφがしきい値αを上回る状態が、異常判定時間T以上継続したときにはステップS7に移行してフェールフラグFをF=1に設定する。一方、偏差Δφがしきい値αを上回る状態が異常判定時間Tの間継続していないときには、ステップS8に移行してフェールフラグFをF=0に設定する。そして、ステップS10に移行して、フェールフラグFを制御装置50に出力し処理を終了する。
【0036】
なお、前記第1の異常判定時間T1 は、ヨーレートセンサ14に異常が発生して検出ヨーレートφR が異常な値を示すようになったときに、前記偏差Δφがしきい値αを越えた状態が十分継続し、ノイズ等の影響による誤検知が生じない値に設定する。また、前記第2の異常判定時間T2 は、車両に加減速度が発生することに起因して発生する偏差Δφを、ヨーレートセンサ14の異常と判定することを回避可能な値に設定する。
【0037】
また、前記カットオフ周波数ωC は、ヨーレートセンサ14の異常を誤検知することなく的確に検出することの可能な値に設定する。
ここで、右及び左車輪速センサ11及び12が右及び左車輪速度検出手段に対応し、図5において、ステップS2の処理がヨーレート推定手段に対応し、ステップS4の処理がフィルタ処理手段に対応し、ステップS6の処理が異常判定手段に対応し、ステップS5aの処理で、前後加速度センサ13の前後加速度検出値XG をもとに加減速状態であるか否かを判定する処理が加減速検出手段に対応している。
【0038】
次に、上記第2の実施の形態の動作を、図6に示すタイムチャートを伴って説明する。
コントロールユニット20では、所定の割り込みタイミングで図5に示す異常判定処理を実行し、加減速状態であるか否かに基づいて異常判定時間Tを設定して、偏差Δφがしきい値αを上回っているかどうかを判定している。
【0039】
左右の非駆動輪のタイヤ径が異なる車両が定速度で直進走行している場合には、検出ヨーレートφR はほぼ零となり推定ヨーレートφobs は車輪速検出値VwR 及びVwL の差ΔVwに応じた値となるが、これら推定ヨーレートφOBS 及び検出ヨーレートφR はハイパスフィルタ処理されるから、図6(a)に示すように、タイヤ径の差に起因した推定ヨーレートφobs のオフセット分は除去され、ハイパスフィルタ処理後の推定ヨーレートφobs ′(図6(a)に実線で示す)及び検出ヨーレートφR ′(図6(a)に破線で示す)はほぼ零となり、図6(b)に示すように、偏差Δφはほぼ零となって、フェールフラグFはF=0に設定される(図6(c))。このとき、車両は定速走行しているから、異常判定時間Tは、比較的短いT1 に設定されている。
【0040】
この状態から時点t11で、車両が加速すると、左右の車輪速差ΔVwが増加するため、ハイパスフィルタ処理後の推定ヨーレートφobs ′は、図6(a)に示すように一時的に増加し、検出ヨーレートφR は直進走行をしているからほぼ零のままを維持するため、偏差Δφは、図6(b)に示すように、推定ヨーレートφobs ′と同様に一時的に増加する。
【0041】
そして、前後加速度検出値XG をもとに車両が加減速状態であると判定し、異常判定時間Tは、第1の異常判定時間T1 よりも長い第2の異常判定時間T2 に設定される(ステップS5a)。
ここで、偏差Δφは、時点t12でしきい値αを越えるが、異常判定時間T、この場合T2 が経過する前に、時点t14で偏差Δφがしきい値αを下回るから、ヨーレートセンサ14の異常と判定しない(ステップS6)。
【0042】
そして、時点t11で加速した後、定速直進走行を行っている状態から、時点t15で、ヨーレートセンサ14に異常が発生し、その出力がある値に固定されてしまった場合には、検出ヨーレートφR の増加に伴って、ハイパスフィルタ処理した検出ヨーレートφR ′は一時的に増加するが、推定ヨーレートφobs はほぼ零を維持するから、偏差Δφは、図6(b)に示すように、検出ヨーレートφR ′と同様に一時的に増加する。
【0043】
この場合、車両が加減速状態ではないから、異常判定時間Tとして第1の異常判定時間T1 が設定され(ステップS5a)、時点t16で偏差Δφがしきい値αを越え、この状態が異常判定時間T(この場合T1 )の間継続した時点T17で、ヨーレートセンサ14が異常であると判定し(ステップS6)、フェールフラグFをF=1に設定する(ステップS7)。
【0044】
ここで、時点t11で加速したときに、異常判定時間Tとして異常判定時間T1 が設定されていた場合には、時点t12で偏差Δφがしきい値αを越えた時点でから異常判定時間T1 が経過した時点t13でヨーレートセンサ14が異常であると誤判断してしまう。しかしながら、車両が加減速状態であることを検出したときには、異常判定時間Tとして時点T1 よりも長いT2 を用いるようにしているから、時点t11で加速したことに起因して発生した偏差Δφは、ヨーレートセンサ14の異常と判定されない。
【0045】
このように、車両が加減速状態である場合には、異常判定時間Tを非加減速状態に比較してより長くするようにしたから、非加減速状態における異常判定時間T1 を、ヨーレートセンサ14の真の異常を検出可能な最短時間に設定することによって、ヨーレートセンサ14の異常をより早い時点で検出することができると共に、加減速時にはこれに起因してヨーレートセンサ14の異常として誤検知することを回避することができる。よって、上記第1の実施の形態と同等の作用効果を得ることができる。
【0046】
なお、上記第1及び第2の実施の形態においては、直進走行をしている場合について説明したが、旋回した場合には、左右の車輪速差ΔVwに基づき旋回状態に応じたヨーレートが推定され、また、ヨーレートセンサ14により旋回状態に応じたヨーレートが検出されるから、ハイパスフィルタ処理後の推定ヨーレートφobs ′及び検出ヨーレートφR ′は旋回状態に応じた値となりその差Δφはほぼ零となるから、この場合も直進走行時と同様の動作となり、同等の作用効果を得ることができる。
【0047】
また、上記各実施の形態においては、前後加速度センサ13により前後加速度を検出するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば左右の車輪速検出値VwR 及びVwL をもとに算出するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態においては、前記(1)式に基づいてヨーレートを推定するようにした場合について説明したが、車両が制動状態にある場合、或いは旋回している場合等には、推定誤差が生じるから、制動状態或いは旋回状態等車両の状態に応じて、前記(1)式に基づき算出した推定ヨーレートφobs を補正するようにしてもよい。
【0048】
また、上記各実施の形態においては、ハイパスフィルタ処理を演算により行うようにした場合について説明したが、これに限らず、電子回路等を用いてハイパスフィルタ処理を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるヨーレートセンサの異常検出装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態における異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施の形態の動作説明に供するタイムチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるヨーレートセンサの異常検出装置の一例を示す概略構成図である。
【図5】第2の実施の形態における異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態の動作説明に供するタイムチャートである。
【符号の説明】
11 右車輪速センサ
12 左車輪速センサ
13 前後加速度センサ
14 ヨーレートセンサ
20 コントロールユニット
50 制御装置
Claims (1)
- 右輪の車輪速度を検出する右車輪速度検出手段と、
左輪の車輪速度を検出する左車輪速度検出手段と、
前記右車輪速度検出手段の検出値及び前記左車輪速度検出手段の検出値に基づいて車両に発生するヨーレートを推定するヨーレート推定手段と、
ヨーレートセンサの検出ヨーレート及び前記ヨーレート推定手段で推定した推定ヨーレートをそれぞれハイパスフィルタ処理するカットオフ周波数可変のフィルタ処理手段と、
前記フィルタ処理手段でハイパスフィルタ処理した前記検出ヨーレートと前記推定ヨーレートとの差分値を算出し、当該差分値が予め設定したしきい値以上となる状態が予め設定した異常判定時間以上継続したとき前記ヨーレートセンサが異常と判定する異常判定手段と、
車両が加減速状態であるか否かを検出する加減速検出手段と、を備え、
前記フィルタ処理手段は、前記加減速検出手段で非加減速状態であることを検出したときには、前記ヨーレートセンサが出力異常となったときにこれに伴い生じると予測される前記差分値が前記しきい値以上となる状態が前記異常判定時間以上継続し得る予め設定したカットオフ周波数に設定し、
前記加減速検出手段で加減速状態であることを検出したときには、非加減速状態時よりも大きく且つ加減速状態となったときにこれに伴い生じると予測される前記差分値が前記しきい値以上となる状態の継続時間が前記異常判定時間よりも短くなり得る予め設定したカットオフ周波数に設定することを特徴とするヨーレートセンサの異常検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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